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修士論文・博士論文一覧|九州大学 大学院人間環境学府

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(1)

60-1

1. 研究背景および研究目的

  本 研 究 は, 建 築 構 造 用 高 強 度780N/mm 2

鋼 材「 H-SA700」(以下,超高強度鋼)を利用した鋼構造建築物の

普及に貢献することを目的としたものである.一般に超

高強度鋼では溶接部の品質確保と施工に関して普通鋼よ

り高度な技術を要する.特にCFT造柱梁接合部におい

ては,柱と梁あるいは接合材の接合には基本的に溶接が 避けられないため,超高強度鋼を活用した構造形式を普

及させるためには新たな構法の開発が望まれる.  溶接を用いない接合方法として,内蔵鉄筋を接合材と

して用いたCFT接合構法(以下,鉄筋内蔵CFT接合構法) が挙げられる.この構法は,コンクリートを介して鋼管 と鉄筋間で応力伝達を行うものであり,柱継手では鋼管

を溶接せず接合部耐力が確保でき,また鋼管が無溶接の ため,溶材強度を超えるような超高強度鋼も適用可能で

あることが既往の研究により明らかにされている 1)~3)

 そこで本研究では,鉄筋内蔵CFT接合構法を柱梁接合部

に適用し,柱梁接合部に普通鋼を,柱に超高強度鋼を用い

た構造形式(図1)を提案しており,既往の研究によりその

力学性状が確認され,力学性能評価方法が提案されている

4) .  しかし,本構法では内蔵鉄筋の定着長さが短いと鉄筋や 鋼管が耐力を発揮する前に引抜き破壊が生じてしまう

4) .

定着板付き内蔵鉄筋を接合材とした

角形

CFT

接合部における定着部の性能評価

才木 祐磨

そこで,本論では本接合構法における定着部の引抜き破

壊耐力算定方法を確立するため,鉄筋内蔵CFT柱継手

部の曲げせん断実験を実施し,曲げせん断力を受ける内 蔵鉄筋の引抜き性状の確認および引抜き耐力算定法の検

討を行う.また,引抜き耐力算定法の有用性の確認およ び定着長さが短い場合における本接合構法の性能検証の

ため,引抜き耐力算定法を用いて設計した十字形部分架 構試験体の繰返し漸増載荷を行った.

2. 鉄筋内蔵CFT継手の曲げせん断性状 

2.1実験概要

 本実験は,内蔵鉄筋により接合したCFT継手部に単調

曲げせん断力を加えるものである.表1に試験体一覧を,

図2に試験体形状を示す.既往の研究より,本試験体は継

手部の降伏に先行して,継手より上側で内蔵鉄筋の引抜き 破壊が生じるよう設計されている.本接合構法は,超高強

度CFT柱を想定したものであるが,鉄筋内蔵CFT接合部 の力学性状を把握するうえでは普通鋼で問題ないと考え,

本実験では柱にBCR材を用いることとしている.実験変

数は,内蔵鉄筋の定着長さ,柱材の幅厚比,柱材の幅およ

び鉄筋本数,中段筋(最外縁引張鉄筋以外の鉄筋)の有無

の計7体である.載荷は継手回転角による変位制御とし,

最大耐力を迎えた後,十分に耐力が低下するまで載荷した.

図1 本構法の概要

定着板

定着板

外ダイアフラム形式 柱梁接合部

固定用金物

柱材 (超高強度鋼材)

柱梁接合部 (従来鋼) 固定用金物

リブプレート

試験体 No.

上側柱材

(BCR295)

下側柱材

(BCR295)

内蔵鉄筋

コンクリート 圧縮強度

[N/mm2]

実験変数

サイズ[mm] 幅厚比 サイズ[mm] 鋼種 配筋 定着長さ

1

☐—250×6 42

☐—250×12

USD685

12-D19

190mm(10D)

