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西 ア フ リカ 内陸小低 地 の開発 可能性

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(1)

西 ア フ リカ 内陸小低 地 の開発 可能性

―コー トジボワールの灌漑稲作を事例 として一

Development Possibility for lnland Valley in West Aiica 一 A case study ofirigated rice production in lvory Coast一

南 谷 貴 史

(2)

西 ア フ リカ 内 陸小 低 地 の 開発 可 能性

―コー トジボワールの灌漑稲作を事例 として一 南谷貴史

Development Possibility for hland Valley in West ALica

―A case study of higated Rice Producdon in lvory Coast―

Takashi NANYA

一 目 次 ―

序 章         … … … ・ 。

1

1.研 究の背景

1)ア フ リカを取 り巻 く諸問題 と農業

2)西 アフ リカにおけるコメの位置づけ

2.研 究の 目的 と方法

3.論 文の構成

第 I章   西 ア フ リカ にお け る稲 作 開発 の現 状     … … … ・ 13 1.陸 稲 の開発状況

2。

内陸小低地 とその利用状況

(コ

ー トジボワール を中心に

)

3.周 辺諸国にみる自然環境の比較

4.周 辺諸国のコメ生産量 とその推移

(ナ

イジェ リアを中心に

)

第 Ⅱ章

 

生 産 環 境 の諸 条 件 と開発 形 態

1.生

産現場 の概況

1)自

然条件

2)栽

培技術

(1)品

(2)耕

絃作業

(3)播

種・ 田植 え作業

(4)施

月巴

(5)雑

草・病害 虫防除

0● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

30

(3)

(6)収

穫作業 その他

2.濯

漑稲作地 区の開発形態

1)政

府 主導型大規模 開発地 区 (ペ リメ ッ トル)

2)農

民主導型 小規模 開発地 区 (バフォ ン)

第 Ⅲ 章

 

生 産 環 境 にお け る制 限 要 因 とそ の分 析

   

… ・

48 1.水

田利用状況 にお ける生産性 の規定要 因

1)ペ

リメ ッ トル

2)バ

フ ォ ン

2.土

地生産性 と作付面積

3.農

民組織 の現状 とその背景

1)ペ

リメ ッ トル

2)バ

フ ォ ン

4。 開発形態 に よる特徴 と現状 の課題

1)ペ

リメ ッ トル

2)バ

フ ォ ン

5.普

及体制 の問題分析

6。 低生産性 の要 因解析

第 Ⅳ 章

 

バ フ ォ ン にお け る小 規 模 機 械 化 の妥 当性

 

… ・ …

71 1.耕

紙機 が もた らす効果

1)農

民のニーズ と歴史的背景

2)土

壌条件 に よる必要性

3)機

械耕絃 の効用

4)操

作及び維持管理上 の問題J煮

5)機

械耕絃 の収益性

2.部

分機械化作業体系及び販 売形態 の検討

1)刈

取 り機

2)脱

穀機

3)コ

メ市場へ の農 民的対応

4)部

分機械化作業体系 にお ける経営費 の変化 と収益性

V章  

参 加 型 に よ る農 民 組 織 化 の 事 例 検 証

   

… ・

93

1.農

民参加型 ケーススタデ ィの意義 と目的

(4)

2.農

民組織化 に伴 う耕絃機 の導入課程

1)組

織化 。機械耕紙 の必要性 についての検証作業

2)農

民組織 の機能 と活動計画

3.機

械利用実績

4.参

加型調査 。開発手法 と農 民組織化

終 章

 

内 陸 小 低 地 に お け る灌 漑 稲 作 開発 の課 題 と展 望

 

112 1.本

研 究で得 られ た知見 と今後 の課題

  .

2.灌

漑稲作の技術的展望

1)栽

培品種

2)栽

植方法

8)灌

漑水管理

3.ネ

リカ米へ の期待

参 考文 献

添付 資料

1

添付 資料 2 添 付 資 料 3 摘 要

Sulllmary

調査票 調査票対訳 調査デー タ

本 論 文 の基礎 とな った学 会誌 公 表 論 文

0● ● ● ● ● ● ● ● 0●

123

0● ● ● ● ● ● ● ● ●

0129

● ● ● ● 0● ● ● ● ●

0138

● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ●

145

0● ● ● ● ● ● ● ● ●

0170

172

174

(5)

主早 序

1日 研 究 の 背 景

1)ア

フ リカ を取 り巻 く諸 問 題 と農 業

人類発祥 の地 といわれ

,世

界の陸地面積 の

22%を

占めるアフ リカ大陸は

,赤

道雨林か

らサバ ンナ・砂漠・温帯 と多様な気候 区を持ち

,極

めて長い歴史的時間の経過 を得て

,現

在では

50を

超 える主権国家が存在 し

,そ

れ らは今 なお

,多

彩な部族集団・文化 により構 成 されている。

近代数世 紀 に渡 り時代 に翻弄 され続 けた末

,1960年

代初頭 に独 立 を果 た した これ ら多 くのア フ リカ諸 国で あ るが

,そ

の後 の経済成長 は鈍化す る傾 向にあ り

,更

に近年 において

は逆 に悪化す ることで経済的 自立が遠 のいてい る国が多 くを占める状況 にある。南アフ リ カ国際情勢研 究所所長 のモエ レツィ・ ムベ キ氏 は,「ア フ リカ の一般庶 民の暮 らし向 きは 植 民地時代 よ りも悪化 してお り

,長

期 的な下降線 をた どつてい る」 との研 究結果 を明 らか に して い る1)。 サ ブサハ ラ (サハ ラ以南)・ ア フ リカ (以

,断

りが な けれ ばア フ リカ と 記す

)は ,人

口では世界 の約

10%を

擁 してい るに もかかわ らず

,経

済規模 として は約

1%

を 占め るに過 ぎない。

ヨー ロ ッパ諸 国に よる奴隷貿易 は

16世

紀 に本格化 し

,そ

の後 に続 く植 民地支配 は

,こ

の大陸に大 きな負 の遺産 を残 した。 しか し

,こ

の よ うに極 めて不幸 な被支配の歴史 を経 て 独 立 を遂 げたア フ リカ諸 国 に対 して

,国

際社会 は多大 な支援 を提供 して きた こ とも

,ま

事実 で あ る。独 立 当初 の

1960年

代 は

,輸

出用換金 作物増産 に応 じたイ ンフラ整備 が 中心 で あつたが

,70年

代 か ら

80年

代 にかけては

,食

糧 自給や農村 の貧 困削減 を 目的 とした

IRD

(Integrated Rural Development:総 合 的農 業・ 農村 開発

)が

世界銀行 主導 に よ り広 く実施 され た。 しか し

トップダ ウンに よる大規模 プ ロジェク トは

,農

村部 において多 くの成果 を上 げ るこ とはな く

,や

がて

80年

代以 降の構造調整政策 の波 にのまれ てい くこ ととな る。

政府 の過 大 な統 治権力や古 い商慣行 を否定 し

,一

層 の市場経済化 を促す この政策 は

,国

営 企業や政府機 関の民営化 を始 め

,農

産物 の内外 自由化 を加速 させ た。 その結果

,一

部 の輸 出用換金 作物栽培 を担 うプ ランテー シ ョン経営者や輸 出業者,あるい は輸入業者 において,

その恩恵 を授 か る ものが あつた反面

,零

細農 家へ の支援・保護 がなお ざ りに され たままで の急激 な農業構造 の変化 が

と りわ け

,国

内向けの食料生産 を担 う生産者 へ の負 担 の増大 を招いた。

多 くのア フ リカ諸 国で は

,デ

ー タ上での食糧生産 は確実 に増大 してい る。 しか し

,人

増加 率 が年

3%前

後 の諸 国が多い なか

,第 1図

が示 す よ うに

,微

増す る穀 物生産量 は人 口 増加 分 に相殺 され

,1人

当た り生産量 は減 少傾 向にあ るこ とが分 か る。アジア開発途 上 国2) の平均値 が堅調 に上昇 して きた こととは対照的である。一方

, 1人

当た りの穀 物供給量 は 僅 かなが らに上昇傾 向にあ るこ とか ら

,不

足す る国内生産量 を輸入 に よつて補 ってい るこ とが容易 に想像 できる。 また

, 1人

当た りの食料生産指数

(P呻

の推移 を第

2図

に示 す。

(6)

