九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
電子供与体(D)-受容体(A)系の光誘起電子移動反応と 超分子構造制御の効果に関する研究
米村, 弘明
https://doi.org/10.11501/3105036
出版情報:Kyushu University, 1995, 博士(工学), 論文博士 バージョン:
権利関係:
可,_...
3 - 5 非対称ビオローゲン誘導体を用いた Through-Ring シクロデキストリン 錯体
(実験方法)
400 MHz I H - N M R測定装置を用いて、 IH-NMRスペクトルを測定した。 但 し、 D S SをD:!Oに溶解した溶液をキャピラリーに入れ、 これを封じサンプル管に 同封し外部基準とした。 測定は3 0 ocにて行った。
)3f(H2
VC10AB
(結果及び考察〉
ビオローゲン部分のプロトンについて、 添加するα ーC Dの濃度を変化させなが ら測定した(図3 - 4 9 )。 α ーC Dを添加すると非錯体種のシグナルと異なる錯 体種のシグナルが離れて別々に観測された。 従って、 非錯体種と錯体種の間の交 換速度はNMRの時間域よりも遅い動的に安定な錯体を形成していることがわか
ったo VC10ABについても、 D - A連結化合物(CzCnYCn=8.10.12). PHnY(n=8.10.
12) )と同様な1: 1のThrough-Ring C D 錯体を形成していると考えられる。
ここで、 このD - A連結化合物の結果と事なり、 過剰量( 100mM)のα -C D添 加し、 完全に錯体を形成させた時にも、 錯体極のピークは単純なdouble doublet にならなかった(図3- 49 ( D))。 これは、 錯体種の2種類存在すると考え られる。 ここで、 ビオローゲン部分とトリメチルアンモニウム部分をつなぐメチ レン鎖は1 0伺なので、 2個以上のα ーC Dがメチレン鎖に包接した結果とは考え にくい。 従って、 この結果はα -C Dの向きの異なる2椅の1: 1のThrough-Ring C D錯体が存在すると考えられる(図3- 5 0 )。
」の 事について詳細を調べるために、 ビオローゲン部分以外のプロトンについ て検討した。 Y CI0AB (2 mM)、 α -C D (10 mM)の条件での、 α -C Dのl位のフ。
127 -
(A)
、�
9.2 9.0 8.8 8.6 8.4
(8)
9.2 9.0 8.8 8.6 8.4
(C)
9.2 9.0 8.8 8.6 8.4
(0)
9.2 9.0 8.8 8.6 8.4
トルに及ぼすα - c
MM nK スペク
ンのlH- YC10ABにおける芳香族プロ ト
4 9 図3
300C mMのD20溶液 、
2 [ YCIOABJ Dの濃度効果:
( D ) 100
lD \! 、
nHU 'E'EA
( C )
、HM m川
ft\ 口υ 、1/ 4 無添加 、 ( A )
α - C D濃度
-也、日m川
日 …川
(A)
+(CH 3) 3 N 8r"
『‘�
日 …2川
(8)
+(CH 3) 3 N 8r"
α ーC D系での考えられる錯体の構造の模式図
(8)
VCIOAß-
。 5
(A)
図3
111'llrrrTlllllllliiiiliiiillllll"111
3.4 3.2 3.0 2.8 5.2 5.0
(C)
24 a22 B 20 1 i B 1!5 3j!4 t 1!2 日。
スペク トノレ
nHU ! ‘as岬H
α ーCD系でのIH- VCIOAB-
図3 5
300C のD:!O溶液、
HM m川
1 0 [α - C D J
、-lゐ川m川
[ VCIOABJ 2
のプロ ( C H 3) 3、
( B ) - N ン部分、
(C) :ClI結メチレン部分 α - C Dのfl- 1プロ 卜
ン部分、
( A ) ト
、�
ロトン(H -1 )に帰属される5 pprn付近のシグナルと-N+(CH3)3のプロトンに帰属さ れる3 pprn付近のシグナルとメチレン鎖部分のシグナルを図3 - 5 1に示した。
H -Iのプロトンについては、 2種類の錯体積が重なったシグナルが非錯体種より低
磁場側に観測された〈図3 - 5 1 (A)) 0 -N+(CH3)3のプロトンについては 3. 14 ppmに錯体積シグナルが 3. 08 ppm に観測される非錯体種から離れて観測された
(図3 - 5 1 (8))。 詳しいNMRの検討よりこの非錯体種にはもうlつの錯体
