博 士 ( 工 学 ) 中 村 拓 郎
学 位 論 文 題 名
ポーラスコンクリートの耐凍害性評価に関する研究 学位論文内容の要旨
コ ン ク リ ー ト は 社 会 基 盤 整 備 の 主 たる 材 料 と し て、 土 木 ・ 建 築に 古 く か ら 利用 さ れ 、 経 済 ・文 化 の 発 展 に 大 き く 貢 献 し て きた 。 近 年 で は、 持 続 的 開 発可 能 教 社 会 基 盤整 備 を 理 念 とし た 多 機 能 ・多 様 性 の あ る 建 設 材 料 の 開 発が 望 ま れ て おり 、 こ う し た社 会 的 背 景 か ら考 案 さ れ た のが ポ ー ラ ス コン ク リ ー ト ( 以 下 :POC)で あ る 。POCは 全 体 積 の10%か ら30%を 占 め る 連 続 し た 粗 大 空 隙 構 造 を 保 有し、 これに よって 「透水 ・排 水」、 「吸音 ・騒音 低減」、「自然・生態系の保全」、「水質浄化」、「吸 熱 ・ 断 熱 」 と 多 く の 機 能 を 有 す る 環 境 負 荷 低 減 型 材 料 と し て 期 待 さ れ て い る 。 POCは 水 際 で 使 用 さ れ る 機 会 が 多 く 、 そ の 多 孔 質 教 構 造 か ら 寒 冷 地 で の 厳 し い 凍 害 劣 化 が 危 惧 さ れ て い る 。 し か し を が ら 、POCの 凍 害 機 構 は 解 明 さ れ て お ら ず 、 耐 凍 害 性 を 評 価 す る た め の 試 験 方 法 や 評 価 基 準 に 関 す る規 格 は 存 在 しを い の が 現 状で あ る 。 ま た 、一 般 的 教 コ ンク リ ー ト に 比べ てPOCの 施 工 歴 は 浅 く 、 実 環 境 に お け る 凍 害 劣 化 形 態 の 把 握 が 十 分 に 行 わ れ て い 教 い 。 従 っ て 、 寒 冷 地 で のPOCの 適 切 を 利 用 の た め に は 、 実 環 境 に お け る 凍 害 劣 化 形 態 を ふ ま え た 耐 凍 害 性 評 価 手法を 詳しく 検討す る必要 があ る。
本 論 文 で は 、 ま ず 、POCの 凍 結 融 解 試 験 方 法 と 耐 凍 害 性 に つ い て 検 討 す る た め に 、 一 般 的 を コ ン ク リ ー ト に 適 用 さ れ て い る4種 の 凍 結 融 解 試 験 を 実 施 し 、 試 験 方 法 の 違 い に よ っ てPOCの 劣 化 性 状 や 耐 凍 害 性 評 価 が 大 き く 異 を る こ と を 示 す と と も に 、POCの 耐 凍 害 性 が ー 概 に 低 い わ け で は 教 い て と を 明 ら か に し た 。 次 に 、 実 際 に 寒 冷 地 に 施 工 さ れ たPOCを 調 査 す る こ と に よ っ て 、 供 用 期 間 が 数 年 間 で あ れ ばPOCの 劣 化 性 状 は 主 と し て ス ケ ー リ ン グ 劣 化 で あ り 、10年 以 上 供 用 さ れ た 場 合 に は 粗 大 空 隙 が 常 時 飽水 さ れ て い をい 環 境 で も ひび 割 れ が 生 じ る場 合 が あ る こと を 確 認 し た。
さ ら に 、 供 用 期 間 中 に 強 度や ス ケ ー リ ング 抵 抗 性 が 低下 し て い る こ とを 明 ら か に した 。 こ れ ら の結 果 を ふ ま え て 、POCの 凍 害 に お け る 吸 水 挙 動 と ス ケ ー リ ン グ 挙 動 を 詳 細 に 検 討 し た 。 粗 大 空 隙 構 造 を 有 す るPOCで は 、 常 温 下 と 凍 結 融 解 作 用 下 の 吸 水 挙 動 が 異 誼 る 傾 向 を 示 し 、 凍 結 融 解 作 用 に と も を う 吸 水 量 がPOCの ス ケ ー リ ン グ 抵 抗 性 と 関 連 す る こ と を 明 ら か に し た 。 ま た 、 一 般 的 誼 コ ン ク リ ー ト で は 表 面 劣 化 であ る ス ケ ー リン グ が た だ ちに 内 部 劣 化 へ と進 行 す る こ とは 考 え 難 い が、
モ ル タ ル 部 が 少 を いPOCで は 相 対 動 弾 性 係 数 や 強 度 の 低 下 に 関 連 す る ス ケ ー リ ン グ 量 の 闘 値 の 存 在 が 認 め ら れ た 。 こ の こ と か ら 、 ス ケ ー リ ン グ 抵 抗 性 はPOCの 耐 凍 害 性 評 価 の 指 標 の ひ と つ と し て重要 であり 、スケ ーリン グに よるPOCの耐 凍害性 評価基 準を 提案し た。
