1
イントロダクション
資産価格変動はマクロ経済学において最も重要なトピックの一つである。日本の1990年代の「失
われた10年」の経験や,2000年代後半のアメリカにおけるいわゆる「大不況(Great Recession)」 〈概要〉
本稿では,景気循環会計(Business Cycle Accounting)の枠組みを資産価格決定理論に 拡張し,景気循環と資産価格変動を同時に分析するフレームワークを提示する。本稿が提 示する分析手法では,景気循環と資産価格(地価・株価)の変動要因を効率性ウェッジ(集 計生産性の歪み),労働ウェッジ(労働市場の歪み),投資ウェッジ(投資市場の歪み), 政府ウェッジ(政府支出や外需による歪み),土地ウェッジ(土地市場の歪み),株式ウェッ ジ(株式市場の歪み)の6つの要因に分解し,反実仮想実験を通じて各要因の重要性を分 析する。本稿では,1980年から2003年までの日本経済の景気循環・資産価格変動にこの分 析手法を応用した。主要な結果は以下である。まずウェッジ間の独立性を仮定すると,資 産価格変動には土地ウェッジ・株式ウェッジという資産市場に関する歪みが重要で,景気 循環にとって重要な効率性ウェッジは少なくとも分析期間の資産価格変動にはほとんど影 響がないことが分かった。一方で,ウェッジ間のスピルオーバーを考慮すると,結果は大 きく変わる。とくに,1980年代後半の資産価格高騰は土地ウェッジ・株式ウェッジの改善 の効果が大きいものの,1990年代の資産価格低迷は効率性ウェッジや労働ウェッジなど実 体経済に関する歪みによる効果が大きいことが明らかになった。 JEL 区分:E32,G12
キーワード:資産価格,地価,株価,景気循環,景気循環会計(Business Cycle Accounting), ウェッジ,日本経済
*専修大学経済学部教授。キヤノングローバル戦略研究所主任研究員。Email:[email protected]
景気循環会計の資産価格への応用
の経験など,大きな景気変動の前後には,大きな資産価格変動が存在することが知られている。資 産価格は,企業の将来収益を反映して決定するため,景気変動そのものが資産価格に影響を与える。 また資産価格は,企業の資金借り入れが保有する資産価格に制約されるなどの要素を通じて,企業 の経済活動に影響を与え,景気変動にも影響を与えるという逆の因果関係も考えられる。 しかしながら,マクロ経済の資産価格変動をうまく説明することは容易ではない。標準的なマク ロ経済モデルでは,多くの場合,現実の大きな資産価格変動をうまく説明することができないこと がよく知られている。現代的なマクロ経済モデルは景気変動についてはうまく説明できているとい われているが,景気と密接な関係があると考えられる資産価格変動はなぜ説明できないのだろうか。 いったい,どのような要素が現実の資産価格変動を説明するのに重要な要素なのだろうか。
によって引き起こされた可能性が高い。しかし,(ii-b)1990年代の不況は株式ウェッジや土地ウェッ ジなど資産市場の歪みによるものではなく,集計生産性の歪み(効率性ウェッジ)によるものであ る。加えて,(ii-c)集計生産性の歪み(効率性ウェッジ)と労働市場の歪み(労働ウェッジ)は1991 年からの資産価格の低下の重要な要因となっている。
本稿と関連する研究としては以下があげられる。まず Chari, Kehoe and McGrattan(2002,2007)
は景気循環会計を提唱した研究である。彼らはアメリカの大恐慌に景気循環会計を応用している。1)
日本経済への応用は,Kobayashi and Inaba(2006a)や Chakraborty(2012)などがある。マクロ 経済モデルを用いた日本の1990年代の資産価格変動の分析としては,Nakajima(2006)や Alpanda (2012)があげられる。Nakajima(2006)は,資産価格を説明する要素として,将来の TFP 成長率 に関する「期待」の重要性を強調している。また,Alpanda(2012)は土地保有税の変動が資産価 格変動に大きな影響を与えた可能性を指摘している。 本稿の第2節以降の構成は以下である。まず第2節では,分析に用いるプロトタイプモデルを導 入する。また,このプロトタイプモデルが幅広いクラスの DSGE モデルと同値な均衡配分を達成 できることを示す。第3節では,推計に用いるデータの説明行い,ウェッジの計測結果を示す。第 4節では,推計したウェッジとプロトタイプモデルを用いて反実仮想実験を行う。この実験を通じ て,各ウェッジの景気循環と資産価格変動への重要度を分析する。最後に第5節で,本稿の結論を 述べる。
2
プロトタイプモデル
2.1 モデル 代表的家計および代表的企業の2種類の経済主体を考える。家計の人口は一定を仮定する。市場 は,財市場・労働市場・株式市場・労働市場の4つを考える。資産として,家計は株式を保有し, 企業は資本と土地を保有する。ここでは,ゼロ期にすべての取引を決定する Arrow-Debreu 経済の モデルを考える。 モデルの重要な特徴は「ウェッジ(Wedges)」にある。ウェッジは,モデル上は集計生産性,歪 みのある税(Distortionary taxes),政府支出のようなものとして定義される。また,ウェッジの計 測の単純化のため,本稿では完全予見(Perfect foresight)を仮定する。2) 家計:代表的家計の問題は以下である。 max ct,st%1,!t ! !!! # βt u(ct,!t), (1) s.t. ! !!! # pt! #ct%v(1t %τs, t)(st%1&st)" $"!!!! # pt! #(1&τ!,t)wt!t%dtst&πt" $, (2) 1)Mulligan(2002)も同時期に類似のアプローチを提唱している。2)完全予見の仮定は Chari, Kehoe and McGrattan(2002)や Kobayashi and Inaba(2006a)でも用いられている。