種のピークが重なっていることがわかった。 また、 メチレン鎖部分については非 錯体種と比較してブロードなシグナルになった。 さらに、 CzC16Vの錯体において 議論した(図3 - 4 4参照)メチレンプロトン (l-CH:!)では2種類のシグナル
(2.20 ppm と2.06 ppm)が観測された(図3 - 5 1 (C))。
以上の結果は、 先に議論した図3 - 5 0に示されるα -C Dの向きの異なる2種 の1 1錯体が存在することを支持する。
ここで、 仮にC Dの向きを無視してH- 1プロトンのシグナル強度より錯生成定数 ( K )を求めると2.2 X 103 M-Lし、う値が得られた。
さらに、 過剰量のα -C D添加した時でさえ、 α, ω ービスビオローゲン〈図3
- 4 1 )またはα, ω ービスビピリジン:!4 )のように2つの錯体種のシグナル強度
は等価にならなかった。 従って、 図3 - 5 0に示される錯体種AとBの存在比が 異なることを示している。
両者の存在比は末端部分に存在する基同士の水に対する親和性(疎水性または 親水性)によって、 α ーC Dのl級水酸基側(狭い孔〉または2級水酸基側(広い 孔)が向いた方が安定であるかで決まっていると考えられる。 これについての議 論は化合物を変化させてより確かな証拠をつかむ必要があると思われる。
130
可・・F
3 - 6 円偏光二色性スペクトルによるシクロデキストリン錯体の構造の検討
C Dに対する芳香族ゲスト分子の配向を検討する有力な方法として誘起円偏光 二色性(Induced Circular Dichroism : 1 C D)がある。
理論的計算を行うと、 一般的にC Dの分子軸に平行な電子選移モーメントを持 つゲスト分子の遷移は正の1 C Dを与える、 これに対してC Dの分子軸に垂直な 電子選移モーメントを持つゲスト分子の遷移は負の1 C Dを与える。 この規則に よって、 多くの実験結果が議論されている31 )。
ここで、 MRスペクトルの結果より、 フ ェノチアジンービオローゲン連結化
合物においてβ- C Dの場合には連結化合物の連結メチレン鎖に包接すると共にフ ェノチアジン環部分にβ- C Dが包接することが示唆された。
そこで、 フ ェノチアジンービオローゲン連結化合物のフ ェノチアジン部分がβ
- C Dに確かに包接されているか、 またどの様に包接されているかを1 C Dによ っ て検討した。
次に、 カルパゾールービオローゲン連結化合物においてr -C Dの場合にはカル パゾールとビオローゲンが一緒にr -C Dに取り込まれていることが:-: :\1 Rスペク
トルの結果より示唆された。 そこで、 連結化合物において観測される分子内C T 錯体の1 C Dを調べた。 これによって上記の考え方の妥当性を調べた。
最後に、 先に述べた規則は芳香族ゲスト分子がC Dの空洞内にある時のみ有効 であって、 C Dの空洞外の芳香族ゲスト分子に関しては適用できない。 最近、 小 高によって、 Heptylviologen のα 一C Dにおいての1 C Dについて理論的考察が 行われている32)。 ビオローゲンの選移( ). max = 260 nm )に負の1 C 0が得ら れ、 結果としてα ーC Dがl級水酸基側をビオローゲンに向けてアルキル鎖部分 に存在することが示唆された。 さらに、 小高はこの規則を一般的マクロ環化合物 の包接にも適用できることを報告している33)。 同様な方法でThrough-Ring C 0 措休においてα - C D がメチレン鎖部分に存在することがNMR以外のr C 0に よっても支持できると考えられる。 そこで、 Through-Ring C D 錯体を形成する 連結化合物について1 C Dの測定を行った。
131
、・・F
3 - 6 - 1 フ ェノチアジン ービオローゲン連結化合物のβ-シクロデキストリン
錯体におけるI C D
(実験) PH12V (20 μM)にβ-C D (0.4 mM)を添加した系のC Dスペクトルを 室温で測定した。 C Dスペクトルは日本分光]-40S型自記円ニ色分散計を用いて 測定した。 尚、 セルは1cm 石英セルを用いて測定した。
(結果及び考察)
PH12V (20 μM)、 β-C D (0.4 rnM)の水溶液のC Dスペクトルを図3 - 5 2 に示した。 明らかにフ ェノチアジン部分に帰属される吸収部分に正のコ ットン効 果が観測された。 同様な結果がビオローゲンのないPH12ABにおいても得られた。