盆 S ヽ こ 刺 凹

§ 熊

1965   1970   1975   1980 1985   1900   1995   2000

一 ― サ ブ サ ハ ラ・ ア フ リ カ 諸 国 平 均 ――― ア ジ ア 開 発 途 上 国 平 均

1図 1人

当た りの穀物生産量 の変化 出所 :FAOSTAT database(2004)

120 110 100 90 80 70

60 1990  1992  1994  1996  1998  2000  2002

ブ サ ハ ラ・ア フリカ諸 国 平 均年

 B urkin a Faso

B enin

O‐A ngola

→柊…G hana

2図 1人

当た りの食料生産指数の変化 出所

:FAOSTAT dttabase(2004)

ア フ リカ諸 国平均 は停滞 を続 けるなか

,穏

や かではあ るが確 実 に上昇 してい る国が僅 かな が ら見受 け られ る。 これ らの国の人 口増加 率 も

,概

ね 3%9)で あ る こ とを考 える と

,ア

リカ にお け る農業生産の停滞要 因が

,人

口増加 だけに よつて引 き起 こされ てい るわけでは ない こ とが確認 され る。 この こ とは

,ア

フ リカ特有 の 自然 。社会 。経済・政治的要 因等 の 影響 が大 きい こ とを示唆 してい る と同時 に

,東

南 ア ジア諸 国の よ うに,「マルサ スの罠」

に陥 ることな く農業生産 を増大 させ得 る可能性 をも

,ま

た教示 してい る とい え よ う。

干 ばつ等 の異 常気象 に よる一 時的 な飢餓 を除いて も

,ア

フ リカの農業 は恒常的な危機 に 瀕 してい るこ とは確 かで あ る。 そ の原 因は決 して一元 的 な もので はな く

,様

々 な要因が複 合 的 に作用 してい るもの と考 え られ る。 また

,各

諸 国 に よつて も

,農

業生産 を取 り巻 く環 境 の格 差 は大 きい。 そ こで

,ア

フ リカ農業低迷 の主要 因 を 「歴史背景」,「社 会 。文化 」,

「自然条件」,「政 治・ 経 済 」,「国際環境 」 に大別 した上 で

,各

要 因 の相 互 関係 を整 理 し 盆

<駕

︶ 覇 単 N 期 菜 d

2‐

(7)

L地 制 度

卜合理的国境翻

汁 蜘 蝉

隊族型農業の弱体

イロ

政情不安 農業政策の失則 族林・環境政策の遅刑 市場経済の遅刑

嗣 /

騰造調整政策 膿助依刊

   

輸出農産物価格低迷

│→

クローニー社会 │ドナー援助疲刑 膿助漬ljl 旧宗主国の関与 第

3図  

アフリカ農業低迷の特性要因図

フ リ カ 農 業 の 停

3

(8)

た特性要 因図を第

3図

に表 した。

こ こで忘れ てはな らないのは

,こ

れ らの要 因の多 くが

,1960年

代 に 「緑 の革命 」 を経 験 したアジア諸 国の農業 を取 り巻 く環境 に共通す る事項 だ とい うこ とで あ る。 しか し

,程

度 の差 こそ あれ

,明

らか にア フ リカ に特有 な制 限要 因 と考 え られ るものに,「歴 史背景」

。「政治・経済」。「国際環境 」が あげ られ る。奴隷貿易 と植 民地支配 は

,伝

統 的 なア フ リ

カ社会 の統治 システ ムを破壊 し

,モ

ノカル チ ャー経済 を強要 した。 この時期 に

,多

くの国

々で 自立発展 のための 自然 。社会 。人的資源 が脆弱化 し

,そ

れ が独 立後 の安定 的 な成長 を 阻む遠 因 となってい るこ とは確 かで あろ う。 また

,植

民地分割 のた めに旧宗主 国に よ り線 引き され た国境線 は

,数

々の部族・宗教対立

,国

境紛争 を生 じさせ てい る。 こ うした対 立 軸 は不安定 な国内統治 を招 き

,農

業政策 に も悪影響 を与 えてい るこ とは明 らかで ある。 ま た

,市

場経済化 の遅れ は クロー ニー社会 での独 占を長 引かせ るこ とにな り

,自

由競争 が阻 害 され る要 因 となってい る。一方 で

,国

際社会 か らの援助 が恒 常的に繰 り返 され るこ とに よ り

,ア

フ リカ諸 国に援助依存 の体質 が定着 し

,そ

の結果,「援 助慣 れ」 が 自助努力 の減 退 に繋がってい るこ とは否定で きない。 またそれ と同時に

,援

助 国に 「援 助疲れ 」 を招 く 結果 とな り

,そ

れ は援助額 の削減 とい う形 で現れてい る°。

この よ うに

,国

際社会か らの多 くの援助 に反 し

,ア

フ リカの食糧生産は依然 として停滞 を 続 けてお り

,改

めて効果的な支援方法が論 じられ てい る。今 日では

,ア

フ リカに内在す る多 くの問題点 として

自然環境 に加 え

,都

族・歴史的背景・ 農村文化 。国家体制等 といつた社 会経済的背景が複雑 に絡み合 う現状 を考慮 した新たな視点での研究が必要 とされてお り

,開

発 現場 においてもその多様性 に対応すべ く,よ り総合的で小規模 な取 り組みが主流 となっている。

これ らの視 点に立 った研 究 は

,ア

フ リカ農村社会 を取 り巻 く複雑 な環境 に対 し

,多

方 面 か

らの接近 を試 み

,従

来 の計量的 な調査及び分析 では捉 え られ ない真 の農村 像 を浮 かび上 が らせ よ うとす るもので あ り

,今

後 のア フ リカ研 究 にお ける必然 的 な方 向性 を示 してい る と 考 え られ る。

島 田(1999207)は,「農業生産 を

,そ

れ を取 り巻 く政治経済 的環境 と

,そ

れ が実 際に行 わ れ る生産 の場 で あ る 自然環境 の両者 の 関連 性 の 中で と らえ る こ とが重 要 で あ る との認識 は

,現

在 で は農 業研 究 のなかで は もちろんの こ と

,開

発 理論 のなかで も しき りに論 じられ るよ うになって きてい る」 とし

,ア

フ リカの農村研 究 においては

,脆

弱性 やエ ンタイ トル メン トとい った概念 を『 ポ リテ ィカルエ コロジー論』 の分析視 点 に よ り検討す ることが重 要 で あ る と指摘 してい る。Basse位 (1988)は

,コ

ー トジボ ワール 北部 にお ける農耕 民 と牧畜 民 との土地利 用上 の競合 につい て

,ポ

リテ ィカルエ コロジー論 的視点

,す

なわ ち政治経済

学及 び人 間生態学的側 面か らそ の実像 に接近 し

,国

家政策 が部族 間の農 業生産 システ ム に 及 ぼす影響 を指摘 した。また

,米

山(1990,1998)は

,ア

フ リカ農耕 民社会 の多様性 に注 目し,

国家形成 の歴史 。社会 の伝 統・ 自然環境 の変化等 を尊重 した上 での持続 的農業 の あ り方 を 考察 してい る。 更 に

,原

口(19962■)は,「現代 ア フ リカの さま ざまな事象 を分析

,理

解 す

るた めに

,部

族 とい う概念 を使 用 しつづ け るこ とは有効 で あ り有意 味で あ る」 とし

,コ

トジボ ワール にお け る諸部族 の態様

,役

割 を整理 し

,部

族 の概念 について解釈 を提示 して い る。Verdeaux(1998)は

,コ

ー トジボ ワール の森林破壊 に関 して

,そ

の原 因が過 開発や人

4‐

(9)

