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中学生を対象とした攻撃行動の予防に関する研究-攻撃行動を用いやすい場面と対処行動の検討-

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Academic year: 2021

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(1)中宇生を対象とした攻撃行動の予防に関する研究    一攻撃行動を用いやすい場面と対処行動の検討一                              学校教育学専攻                              臨床心理学コース                              M 0 7 0 5 8 C.                              佐々木  祥晴. 小学校の約2.5倍,高等学校の約6倍である。また,. した行動を用いやすいのはどのような時か,それぞ れ自由記述を求めた,(b)攻撃行動以外に取り得る 適切な対処行動について自由記述を求めた。. 暴力の発生件数は小学校の約12倍,高等学校の約4 倍となっており,大きな問題である(文部科学省,. 3.結果  攻撃行動を用いやすい場面 得られた453項目を. I 問田と日的  2005年度の中学校におけるいじめの発生件数は. 2006)。. 大学院生5名が分類し,60カテゴリーを得た。次に,.  従来,いじめや暴力を防止するために,攻撃性. 上位カテゴリーを把握するために,分類の結果得ら れた60カテゴリーに対して同じ方法で分類を行っ. (a鯉eSSi㎝)の概念が適用された研究が行われてき た(山崎,2002)。本研究では,児童・生徒のいじめ・. たところ,18の上位カテゴリーを得た。. 暴力などの予防を,個人の特性としての攻撃性では なく,観察可能な行動としての攻撃行動の予防とい.  攻撃行動以外に取リ得る対処行動 65項目を同. う観点から検討を行う。.  カテゴリーの判定 自由記述の各項目が該当す るカテゴリーについて,別の2名の大学院生が判定.  攻撃行動(a餌eSSlVebe㎞Ve1or)は,他の人が物理 的,精神的,あるいは社会的な不利益を受ける行動 であり,かつ,一般的社会規範に照らし合わせたと きに,その行動の受け手や周囲のほとんどの人から, 行動の行為者には相手を侵害する意図があると判断 されるものである(佐藤,2007)。.  本研究では,身体的攻撃,物理的攻撃,言語的攻 撃,間接的攻撃,関係性攻撃の5種類の攻撃行動を 研究の対象とし,中学生の攻撃行動をストレスブル な状況における不適切な対処行動と見なして,スト レスの認知的評価理論(L棚m銚Foユ㎞㎜,1984)を 適用した研究を行う(Fig.1)。具体的には,中学生を. 対象に,場面と対処行動に焦点を当て,(a)攻撃行 動を用いやすい場面と対処行動の検討,(b)攻撃行 動をしない自信と対処行動の検討,(C)攻撃行動の 予防プログラムの試行を目的とする。    攻歩行動を用            攻盛行動    いやすい■i・i          選切な対処行記. 舳⇒歴⇒舳⇒7. じ方法により分類し,13カテゴリーを得た。. を行った(一致率は79%)。一致しなかった項目につ いては議論をして一致した結論を得た。.  攻盛行動を用いやすい場面の設定 自由記述の 一覧をもとに,大学院生5名によって,攻撃行動を 用いやすい場面を描写した短文を45場面分作成し た。この45場面の短文について,中学校教員10名 が攻撃行動を用いやすい場面としてのふさわしさを 評定した。その結果をもとに,各攻撃行動について 1場面(1短文)を設定した。 4.考察  中学生が5種類の攻撃行動を用いやすい場面には, それぞれに共通する特徴(不快感情など)と異なる 特徴(間接的攻撃では相手に直接言えない場面が特 徴など)が認められた。.  中学生が攻撃行動以外に取り得る対処行動は,13 カテゴリーと多岐にわたっていた。攻撃行動を用い やすい場面で,それ以外にできる対処行動を考えさ せ,気づかせることが攻撃行動の予防に役立つと考 えられる。. 皿 研究2 1.目的.            口. (a)5種類の攻撃行動を用いやすい場面において, 中学生が攻撃行動を用いようと考える程度を明らか にする,(b)攻撃行動を用いない自信と攻撃行動以 外に取り得る対処行動の使用頻度との関係について 検討する,の2点を目的とした。.         o  ∼.1ストレスω認知的調。酬細目した”舳Φモデル. I 研究1 1.日的 (a)5種類の攻撃行動を用いやすい場面の特徴を明 らかにする,(b)攻撃行動を用いやすい場面で,攻 撃行動以外に取り得る対処行動を収集・整理する, (c)5種類の攻撃行動を用いやすい場面を描写する短 文を作成する,の3点を目的とした。. 2、方法  対念者と手競き 中学校1∼2年生65名に質問紙 を配布し.65名のデータを得た。  買間内容 (a)5種類の攻撃行動を呈示し,そう. 2.方法  対念者と手線き 中学校3年生96名に質問紙を 配布し,91名のデータを得た。.  買間内容研究1で作成した攻撃行動を用いやす い5場面の短文を提示し,(a)攻撃行動を用いよう と考える程度(4件法),(b)攻撃行動を用いない自 信(4件法),(c)攻撃行動以外に取り得る対処行動 (4件法)について回答を求めた。 3.結果.  攻撃場面ごとに,5種類の攻撃行動を独立変数に,. 一132一.