一方,Chari, Kehoe and McGrattan(2007)や Chakraborty(2012)などは確率的なモデルを構築している。Chari,
ただし,ct,!t,st,dt,πt,pt,vtはそれぞれ消費,労働,株式,配当,固定一括税,物価および株 価である。ここで 1 1%τs, t を株式ウェッジ,1&τ!,tを労働ウェッジと定義する。 3) 家計は株式保有を 通じた企業のオーナーであるため,企業から配当を受け取るようにモデル化されている。 本稿では,株式ウェッジの要素τs, tを株式取引税としてモデル化しているが,それ以外にも株式 ウェッジのモデル化方法は考えられる。モデル化の方法によって推計されるウェッジの値は異なる ものの,反実仮想実験を行った際のウェッジがマクロ変数に及ぼす効果は同値となる。たとえば, 株式保有税として株式ウェッジを定義する場合,(2)式は以下になる。 − ! "!! # pt! #ct%vtst%1"$"! "!! # pt!
#(1&τ!,t)wt!t&v(1t %τs, t)st%dtst&πt"
$. (3) この株式ウェッジの定義の場合でも,(2)式の場合と全く同じ均衡条件に変形できる。いいかえる と,(3)式下の均衡条件と,(2)式下の均衡条件で2つが全く同じになるための2つの株式ウェッジ − τs, tとτs, tとの関係式を導出することができる。4)したがって,複数のモデル化方法はあるものの,本 稿では一般性を失わない形で(2)式のように株式ウェッジのモデル化を行っている。 企業:財市場は完全競争を仮定する。このとき,代表的企業が解く問題は以下である。 max xt,!t,Rt%1 ! "!! # ptdt, (4)
s.t. dt=yt&(1%τx, t)xt&wt!t&(1%τR, t)!"(Rt t%1&Rt), (5)
kt%1=(1&δ)kt%xt, (6) yt=A(1t %γ)tF(kt,!t,Rt), (7) ここで yt,xt,!"t,Rt,kt,γ はそれぞれ生産,投資,地価,土地,資本および技術成長率を表す。 いま 1 1%τx, tを投資ウェッジ, 1 1%τR, t を土地ウェッジ,Atを効率性ウェッジと定義する。この経済 では土地はすべて生産要素であり,企業はすべての土地を生産に使用している。生産関数は一次同 次で,F(kt,!t,Rt)とする。 家計の株式ウェッジの問題のように,土地ウェッジのモデル化も複数の方法が考えられる。しか し,ここでも複数のモデル化間での同値結果が成立するため,本稿では上記のように土地取引税の ような形で土地ウェッジをモデル化することとする。 市場の需給一致条件:各市場の需給一致条件は以下である。 (財市場) ct%xt%gtyt=yt, (8) (株式市場) st%1=1, (9) (土地市場) Rt%1=1, (10)
3)Chari, Kehoe and McGrattan(2002,2007)にならって,政府ウェッジ以外のすべてのウェッジは,「ウェッジ
の値が大きくなると歪み(distortion)が小さくなる」ように仮定している。また本稿では,政府ウェッジは Kobay-ashi and Inaba(2006a)と同じ定義を採用している。
4)本稿で採用する完全予見の仮定の下ではこれは明らかに成立する。ウェッジが VAR(1)過程に従って変動する場
ただし gtは政府ウェッジであり,政府支出の対 GDP 比として定義する。また,資産価格決定理論 の既存研究と同様に,株式および土地の供給は一定とする。 競争均衡:ウェッジの要素{ At,gt,τx, t,τs, t,τR, t,τ!,t}∞ t=0,初期資本保有 k0,初期土地保有 R0,初期株式保 有 s0が与えられたもとで,競争均衡は,以下の条件を満たす価格{ pt,vt,!!t,wt}∞t=0と数量{ ct,st&1,kt&1, Rt&1,!t,xt,yt,dt}∞t=0の組である。 !(家計の最適化)ウェッジの要素,初期株式保有 s0,価格{ pt,vt,wt}∞t=0および{ dt,πt}∞t=0が与え られた下で,家計の決定{ ct,st&1,kt&1,!t}∞t=0が家計の最適化問題(1)―(2)の解になっている。 !(企業の最適化)ウェッジの要素,初期資本保有 k0,初期土地保有 R0,価格{ pt,!!t,wt}∞t=0が与 えられた下で,企業の決定{ kt&1,!t,Rt&1}∞t=0が企業の利潤最大化問題(4)―(7)の解になっている。 !(市場の需給一致条件)すべての市場の需給が一致し,(8)―(10)が成立する。 均衡システム:この経済の均衡システムは u(t)c u(tc &1)=β
vt&1(1&τs, t&1)&dt&1
v(1t &τs, t) , (11)
u(t)c
u(tc &1)=β !