口増大ではな く

,国

家政策 に よ り誘 導 され た森林 開発 へ の原動力 が

,領

土 と経済的基礎 を 伴 って拡大す るコ ミュニテ ィー に提供 され た結果 で あ る とし

,森

林破 壊 の背景 にある社会 的構造 を分析 してい る。

Sen(1999)は

,「開発 の正 しい概 念 は

,富

の蓄積

,GNP,そ

の他 の所得 に関連す る変 数 の成長 を大 き く超 えるもので な けれ ばな らない。経済成長 の重要性 を無視 す るこ とな く,

しか しそれ を超 える視線 が必要 なので ある。(中

)経

済成長 それ 自体 を 目的 と して扱 う こ とは

,賢

明で はあ り得 ない」 と述べ

,経

済成長や所得 の向上 を指標 とす る従来支配 的 な 開発 理論 を明確 に批判 してい る。社 会 の成功度 の評価 は

,そ

の構成員 が享受 してい る個人 的 自由に基 づいて下 され な けれ ばな らない とし

,手

段 としての 自由に,『政治 的 自由』,『経 済的便宜』,『社会 的機会』,『透 明性 の保証』,『保護 の保証』をあげ,『潜在 能力 (capability)』

の拡大 に注意 を払 うべ きだ との認識 を示 してい る。 また

,そ

れ らの 自由は

,経

済 的

,社

会 的

,政

治 的制度 に大 き く影響 され る こ とを強調 した うえで,「人 間 は 自 らの運命 を形成 す る機会 を与 え られ

,活

発 にそれ に関与す るもの と見 られ なけれ ばな らない」 と し

,受

益者 を援助や 開発 の受 け手 (patient)で はな く

,変

化へ の積極 的参加 者 としてみ る こ との重要 性 を指摘 し

,開

発 は人 々が享受 で き る さま ざまの本 質 的 自由を増 大 させ るプ ロセスで あ る

との主張に よ り

,開

発経済学分野 にお け る新 た な分析視 点 を提示 してい る。

これ らの研究 は

,危

機 的状況 にあ るア フ リカ農業 の背景 に存在す る

,内

的 。外 的要 因の 多様性 を示す に留 ま らず

,今

後 の援助・ 開発方針 に も重要 な助言 を与 える もので ある。言 うまで もな く

,農

業生産 の拡大 は農 民 に よつて もた らされ るわ けであ り

したが つて農村 社会 の福祉 の向上 な く して達成 され る ものではないだ ろ う。一 時的な生産 の拡 大 には

,資

本 と技術 の投入 を持 って応 えるこ とがで きるか も しれ ないが

,そ

れ が持続 的発 展 に繋 が ら なか った こ とは

,現

在 までのア フ リカ農業 開発 の推移 が示 してい る とい える。

2)西

ア フ リカ に お け る コ メ の 位 置 付 け

先進 国 にお け る穀 物供給 量が

,こ

の四半世紀 に渡 り微増す るに留まつてい るのに対 し, アフ リカ諸 国では他 の開発途上国同様

,急

激 に増力日してい る。第

4図

にア フ リカ の穀物 と コメ供給量 の変化 を示す。

1975年

に対す る

2001年

の供給量は

,コ

メ以外 の穀物が

215%

で あるのに対 し

,コ

メは

315%で

あ り

,コ

メの需要 が急増 してい ることが分か る。西 アフ リカ諸 国5)にお け る コメ供給量 の増加 は

,第 5図

が示す よ うに更 に顕著 とな り

,コ

メ以外 の穀物 が

218%で

あるのに対 し

,コ

メが750%と なってい る。

ア フ リカ稲(00zα Gttbワ″物 α)は

,西

ア フ リカにおいて約

4千

年前 に栽培化 され た といわ れ てい るが

,天

水条件 下での畑 作物 と捉 えるこ とがで き

,生

産量 は限 られ た ものであった と考 え られ る。優 良品種 の選抜 。改 良 とい った過程 を経 るこ ともな く

,17世

紀 に伝 播 し た とされ るアジア稲 に駆逐 され

,現

在 ではほ とん ど栽培 され てい ない。西 ア フ リカで は元 来

,キ

ャ ッサバ・ ヤ ムイモ・ プ ランテ ンバナナ等 が主食 作物 と して栽培 され てお り

,コ

が主食 として本格的に栽培 され始 めるのは

,1960年

代 に国際稲研 究所(IRRI)によ り開発 さ

(10)

70

10 0

1975 1980     1985     1990     1995     2000 年

第4図 サ ブ サ ハ ラ ロアフリカの 穀 物 とコメの 供 給 量 変 化

注 :穀 物供給量 は

,コ

メ供給量 を除いた数値 を積み重ね表示 してい る。

出所 :FAOSTAT dttabase(2004)

0

1975 1980     1985     1990     1995     2000 年

第5口 西 アフリカ7カ国 の 穀 物 とコメの 供 給 量 変 化

注 :穀 物供給量 は

,コ

メ供給量 を除いた数値 を積み重ね表示 してい る。

出所 :FAOSTAT dttabase(2004)

れ た高収量 品種 「IR8」 系統 の導入 以 降 とな る。

熱 帯 モ ンスー ン気候 区に属す る多 くの西 ア フ リカ諸 国で は

,内

陸小低 地 (「

I章

西 ア フ リカにお ける稲 作開発 の現状」 にて詳述

)に

おいて

,雨

期 の降雨 を利 用 した水稲栽培 が可能であ り

,ま

,ダ

ムの整備 に よ り灌漑稲作の二期作化 も可能 となる。 こ うした灌漑 稲 作 に適 した条件 下 に生産性 の高い 品種 が導入 され た こ とが きつか け とな り

,政

府 の コメ

増産計画 の後押 しもあつて

,多

くの国では栽培面積 の拡大が図 られ るこ ととなった。また,

コメは

,他

の雑穀類・ イモ類 と比較 して

,単

位 重量 当た りのカ ロ リー・ タ ンパ ク質 が共 に 高 く

,貯

蔵性・運搬性 に も優 れ るた め通年供給 が可能 であ り

,副

食 との相性 も良いた め嗜

6

(11)

好性 に優れ る とい つた特徴 も

,コ

メの需要 を急増 させ た要 因であると考 え られ る。主食 の 嗜好 につ いては,部 族 によ り比較的明確 であ り,伝 統的な食事が好 まれ る傾 向にあるなか,

