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パーソントリップ調査データを用いた高齢者の運転行動に関する研究

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Academic year: 2021

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(1)

パーソントリップ調査データを用いた高齢者の運転行動に関する研究

日大生産工(院)○ 島 勝彦 日大生産工 栗谷川 幸代 日大生産工

景山

一郎

1. はじめに

現在,日本は高齢者の人口が

20%

を超える高齢社会となっている.自動車に おいては,高齢者の免許保有者数,高齢者事故件数ともに急増し,深刻な社会 問題となりつつある.そこで,改善策の一つとして,高齢ドライバ用サポート システムの構築等が考えられる.この検討に関して,環境にも配慮した高齢者 が使いやすいベース車両の開発,高齢者の運転特性をドライビングシミュレー タ,モニタリングカーなどを用いて解析及び,データベース化,ステアリング・

ブレーキなどの運転操作を,上記解析に基づき,個々人の特性にあわせて支援 するアルゴリズムの開発,車車間通信を使った協調型運転支援の研究開発(1),高 齢者の普段の運転状況や求める運転支援を広く収集するアンケート調査(2)など が行われている.ただし,これらの検討はすべて現在の高齢者に関しての検討 であり,将来の高齢者に対応できるかどうか定かではない.つまり,高齢者特 有の特性として認識されていたものが,世代ごとの特性として過去からの変化 の推移を見ることで,将来の高齢者の運転が明確になり,より的確な運転支援 が検討できるものと考えられる.

そこで,本研究では,将来の高齢者の望む運転支援を検討するため,基礎デー タとして,

1968

年から

1998

年の計

4

回の調査された,東京都市圏パーソントリ ップ調査データ(以下

PT

データ)に着目し,集計を行った.また,これらのデ ータを用い,今後大幅に増加する高齢者の行動パターンの変化について予測を 行った.

ただし,上記アンケート調査(2)から高齢ドライバの視覚特性を考慮した運転支 援システムの検討が重要であるとの報告から,夜間の運転に関する検討に焦点 を当てた.

2. アンケート

PT

データは,一定の対象地域内において普段の人の交通目的や利用交通手 段などを明らかにする調査である.将来の高齢ドライバの運転支援について,

特に夜間の運転に関して検討する観点から,データを年齢別(今回はデータの 最小刻みである

5

歳刻み)・調査年度別(

1968

年,

1978

年,

1988

年,

1998

年)・移 動目的別(通勤,通学,帰宅,私用,業務)・交通手段別(徒歩,自転車,バイ ク,自動車,タクシー,バス,電車,その他,貸切バス)に行動時間(出発時 間,到着時間)の度数分布集計を行った.

また,居住地域によって日常生活での自動車依存度は異なり,このことが運転 特性に違いを生じさせるとの報告(3)から,

PT

データの区分に沿って地域を四地 域に分散させた.図

1と表 1

に示す.ただし,調査地域は調査年度ごとに多少異 なっている.地域別・調査年度別・年齢別に有効標本数を図

2~5

に示す.

Fig.1 Zone partition

Table 1 Four zone partition

9 3 7 0

5 0 0 0 10 0 0 0 15 0 0 0 20 0 0 0 25 0 0 0 30 0 0 0 35 0 0 0 40 0 0 0

2 0~24 25~29

30~ 34 35~ 39

40~44 45~ 49

50~ 54 55~59

60~ 64 65~ 69

70~ 74 75~ 79

80~ 84 85~ 89 A g e

1 9 6 8 1 9 7 8 1 9 8 8 1 9 6 8

Fig.2 Outline of subjects (A zone)

Study on aged driver behavior using the Person Trip Survey Data

Katsuhiko SHIMA, Yukiyo KURIYAGAWA, Ichiro KAGEYAMA,

Azone 00 02

Bzone 01 03 04 05 06

07 08

10 11 12 13 14

20 21 24

30 31 32

41 42

0922 23 25 26 27 28 29

33 34 35 36 37 38 39

40 43 44 45 46 47 48 49

50 51 52 53 54 55 56

Number of zone

Dzone Czone

Azone 00 02

Bzone 01 03 04 05 06

07 08

10 11 12 13 14

20 21 24

30 31 32

41 42

0922 23 25 26 27 28 29

33 34 35 36 37 38 39

40 43 44 45 46 47 48 49

50 51 52 53 54 55 56

Number of zone

Dzone Czone

(2)

