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アイソトープ P32 によるデソキシペントーズ核酸と無機燐の結合について

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Academic year: 2021

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65

ア/ソb一プP32によるデソキシベントーズ核酸と

無機燐の結合について

On the Binding of DNA and i.norganic P32 studied with

the Aid of Radioactive Phesphorus.

Sator腿H量gashi   Radioe.ctive phosphorus has been used in the studies on the meta− bolism of the DNA frorn different tissues. But we have two factors which make complicate to study the metabolism of nuc工eic acid byエnean of isotopic phosphorus. The first is that the PNTA within the cell eannot be regarded as homogeneous in erigin since it is found in the various morphological components of the cell. The second is the danger of co− ntamination of the PNA&DNA with other substances which are皿ore highly radioactive than the nucleic acid itself. The author attempted to demonstrate this conta皿ination, the secondary binding of nucleic acid and inorganic−P32, by the method of flowing丘lter paper chroエnatography.  動物編胞を構成するものは種々あるがその中,核酸 が生物の発生,増殖,遺伝等に密接に関係を有するこ とが次第に明にされて来た①。核酸にはデソキシペソ トーズ核酸(以下DNAと略す)とべソトーズ核酸

(PNA)の2種類があり,細胞核は主としてDNAを

含んでいるが細胞質はPNAを含んでいる。核酸の細 胞内分布はもとより,その物理化学も相当研究されて いるが②,猶幾多の疑点を有している。放射性同位元 素が生体内に於ける動的な様相を知る方法の一つとし て取り上げられて以来,核酸燐のTurnoverについ ても幾多の報告がある③④⑤⑥。しかし,従来行われ て来た研究はHammarsten法⑦, Schneider法⑧,

Schmidt&Thannhauser法⑨によって核酸を分離

抽出されたものである。 しかるにDa▽idson⑩は 核酸分離法と従来の法とを比較するとDNA−P或は PNA−PのSpecific activityが甚だ大きFい事を指摘 し,コンタミネイションに依る誤差の少なくない事を 報告した。しかしそれらの原因については考慮してい ない。筆者は主として動物細胞の核をとりあげその分 離及び分析を行って来たが,アイソトープpa2を用い て核酸の研究中,二三の知見を得た⑪。  この実験は筆者が京都大学理学部在学中に行ったも ので,御指導を賜った京大教授中村健児博士,種々有 益な御助言及び御協力を頂いた農林省家畜衛生試験場 高浪満洲,京大医学部生理学教室広田猛夫氏及び実験 上の便宜を与えられた京大医学部笹川久吾博士,田代 裕氏に深く感謝する。この実験の一部は交都省科学研 究費によって行った。 実 験 方 法  A)放射能測定②⑫⑱  用いたP32は0.1N Acid(PO4 in weak HCI),放 射能濃度0.5皿c/ml, Specific activity O.025 mgP/mc

のものである。これにBTBを指示薬として1滴加

え,稀NaOHで中和, pH 7.2前後の等調リンゲル注

射液をつくり,体重1kgあたり2mlの割合で小兎

の耳静脈に注射する。従って注射液中の燐は燐酸ソー ダの形である。投与した放射能強度は200 yC/kgであ る。P32注射後6時間で兎をエーテル麻酔し手術して 胸腺及び肝を取り出し,すばやく秤量し,後述の方法 によって核酸を分離抽出し,得られたDNA, PNA を硫酸を用いて湿式灰化し⑭,灰化後一部はピロ燐酸 に変化しているから少量の蒸溜水を加えて,酸化管を 沸騰水中に10分∼20分放置し,オルト燐にもどし,半

(2)

