九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
新規な機能をもつ核酸結合性小分子の研究
井原, 敏博
九州大学工学研究科合成化学専攻
https://doi.org/10.11501/3065524
出版情報:Kyushu University, 1992, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:
3 - 3
-2 考察
3 - 3 -
1で 示したCs 0値(ü.lMNaCl)から 2の結合 定数Kを算出してみる。 いま、 エチジウムブロミド、 ビスアタリジン2のDNAに 対する結合定数をそれぞれKE、 KDとすると、
KE=Eb /Ef'P f (2)
KD=Db/Df'Pf ( 3 )
と表す ことができる。 ここでEはエチジウムブロミドの、 Dはピス アタリジン2の波度を示し、 添え字のb、 fはそれぞれDNAとの結合
加、 非結合型を意味するものである。 式(2)、 (3 )からPfを消去する と
K D=D b' Ef'KE/Eb'D f (4)
となる78 )。 ここ でもし、 エチジウムブロミド と2のl分子が占有す るDNA上での座席数が等し ければ、 この式(4)から既知のKEを代入 してKDを求めることができる。 しかしながら、 占有座席数が両者で 具なる場合には、 これらの式を以下に示すように拡張して考えなけ ればならない。
K E= Eb/Ef' P f- E (2 ')
Ko二Db/Df'Pf-D
( 3 ')
但し、 Pf-D=rP f-E
.'.Ko=Db'Ef'KE/rEb 'Df ( 4 ')
実験の条 件より、 Pl 0 l a 1 = 1 . Ü ,u M、 Eb+Ef=1.26μM、 実験結果より、
-67-
エチジウムブロミドの5 0%が追い出された点では
Db+Df=0.29μM
さらに文献から41) KE=2.0 x 1 0 5M-1であることがわかっている。 これ らの値を全て( 4 ')に代入してKDを算出すると結果は表3 - 1に示すよ
うになった。
表3-1 Cso値より求めた2の結合定数.
r Ko/M-1
一
1.0 1.18x106
2.0 2.41 x 105
3.0 l.0 1 x 105
4.0 5.50x104
同じ条件(O. lMNaCl)で行なったScatchard 解析(吸収スペクト ル変化を利用したもの)の結果はKO=l.
72 x 1 0 5M'\ n=3 . 8bpであ
るが、 ほほこれに対応する値になった。 しかもその占有座席はエチ ジウムブロ ミドの2倍---3倍のK他が最もScatchard解析の結果に近く、
2のビスインターカレーシ ョ ンが示唆された(エチジウム
ブロミドのn値は約2)。 この ように、 エチジウムブロミドの追い出 し法 から得られた値(K、 n)は、 Scatchard解析で得られた結果と良好 な一致を示した。 従って、 これまで行なってきた吸収スペクトル変 化から Scatchard 解析で結合定数を求める手法の信頼性が確かめら れた。
NaC l無添加l系(図3 - 8 )ではCso=0.087であったが、 これを他の 数程の化合物と比較する7
7‘7
g )。スペルミジン スペルミン
-6…
1 .00
0.23
Acr-NH-(CH2)n-NH-Acr* n=6 0.15 n=8 0.11 n=10 0.09
9-アミノアタリジン0.51
* A c rはアクリジン環
2とAcr- NH-(CH2)n-NH-Acrのn=8、 1 0は、 その複素環距離、 結合
定数は非常に近い値であるが、 ここに示すように、 Cso値もこれを 反映して似た値をとることがわかった。
ここでインターカレータの結合定数に与える塩濃度の効果7 3 )につ
いて考察する。 高分子電解質理論81) (polye lectrolyte theory)を DN A-配位子交互作用に拡張したRecordらの取扱い口、83)によると、
DNAと配位子の相互作用は次に示す2つのステ ップを含むと考えら れる。
P'Mm<þ二二二::::- P Ks
+mいM
ム 一
(5)
ここで、 Pはリン酸単位のDNA、 Mは溶液中の共存塩、 しはDNA 結合配位子、 mはDNA-配位子問に生じるイオン対の数、 いはリン
酸に濃縮されている対 イオンの数(リン酸l個あたり) 、 従って、
全体の其の結合定数Kは
K = Ks・KL (6)
で表される。
Ksと K
Lは塩濃度に独立の値であるので、 もちろんKは 塩濃度が変化しても不変である。 しかしながら、 笑際に観測する結 合定数K0 bsは塩濃度の影響を受ける。 K0 bsは次のように与えられる。-69-
Kobs
ps 1rJ D
ud一+
D
tfl一 一1j
V
M m pa
,,42k nυ
し
つJV
P一M m P
したがって
K = K
s. K
L= K
0bs
X[M]
m ljI(7 )
となり、 K0 bsが塩濃度依存性の他であることがわかる。
式(7)の両辺の対数をとって
10
g K 0 bs =
10g K - mいlog[M] ( 8 )
いま、 [M]=[M]O ([し]O�[M]O) 、 K=一定と考えてよいから 式(8 )
より
v b m
b
一川ムシ σむ
一M凡 rh~
一8 s 一q
(9)
但し、 この式は、 配位子が結合したことによるDNAのコンホメーシ ョ ンの変化は考慮していない。 実際、 インターカレーシ ョ ンの場合
はDNAの塩基対間を押し広げて結合するので、 その結合により電荷 間距離が変化する。 従って、 DNAへのインターカレータの結合前後 で、 リン酸l個あたりに 結合している対イオンの数ψも変化するは ずである。 この効果を考慮に入れていないので、 ここで導出した式 ( 8 )はカチオン'性のインターカレータとDNAの文ナカチオン問のカチ オン交換の効果のみを表現したものである。 インターカレーシ ョ ン に伴うDNAのコンホメーシ ョ ン変化の表現には、 インターカレータ 結合前後で別々のいを用いる必要がある。 迎合?の典型的な インター カレーシ ョ ンによりいは0.88から0.82に変化する73 )程度であると 考えられるので、 コンホメーシ ョ ン変化の効果はカチオン交換の効
ー70-
果に比べると非常に小さいと考え てもよい。 従って ここでは単純化 のために式(9)を用いる。
いま、 O.lMNaCl共存下でのCso (=0.29) と非共存下でのCs 0 (=0.089) は大きく異なっている。 このこと は、 式( 9 ) の-mい (logKobs-log[M]。プロ ットの傾き)が、 エチジウムブロミドと2と
で異なっているこ とを示している。 いは 配位子の関与しない値であ るから両者について同ーであ る。 即ち、 Cs 0値の大小関係からエチ ジウムブロミドのmよりも2のmの方が大きいということができる。
エチジウムブロミドのmは1 .0と考えてよいから、 2は DNAへの結合 に際して、 lつより多くのイオン対をリン酸との聞に形成している ことになる。 従って、 2はそのピオローゲン部分をDNAに平行に配 向させてピリジニウ ムの正電荷をいずれもDNAの リン酸部位に静電 的に結合させていることが推定できる。
ここで示したように、 エチジウムブロミド追い出し法は、 1 )操 作が非常に簡単で、 測定に多くの時間を要しない。 2 )エチジウム ブロミドを基準としたあくまで相対的な結合力の評価法であるので 再現性に優れ、 他のデータとの比較がしやすい。 3 )測定には目的 化合物数ミリグラム、DNA数マイクログラムしか必要としない。4 ) インターカレータだけでなく 、 グルーブへ吸着する化合物(グ ルー ブパインダ一)、 また、 紫外 ・ 可視領域に測定可能な吸収をもたな い化合物など適用範囲が広い。
この節の結呆により、 新しく合成した電気化学活性なビスアタリ ジン2は従来の絞っか のインターカレータなどと比較すると28 )ほほ
妥当な結合定数をもつことがわかり、 さらに、 その結合定数の算出 法 (吸収スペクトjレを利用したScatchard解布T )についても信頼性
を示すことができた。
-71-
3-4 ONA-ビスアクリジン(2 )複合体のゲル電気泳動
幾つかのDNA結合性配位子は、 ゲル電気泳動において結合してい るDNA断片の移動度を遅らせることが知られている84、85)0 DNAは
負電荷を有する高分子電解質、 そして一般にそれに結合する配位子 は正に帯電してい るので、 ゲル電気泳動では それぞれは逆の方向に 引かれることにな る。 複合体として泳動するためには、 配位子はあ る程度以上の結合定数をもっ必要があるのであるが、 2をDNAの電
気化学的ラベル化剤として考えると、 DNA-2複合体が泳動中に解離 してしまうようでは使い物になら ない。 そこで、 2のDNAとの結合 力を評価するlつ の手法として複合体のゲル電気泳動挙動を観察し て、 可逆的ラベル化剤としての可能性について考察した。
3 -4
-7 結果と考察
pUC9-terRプラスミドDNAを用いて 、 下に示す程々の割合で2と の複合体を形成させ(250C、 30分)、 アガロースゲル電気泳動を行 なっ た(図3 - 9 )。 この写真をデンシトメータでスキャンした結果 を図3- 1 0に示す。 DNAへの2の添加に伴ってDNAバンドの遅れとバ
ンド が消失し ていく様子がみら れた。 こ のゲルを約1時間ほど 2MNaCl水溶液に浸し 、 その後再びエチジウムブロミドに浸して染
色した結果を図3 - 1 1に示す。
ー72-
実験条件
レーン
DNA/μM-p 2/μM
43 。
2 43 0.43
3 43 4.3
4 43 43
5 À -Hind IIIマーカー
2 3 4 5
図3-9 DN A・2複合体のゲル電気泳 動挙動.