34.4 -

2 8-D19 33.3 中段筋の有無

3 ☐—250×9 28 12-D19 32.8 幅厚比

4 ☐—200×6 33 ☐—200×12 8-D19 36.2 鋼管幅,鉄筋本数

5

☐—250×6 42 ☐—250×12 12-D19

285mm(15D) 35.7

定着長さ

6 228mm(12D) 37.5

7 SD490 152mm(8D) 38.7

表 1 試験体一覧

205

55 55 55 250

1

9

0

7

5

0

3

7

5

定着長さ

加力点

No.1(基本試験体)

(2)

60-2 2. 2 破壊性状および荷重 - 変形関係

 充填コンクリートの破壊状況を図3に示す.表2に各

試験体の破壊形式を示す.図3よりいずれの試験体でも

付着破壊の発生を確認できた.No.1では引張側最外縁

鉄筋の定着部を起点としたコーン状破壊面が形成されて いたことから,耐力低下の一因としてコーン状破壊が考

えられる.なお,定着長さ15DのNo.5では,このよう な破壊が確認されなかったことから,支圧破壊によって

耐力が決定したと考えられる.また,いずれの引抜き破 壊においても充填コンクリートの破壊は最外縁鉄筋およ

びその周辺の定着板を起点として発生していた. 2. 3 最外縁引張鉄筋の軸力分布

 図4に内蔵鉄筋に生じる軸力-継手回転角関係を示す.

いずれの試験体も引張力は鉄筋降伏軸力に達しておらず, 引抜き破壊が生じたことが分かる.また,付着力は最大

を迎えた後,緩やかに低下していることから,付着破壊 が生じている.No.1,5では最大付着力が生じた時期に引 張力の剛性が低下しており,鉄筋の抜け出しが生じ始め ていることが分かる.No.1では最大耐力時(0.035rad) に引張力の剛性がほぼゼロになっていることから,コー ン状破壊が生じ,耐力が決定した.また,定着長さの長

いNo.5では0.02rad付近で引張力および支圧力の剛性が 低下していることから,支圧破壊が生じたと考えられる.

2. 4 各破壊耐力の評価法の提案・検討

 曲げせん断実験においてコーン状破壊,支圧破壊,付

着破壊の3つの引抜き破壊が確認された.本構法の鉄筋

内蔵CFT継手部では,これらの引抜き破壊が複合的に形

図3 充填コンクリート破壊状況

(a)損傷部除去後 ウェブ面 No.1

(b)損傷部除去後 ウェブ面 No.5 コーン状破壊面

くさび状の せん断すべり 付着破壊

No. 破壊形式 1 Bo→C 2 Bo→Be→C 3 Bo→C 4 Bo→Be→C 5

Bo→Be 6

7 Bo→C

表2 各試験体の

破壊形式

Bo:付着破壊

Be:定着板支圧破壊

C :コーン状破壊

0.01 0.02 0.03 0.04 600

400

200 800

鉄筋に生じる軸力[kN]

0 0

図4 最外縁鉄筋に生じる軸力-継手回転角関係

(a)No.1(基本試験体)

鉄筋降伏軸力

ここで,各記号については以下の通りである.

(2a)

(2b)

(2c)

q tan ) ' ( r

r

b H h D t

l = − − −

d d

lc= f +2

c b p sc p u

boP =t .max⋅A =t .max⋅ll

df

sB hr

SA

:最外縁鉄筋同士の外面の距離 :コンクリート圧縮強度

: 鋼管上面から1段目リブプレート下端までの距離

:せん断面積係数

boPu

lc d

Asc ts rf

lb tr D'

:付着破壊耐力 :付着破壊面周長 :鉄筋径

:付着せん断面積 :鋼管板厚 :定着板外径

:有効付着長さ :リブプレート板厚 :かぶり厚さ 成されていると考えられる.本継手部における性能を発揮

させるためには,それぞれの破壊形式に対する耐力を算定 し,各引抜き破壊が鉄筋や鋼管の降伏に先行して発生しな

いように設計する必要がある.本論では,付着破壊および 支圧破壊における耐力評価法を提案し,検討を行う.  耐力の評価に際しては,曲げに対して引張側最外縁に

位置する鉄筋および定着部に注目する.これらの鉄筋お よび定着部の引抜きに対して,引抜き耐力を算出する.

