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鈴木倫毅 学位論文審査要旨

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Academic year: 2021

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平成19年3月

鈴木倫毅 学位論文審査要旨

主 査 佐 藤 建 三 副主査 林 眞 一 同 畠 義 郎

主論文

Endosomal accumulation of Toll-like receptor 4 causes constitutive secretion of cytokines and activation of signal transducers and activators of transcription in Niemann-Pick disease type C (NPC)fibroblasts: a potential basis for glial cell activation in the NPC brain

(ニーマン・ピック病C型(NPC)繊維芽細胞においてエンドソームでのToll-like receptor 4 の蓄積はサイトカインの恒常的分泌とシグナル・変換・活性化に関する転写因子の活性化 を引き起こす: NPC脳でのグリア細胞活性化の原因である可能性)

(著者:鈴木倫毅、杉本優子、大﨑雄樹、上野誠、加藤信介、北村幸郷、細川浩、Joanna P.

Davies、Yiannis A. Ioannou、Marie T.Vanier、大野耕策、二宮治明)

平成19年2月 The Journal of Neuroscience 27巻 1879頁~1891頁

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学 位 論 文 要 旨

Endosomal accumulation of Toll-like receptor 4 causes constitutive secretion of cytokines and activation of signal transducers and activators of transcription in Niemann-Pick disease type C(NPC) fibroblasts: a potential basis for glial cell activation in the NPC brain

(ニーマン・ピック病C型(NPC)繊維芽細胞においてエンドソームでのToll-like receptor 4 の蓄積はサイトカインの恒常的分泌とシグナル・変換・活性化に関する転写因子の活性化 を引き起こす: NPC脳でのグリア細胞活性化の原因である可能性)

ニーマン・ピック病C型(NPC)は、NPC1またはNPC2遺伝子の変異によりおこる常染色体 劣性遺伝の脂質蓄積症である。NPC1またはNPC2蛋白質の機能の消失により、エンドソーム にコレステロールや他の脂質が蓄積し、進行的な神経変性とグリア細胞の活性化が生じる。

本研究において、ヒトNPC患者由来培養皮膚繊維芽細胞はインターフェロン(IFN)-β、イ ンターロイキン(IL)-6、IL-8を分泌し、その結果として転写因子STATのレベルが増加して いることを見いだし、これらのサイトカインの分泌は、少なくとも部分的には、エンドソ ーム/ライソソームにToll様受容体(TLR)4が凝集していることに起因することを示した。さ らに、NPC1欠損マウスを用いて、これらのシグナル伝達の変化がグリア細胞活性化の原因 である可能性を示した。

方 法 と 結 果

NPC患者由来皮膚繊維芽細胞を無血清培地で培養し、その上清中のサイトカイン量をELISA 法により測定した。その結果、正常細胞に比べてNPC細胞の培養上清でIFNβ/IL-6/IL-8の 値が増加していた。同様に、NPC1欠損マウスの繊維芽細胞、腹腔マクロファージの培養上 清でもIL-6が増加していた。IFNβ/IL-6は転写因子STAT (signal transducers and activators of transcription)を活性化する。STATに対するレスポンス・エレメントを用 いたレポータージーン・アッセイにより、NPC細胞培養上清中のIFNβ/IL-6の活性を確認し た。さらに、IFNβによるMxA遺伝子の発現誘導を確認した。NPC患者由来細胞、NPC1欠損CHO 細胞で各々STAT蛋白質のレベルを調べたところ正常細胞に比較して明らかに増加していた。

また、NPCの表現型を誘導する薬物であるU18666Aの存在下で正常細胞にLDL (low-density lipoprotein) を負荷するとSTATのレベルが増加した。これらの結果は、NPC細胞は恒常的 に3つのサイトカインIFNβ/IL-6/IL-8を分泌しており、その結果としてSTATが活性化され

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これらのサイトカインの産生の機序として、TLR4 (Toll-like receptor 4)が活性化され ている可能性を検討した。NPC患者、正常者由来繊維芽細胞を用いてTLR4の発現レベルを調 べたところNPC細胞で増加していた。TLR4-GFPを繊維芽細胞に発現させその局在を蛍光顕微 鏡下で調べたところ、コレステロールが蓄積するエンドソーム/ライソソームに凝集してい た。NPC細胞にTLR4のsiRNAを導入すると IFNβ/IL-6の産生が抑制された。さらに、U18666A 存在下では、TLR4のリガンドであるLPS (lipopolysaccharide) に対する反応性が亢進した。

これらの結果は、サイトカインの産生がエンドソーム/ライソソームでのTLR4の凝集による ことを示唆している。

次にNPC1欠損マウスの大脳及び小脳を用いてのウエスタン解析によりSTATのレベルの増 加を示し、特に小脳においてはSTAT-1および3が増加していることを示した。免疫組織染色 によりSTAT-1は神経細胞に、STAT-3は神経細胞とグリア細胞に発現することを示した。TLR4 とIL-6の局在を調べたところ、両分子とも神経細胞ではなくグリア細胞に発現していた。

これらの結果は、TLR4下流のシグナル伝達がグリア細胞でも活性化されている可能性を示 唆する。

そこでNPC1とTLR4及びNPC1とIL-6のダブルノックアウトマウスを作製し、STATのレベル 及びグリア細胞活性化への影響を調べた。TLR4とのダブルノックアウトマウスの皮膚繊維 芽細胞ではIL-6分泌量がおよそ70%減少していたが、その脳のウエスタン解析ではSTATのレ ベルに変化はみられなかった。一方、IL-6とのダブルノックアウトマウスではSTATの量が 減少、グリア細胞活性化が抑制され、その寿命は約11%延長した。

考 察

本研究において、NPC細胞は恒常的に3つのサイトカインIFNβ/IL-6/IL-8を分泌し、その 結果としてSTATが活性化されていること、それらのサイトカインの産生が、少なくとも部 分的には、エンドソーム/ライソソームでのTLR4の凝集によることを示した。TLR4,IL-6は いずれもNPC1欠損マウス脳のグリア細胞に発現しており、培養細胞で見出されたシグナル 伝達異常と同様の異常がグリア細胞活性化の原因である可能性を示唆する。しかし、NPC1 とTLR4のダブルノックアウトマウスの解析からIL-6分泌の原因はTLR4だけではなく、未知 の分子が関与することが示唆された。今後、このIL-6分泌の原因となる他の要因を検索す る必要がある。

参照

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