1%アガロースゲルで1OV /c mで泳動後エチジ ウムブロミドで染色
「コづ/
ハU41』E-
ヘ
0.01 0.1
[2]
/[DNA-p]
。抑伴也純司祭
1.0
。 1.0 0 1.0
相対移動度
。
。 1.0
図3・9の写真をデン DNA-2複合体の泳部J挙動.
シトメータでスキャンしたもの.
図3・10
4 5 3
2
図3-9の
A-2複合体の泳動挙動
図3・11 D
ゲルを2MNaClaq処理して再びエチジウムブ
-
74-
ロミドで染色した
主にポリアニオンであるDNA の電荷を、 正電荷を 泳動の遅れは、
有する2が結合して中和したためであろう。
共存する2によって エチジ iつ には、
ドの消失については I、;ノ
ドのDNAへの結合が抑えられ た結果であるという可能性 ウムブロミ
同 ドによるDNAの染色は、
エチジウムブロミ が考えられる。 即ち、
染色の際共存 ンという現象を利用しており、
じインターカレーシ ョ
ドと競争的にはたらいていると考えるこ する2はエチジ ウムブロミ
とができる。
ドで染色 するという意 図で2
M
N aCl水溶液で処理する操作を行なっ たが、 ゲwm掃除志村苫骨
その後;エチジウムブロミ
間環状DNA
2をDNAから解離させ、
Î .05
Î .00
0.95
0.90
0.85
0.80 また 、
O. Î 0 0.08
0.06 0.04
0.02
2 /塩基
図3・9の
A-2複合体のゲル電気泳動
Aバンドの形態万uの移動度.
図3
-
12 D D戸、J 寸/
ルの染色の度合は変わ らなかった。 これはゲル上のDNA が既に完全 にエチジウムと反応していたことを意味する。 このことから、
2の
濃度 がある濃度以上になると複合体の電荷が完全に 中和され、 複合 体は水に対して殆ど不溶化してしまうのかも知れな い。 従って、 バ ンド消失のもうlつの可能性として、 ごく低濃度のDNA複合体のみ がゲル中を泳動していたとも考えられる。図3- 1 2には図3-9の結果をDNAの形態別にまとめた ものを示す。
スーパーコイル型プラスミドDNAの方が 、 2の添加に対し敏感に応
答する ことがわかる。 これはインター カレ ーシ ョ ンによる電干苛の中 和以外にDNAの形態変化(スーパーコイルの巻き戻し)が泳動に影 響している結果と考えられる。
N aCl水溶液処理でバンド をみることができなかったのでエチジウ ムブロミド染色よりも高感度な銀染色86、87)によってDNAバン ド を 観察した 。 下に示した割合でプラスミドDNAに2 を添加し 、 泳動後、
銀染色を行なった。 この実験条件を下に示す。
実験条件
レーン
DNA/μM-p* 2/μM
26,
35
。2 26,
35
0.0263
26.35
0.264 26,
35
2.6う 26,
35 5.3
6 26.
3S
267 26.
35 S3
8 À -Hind IIIマーカー
*エチジウムブロミド染色(図3・13 (a) )では25μM-p,
銀染色(図3・13 (b) )では35μM-pのDNAを用いた
ー76-
結果を図3-13(a)、
( b
)に示す。 それぞれDNA 濃度26μM-p、35μM-pで複合体を形成させ(250C、 30分間) 、 泳動させたもので あるが、 いずれも電荷が中和された時点でDNAバンドが消失してい る。 即ち、 エチジウムブロミド染色で観察できなかったバンドは、
結局銀染色でも観察することはできなかったことになる。 スペルミ ンなどのポリアミンを 、 DNA溶液にある程度以上加えると不溶の沈 澱を生ずることが知られている88)。
(a) 1 2 3 4 5 6 7 8
4EE' 、、ー,J'hu ,,ea、、
2 3 4 5 6 7 8
図3-13 DNA-2複合体のゲル電気泳動挙動. レー ン1�7はそれぞれ0, 0.026, 0.26, 2.6, 5.3, 26, 53μM の2を含む. (a)は26μM-pのDNAとの複合体でエ チジウムブロミド染色, (b)は35μM-pのDNAとの 愛合体で銀染色を行なっている. いずれも1%アガ ロースケーjレ, 10V/cm
-77 -
従って、 ここで用いたピスアクリジン2もDNAに対して、 ある程度 以上添加すると電荷を中和して複合体を不溶化してしまったという 可能性が大きい 。
ピスアタリジン2はアガロースゲル電気泳動において、
DNAとは
逆方向にヲ|かれるにもかかわ らず、 安定な複合体を形成して泳動中 にほとんど解離す ることなく (電荷の中和点以降では 複合体が観察 できな かったという事実から)複合体と して泳動する ことがわか っ た。 次の節では この性質を利用して2の結合様式の検討を行なっ て いる。
3
-5
ビスアクリジン(2 )の結合様式DNAへのインターカレーシ ョ ンは、 平板状小分子がその疎水的な 相互作用によって、 DNAの塩基対問を押し広げ、 その問に挿入する 現象である。 したがって、 DNAに対してインターカレーシ ョ ンが起 こるとDNA鎖が巻き戻しを受けると同時にかたくイ",びて剛直な状態 になり、 そのためにその溶液の粘度が上昇する。
こ こで DNAとして環状のスーパー コイ ル型DN A を用いると、 イ ンターカレータの添加に伴って、 DNAが初めから有していた負のス ーパーコイルが緩和されていく 。 こうしてDNAの高次形態が流体力
学的に抵抗の大きな開環状に近づくにつれて溶液の粘度が上昇する。
さらに イ ン ターカレータの波度を上げてその緩和点を越えると
ー7…
DNAには今度は逆に正のスーパーコイルが誘起され溶液の粘度は減 少する。