11 0 3 0 0

5 0 00 10 0 00 15 0 00 20 0 00 25 0 00 30 0 00 35 0 00 40 0 00

20~ 24 25~29

3 0~34 35~ 39

40~44 45~49

50~54 55~ 59

60~64 65~69

70~74 75~ 79

80~84 85~ 89 A g e

19 6 8 19 7 8 19 8 8 19 6 8

Fig.3 Outline of subjects (B zone)

22 84 0

5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000

2 0~24 2 5~ 29

3 0~ 34 3 5~ 39

4 0~ 44 4 5~49

5 0~54 5 5~59

6 0~64 6 5~ 69

7 0~ 74 7 5~ 79

8 0~ 84 8 5~89 A ge

1968 1978 1988 1968

Fig.4 Outline of subjects (C zone)

44 37 40 29 26 8 19 18 8 9 7 3 1 1

0 5000 10000 15000 20000 25000 30000 35000 40000

2 0~24 2 5~ 29

3 0~ 34 3 5~39

4 0~ 44 4 5~ 49

5 0~54 5 5~ 59

6 0~64 6 5~69

7 0~ 74 7 5~79

8 0~ 84 8 5~ 89 Age

1968 1978 1988 1968

Fig.5 Outline of subjects (D zone) 3. 行動時間帯

運転支援のための運転状況検討には,ドライバの運転の実態を

PT

データか ら抽出し,検討すべき運転状況を把握することが重要となる.そこで,移動時 間帯の抽出を行った.

3.1 全体の行動時間帯

調査年度別の全年齢階層の行動時間の全体の推移の中で,高齢ドライバが どのような運転をしているか調べるために,全体の推移として,どうなってい るかを確認する必要がある.そこで,

PT

データから地域別・調査年度別・年齢 別に出発時間と到着時間を度数分布集計し,ピーク値を基準に

40%

以上の度数 があった時間帯を抽出し,行動時間帯とした.結果を図

6~9

に示す.

Fig.6 Total action time (A zone)

Fig.7 Total action time (B zone)

Fig.8 Total action time (C zone)

Fig.9 Total action time (D zone)

図より,すべての地域において,調査年度でも,一日の行動時間帯が,

7

時前 後から

20

時前後にあり,若年者ほど一日の行動時間が長く,高齢者ほど短く昼 間に収束していることがわかる.また,年々,

20

代から

50

代くらいの年齢層の 行動時間が夜間に移行している傾向が都心部に行くほど強くなっている.これ

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

2 0~24 2 5~29

3 0~ 34 35~39

4 0~44 4 5~49

5 0~54 55~59

60~64 6 5~69

7 0~74 75~79

80~84 8 5~89 A g e

Time

1 96 8 1 97 8 1 98 8 1 99 8

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

2 0~24 2 5~ 29

3 0~34 3 5~39

40~44 4 5~49

50~54 5 5~59

60~64 6 5~69

7 0~74 75~79

8 0~84 85~89 A g e

Time

196 8 19 78

198 8 19 98

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

2 0~24 25~29

3 0~34 3 5~39

40~44 4 5~ 49

50~54 55~59

6 0~64 65~69

7 0~74 7 5~79

8 0~84 8 5~89 A g e

Time

1968 1978

1988 1998

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23

2 0~24 25~29

3 0~34 35~39

4 0~44 4 5~49

5 0~ 54 5 5~59

60~64 65~69

7 0~74 7 5~ 79

8 0~84 8 5~89 A g e

Time

1968 1978

1988 1998

(3)

は都心部ほど夜間の交通環境整備が整っているためと考えられる.これより,

人は加齢に伴って行動する時間帯は短く昼間の時間帯に収束していく年齢に よる特徴と,都心部ほど行動時間帯が遅くなる地域差による特徴があることが,

確認できた.