本論文 は6章で構 成され 、各 章の概 要を以 下に示 す。
第1章 は 序 論 で あ り 、 研 究 の 背 景 、 一 般 的 ぬ コ ン ク リ ー ト の 凍 害 機 構 に 関 す る 既 往 研 究 やPOC
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に関する凍害研究の現状、本研究の目的、本論文の構成を示した。
第2章では、空隙率、強度、透水係数といった本論文で取り扱うPOCの基礎的性質を確認する ことを目的として、フレッシュ性状や配合設計および練混ぜと締固めに関する製作方法、空隙構造 や強度をどについての既往研究を整理し社がらまとめた。
第3章では、国内で一般的を凍結融解試験であるJISA1148 A/B法に加えて、スケーリング抵 抗性や凍結融解作用下での吸水量の測定が可能と教るRILEM CIF/CDF法を実施し、これら4種 類の凍結融解試験によってPOCの凍結融解試験方法と耐凍害性について検討した。凍結時に粗大 空隙が飽水し、かつ排水性が失われている場合にはPOCの耐凍害性は著しく損教われることが確 認された。この一方で、凍結時に排水性が確保されている場合には、POCの凍害損傷は軽微と顔 り、さらに厳しい凍害を受ける塩分環境下での凍結融解作用にもPOCはある程度の耐凍害性を保 有することが明らかに顔った。このように、凍結融解作用を受ける条件によってPOCの劣化性状 や耐凍害性評価は異誼り、POCの耐凍害性が一概に低いわけでは怨いことを明らかにした。
第4章では、寒冷地で数年間供用された河川護岸プロックおよび道路舗装用POCを対象とした 3つの事例調査によって供用期間中の基礎的性質や耐凍害性の変化を検討した。厳しい凍結融解作 用を受ける環境におけるPOCの劣化性状は、3から5年程度の供用期間では主にスケーリングに よるモルタル部の軽微教損傷であり、供用期間が10年程度に橡ると一部でひび割れの発生が認め られる場合もあった。さらに、過酷塩凍結融解作用を受けるよう顔環境に施工されたPOCでは、
施工年数の経過にとも教って強度やスケーリング抵抗性が低下していることが明らかに顔った。
第5章で は、第3章と第4章の結果をふまえて、スケーリング試験であるRILEM CIF/CDF法 によってPOCの凍害における吸水挙動とスケーリング挙動について詳細に検討した。POCは粗大 空隙構造を有するために常温下と凍結融解作用下の2つの吸水挙動に区別して考えられることが明 らかに叔った。常温下での吸水挙動は粗大空隙構造による影響を受け、使用する砕石の骨材径が小 さいほど吸水量が大きく教ることが確認された。結合材としてのモルタル部の吸水が主と誼る凍結 融解作用にとも教う吸水量はスケーリング抵抗性と良好を関係を示し、この凍結融解作用にとも社 う吸水量が小さいほど高いスケーリング抵抗性を有することが明らかに顔った。POCのスケーリ ングを抑制するためには、一般的誼コンクリートと同様にAE剤による空気連行が有効であること が確認された。また、一般的をコンクリートでは、スケーリング量と相対動弾性係数は異顔る劣化 現象から得られる指標として区別されるが、POCでは相対動弾性係数や強度の低下と密接に関連 するスケーリング量の闘値が存在することが明らかに橡った。このことからスケーリング抵抗性は POCの耐凍害性評価の指標のひとつとして重要であることが示され、RILEM CIF/CDF法を用い た ス ケ ー リ ン グ に よ るPOCめ 耐 凍 害 性 評 価 に お け る 基 準 値 の 一 例 を 提 案 し た 。 第6章は総括であり、本論文より得られた成果をまとめて結諭を示すとともに、今後の展望を述 べた。
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学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
ポーラスコンクリートの耐凍害性評価に関する研究
近年、持続的開発可能顔社会基盤整備を理念とした多機能性建設材料の開発が望まれており、こ うした社会的背景から考案された建設材料のーづがポーラスコンクリート(以下、POCと呼ぶ)で ある。POCは全体積の10 010から30%を占める連続した粗大空隙構造を有し、これにより透排水、
吸音・騒音の低滅、自然・生態系の保全、水質浄化、吸断熱教どの機能を有する環境負荷低減型材 料として期待されている。