1.5
、s Cコ
1.0
×
「一ー「
Gコ
0.5
0 200 250 300 350 1.00
Wave length ( nm )
図3 - 5 2 P1I12V-β-C D系の水溶液でのC Dスペクトル
[PII12VJ = 20 μM、 [β-C D ] = 0.4 mMの水溶液
132
、....-
また、 この1 C Dはプロマジンに代表されるフェノチアジン誘導体のβ-C Dにお けるr C Dスペクトル34)と一致した。 従って、 フェノチアジン環がβ-C Dに包
接されていることがわかった。 さらに、 フェノチアジンの長軸方向の遷移に正の コットン効果が観測されるので、 図3 - 5 3に示される様にのフェノチアジンが 包接されていることがわかった。
図3 - 5 3 PH12Yのフェノチアジン環へのβ-C Dの包接の模式図
3 - 6 - 2 カルパゾールービオローゲン連結化合物のr -シクロデキストリン錯 体における分子内C T錯体の1 C D
シクロデキストリンの空洞に有機化合物を包接させることは色々な化学反応を 制御できる超分子構造の構成に効果的意味を与える。 二分子反応における活性部 位を構築する際に、 r - C D の大きな空洞は非常に魅力的である。 二分子の発色 分子がr -C D の空洞に同時に取り込まれることが多くの研究者によって報告さ れている28)。 長らによってナフタレンとポリニトロベンゼン誘導体を用いてr -
C Dの空洞での電荷移動(C T )錯体の形成が報告されている29)。 もし, ドナ
ー( D )とアクセプター( A )が適当なスペーサーによってつながれたならば、
C T錯休の取り込みは容易になるであろう。 そこで、 D - A連結化合物の r -
C Dへの取り込みを1 C Dで調べた。 また、 この現象に及ぼすメチレン鎖長の効 果も検討した。
(実験)
133
可‘...
CzCnY (n=4, 6, 8,10,12) (0.4 mM) にy -C Dを添加した時のC Dスペクトル を測定した。 C Dスペクトルは日本分光円ニ色性分散計J-500C型を用いて室温で
測定した。 各吸収域の吸光度にあわせて、 O. 1、 1. 0 、 10.0 cm セルを使い分けて 測定した。
(結果及び考察〉
3 - 3で述べた様に、 CzCnY(0.4 mM)の水溶液では420 nm付近にCT吸収帯か 観測される。 また、 この吸収帯の強度はメチレン鎖長によって変化することにつ いても述べた。 さらに、 C T吸収帯の強度は連結化合物の濃度に比例するので、
C Tは分子内相互作用によって起こっていることがわかった。 最も強くCTが観 測されるのはCzC12Yであった。 ここで、 CzC12Yに関してα ーまたはβ-C Dを加え ると、 このCT吸収帯は消失した。 この興味深い挙動はThrough-Ring C D 錯体 の形成によってface-to-face の相互作用が抑制される結果であることはすでに3
- 3で述べた。 一方、 y -C Dを加えてもCT吸収帯はほとんど変化しなかった。
このC T吸収帯わずかに長波長にシフトした〈図3 - 5 4 (A))。 カルバゾールの 吸収に関しては、 y -C Dを加えると短波長側のバンド(2 30 "-; 270 nm)は少し 長波長にシフトし、 長波長側のバンド(320,..., 360 n田〉は幾分短波長にシフトし た(図3 - 5 4 (B)) 0 CzC12Y- y -C Dの溶液では、 連結化合物のカルバゾール とビオローゲンの分子内CT 錯体の吸収域に明かな負の1 C D が観測された (図3-55)0 CT錯体の吸収の最大であるに420 nmにおいて(分子楕円率:
e = 60 ) である1 C Dのピークが観測された。 1 C Dのピークは5倍等量の y -
C Dを加えると僅かに増加した( e ニ70)。 これらの結果は連結化合物のカルバゾ ール部分とビオローゲン部分が同じy -C Dの空洞に同時に取り込まれていること 強く示している。
メチレン鎖の短い化合物(CzCnY: n=4, 6, 8,10)ではCzC12Yの場合に比較して顕 著な1 C Dは観測されなかった(図3 - 5 5 ) 0 この著しい違いは連結化合物と
7 - C Dの相互作用の様式に及ぼすメチレン鎖長の効果を示しているのかもしれな
《V1 2,euw
上記の考えは'H -NMRによっても支持され、 CzC12Yのシグナルはy -C Dの添
134
、....