コメは短期 間で広 く受 け入れ られ るよ うになった主食作物 とい える。

この よ うに

,西

ア フ リカ諸 国においては

,わ

ず か数十年 とい う短期 間で

,主

食 の

1つ

して位置づ け られ るよ うになった コメであるが

,そ

の需要 は更 に延 び続 けてい る。 しか し 近年 では需要 を国内生産 で賄 うことはできず

,輸

入 量 が急増 してい る国が大半 を 占め る状 況 にある。輸入 量 の拡大 は

,食

糧安全保 障 を脅 かす だ けで な く

,外

貨支 出 を増 大 させ

,途

上 国の財政 に深刻 な影響 を与 えつつ ある。 このため

,国

内生産量 の拡大 は急務 とされ

,こ

れ に成功す るか否 かが

,将

来 的 な西 ア フ リカ諸 国の発展 を大 き く左右す る要因である とい つて も過言 ではないだろ う。

2.研

究 の 目 的 と 方 法

以上 の よ うに

,停

滞す る食糧 生産 か らの脱却 が緊急 の課題 で あ るア フ リカで あ るが

りわ け コメヘ の依存度 が高い西 アフ リカ諸 国にお ける稲作開発 の動 向が

,国

の将来 を 占 う 上で も重要課題 であるこ とは

,既

に述べた とお りで あ る。近年

,い

ずれ の西 ア フ リカ諸 国 に も

,コ

メ生産量の大幅な増大 に成功 しなが ら

,コ

メ輸入量の急増 が同時進行す るとい う 共通 の特徴 がみ られ る。 この よ うな コメ供給量の絶対 的増加傾 向のなかにあって

,第 6図

が示 す よ うに

,ナ

イ ジ ェ リア・ コー トジボ ワール ・ ギニ アの

3カ

国で全 体 の供 給 量 の約

90%を

占めてい る。 なかで も

,ナ

イ ジェ リアの供給量 が際だつてい るが

,輸

入 量 の割合 が 最 も高い国 は コー トジボ ワール であ る。 また

,第 7図

か ら

,コ

ー トジボ ワール とギニアに

■ 輸入量

■ 国内生産量

6図

西アフリカ7カ 国のコメ供給 量

(2002年

)

注 :輸 入 量デー タは玄米重量であるため

,籾

重量 に換算 して処理 してい る。

出所 :FAOSTAT database(2004)

υ

υ Ш

︵望ω

ω

(12)

お け る

1人

当た りの年 間 コメ供 給量は

70kg前

後 と

,他

の諸 国に対 し突 出 してお り

,既

コメが主要 な主食 になってい る と判 断で きる。特 に コー トジボ ワール での増加率が極 めて 高 く

,近

年 において急速 に コメの需 要 が高 ま った こ とが読 み とれ る。反面

,国

内供給量が 最大 で あ るナイ ジェ リアの

1人

当た りの供給量は年 間

24kgで

あ り

,食

生活 にお けるコメ

の重要度 は

,さ

ほ ど高 くはない と判 断 され る。

これ らの ことを勘案す る と

,コ

ー トジボ ワール の コメ需給構造 が

,如

何 に危機 的状況 で あ るか を指摘す るこ とがで きよ う。西 アフ リカでは最大の経済規模 を持つ コー トジボ ワー ル は

,1960年

の独 立以降か ら

70年

代 中頃まで急速 な経済発展 を遂 げ

,そ

れ は 「象牙 の奇 跡 」,「黒 い 日本 」 とまで称 され

,そ

の労働 吸収力 は周辺諸 国か ら多 くの越境 労働者 を招 き入れ るほ どで あつた。しか し,現在 は

121億

ドル の対外債務 を抱 え,その

GNI比

117%ω

,重

債務 国 に転落 してい る。稲 作 の進 展 も経済成長 率 と歩調 を合 わせ るよ うに

,1970

年代 には一 時的 に コメの 自給 を達成 した ものの

,そ

の後 の需要の急増 に国内生産 が追いつ くこ とはな く

,輸

入依存度 が更 に高 ま る傾 向が続いてい る。

本研 究で は

,こ

うした コー トジボアール の現状 を踏 まえ

,灌

漑稲 作 の進 展 のカ ギ とな る 内陸小低地 の開発 可能性 と

,現

地 に導入可能 な 「適正技術 (蒋″ω加滋

 

角じ力ηοJ9υ)7)」

の検討・検証 を試 み るものであ る。前述 した よ うに

,国

際社会 か らの多 くの支援 に反 し,

アフ リカの食糧生産 は停滞 を続 けてお り

,単

な る社会基盤整備や近代技術 の導入 が持続 的 開発 に繋 が らない こ とは既 に明 白となってい る。技術 の投入 にあたつては

,地

域 の社 会 的

・文化 的環境へ の適応性 を重視 し

,知

識・設備・組織 の

3面

において

,現

地 の設備維持管 理能力 に適合 的で

,そ

の能力 を増進 させ る性質 を持つ適正技術 の検討 が不可欠 となる。稲 作 開発 に も当然

,何

らかの技術投入 が必要 とな るが

,土

地 の開発方法その ものや

,ま

た開

Nittna    TogO

    

Cote dilvciЮ  Gttna

H口    =々

Camer∞n  G nea

    

Benin

7図

西/プリカ7カ 国 にお ける

1人

当 たりの 年 間 コメ供給 量 出所 :FAOSTAT database(2004)

︵ 語

8

(13)

発 され た地 区で の生産活動 を支 える手段 について も

,適

正技術 が求 め られ ることはい うま で もない。

西 ア フ リカ 内陸小低 地 での開発 可能性 に関 して

,若

(1995)は

,水

田システ ムの整備 に よる低地利 用の拡大 によって

,現

在 の裸 山 と化 しつつ あ るア ップ ラン ドの収奪 的利 用 も緩 和で き

,各

小集水域

,ひ

いては西ア フ リカ全体の水 と上の保全 に寄与できると指摘 し

,ナ

イ ジェ リアの内陸小低地 にお ける水 田造成及び地力維持 に関す るオ ンファーム実証研究 を 行 つてい る。 そ の結果

,明

確 な畦畔 を持 た ない伝 統 的準水 田に対す る改 良水 田の優位性 を 明 らかにす る とともに

,開

発後 の持続性 については

,土

地所有・水管理・組織体制等 の課 題 を呈 した うえで,「ア フ リカ型水 田農業展 開」 の必要性 を訴 えてい る。具体的 には

,ア

フ リカ型 の水 田農業 の展 開戦略 として

,農

民の労働力 と現有 の道具類 を最大限利 用 した農 民参加 に よる開発 と

,現

地化 で きる持続 的な機械力 を利用 した適正技術 に よる開発 の可能 性 を指摘 し

,水

田造成形 態 と技術普及 体制 に対 す る提案 を行 つてい る (若月

,1991)(廣

瀬・若月,1997)。 また若 月 は

,ガ

ーナ にお ける

JICA研

究協カ プ ロジェク トを通 して

,内

陸小低 地 の総合 的農 村 開発 モデル の実証研 究 に も

,現

在 取 り組 んでい る (若月,1998)。

この よ うに

,若

月・ 広瀬 らによ り内陸小低地 にお ける現実的な投入技術 を用いた稲 作開 発 モ デル の実 証研 究 が実施 され て い る他

,WARDA(West Africa Rice Developement

Association:西 ア フ リカ稲 開発協会

)も ,内

陸小低地 開発集 団 (Inland Vallay Consortium

:Ⅳ C)を

設 立 し

,内

陸小低 地 の特徴 を多角 的に調査す るこ とを 目的 とした研 究活動 を行 つてい る。 しか しなが ら

,既

に開発 された地 区において

,開

発形 態差 に よる生産活動 の特 徴及 び適正技術 の評価 を分析視 点 と した研 究 は行 われ てい ない。

こ うした現状 を踏 まえ

,本

研 究で は コー トジボ ワール の内陸小低地 に点在す る灌漑稲作 地 区において

,第 1に ,政

府 主導 に よる大規模 基盤整備 が行 われ た地 区 と

,農

民 自らが開

墾 して稲作 を営む地 区の生産環境 を対比 させ

,土

地 と水 に関す る自由度や経営規模 の相違 等 が生産活動 に与 える影響 を分析す るこ とに よ り

,そ

れ ぞれ の開発形態 において農民の行 動 を左右す る自然的及び社会経済的要因の特徴 を明 らかにす る。第

2に ,灌

漑稲 作 を基幹

作物 とす る農村 にお け る諸 問題 の解決 に向け

,内

発 的 。持続 的で あ るか といつた視 点 に立 ち

,導

入 可能 な適 正技術 を検討 し

,農

民参加型 での事例 の検証 を行 う。 そ して第

3に ,そ

の適応可能性 について考察す ることを 目的 とす る。

調査 は

,コ

ー トジボ ワール 中部 の

8カ

所 の灌漑稲 作地域 にお け る

131農

家 に対 し

,1998

年度 の雨期 作 にお け る稲 作経営概況 について質 問紙訪 問面接調査 を実施 し

,加

えて

,課

の絞 り込みや 問題 点の掘 り下 げ及び解 明

,ま

,投

入 し得 る改 良技術 の内容・導入方法等 の検討 に関 しては

,1999年

1月 〜

2001年

3月 に実施 した質的調査で得 られた情報の活用 を優先 させ るこ とと した9)。 参加 型農村 開発9)を前提 とした調 査手法 には

,RRA・ PRA並

びに

PCM手

)の活用 が進 んでお り

,調

査対象者 を取 り巻 く社会経済的要因の多面性・

不確 実性 を踏 ま え

,農

民 の意識 や行 動 の裏 にある主体 的な意味に接近す るために

,こ

れ ら の調査方法 を積極的に活用 した。

(14)