多くの種類のDNA結合性配位子の中でも、 インターカレータのみ がこのような非常に特徴的な流体力学的挙動を与え 、 例えばDNAの グルーブバインダーなどは添加によってプラスミドDNA溶液の粘度 をほとんど変化させることはない。 従って、 粘度補j定 を行なうこと によって、 そ の配位子のDNAに対する結合様式(イ ンターカレータ かグル ーブノてイン ダーか)を知ることが できる。 さらに、 インター カレーシ ョ ンの場合、 用いた DNAのスーパーコイル密度、 インター カレー タの結合定数がわかってい れば、 緩和点の波度 からインター カレーシ ョ ンによる DNAの巻き戻し角まで求めることができる。
3
-5
-7
粘度滴定予備的な実験として、 初め に超音波照射イ子牛胸腺DNA(分子量キ 30000)を用いてピス アクリジン2の消定を行なっ た。 結果を 図3- 14に示す。
2の添加に伴ってDNA
溶液の粘度が上昇し、 やがてDNA が結合飽和の状態になって粘度上昇が止まっていることがわかる。しかしなが ら、 仔牛胸j民DNAを用いた他の論文89 - 9 I )と比較すると 粘度の変化量がかなり小さかった。
そこで 、 スーパーコ イル梢迭をもっ間環状プラスミドDNAを用い
て同様にして粘度前j定を行なった。 結呆を図 3- 1 5に示す。 負のスー パーコ イルの巻き戻しと、 正のスーパーコイルの誘起に由来する 粘 度変化が はっきりと現れており、 ビスアタリジン2はインタ ーカレ
ー79-
ーン ヨ ンによ ってDNAに結合している L 竺p
こコ
,--,ー・
、、、
「ー�
1.014
1 .011・-
1.007
1.004
1.000
0.00 0.04 0.08 0.12
[2]
/ DNA‘Pとが証明できた。
0.16 0.20
図3・14 仔牛j剛山DNA-2の粘度補定. 0.2mM DNA-p, lmM Tris- HCI (pH8.0) ,1 mM NaCI, 20.0:!: 0.1 oC
Cコ r-P一
、、、
r�
図3-15 1 .10 1.08 1.06 1.04 1.02 1.00
0.98 0
フラスミ
0.02 0.04 0.06
[2]
/ DNA-p ぜD A-2の粘度消定. O.4mM0.08
DNA-p, lmM Tris-HCI (pH8.0) ,lmM NaCl, 10μM EDTA, 20.0:!:0.1 oC
-80-
3
-5
-2
ゲル電気泳動を用いた滴定スーパーコイル型プラスミドDNAを種々の濃度のインターカレー タ(ある程度以上の結合定数が必要)共存下でゲル電気泳動を行な
うと図3- 1 5と同じ現象を観察することができる92)。 ビスアタリジ ン2とキナクリンを種々の濃度で添加したプラスミドDNAのアガロ ースゲル電気泳動の結果を図3- 1 6に示す。 2の存在下、 明らかにccc
型DNAの形態変化の様子を観察することができた。
図3-16 ゲル電気泳動を月lv、たプラスミドDNA-2の滴定.
ωμM DNA-p, 3.75mM Tris-HCI (pH8.0), 0.375mM EDTA,
レーン2�14はそれぞれ0, 0.31, 0.63, 0.94, 1.25, 1.88, 2.50,
3.l3, 3.75, 4.33, 5.00, 5.63, 6.25のインターカレータ(上段 は2,下段はキナクリン)を含む. レーン1,15は).-Hind III
マーカー, 混合物の平衡到達後1%アガロースゲルで電気 泳動(10V/cm), エチジウムブロミドで染色, ・ のレーンが スーパーコイルの緩和点
-8 1 -
即ち、
2の添加に伴うインターカレーシ ョ ンに よりcc cのバンドは負
のスーパーコイルの緩和を受けて流体力学的抵抗が大きくなり移動 度が小さくなる。 やがてスーパーコイルが完全に緩和されると、 見 掛け上oc と同じ形態、になり移動度も一致する。 さらに2が添加され
ると、 逆に正のスーパーコイルにより再び抵抗が減り移動度も大き くなる。しかしながら非常に興味深いことに、 同程度の結合定数を有する キナクリン共存系(図3-16下段)ではこのような現象は観察されな かった 。 2は正電荷、 DNAは負電荷をもつため、 ゲ ル電気泳動では 両者は互いに正反対の方向に移動しよう とするはずである。 両者が 複合体として共に泳動するためには、 ある程度以上の結合力が必要 なわけで あるが、 一般にその結合定数は104-- 105M-!以上でな けれ ばならないと言われている84)o しかし図3- 1 6の結果をみるとキナ クリンは完全に解離しており、 この条件だけでは十分ではないこと がわか る。 この場合、 ゲル内を移動するわけであるか ら、 常に平衡 がずれることになるので平衡定数よりもむしろ速度定数を考慮しな ければ ならないの かもしれないO しかしながら、 これはゲル内で の 出来事であり、 均一溶液中の結合定数や速度定数で議論することは 難しい。 したがって、 この場合の2とキナクリンの差を簡単には説 明できない。
いずれにしても、 図3 - 1
6のとおり、
ピスアク リジン2添加系にお
いて粘度滴定で観察したのと全く同じ現象をみることができた。 粘 度計を用いた消定では1回の測定で数百マイクログラムのDNAが必 要であるが、 この ゲjレ電気泳動を利用した手法では数百ナノグラム で充分であるので、
この 手法を用いて2のDNA結合の際の巻き戻し角併を求めることにした。
-82-
。∞0.oho
ωω0.
。ω0.ohm0.。門的0.00ω0
.o
h寸C.O-寸寸0.0
0寸
0.00円0.0OF0.0 。-Rlp
、、E・'''LU /'z、、
(a)
oho-0 0ω0.。
ωω0.0
門的0.0
0ω00
ド寸O.C
.寸寸0.0
「寸0.0
山門0.。
∞の0.0
0の0
.。
ωF0
0 .0
f,,、、、 、、lノ,q |宍lp
ー宍!?O∞0.白oho-0 0ω0.o uω0.0 門的000ω0.o h寸0
.0
寸寸0.OF寸0.。∞門0.00の0
.。
ωF0.C O IR-P
(c)
3.75mM Tris-HCl ゲル電気泳動を月]いたプラスミドDNA-2の滴定.