0.12
(A)
ω』《 0.08
0.04
。 400 500
入/nm
600 700
ω心《 1.0
(8)
1.5
0.5
0
200 250 300 350
入/nm
図3 5 4 CzC 1 2Yの吸収スペク トルに及ぼす1 - C D添加効果 [ CzC12Y] 0.4 rnMの水溶液
(ー〉 無添加、 〆't、 • 、1/ 1 - C D添加 [ 1 - C D ] 0.4 m川 ー、"
( A ) cmセル、 〆I\ ロυ 、、,ノ O. 1 cmセルを使用、 300C
CAC4V CAC6V CACaV CAC10V CAC12V 0.5
。
ー0.5
。ω刀NOF\C
可司・・F
600 700 500
入/nm
400圃1.0
y - C D添加時のカルバゾールービオローゲン連結化合物における 5
図3 - 5
トルに及ぼすメチレン鎖長の効果 C Dスペク
mMの水溶液 Q.4
[ y - CD]
、‘.‘何日m川
Q.4 cmセルを使用 [ CzC12Y]
1 Q
、_...
(A)
9.0
(8) �・1
5.0
(C)
2.5
図3 - 5 6
C
8.5 8.0 7.5
H-2 H-4
11 l い/
4.5 4.0 3.5
し�ノ
2.0 1.5 1.0
CzC12Y- 1 -C D系での1 rl-NMR スペクトル
ppm 7.0
ppm 3.0
ppm 0.5
[CzC12YJ = 0.4 rnM, [γ ーCD ] = O. 4 rn \1のD20溶液、 300C
( A )芳香族プロトン部分、 (B) 1 -CDプロトン部分、 ( C )
連結メチレン部分
137
可・・v
加によって大きく変化した〈図3 - 5 6 )。 大きな線形ブロードイヒと誘起シフト が吹のプロトンに観測された :芳香族プロトン( すなわち、 カルバゾール(a と d)とビオローゲン( e ,_, h)とr - C Dの空孔内プロトン( H - 3、 H-5、 H-6 )と スペーサのメチレン鎖プロトン。 線形ブロード化はバルク水相とr - C Dの空孔内 の異なる磁気的環境の間における適切な速い交換を示していると考えられる。 ま た、 分子運動抑制による緩和速度の増加による線形ブロードイヒも寄与しているか もしれない。 しかしながら、 カルパゾールの特殊なプロトンシグナル( bとc) は
1 -C 0を加えても影響されなかった。 同様にr - C Dの空孔外プロトン( H - 1、 H J、 H-4 )もブロード化は観測されなかった。 これらのプロトンは常に水分子と接
触していると考えられる。
I C 0の符号は連結化合物とr - C Dの相互作用の様式を調べる有用な手段であ
ある。 この節の最初に述 べた様に C D対象軸に対して垂直に遷移モーメントが あ る時に負のコ ットン効果を与えることをすでに述べた。 カルノ〈ゾールは2つの電 子遷移を持つことが知られている: ( 1)カルバゾールの短軸方向の遷移モーメ ントであるバンド( ), rnax = 333 と347 nrn)と(2 )カルバゾールの長軸方向の 選移モーメントであるバンド( Æ rnax = 233 nrn) 35)。 前者には負のコ ットン効果 が観測され、 後者は正のコ ットン効果が観測された〈図3 - 5 7 )。 この事は7
-C Dの空洞にカルバゾール環の長軸方向が r - C Dの分子軸と平行に包接してい ることを示している。
主に、 I C Dのスペクトルの証拠より、 CzC 12Yとr - C Dの錯体は図3 - 5 8の
様になっていると考えられる。
メチレン鎖の長い化合物( CzC 12Y)において明らかに安定な錯体が生成した。
これは連結メチレン鎖のコンホメーシ ョ ンとホストーゲスト相互作用におけるゲ ストの疎水性が原因になっているかもしれない。 この錯形成は電子移動及び酸化 還元における超分子による分子構築に有用と考えられる。
138
(A)
5.0
4.0
3.0
1.0
0) ω
"'0 ("')
0 -r
、、、
Cコ
、司_...-
。
300 -1.0
200 250
入/nm
(8)
0.5
0) Q) .ロ ("')
0 -r
、、、
o
-0.5
350 入/nm
-1.0 300
y -C D系のCDスペク トノレ
CzC12Y- 7
図3 5
111Mの水溶液 0.4
[y -CD]
111M、 0.4 [ CzC12Y]
nl11の波長領域 300..., 350
cmセルを使用
、、,〆ロυ/,、、
( B ) nm、
cmセル、
