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キラルN ―オキシドを用いた不斉触媒反応 学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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     博 士 ( 薬 学 ) 齊 藤 学 位 論 文 題 名

キラルN ―オキシドを用いた不斉触媒反応 学位論文内容の要旨

  N., オキ シド は. Lewis塩 薦竹 :. 水素 結合受容能が高い特異な官能慕 であり,有 機 合成 化学 の分 野に おいてもilihl広く利J.1] されている。しかし,N−オ キシドを触 媒 や触 媒のi叱位 了 とし て川 いた 有機 合成 反応 は ほと んど 知ら れて いなか′Jた。そ こ で 筆 者 はNー オキ シド の新 たな 可 能性 を開 拓す べく ,ジ メチ ルビ キノ リンN,N.‐

ジ オ キ シ ド (1) や ビ イ ソ キ ノ リ ンN,N. ― ジ オ キ シ ド(2)を 用 い た 不 斉 触 媒 反 応 の 開 発 を 試 み た 。 そ の 結 果 , (1) キ ラ ルNー オ キ シ ド を 触 媒 と し た ア1Jル ト ル ク 口 ロ シ ラ ン に よ る ア ル デ ヒ ド の イ く 斉 ア リ ル 化 反 応 , (2) キ ラ ルN‑オキ シド を触 媒 と し た 四 塩 化 ケ イ 素 に よ るmeso‑エ ポ キ シ ド の 不 斉 開 環 反 応 , (3) キ ラ ルN― オ キ シ ド ー ヨ ウ 化 カ ド ミ ウ ム 錯 体 を 触 媒 と し た チ オ ー ル の 不 斉 共 役 付 加 反 応 の 開 発 に成 功し た。

(1) キ ラ ル 〜 − オ キ シ ド を 触 媒 と し た ア リ ル 卜 リ ク 口 口 シ ラ ン に よ る ア ル デ ヒ ドの不斉アリル化反応

  小 林 ら に よ りDMFをLewis塩 捲 反J心 活 性 化 剤 と し た ア リ ル ト リ ク 口 ロ シ ラ ン に よ る ア リ ル 化 反 応 が 報 告 さ れ て い る 。 こ の 反 応 で は ,Lewis塩 基 が ケ イ 素 に 配 位 し , さ ら に ア ル デ ヒ ド の カ ル ボ ニ , レ 酸 素 原予 がケ イ素 に配 位し た 六貝 環い す型 遷 移 状 態 を 経 山 し て 反 応 が 進 行 し て い る と 考 え ら れ て い る 。 筆 者 は ,Lewis塩 基 性 の 高 いN― オ キ シ ド が 本 反 応 の 触 媒 と な る こ と を 期 待 し て 検 討 を 行 っ た 。   1をIO moI% 門jい て べ ン ズ ァ ル デ ヒ ド の ア リ ル 化 反 応 を 試 み た と こ ろ , 反 応 は f・rj滑に逆 行し,71%のイく斉収 蕃でホモアリルアルコーールが得られた。稀々反心条 件 を 検 討 し た 結 米 , 興 味 深 い こ と に ジ イ ソ プ 口ピ ルエ チル アミ ンを 添)JIJする と反 応述 度が さら にI句 亅| する こと を児Ilnし た。 これにより―78゜Cにおいても反応を円 i1!tに 進 行 さ せ る こ と が 町 能 と な り , イ く 斉 収 率 は88%に ま で 向 ト し た 。

; ま た , 対 応 す る ア1Jル ク ロ リ ド か ら ア リJレ ト リ ク ロ ロ シ ラ ン を 合 成 し ,こ れを

・単 離ネIぢ製 せず にそ のま まワ ンポ ット で統 くア ルル化反応に川いた場合でも同程度 のキ 、お 果が 得ら れる こ とが わか った 。こ の改 良法 によ り, 蒸留 精製 中に 異性化する ことが尖J.lられてしゝるプロノヾルギ ルトリク口口シラン・アレニルトリク口ロシラン を 小 林 ら の 報r一 に 薙づ きそ れぞ れ選 択的 に合 成し ,ホ ・于 法に てア ル デヒ ドと 反応

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(2)

さ せ た と こ ろ , プ ロ ノ ヾ ル ギ ル / ア レ ニ ル ト リ ク 口 口 シ ラ ン か ら それ ぞ れ 光学 活 性 な ホ モ ァ レ ニ ル / ホ モ プ 口 パ ル ギ ル ア ル コ ー ル を 選 択 的 に 得 る こ と が で き た。