図3-17
(pH8.0) , 0.375mM EDTA. (a), (b), (c), (d)はそれぞれ16,32,48,80μM DNA-p 各写真上部の数値はr=[ 2]/[DN A-p]の値を,・ は緩和点を示す マーカ
を合む
ーにはÆ -HindIII断片を,J:I1v、た.各試料平衡達成後0.7%アガロースゲルで電気 泳動(10v/cm) .泳動後エチジウムブロミドで染色
-8
幾つかのDNA濃度(NT)で、 図3 - 1 6と同様の実験を行なった。 結 果を図3-17(a)、 (b )、 (c)、 (d)に示す。
いま、 一般に配位子とDNAの平衡状態を考えると下の式が成り立 つ。
CT =Cb+Cf
〆,,‘、 噌''A ハU 、、,,,,ここでC Tは全配位子濃度、 Cbは配位子のうちDNAに結 合したもの の濃度、 Cfは非結合種の波度である。 そこでDNAの座席占有率ν は
次のように定義されるので
ン =Cb/NT 〆,,、、 1i 1i 、、,,ノ
式( 1 1 )を( 1 0)に代入すると次のようになる。
CTニν NT+Cf
( 12)
いま、 DNAのスーパ- コイルを完全に緩和する(粘度消定での極大 点、 ゲル電気泳動でのc ccバンドがoc に一致した点)ときの座席占 有率を ν?とすると
CT'=ン'NT'+Cr'
( 1 3 )
ここで
CT'、 C
f'、 NT'はそれぞれ緩和点での全配位子波度、 非結合 型配位子波度、 全DNA i度度である。図3- 1 6、 1 7の結呆を式( 1 3 )に迎用すると、 NT'- CT'プロ ットの傾
ー,、4-
きから容易に ン『を求めることができる。 このNT'- CT'プロ ットを図
3 _ 1 8に示す。
4.0
ユ
、、、
仁〉← 2.0
1 .0
0.0
ノ
。 20 40 60 80 100
N�' / uM
図3・18 2のNγ-cγプロット. 図3-16, 17の各写真 での緩和点(・)の条件をプロットした * は図3-
16のデータであり,設定条件の幅が大きいため大き な誤差を合むので線型最小二釆法の計算からは除 外した.最小二釆法より
Cr'=0.042NT'+ (7 .8x 108) -ν'=0.042
ー,、コー
図3-1 8の結果から2は、 用いたpUC9-terRプラスミドDN Aに対し、
ン'=0.042の結合でそのスーパ ー コイルを完全に緩和することがわ
かった。 しかし、 2のインターカレーシ ョ ンの際の巻き戻し角併を 求めるためには、 用いたDNAの有していた固有の スーパーコイル密 j支を矢口らねばならない。
そこでこれを求めるために、 pUC9-terRプラスミドDNAのエチジ ウムブロミドによる粘皮泊定を行なった。 結果を図3-19に示す。
1 .06
1.04
1 .02
07
、、、、
rr-
1 .00 '--
0.98
0.96
0.00 0.02 0.04 0.06 0.08 0.10
[EtBr]
/[DNA-p]
図3-19 エチジウムブロミドを用いたpUC9-tcrRプラス ミドDNAの粘反消j定. O.4mM DNA-p, 9mM TrÎs-HCI (pH8.0) ,0.9mM EDTA, 90mM NaCI, 2.8Srv{ CsCI, 20.0 :::t:O.lOC
ーハ6-
図3-1 9で得られた極大点はエチジウムブロミド2.75xlO・5Mの点で あった。 DNA 濃度は4xlO・4M_ pで行なっており、 さらに文献93)から エチジウムブロミドのDNAに対する結合パラメー タK、 nはそれぞ れ2.45xl04M.1, 0.241とわかっているのでこれらの値を次式に代入 する。
CT'=ν'NT'+Cr'
( 14) ν'=KCr'(n-ν')
代入してできた連立方程式を解くと ン'=0.045
となるo DNAのスーパーコイル密度、 σ。は次のように定義される。
σ。=
- 10併ν'/1 80 ( 1 5 )
ここで 併はインターカレータ(ここではエチジウムブロミド)が DNAに結合する際にDNAに与える巻き戻し角度である。 エチジウ ムブロミドの巻き戻し角度は従来12。 と言われてきた が94 )、 最近 になって260 という説が有力になり95 )、 最近の報文ではほとんど 260 という他を採用している 。 従って、 ここでも式(1 5 )に手=26。
と、 先に紀j J支治定から得た ン'=0.045を代入すると、 用いたプラス
、 ドDNAのスーパーコイル箔:度σ。は
σ。=-0.065
であることがわかった。 このイ直は、 下に示す他のプラスミドDNAの
-87-
σ。値92)とほぼ同程度の値であることがわかった。
S Y40 ColE
1pSC101
σ。=-0.050 σ。=-0.078 σ。=-0.085
そ こで図3- 1 8 から求めた値ν'=0.042とσ。=ー0.065を式( 1 5 )に代入 すると、 2の巻き戻し角度は
件=28
となった。 同じ複素環をもっモノインターカレータであるキナクリ ンの巻き戻し角は17。 89\ アルキル鎖をリンカー とするピスアク リジンの巻き戻し角が260 28)である。 これらのことを考えると、 2 は則待した通りDNAに対して、 2つのアクリジン環をいずれもイン ターカ レートさせたビスインターカレーシ ョ ンにより結合してい る
ことが示唆された。
3
-5
-3 考察
イ子牛j胸腺DNAを用いた粘反消定では、 インターカレーシ ョ ンに特 徴的な粘度の上昇が飢察された
。
しかしながら他の報告89 - 91) と比 べるとその変化量はあまりに小さいO こ こで用いたDNAは分子量 30000であり、 これらの報告で用いられているDNA(分子量5x105) よりも かなり短いために大きな粘度 上昇がみられなかったものと考-88-
え られる。 今後は超音波照射H寺の出力、 DNA溶液の濃度などを考慮 して分子量を調整する96・97 )必�がある。
スーパーコイル型DNAを用いた粘皮滴定で も、 この相互作用が イ ンターカレーシ ョ ンであることを示す特徴的な結果(極大点を有す る粘度変化山線)が得られた。
しかしながら、 ここには注意深く考慮しなければならない点が幾 っかある。 それ は 、 この実験で用いたDNAがスーパーコイルを有し ている閉環 状のccc型と開環状の oc型の混合物であっ たという事か
ら生じる次の2点である。
1 )共存しているoc型DNAが粘度変化に影響を与えないか。
2 )インターカレータは、 ccc型とoc型について結合定数が異な るのではないか。
1 )につ いては 、 Vinogradら93 )によってほ とんど影響されない
ことが示されている。 彼らの実験結果を図3-2 0に示す。 図をみて明 らかなように、 ccc型DNAの粘度変化量に比較してoc型DNAの粘度 変化は僅かなものであり 、 試料溶液中にoc型DNAが混合していても 粘度の極大点をシ フトさせるほどのものでは ない ということがわか る。 しかしながら、 oc 型 DNAは、 流体力学的に抵抗の大きな形態を
しているため浴液全体の粘度(はじ めか ら有している粘度)が上が り、 インターカレータを添加したとき の相対的な粘-度の変化量が小 さくなり、 測定の精度が多少下がることが予測される。
2 )の点については、
インタ ーカレ ータは碓か にccc 型 と oc型に ついて異なる結合定数を有することが知られて いる。 Davidsonは、彼の論文98 )の中でこの辺白について詳細に述べているがこれ を�約
-89-
--‘、
、、__.,ιrl IU ,.- C
。
一一一。一一一一一--0
1 1 r ,f井」
60 I∞ 14D 180 J∞
Yolume ethiùium bromiùe 3ùùeù (lll.)
