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学位論文審査の要旨

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Academic year: 2021

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学 位 論 文 題 名

博 士 ( 理 学 ) 牛 窪    孝

タンタルおよびニオブ酸化物のキャラクタリゼーションと 固体酸触媒作用に関する研究

学位論文内容の要旨

く 序 > タ ン タ ル 、 お よ び ニ オ ブ は こ れ ま で 触 媒 分 野 で 使 川 実績 の 少 な ぃ元 素 で あ る。 本 研 究 は 、 タン タ ル 、 船よ び ニ オ ブ酸 化 物 の 物理 化 学的性 質、特 に、川 体駿rI! 質をし らべ、 その 特 州 ! をい か し た 触媒 と し て の可 能 性 を 探り 、 さらに 触媒の 素材と してこ れらの 酸化物 に注目 し 、 柵 造、 お よ び 酸性 質 が 制 御さ れ た 新 規の 固 体酸触 媒の設 計をrj的 として いる。 高い活 性、

選 択 性を ヵ す る 川体 触 媒 の 探索 が 求 め られ て い る が、 こ の 高 機能 触 媒 の 探索 に お い ては 、 触 媒 の 素材 の 発 捌 と表 而 反 応 場の 制 御 が 重要 で あ る 。本 研 究 の 遂行 に あ た り、 触 媒 調 製、 性 状 解 析、t'I: 能ふ`F価を紺 び付け 、これ らの結果 をもと に触媒 設計を 深化さ せるよ うに努 めた。

く 合/K駿 化 タ ンタ ル 、 合]k酸 化 ニオ ブ の 固 体酸 性 質 と 触媒 作J1]> 合/k駿化 タ ン タ ル、 お よ び 合rk酸 化 ニ オブ を 棚 製 し、 こ れ ら の岡 体 酸 性 質を し ら べ た。 両 肴 と もに 、 強 い 同体 酸 性 を 示 し 、Haminettの 駿度I瑚 数ではH0≦‑8.2を示 した。 この酸 強度は90%硫駿以 トにキH当する が、

瞰 独 の 金属 駿 化 物 とし て は 最 高の 値 で あ る。 こ れら合 水酸化 物は非 品質で あり、 カ‖熱 処理し 結rril/i化させ ると強 いI間体 酸性を 失った 。両者 を比較 すると 、合水酸化タンタルのヵが合水酸 化 ニ オ ブに 比 べ 、 ネAlI^化 温度が 高く、 耐熱性 に優れ ているこ とがわ かった 。さら に、合 水酸 化 タ ン タ ル は 合/k駿 化 ニ オ ブ に比 べ 、 強 い酸(Ho≦‑5.6) の 鼠が 多 く 、 また 、573Kで 真 空 排 気 さ れ たも と で は 、合 水 酸 化 ニオ ブ はBrons ted酸性 、Lewis酸性 両者を 示すが 、合/k酸 化タン タルではLewistgYyl‑.が支配rt0であるなどの違いが見いだされた。

  強 いI矧体 駿 他 を 示す 合 水 酸 化タ ン タ ル 、合 水 酸化ニ オブは 、竹稀の 酸触媒 反Lよに 活性を 示 し た 。具 体 的 に は、 ア ク リ ル駿 、 メ タ クリ ル 酸 の メタ ノ ー ル によ る エ ス テル 化 反 応 、ベ ン ゼ ン の エチ レ ン に よる ア ル キ ル化 反 応 、 アセ ト ン の アル ド ー ル 縮合 反 応 、 イソ ブ テ ン の水 和 反 応 に 触媒 活 性 を 示し 、 既 存 の固 体 酸 触 媒よ り も 高 い活 性 を 示 す例 が 見 い ださ れ た 。 特に 水 が 関5‑す る 反 応 に対 し 、 活 性、 選 択 性 の上 で 良 好 であ っ た 。 さら に 、 駿 化ニ オ ブ ( を合 む ) 触 媒 に よる 無/kマレ イ ン 駿 の液 キn′K素 化 反 応( 酸 化 ニ オブ に 担 持 され たCo・Pd触 媒 によ るy‑

butyrolactone、tetrahydrofuranの合成)、succinonitrileの部分水雨|反Lふ(合/k酸化ニオブ触媒に よ るロ‑cya nop ropiona mideの合 成)を 行なぃ 良好な 結果が 得られ、 ファインケミカルズ合成分 野への触媒としての¨「能性を示した。

