• 検索結果がありません。

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 薬 学 ) 細 山 広 和

学 位 論 文 題 名

夕キシニンの誘導反応および生成物の構造に関する研究 学位論文内容の要旨

  タキ ソイ ドは 、6/8/6員環(/VB/C環) から 成る タ キサ ン骨 格を 有 し、 その 特異な構造 と 興味 深い 生物 活性 か ら全 合成 や構 造 活性 相関 等に 関する研究 が数多く行われてぃる。

タ キソ イド の誘 導反 応 では 、骨 格転 位 等の 特異 な反 応機構によ る生成物が得られること が 知られ てぃる。従って、タキソイド の化学的研究におぃては、 タキサン骨格の反応性、

お よびそ の立体構造の情幸&が重要で ある。本研究では、タキサ ン骨格の反応性を調べる 目 的で 、日 本産 イチ イTaxUscUspdafaSieb.etZucc.に 最も 多く 含 まれ るタ キソイドで あ るTaxinineを 用い た 誘導 反応 を計 画 した 。

  ー方 、当 研究 室で 見 い出 した 非タ キ ソー ル系 タキ ソイドの多 剤耐性癌細胞に対する抗 癌 剤蓄 積増 強作 用に つ いて 、そ の構 造 と活 性の 関係 を調べる目 的で、Taxinineの官能基 を 種々 変換 した 誘導 体 を調 製し 、そ れ らの 生物 活性 を調べた。 以下にその概要を記す。

1.  Taxinineの誘導反応

  生 合成 類似 経路に基づく4(20)‑エポキシド体からのオキセ タン環の構築を試みるため、

Taxinine誘 導 体 の4(20)‑エ キ ソ メ チ レ ン の 立 体 選 択 的 エ ボ キ シ 化 反 応 を 検 討し た。

Taxinine、TaxinineAお よ ぴTaxinineの5位の 官能 基を 変 換し た誘 導体 に、m‑ク口 口過 安 息 香酸(mCPBA)およ びジ メチ ル ジオ キシ ラン (DMD〇 )を 用 いてエボキシ化反応を試み た 。mCPBAを 用 い た 場 合 は 、5位の 官能 基 の種 類に 拘わ ら ず、 非天 然型 であ る ば‑4(20)

. エボキシド体が優先するか 、ロ・およびロ‑4(20)‑エポ キシド体が等量生成した。―方、

5位 に シ リ ル エ ― テ ル を も つ 化 合 物 のDMDOに よ る エ ボ キ シ 化 で は 、 天 然 型 で あ る ロ

‑4(20)‑エ ポ キシ ド体 が優 先し て 得ら れた。これらの立体選 択性は、タキソイドの19位メ チ ル 基と5位 官能 基に 起因 する 立 体障 害の影響によるものと 考えられた。このことから、

エ キ ソメ チレ ンに 隣 接す る官 能基 と酸 化 剤の 組み 合わ せに よ り立体選択的な4(20)‑工ボ キ シ化反応を見い出した。

  次 に、 エボ キシ 環 の開 環に 伴う オキ セ タン 環の 構築 、な ら びに 後述 するC環3.4位に 二 重 結合 を有 する 化 合物 の調 製を 目的 と して 、上 記で 得ら れ たタキソイドの4(20)‑工ポ キ シ ド 体 と ル イ ス 酸 と の 反 応 を 行 い 、 そ れ ら の 生 成 物 の 構 造 を 解 析 し た 。 ロ

‑4(20)‑Epoxy‑ 5‑O‑triethylsilyltaxinineAに、 三ふ っ化 ほ う素ジエチル工―テル錯体 (BF3 ‑ OEt2)を加えて反応さ せたところ、20位が減炭して3,5 ̄ジェンとなった化合物、3 位 と19位 メ チ ル 基 の 間 で シ ク ロ プ ロ バ ン 環 を 形 成 し た化 合物 、お よ び2位 と20位 間に THF環 、5位 と20位 間 に ジ オキ サン 環を 形 成し た化 合物 が 得ら れた 。ー 方、 相 当す るば