!t&1(1&τR, t&1)&At&1(1&γ)t&1F(tR &1)
!!(1t &τR, t) , (12) u(t)c u(t&1)c =β 1 1&τx, t "
$(1'δ)(1&τx, t&1)&At&1(1&γ)t&1F(t&1)k #
%, (13)
(1'τ!,t)A(1t &γ)tF(t)! ='u(t)!
u(t)c , (14)
ct&kt&1=(1'gt)A(1t &γ)tF(kt,!t,Rt)&(1'δ)kt, (15)
効率性ウェッジ,労働ウェッジ,投資ウェッジ,政府ウェッジ:均衡システムの(13)式,(14)式お よび(15)式は Chari, Kehoe and McGrattan(2002)と全く同じであり,(11)式,(12)式とは独立し ている。そこで Chari, Kehoe and McGrattan(2002,2006,2007)で示された同値結果は本モデル でも成立する。
( i ) Kiyotaki and Moore(1997)のような Input-financing friction モデルは,効率性ウェッジと 労働ウェッジの調整を通じて,プロトタイプモデルで同値の均衡配分を達成できる。
(ii) Bordo, Erceg and Evans(2000)のような粘着賃金モデルは,労働ウェッジの調整を通じて, プロトタイプモデルで同値の均衡配分を達成できる。
(iii)Carlstrom and Fuerst(1997)のような Agency cost モデルは,投資ウェッジの調整を通じ て,プロトタイプモデルで同値の均衡配分を達成できる。
(iv)Chari, Kehoe and McGrattan(2005)のような Sudden stop モデルや純輸出が変動する開放 経済モデルは,政府ウェッジの調整を通じて,プロトタイプモデルで同値の均衡配分を達 成できる。
土地ウェッジ・株式ウェッジ:補論で示すように,McGrattan and Prescott(2005)や Alpanda(2012) のようなたくさんの種類の税があるモデルは土地ウェッジと株式ウェッジの調整を通じて,プロト タイプモデルで同値の均衡配分を達成できる。補論 A では,配当分配税,投資課税,労働所得税, 株式取引税,株式保有税,土地取引税,土地保有税,法人税などが株式ウェッジと土地ウェッジに 影響を与えることを示している。また,McGrattan and Prescott(2005)のように無形資産が生産 要素にあるモデルとも同値結果を示すことができる。
3
ウェッジの計測
3.1 データ
本稿では日本の1980年から2003年までの年次データを用いる。データは Kobayashi and Inaba (2006a)と全く同じものである。これは,Hayashi and Prescott(2002)のデータを93SNA ベース
で再構築したものである。5)地価及び株価も93SNA からとっている。図1は,資本価値・地価・株
価の対 GDP 比を表している。この時期に資本価値の対 GDP 比がほぼ一定なのに対し,地価・株 価の対 GDP 比が大きく変動していることがわかる。
3.2 パラメータ値の設定
ウェッジの計測のために関数形の特定とパラメータ値の設定をする必要がある。本稿では,Chari, Kehoe and McGrattan(2007)にしたがって,効用関数は以下とする。
u(ct,!t)=log(ct)!φlog(1"!t). (16)
また生産関数は Nakajima(2006)にしたがって,以下とする。
F(kt,!t,Rt)=(ktθ!1t!θ)1!αRtα. (17)
表1は設定したパラメータの値を示している。家計の割引因子β は0.98である。モデルの1期
間は1年を想定しており,これは実質利子率年率2%と整合的である。効用関数の余暇のウェイト
φ は2.85とした。資本減耗率δ は0.0846である。資本のコストシェアθ は0.372,土地のコストシェ
アα は0.1,定常状態での TFP 成長率γ は0.0206とした。土地のコストシェアα は Nakajima(2006)
の値を採用し,それ以外は Kobayashi and Inaba(2006a)と全く同じ値となっている。
測が難しいのは異時点間のウェッジ(投資ウェッジ,土地ウェッジ,株式ウェッジ)である。これ らを計測するためには,(11)式,(12)式,(13)式を使用することになるが,ウェッジの将来値が必 要なために,やや強い仮定が必要になる。本稿では Kobayashi and Inaba(2006a)と同様に,「計 測する最後の期を T 期とするとき,T 期以降はすべてのウェッジがそれぞれ一定の値になってい る」と仮定する。 この仮定の下で,まず(13)式を考える。資本ストック kT!1と T 期の投資ウェッジτx, Tの組をピン・ ダウンすると,この式から均衡経路{ ct,kt!1,!t}∞t=T!1を計算することができる。