  本反応では,・. 座nじ位j′.のN―オキシドはiji.l,j^.配付二ナのN−オキシドよりも触媒 活 性 がI笥 い こ と な ど か ら , 遷 移 状 態 に お い てNー オ キ シ ド が ケ イ素 に 対 し二 座 配 位 し て い る こ と が 考 え ら れ る 。 ピ リ ジ ンNー オ キ シ ド を 配 位 子 と し た ア リ ル ト リ ク 口 ロ シラ ン に よる ホ ル ムア 彫 デ ヒド の 気 棚f| | での ア リ 渺化反応 について 計算化 学 に 捲 づ ぃ た 考 察 を 行 っ た と こ ろ , ピ リ ジ ンN− オ キ シ ド が ケ イ 素 に2分 子 配 位 し,J,Il:IL化物イオンがJ分r‑ffj7.離したンIく配位シリカートによる遷移状態が,ピリジ ンN‑オ キ シ ド が ケ イ 素 に1分 子 配 他 し た 六 配 位 シ リ カ ー ト に よ る 遷 移 状 態 よ り も エ ネ ル ギ ー準 位 が 極め て 低 いと ぃ う 糸占 果 が 導か れ た 。こ の 結 果 は, 本 反 応に は 2つ のN‑オ キ シ ド の ケ イ 素 に 対 す る 配 位 が 極 め て 重 要 で あ る こ と を 示 し て い る 。

(2) キ ラ ル 〜 . オ キ シ ド を 触 媒 と し た 四 塩 化 ケ イ 素 に よ るmeso‑エ ポ キ シ ド の 不 斉開 環 反 応

  キ ラ ルN‑オ キ シ ド を 触 媒 と し た ア リ ル ト リ ク 口 口 シ ラ ン に よ るmeso− エ ポ キ シ ドの イ く 斉ア リ ル 化を 試 み たと こ ろ ,得 ら れ た生 成 物 は ,ll的 とし た ア リル 化体 で は な く , ア リ ル ト リ ク ロ 口 シ ラ ン か ら 脱 離 し た 塩 化 物 イ オン が エ ポキ シ ド を攻 撃 し た こ と に よ り 生 成 し た ク ロ 口 ヒ ド リ ン 体 で あ っ た 。 そ こで 本 反 応に つ い てさ ら に 検 討 し た と こ ろ , 凹 塩 化 ケ イ 素 をJHい ,2を 触 媒 と す る とCIS‑ス チ ル ベ ン オ キ シ ド か ら 対 応 す る ク ロ 口 ヒ ド リ ン が 不 斉 収 率90%で 得 ら れ る こ と を 見 出 し た 。

(3) キ ラ ル 〜 ー オ キ シ ド ‐ ヨ ウ化 カ ド ミ ウム 錯 体 を触 媒 と した チ オ フェ ノ ー ルの 不斉共役付加反応

  N− オ キ シ ド は 愉 カ な 水 素 結 合 受 容 体 と し て 知 ら れ て い る 。 筆 者 は , 水 素 結 合 形 成 に よ り1が チ オ ー ル の 求 核 性 を 高 め , か つ 効 果 的 に エ ノ ン の エ ナ ン チ オ 両 を 選 択 す る こ と を 期 待 し , チ オ ` − ル の 触 媒 的 不 斉 共 役 付 加 反応 の 検 討を 始 め た。

  触 媒 と し てIO Jnol% の1を 川 い, ぢ ≦ 温に て2ーシ ク ロ ヘキ セ ノ ンと チ オ フウ ノ ー ル を 反Lむ さ せ た と こ ろ , 期 待通 り に 反 応は 遊 行 した も の の, そ の 速度 は 遅 く,

付 カ 「I体 の 不斉 収 率 もほ と ん ど得 ら れ な かっ た 。 そこ で 反応速度 と選択 性を向上 さ せ る た め に .Lewis職 の 添 カ ‖ を 試 み た 。 種 々 検 討 し た 結 果 ,Lewis酸 と し てヨ ウ 化カドミウムを川いると反Lb jA度・イく卉亅l乂゜蕃がともに人きくl司.卜し,イく斉収率は 78%に ま で 向1 . した 。 ま たヨ ウ 化 カ ドミ ウ ム と1の 比 につ い て 検討 し た とこ ろ ,1 は, 触t楽 である ヨウ化カ ドミウ ムの 1く斉配 位j'.と して機能しており,1:1の比で 錯体を形成していることがポ唆された。