図3-20 ccc型DNAとoc型DNA (PM2DNA)のエチ
ジウムブロミドによる粘度滴定. 9mM Tris-HCl,
0.9mM EDTA, 90mM NaCl, 2.85M CsCl, 200C, 0は
閉環状(ccc型) , 口は開環状(oc 型)のPM2溶液 での結果.文献93より転写.
-90-
すると以下のようになる。
負のスーパーコイルを有するプラスミドDNA (環状DNA)は、
その分子全体のdBりや、 結合のひずみのためにもと もと正の自由エ ネルギーをもつこ とを余儀なくされている。 一方、 インターカ レー ター は、 そ のDN Aへの 結合に際してDNAの2重らせんを巻き戻し、
結果 としてDNA分子全体のスーパー コイル数を変化(増加)させる ことが知られている。
このためにインターカレータがcccDNAに結合すると 、 結合の際 に負の スー パー コイルが緩和され、 ひずみが解消されるため に、
DNAは、 もっていた正の自由エネルギーを放出することができる。
したが って、 ccc 型/0 c型の混合溶液にインタ ーカレータを添加して ゆく とき、 ccc型DNA の負のスーパーコイル の緩和 が起こる問(イ ンター カレーシ ョ ンにより負のスーパーコイルが完全に緩和さ れる 前、 即ちD/P比の小さい とき)は、 インターカレータは c cc型DNA の方により強く結合す るだろう (ccc 型DNAへの結合は、 単純なイ ンターカレーシ ョ ンに伴う 自由エネルギ一変化、 6Gと、 ひずみの 解消により得られた ムG' の和で考えることができるのでoc型DNAへ
の結合より6G'の分だけ安定)
また 、 インターカレータの結合によって逆の正の スーパーコイル が誘起される過程(負のスーパーコイルが使い果たされた後、 即ち D/P比の大きい とき) では、 これ とは逆の理由でccc型DNAには結
合しにくくなる(逆にムG'の分だけoc型への結合よりも不安定)。
インターカレータのccc型DNA、 oc型DNAへの結合定数をそ れぞ れ、 K ccc、 Kocとす ると、 これらの値の問には次に示す関係がある ことを前述した迎論から導くことができる。
-91-
Kccc/Koc=exp(-g'(σ)ム τ/RT)
( 1 6)
ここでg'(σ)はDNAの1 0塩基対のもつ自由エネルギ一、 σはスーパ ー コイル密度、 ム で はインターカレータ の結合によるスーパーコイ ルの巻き数の変化、 Rは気体定数、 そしてTは絶対温度である。
式( 1 6 )からわかるように、 DNAにスーパーコイルが全くないとき
は'(σ)= 0のとき) はKccc=Kocとなる。 即ち、 粘度滴定においてそ の粘度の極大点では、 インターカレータは、 ccc型DNAとoc型DNA に対して同じ結合定数で結合するために、 oc型DNAの混入のために その極大点がどち らかにシフトすることはないと考えてもよい。 但 し、 やはり1 )の場合と同様に測定曲線の極大点のブローデイ ング を起こす原因になるかも知れない。
このようにoc型DNAの混入のために生ずる2つの疑問、 1 )、2) は粘度滴定の結果を本質的に左右しないと考えてもよいO した がっ て、 今回用いたようなかなりのoc型DNAの混ざったDNA試料を用 いてもインターカレータの巻き戻し角併を求めるの にはなんら支障
はないと考えてよいだろう。
本節では、 ゲル電気泳動を用いて巻き戻し角を求めたが、 この手 法は過去にも数例報告されている。 しかしながら、 それらはいずれ もゲル中にある波度でインターカレータを共存させて行なっている。
即ち3 - 5 -2で述べた式(1 3 )のC f'一定条件を作っているわけである。
この方法でインターカレータの境界いからーへ移動する)がDNAバ ンドと交錯する前に泳動を止めれば、 泳WJJ中のインターカレータの DNAからの解脱は考慮しなくてもよい。
これに対して本系は、 はじめからゲル中にインタ ーカレーターを れておくことはせず、
lìiに試料中に所定の濃度、 CT'でインター
-92-
カレータを添加し、 DNAとの複合体を調製しておくだけという非常 に簡単な操作である。 インターカレータは通常カチオン性、 DNAは ポリアニオンであるので、 電気泳動では両者は逆方向に泳動しよう とするは ずであるが、 ここで用いているピスアクリ ジン2は明かに DNAとの複合体としてDNAと共に泳動した。
Nielsenらも2と同様なポリアタリジン誘導体で同じような現象が 観察されたことを報告している84 )。 エチジウムブロミド92)や図3-
1 5で示したキナクリンでは、 泳動中に解離してしまう。 したがって、
DN Aと共に解離する こと なしに泳動するに は、 DNAとか なり強い 親和性をもたねばならないと考えられ る。 NielsenらはDNAと共泳 動するためには少なくとも105M.1以上の結合定数が必要であると述
べている。 さらにその解離速度も重要に なってくるが、 いずれにし ても、 この手法を適用できるインターカレータの条件として均一系 の平後!r定数や速度定数をそのまま使用することはできない。 何故な らば泳動媒体のゲ ルは不均一系であり、 しかもその 中でDN A-イン ターカレータ複合 体は非常に濃縮された状態で存在している。 した がって複合体の共泳動を説明するには何か他の要因を考慮しなけれ ばならないと考えられるが、 現在のところ詳細は不明である。
こ こで求めた巻き戻し列は、 泳WJJ中に2が解離しなかったものと 仮定して求めたものである。 しかしながら、 その証明は行なってい ない(Nielsenらは3H標識したインターカレータにより解脱してい
ないことを証明している)ために、 得られた千佑は 、 あるいは正石在 なイ直ではないかも知れない。 泳動中に、 もしインタ ーカレータ の解 剖r�が起こっていたとすると、 DNAはゲルヰlを泳到しながら再びスー パ ーコイルを巻くことになる。 したがって、 インターカレータが解
離し た分だけ見かけのスーパーコイルの緩和点は、
DjP比の大きい
-93-
方にシフトすることになるであろう。
つまり、 ここか ら求まる巻き戻し角千値は真の値 よりも小さめに 見積もることにな る。 したがって、 この系でもしイ ンターカレ ータ の解離が起こっていたとしても巻き戻し角は千詮28。 となり、
2が
ピスインターカレーシ ョ ンによりDNAに結合しているという結論は 変わらない。3
-6
ビスアクリジン(2 )の結合配列選択性3
- 5より、 ピスアタリジン2はビスインターカレータとしてDNA に結合 していることがわかった。 そこで、 2はDNA のどういう配列 に女子んでインター カレーシ ョ ンしている かを石在か めるため、 2 - 5と同ネ柔に、 DNaseIフ ットプリンティングを行なった。
3
-6
-7
結果図3-2
1に2のフ ットフリン ティングの結果を示す 。 DNA
はpUC 19 のEcoRI-PvuIIフラグメ ント(232bp)のS'末端を32Pでラベルイヒし たものを朋いた。同じDNAフラグメ ントをMaxam-Gilbert反応後、 平行して泳動 させた。 図3-2 1 では、 約140bのシークエンスを読み取ることがで
-94-
きた。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
-95-
図3・2 1 2のDNaseIフ ットプリ ンテイング 6 . 6pMDN A-p,
3mM Tris-HCl (pH7.5) , 3mM NaCl,レーン 1�8はそれぞれ,0,
0.25,0.33, 0.50, 0.66, 0.83, 1.00,0 の2を添加している.レーン9,10 はそれぞれMaxam-Gilbe口のNG,
crr反応.8%ポリアクリルアミ ドゲルで2000Vで泳動後,X線フ ィルムに感光.