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く 合 水 酸 化 タ ン タ ル 、 合/K酸 化 ニ オ ブ の 構 造 解 析 > こ れ ら の 合 水 酸 化 物 は 非 品 質 で ある た め 、 構 造に 剛す る 情報 は少 なぃ 。そ こ でEXAFSによ る構 造解 析を 彳 了な ぃ、 また 、表 面 科学 的 に モ デ ル 酸 化 物 を 調 製 し 、 そ の構 造や 吸着 特 性を しら べ、 それ ら の紺 栄か ら岡 体酸 性 の発 現 について考察した。ここでは主にニオブ酸化物を研究の対象とした。

  /K酸 化 ニ オ ブ の 構 造 は 、 こ れ ま で イ ソ ポ リ 酸 構 造 で ある と推 定さ れ てい たが 、EXAFS よ る解 析の 紺栄 、 合/k酸化 ニオ ブは イ ソポ リ駿 構造で はなく、紺iLiii他の駿化ニ オブとも構造 が興なることが`1!I亅1リJした。合水酸化ニオブでは、NbーO結合が均亠・ではなく、その秩序の低い 状態が酸性の発現に関係すると推定した。

  また、表ini科´糾′、J于法によりPt(11l)単結晶表tCii̲l̲に原了亠レベルで構造が制御された酸化ニ オ ブの 薄JJ襲を 形 成さ せ、 さらにAr゛イオン衝撃によ り酸素欠陥点を形成させ、酸 素穏の構造や 吸 肴特rI三 をし ら ぺた 。酸 素欠 陥点 が 低温 でも 水、 メ タノ ール 、エ チレ ンを化学 吸肴し、この 酸索欠陥点がlM体駿性発現に関係すると推察される。

く 酸 化 タン タル の 触媒 機能 のI勾上 >  ト融 の 結果 から タン タル 、 およ びニ オブ 酸化 物 を同 体 酸 触媒 の素 椡. と して 注f1し、特にタンタル酸化物に ついて、表ii駿刊:質が制御 された高機能 触媒の設計をはかった。

  第ー に1闘仆 駿rI:を さ らに 強め るこ とを ね らい、 合水酸化タンタルを硫駿によ り処理した。

その結果、駿 強度は−16.12くHo≦−13.75まで高まり、超強酸性が発現し、n・ブタンを寮温で異 性 化す る触 媒特 性 を示 した 。合 水酸 化 タン タル 表面 の 強いLewisWyl:が 硫酸処口nによりさらに 強 めら れる こと に より 趨強 酸性 が発 現 する と考 察し た 。さ らに 、こ のFl2S04/合/K駿化タンタ ル とPMo−V(・W)ヘテ ロポ リ 駿を 複合 化す る とイ ソブ タン のメ タ クロ レイ ン、 メタ ク リル 酸 への選択酸化反エふを進行させるようになった。