66 滋 大 紀 要 第  5  号 1 9 5 6 量を燐酸定量,半月を放射能測定に匿う。  放射能測定には試料を100mlのビーカにとり,0.1 mgキャリヤー燐iを加え,0.5 NNH,OHにて中和, マグネシア混液1.Oml,濃アンモニア0.6m1を加え 沈澱を4時間氷室に放置し,多数のノJN孔を穿つたPe− nicillin capに恰度適合する円形に作った濾紙(東洋 濾紙No.6)をしぎ,吸引濾過を行い乾燥せしめた 後濾紙をとりはずしてこれをObject glassの中央 一定位置に貼りCountした。計数にはTracerlab製 64進計数装置及び田代氏製作のEndwindow typeの Geiger MUller counterを用いた。 Pa2はその放射す るエネルギーが高いので(Emax 1.71 Me▽)放射能自 己吸収の問題は心配しなくてよい。計数上の標準誤差 は1%以内に止めてあるから特に実験結果には附記し ていない。実験室の温度は25。∼27GCの室温で行っ た。

 B)核酸の分離

 a)Levene法⑮;核酸の抽出条件を早手するため  に行った。即ち6時間前にPB2を注射した兎の胸腺 をすばやく取り出し,秤量(2匹含計4.2g)し氷で 冷やす。4倍量の冷却蒸溜水中に入れWaring ble− ndor 20,000 rpmで5分聞hornogenizeする。次に 0.2 g NaOHを入れて30分加熱する。これを酷酸で中 和し0.05gのコロイド状Fe(OH)3を加え蛋白質を

沈澱させる。この濾液に2%HCIを含む2倍量のメ

タノールを加えると核酸は沈澱する。

 b)Davidson法⑩:PNAは主として細胞質起原

のものであり,DNAは核質のものであるからお互の コンタミネイショソをさけて核酸を分離するために は,最初核質から細胞質を分離しておくことが必要で

ある。4倍量の0,9%NaCl中で肝臓をhomogenize

しその一定量を5分間低速で遠心分離する。濁った上 澄液を2倍量のアセトンで処理し,沈澱は遠沈で落し エタノールと」一テルで洗い乾燥する。これをPNA の分離材料とする。核及び細胞の沈澱は冷却0.9% NaC1で2回洗いアセ1・ソ,エタノール,エーテルで 処理し乾燥する。これをDNAの分離に用う。

 PNAの分離;乾燥した細胞質は3度1時聞ずつ

100℃の10%NaC140皿1で抽出する。混合した抽出 物を2倍量のエタノールで処理し,sodiu皿nucleate の沈澱は遠沈で落しエタノー・ルとエ・一一テルで洗う。次 に10m1の水に溶かし不溶性の残渣はすてる。上澄液 は2倍量の氷酷酸で処理し,得られた沈澱を集めエタ ノールとエーテルで洗い乾燥させる。乾燥した粉末は 少量の冷却水に溶かし注意しながら冷却0.1NNaOH を加え,微アルカリ性にする。少量の不溶性残溢は遠 沈でおとしすてる。蛋白の退跡はク口吟ホルムーオク タノール混液で振引して上澄液から取り去り,水溶性 の上澄は10倍量の氷酪酸中に流し込み,沈澱した核酸 を遠沈でおとしエタノールとエーテルで洗い乾燥させ  る。

 DNAの分離;乾燥した核物質を3度1時聞ずつ

10m110%NaC1で以て沸騰水浴中で抽出する。抽

出液を混合し2倍量のエタノールで処理し,沈澱は遠沈 でおとしエタノールとエーテルで洗い10mlの水に溶 かす。少量:の不溶性残渣は遠沈で落しすてる。上澄液 は次に2倍量のエタノールで処理し沈澱をあつめ2皿1 のN−NaOHに溶かす。 PNAを除くために踏臼:を一 昼夜379Cに保温する。2NHCi 2 mlと2倍量のエタ ノールで処理し,沈澱をエタノールとエーテルで洗い 乾燥させる。5mlの水にとかし注意して0.1 NNaOH を加え微アルカリ性にする。クロロホルム一封クタノ ールで除蛋白し,水溶性の上澄液を5倍量の塩酸アル コール(2:10)の中にそそぎ入れる。沈澱をエタノー ルとエーテルで洗い乾燥させる。  以上何れも氷辛酸及び塩酸エタハ・ルによる核酸の 再沈澱をくり返しておく。