そこで,{ ct,kt!1, !t}t=T∞ !1が均斉成長経路上に収束するようなτx, T=τxはシューティング・アルゴリズム(Shooting al-gorithm)を用いて求めることができる。6)この方法で T 期以降の投資ウェッジτ xがわかれば,0 期から T"1期までの投資ウェッジは(13)式をバック・ワードに解くことで計測できる。 同様の方法で,(11)式と(12)式から土地ウェッジと株式ウェッジの計測もできる。T 期の消費 cT と(13)式から計算されるモデルの予測値{ ct,kt!1!t}t=T∞ !1を使うと,地価と株価が均斉成長経路に収 束するための土地ウェッジと株式ウェッジの要素の組{!!T,vT}をシューティング・アルゴリズムに よって求めることができる。その後,0期から T"1期までの土地ウェッジと株式ウェッジは(11) 式と(12)式をバック・ワードに解くことで計測できる。 3.4 計測結果 図2から図4は,計測したウェッジと生産・地価・株価の推移を表している。図2は計測した ウェッジと生産である。図3は計測したウェッジと地価である。図4は計測したウェッジと株価で ある。生産,地価,株価はすべて定常状態の TFP 成長率(1!γ)t でトレンド除去したものである。 すべて1980年が100になるように基準化している。
まず,図2によると,労働ウェッジと投資ウェッジの動きは,基本的には Kobayashi and Inaba
6)シューティング・アルゴリズムを行う際の均衡システムは補論 B で説明している。
(2006a)とも整合的である。計測期間中,投資ウェッジは改善(上昇)しているのに対して,労働 ウェッジは悪化(低下)していることがわかる。一方,効率性ウェッジの動きは Kobayashi and In-aba(2006a)の推計とはやや異なる。Kobayashi and Inaba(2006a)の推計では,効率性ウェッジ は生産とほぼ同じ動きをしているのに対し,本稿で計測した効率性ウェッジはサイクル的な動きは 生産の動きに似ているものの,下方トレンドが存在しているようにみえる。Kobayashi and Inaba
4.1 ベースライン分解
まず最初に,6つのウェッジのうち,いくつかを初期値で固定し,その他のウェッジは計測した そのままのデータを与えるような反実仮想実験を行う。これは Chari, Kehoe and McGrattan(2002, 2007),Chakraborty(2009),Kobayashi and Inaba(2006a)など多くの景気循環会計の研究で用い
生産関数が資本と労働に関して収穫逓減になっていることが一つの原因ではないかと考えられる。 また,図5から図7をみると,株式ウェッジと土地ウェッジが景気循環に一切影響がないことも わかる。実はこれはプロトタイプモデルの構造から明らかな結果である。プロトタイプモデルの均 衡条件は(11)式から(15)式までで記述されるが,(13)式,(14)式,(15)式は,資産保有のオイラー 方程式である(11)式と(12)式から独立している。そのため,プロトタイプモデルでは,(13)式,(14) 式,(15)式から実体経済の均衡配分が決まり,そのあとで資産価格が(11)式と(12)式から決定する。 本稿であえてこのようなプロトタイプモデルを用いているのは,Chari, Kehoe and McGrattan(2002,
2007)と同様の均衡条件にすることにより,彼らが示した同値結果が直接成立するようにするため
図6 ウェッジ分解1(b):単一ウェッジを除いた場合の生産の予測
のの歪みであることがわかる。
4.2 ウェッジ間のスピルオーバー効果を考慮した場合
前小節のベースライン分解では,各ウェッジは独立したものとし,あるウェッジを固定すること が他のウェッジの変動には影響を与えないという仮定のうえで分析を行った。しかし,あるモデル
の要素(フリクション)が複数のウェッジに影響を与えることがある。たとえば,第2.2節でみた
ように,Kiyotaki and Moore(1997)のような Input-financing friction モデルは効率性ウェッジと 労働ウェッジの両方に影響を与える。そこで,ここではウェッジ間のスピルオーバー効果を考慮す
図12 ウェッジ分解3(b):単一ウェッジを除いた場合の株価の予測
る。 まず,表3は計測したウェッジが VAR(1)過程に従うとして,以下の式の VAR(1)過程を推計し たものである。 st!1=Pst!c!ut, (18) ここで st=(At,gt,1"τ!,t,1 1!τx, t, 1 1!τR, t, 1 1!τs, t)であり,c は定数ベクトルである。推計には Equation -by-Equation OLS を用いた。表3をみると,いくつかのウェッジ間にグレンジャー因果性があるこ とがわかる。具体的には以下の(i)から(v)である。(i)効率性ウェッジは,労働ウェッジと株式ウェッ ジからグレンジャー因果がある。(ii)政府ウェッジは効率性ウェッジと株式ウェッジからグレン ジャー因果がある。(iii)投資ウェッジは政府ウェッジと株式ウェッジからグレンジャー因果がある。 (iv)土地ウェッジは効率性ウェッジ,投資ウェッジ,株式ウェッジからグレンジャー因果がある。 (v)株式ウェッジは労働ウェッジからグレンジャー因果がある。上記より,株式ウェッジは他のす べてのウェッジにグレンジャー因果があることがわかる。また,労働ウェッジだけは他のウェッジ からのグレンジャー因果が認められなかった。 次に,有意なスピルオーバー効果をみるために,表3で有意でなかった項を落として,準 VAR(1) 過程を推計した。表4は再推計した準 VAR(1)過程の結果である。8) 以上から,計測したウェッジ間には密接な関係があることが示唆された。そのため,ウェッジ分 解において,あるウェッジを固定することは他のウェッジの変動に影響する,つまりスピルオーバ ー効果があることが考えられる。しかし,これまでのベースライン分解ではこの効果を全く考慮で 表3 ウェッジの VAR(1)過程の推計(1) 定数 E("1) G("1) L("1) X("1) R("1) S("1) E ".07 (.33) .71 (.11) .81 (.48) .23 (.09) .00 (.24) 0.01 (.03) 3.51 (1.18) G ".12 (.11) .09 (.04) .65 (.16) ".05 (.03) .13 (.08) ".00 (.01) ".79 (.40) L ".44 (.48) .21 (.16) 1.08 (.69) .89 (.12) .21 (.35) ".10 (.05) 2.15 (1.70) X .44 (.23) ".08 (.08) ".68 (.32) .04 (.06) .66 (.16) .03 (.02) "2.37 (.80) R "3.63 (1.20) 1.01 (.41) ".93 (1.71) .36 (.29) 2.79 (.87) .32 (.12) 20.86 (4.24) S ".09 (.07) ".01 (.02) ".00 (.10) .034 (.02) .07 (.05) ".00 (.01) .55 (.24)
* Equation-by-Equation OLS によって VAR(1)過程を推計している.
きていない。 そこで,スピルオーバー効果を考慮したウェッジ分解を行うにあたって,表4の結果をもとに以 下のように仮想のウェッジ系列を作成した。 1.初期において,すべてのウェッジは計測した初期値そのままとする。 2.あるウェッジ(あるいは複数のウェッジ)をターゲットウェッジとし,時間を通じて初期値 のまま固定する。 3.他のウェッジは表4の過程に従って,変動させる。誤差項は,表4の推計で得られたものを 使用する。 この手法で作成した仮想のウェッジの系列は,ターゲットとして固定したウェッジの効果が他の ウェッジに与える効果も考慮できているといえる。9) 本稿ではこのウェッジ間のスピルオーバー効果を考慮したウェッジ分解の結果に注目するが,ベ ースライン分解の重要性を否定しているわけではない。ベースライン分解は,ウェッジの独立性を 仮定したうえで仮想のウェッジ系列を作成するため,あるウェッジ(あるいは歪み)が景気循環や 資産価格変動にどれほどの影響をもたらすのかを分析するのに非常に有益である。しかしながら, Kiyotaki and Moore(1997)型の Input-financing friction モデルが効率性ウェッジと労働ウェッジ の両方に影響を与えるように,モデルの要素(フリクション)にまでさかのぼると,ウェッジ間の 独立性の仮定を緩めてスピルオーバー効果を考慮したウェッジ分解の結果も重要となる。 加えて,本稿で焦点を当てている資産価格変動を考慮するには,ウェッジ間のスピルオーバー効 果は必須である。前小節でみたように,本稿のプロトタイプモデルはベースライン分解である限り, 表4 ウェッジの VAR(1)過程の推計(2) 定数 E(!1) G(!1) L(!1) X(!1) R(!1) S(!1) E .06 (.04) .75 (.06) ! (!) .19 (.06) ! (!) ! (!) 2.82 (.62) G .06 (.03) ! (!) .62 (.17) ! (!) ! (!) ! (!) !.48 (.36) L .01 (.06) ! (!) ! (!) .99 (.05) ! (!) ! (!) ! (!) X .36 (.07) ! (!) !.83 (.27) ! (!) .74 (.06) ! (!) !1.63 (.56) R !3.86 (1.13) 1.39 (.35) ! (!) ! (!) 2.88 (.89) .24 (.11) 24.89 (3.78) S !.01 (.01) ! (!) ! (!) .01 (.01) ! (!) ! (!) .73 (.13)
* Equation-by-Equation OLS によって VAR(1)過程を推計している.
* 表3の推計で有意でなかったウェッジは説明変数から除外して推計している.
* 括弧内の数値は標準誤差である.