  様 々 な 不 飽 平I亅 カ ル ボ ニ ル化 合 物 に 対す る 共 役付 加 反 応に つ い て検 討 し たと こ ろ , 本反 応 は イく 飽 和 アル デ ヒド に対して も適川す ること ができ, 良好な イく斉収 率 で付カ‖体が得られることを儿iinした。

(3)

  

本反J .ビのメカニズムの解明を11 的として櫛々検討したところ,本反応では炭素

― 炭素 :m 結合へ のカ ドミ ウム 錯体 のI 〜こ他 が重 要で ある こと が示唆された。

(4)

学位論文審査の要旨 主査    教授    橋 本俊一 副査   教授   森   美和子 副査   助教授   中島   誠 副査   助教授   佐藤美洋

学 位 論 文 題 名

キラル N ―オキシドを用いた不斉触媒反応

  本 論 文 は , キ ラ ルN― オ キ シ ド を 触 媒 ・ 触 媒 の 配 位 子 と し た 不 斉 反 応 に 関 す る も の で あ る 。Nー オ キ シ ド は ,Lewis塩 基 性 ・ 水 素 結 合 受 容 能 が 高 い 特 異 な 官 能 基 で あ り , 有 機 合 成 化 学 の 分 野 に お い て 幅 広 く 利 用 さ れ て い る 。 し か し , へ ′ ― オ キ シ ドを 触媒 や触 媒の 配 位子 とし て用 いた 有機 合成 反応 はほ と ん ど 知 ら れ て い な か っ た 。 そ こ で 著 者 は ,N― オ キ シ ド の 新 た な 可 能 性 を 開拓すべく,著者の所属 する研究室にて開発された3,3|‐ジメチル‐2,2|‐ビキ ノ リ ンN,Nー ジ オ キ シ ド を は じ め と す る キ ラ ルN‑オ キ シ ド 用 い た 不 斉 触 媒 反 応の開発を試みた。

  ま ず 初 め に , 著 者 は キ ラ ルN― オ キ シ ド を 触 媒 と し た ア リ ル ト リ ク 口 口 シ ラ ン に よ る ア ル デ ヒ ド の 不 斉 ア リ ル 化 反 応 の 開 発 に 取 り 組 ん だ 。 最 近 、DMF をLewis塩 基 反 応 活 性 化 剤 と し た ア ル ル ト リ ク 口 口 シ ラ ン ↓ こ よ る ア リ ル 化 反 応 が , 小 林 ら に よ り 報 告 さ れ た 。 著 者 は ,Lewis塩 基 性 の 高 いN‑オ キ シ ド が 本 反 応 の 触 媒 と な る こ と を 期 待 し て 検 討 を 行 っ た 。 そ の 結 果 , ジ イ ソ プ 口 ピ ル ェ チ ル ア ミ ン 存 在 下 , ―78°Cに て キ ラ ルN,N‑ジ オ キ シ ド を 触 媒 と し て 用 い る こ と に よ り , 最 高92010の 不 斉 収 率 で 生 成 物 を 得 る こ と に 成 功 し た 。 ま た , 対 応 す る ア リ ル ク ロ リ ド か ら ア リ ル 卜 リ ク 口 口 シ ラ ン を 合 成 し , こ れ を 単 離 精 製 せ ず に ワ ン ポ ッ ト で 続 く ア リ ル 化 反 応 に 用 い る と い う 改 良 法 に よ り , 蒸 留 生 成 が 困 難 で あ る と 考 え ら れ る ア リ ル ト リ ク 口 口 シ ラ ン 誘 導 体 を 用 い た 不 斉 ア リ ル 化 反 応 を 実 現 す る こ と が で き た 。 こ の 改 良 法 に よ り さ ら に , 蒸 留 精 製 中 に 熱 に よ り 異 性 化 す る こ と が 知 ら れ て い る プ 口 パ ル ギ ル 卜 リ ク 口 口 シ ラ ン ・ ア レ ニ ル 卜 リ ク 口 口 シ ラ ン を 単 離 す る こ と な く , プ 口 パ ル ギ ル ク □ リ ド ・ ア レ ニ ル ク 口 リ ド か ら そ れ ぞ れ 光 学 活 性 な ホ モ ア レ ニ ル ア ル コ ー ル ・ ホ モ プ 口 バ ル ギ ル ア ル コ ー ル を 選 択 的 に 得 る こ と に 成 功 し た 。 ま た , 本 反 応 に お け る ジ イ ソ プ 口 ピ ル エ チ ル ア ミ ン の 添 加 に よ る 反 応 加 速 の メ カ ニ ズ ム の 解 明 に つ い て 検 討 し , 反 応 の 加 速 は ア ミ ン に よ る 触 媒 再 生 の 促 進 に 由 来 す る こ と を 明 ら か に し た 。 さ ら に 著 者 は , 分 子 軌 道