このレー ンとの比較より、
2には(少なくと もここで用いたフラグ
メントのシークエンス巾では)明らかな特異的結合は観察されなか ったが、 若干ながらGCよりもAT部位に好んで結 合していることがわかった。
3
-6
-2 考察
2はAT選択性をもつことが明らかになった
。 これに対して2-5 -
lでは、 1は5'-CG-3'、 グーGG-3'、 グーGC- 3'に選択的に結合するこ とを述べた。 全く同じアクリジン環をもっこれら2つのビスアタリ ジンがそれぞれGC選択性、AT
選択性という異なる選択性をもつの はなぜ、であろう か。1と2の梢造の違いはいうまでもなくその機能性
連結鎖の分子構造である。ここで用いている6-クロロー2-メトキシー9-アミノアクリジンなど のような比較的極性の高い環構造(アタリジン環中の窒素のpKaは
約10なので中性領域ではプロトン化している)をもっインターカレ ータは 、 GCリッチな部位に、 逆に極性の低いものはATリッチな部 位に結合しやすいことがMωle r7)やWilsonら99)によって示されて いる。
1の選択性(GC選択性)に関しては、 もともとアタリジン環の有
してい た選択性が残ったか、 あるいは2つのアタリジン環を単純に 述結したこと でさ らに GC選択 性が強く なったものと考えられるo HIJち、 その述結��íであるペンタエチレングリコール鎖はその配列選 択性に関してはほとんど影響力をもたなかったと考えられる。
一方、
2の選択性(AT選択性
)に関しては、
連結鎖であるピオロ
-96-
ーゲン構造によって大きく影響を受けていることがうかがえる。 3
- 3 - 1で示したように、
2は実験条件のpHではジカチオンイ本として
存在している。その構造上 、 1とは全く異なって、 インターカレ ー
ト部位のアクリジン環上には、 もはや正電荷はなく 、 連結鎖である ピピリジニウム上に2つの正電荷が存在しているの である。 即ち、
インターカレータ部分の極性は1よりも低く(無電荷)なっており、
代わりに連結鎖部位の極性がかなり高いのでその選択性は全く変化 しても不思議なことではない。
一般に、 DNAのマイナーグルーブに結合するいわゆるグルーブパ インダーは、 静電的な相互作用や、 水素結合などで王にDNAパック ボーンのリン酸部位に結合する。 結合基間の距離の差や、 そのコン ホメーシ ョ ンの最迎化のために、 結合に際しては、 DNAパックボー ンへの歪みが余儀なくさ れる。 塩基対聞に形成される水素結合の数 の違いからくる ものと考えられるが、 ATリッチな部位はGCリッチ
な部位よりもその構造が柔らかいということが知られている。 この ためにグルーブバインダーは歪みをより受け入れ やすいAT部位に
選択性を持つことになる100) 。
ここでフ ットプリンテイ ングを行なったピスアタリジン2は、 イ ンターカレータとして相互作用していることを3 - 5で示し たが、
興味深いことにその選択性は連結鎖であるピオローゲンに支配され ている。 つまり、
2はピスインターカレータでありな がら
、 連結鎖 に強制的に正電荷を導入し たことでグルーブパインダーとしての性質を強く持-ち、 AT選択性をもつに至ったと考えるのが妥当である。
-97-
3 - 7 ONA-ビスアクリジン(2 )複合体のゲル漉過
生体 試料の分離 ・ 分析 ・ 精製において、 現在では非常に簡便な手 法としてゲルろ過を用いることが多くなってきている101、102)。
一方、 電気化学的プローブ2を用いたDNAのクロマトグラフによ
る分離 ・ 分析において、 電気化学的にDNAを検出するためには、 2 がカラム移動中にDNAから解脱せず、 DNAとの複合体として溶出 しなければならない。
本節では高速液体クロマトグラフイー(HP LC)による、 DNA-2 複合体のゲルろ過の溶出挙動を観察した。
3 - 7 - 7 結果と考察
仔牛胸腺DNA (分子量キ30000)に種々の濃度比で
2を添加し、
複合体を形成させた後に、 この試料をHPLC (TSKgel Oligo-PW
に注入した。 代表的なクロマトグラムを図3-22に示す。DNA単独の溶出時間と同じ時間にDNA-
2の複合体が溶出した。
また、 添加した2はほぼ全 て定量的にDNAとの複合体として溶出し、
カラム移動中には ほとんど解離しないことがわかっ た。 従って 、 こ のピスアクリジン2はクロマトグラフ的手法を用いた
DNAの検出に
おいて可逆的なDNAのラベル化剤として利用できる可能性があることが示された。
また
、
このとき2の濃度を、 DNAの負電荷を中和できる濃度以上 こ上げると複合体が全く溶出しなくなることがわか った。 このこと-9 8-
は3・4 - 1のゲル電気泳動において観察された現象と一致する。 従 って、 既に述べた通り、 D
NA-2複合体は電荷が中和すると水に不溶
になると考えられる。0.12
A260(DNA-2)
0.04
A430(DNA -2) 0.08
Mm叫}mg
。 1 2
保持時間/分
3
吋13・22 DNA, DNA-2複合体のゲルろ過のクロマトグラム
1.15xl0AM DNA-p (仔牛胸Jlf�DNA ) , 10μM 2, カラ ム:TSKgcl Oligo-P\V, 流速:1.Oml/min, 溶的支:1 mM Tris-HCl
(pH8.0) ,0.1 M NaCI
-99-
3
-8
ONA-ビスアクリジン(2)複合体の電気化学的挙動3 - 3 -- 3
- 7 �íJの紡糸から2のDNAとの相互作用に関す る程々の'li'Í紘一結合定数、 結合4111J14性、 結合様式ーを得るこ とができた 。 し かし、 本信で目的とするDNAのむ気化学的検出の可能性を検討する ためには、 o NA-
2複合体の氾気化学的性質を女nらねばならない。
さ らにそのむ気化学的挙動から、 DNA-2の相互作用についてより多く の情報も得ることができるはずである。 本節では、 この具体的方法としてサイクリッ クボルタン メトリーを用いて複合体の電気化学的 性質を観察した。
3
-8
-7
結果2単独、 DNA-
2複合体のボルタモグラムを図3- 23に示す。
ピオローゲンの酸化還元に基づく2つのピークが観られた。 ピスアクリジ ン2はDNA結合状態でも同様に酸化還元活性であり、 電気化学的プ ローブとしての可能性を示している。
3
-8
-2
考察D
NAの
添 加 に 伴 っ てピ ーク電流 他の減少と ピーク電 位の シ フ ト が観 察 さ れ た。 ピー ク 電流値の減少は、 電気化学活性な ピスアタ リ-100-
2 2-DNA
E I V
vs.Ag/AgCI
図3-23 2, DNA-2複合体のサイクリックルタモグラム. O.lmM 2, lmM DNA-p, O.OSM KCI, 10mM C田S (pH9.0) , 10%DMSO,
作用極:グラッシーカーボン,対極:白金板,掃引速度:120mY九cc
句EBムハU噌EEA
ジン2がポ1)マーであるDNAに結合したためにその活量が減少した ためであると考えられる。 ピークitt1立は、 DN A非共存下、 E pc=ー 4 35m V、 Epa=-340mVで El/2=-388mV(V2+jV+・ 系)であった。 ま