3.2

ドライバの夜間運転時間帯

全体の行動時間帯をふまえた上で,高齢ドライバの夜間の運転に関して,

検討するために,

PT

データから地域別・調査年度別・年齢別の手段が自動車で,

一般的な一日の最後の行動目的の帰宅から,行動した時間を全体の行動時間帯 の抽出と同様に処理を行い,ドライバの夜間運転時間帯とした.結果を図

10~13

に示す.

図より,全体の行動時間帯の最終値(すべての手段の最終到着時間)との比較 をすると,地域

A

では,どの年齢でも全体の行動時間帯よりも,早い時間帯に 到着していることがわかる.また,年々,最終到着時間に関して,全体の行動 時間帯と同様に夜間に移項している傾向にある.地域

B

C

D

では,全体の行 動時間帯よりも最終到着時間が遅くなっていることがわかる.また,すべての 地域において,若年者から高齢者にかけて見ていくと,徐々に最終到着時間が 早い時間帯に移行していく傾向がみられる.ただし,後期高齢者に関しては,

特に値がばらついてしまっている.これより,全体の行動時間帯と同様に人は 加齢に伴って行動する時間帯は短く昼間の時間帯に収束していく傾向と同じ ような傾向があることがわかる.全体の行動時間帯の最終到着時間と比較した 時,地域

A

と地域

B, C

D

では逆の傾向になった.これは,移動距離自体に都 心部と郊外部との違いによる影響と考えられる.また,後期高齢者のばらつい てしまっているのは,

PT

データの標本数自体が少ないことが原因と考えられる が,値は度数分布から抽出した結果なので,高齢者でも夜間に運転を行ってい る人がおり,運転する機会が存在することがわかる.

4.

将来の高齢ドライバの行動時間帯予測

将来の地域別の高齢ドライバの夜間の運転状態を予測するため,

PT

データ を時系列データとして,抽出した地域別・調査年度別・年齢別のドライバの夜 間運転時間帯の最初と最後の値から平均値と偏差を算出し,その値をドライバ の夜間運転時間帯における平均値を運転時間帯の基準値,偏差を時間帯の幅と した.これらの値からテイラー展開を使い,二次予測を行った.式を以下に示 す.

( ) ( ) ( ) ) ( ( ) ) (

2

! 2

1 f a b a a

b a f a f b

f = + ′ − + ′′ − (1)

( ) a

f

1998

年の現状データ

( ) b

f

2008

年の予測データ

この地域別・調査年度別・年齢別のドライバの夜間運転時間帯から算出した平 均値と偏差を式(

1)

より,将来の高齢ドライバの夜間の運転する時間帯の平均 値と偏差の予測を行

った.さらに,予測した平均値と偏差から高齢ドライバの夜間運転時間帯を算 出した.

Fig.10 Action time of night driving (A zone)

Fig.11 Action time of night driving (B zone)

Fig.12 Action time of night driving (C zone)

Fig.13 Action time of night driving (D zone)

13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

2 0~24 2 5~ 29

3 0~34 3 5~39

40~44 4 5~49

50~54 5 5~59

60~64 6 5~69

7 0~74 75~79

8 0~84 85~89 A g e

Time

196 8 1 978

198 8 1 998

13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

2 0~24 25~29

3 0~34 3 5~39

40~44 4 5~ 49

50~54 55~59

6 0~64 65~69

7 0~74 7 5~79

8 0~84 8 5~89 A g e

Time

1968 1978

1988 1998

13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

2 0~24 25~29

3 0~34 35~39

4 0~44 4 5~49

5 0~ 54 5 5~59

60~64 65~69

7 0~74 7 5~ 79

8 0~84 8 5~89 A g e

Time

1968 1978

1988 1998

13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

2 0~ 24 2 5~ 29

3 0~34 3 5~39

4 0~44 4 5~49

5 0~54 55~59

60~64 6 5~69

7 0~74 75~79

80~84 85~89 A g e

Time

1968 1978

1988 1998

(4)

4.1 年代予測と世代予測

予測する際に,二つの予測を行った.

全体の行動時間帯やドライバの夜間の運転時間帯から年齢による特徴があ ることをふまえ,過去の同年齢から将来(

2008年)の各年齢のドライバの夜間

運転時間帯を予測したものを年代予測とした.

