前章 までの考察 か ら
,バ
フォ ン型 開発 は,保
有面積や耕 地利 用率等,土
地利用 にお ける優位性 が認 め られ る と共 に
,開
発 に農 民 自身が労働 と時間 とい う投資 を もつて関わってい るこ とか ら,ペ
リメ ッ トル型 開発 と比較 し,内
発 的 。持続 的で あ り,
自立発展性 が望 める 開発形態 と位置づ けるこ とがで きる。 そ こで本章では,バ
フォ ンで耕 作 を営む農 民の抱 え る諸 問題 の更な る究明を図 り,彼
らの真 のニーズに接近す る とともに,持
続 可能 な適正技 術 の詮 索 を行 い,そ
の導入方法 について検討す る。1日
耕耗機が もた らす効果の検証
1)農 民のニーズと歴史的背景
コー トジボ ワール 国内の農 業普及組織 で ある
ANADER(農
村 開発 支援公 社)に
関 して は前章で も触れ たが,国外支援 団体 に よる協力 とはほ とん ど縁 がないバ フォ ンにおいては,地域 を管轄す るこの普及事務所 が唯― の支援機 関 とな る。
調査対象
2地
区にお け るANADERに
対す る要望 を図Ⅳ‑1に
表 した。農 民組織 に対す る期待 と同 じく,農
業用資機材 (農業機械 及 び肥料・農薬等)の
提供 を訴 える声 が最 も多 い結果 とな り,こ
れ は資機材 を購 入す る資金 の貸付 けを意 味す る とともに,「望 む ところ は無償」での提供であつた。普及機 関の主要業務 は農業技術の普及 で あるため,農
民組織化支援 とともに資機材調 達先 の情報等 を提供す ることはあ り得 て も
,資
機材 その もの を提 供す るこ とはない。農 民 もそれ を理解 しなが らもなお普及機 関に よる資機材 の提供 を望ん でい る理 由には,コ
ー トジボ ワール の農業政策 の歴史が微妙 に影響 してい ることを指摘で きよ う。高 度 経 済 成 長 を続 け る
1970年 ,政
府 の農 業 者 保 護 政 策 の 一 環 と して 設 立 され たSODERIZ(Sociё
tё pour le Dёveloppement de la Riziculture:稲 作 開発公社)は ,灌
漑 用 ダ7 .農
業 資機材■ 栽培 技術 熙 融 資
□ その他
図Ⅳ
‑1普
及機関への要望 (複数回答 :人)出所 :現地調 査(1998年)に よる。
(バフォ ン
2地
区,農
民計12名
か らの回答)ムの建造 をは じめ とした大規模 開発 を各地で進 める とともに
,生
産者 に対 す るコメの買い 付 け保証,肥
料・ 農薬 の無償配給,農
業機械 の貸 与等 を実施 した。そ の結果,生
産量 が急増 し
,一
時的 に コメの 自給 を達成 した。 しか し,1977年
の経営破綻 とともに組織 は解 体 し,そ
の後 は稲作生産現場 に対す る一切 の支援 が打 ち切 られ,生
産者 の稲 作離れ を加速 さ せ た(MinistёreぎEtat,Ministё re de l'Ag culture et des Ressource Animales,2000)。一 時的 とはい え
,高
投入 な農 業 に慣れ親 しんで しまった結果,今
日で も潤沢 な資機材 が 無 けれ ば農 業生産性 の向上 は望 めない とす る認識 が,農
民だ けではな く普及機 関関係者 に まで見受 け られ る。資機材 さえ確保 で きれ ば食糧増産 は可能 とい った考 えは,適
正 な技術や肥培管理 を軽視 し
,
ドナー か らの資金援助 のみ を期待す る傾 向を助長 させ る。こ うした社会構造 は
,持
続性 とい う観 点 において極 めて開発効果 が出に くい側面 を伴 つ てい るこ とも指摘で きよ う。過去 の恵 まれ た生産環境 を基準 として現在 を悲観す る傾 向は,特 にペ リメ ン トル におい て顕著 である。 しか し
,こ
の保護政策 の恩恵 を直接享受 した もの が少 ないバ フォ ンにおいて も,普
及機 関に対す る非現実的な要望 とい う形 で,現
在 で もその影響 が農 民の意識 のなかに根強 く残 され てい ることが伺 える。
2地
区のバ フォ ンの全農 民 は,耕
絃機 の必要性 を強 く訴 えてい る。ペ リメ ッ トル で は,農 民組織 で の共 同購 入 また は援助 に よ り導入 されてい る地 区が多いが
,い
ずれ の手段 も持ち得 ないバ フォ ンでは
,導
入 の機会 を得 るこ とは極 めて困難 である。 しか し,こ
うした 内 陸小低地 の 自力 開墾型灌漑稲作地 区での機械化振興 に,果
た して妥 当性が あるか を検証す る必要 が あ るだ ろ う。本節 では,土
壌条件・ 作業性・収益性 。作業体系等 か ら検討 を加 え, バ フォ ンにお ける機械耕絃導入 の可能性・妥 当性 についての考察 を行 う。2)機
械 耕 耗 と 土 壊 条 件一連 の稲 作作業 において
,作
付 け前 の耕絃作業が最 も過酷 な労働 となってい ることは明 らか で あ る。 コー トジ ボ ワール 中部 地 区の上壌 は風 化 と養 分溶 脱 が激 しい Ac sols, Ferralsolsが 大半 を 占め るが,一
部 には粘 土移動 が少 ない Luvisols,Cambisols,Nidsolsも 存在 し1),内陸小低 地 の川底 部 につい て は粘 土含 量の増加 が報告 され てい る(Bi.ttlingham,
