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パーソナルスペースを用いた避難行動に関する研究

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Academic year: 2022

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(1)IV‑003. 土木学会西部支部研究発表会 (2013.3). パーソナルスペースを用いた避難行動に関する研究 九州大学工学部 地球環境工学科. 学生会員. 九州大学大学院 工学研究院. 正会員. 九州大学大学院 工学研究院 1. 研究の背景と目的. 川原 悠 大枝 良直. 正会員. 角 知憲. を避けるため,走らないように注意するという前提から,人. 平成 12 年の建築基準法改正によって,全館避難安. の避難速度は歩行,早歩き,小走りの3パターンに分かれる. 全検証法(建築基準法第 129 条の 2 の 2)が設けられ. と仮定した.本研究の人のPSは,劉(2007)1)の研究に. た.全館避難安全検証法とは,火災時において建築物. おける歩行者と同様の行動モデルである.. からの避難が安全に行われることを検証する方法であ. 2.2 PS測定実験. る.全館避難安全検証法では対象となる建築物の用途. 今回行った実験では 22~24歳の大学生の男女5人. や床面積などから,在館者のすべてが避難を終了する. に,下に記す条件下でビデオカメラを用い,実験場横. 時間(t1) ,煙・ガス等により火災室からの避難が危険. の建物の4階の高さから撮影し, それぞれの場合におけ. となる時間(t2)を求める.そして,t1≤t2 が満たされる. る前方距離,側方距離(図-2参照)を測定した.歩行,. ことを確認することで建築基準法の不適格部分の改修. 早歩き,小走りの各速度は,各被験者の意思によるものであ. を免れる.しかし,全館避難安全検証法では,在館者. る.測定実験は平成24年12月4日,14日,17日に行った.. の密度や避難速度のばらつき,在館者の避難時の各々. 1)人-人(3パターン). の動きが考慮されていない.また,実際に不特定多数. 速度を変えながら人どうしの(1)すれ違い,(2)追. の人が現地で火災などを想定した避難行動を再現する. い越し時の前方距離および側方距離を測定した. また,. 実験を行うことは現実的に難しい.そこで本研究は,. (3) 速度を変えながら人どうしを正面から接近させて. 不特定多数の人が利用する場での避難行動を評価する. 停止させ,前方距離と速度低下の関係を調べた.. ために,パーソナルスペース(以下 PS)の概念を用い. 2)人-障害物(2パターン). てモデル化し,考察することを目的とする.. (1)速度を変えながら人が障害物を回避する場合 の前方距離および側方距離を測定した.また,(2)速. 2. 避難行動の基本構成. 度を変えながら人を障害物の前で停止させ,前方距離. 2.1 PSの構成と避難行動の記述. と速度低下の関係を調べた.. 避難行動モデルは.人のまわりにPSと呼ばれる目に. 対向者の接近による 速度低下. すれ違い行動. 追い越し行動. 前方距離. 前方距離. 見えない空間を想定する.本研究でのPSは,前方が長 く,横,背後が短いという 側方距離. 卵形で, すべての人の周り に図-1のような長軸長a,. 図-2 実験(速度低下,すれ違い,追い越し). 短軸長bの卵型の空間(PS). 2.3 測定結果. が存在すると仮定し, 次の ように避難行動を記述する.. 側方距離. 前方距離. 表-1 歩行,早歩き,小走りの速度測定結果 対象. 図-1 PSの概略図. 避ける方法. 避難時,人が他者や障害物などを回避したり接近し 対障害物. たりする際にPSが接触しようとすれば,人は経路を変 えてPSを維持する.視野内でどの経路を選択しても最 初のPSを維持できなくなる場合,人はPSを短縮して, 同時に速度を減少させる.PSが人体の寸法ぎりぎりま. 平均値(m/s) 標準偏差. 歩行. 1.42. 0.10. 早歩き. 1.87. 0.09. 小走り. 2.49. 0.31. 表-1 より,各速度は上記のような結果となり,小 走りはばらつきがより大きいことがわかった.. で短縮した場合には,避難速度はゼロとなって停止す るとしたものである.公共施設における避難ではパニック. 速度低下. 速度. 図-3~図-5 は速度を変化させ障害物への接近時 の前方距離と速度の関係を表したグラフである.. ‑555‑.