 C)燐酸定量⑯

 a)無機燐の定量

 試料の一定量を25mlメスフラスコ中にとり,2ml の過塩素酸,2ml A皿idol試薬及び1mlモリブデン

酸アソモソの順に加えるQ蒸溜水を加えて25mlと

し,混合物をよく混ぜてから呈色の強さを5∼30分の 間に光電比色計で定量した。

 b)全燐の定量

 試料の一定量をミクロkjeldahlフラスコ中にとり, 2.2・mlの過塩素酸を加えて湿式灰化した。  D)流通クロマトグラフィー⑰

 2%DNA溶液にin vitroに等量の放射性燐酸ソ

ーダを添加しよく混合して1日放置する。これを毛細 管を用いて,横2Cm長さ15 Cmの東洋濾紙No.2に 1strip当り70正nlを添加し乾燥させる。放射能強度 は2,000cts/minになるようにした。コン1・P一ルと して,核酸を混合せずP32丈けをつけたものを用う。 これを極性溶媒を用いて流通クロマトグラフィーを行 った。流量は常に一定量になるように注意し,核酸の 確認にはヂフエ=一ルアミン反応⑲,及びフェノール 石炭酸フクシンを用いた。

結果及び考察

 1)核酸の抽出条件の検討

 Levene法によって胸腺から拙出した核酸(DNA

及び少量のPNAの漉合物)をメタノールによる再沈 澱を数回くり返すと,放射能は段々減少して行った。

(3)

アイソトープpz2によるデソキシペントーズ核酸と無機燐の結合について (東) 67 4回目以後は等量の燐酸緩衝液を加えてメタノール沈 澱を行ったが以下少しずつ放射能が減少する。結果は Table 1の如くである。放射能強度はcts/minで示 したQ       Table 1 X..! Reppt. no

   ×

Radioactiviigy)H’x一..ss

DNA

HCI−metano1 1 28,812 2 17,724 i 9,620 3 14,710 2,417 4 3,603 740  即ち核酸をメタノールを以て沈澱させる場合には, 多量の放射性の強い低分子燐酸が核酸にcontaminate して来ている。一般に沈澱法による分離では微量の物 質は沈澱となった固相と溶媒の液相との間に一定の分 配係数をもつて分配されるので,微量の放射性不純物 を除くことは困難である。  2)以上の予備実験によって,核酸の分離時にアル コールを用いる事がcontaminationの原因と考えら れるので,極性溶媒による流通クロマトグラフィーを 行い,燐酸を高分子の核酸から除く実験を行った。溶 媒に用いるアルコールの濃度を高めてゆく(従って透 電恒数を下げる)と,核酸部に於けるP23のcount

数が増加することが分つた。即ちDNAにP32をin

vitroに混合したもの及びP32丈のもの(コントロー ル)をエタノールを用いて流した結果をTable 2に 示した。放射能強度はcts/minで示し,各々20例の 平均値である。       Table 2 つような条件で行った事及びDonnan effectのため と思われる。

 3)核酸燐のTurnover

 アルコーールによる核酸分離時に,放射性の強い無機 P32がcontaminateするのであるから,それによっ て得られた核酸でspecific activityを求めても真の値 は得られないが従来のものと比較するため出来る丈け 核酸をcarrier Pを以て精製しそのspecific activity を求めた。即ち6時聞前200yg/kgの放射性燐酸ソー ダを耳静脈に注射した兎の肝から分離,抽出した核酸 (DNA, PNA)はcarrier燐iを加えアルコールと三三 酸による再沈澱をくり返して,比放射能を測定した。 specific activityはcts/皿in/100e・g Pで示す。       Table 3