‑4(20)‑エ ボ キシ ド体 をBF3. 〇Et2で 処理したところ、C環が5員環に縮環した化合物、お よ び そ の ニ 量 体 、 な ら び に2位、4位、20位で オル トェ ス テル を形 成し た化 合 物が 得ら れ た 。ロ‑4(20)‑エボ キシ ド体 を 用い た場 合の 反 応機 構に つい て、 ま ず、 工ポ キシ 環の C‑O縮 合の 開 裂に 伴い 、ア ンチ ペ リブ ラナ ーな 位 置に ある3位 メチン水素の1,2‑ヒドリド

607 ‑

(2)

シフ卜が協奏的に起こり、3位がカルボカチオンとなった中間体が生成すると考えられ た。この中間体から、シエン体およびシク□ブロノヾン体が生成すると考えられた。―方、

a‑4(20)‑エポキシド体の場合、エボキシ環のC‑O結合と平行な位置にあるC5‑C6結合が、

エポキシ環の開裂に伴いビナコール型の転位が誘起され、C環が5員環に縮環した化合 物が得ら れると 考えられ た。従って、4(20)‑エポキシド体とルイス酸の反応では、

4(20)‑エポキシド部分の立体化学が反映された転位反応が進行し、各々全く異なった生 成物を与えることが示された。

  次に、タキサン骨格の生合成中間体と考えられる6/12員環のニ環性タキサン関連化合 物の骨格構築を目的とし、タキサン骨格のB/C環の開環反応を検討した。そこでまず、

C環3,4位に二重結合を有する化合物を調製するために、TaxinineAの5位水酸基の酸化 反応を行った。TaxinineAの5位水酸基を過ルテニウム酸イソプ□ビルアンモニウムで 酸化して5‑OxotaxinineAを調製したところ、室温でその一部がニ量体へと変化し、さら に80℃に加熱することにより、定量的に二量体が単ー生成物として得られることを見い 出した。 その平 面構造な らびに 立体化学 を、高 分解能FABMS、2次元NMRおよびX線 結晶解析により明らかにした。ニ量体は、2分子の5‑OxotaxinineAのC環エノン部分で、

位置および立体特異的なDiels‑Alder環化反応が進行して生成したものと推測された。こ の立体選択性は、タキサン骨格に特有のかご型構造、および19位メチル基による立体障 害に起因するものと考えられた。

  以上のように、Taxinineの誘導反応におぃて、タキサン骨格の立体構造に起因する転 位反応および立体選択性を伴った反応を見い出した。また、立体化学が異なる4(20)‑エ ボキシド体のルイス酸との反応や、Diels‑Alder反応によるニ量化は、タキソイドの誘導 反応としては最初であり、生成物も稀な構造を持っものが得られた。以上の結果から、

これらの反応機構および構造に関して、タキソイドの化学的研究における新たな知見が 得られた。

2.タキシニン誘導体の調製と抗癌剤蓄積増強作用

  当研究室で天然のタキソイドを用いて行ったこれまでの研究結果から、多剤耐性癌細 胞におぃて抗癌剤蓄積増強作用を示すタキソイドの構造上の特徴として、5位にシンナ モイル基を有してぃることを見い出してぃた。そこで、これらの構造と活性の関係を詳 細に調べる目的で、Taxinineの2位、9位、10位および13位にシンナモイル基、あるぃ は類するかさ高い官能基を導入した各種誘導体を調製した。

  得られたTaxinine誘導体について、多剤耐性癌細胞を用いた抗癌剤ビンクリスチンの 蓄積 増強作用を調べた結果、2位、5位または13ロ位にかさ高い官能基を1っだけ持つ 化合物にベラパミルと同程度から約1.5倍の蓄積増強作用が認められた。一方、2つ以 上のべンゾイル基またはシンナモイル基をもつ誘導体や、かさ高い官能基を持たなぃ誘 導体では弱い活性であった。以上の結果から、タキサン化合物の抗癌剤蓄積増強作用の 発現には、母核と側鎖、特にかさ高い官能基の組み合わせ、および相対的な位置関係が 重要であると考えられ、Taxinineなどの非タキソ―ル系タキソイドの抗癌剤蓄積増強作 用の構造活性相関における新たな知見が得られた。

‑ 608

(3)