* E :効率性ウェッジ,G :政府ウェッジ,L:労働ウェッジ,
X :投資ウェッジ,R :土地ウェッジ,S :株式ウェッジ
9)本稿と関連して,Christiano and Davis(2006)は,VAR(1)過程の誤差項間の相関に焦点を当てた別のウェッジ
理解できる。また,図15の下部パネルから,土地ウェッジだけでなく株式ウェッジも地価を説明す るのに重要な要素だといえる。これは株式ウェッジが効率性ウェッジや土地ウェッジに対してグレ ンジャー因果があるためである。 次に図16の株価に焦点をあてる。図16の上部パネルから,労働ウェッジが1991年以降の株価低迷 に大きな影響があることがわかる。これは労働ウェッジが株式ウェッジに対してグレンジャー因果 があることが原因と考えられる。図16の下部パネルから,土地ウェッジは株価に対して影響がない ことがわかる。 4.3 資産価格変動に重要なフリクションはどのようなものか 本稿のベースライン分解によると,景気循環には集計性の歪み(効率性ウェッジ)が重要で,資 産価格変動には資産保有の歪み(土地ウェッジ・株式ウェッジ)が重要なことがわかった。そこで, 景気循環をうまく説明するためには,効率性ウェッジを変動させるようなフリクションを,資産価 格変動を説明するには,土地ウェッジ・株式ウェッジを変動させるようなフリクションをモデルに 導入する必要があるといえる。加えて,計測されたウェッジは表4でみたような相互に深い関係に あり,いくつかのウェッジ間でグレンジャー因果性も認められた。したがって,表4と整合的な複 数のウェッジを同時に変動させるようなフリクションが資産価格変動と景気循環を同時に考えるた めに重要であり,それがどのようなものなのかを探っていくことが今後の課題といえる。
5
結論
そのような要素をプロトタイプモデルに導入したうえで,ウェッジを計測した際に,計測された ウェッジの性質がどう変化するかを分析することも資産価格変動の理解に有益な分析といえる。
謝辞
本稿の作成にあたって,稲葉大(関西大学),小林慶一郎(慶應義塾大学)の両氏から有益なコ メントを頂いた。残された誤りは全て筆者に帰する。本稿は,平成30年度専修大学研究助成・個別 研究「確率動学一般均衡モデルによる資産価格変動の要因分解」の研究成果の一部である。補論 A:同値結果
この補論ではいくつかの同値結果を示す。様々な税があるモデル:第2節と同じモデルの構造を考える。違いは,McGrattan and Prescott(2005)
のようにたくさんの税を考える点である。10)具体的には,配当分配税,投資課税,労働所得税,株 式取引税,株式保有税,土地取引税,土地保有税,法人税を考える。このとき,家計の予算制約式 は以下になる。 ^ ^ ^ ^ ! $!! # pt! #ct%v(1t %τs, t)(st%1&st)" $"!$!! # pt!
#(1&τ!,t)wt!t%(1&τd, t)dtst&τsh, tvtst&πt"
$, ^ ^ ^ ^ ただし,τd, t,τ!,t,τs, t,τsh, tはそれぞれ配当分配税,労働所得税,株式取引税,株式保有税を表す。 企業の問題は以下である。 ^ max xt,!t, Rt%1 ! $!! # (1&τd, t)pt!"t, ^ ^
s.t. !"t=yt&(1%τx, t)xt&wt!t&(1%τR, t)##(Rt t%1&Rt)
^ ^
&τRh, t##tRt&τp, t!#yt&δkt&wtnt"
$, kt%1=(1&δ)kt%xt, yt=Â(1t %γ)tF(kt,!t,Rt), ^ ^ ^ ^ ただし,τx, t,τR, t,τRh, t,τp, tはそれぞれ投資課税,土地取引税,土地保有税,法人税を表す。いま, Âtと""tをこのモデルでの効率性ウェッジ,政府ウェッジとする。 このモデルの場合,均衡条件は以下になる。 u(t)c u(tc %1)=β ^ ^ ^ vt%1(1%τs, t%1&τsh, t%1)%(1&τd, t%1)!"t%1 ^ v(1t %τs, t) , ^ ^ u(t)c u(tc %1)=β ^ 1&τd, t%1 ^ ^ ##(1t %τR, t)(1&τd, t) ! ###t%1(1%τR, t%1&τRh, t%1) ^ %(1&τp, t%1)Ât%1(1%γ)t%1F(tR %1)" $,
10)ただし,ここでは McGrattan and Prescott(2005)とは異なり,無形資産(Intansible assets)は考えない.また,