2. 4. 1 最大付着耐力算定式の提案

 評価式の導出には,文献5)で提案されている鉄筋が

コンクリートと一体となって引き抜ける付着強度評価法 を応用して求める.仮定するモデルにおいて,鉄筋の間

にあるコアコンクリートについては,周囲の鉄筋と一体

的に挙動するものと考える.図5に示すように最外縁引

張鉄筋およびコアコンクリート表面で付着破壊が生じる

と仮定し,求めた平均付着強度tp.maxに,付着破壊面周

lcおよび定着長さから付着割裂部およびゲージ養生部

分を除いた有効付着長さlbを乗じることで,付着耐力

boPuを求めた.図5に示すように,1段目リブプレート

支圧側端部から内蔵鉄筋に向かう角度qの斜め方向に伸

ばした直線と鉄筋外側の交点より継手側を付着割裂部と

する.なお,角度qは実測値を用いることとする.以下

に最大付着耐力算定式を示す.

定着長さ

H

有効付着長さ

lb

付着割裂部分

q

図5 鉄筋およびコアコンクリートにおける付着破壊領域

d

D’ df

付着破壊面周長lc

df rf boPu

(1)

SA d

ts f

B

p ={0.26⋅ +40.3⋅2 / }⋅

85 . 0 max

. s

t

鉄筋に生じる軸力[kN]

継手回転角[rad] 継手回転角[rad]

(b)No.5(定着長さ15D)

付着力 引張力 支圧力

(3)

60-3 No.

コーン状破壊耐力c Pu

[kN]

付着破壊耐力bo Pu

[kN]

支圧破壊耐力be Pu

[kN]

計算値 実験値 計/実 計算値 実験値 計/実 計算値 実験値 計/実

1 542 524 1.03 142 166 0.86 431 — —

2 531 539 0.98 185 181 1.02 417 301 1.39

3 525 668 0.78 209 202 1.03 400 — —

4 449 534 0.84 160 214 0.75 323 357 0.90

5 921 — — 320 359 0.89 447 478 0.93

6 825 — — 277 262 1.06 470 451 1.04

7 534 458 1.17 171 172 0.99 454 — —

表3 実験値と計算値の比較 

2. 4. 2 支圧耐力算定式の提案

 評価式の導出には,文献6)で提案されている鉄筋内

蔵CFTにおける定着板の支圧耐力算定式を応用して求

める.図6に示すような最外縁の鉄筋および定着板を起

点とした単純引抜きの支圧破壊を考え,最外縁引張鉄筋 の引張力bePuを算出する.なお,定着板支圧領域Aba

ついては,リブプレートと定着板間に形成される圧縮ス トラットのような応力伝達経路が存在しないため,鉄筋

内側は支圧領域から除外する.また,有効水平投影面積

Acについては有効支圧領域から45°方向に伸ばした投

影面積とする.以下に支圧耐力算定式を示す.

(3)

2. 5 引抜き破壊耐力計算値と実験値の比較

 表3に各破壊耐力計算値と実験値の比較を示す.なお,

コーン状破壊耐力については,文献7)で提案されている

曲げせん断力を受けるコーン状破壊耐力算定式を用いる.

 コーン状破壊耐力については,幅厚比の小さな試験体 No.3,4では2割程度の過小評価となっている.

 付着破壊耐力では,鋼管幅の小さいNo.4で2割程度 の過小評価,No.4以外で1割程度の差となっている.

 支圧破壊耐力では支圧破壊で耐力が決定したNo.5,6

で約1割の差となっている.No.2では実験値を大きく 過大評価する結果となった.この一因として,有効支圧

図6 有効支圧領域

領域から圧縮鋼管側へと形成される応力伝達経路がリブ

プレートより上側に形成されているため,鋼管の拘束が 十分働かず,実験値が小さくなったと考えられる.