3日 論 文 の 構 成

「第

I章

西 ア フ リカ にお け る稲 作開発 の現状」 においては

,内

陸小低 地 の地形及 び農 業生態学 的分類 を始 め

,コ

ー トジボ ワール の稲作開発 の歴 史 と現状

,今

後 の開発 計画 を記 述す ると共 に

,西

ア フ リカ最大 の コメ生産 国で あるナイ ジェ リアを中心に

,周

辺諸国の開 発状況 とそ の課題 を概 観 す る。「第 Ⅱ章 生産環境 の諸 条 件 と開発 形 態 」 で は

,ま

,コ

ー トジボ ワール 中部 の灌漑稲 作地 区にお ける自然条件 。栽培技術・労働力等 の諸生産条件 の具体的記述 を通 し

,稲

作生産現場 の実態 を提示す る。次 に

,政

府 主導 に よる大規模 開発 地 区 と

,農

民 自 ら開墾 を行 う小規模 開発地 区の

,そ

れ ぞれ の開発過程 について

,そ

の特徴 を説 明す る。「第 Ⅲ章 生産環境 にお け る制 限要 因 とその分析」で は

,両

開発形 態 にお け

る水 田利用状況 の相違 を整理 した後

,土

地生産性 を規制す る要 因の分析 を行 う。更に

,農

民組織 の現状 とそ の背景 を通 し

,開

発形態別 に よる特徴 と現状 の課題 を明 らか にす る と共 に

,農

民の栽培技術 の規定要因 とな る普及組織・普及事業 の問題分析 を行 つた うえで

,低

生産性 の要 因解析 を試 み る。「第Ⅳ章 バ フォ ンにお ける小規模機祓化 の妥 当性 」 では,

農民 のニー ズが極 めて高い耕絃機 の導入 に よる部分機械化 に妥 当性 が あるか を

,回

場条件

・操作及び維持管理面 。技術体系・収益性 か ら検証 し

,適

正技術 としての小規模機祓化作 業 体系 の構 築 を試 み る。「第

V章

参加型 に よる農 民組 織 化 の事例 検証 」 にお い て は

,農

民組織化 と機械耕絃 の導入課程 を

,参

加型 開発 手法 に よるケー スス タデ ィを通 して検証す る。また

,機

械利 用実績 に基づ き

,そ

の適応可能性・ 実効性 について考察及び評価 を行 う。

「終章 内陸小低地 にお ける灌漑稲作 開発 の課題 と展望」 では

,本

研 究 で得 られ た知 見 の 要約 と考察 に加 えて

,各

開発形 態 にお ける今後 の展望 を明 らか に したい。最後 に

,陸

稲新

品種 であ る 「ネ リカ米」 につ いて

,現

状 の普及状況 と課題 を整理す る。

〔 だ と〕

1)2004年

9月

,ダ

ーバ ンにお ける講演 にて発表 (世界 日報2004.9。22)。

2)こ

こで扱 ったアジア開発途上国は

,以

下の

39カ

(地)。『 ア フガニス タン

,バ

ー レー

,バ

ング ラデ ィシュ

,ブ

ー タン

,ブ

ル ネ イ, ミャ ンマー

,ス

リランカ

,キ

プ ロス

,ガ

(パレスチナ

),イ

ン ド

,イ

ン ドネ シア

,イ

ラン

,イ

ラク

,ジ

ョル ダ ン

,カ

ンボジア,

北朝鮮

,韓

,ク

ウェー ト

,ラ

オスレバ ノン

,マ

レー シア

,モ

ル デ ィブ

,モ

ンゴル,

ネパ ール

,パ

キス タ ン

,フ

ィ リピン

,東

テ ィモ ール

,カ

タール

,サ

ウジア ラ ビア

,シ

ガ ポール

,シ

リア

,タ

,オ

マー ン

トル コ

,ア

ラブ首長 国連邦

,ベ

トナ ム

,イ

エ メン,

パ レステナ

,中

国』

3)1990‑98年

の年平均人 口増加 率は

,Angoほ

3.8,Benini 3.3,Burkina―Faso:2.7,Ghana 3,1,サ ブサハ ラ・ ア フ リカ平均:3.0%。

4)サ

ブサハ ラ・ ア フ リカの

ODA(政

府 開発援助

)1人

当た り受取額 は

,1990年 :40,1997

年 :26$。

10

(15)