^ ^ u(t)c u(tc %1)=β ^ 1&τd, t%1 ^ ^ (1&τd, t)(1%τx, t) ! #(1&δ)(1%τx, t%1)%δτp, t%1 ^ %(1&τp, t%1)Ât%1(1%γ)t%1F(tk %1)" $, ^ 1&τ!,t ^ 1&τp, t t (1%γ)tF ! (t)=&u(t)! u(t)c , ct%kt%1=(1>)Â(1t %γ)tF(kt,!t,Rt)%(1&δ)kt, および横断性条件である。 均衡配分{ ct,xt,kt%1,!t,yt}∞t=0と資産価格{ vt,##t}∞t=0は以下の条件が成立するとき,第2節のプロト タイプモデルと同一になる。 ^ ^ ^ vt%1(1%τs, t%1&τsh, t%1)%(1&τd, t%1)!"t%1 ^ v(1t %τs, t) = vt%1(1%τs, t%1)%dt%1 v(1t %τs, t) , (19) ^ ^ ^ ^ 1&τd, t%1 ^ ^ ##(1t %τR, t)(1&τd, t) ! ###t%1(1%τR, t%1&τRh, t%1)%(1&τp, t%1)Ât%1(1%γ)t%1F(tR %1)" $ =##t%1(1%τR, t%1)%At%1(1%γ) t%1F(tR %1) ##(1t %τR, t) , (20) ^ ^ ^ ^ 1&τd, t%1 ^ ^ (1&τd, t)(1%τx, t) ! #(1&δ)(1%τx, t%1)%δτp, t%1%(1&τp, t%1)Ât%1(1%γ)t%1F(tk %1)" $ = 1 1%τx, t ! #(1&δ)(1%τx, t%1)%At%1(1%γ)t%1F(tk %1)" $, (21) ^ 1&τ!,t ^ 1&τp, t=1&τ!,t, (22) Ât=At, (23) ""t=gt. (24) 完全予見の仮定の下では,ウェッジは外生的に自由に変化するため,(19)式から(24)式を満たす ウェッジが存在することは容易に示すことが分かる。上記から,各課税とウェッジの関係について, 以下のことがいえる。 ^ 1.法人税τp, tは株式ウェッジ,土地ウェッジ,投資ウェッジ,労働ウェッジの計測に影響する。 ^ 2.配当分配課税τd, tは株式ウェッジ,土地ウェッジ,投資ウェッジの計測に影響する。 ^ 3.土地保有税τRh, tは株式ウェッジと土地ウェッジの計測に影響する。 ^ 4.株式保有税τsh, tは株式ウェッジの計測に影響する。 ^ 5.土地取引税τR, tは株式ウェッジと土地ウェッジの計測に影響する。 ^ 6.株式取引税τs, tは株式ウェッジの計測に影響する。 ^ 7.投資課税τx, tは投資ウェッジと株式ウェッジの計測に影響する。
s.t. "!t=yt&xt&xu, t&wt!t&$"(Rt t%1&Rt), kt%1=(1&δ)kt%xt, ku, t%1=(1&δu)ku, t%xu, t, yt=Â(1t %γ)t!!(kt,ku, t,!t,Rt), ただし,xu, tと ku, tはそれぞれ無形資産投資と無形資産ストックである。無形資産の減耗率はδuと する。生産関数!!(kt,ku, t,!t,Rt)は一次同次を仮定する。Âtと#!tはこの経済の効率性ウェッジおよび 政府ウェッジである。 この経済の均衡システムは以下になる。 u(t)c u(tc %1)=β vt%1(1%"!t%1) vt , u(t)c u(tc %1)=β!#1&δ%Â t%1(1%γ)t%1!!(tk %1)" $, u(t)c u(tc %1)=β!#1&δ u%Ât%1(1%γ)t%1!!k, u(t%1)"$, u(t)c u(tc %1)=β 1 $"t ! #$"t%1%Ât%1(1%γ)t%1!!(tR %1)" $, Ât%1(1%γ)t!!(t)! =&u(t)! u(t)c ,
ct%kt%1%ku, t%1=(1&#!t)Â(1t %γ)t!(k!t,ku, t,!t,Rt)%(1&δ)kt%(1&δu, t)ku, t.
この経済の均衡配分{ ct,xt,kt%1,!t,yt}∞t=0と資産価格{ vt,$"t}∞t=0は以下の条件が成立するとき,第2節 のプロトタイプモデルと全く同一になる。 vt%1%"!t%1=vt%1(1%τs, t%1)%dt%1 1%τs, t , (25) $"t%1%Â(1t %γ)t%1!!(tR %1)= $" t%1(1%τR, t%1)%At%1(1%γ)t%1F(tR %1) 1%τR, t , (26) 1&δ%Â(1t %γ)t%1!!(t%1)=k 1 1%τx, t ! #(1&δ)(1%τx, t%1)%At%1(1%γ)t%1F(t%1)k " $, (27) Â(1t %γ)t!"(t)! =(1&τ!,t)AtF(t)! , (28) Ât!(k!t,ku, t,!t,Rt)=AtF(kt,!t,Rt), (29)
(1&#!t)yt&xu, t=(1>)yt. (30)
(25)式から(30)式までの条件を満たすウェッジが存在することは簡単に示すことができる。以上か
ら,無形資産の存在はすべてのウェッジの計測に影響を与えることが分かる。
補論 B:トレンド除去済み均衡システム
'!t: = z t [A(1t %γ)t] 1 1&θ(1&α). この記号を用いると,均衡システムは以下のように書き直せる。 !!t%1 !!t ! #GtA%1(1%γ)"$ 1 1&θ(1&α) =β 1 1%τx, t ! #(1&δ)(1%τx, t%1)%θ(1&α)&!t%1 #!t%1 " $, !!t%#!t%1#!GtA%1(1%γ)"$ 1 1&θ(1&α)
=(1>)&!t%(1&δ)#!t,
(1&τ!,t)(1&θ)(1&α)&!!t
t=φ !