3. 定着長さが短い場合における性能検証 3. 1 実験概要

 本実験では定着長さの短い場合における本接合構法の

性能評価のため,通しダイアフラム形式十字形部分架

構試験体の繰返し載荷を行った.試験体図を図7に示

す.本試験体は,曲げせん断実験での知見をもとに,内 蔵鉄筋が降伏する以前に引抜き破壊が生じないという

条件で,定着長さを短く設計している.柱材には従来 鋼(BCR295) を, 鉄 筋 に は ね じ 節 鉄 筋SD490を 使 用

し,コンクリート強度はFc60とした.また,定着長さ

は12D(D:鉄筋径)とした.載荷プログラムは層間変 形角による変位制御とし,0.03radまで0.01rad刻みで 正負2回ずつ,その後は0.053radまで正負10回ずつ載 荷を行った後,装置の限界まで正側に載荷を行った.ま

た,比較のため十分に長い定着長さ20Dを有する十字

形部分架構試験体の載荷も行った.

3. 2 実験結果

 図8に継手モーメント-継手回転角関係,図9に充填

コンクリートの破壊状況,図10に最外縁鉄筋軸力-継

手回転角関係を示す.なお,図8(a)には文献4)で提案 されている評価法に基づく継手の曲げ耐力計算値を併記

図7 定着長さの短い十字形部分架構試験体形状 B

ba c u

beP =f⋅ AA ⋅s f =1.4(円), 1.0(角)

bePu

10D 8D

定着長さ

H

D rw

df

rf

d

有効支圧領域Aba

ピンローラ

ピン

2

0

0

5

7

5

4

0

0

1800 1800

仕口部柱材(BCR295)

柱材(BCR295) 内蔵鉄筋(SD490) 梁材(SN490)

5

7

5

2

0

0

1

9

5

0

325 300 325

2

0

0

5

5

5

5

5

5

A 通しダイアフラム(SN490)

+ -

45°

(a)継手モーメント-継手回転角関係(12D) 200

継手モーメント

[k

Nm

]

0 -0.05

全塑性耐力

降伏耐力

弾性回転剛性

継手回転角[rad]

図8 荷重-変形関係

(b)骨格曲線の比較

継手回転角[rad]

継手モーメント

[k

Nm

]

12D 20D

100

0

-100

-200

200

100

0

-100

-200

0.05 0.10

0

(4)

60-4

 図8(a)に弾性回転剛性計算値を併記している.計算値

と実験値は良く対応している.

4. まとめ

 本研究で得られた知見を以下にまとめる.

曲げせん断実験により,曲げせん断作用時における定着 部の破壊性状の確認および引抜き破壊耐力算定法の提

案および検討を行った.いずれの引抜き破壊耐力算定法 においても,幅厚比の小さな試験体では過小評価となっ

た.コーン状破壊耐力算定法および支圧破壊耐力算定 法では,コンクリートの拘束効果の影響を考慮してい

ないためだと考えられ,今後も改善を行う必要がある. 十字形試験体の繰返し載荷実験により,定着長さの短い 場合における本接合構法の性能検証を行った.定着長さ

の短い試験体では,内蔵鉄筋の引抜き破壊が生じること なく継手部において曲げ耐力を発揮し,安定した履歴挙

動を示したことから,内蔵鉄筋の引抜き耐力算定法の有 用性が確認された.さらに,既往の評価式による各曲げ

耐力および提案した弾性回転剛性の評価を行い,精度よ く評価できることを確認した.

図10 内蔵鉄筋に生じる軸力分布(12D)

【参考文献】

福元敏之,岡安隆史他:鉄筋を用いたコンクリート充填鋼管柱 接合部の応力伝達機構に関する研究,日本建築学会構造系論文

集,第76巻,第668号,pp.1873-1880,2011.10.

Matsuo et al : Experimental Study on Mechanical Behavior of Exposed-type Square CFT Column Base with Built-in Reinforcing Bars, STESSA2012,pp.645-651,2012.1.

河口他:高強度鉄筋内蔵コンクリート充填鋼管柱継手の曲げ性 状に関する実験的研究,第10回複合・合成構造の活用に関す るシンポジウム,CD-ROM No.44,2013.11.