5)こ

こで取 り上 げ る西 アフ リカ諸 国 とは

,コ

ー トジボ ワール

,カ

メル ー ン・ ナイ ジェ リア・

ベ ナ ン・ トー ゴ・ ガーナ・ ギニアの

7カ

国 とす る。 ギニア湾 に接 し

,同

気候 区帯 に属す るこ とか ら

,農

業生産環 境 の差異 は比較 的少 ない と判 断 で き る。 シエ ラ レオネ と リベ リ ア につ いて は長 期 に渡 る内乱 のた め

,近

年 の農 業セ ンサ スデー タが入 手 困難

,ま

た はそ

の信憑性 に疑 問が残 るこ とか ら除外 してい る。

6)世

界 開発報告 (世界銀行,2003)イこよる

,2000年

度 実績。

7)適

正 技術 の意義 。導入事例 につ い て は

,吉

(1986)に詳 しい。『 中間技術 』,『低 コス ト技 術 』 と置 き換 え られ る場合 もあ り,「中間技術 とい う場合 は

,伝

統的技術 と近代 的技術 あ るい は先端 技術 との 中間 の段 階 に位 置す る技術 とい う意 味合 いが強 く

,技

術 の段 階的発 展経 路 が暗黙 の うち に前 提 され る とい う傾 向が見 られ る。 低 コス ト技術 とい うの は

,そ

の資本 コス トが金額 的 に計算 で きる とい う具体性 が あ り

,一

番 説 明 しや す い概 念 で あ る か も しれ ない。(中

)こ

れ に対 し適正 技術 とい う場合 は

,社

会 的 。文化 的 な価値基準 に 照 らして適 正 さを判 断す る とい う意 味合 いが強い (吉田,1986: 9)」 。環境 へ の影響

,生

産施 設

,技

術 の現 状

,労

働 力

,市

場規模

,文

化 的 。社 会 的環境 な ど関連す るす べ て の面 か ら

,開

発 のた めの技術 的 ニー ズ を満 たす うえで最 も適 切 な技術 をい う。 現在 の開発 現 場 におい て

,特

に重要視 され る事 項 として は

,①

投入 しよ うとす る技術 がそ の利 用者 の 能力 におい て使 い こなせ る範 囲の もので あ り

,②

投入 後 も利 用 が継 続 され る もの

,す

わ ち設備・機 材 類 に あって は

,受

益者 に よ リランニ ング コス トが賄 われ る

,あ

るい は メ

ンテ ナ ンス が実施 され る こ と等 によ り

,持

続 性 。自立発 展性 が認 め られ る もので あ り,

結果 的 に受益者 の生活 向上 に最 も資す る と判 断 され る技術。

8)デ

ー タの一部 は

,国

際協力機 構

cICn技

術 協カ プ ロジ ェク ト『 象牙海岸小 規模灌漑 営農 改 善計画準備 フェーズ』 において

,長

期派遣 専 門家 で あつた 中條淳氏 の下で

2000年

4月〜 2001年 9月 に実施 され た調査結果 を引用 した。

9)参

加 型 開発 (Participatory Development)は

,経

済協力 開発機構(OECD)の開発援助委員会 (DAC)に よ り,「

1990年

代 の開発 協力 に関す る政策表 明」 において提 唱 され た。資本 や技 術 の一方 的 な投入 を改 め

,受

益層 で あ る地域 住 民 自身 が積極 的 に開発 プ ロセ ス に参加 す

るこ との重要性 を主 張 し

,90年

代 以降の開発協力 を主導す る理念 となってい る。

10)RRA(Rapid Rural Appraisal)は 集 中型農村 開発調査法 で あ り

,1970年

代後半 に英 国サセ ックス大学 開発研究所 (The lnstitute of Development Studies,IDS)で 開発 され

,数

多 く

の開発機 関

,研

究所

,個

人 の研 究者 な どに よって導入 され

,そ

の有効性 が検証 され て き てい る。 地域 住 民 の知識 等

,従

来 見逃 され てい た重 要 な資源 を正確 に収集 す る こ とを 目 的 としてい る。 PRA(Participatory Rural Appraisal)は

,1980年

代後 半か ら1990年代前 半 にか けて

RRAを

基 に開発 され た新 しい農村 開発調査法 であ り

,調

査対象者 の主体性 を よ り尊重す る と ともに,『 エ ンパ ワー メ ン ト』 を促進 す るた めの手法 とされ,「農 村 の人 た ちが 自分 の生活 や 状況 につ い ての知識 を共有 し

,高

,分

析 し

,計

画 し

,行

動 で き る よ うな一連 のアプ ローチや 手法 (Elkanah et al,1995)」 と定義づ け られ てい る(Chambers, 1997)(河村,2002)。 農 民 の問題 意識 や ニー ズ に着 目し

,自

ら地域 の現 状 と問題 点 を認識

,解

決 方法 を模索 してい くそのプ ロセ ス を重視 す る。参加型調査法 の詳糸円につ いては,

(16)

「第

V章

参加 型 に よる農 民組織化 の事例検証」 に記す。

PCM手

法 につ いては,「第Ⅲ章 生産環境 にお ける制 限要因 とその分析 」 にて詳細 を記す。

(17)

第 1章   西 ア フ リカにお ける稲作 開発 の現状

1960年

に 旧宗主 国 フランスか ら独 立 を果 た した コー トジボ ワール は

,南

部 をギニア湾

に面 し

リベ リア

,ギ

ニア

,マ

,ブ

ル キナ・ ファツ

,ガ

ーナ と国境 を接 し

,国

土面積 は

日本 の約

85%の 32万

2,463節で あ る。人 口は 1,637万 人 (2002年 ),う ち農村人 日は 64%1) を占め る。1990‐

2001年

の平均人 口増加 率 は 3.0%2)で ぁ り

,減

少傾 向にある とはい え

,依

然 として高い増加 率 を示 してい る。大小約

60の

部族 か ら構成 され る多部族 国家であるが,

主要部族 は

,隣

国ガーナで の最大部族 で あ リコー トジボ ワール で も人 口比 で圧倒 的多数 を 占め る 「Akans」

,西

部 の 「Krou」

,南

北 にま たが る 「Mandёs」

,北

部 の 「Voltがque」

4

系統 に大別 され る。 また

,ブ

ル キナ 。ファノやマ リな ど国境 を接す る諸 国か らの移 民や外 国籍 の定住 民 も多 く

,こ

れ らは全人 口の約

30%を

占め る。宗 教 はイ ス ラム教 が

38.6,キ

リス ト教

37.3,原

始宗教 11.9%と な る3)。 ィ ス ラム教 は

,北

方 系部族及 び外 国籍 の住 民に 多 く

,キ

リス ト教・原始宗教 は南部 出身者 に多い。

政治上 の首都 は

,中

部地域 にお ける人 口約

20万

人 の 中都 市

,Yamoussoukro(ヤ

ムス ク ロ

)と

され てい るが

,事

実上首都 の機能は有 してお らず

,人

315万

人 を抱 える南部 の経 済首都 Abittan(ア ビジ ャン

)に

行 政機 関 も設置 され てい る (「図Ⅲ

‑1 

コー トジボ ワー ル調査地 区」参照)。

独 立以 降

,1970年

代前 半 まで は

,主

要輸 出産 品で あ るカ カオ・ コー ヒー の国際価格 高 騰 に よる好景気 が奇跡 的な経済成長 をもた らしたが

,そ

の後 の価格低迷 に よ り経済 は一転 してマイナス成長 に陥 った。 この結果

,膨

大 な対外債 務 を抱 える こ ととな り

,1980年

には世銀・

IMF主

導 に よる構 造調整政策 が実施 され てい る。続 いて

,1994年

の貨幣 (CFA:

セー ファー フラン

)切

下 げを始 め

,カ

カオ・ コー ヒー の国際価格上昇 が追い風 とな り

,経

済 は一 時復調 の兆 しが見 られ るに至 った。 しか し

,経

済改革 の遅 れ と援助金 の不正支 出 を 理 由に

,IMFは 1999年

に融資 をス トップ し

,更

に同年末 に勃発 した軍事 クーデ ター に始 ま る政治的混乱 の影響 もあ り

,2000年

以降

,経

済 は再 びマイナ ス成長 に転 じてい る。1997 年 の国民

1人

当た りの

GNIは 760ド

ル であったが

,2001年

には

630ド

)と なってい る。

主要産業 であ る農業 は

,現

在 において も

GDP構

成比 で

38%を

占める と共 に

,第

一次産 業従事者 は人 口の

66,輸

出額 の

70%5)を

担 ってい る。最 も重要 な輸 出用農産物 はカカオ で あ り

,全

世界 の供 給 量 の

40%を

占め

,世

界一 の生産 国 とな ってい る。 そ の他

,コ

ー ヒ

ー・ ゴム・ バナナ・ パイナ ップル・ コン トン・ パー ムオイル等 も

,主

に輸 出用 として生産 され る。一方

,国

内消費用 としては

,コ

メ 。トクモ ロコシ・ ミレン ト・ ヤ ムイモ 。キャ ン サバ・ プ ランテ ンバ ナナ 。パー ムオイル等があげ られ る。主食作物 として

トウモ ロヨシ

・ ヤ ムイモ 。キャ ンサバ は国内 自給 を達成 してい るが

,コ

メは約

50%を

輸入 に依 存 して い る状況 にある。その他

,オ

クラ・ トマ ト・ ニ ンジ ン・ ナス等 の疏菜類や熱帯呆樹が国内 消費用 として生産 され てい る。

(18)

