こ うした前提条件 の下
,本
章 では 「ペ リメ ッ トル (政府 主導型 大規模 開発 地 区)」 と「バ フォ ン (農民主導型 小規模 開発 地 区)」 を対 比 させ,そ
の水 田利用状況 の相違 を整理 した 後,土
地生産性 を規制す る 自然 。社会経済的要因の分析 を行 う。更 に,灌
漑稲 作振興 のカギ とな る農民組織 の現状 とその背景 の考察,並び に普及体制 にお ける問題 点の検証 を通 し,
内陸小低 地 にお け る灌漑稲 作の特徴 と現状 の課題 を明 らかにす る。
1日 水 田 利 用 状 況
1)ペ
リメ ッ トルヽ
調 査対象 とした灌漑稲 作地 区の うち
,表
Ⅲ‑1が
示す よ うにペ リメ ッ トル は6地
区で あ る。1970年
代 か ら1990年
代前半 にか け国家 プ ロジェク トとして開発 された比較的大規 模 な濯漑稲 作地 区で あ り (一部,1960年
代 に台湾 の援助 に よ り開発 され た もの を含 む),灌漑 用 ダムに コンク リー トカナル が整備 され てい る。
入植 時 にお け る
1農
家 当た りの割 当面積 は通 常 0,25〜 0.5haと なってお り,1992年
に完 成 した ンガ タ ドリク ロlNiGatadolikro)では全農 家 が当初 の 0。
25haを
継 承 してい るが,1960〜 1970年
代 に開発 され たアダ ウ餘daOu)やプテ イブアケ(PetittBouakё )では,耕
作 を放乗 した農 民が残 した土地 を他 の農 民 が成収す る状態 が現在 に至 るまで繰 り返 され
,次
第 に1農
家 の保有す る水 田面積 が大 き くなって きた経緯 が ある。 こ うした特殊 なケース を除 き,ペ
リメ ッ トル において は仮 に二期作 を前提 として も,農
家 に とって稲 作が基幹作物 と な り得 るだ けの面積 が当初 か ら用意 され てい る とはい えず,最
小 面積 であ るンガ タ ドリク ロではすべての農 民がヤムイモ 。キャ ッサバ・ 陸稲等 に よ り農業所得 を補 ってお り,稲
作 専業農家 は存在 しない。農 民 はあ らか じめ基盤整備 され たペ リメ ッ トル に入植 し,割
り当て られ た回場 にて耕 作 を行 うため
,自
ら耕 地 を拡大す る といつた 自由度 はな く1),自 力 で の経営規模拡大 の余地がない とい える。このた め ンガ タ ドリクロで は
,普
及機 関 に対す る要望 と して83%の
農 民が 「耕 地 の拡 表 Ⅲ‑1
調査地 区の概況開発 形 態 産 濡 和 作
地 区名 湛漑施設 整備面積'
(ha)
全 農 家数 (戸)
調 査 晨 家 数 (戸)
1農家当た り 水田面積 (ha)
耕 地 利 用 率 (め
稲 作専 業 良 家 (略 )
二 期 作 農 家…(%)
農民組織 の有無
導 入機 械 (台)
Perimetre
Bas―Fond Adaou Kangandi Petit―Bouak6 N'Vlankro Takissa16kro N'Gatadolikro
ダム ダム ダム ダム ダム ダム PFE備徹
PFE
18 15 315 23 67 12
6
︲0
00
33
2︲
34 一 6
︲0
6 10 17 21 12 23
1 42 0 49 3 34 0 25 0 50 0 25
41 2 79 4 50 9 00 8 99 5 100 0 89 3 100 0
有 無 無 無 有 有 一無 無
耕 猛 機 1
0 耕 柄機 1
耕 猛機 1
耕 柄機 3 耕 猛機2 0 0 Anongblin
Pont―Basoule
G G
1 17 1 08
0 0
17 33
士作付け可能 とされ る面積であ り
,現
在稲作を営む農家の未作付面積 に加 え,既
に作付 けを放棄 し た農家の国場面積 を含む。‖調査対象作期における
,各
農家水 田探有面積 に対す る実際の作付面積の比率。・キ・調査年度において