た、 ピークセバレーシ ョ ンも95mVと、 比較的良好な可逆的酸化還 元を行なっていることがわかった。 これに1mMのDNAを添加する と7正イ立はJ:�の方向にシフトし、 Epc=- 600m V、 E pa=-395m V、
E 1 /2 = -4 9 8 m Vであった(6 Ep=205mV)。 即ち、 DNAの添加に伴い む{立は-1 10mVシフトしたことになる。
図3-2 3の条件(lmM-p DNA、 O.lmM 2)では、 ピスアクリジン 2はその結合定数から、 全てDNA結合型として存在していると考え ることができ る。 このo NA-2の結合平衡を考えるとき、 いま式(1 7 )
示すミIZ �J式が成立していると仮定する。
Lox + DNA + e
Eくf Lred + DNA
EOf,
H
Krcd (17)Kb
Lox-DNA + e Lred-DNA
EO b
ここでLは酸化還元活性なDNA結合性配位子(ここではビスアクリ ジン2)、 OX'\ redの添え字はそれぞれ 酸化型、 還元型を意味する。
即ち、 Kr、 Kbはそれぞれ解離型、 結合型の2の酸化還元平叙ir定数、
Ko.-.:、 K
rcdはそれぞれ酸化型、 j芝元型の2のDNA
との結合定数を示す。この熱力学的サイクルからネルンストの式より
EOj-EOft=0.0591
og(K
r c d/K o x)( 1 8 )
ー102-
が成り立つ。 この式( 1 8 )に図3- 23で得た酸化 還元電位のシフト値、
-110mVを代入すると
Krcd/Kox=Kb/Kf=0.014 ( 19)
と計算できる。 この式から2のDNAに対する結合定数は酸化 程の方 が還元程の約70倍(1/0.014)の大きさをもつことがわかる。 言い 替える と、 2は還元されてその正電荷がlつ減るとDNAとの結合定 数が70分のlになることを示している。 また、 式(1 9 )の後半からは 別の言い方もできる。 Ø[Jち、 2はDNAに結合して静電的に安定化す ると還元され難くなるのである。 いずれにしても、 この2のDNAと
の相互作用には、 静電的な寄:与が非常に大きいことがわかる。
金属錯イ本のDNAとの結合に関して同様の考察をBar dらが行なっ ている69、70)。 彼らの結果では、 Co(phen)33+/2+は疎水的因子(イン ター カ レ ー シ ョ ン)が ( E Ob'_ EOf '>O ) 、 Co ( bpy) 33+ /2 +や
Fe(bpy)33+1れでは静電的因子が(EOb'-EOf'<O)結合を支配している というものである。 この結合 の性質に関する差異は 、 配位子である フェナンスロリンとピビリジンの速いによるものである。
即ち、 フェナンスロリンは平面性の複素環であり、 DNAにインタ ーカレーシ ョ ンすることが可能である ので、 C0 ( P h e n ) 33+ 12 +はDNA のグルーブに涼く入り込んで結合しているため比較的疎水性の高い 環境中に存在することになる。 それに対 して、 ピピリジンは非平面 性であるためDNAにインターカレーシ ョ ンはできず、 CO(bpy)33+/2+
はDNAの外部の親水的な環坑中に存在するわけである。
本章で取り扱っているピスアクリジン2は、 3 - 5においてインタ ーカ レー シ ョ ンし ている こ と を示し た が 、 こ の場合 、 先の
-103-
Co(phen)3)・/2・とはJ込なってインターカレート部位と酸化還元活性 行1) 1si:はUI� l1,ir. 的にかなり間r:れているo [111ち、 アクリジン音日イ立はDNA内 部の自るた対!日jの政水的な託1)位に抑入して安定化した状態、でも、 正電 不可をもっピオローゲン百1)位は極性の高いDNA外部に安定して存在で きると考えられる。 し たがって、
2はピオローゲン部位で静電的結
合をし 、 さらにアクリジン部で疎水結合(インター カレーシ ョ ン) をして いると考えられるが、 それらの相互作用が別々の場所で比較
的独立してはたらき得るために、 その結合定数は強い相互作用一静 定的相互作用ーに支配されていると考えられる。
また、 この結果は3 - 7で述べた2のAT選択性と一致する。 即ち、
この節で述べているように、 2の結合は静電的相互作用に支配され ているためにグルーブパインダーとしての性格を強く持ち、 結果的 にAT 選択的結合となっているわけである。
このように、 DNA結合性配位子に電気化学活性基を導入すること によって、 DNAの高感度検出のための可逆的ラベル化斉Ijを実現でき るだけでなく、 そ の複合体の酸化還元反応、からDNA-配位子相互作 用の新 たな↑育報を得るための新しい方法論としての 可能性を示すこ とができた。
ー104-
3- 9
ビスアクリジン(2)を用いたONAの光化学的切断本章の初めで述べた ように、 ピスアクリジン2の連結鎖であるピ オローゲンは強力な電子受容体としては代表的な分子であ り、 しか もそのl電子還元休はDNA を切断し得る活性酸素程を発生させるこ とが知られている。 さらに2はインターカレータとしてだけでなく、
増感剤としてもはたらき得るアクリジン環を も分子内に有している。
従って、 可視光照射に続く分子内の光誘起電子移動反応、により効率 的にビオローゲンのl電子送元体 を生成させることができれば、
2
はDNAの光化学的 切断試薬としての可能性をもっと考えられる。この節で は、 ピスアクリジン2 の光切断試薬としての活性を種々 の手法を用いて検討した。
3
-9 - 7
プラスミドONAの光切断初めに、 切断活性に及ぼすピスアタリジン2の濃度依存性の検討 を行なった。
pBR322プラスミドDNA (cc c型)に程々の濃度で2を共存させ 、 超高圧水銀灯を用いてこれに可祝光( À詮390nm)を照射して切断 の様子 を飢察した。 ゲルむ気泳動後のゲルの写真を図3 - 24に、 さら
にこの結以:をデン シトメータで定量化し、 その切断数を、 ポアソン 分布に従ってプラスミドDNAl分子あたりの数に換算した結果103 ) を図3-25に示す。
2の濃度の増加に伴って明かにDNAの切断が進行
しており、
2がDNA切断活性を
有していることを示している。-105-
2 3 4 5 6 7 8 9 10 11
図3・24 プラスミドDNA切断における2の濃度依存性.
46μM DNA-phosphate,リン酸緩衝液 (pH6.9) ,レーン lはコントロール,レーン2から11はそれぞれ0,1,5, 10,
20,30,40,50,60,0μMの2を含む.レーン1を除いて全て 可視光照身す20分.
1.5 1.3
1.0
道ま者 0.8
B
0.5 0.3
0.0
。 4 8 12 16 20
[2 ] /μM
図3-25 プラスミドD NA切断における2の濃度依存 性.図3-24の結果をデンシトメータで定量化し,プラス ミドDNA 1分子あたりの切断数に換算したもの.
-106-
次に 、 切断活性の光照射時間依存性を観るために、 図3-24のレー ン5の条件で反応溶液を調製し、 これに0-..60分間光を照射した。 ま た対照化合物として下に示した化合物(ピスアクリジン2の構成成 分)についても同様の検討を行なった。 結果を図3-26に示す。
D
HN./'""、、/へBr
CHっ0_ --.. よ A
M 、イF 、もザ' 叫ト〆、、
\ ノクム、.,づ人、 JタJ...