賑孟\

29U

PNA−P

﹁01 7﹁G︶

DNA−P

  8

1 io

PNA−P

DNA−P

4

99

 その結果,PNA−PとDNA−PのTurnover Ratio

は6時聞値で9.2となった,Davidson⑩の報告では 8.5となっているが,これはDNAの部分に無機P:2 が麗入しているためであろう。DNAを精製すればす る程,Ratioは高くなる傾向がある。 25% C,H,OH 40% /i 60% fi 80% li 99% 1/ Radioactivity

 on DNA

560 832 849 875 914 contro1 301 334 340 400 447  P32丈のものもアルコール濃度が40%以上の時はそ の放射能は多いが,DNAとP32を混合したものは常 にそれより多い。これは高分子の核酸燐酸基とP32と の聞に二次的結合を生じたためであろう⑲。Sidney⑳ は蛋白とP32を用いて,透折平衡法による研究で蛋白 とP32との詰合を明にしている。:叉Davidson⑩も核 酸及び蛋白部に特にcontaminationが著しく, X7一一 旦{亥酸とcontaminateしたP32はそれを除くことは 困難なことをみとめている。所が山根彦二氏は曲折平 衡法で行った所,P32と核酸の結合がみとめられなか ったと云う⑳。これは彼の実験が核酸が負の荷電を持 摘 要  1)一般の核酸の分離法では,雛僧はアルコールを 用いるため放射性の強い無機P32の混入はさけること は不可能である。これは核酸の沈澱と共に低分子の無 機燐が一緒に沈澱してくるためである。

 2)P32のDNAに対するcontaminationはアル

コール濃度が40%以上の時に特に多くなる。

 3)DNAと無機燐との結合の可能1生をP32及び

flowing filter paper chromatographyによってしら べた。  4)核酸の分離法に問題があるので,P32のconta一 エninationをさけることは困難である。従ってそれに 依って得られた核酸燐のspecific activityは真の値を 示:していない。 献 (1) Chargaff & Davidson: The Nueleic Acids  (Chemistry and Biolegv. ), Academic Press, New  York (1955)   江上不二夫編:核酸及び核蛋白質,東京(1951) @ Haurowitz:Progress in Biochemistry, lnte−   rscience Publishers. New York. (1950)

(4)

68 滋 夫 紀 要 鎗 ・﹁0 号 t 9 5 6 (ED Hevesy. G.: Radioactive indicator, lnterscie−  nce Publishers. lnc, New York, (1948) @ Jeener R. et. al ’ Arch. Biochem 26 54 (1950) @ McCater J. A. et al: Cand J. Med. Sci. 26  333 (1948) ⑥ Friedkin M.:工Biol. Chem.177775(1949) @ Hammarsten:Biochem. Z. 144 383 (1924) @ Schneider. W. C.:J. Biol. Chem. 161 293 (1948) (ID Schmidt & Jahannhauser: J. Biol. Chem 161  83 (1945) @ Davidson. J. N. et. al: Biochem. J. 49 311  (1951) ⑪広田,高浪,東:遣伝学雑誌,26No.5(1951)    東,高浪:日動近畿支部会講演(1951) @ Kamen. M. D. : Radioactive Tracers in Biology  Academic Press, New York (1947) @ Umbreit. W. W. : Manometric Technique and  Tissue metabolism 208 (1951) @ Fiskec. H. &Subbarrow Y. J.:J. Biol. Chem  66 375 (1925)

⑮⑯⑰⑱⑲

Levene P. A.: 」. BioL Chem. 53 441 (1922) 八木:核酸及び核蛋白質,上巻161(1951) Partridge S. M.:Biochem. J. 44 521 (1949) 八木:核酸及び核蛋白質上巻,140(1951) Haurowitz : Chemistry and Biology of Protein.  187 Academic Press, New York. (1950) ⑳Sidney T. V.:工Phys.&Colloid Chem.51  135 (1949)

⑳山根彦二:日本生理誌17544(1955)

参照

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