!t
1&!t,
&!t=#!tθ(1&α)!(1t &θ)(1&α),
!!t%1 !!t =β $!t%1(1%τR, t%1)%α &R!t%1 t%1 $!(1t %τR, t) , !!t%1 !!t =β % !t%1(1%τs, t%1)%"!t%1 %!(1t %τs, t) , ただし,GtA%1: =AAt%1 t である。均斉成長経路上では,均衡システムは以下になる。 (1%γ) 1 1&θ(1&α)=β 1 1%τx ! #(1&δ)(1%τx)%θ(1&α)&! #!"$, !!=(1&g)&!%!#1&δ&(1%γ) 1 1&θ(1&α)" $#!, (1&τ!)(1&θ)(1&α)&!=φ! !!
1&!, &!=#!θ(1&α)!(1&θ)(1&α),
1=β!#1%$! α&! (1%τs)R " $, 1=β!#1%%!"! (1%τs) " $, これらの式を解くと,以下が得られる。 &! #!= 1%τx θ(1&α)!#1β(1%γ) 1 1&θ(1&α)&(1&δ)" $, !!
&!=(1&g)%!#1&δ&(1%γ)
1 1&θ(1&α)" $# ! &!, != 1 1% !&!! φ
(1&τ!)(1&θ)(1&α)
, #!=!#&! #!!&(1&θ)(1&α)"$ 1 θ(1&α)&1 , $!= α#!θ(1&α)!(1&θ)(1&α)
!
#1β&1"$(1%τR)R
"!=[1&(1&θ)(1&α)]!!θ(1&α)!(1&θ)(1&α)%[(1%γ) 1 1&θ(1&α)%1&δ](1%τx)!! ! #1β&1"$(1%τs) 参考文献
[1] ALPANDA, S.(2012): “Taxation, Collateral Use of Land and Japanese Asset Prices,” Empirical Economics, 43,
pp.819―850.
[2] BORDO, M., ERCEG, C. AND EVANS, C.(2000): “Money, Sticky Wages, and the Great Depression,”
Ameri-can Economic Review,90, pp.1447―1463.
[3] CARLSTROM, C., AND FUERST, T.(1997): “Agency Costs, Net Worth, and Business Fluctuations : A
Com-putable General Equilibrium Analysis,” American Economic Review,87, pp.893―910.
[4] CHAKRABORTY, S.(2009): “The Boom and the Bust of the Japanese Economy : A quantitative look at the
period1980to2000,” Japan and the World Economy,21, pp.116―131.
[5] CHARI, V. V., KEHOE, P. J. AND MCGRATTAN, E. R.(2002): “Accounting for the Great Depression,”
Ameri-can Economic Review 92, pp.22―27
[6] CHARI, V. V., KEHOE, P. J. AND MCGRATTAN, E. R.(2005): “Sudden Stops and Output Drops,” American
Economic Review 95, pp.381―387
[7] CHARI, V. V., KEHOE, P. J. AND MCGRATTAN, E. R.(2006): “Appendices : Business Cycle Accounting,”
Research Department Staff Report362, Federal Reserve Bank of Minneapolis
[8] CHARI, V. V., KEHOE, P. J. AND MCGRATTAN, E. R.(2007): Econometrica 75(3), pp.781―836.
[9] CHRISTIANO, L. J. AND DAVIS, J. M.(2006): “Two Flaws in Business Cycle Accounting,” NBER Working
Paper12647.
[10] HAYASHI, F. AND PRESCOTT, E. C.(2002): “The 1990’s in Japan : A Lost Decade,” Review of Economic
Dy-namics 5, pp.206―235
[11] KIYOTAKI, N. AND MOORE, J.(1997): “Credit Cycles,” Journal of Political Economy 105, pp.211―248
[12] KOBAYASHI, K. AND INABA, M.(2006a): “Business Cycle Accounting for the Japanese Economy,” Japan
and the World Economy 18, pp.418―440.
[13] KOBAYASHI, K. AND INABA, M.(2006b): “Data Appendix to Business Cycle Accounting for the Japanese
Economy,”
http : //www.rieti.go.jp/en/publications/dp/05e023/
[14] MCGRATTAN, E. R. AND PRESCOTT, E. C.(2005): “Taxes, Regulations and the Value of U.S. and U.K
Cor-porations,” Review of Economic Studies 72, pp.767―796.
[15] MULLIGAN, C.(2002): “A Dual Method of Empirically Evaluating Dynamic Competitive Equilibrium Models
with Market Distortions, Applied to the Great Depression and World War II,” NBER Working Paper8775.
[16] NAKAJIMA, T.(2006): “Asset Price Fluctuations in Japan : 1980―2000,” Japan and the World Economy, 20(1),
pp.129―153.
[17] NUTAHARA, K. AND INABA, M.(2008): “On Equivalence Results in Business Cycle Accounting,” RIETI
Dis-cussion Paper Series08―E―015.
[18] NUTAHARA, K. AND INABA, M.(2012): “An Application of Business Cycle Accounting with Misspecified