,乾
期作 も含 め二期作を行 つた農家の割合。■■船PriSe au Fll♂Eau:小川取水。用排水路の区別はなく
,通
常は田越 し灌漑。出所 :現 地調査(1998)に よる。
44‑
大」 を訴 えてお り2),耕
地面積 の制 限が稲作農 家の経営 を安定 させ る上での障害 となつて い る とい える。 また
,農
家 の多 くは 自給 的 な畑作物 の栽培 も行 ってい るが,保
有 面積 の大 きい アダ ウ,プ
テ ィブアケでの稲作専業農家率が比較的高い もの となってい るこ とか ら, 作付面積 が十分 で あ る結果 として コメを換金作物 ととらえ,稲
作専業 にて農業経営が成 り 立 ってい ることが分か る。しか しなが ら
,図
Ⅲ‑2で
示 す よ うに,こ
うした地 区で の耕 地利用 率 は低 い値 となって い る。全地 区平均 では71,9%で
あ るが,保
有面積 の大 きい アダ ウとプテ ィブアクではそ れ ぞれ41.2%,59。 9%で
あ り,こ
の2地
区の耕地利 用率 の低 さが際だってい る。最 も保図Ⅲ
‑2耕
地 利用割合 出所 :現 地調査(1998年
)による。1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
農家番号
日 未作付面積 ■ 作付面積
図 Ⅲ
‑3プ
テ ィブアケ にお ける農 家 別耕 地 利 用 割 合 出所 :現地調 査(1998年
)に よ る。4 3 2 1 0
奪じ 解 旧 田
< 研 昨 G い製 刊K 囀 r
型コ O∽
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3oω巧く
G じ 解 旧 田
×
︵じ冊眠雇翼茶 100
80 60 40 20 0
∞
●
● ◆
◇
・
◇ 畑作兼業
● 稲作専業
4
水田保有面積(ha)
図Ⅲ
‑4
プテ ィブアヶにおける農家別水 田利用状況 出所 :現 地調査(1998年
)による。有面積 の大 きい プテ ィブアケの各農 家別耕 地利 用割合 を図Ⅲ
‑3に ,更
に,稲
作専業及 び 畑作兼業農 家別水 田利 用状況 を図Ⅲ‑4に
示す。 1.5haを 超 える水 田を保有 してい る農家 のすべてに未作付面積 が存在 し,保
有 面積 が大 き くな るほ どそ の割合 が高 ま る とい う傾 向 が顕著 に見て取れ る。1農
家 当た りの保有面積 が大 きい地 区において耕 地利 用 率 の低 下 を招 いてい る要 因 とし ては,以 下の こ とが指摘 され る。第一 に,機械化 の普及 の遅れ に加 え,1農
家 の家族人数7.5人 中
,労
働人数 3.6人 (全Fth査対象 地 区平均)と
い う実態 と照 らし合 わせ,大
面積 の作付けに対応 できるだけの労働力確保 が困難 である とい うことがあげ られ る。増加す る人 日の 大部分 は都 市部 に吸収 され
,農
村 部 での人手不足 は深刻 な問題 とな りつ つ あ りa),調査 に おいて も農家の48%が
労働 力不足 と回答 してい る。ha当
た りの家族労働者数 を見 る と,全地 区平均 の 9.2人 れ
aに
対 し,ア
ダ ウは5。6人
れa,プ
テ ィブアクは 1,6人 れaで
あった。図Ⅲ
‑5が
示す よ うに,ペ
リメ ッ トル各地 区の耕 地利用率 は,ha当
た りの家族 内労働者 数 に概 ね依存 してお り,特
に保 有面積 が大 きい これ ら2地
区での労働力不 足 は、作付 面積 拡大 の規制要因になってい る と考 え られ る。第 二 に
,貧
困農村 において慢性 的 な負債 を抱 える小規模家族経営農家が多いなか,作
付 面積拡大 に伴 う新 たな経営資本 の投入 には限界 がある とい うことを指摘 で きよ う。次期作 付 けのた めの準備金平均額 は1農
家 あた り 57,300FCFA 4)れaで
あ り,こ