戸川他:内蔵鉄筋を接合材として用いたCFT柱-仕口接合部の力 学挙動,鋼構造年次論文報告集,第23巻,pp.763-770,2015.11. 鶴田他:内蔵鉄筋鋼材を用いたコンクリート充填鋼管部材継手

の引張実験-耐力評価法の確立と高強度化のための追加実験 -,日本建築学会研究報告九州支部第52号,pp617-620,2013.3. 縄愛子,喬崎雲,河野昭彦,窪寺弘顕:鉄筋内蔵CFTの継手 に関する研究 内蔵鉄筋の引抜き性状について,日本建築学会 研究報告,九州支部,第48号,pp.297-300,2009.3.

才木祐磨,松尾真太朗:定着板付き内蔵鉄筋を接合材とした角

形CFT柱継手部の曲げせん断性状,第12回複合・合成構造の 活用に関するシンポジウム,CD-ROM No.47,2017.11.

1)

2)

3)

4)

5)

6)

7) している.本試験体は0.02rad正側載荷時に内蔵鉄筋の 降伏により継手の降伏に至った.その後,若干のスリッ プ性状を含むものの,内蔵鉄筋の引抜き破壊が生じるこ

となく安定した履歴挙動を示していることから,内蔵鉄 筋の引抜き耐力算定法の有用性を確認することができ

た.また,曲げ耐力計算値については,降伏耐力が1~

2割,全塑性耐力が2~3割の差で評価できている.図

8(b)は各試験体の骨格曲線を示しているが,降伏耐力お

よび全塑性耐力に大きな差は見られないことから定着長 さが曲げ耐力に与える影響は小さいと考えられる.剛性 については,12Dが20Dに比べて1割程小さくなった.

 充填コンクリートには付着破壊およびコーン状破壊面

が確認された.しかし,コーン状破壊は載荷方向に対し て非対称的に生じていることから,最後の押し切り載荷 時に生じたものであると考えられる.

 図10では付着力が0.005rad付近で最大値となり,そ の後緩やかに低下していることから,付着破壊が生じてい

るが,引張力および荷重変形関係に影響はみられないこと

から,付着破壊が耐力に及ぼす影響は小さいと考えられる.

3. 3 定着長さが短い場合を考慮した弾性回転剛性評価方法  定着長さの短い試験体では,付着力だけでなく支圧力

でも鉄筋の引抜き力を負担するため,定着部では0とな

ることなく歪が生じている.しかし,既往の弾性回転剛

性算定法 4)

では定着部の歪を0と仮定するため,計算

値を過大評価してしまう.そこで剛性を適切に算出する

ためには,図11に示すような定着部における鉄筋歪が

0となる鉄筋応力負担領域rlaを求める必要がある.

 本継手部の特徴として鉄筋歪が最大になるのは継手部

近傍である.そして鉄筋およびコンクリートにおける付 着が引張力を負担するため,継手部から定着部に近づく

につれて,鉄筋に生じる歪は比例的に小さくなり,歪分 布は継手部を頂点とした三角形分布となる.

 このことから,鉄筋降伏応力を負担する付着長さを算

出することで,定着部における鉄筋歪が0となる鉄筋長

rl0が求められる.そして,鉄筋応力負担領域rlaを算

出し,既往の弾性回転剛性算定式に代入することで,定 着長さの短い場合における弾性回転剛性を算出する.

図11 内蔵鉄筋の歪分布の仮定 p r r

r c p

r y p r r a

r h D t l

l n A l

l

l + + ′− +

⋅ ⋅ ⋅ = +

= st ( )tanq max

. 0

r sy: 鉄筋降伏応力,r A: 鉄筋断面積, n: 最外縁引張鉄筋の本数

(4)

rlb

rl0H

rla

rl0

H rlp

降伏歪rey

鉄筋に生じる軸力[

k

N

] 700

600 500 400

300

200

100 0

0.02

0.01 0.03 0.04 0.05

継手回転角[rad] 支圧力 引張力 付着力

800

0

図9 充填コンクリート破壊状況

以下に鉄筋応力負担領域rlaの算出方法を示す.

(a)損傷部除去後 フランジ面 12D

(b)損傷部除去後 ウェブ面 12D

コーン状破壊面

参照

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主任審査委員 早稲田大学文学学術院 教授 博士(文学)早稲田大学  中島 国彦 審査委員   早稲田大学文学学術院 教授