200..., 300 O. 1
( A ) ( A )
司副,
図3 - 5 8 Cz C 1 2 Y - 1 - C D錯体の推定椛造
3 - 6 -3 Through-Ring C D 錯体におけるD - A連結化合物のI C D
(実験)
CzCnY (n=12, 16) (0.1 rnM)に α - C Dを添加した時のCDスペクトルを測定し
ん C Dスペクトルは日本分光円ニ色性分散計J-500C型にて室温で測定した。
(結果及び考察〉
CzC12Y (0.1 mM)水溶液に α -CD (1 mM)を添加した時のCDスペクトルを
図3 - 5 9に示した。 カルパゾールの短軸方向の遷移モーメントであるバンド (Àrnax = 333と347 nm)と長軸方向の遷移モーメントであるバンド( ,{ max = 233 nrn)に正のコ ットン効果が観測された。 260 nm付近の吸収領域に負のコ ット
ン効果が観測された。
まず、 ビオローゲンの吸収帯に注目する。 この吸収帯は280 nmを極大とするブ
ロードな吸収が観測される。 ここで、 小高はI1eptylviologenのアルキル鎖に α - C Dが包接した場合にビオローゲンの吸収帯〈えmax"'-'280 nm)に負のI C Dが街l iJllj
140
川/〆いずJ川1山川
(A)
40000
Mol. Ellip
、司...
,, J e l I ll111i L n H 一 - J 叩 け U U H羽1 1
-40000 200 Wavelength(nm) 400
4000;
J r 1 」十
川町 ー - 11
0
(8)
Mol. Ellip. -
、「 、.
400
\ハペヘ.;-1\.1'ì1
Wavelength(nm)
r -
C D系のC Dスペク トノレCzC12V-
5 9
図3
mMの水溶液 [α - C D ]
、
HM
m川 -lEA
- nHU
[ CzCI2V]
nmの波長領域 cmセルを使用
300'"'-'400
、1ノ ロυ 〆't\ 、1ノ ロυ 〆'I、
nm、
cmセル、
200'"'-' 400
O. 1
( A ) ( A )
、司_...
され、 ビオローゲン環がα - C Dの外側に存在することを報告している32)。 上記 では、 同様に260 nm付近の吸収領域に負のコ ットンが観測された。 1 C Dのピー
クの極大が短波長にずれているのはカルバゾールの正の1 C Dが重なっているた めと考えられる。 従って、 この場合もHeptylviologenと同様にビオローゲン環が
a -C Dの外側に存在していることがわかった32)。 この事はNMRの結果と良く ー致した。
次に、 カルパゾールの吸収帯について考えると、 短軸及び長軸方向のバンドと もに正のコ ットン効果が観測されることは一見奇妙に思われる。 しかし、 NMR
の節のì\ 0 Eで検討した様に、 カルパゾール環が C Dに覆いかぶさっているなら
ば、 容易に理解できる(図3 - 2 6 ) 33)。 この状況ではどちらの遷移モーメント もα- C Dの分子軸に対して垂直になり、 正のコ ットン効果が観測されることにな る。 また、 CzC16Vについても同様な結果が観測された。
したがって、 1 C DによってもNMRによって示されたThrough-Ring C D 錯
体の構造が矛盾なく説明できた。 Through-Ring C D 錯体の構造がより妥当性の ある構造であることが確かめられた。
142
、司�
3 - 7 結論
本章では第2章で合成したD-A連結化合物とシクロデキストリン(C D )の 聞の包接錯休の構造と動的挙動について述べた。
D - A連結化合物 としてフ ェノチアジンービオローゲン連結化合物 またはカ ルバゾール-ビオローゲン連結化合物を用いて、 空洞の大きさの異なる3種類の
C D (α -C D、 βーC D、 γ 一C D )との錯体を主に1 H -N �I R測定によって調べた。
その結果、 メチレン鎖の長い〈メチレン鎖長8以上〉化合物とαまたβ-C Dを 組み合わせた場合においては、 非錯体種と錯体種のシグナルがNMR測定で別々に 観測された。 従って、 この錯体は交換速度の非常に遅い、 動的に安定な錯体を形 成していることが明らかになった。 この様な交換速度の遅いC D錯体が観測され たのは本研究の結果がはじめての例である。 1 H - N \1 R より求めた錯生成定数もD - A連結化合物のメチレン鎖長1 2の場合で104 M-1のオーダーで静的にも安定な錯 体を形成している ことも明らかになった。 これに対して、 r -C Dの錯体またはメ チレン鎖の短い(メチレン鎖長4または6 )化合物のC D錯体では交換速度の速 い通常のC D錯体が観測された。