  第: にタ ンタ ル アル コキ シ‐ ドと シ リカ の表 面/K酸 基と の反 応に より 、シリカ に担持された 駿 化タ ンタ ル NF‖ 典の 調 製をifな った 。タ ン タルア ルコキシドのアルコキシ水の 称類、処理の 雰IJH気など のI調製条0トを制御すること により、シリカ表IniにItち 分散で均質な酸化タンタルを 形 成さ せる こと が でき た。 得られたシリカ表f酊|:の 酸化タンタルの状態をSEMEPMA,XAFS XPSにより解 析した。この酸化タンタル薄 膜は、1400K以Iこの高温で もネ;ffI鴇化せず、非咼質の 状態が保持さ れた。また、固体酸性質については、Hammettの駿度I剿数は、,5.6くH(J≦.3.0 あ り 、 さら にア ン モニ アの 昇温 脱離 や ピリ ジン の吸 着最 の 測定 から 、合/K駿化 タン タル 表I に 行 任 する 強駿 点 は酸 化タ ンタ ル薄 膜 には 存花 せず 、111程 度の 強 さの 駿点 が多 く存 征 する こ と がIリ亅らかとなった。こ の新たな酸点が形成される 様テをFT―IR拡散反射法によ り触媒調製過 程 を追 跡し て解1Jし た。 この シリ カ に担 持さ れた 酸 化タ ンタ ル薄 膜は 、合/K酸 化タンタルで は 、反 ↓ふ の選 択rト、 活 性の 安定 性に 問題 が あるシ クロヘキサノンオキシムの気 相ベックマン 転 位反Lふ、methyltert一butyletherの気棚分解反応に 良好な結果を示した。特に、 前者の反応に 対しては、オ キシム転化きキく96.5%、£一カプロラクタム選択卒97.5嘶を永し、経時的にも安定 で あ っ た 。 ま た 、 シ リ カ の 紬 孔構 造が 触媒 性 能の 上で 重受 な役 割 を架 たし 、活 性点 のit体 的 な配鐙が触媒rl!能に寄ケするものと考えられる。

  以 卜 本 研 究 で は 、 タ ン タ ル 、お よび ニオ ブ 酸化 物の 特性 を解 析 し、 これ らの 合/K酸 化物 の

‑82

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l

司体酸触媒作川をIリJらかにするとともに、これらの酸化物は同体酸触媒の素材としても注目 されるものであり、構造や酸性質を制御した新規の岡体酸触媒を調製し、その新たな触媒機 能を示した。

(4)

学位論文審査の要旨

主 査    教 授    市 川    勝    副 査    教 授    中 村 義 男 副 査    教 授    魚 崎 浩 平    副 査    教 授    竹 澤 暢 恒 副 査    教 授    服 部    英

学 位 論 文 題 名

タンタ ルおよ びニオブ酸化物のキャラクタリゼーションと 固体 酸触媒作用に関する研究

  

化学プロセスの効率を高める上で高い活性、選択性を有する固体触媒の探索が求められて いるが、この高機能触媒の探索におぃては、触媒の素材の発掘と表面反応場の制御が重要で ある。

  

本研究はこれまで触媒分野であまり研究がなされていなかったタンタル、.およびニオブ酸 化 物に 注目 し、 タン タル 及び ニオ ブ酸 化物 の表 面構 造や ガ ス吸着特性に関 して、

EXAFS

( 広域

X

線 吸収 微細 構造 )や 赤 外分 光法 、

XPS

X

線光 電子 分光 法)などの分光化学的手 法を応用して、構造解析の研究を行い、酸触媒活性の発現と酸素欠損構造との関係を明らか にした。さらにこれら酸化物表面の化学的反応性、特にこれまでになぃ強い固体酸性質を見 いだして、いくつかの有用な触媒反応に応用して、特異な固体酸触媒作用を見いだし、新し い触媒プ口セスを開拓してぃる。これらの研究成果は、工業的に有用な固体酸触媒の合理的 な設計に道を開くものである。

  

本研究で申請者は、まず、タンタル、およぴニオブの含水酸化物が強い固体酸性を示すこ とを見いだした。両含水酸化物ともにHammettの酸度関数ではHo≦‑8.2を示し、この酸強度は 単独の金属酸化物としては最高の値である。

  

これより申請者はこれら強酸性のタンタル、およぴニオブ酸化物の酸性質を詳しくしらべ るとともに、各種の酸触媒反応への応用を試みた。具体的には、アクリル酸のエステル化反 応、ベンゼンのアルキル化反応、アセトンのアルドール縮合反応などを行なぃ、申請者はこ れらの反応にタンタル、およびニオブ酸化物が既存の固体酸触媒よりも高い活性を示すこと を見いだした。