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計 算 や密 度 汎関 数 法 によ る計算を 利用し, 本反応の 遷移状態 について 詳細 に考 察し,N− オキシドが ケイ素に 対し二座 配位する ことが極 めて重要であ る こ とを 示 した 。 な おか つ,本反 応の反応 経路や触 媒再生過 程および ェナ ン チ オ選 択 性の 発 現 機構 について も詳細に 考察し, 実験結果 と合致す る結 諭を導いた。

  続い て著者は ,キラルN− オキシド を触媒とした四塩化ケイ素によるmeso‑

エポキシドの不斉開環反応の開発,に取り組んだ。キラル〃,″−ジオキシドを 触媒 としたア1」ルトリク 口口シラ ンによるmeso‑工ポキシドの不斉アルル化 を 試 みた と ころ , 得 られ た生成物 は,目的 としたア リル化体 ではなく ,ア リ ル 卜リ ク 口口 シ ラ ンか ら脱離し た塩化物 イオンが エポキシ ドを攻撃 した こ と によ り 生成 し た ク口 口ヒドリ ン体であ った。そ こで本反 応につい てさ らに検討したところ,四塩化ケイ素を用い,キラル〃,″‐ジオキシドを触媒 とす るとCIS‑スチ ルベンオキ シドから 対応するク口口ヒドリンが最高不斉収 率90a/oで 得られる ことを見出 した。ま たさらに ,本反応 のメカニ ズムにつ いても考察を行った。

  さら に 著者 は , キラ ルN‑オキシド・ ヨウ化カ ドミウム 錯体を触 媒とした チオ ールの不 斉共役付加 反応の開 発を行っ た。N―オ キシドは 強カな水素結 合受 容体とし て知られて いる。著 者は,水素結合形成によルキラルN,N'―ジ オ キ シド が チオ ー ル の求 核性を高 め,かつ 効果的に ェノンの エナンチ オ面 を 選 択す る こと を 期 待し ,チオー ルの触媒 的不斉共 役付加反 応の検討 を始 めた 。まず著 者は,キラル〃,N‑ジオキシドを触媒とし,室温にて2―シク口 ヘ キ セノ ン とチ オ フ ェノ ールを反 応させた ところ, 期待通り に反応は 進行 し た もの の ,そ の 速 度は 遅く,付 加体の不 斉収率も ほとんど 得られな かっ た。 そこで反 応速度と選択性を向上させるために,Lewis酸の添加を試みた。

種々 検討した 結果,Lewis酸と してヨウ 化カドミ ウムを用 いると反 応速度・

不斉 収率がと もに大きく 向上し, 不斉収率 は78010にまで 向上した 。詳細な 条件 検討の結 果,キラルN,N―ジオキ シドは, 触媒であ るヨウ化 カドミウム と1:1の比 で 錯体 を 形 成す る 不斉 配 位 子と し て機 能 し ているこ とが示唆 さ れ た 。様 々 な不 飽 和 カル ボニル化 合物に対 する共役 付加反応 について 検討 し た とこ ろ ,本 反 応 は不 飽和アル デヒドに 対しても 適用する ことがで き,

良 好 な不 斉 収率 で 付 加体 が得られ ることを 見出した 。チオー ルの不飽 和ア ル デ ヒド ヘ の不 斉 共 役付 加反応は 前例がな く,著者 により初 めて達成 され た 。 また 著 者は , 本 反応 のメカニ ズムの解 明を目的 として種 々検討し たと ころ ,本反応 では炭素一 炭素二重 結合へのカドミウム錯体の配位が重要であ ることを明らかにした。

  以上 , 著者 の 研 究は 有 機合成化学 におけるN‑オキシド の新たな 可能性を 開拓したものと考えられる。

  した が って , 審 査委 員 会は斉藤真 氏の論文 が博士( 薬学)の 学位を受 け るのに十分値するものと認めた。

参照

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