POCはその特徴から、水際で使用される機会が多く、その多孔質教構造から寒冷地での厳しい 凍害劣化が危惧されている。しかしをがら、POCの凍害機構は解明されておらず、耐凍害性を評 価するための試験方法や評価基準に関する規格は国内外を問わず見受けられ教い。また、比較的新 しい材料であるため、実環境における凍害劣化形態の把握が十分に行われてい教い。従って、寒冷 地でのPOCの適切顔利用のためには、凍害劣化形態をふまえた耐凍害性評価手法の確立が望まれ ている。
本論文では、POCの耐凍害性を詳しく評価するために、実験室レベルでの耐凍害性の挙動に加 え、供用されているPOCの現場調査とサンプル試験によりPOCの寒冷地における耐凍害性の状 況を明らかにしている。
本論文は6章で構成され、各章の概要を以下に示す。
第1章は序論であり、研究の背景、一般的款コンクリートの凍害機構に関する既往研究やPOC に 関 す る 凍 害 研 究 の 現 状 、 本 研 究 の 目 的 、 本 論 文 の 構 成 を 示 し て い る 。 第2章では、空隙率、強度、透水係数といった本論文で取り扱うPOCの基礎的性質を纏めてい る。フレッシュ性状や配合設計および練混ぜと締固めに関する製作方法、空隙構造や強度顔どにつ いての既往研究を整理している。
第3章では、国内で一般的顔凍結融解試験であるJISA1148 A/B法に加えて、スケーリング抵 抗性や凍結融解作用下での吸水量の測定が可能と譟るRILEM CIF/CDF法を実施し、これら4種 類の凍結融解試験によってPOCの耐凍害性について検討している。凍結時に粗大空隙が飽水し、
かつ排水性が失われている場合にはPOCの耐凍害性は著しく損顔われること、凍結時に排水性が 確保されている場合には、POCの凍害損傷は軽微とをり、さらに厳しい凍害を受ける塩分環境下 での凍結融解作用にもPOCはある程度の耐凍害性を保有することを明らかにしている。このよう に、凍結融解作用を受ける条件によってPOCの劣化性状や耐凍害性評価は異改り、POCの耐凍害 性が一概に低いわけでは款いことを指摘している。
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敬 志
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授 授
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第4章では、寒冷地で数年間供用された河川護岸プロックおよび道路舗装用POCを対象とした 3つの事例調査によって供用期間中の基礎的性質や耐凍害性の変化を検討している。厳しい凍結融 解作用を受ける環境におけるPOCの劣化性状は、3年から5年程度の供用期間では主にスケーリ ングによるモルタル部の軽微教損傷であり、供用期間が10年程度に教ると一部でひび割れの発生 が認められる場合があることを明らかにしている。
第5章では、スケーリング試験であるRILEM CIF/CDF法によってPOCの凍害における吸水挙 動とスケーリング挙動について詳細に検討している。POCは粗大空隙構造を有するために常温下 と凍結融解作用下の2つの吸水挙動に区別して考えられ、常温下での吸水挙動は粗大空隙構造によ る影響を受け、使用する砕石の骨材径が小さいほど吸水量が大きくをることを明らかにしている。
結合材としてのモルタル部の吸水が主と顔る凍結融解作用にとも教う吸水量はスケーリング抵抗性 と良好を関係を示し、この凍結融解作用にともをう吸水量が小さいほど高いスケーリング抵抗性を 有することを明らかにしている。POCでは相対動弾性係数や強度の低下と密接に関連するスケー リング量の閲値が存在することを示し、スケーリング抵抗性はPOCの耐凍害性評価の指標のひと つとして重要であることを指摘し、RILEM CIF/CDF法を用いたスケーリングによるPOCの耐凍 害性評価における基準値を提案している。
第6章は総括であり、本論文より得られた成果をまとめて結論を示すとともに、今後の展望が述 べられている。
これを要するに、著者は、寒冷地におけるコンクリート構造物の耐久性向上に不可欠詮コンク リートの凍結融解作用の解明とその改善対策を検討し、ポーラスコンクリートの耐凍害性を評価す る場合のスケーリング劣化の重要性を指摘し、その評価方法を提案したものである。コンクリート 工 学 お よ び 構 造 物 の 維 持 管 理 工 学 の 発 展 に 寄 与 す る と こ ろ 大 を る も の が あ る 。 よ って著者 は、北 海道大学 博士(工 学)の 学位を授 与される資格あるものと認める。
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