  

これらの含水酸化物は非晶 質であるため、構造に関する情報は少なぃ。そこで申請者は

EXAFS

によるキ冓造解析を行なぃ、また、表面科学的にモデル酸化物を調製し、その構造や吸着 特性をしらべ、それらの結果から酸触媒活性の発現を明らかにした。特に、タンタル、およ

‑84

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びニオブの含水酸化物の構造は これまでイソポリ酸構造であると推定されていたが、これら 含水酸化物はイソポリ酸構造で はなく、秩序の低いNb (Ta)−0結合状態が酸性の発現に関係 することを見いだした。さらに、表面科学的手法によりPt(111)単結晶表面上に原子レベル で構造が制御された酸化二オブの薄膜、およびAr+イオン衝撃により酸素欠陥点を形成させ、

酸素欠陥点に基づく酸触媒活性 の発現を明らかにした。酸触媒活性の発現メカニズムに関し たEXAFSなど、表面科学的解析手法の多元的応用は、今後広く固体酸触媒の探索と酸性発現を 解明する研究にっながる基本的研究成果とぃえる。

  

これらの研究に加え申請者は 、タンタル、およびニオブ酸化物を固体酸触媒の素材として 注目し、特にタンタル酸化物に ついて表面酸性質が制御された高機能触媒の合理的な表面設 計の方法について検討を加えた。

  

第ーに含水酸化タンタルを硫酸により処理し、超強酸性を発現させ、n―ブタンの骨格異性 化反応、イソブタンの選択酸化 反応を可能とした。この超強酸性発現を含水酸化タンタル表 面 の強 いLewis酸 性が 硫酸 処理 によ りさ らに 強め られ るこ とに よ る事 を明 らか にし た。

  

第二にタンタルアルコキシド とシリカの表面水酸基との反応により、シリカに担持された 酸化タンタル薄膜を調製し、SEM,

EPMA

,XAFS,XPSなどにより構造及び状態解析を行った。この 酸化タンタル薄膜は、酸化タン タル結晶内部とは構造、酸性質に関して全く異なる特性を有 することを見いだした。特に、 固体酸性についてはアンモニアの昇湿脱離やビリジンの吸着 量の測定から、酸化タンタル薄 膜は酸強度分布が制御されていることを明らかにした。この 新たな酸点の形成をFT‑IR拡散反射法により触媒調製過程を追跡してその発現メカニズムを解 明した。さらに、.このシリカに担持された酸化タンタル薄膜を用いてシク口ヘキサノンオキ シムの気相ベックマン転位反応 、methyl tert‑butVl etherの気相分解反応に展開して有用 触媒作用を見いだした。これら の研究成果は最先端の動的分光解析手法を駆使し、触媒調製 におぃての新しい化学気相同定 法を応用するなど目的とする固体酸性触媒の表面構造を精密 加工する手法を開拓することにより、得られたものである。

  

以上のように申請者はこれま で触媒分野で研究実績の少なぃタンタル、およぴニオブ酸化 物が特異な固体酸性質を示すことを見いだし、さらにEXAFS、FT‑IR、XPSなどを用いて構造解 析の研究を行なぃ、酸触媒活性の発現メカニズムを明らかにした。゛さらに、これら酸化物を 基礎とした触媒系が気相ベック マン転位反応、イソブタン酸化反応など工業的に有用でかつ 触媒探索の難度の高い反応への 有効性を見いだすなど、活性選択性を支配する表面機能を明 らかにした点におぃても、本論 文で得られている知見は学術上重要であると考えられる。こ れら 研 究業績は権威ある国際学術誌 に9編の原著論文、その他総 説を含む研究報告6編にま とめられ国際的にも高い評価を受けている。よって審査員一同は申請者が北海道大学博士(理 学)の学位を受けるのに十分な資格を有するものと認めた。

参照

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