1日 陸 稲 の 開 発 状 況

序 章で

,西

ア フ リカにお けるコメの需要 の高ま りとその生産低迷が

,既

に危機 的状況 に ある と述べ た。本研究 は

,陸

稲 に比較 して高収量が望 め

,地

力低下が少 ない こ とか ら連作 も可能 とな る灌漑稲作の振興 こそが

,最

も有望 な食糧増産手段 の一つである との思慮 に立 ち

,水

資源 に恵 まれ た内陸小低地 の有効利用の可能性 を検証す ることを 目的 としてい る。

しか し

,西

ア フ リカ にお け る稲作面積 の うち

,約 60%を

陸稲 に依存 してい る とい う現状 を考慮 し

,今

一度

,陸

稲 の生産性 向上 の可能性及び妥 当性 に触れてお きたい。

各 国 とも

,稲

作 開発 の主軸 と して は灌漑稲 作 をあげてお り

,改

めて陸稲栽培 を推進 す る政策 は多 くない ものの

,例

えば コー トジボヮール の場合,「稲 作振興計画 (1996〜 2005 年)」 にお ける陸稲 生産 目標 の年増加 率 として

,作

付 面積 が

2.5〜

4.579,単 収 が約

3%,

その結果 として

,生

産 量 の年増加 率 を

5〜

8%と してい る。その根拠 としては,「稲 作 の 集約化 」 と題 して

,新

品種 の普及

,肥

料・ 土壌 改 良剤 。除草剤及び殺 虫剤 の利 用拡大

,栽

培 技術 の普及 をあげ,「段 階的機械化 」では

,作

付面積 の 1079に畜耕 の導入

,20%を

機 械 化す る として

,1,500台

の畜耕用機材 と

800台

の耕絃機 の導入 を提言 してい る。 また,「コ メ市場の組織化」 によ り

,稲

作 関係者 に よる市場 に関す る情報 の共有 をあげてい る。

計画 の具体的活動 内容 が明 らかに され ていない こ とと予算的裏付 けがない こ とか ら

,こ

れ らの政策 が実行 され た形跡 は現在 の ところ確認 できないが

,果

た して こ うした措置 に よ り陸稲生産 を拡大す ることが可能であるのかを検証 してみたい。

西 ア フ リカ にお ける陸稲 は

,主

に焼畑農業に よ り栽培 されてい るが

,1〜

数年 の栽培期 間 を経 て

,休

閑地へ移動 して新 たに作付 を開始す ることか ら

,焼

畑移動耕 作 と捉 えるのが 正 しいだろ う。

Ruthenberg(1976)は

焼畑農業 を休 閑農業 の一形態 として捉 え

,実

際 に耕

作 され る年数 の割合

(R係

)を

基 準 に

,熱

帯農業 の フ ァー ミングシステ ム を

3つ

に分類 してい る。す なわち

,Rく 33を

「移動耕 作 (Shifting Cultivadon)」

,33く R<66を

「休 閑システ ム

(Fa1low Systems),R>66を

「永年システム (P上■11lanent Systems)」 として お り

,一

般 的 に焼畑農 業 とい った場合 は

,こ

の 中での移動耕 作 にあた る と考 えて良いだろ う。通 常 は無投入 も しくは極 めて低投入 下での栽培であ り

,化

学肥料及 び有機 肥料 の投入 はほ とん ど行 われす

,地

力 は短期 間の うちに低 下す ることか ら

,他

の休 閑地に移動 しなが ら耕 作す ることが求 め られ る。土地生産性 は低い ものの

,労

働 にお け る投入 エネル ギー に 対す る作物 の算 出エネル ギー の比率 を基礎 とした 「労働 生産性」でみれ ば

,焼

畑農業 はむ

しろその生産性 の高 さを特徴 とす る とい って もよい (掛谷,1998)。

10〜 20年

の休 閑期 間が確保 され

,10人

瓶 程度 以下 の人 口密 度 が保 たれ ていれ ば

,焼

畑農 業 は本来

,低

投入 下での持続 的農 業形態である とい える。 しか し

,こ

うした粗放 的栽培 は

,低

投入 の うえに

成 り立 ってい るこ とか ら

,集

約 的農 業 と対極 をなす ものであ り

,追

力日投入 に耐 え られ る環 境 にある農 民 は限 られ るた め

,生

産性 の向上が元来 困難 な農業形態である とい えよ う。加 えて

,ア

ップ ラン ドにお ける可耕地 の拡大 にも限界があるなか

,人

口圧 と

1人

当た りの コ

メ消費量の増加 によ り休 閑期 間は短縮 され る傾 向にあ り,現 在 の焼畑農業 は

,33く Rく

66

14‑

(19)

の 「休 閑システ ム」の割合 が確 実に高ま りつつ ある と考 え られ る。

「体 閑システ ム」にお ける耕作 は,「移 動耕 作」 に比 べ て耕 地 の地力低 下が更 に促進 さ れ るこ とに注意 を払 う必要があるだ ろ う。 これ には肥料 の投入 とい う手段 で

,あ

る程度抑 制す るこ とが可能 とな る。 しか し

,現

実 的に肥料 の投入 が可能であるかが問題 となる他,

西 ア フ リカ に広 く分布す る風化 が進 んだ土壌 は

,陽

イ オ ン交換容量

(CEC)が

極 めて低 い こ とか ら

,仮

に適正 な施 肥 が行 われ て も

,十

分 な施肥効率 を期待 し得 るものではないだろ う。 また

,焼

畑 回数 が増す ことに よ り

,焼

却 され た草木 か ら窒素及び硫黄 の揮散 が助長 さ れ ることや

,長

期 の耕 作 に よ り給 土 。有機 物等が減少 し

,更

に陽イオ ン交換容量 が低 下す

るこ とが知 られ てい る。

       .

「休閑システム」に

,こ

の よ うな収量 を低減 させ る物理 的要 因が存在す る以上

,耕

地面

積 の拡大余 地が ない場合 は

,更

に休 閑期 間の短縮 を必要 とす る といつた悪循環 に陥 ること が危惧 され る。熱帯条件 下での一年性作物の永年栽培 は

,土

壌養 分 の溶脱 と有機 質の変質 を更 に加 速 させ

,土

壌肥沃度 の著 しい低下 と低収量 を招 くことになる。 このよ うな過耕 作 が継続 された場合

,肥

沃度 の低 下 は修復不可能 な レベル まで進行 し

,ひ

いては土壌構造 の 劣化 を引 き起 こ し

,最

終 的 には土壌浸食へ と繋がってい くと考 え られ る。 こ うした問題 の 対応策 としては

,土

壌 改 良材・ 化学肥料 。有機肥料等 の利用 を始 め とした高投入農業が考 え られ るが

,そ

の収益性 を試算す るまで もな く

,現

実 的な解決策 にな らない ことは,ま た,

明 白であろ う。

地力 の劣 るア ップ ラン ド土壌 において持続 的な農業 を営むためには

,15〜 20年

以上 の

休 閑が必要 であ る一方

,水

田はア ップ ラン ドか ら流れ込む土壌 を貯留 し

,流

去水 中の養分

を有効 に利用 で きるシステムであるため

,生

産性 はア ップ ラン ドの

2倍

以上 で

,か

つ連 作 が可能であ る。 したがって

,水

田での生産性 は

,同

面積 のア ップ ラン ドに対 し

,20〜

40

倍 に相 当す る と考 えるこ とも可能で あると共 に

,ま

,内

陸小低地 の水 田化 に伴 う集約 的 利 用 の促進 は

,失

われ た森林 の再生 に寄与す ることも確 かであろ う (若月,1991)。

以上 に述 べた よ うに

,焼

畑農業 は現在 の生産性 を如何 に維持す るかが課題 で あ り

,今

後 も長期 的 に生産 の増大 を推進す る積極 的動機 は見 あた らない と判断で きる。 内陸小低地 に お け る可耕地の拡大 に可能性 が認 め られ る とすれ ば

,将

来 的 な コメの増産 と安定 的供給 を 保証す る手段 として

,灌

漑稲 作 の進 展 が優先 され るべ き課題 である と考 える。

2日 内 陸 小 低 地 と そ の 利 用 状 況 (コ ー トジ ボ ワ ー ル を 中 心 に)

熱帯サブサハ ラ 。アフ リカの低湿地は約

240万 Mに

及び

, 4種

類 に類別することができ る(Andriesse,1986)。

I‑1に

示す よ うに

,約 45%の

面積 を占めるのは内陸大盆地(Inland

Basins)で あるが

,水

資源 の不足や土壌肥沃度の点で

,農

業的な利用価値及び今後の開発

可能性は共に低い。氾濫源(River Floodplains)は

12%を

占め

,土

壌 は比較的肥沃 となる。

このため

,ダ

ムによる洪水調節

,ポ

ンプア ップによる灌漑が可能 となる地域に限つては,

農業ポテ ンシャルは高い もの となる。海岸低湿地(Costtal wetlands)の 面積比率はは約

7%

(20)