(2) IV‑003. 土木学会西部支部研究発表会 (2013.3). 測定実験の結果より人のPS のデータが次の表-3 の. 2.5. ように得られた.. 2. 速 度 1.5 ( m / 1 s ) 0.5. y = 0.0802x + 0.8773. 表-3 人の PS の長軸・短軸 対象. 対障害物. y = 1.0236x - 0.6067. 避ける方法. 追い越し. 0 0. 2. 4. 6. 8. 10. 前方距離(m). 長軸(m). 短軸(m). 歩行. 4.50. 0.65. 早歩き. 4.93. 0.61. 小走り. 6.09. 0.79. 早歩き. 1.24. 0.43. 小走り. 1.59. 0.39. 歩行. 4.44. 0.42. 早歩き. 3.81. 0.51. 小走り. 4.50. 0.65. 追い越し. 図-3 障害物への接近による速度低下(歩行). 対歩行者 すれ違い. 3 2.5 速 2 度 ( m 1.5 / s 1 ). 速度. 表-3 の長軸,短軸の長さは劉(2007)1)の研究の 歩行者の PS データをもとに表-2 から計算した.. y = 0.2573x + 0.6387. 表-3 より,人は追い越し時に対障害物では対歩行. y = 1.4473x - 0.9053. 0.5. 者と比べて長軸がはるかに大きいことがわかる.. 0 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 前方距離(m). 3. 避難者の速度変化による PS の差の検定 帰無仮説: 「A と B がすれ違うときの PS は目標物の. 図-4 障害物への接近による速度低下(早歩き). あり,なしにかかわらず平均値は等しい」という仮説. 4. のもと,危険率 5%で t 検定を行った.. 3.5 y = 0.3269x + 0.6183. 表-4 目標物の有無による長軸・短軸のデータを用いたt検定結果. 3 速 2.5 度 ( m 2 / s 1.5 ). A 歩行 歩行 歩行 早歩き 小走り. 1 y = 5.8333x - 4.3 0.5 0 0. 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. B 歩行 早歩き 小走り 早歩き 小走り. すれ違い 目標物あり 目標物なし 目標物あり 目標物なし 目標物あり 目標物なし 目標物あり 目標物なし 目標物あり 目標物なし. 長軸 棄却 採択 採択 棄却 採択. 短軸 棄却 棄却 棄却 棄却 採択. 表-4 より,短軸は小走り‐小走りを除いて仮説は. 8. 前 方 距 離 (m). 棄却され,長軸は歩行‐歩行,早歩き‐早歩きを除い て仮説は採択されることがわかる.よって,避難者の. 図-5 障害物への接近による速度低下(小走り). 図-3~図-5 より,障害物への接近による速度低下 は速度の違いによらず同じような傾向を示した.. PS の短軸では小走り‐小走りを除いて,目標物の有無 によって変化することがわかる.. 表-2 は測定実験により得られた前方距離,側方距 離のデータである.. 4. まとめ 今回の実験により,対障害物では対人と比べて人は. 表-2 前方距離と側方距離の測定結果 対象. 避ける方法. 速度 歩行. 対障害物. 追い越し. 早歩き 小走り 早歩き. 追い越し 小走り 対歩行者. 歩行 すれ違い. 早歩き 小走り. 前方距離 側方距離 前方距離 側方距離 前方距離 側方距離 前方距離 側方距離 前方距離 側方距離 前方距離 側方距離 前方距離 側方距離 前方距離 側方距離. 平均値(m) 標準偏差 4.50 0.39 0.65 0.22 4.93 0.48 0.61 0.17 6.09 0.60 0.79 0.21 1.65 0.35 0.84 0.12 2.00 0.45 0.80 0.16 8.88 1.41 0.84 0.16 8.25 1.64 0.93 0.15 8.94 1.53 1.07 0.18. 早く追い越すことが PS の長軸の違いによりわかった. 今後は得られたデータをもとにモデル化し,不特定多 数の人が利用する場を対象としたシミュレーションを 行い,在館者の密度を変化させて避難行動の考察を行 う予定である. 参考文献 1) 劉 建宏(2007) スペースの概念を用いた公共空間における 歩行者の群衆流動に関する研究, 九州大学博士学位論文 ‑556‑.

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