2003)。 これ は
,降
雨 に よる集 水域 か らの流 出水 が一 定 の給 土成分 を含 有 してお り,水
田に引 き込 んで停滞 させ ることに よ り粘 土成分 が沈殿 し
,次
第 に粘 土含 量が増加 してい るた め と推察 されてい る。 この現象 は,一
旦 ダムで貯水 を行 うペ リメ ッ トル に比べ,貯
水機 能を持 たず
,灌
漑水 を川底部 の水 田で直接利 用す るバ フォ ンにおいて,よ
り顕著 に表れてい る と思 われ る。 また,畦
畔 と用排 水路 の整備 等,灌
漑 水 の コン トロール が行 き届 いた水 田 シス>ム
にな るにつれ,こ
の作用が高ま るもの と考 え られ る2)。こ うした特性 をもつバ フォ ンでの土壌 は
,比
較 的肥沃 とな る反 面で,易
耕性 が極 めて低 い もの とな る。刈取 り期 に落水 され た 田面 は短時間で乾燥 し,土
壌表 面 は非 常 に硬 くな る こ とか ら,乾
田耕 起 は不可能 とな る。 そのため,一
旦湛水 してか らの耕絃 作業 となるが,重 く湿 った土壌 を雑 草 とともに耕 す作業 は想像以上の労力 を要す る3)。 また
,農
家 の労働 力不足 も加 わ り,作
付 け準備 に多 くの時間 を必要 とす るこ とか ら,圃
場単位 での稲 の生育‑72‑
ステー ジにズ レを生 じさせ灌漑水管理 を困難 にす る と同時に
,二
期作 の展 開に も悪影響 を 及 ば してい る。 こ うした背景 を考慮す る と,農
民が耕絃機 導入 を熱望す るのは当然 で あ る と考 え られ る。耕起作業 にお ける単位 面積 当た りの消費カ ロ リー は,人
力耕 を 100と す る と耕絃機 は11と
されの,機
械耕絃 に よる作業負荷 の大 幅 な低減 が望 め る こ とは明 らかで ある。 この よ うに土壌条件 の特異性 を理 由 とす る耕絃機導入 の妥 当性 は認 め られ ると判 断して も良いだ ろ う。
3)機
械 耕 耗 の 効 用労働生産性の向上には確実に寄与す ると考えられ る機械耕耗であるが
,特
に灌漑稲作においては,栽 培に適 した土壌環境 を得 るために,そ の利用効果は極めて高い と判断 され る。
以下
,人
力耕絃 と比較 した機械耕絃の一般的な効用に加 え,内
陸小低地での利用における 特徴的な効果 を含 めて列挙す る。① 「ロー タ リー耕 による物理的土壊改良作用」
耕深 。反転性・砕土性のいずれ も人力耕絃に勝 っていることか ら
,稲
の活着・生育に好 適な土壌の物理的条件 を作 ることができる。ダバによる耕深 は約10cm 9,ま
た,写
真Ⅳ‑1が
示す よ うに砕 土性 はほ とん ど望 めないが,耕
転機 のロータ リー耕 による耕深 は約15cmを
保つ ことが可能であ りであ り,十
分な砕 土効果 と共に,稲
作栽培 においては理想 的な土壌環境 を造 ることができる。写真
V‑1
ダバによる耕猛後の田面 (Petit―Bouak6)② 「雑草制御 。有機物還元作用及び病害防除効果」
写真Ⅳ
‑2耕
転機によるロータリー耕 (Anongblin)熱 帯 での灌漑農業 は雑 草 との戦い とい って も良 く
,経
済 的理 由か ら除草剤 の投入 も不十 分 で あ るなか,作
付 け前 の除草 の徹 底 は単収 を左右す る大 きな要素 とな り得 る。 グバ に よ る耕絃 では表上 を反転す るのみであ り,雑
草 を完全 に枯 らす こ とがで きないが,機
械耕絃に よる食物残澄 の反転・埋没作用 は
,雑
草制御及 び有機 物還元効果 を高 め る。また,RA/1V
に対 しては
,作
付 け前 の十分 な耕 起 が有効 な耕種 的防除法 とされ6),これ も機祓耕絃 によ つて初 めて可能 となるため
,病
害防除効果が期待 され る。③ 「施肥効 率 の向上」
1970年
代後 半 に高収 量 品種 が導入 され既 に年月 を経過 してい るこ とか ら,適
正 な肥培管理 が単収 を大 き く左右す る要 因 とな るこ とを多 くの農 民は理解 してお り
,施
肥量 は十分 とはい えない ものの,2地
区の農 民 の9割
が化学肥料 の投入 を行 ってい る。 しか し,砕
土効果 の低 い ダバ に よる人力耕絃 では
,施
肥効率 は極 めて低い もの と考 え られ る。 ロー タ リ ー耕 に よ り基肥 を作上の下層 まで混入 で きる とともに,土
壌膨軟化 作用 に よる施 肥効 率 の 向上 が期待 され る。また
,従
来 か ら畜耕 は行 われ てい ない こ とか ら,耕
絃機 の導入 は,役
畜 の代替 と排 除 を 強要す るものではな く,ま
た,灌
漑稲 作 にお ける堆厩 肥 の利 用 もない こ とか ら,施
肥形 態に変化 を生 じさせ るものではない。
④ 「水 田均平化 の促進」
機械耕耗 が行 われ ていない 回場 の均平 は極 めて悪 く
,灌
漑水 の水深 に大 きな差 を生 じさ せ てい る。水 田均平化 は水稲栽培 にお ける雑草制御 の重要 な要素である。 また,砕
土が不十分であるダバ による人力耕絃 田での 田植 え作業 は
,苗
の植 え付 け深 さの点 において作付74‑
I比