学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

小 林 淳 一 森   美和子 濱 田 辰 夫 森 田 博 史

学 位 論 文 題 名

夕キ シ ニン の誘 導反応および生成物 の構造に関する研究

  タ キソ イ ド は、6/8/6員 環力 ` ら 成 るタ キ サ ン骨 格を有 し、ひ ずみのか カ`っ た 特 異 な か ご 型 構 造 と 興 味 深 い 生 物 活 性 か ら 、 構 造 解 析 、全 合 成 、生 物 活 性 等 に 関 する 研 究 が数 多 く 行わ れ て ぃる 。

  本 研 究 で は 、 タ キ サ ン 骨 格 の 反 応 性 を 調 べ る 目 的 で 、 日 本 産 イ チ イTaxus cuspidata Sieb. et Zucc.の主 タ キ ソイ ド で あるTaxinineを 用 い て誘 導 反 応を 種 々 検 討 し た 。 ま た 、Taxinineの 官 能 基 を 種 々 変 換 し た 誘導 体 を 合成 し 、 多 剤 耐 性 癌細 胞 に 対す る 抗 癌剤 蓄 積 増強 作 用 を 検索 し た 。

1.Taxinineの 誘 導 反 応

  Taxinine誘 導 体 の4(20)‑エ キ ソ メ チ レ ン に 隣 接 す る 官 能基 と 酸 化 剤の 組 み 合 わ せ に よ り 、 立 体 選 択 的 な4(20)‑エ ポ キ シ 化 の 条 件 を 見 い出 し た 。ま た 、 Taxinineの 各 種 誘 導 反 応 に お ぃ て 、 タ キ サ ン 骨 格 の 立 体 構造 に 起 因す る 転 位 反 応 およ び 立 体選 択 性 を伴 っ た 新 しぃ 反 応 をぃ く つ か見 い 出 した 。 た とえ ば 、 立 体 化学 が 異 なる4(20)一 工 ポキ シ ド 体の ル イ ス酸 と の 反応 や 、Diels‑Alder反 応 に よ る ニ 量 化 反 応 な ど で 、 天 然 か ら は 得 ら れ な ぃ き わ めて 稀 な 構造 を 持 つ タ キ サン 関 連 化合 物 が 得ら れ た 。

(4)

2.

タ キ シニ ン 誘導 体の 抗癌剤蓄 積増強作 用

  Taxinine

2

位、9 位、10 位 および

13

位 にシンナモイル基などのカ`さ高い 官 能基を導入 した各種 誘導体を 合成し、 多剤耐性癌細胞における抗癌剤蓄積 増 強作用 を調べた 結果、か さ高い官 能基を1 っ だけ持つ 化合物が顕 著な活性 を 示すことを 見い出し た。

  

以 上本研究で は、Taxinine を用 いてタキ サン骨格 の立体構造に起因する新 し ぃ反応をぃ くつか見 い出すこ とに成功 した。こ れらの結果は、タキサン骨 格 のもつ特異 な反応性 を実証す るととも に、天然 からは得られなぃ新しぃタ イ プのタキソ イドを供 給する方 法を示し たもので ある。また、官能基変換し た タ キソ イド の構造活 性相関に より、ベ ラパミルの

1.5

倍の活性 をもつ抗 癌 剤 蓄積増強作 用をもつ 化合物を 見い出す ことにも 成功している。本研究は、

タ キサン化合 物の新し ぃタイプ の反応の 発見、新 しぃタイプのタキソイドの

合 成法の開発 、多剤耐 性克服薬 としての タキソイ ドの可能性を示した、とぃ

う 点で天然物 化学の分 野で優れ た研究成 果をあげ たものと言える。本研究成

果 は、既に国 際学術雑 誌に発表 または受 理されて おり、博士(薬学)の学位

を 受けるに値 する業績 と判断さ れた。

参照

関連したドキュメント

3He の超流動は非 s 波 (P 波ー 3 重項)である。この非等方ペアリングを理解する

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

 この論文の構成は次のようになっている。第2章では銅酸化物超伝導体に対する今までの研

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

氏名 学位の種類 学位記番号 学位授与の日付 学位授与の要件 学位授与の題目

担い手に農地を集積するための土地利用調整に関する話し合いや農家の意

事前調査を行う者の要件の新設 ■