(2) 攻撃行動を用いようと考える程度を従属変数とした 1要因分散分析を実施した(Table1)。言語的攻撃場 面,間接的攻撃場面,関係性攻撃場面で,攻撃行動 の種類の主効果が認められた⑫K.05)。.                F. □㈱場I 2,2 0.1〕2.ヨ ‘1.O〕2,5 工1.0〕2.o 〔1.O〕 1.目 {1.O〕1.’フ. ㎜政1■場11.2{O.5〕1.O‘O.9〕1.日工O.O〕1.4{O.5)1.4m.日〕6.}■ 1■)鼻.贋.物確>D.倍 棚場■2.0 〔1.O〕!.O =O.9) 2.5 {1.O〕2.O (1.口〕 1.目 {1,O〕ヨ.12■   確)物. 舳,,41i.20.O)1,510.O〕1.フO.O〕1,610.9〕1.30.}〕2.脱■ 確)D    2.5 1.! 一.1 1.1 2.5 1.0 1.9 1.2 1.9 1.1 1.’2.    ■1^一舳岐ユ■=11舳1,!鰍優1舳攻I,}=榊田■  }く.喧.  次に,攻撃行動以外に取り得る13の対処行動ごと に,攻撃行動を用いない自信高群・低群を独立変数 に,対処行動の使用頻度を従属変数とした。検定を. 講康媛砦子)b誰磯奈鶴走凱「暑灘 群は島群よりも,rL発散する」の使用頻度が有意に 高かった⑫く.05)。. T・61.2”行舳し机1日“課・量的舳行■舳舳””㈹ ^相手を大切1=する 8権手ω立I■で書える. 4.8 5−0. 〔2.0〕          3.5    〔1−6〕       2.2τ ■. C相手書散8しない. 4.9. {2.O,       4.0   :1.6〕     2.04. ○相手ω量所を標す. 4.4. {2.2〕          3.O    〔1.τ〕       1.2. 6手,する F■わらない. 4.5. {2.4〕          3.τ    〔1.8〕       0.81. 4.4. {1.5〕       5.4   〔1.8〕    一1.68. ○権録する H相手と語し合う. 4.τ. {2,2〕         4.1   =2.1〕      一〇.09. 4.0. ‘1,9〕         3.5   0.6〕      1.τ一 †. 3.9. 〔1,O〕          3.一    〇.5〕       1.98 †. 〔2,3〕          3,4    〔1.6〕       O.τ8. J進も脅く. 5.9. 〔2.O〕         4.9   ‘1.9〕      1.52. “,【■らしをする. 4.2. L桑縦fる. 3.1. ‘2,1〕      4.7  ‘2.O〕   一〇.フ9 (2.2〕      6.1  〔1.刀    一3.4 ■ 2.1       3.3   1.0     1.丁1 †. 一. 4,4. 各対処行動別の使用頻度を従属変数とした。検定の 結果,rA相手を大切にする」の使用頻度が有意に増 加した(ρく05)。.  一1主181 裏一[I{□いやすい一iI=さ吋も葛,行IO【最司・≡丘O苧亀〔;”. 1標リ連6. と考える程度は有意に増加し,用いない自信は有意 に減少した杯.05)。次に,授業の前後を独立変数に,.  一,33                                        f  ρ〈.10  ■=ρく.05. 4.考察  結果から,言語的攻撃,間接的攻撃では,用いら れやすい場面の特徴が作成した短文に表現されたと.  念想1二ついて 認知・感情・行動に分けて考える ことに興味をもつ内容,認知や行動をうまく工夫す ることに気づいた内容,工夫にはいろいろなものが あることに気づいた内容,自分の工夫が適切かどう かを考える内容が見られた。. 4.考察  プログラムを実施することで,攻撃行動を用いよ うと考える程度が増加し,用いない自信が減少した。 