NOEなどの分光的手法によって、 上記の安定な錯体の構造を検討すると、 C D がメチレン鎖に錯化したロタキサン型の錯体(Through-Ring C D錯体)を形成し ていることがわかった。
錯化反応によるD-A連結化合物のコンホメーシ ョ ン変化をDとAの聞の分子 内電荷移動吸収帯に及ぼすC Dの添加効果およびC D添加によるDとAの芳香族 部分のlH-NMRの誘起シフトによって調べた。 これらの検討により、 D - A連結化 合物は水溶液中ではD部分とA部分が重なった face-to-face のコンホメーシ ョ
ンをとっているが、 Through-Ring C D錯休 の形成によって、 延びたコンホメー ンョンになることがわかった。
lH-NMR シグナルの線形に及ぽす混度効果を調べるとβ- C D錯体では室温から 旬。Cの間でコアレ ッセンスが観測されるが、 α -C D錯体ではコアレ ッセンスが観 測されなかった。 この速いはビオローゲン部分がC Dを貫通する時にα -C Dの場 合のみに歪みを生ずるためと考えられた。
143
『司・・F
Through-Ring C D錯体の生成機構を調べるために代表してα - C D錯体の場合 の熱力学パラメータを分光学的方法で求めた。 最初に、 錯化反応の熱力学ノマラメ ータ(ムG、 ムH、 ムs )を'H-NMRの温度変化より求めた。 ムHはメチレン鎖に
関係なくほぼ一定であり、 ムSがメチレン鎖長の増加と共に負に大きくなった。
従って、 メチレン鎖長に伴って錯生成定数が増加するのはエントロピ一変化によ って起こることがわかった。
また、 C T吸収帯の消失速度の温度変化より活性化状態の熱力学ノぞラメータ
( 6 G !、 ムH !、 ムS ! )を求めた。 等速関係則が成り立ち、 メチレン鎖長に
関係なく、 同じ反応機構によって起こっていることがわかった。 また、 求めた熱 力学パラメータによって、 この錯体は親水基であるビオローゲン部分がC Dの疎 水性空洞を貫通する時の活性化エネルギーによって、 この錯休の安定化が起こっ ていることがわかった。 この活性化エネルギーは脱溶媒和によっておこっている と考えられた。
ビスビオローゲン誘導体のThrough-Ring α - C D錯体との比較によって、 D- A連結化合物の Through-Ring α ーC D錯体ではα -C Dのメチレン鎖への錯化は C Dの小さな空洞( 1級水酸基側〉からのみ起こっており、 選択的にα - C D が メチレン鎖に錯化していることがわかった。
メチレン鎖長を1 6個にのばしたカルパゾール-ビオローゲン連結化合物では 2個のα -C Dが連結メチレン鎖に錯化したThrough-Ring α ーC D 1:2錯体を形 成していることがわかった。 さらに、 Through-Ring α ーC D 1: 2錯体において、
メチレン鎖に錯化したα - C Dの向きによって4つの立体異性体が考えられるが、
実際は4つの異性体の中のただlつの異性体しか生成しなかった。 このような立 体選択的包接 挙 動がこの錯体において初めて見いだされた。
また、 ビフ ェニル基をスペーサに持つカルパゾールービオローゲン連結化合物 についても上記と同様なThrough-Ring α ーC D 1:2錯体を形成することが明らか になった。
さらに、 C D錯体の構造を円偏光二色性スペクトル測定によって検討した。 ま ず最初にlH-NMR測定によって示唆されたフ ェノチアジンービオローゲン連結化合 物におけるß - C Dのフ ェノチアジン部分への包接が1 C Dによって確認できた。
144
可lIIr
2番目に、 カルバゾールービオコーゲン連結化合物(メチレン鎖長が1 2の化合 物)の'1 - C D錯体系の1 C Dを測定すると、 C T吸収帯に1 C Dが観測されたc
この結果より、 カルバゾール部分とビオローゲン部分が'1 - C Dの同じ空洞に取り 込まれる特異的包接挙動が明らかになった。 3番目に、 N\1 R測定によって明らか
になったThrough-Ring C D錯体の構造が1 C Dによっても示唆された。
145
、lIr
第3章 参考文献
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