I‑1 

熱帯サ ブサハ ラ・ア フ リカにおける低湿地の分類

類 別 内陸小低地

(Inland valleys)

内陸大盆地

(Inland Basins)

氾濫原

(River Flood,lains)

海岸低湿地

(Coastal vetland)

E有(1,000ha) 低湿地 に 占め る割 合(%)

85,000 36

107,500 45

30,000 12

16,500

7

出 所 :Andriesse,1986

で あ るが,水 の コン トロール が困難 な こ とと,酸 性硫酸塩 土壌 のため開発優先度 は低い(若 月, 1995)。

内陸小低地の面積 は約

36%,8,500万 haと

推 定 され

,西

ア フ リカ諸国では古 くか ら,

雨期 にお ける降雨 を利用 した土地集約 的灌漑農業が行 われ てきた。 内陸小低地 とは

,穏

かに起伏す る準平原地形 の低地部分 で あ り

,河

川 の源流部分 に当た る。主 な水源 は雨

,集

水域 か らの表面流 出水 と地下浸透水・湧水 であ り

,下

流 に行 くにつれ はつ き りと した流路 を持 つ よ うにな り

,氾

濫原 的要 素 を持 つ低 地 とな る (若月,1995)。 ここでは

,沖

積 堆積 作用 が存在 しないか

,あ

った として も極 めて少 な く

,は

っ き りした洪水平野がな く

,ま

自然堤防 もない(Intemational lnsitute for Land Reclamation and lmprovement(ILRI),1983)。

雨期 には降雨 に よ り冠水す る川底部

(Vttley Bottom)及

びそ の外縁部 (Fringes)に おい ての灌漑稲 作の進展 に よ り

,コ

メ生産量 の飛躍的増 大 が期待 され るが

,現

状 で はその 10

25%が

稲作栽 培 に利用 され てい るに過 ぎない(Andriesse,1998)。

コー トジボ ワール の稲作面積 は約

50万 haで

あるが

,そ

の うち約

90%を

ア ップラン ド にお ける陸稲栽培 が 占める。ここで行 われ る稲作 は

,主

に焼 き畑 に よる粗放 的栽培 であ り,

その単収 は全 国平均 で約 1.4t/ha 6)と 極 めて低 い。都 市か ら距離 を置 く農村周辺 で栽培 さ れ るこ とが多 く

,農

村 内での 自給 目的の他

,余

剰 生産 は地方都 市 に も供給 され るが

,流

量 は多 くはない7)。

一方

,比

較 的水 資源 が豊 富で ある内陸小低地では

,灌

漑稲作 が主流 とな る。 作付面積 で は全稲作面積 の約

10%を

占め るに留 まってい るが

,平

均単収 は約 3.2t/ha 8)と され る。 し たが って

,生

産量 としては陸稲 に及 ばない ものの

,こ

こで は換金作物 として栽培 してい る 農 民が多 い こ とか ら

,収

穫 され た コメの多 くは近 隣の地方都市 に運 ばれ

,輸

入米 とともに

市場 に流通す る割合 は比較 的高い。

コー トジボワール において内陸小低地の組織的開発 が始まつたのは

,独

立 間 もない 1960 年代初頭 の こ とで あ る。初期 の開発 としては

,1963年

に台湾 による技術協力 が開始 され,

開 田 。灌漑施設整備 。技術移転 が国内

24箇

所 で展 開 され たが

,そ

の後 の外交 関係 の中断 とともに

,1973年

に 中止 され てい る(若月・ 謝 ,2003)。 一方

,コ

ー トジボ ワール政府 主 導 に よる開発 は

,1970年

代初期 か ら内陸小低地を利用 した農業用ダム

120箇

所 の建設が行 われ ると共に

,近

代的灌漑稲作技術の進展が図 られた。 その結果

,手

厚 い農 業者保護 政策 の 下

,一

時的 に コメの 自給 を達成 したが

,1970年

代後 半 か らの経済低迷期 を迎 え る と同時 に生産量の増加 率は鈍化 し

,現

在 に至 ってい る。近年 において も内陸小低地 を中心 とした

16‑

(21)

ω

1996      1997      1998      1999     2000 年

  

□ 新規整 備計 画面 積 ― 資金調 達済み新規整 備面積

‐ リハ ビリ計画 面 積

 

…予 資金 調 達済 み リハ ビリ面積 図

I‑1灌

漑 水 田整 備 計 画 面 積

出所 i Communication en Conseil des Ministres en C6te dlvoire,(2000) veloppement de la Riziculture dans une Perspective Global diAutosurisance AImentaire"・

1996

1997     1999     2001     2003     2005 年

□ 生産 目標 一 実績

I‑2コ

メ生 産 量 の 推 移

出所 :生産 目標 は Comunication en Conseil des Ministtes en C6te dlvoire,(2000)

I)ёveloppement de la Riziculture  dans  une Perspective  C1lobal  dIAutosuttsance Alimentttre".実績 はFAOSTAT dttabase(2004)に よ る。

稲作 の開発 は継 続 され てお り

,コ

メ供給の対外依存度軽減及び将来的な 自給の達成 を 目的 として

,年

8%の

増産 目標 を掲 げ

,数

々の施策 が計画 されてい る。 図

I‑1に

示 した灌 漑水 田整備 計画9)の

,稲

作集 約化 プ ログラム(ProgralmmeどIntencittcation de la Riziculture)

と題 して

,優

良種子 生産 と普及・農 業用資材 の供給促進・機械化 の振興等

,野

心 的な計画

が立案 されてい るが

,い

ずれ も国際協力機 関又 は援助 国か らの資金提供 を前提 としてい る こ とか ら

,実

施 され ないまま とな る事業 も多 く

,コ

メ生産量は依然停滞 を続 けてい るのが 現状 であ る (図

I‑2参

)。

×

00

表 Ⅲ ‑2  水不 足の原因 (Petit― Bouak6) (単 位 分 類 水不足の理 由 人 数 天 候 降雨不足 設 備 管理 3 3 1 出所 :現 地調査 (2001年 )に よる。 (プ テ ィブアケにお ける農 民 25名 か らの回答 ) のペ リメ ッ トル で重要 な課題 となってい る。 しか し ,コ ー トジボ ワール政府 の財政難 にカロ え ,作 付 面積拡 大 を優先す る開発 方針 もあ り ,既 存設備 の リハ ビ リは一部 の国際協力機 関 に よる支援事業 に限
表 Ⅲ ‑4  調査地区農民の国籍 口部族構成 (単 位 :人 ) 勘﹄ 農 民 の 国籍 農 民 の部 族 Potit― BOuak6 N.Viank「 o Takissa16kro N'Gtltado li kro Pont一 Dasoula 91 0 2012︲0822一32 1 0 0 0100 注 :コ ー トジボワール における部族の分類 は原 口 (1996)に 詳 しいが ,本 表作成 に当たつて は農民が回答 した部族名 をそのまま記載 してい ` る。 出所 :現 地調査 (1998年
表 Ⅲ ‑1  入手困難な交換部品 すべて クランク シャフ ト ギ ア チ ェー ン ピス トン リング 耕猛爪 インジェクションポンプ 始動用 クランク樺 Adaou Petit― Bouak6 N'Viankro N'Gatadolikro Takissalekro O O O O  O O OO O  O O O 出所 :現 地調査 (1998年 )に よる。 (耕 絃機 を所 有す る 5地 区にお け る ,機 械 保守 を担 当す る農 民 か らの回答 ) され るが ,機 種変更 に伴 い

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