この結果は,葛藤場面を体験することにより一時的 に攻撃動機が高まったためと考えられるが,プログ ラムに攻撃行動をしない自信を減少させる要因があ る可能性が考えられるため,今後検討が必要である。  また,プログラム実施後,「A相手を大切にする」 の使用頻度が増加した。これは,r関係づくり型」の 対処がストレス反応を下げる(加藤,2007)ことを 授業で取り上げた効果であると考えられる。. V 蟹合考察  本研究の結果から,5種類の攻撃行動に共通した 用いやすい場面の特徴と,攻撃行動の種類によって 異なる場面の特徴を整理することによって,攻撃行 動を見逃さないようにすることや生徒の関係に上下 がないようにする取り組みをするといった,攻撃行 動を予防するための手がかりを得ることができると. 考えられる。. 考えられる。.  また,攻撃行動を用いない自信が高い中学生は低.  また,攻撃行動をしない自信の高い中学生と低い 中学生が使用する対処行動に関する分析の結果から, 自信の低い中学生対しては,『相手の立場で考える」 という,現在は使っていない対処を新たに使えるよ うになることが,自信を高めることに役立つと考え. い中学生と比べて,「相手の立場で考える」という相 手との関係を保とうとする対処を使う傾向にあり, 低い中学生は高い中学生に比べて,「発散する」とい う自分の感情を一時的に和らげる対処を使う傾向に あると考えられる。. られる。. W 研究3 1.目的  中学生が攻撃行動を用いやすい場面で,攻撃行動 以外に取り得る対処行動を用いることができるため の授業を実践することを目的とした。. 2.方法  対象者 中学校2年生20名が授業に参加した。  調査内容 (a)研究2の内容で,1回目の授業の 開始時と,3回目の授業の1週間後の授業の開始時 に質問紙調査を実施した。 を自由記述により求めた。.   ストレスの心理学 実務教育出版) 文部科学省(2006).生徒指導上の諸問題の現状につ   いて.  プログラムの枢要 本プログラム,全3回(各50 分)の主題は,(a)「つらい気持ちになったときど うする?:考え・行動・気持ちのつながりを知ろう」,. 佐藤寛・高橋史・杉山恵一・塩泉群・嶋田洋徳(2007).. (b)rつらい気持ちになったときどうする?:気持 ちをちょっと楽にする考え・行動の工夫を考えよう」,. を考えよう」,であった。. 3.結果  調査1二ついて 授業の前後を独立変数に,攻撃行 動を用いようと考える程度,および攻撃行動を用い ない自信を従属変数とした。検定の結果,用いよう. Lazar皿s R S,&Fo凹㎞㎜,S(1984) ∫脆∬,o〃r伽∫o4o_.   〃 cgρ肋9NewYork:Spri皿ger P山1ishi皿g Co・   mp㎜y(本明寛・春木登・織田正美(監訳)(1991)..  ⑫)毎回の介入後に授業の内容についての感想. (C)r友達ともめないで問題を解決する方法を心理 学で考えてみよう:自分が使いやすく役に立つ工夫.  本研究では,攻撃行動についてストレスの認知的 評価理論におけるストレッサーと対処行動に焦点を 当てて検討した。今後は認知的評価やストレス反応 も含めた検討を行うこと,および研究の知見を基に 介入プログラムを開発することが課題である。 ㎜ 引用文献 加藤司(2007〉対人ストレス過程における対人スト   レスコービング ナガニシヤ書店.   攻撃行動尺度の作成と信頼性・妥当性の検討   行動療法研究,33.3343. 山崎勝之(2002).攻撃性の発達と教育1その研究意   義 山崎勝之・島井哲志(編)攻撃1性の行動科   学:発達・教育編 ナガニシヤ書店 叩.4・18..           主任指導教員 冨永 良喜.           指導教員中村菜々子 一133一.

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参照

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