時代背景(行動経済成長など)や,各世代の過去の生活環境の影響がある ことを考慮し,世代ごとに行動時間帯の変化する様子が異なると考え,予測し たものを世代予測とした.ただし,世代予測に関して,データが

1968

年から

1998

年までしかないので,予測したのは

50

54

歳から

85

89

歳までとなる.

予測結

果を図

14~17

に示す.

図より,すべての地域において,年代予測では,加齢に伴って夜間の運転時間 帯は昼間に収束していく傾向にある.世代予測では,年代予測に比べ,時間帯 の最終到着時間にはあまり差は見られないが,出発時間は年代予測よりも夜間 側にある.これより,加齢の影響から視覚機能低下などにより夜間の運転はさ ける傾向にあるが,各世代の過去の生活環境などの影響により日常生活の中で 夜間も運転する可能性があることがわかる.また,後期高齢者の標本数が全体 の標本数に対して極端に少なく,夜間運転時間帯がばらついてしまったため,

状態を評価することができなかった.

結論

本研究では,夜間の高齢者の運転行動について,

PT

データを用いて,現状把 握と将来予測を行った.結果を要約すると以下のようになる.

1) PT

データから,地域別に全体の行動時間とドライバの夜間運転時間を度数 集計し,行動時間帯の抽出を行った.

2)

全体の行動時間帯とドライバの夜間運転時間帯には,居住地域による要因 と各年齢の固有にある要因があることが確認できた.

3)

地域別に将来の高齢ドライバがどのような夜間の運転時間帯にあるのかを 過去のデータから予測を行った.

予測結果から今後高齢ドライバは夜間でも運転をすることがあるが,高 齢者の特有の視覚機能の低下などを考慮すると,夜間運転時の支援(ナ イトビジョン,アダプティブフロントライティングシステム等)の重要 性が高まっていくことを示唆できた.

なお,本研究では高齢者の運転行動の夜間の時間帯について検討したが,移動 手段や移動時間,移動範囲についての予測はできていない.そのため,今後,

PT

データから移動時間等を抽出し,将来予測を行う予定である.また,夜間運 転支援システムに対する高齢ドライバ特性に関しても検討していく予定であ る.

参考文献

(1) NEDO

,高齢運転者に適応した高度運転支援システム技術開発,フォーカ

NEDO

,第

21

号,

pp.17-18, 2006

(2)

栗谷川幸代,景山一郎,高齢ドライバの運転支援に関する調査研究 自動 車技術会

2005

年秋季大会前刷集,

No. 89, pp.13-18

2005

(3)

赤松幹之他,高齢化社会のビークルモビリティ,自動車研究,第

26

巻,第

9

号,

2004

Fig.14 Result of prediction (A zone)

Fig.15 Result of prediction (B zone)

Fig.16 Result of prediction (C zone)

Fig.17 Result of prediction (D zone)

7

9 1 1 1 3 1 5 1 7 1 9 2 1 2 3

5 0 ~ 5 4 5 5~5 9 6 0 ~ 6 4 6 5~6 9 7 0~7 4 7 5 ~ 7 9 8 0~8 4 8 5 ~ 8 9 A g e

Time

Th e g en e ra ti o n Th e s a m e a g e

7 9 1 1 1 3 1 5 1 7 1 9 2 1 2 3

50 ~ 5 4 5 5~5 9 6 0~6 4 6 5 ~ 69 70 ~ 7 4 7 5~7 9 8 0~8 4 8 5 ~ 89 A g e

Time

Th e g en e ra ti on T he s a m e a g e

7 9 11 13 15 17 19 21 23

5 0~5 4 5 5~5 9 60 ~ 64 6 5~6 9 7 0~7 4 7 5 ~ 79 8 0~8 4 85 ~ 8 9 A g e

Time

T he g en era ti o n The s a m e a g e

7 9 11 13 15 17 19 21 23

50 ~ 54 55 ~ 59 60 ~ 64 65 ~ 69 70 ~ 74 75 ~ 79 8 0~8 4 8 5~8 9 A g e

Time

The g en era ti on Th e s a m e a g e

Table 1 Four zone partition

参照

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