れ は種子代お よ び施肥基準 に見合 つた肥料代(58,000FCFA)相 当に過 ぎず,機
械 の賃耕 費や不足す る労働力 を補 うための雇用労働費 を賄 うこ とはできない。 また,零
細農 家 を対象 とした金融機 関や ク レジ ッ トシステム も存在 しないた め,作
付 けに必要 な準備金不足 は耕 地利 用率低 下 に直 結 してい るもの と考 え られ る。 これ らが理 由 とな り,幸
い に も比較 的大面積 を有 していたとして も
,そ
の土地 を有効 に利 用す る機会 を失 つてい る農家 は多い と判 断 され る。この よ うに
,保
有面積 の大 きい農 家 にお ける耕地利用率 の低 下は,面
積 に見合 つた労働と資本 が伴 っていない ことが原 因である と考 えるこ とがで きる。 こ うした現象 が生 じる理 由 としては
,経
営面積 の拡 大 が,十
分 な労働 力 と経 営資本 に裏付 け され た積極 的 な動機 に‐46
15 ︵<
︶黒 神 運 ぷ K 鯉 F 畔
0 1 5 0
100
0 0 0 8 6 4
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︶幹 暖 膠 ヨ 茶
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■■ ha当たりの平均農家労働者数 手 耕地利用
図Ⅲ
‑5家
族 労働者 数と耕地 利用率 出所 :現 地調査(1998年
)による。よるものではな く
,他
の農 民が放棄 した耕地 を譲 り受 けた ことに よる結果 的な規模拡大で あった点 を指摘す ることができ,こ
の よ うな耕地の集積化 が地 区全体 としての土地生産性 の低下 をもた らしてい るこ とが懸念 され る。三期作化 を前提 として開発 され るペ ヅメ ッ トル であるが
,現
在 まで毎年 二期 作 が可能 で あった地 区は ンガ タ ドリクロだ けであった。調査年度 において も,一
期作 に とどま った農 民 が50%以
上 で あ っ た地 区が2/3を
占め る。 そ の理 由 と して,ア
ダ ウ,タ
キサ レク ロCakissalёkro)では「灌漑水不足」との回答 がそれぞれ
100%,53%,ン
ブ ランクロlNIVlankro) で は88%が
耕絃機 の不足 をあげてい る5)。 灌漑水 の不 足 につ いて は,恒
常的 に発 生 してい る との こ とで あ り,ダムの設計 自体が妥 当であつたか ど うか とい う疑 問点 を指摘 できるが,多数 の原 因が複合的に作用 し
,作
付 けに十分 な用水 量 が得 られ ていない と考 え られ る。プテ ィブアケにおいて
,農
民が指摘 した水不足 の理 由を,表
Ⅲ‑2に
示す。調査年度 は,この地 区にお け る降雨量が安 定 していた こ ともあ り
,二
期 作農 家 の割合 は 88%と か な り 高いが,乾
期作 を断念せ ぎるを得 ない年度 も度 々あ り,水
不足 に姑す る農 民の警戒 も強い もの とな つてい る。農 民が あげた水不足 の原 因 としては,「降雨不 足」 とい う,単
純 に天 候 に起 因す るものの他,「用水路 の崩壊」,「ダムが干上 が る」,「貯 水池 が小 さい」,「ダム の崩壊」 といった設備 上の問題 が指摘 されてい る。 開発後,既
に30年
以上経過 してい る ペ リメ ッ トル で もあ り,用水 路 の コンク リー トが欠損 してい る箇所 も複数確認 され てお り,明 らか に設備 の老朽化 が進 んでい る。「貯水池 が干上 が る」 に関 しては
,降
雨不 足 に起 因 す る問題 で もあ るが,集
水域 か ら流 亡 した土壌 がダム湖 の湖底 に溜 ま り,ダ
ム貯水量が減少 してい ることも考 え られ る。雨期 における激 しい降雨はエ ロー ジ ョンを加速 させ
,ダ
ム周辺 の地形 に も影響 を与 えてい る場合 があ り (写真 Ⅲ