、." N守 � 、 C I
3
山。ぺ3NL
cH3(a) 1 2 3 4 5 6 7
2 3
4
5 6 7」通E宮古一
匝孟::::ãï:I 五面白圃圃圃圃圃 ・ー�ー『 圃園田ーーー一 一一一.
ー も‘
孟二 二一 一 iI 当
I ヨ
2 3 4 5 6 7
図3-26 DNA切断の光照射時間依存性. 62μM DNA-phosphate,リン酸緩衝 液(pH6.9) . (a)の上段,及び(b), (c)はそれぞれl∞μMの2,3,4を含む. (a)の 下段はコントロール(光照射は他と同様に行なっている) .レーンlから6は それぞれ0,5,10,20,40,60分の照射を行なったもの.レーン7はÀ -HindIIIマ ーカー.
ー107-
2が共存するときのみ、 わずか5分間の照射でDNAの切断反応、が 効率良く進行していることがわ かる。 この反応、は興味深いこと にト リス緩衝液(lOmM Tris-HCl、 lmM EDTA)を用いた際には全く 進行しなかった。 さ ら に、 3も非常に効率は悪い が、 わずか にDNA を切断することは できた。 しか し 4には全くその能力はなかった。
これ ら の実験結果から大きく 分けて次の3つ の反応機構の可能性を 考えることができる。
1 )光励起されたアクリジン部位からの分子内電子移動によりピ オローゲン部位がl電子還元体となる。 これが溶液中に溶存
する酸素を還元してDNA に損傷を与えることが知られている スーパ-オキシドイオン、 02ー などの活性酸素粒を生成する 。
2 )アクリジンはメチレンブルーやローズベンガルと同様にl重 項酸素、 102 Cムg)を発生させるのに よく使われる増感剤で ある104)O 1 02は、 通常の基底状態の302よりも酸化力が強く、
例えばリボース環やグアニン塩基 などを酸化することができ ると考えられる。
3) 4つの塩基のうちで最も酸化電位の低いグアニン(G)など が励起されたアクリジン部位、 あるいは電子移動後のアクリ ジンカチオンラジカル にな子を奪われる105、106)。 この反応に よりDNAは非'ぷ'に切断されやすい脱プリン部位を生じる。
この 反応を行なう際に期待していたのはもちろん1 )の機椛であ る。 し かし、 1 ) の反応、を促進する(犠牲試薬としてはたら い てピ
ー108-
オローゲンからアクリジンへの逆氾子移動を抑える)はずのTri s、
EDTA共存系では逆に反j必が抑制され る結果と なった ために2 )や 3 )の機仰の可能性を考えたわけ である。 しかしながら、 1)の機 イほから生成す ると考えられる最も反応、性の高い活性酸素種、 OH.な どは、 あらゆる有機化合物と拡散律速で反応、するこ とが知られ てい る107)。 Tr i sやEDTA は、 DNAに比べて反応溶液中に大過剰に存在 するためにOH.のクエンチャーとしてはたらい た と考えればここで
1 )の機桃を否定することはできないO
3-9-2
反応機構の検討1 ) の機構でDNAの切断反応、が進行するため には、 可視光照射 により2の分子内で電子移動(励起アタリジン→ピオ ローゲン) が 起こるこ とが必要条件である。 そ こで2への定常光励起によりその 可能性の検討を行なった。
2に対-して大過剰のEDT
A (犠牲試薬) を含む溶液を調裂し 、 これをアルゴン置換により脱酸素した後密封して可視光(え孟390n m )を照射した。 得られ た吸収スペクトル変 化を図3-27に示す。
照射に伴って、 数分で溶液の色が青色に変化する様子が観察され た。 吸収スペクトル上では光照射に伴って600nm と400nmの吸収の 増大が観測された。 このl反収はピオローゲンのl 電子還元休に特徴 的なものであり、 これによりアタリジン部位からピオローゲン部位 への光誘起1電子移動が実際に起 こっていることがわか った。 しか し、 さらに照射を続けると今度は420nm付近のアクリジン環に由来
ー109-
0.06
8
0.02 0.04 並区 米
�
。 400 500 600 700 800
波長/nm
図3・27 可視光照射に伴う2の吸収スペクトル変化. 4μM 2, 40mM
EDTA (pH8.3) , アルゴンガス バプ リ ング後密封し,超高圧水銀灯を用 いて可視光( À孟390nl11
)を!照射.
ハU司BEE--喝aEEE-
するピークが消失した(データは示していない)。 このことからア クリジ ンの酸化還元は不可逆的で、 光照射により一度酸化されると その環構造が崩れると考えられるので、 1)の機構において2は触 媒的にターンオーバーを繰り返して効率的に02 -.を何度も発生させ ることは難しいと考えられる。
同様の実験を仔牛j拘!保DNA (超音波照射後、 フ ェノール抽出によ
り精製したもの)共存下でも行なったが、 ピオローゲンの1電子還 元体の蓄積は認められなかった。 犠牲試薬であるEDTAは負の電荷 を有しているためにアニオンポリマーであるDNAに結合している2 に近づくことができず、 分子内の逆電子移動の速度が勝ったものと
考えられる。
次にpoly(dA-dT) 、 poly(dG-dC)の添加に伴う3及び2の蛍光強度 変化をそれぞれ図3-28(a)、(b ) に示す。 3の場合、 poly(dA-dT)の 添加により蛍光強度は単純に増加し、 逆にpoly(dG-d C)を添加する と減少した。
これまでにもpolyd Gやpoly(dG-dC)などがDNA結合性の色素の 蛍光を消光することは広く知られているが1 0 g、1 09)、 これはGのドナ ー性が4つの塩基のうちで最も5jiい1 05 ) (最も酸化電位が低い)た めであり、 先に述べた3 )の機構でもっぱらGが切断され るのもこ のためである。
従っ て、 ここでも poly(dG-dC)添加系のみで蛍光の消光が観察さ れたのは、 光似)ßされたプロビルアミノアタリジン3がGによる還元 的電子移動消光を受けたものと考えられる。 一方、 po1 y(dA-d T)添 加!で蛍光が増大したのは、 結合によりアクリジンの無報射的な熱失 活のパスが抑制されたためであろう。
句EE'At,BA 'EEEA
•
poly(dA-dT)
•
J .
poly(dG-dC)
コ
。 。
門℃F ロ ロ L 〕50.0 (a)
40.0
30.0
wm出畑中米相
20.0
10.0
臼 ロ ロ 口
80 100 60
[DNA-p]
/[2]
20 40 0.0
0
〆'SE\ 'hu 、、i,r
8.0•
poly(dA-dT)
• •
・ … .
• •-• •
・ :: : ・
• • • •
ロ ロ
伊コ
世相小米朝 7.0
コ口
6.0
poly(dG-dC)
ロ 口
、ιニァ{
。
口 コ 口
100 150 50
5.0 0
[DNA-p]
/[2]
吋13-28 poly(dG-dC)及び, poly(dA-dT)添加に伴う3 (a) , 2 (b)の蛍光強度変化 1 00mMNaCI, 10mMリン酸緩衝液.
À cx=420nm, ). cm=485nm. 1μM 2.3
-112-