• 検索結果がありません。

生産環境 の諸条件 と開発形態

ドキュメント内 西 ア フ リカ 内陸小低 地 の開発 可能性 (ページ 34-42)

生産現場の概況

本研究 の対象 とした コー トジボ ワール 中部 地域 は

,灌

漑設備 の建造及び 回場整備 が行 わ れ た稲作地帯が点在 してい る。 また

,整

備 は されて い ない ものの

,雨

期 の降雨 を利 用 して 灌漑稲 作 が行 われ てい る内陸小低地 も多 く

,国

内で も最 も灌漑稲作が盛 んな地域 である。

本節 では

,こ

の地域 にお ける 自然条件

,主

だった稲 作作業 の内容 と労働力等 を整理す るこ とに よ り

,稲

作環境 のポテ ンシ ャル と現状 の技術水 準 を概観 す るこ とを 目的 とす る。 した が つて

,技

術 そ の もの の評 価 及 び 労働 費 の検討 は,「第Ⅳ 章 ノミフォ ンにお け る小規模 機 械化 の妥 当性」 にて行 う。

1)自

然 条 件

始 めに

,灌

漑稲 作 を行 う上 で最 も重要 な 自然条件 で あ る降雨量 をみ てみ たい。 西経

,北

前後 に位置す るコー トジボ ワール 中部地域 は

,赤

道 雨林気候 帯 とギニア (湿 潤

)サ

バ ンナ気候帯 の中間地帯 に属 し

,年

間降雨量 は

,約

1,100〜

1,200mm,平

均 降雨 日 数 は約 80日 で あ り

,そ

90%が

4月 か ら 10月 の雨期 に集 中す る (図

‑1参

)。 した がつて

,雨

期 には降雨 に よ り冠水す る内陸小低地 の川 底部及び その外縁部 においては

,貯

水施設 を もたな くとも灌漑稲作 が可能 となる。一方

,二

期 作 を行 うた めには乾期 の水源 確 保 が絶対条件 とな り,灌漑 用 ダム等 の貯水施設 が利 用 で き る地 区では乾期作 も可能 であ る。

しか し近年 では降雨量の変動が激 しく

,貯

水施設 が あつて も十分 な灌漑水量 が得 られ な い作期 もあるこ とか ら

,畑

作物 との輪 作 を行 う農 民 も存在 す る。 また

,貯

水施設 を持 た な

い地 区で も

,雨

期 にお け る降雨期 間が長 い年 には二期 作が可能 とな るこ ともあ り得 る。 こ の よ うに

,降

雨不足 が もた らす リス クは常 に一定程度存在 してい るものの

,降

雨過多 に よ

る影響 で深刻 な ものはな く

,洪

水等 の被害事例 もない ことか ら

自然 災害 に よる農産物被

出所 :Ministё re (1995)̀̀Annuaire

図Ⅱ ‑1コ ートジボワール中部地域の降雨量

dIEtat,WIinistёre de lIAgricutture et des Ressource Anilnales des statistiques Agricoles",Dttection de la ProgrammadOn。

30‑

害 の リス クは極 めて低 い環境 にあ る とい える。

雨期 に降雨が集 中す るこ とで

,通

常 な らこの時期 の 日射量の不足が,心配 され るが

,熱

特有 の降雨パ ター ンのた め,稲 の生育へ の影響 は比較的少 ない もの と考 え られ る。つま り,

1日 のなかで

1度

か ら数度

,短

時間の激 しい降雨 (ス コール

)が

あ り

,終

日降雨が続 くこ とはまれ で あ る。 このため

,雨

期 において も

,稲

の生育 に必要 な 日射 が得 られ る環境 で あ る とい える。

図 Ⅱ

‑2,I‑3で

示す よ うに年平均気温 は約 26°

C,最

低気温 も20°

Cを

割 り込む こ と はほ とん どな く

,赤

道 に近 い こ とか ら 日長 の変化 が少 ない。

12月

か ら

1月

にか けて 日長 は最短 ■ 時間

45分

となるが

,6月

と 7月 の最長

12時

30分

と比較 して も

,そ

の差 は45 分 で しか ない。 したが って水浜 が確保 されれ ば

,ほ

とん どの水稲 品種 で通年作付 けが可能 とな るが

,例

外 として

,■

12月 は鳥 に よる食害が深刻 となる可能性 が あるこ とか ら,

一般 的に作付 けが避 け られてい る。収穫 時期 が鳥の繁殖期 に重 なる うえ

,乾

期 の終盤 で あ

sttri、v hatlレ

40

3S m]ximum 32        B 2a

24gttH里

Sttre

J F tt A tt J JA S O N D

図 Ⅱ

‑2コ

ー トジボワール中部地域の気温 日湿度 出所 :Weather Online Ltd,Meteorological Services

由日照 時間 (2004).

123456789101112

図 Ⅱ

‑3コ

ー トジボ ワー ル 中部 地 域 の 日長 西経5°,耳ヒ緯 か ら算出。

14

︵じ L Ш

るこ とか ら他 の食料 が不足 し

,稲

に被害が集 中す ることが理 由 としてあげ られ るが

,こ

時期 を除けば

,作

期 に関す る制 限はほ とん どない と判 断 され る。

次 に土壌条件 で あ るが

,図

‑4に ,コ

ー トジボ ワール の上壌分布 図を示す。一部 には Luvisol,Canbisol,Nidsol等 の

,粘

土移動 が少 な く比較 的肥沃 な土壌 も存在す るが

,多

は土壌浸食 が激 しく農業生産力 に乏 しい Acttsolが 占める。他 のアフ リカ諸 国同様

,総

て土壌肥沃度 は低い と判断 され るが

,内

陸小低 地 において湛水状態 が一定期 間継 続す る条 件 下 で は

,還

元 が促 進 され る と同時 に粘 土含 量 の増力日が報告 され てお り (「第 Ⅳ章 ノミフ ォ ンにお ける小規模機械 化 の妥 当性」 にて詳述

),ア

ップ ラン ドに比較 して

,一

定 の肥沃 度 が確保 され てい る と考 えるこ とがで きる。 また

}内

陸小低地 での灌漑稲 作は

,高

収 量 品

種 の導入 に伴 う化 学肥料 の投入 を前提 としてい るた め

,多

くは無施肥 で あ る陸稲栽培 に対 し

,収

穫 量 が上壌肥沃度 に依 存す る割合 は比較 的低 い もの とな る。

CamЫs mOderat』y dev』oped bamyto davey sЫIs

OttysЫs:肘stosds,oorりdrttned or mgh watertaЫ e

 Vertisoisi binck:crackina Ciays

Iボ' Re9osoisi soWs on coarset uncconso dmes sedimetts LtthosoisI LeptOsolsl sha‖ ow:stoney saWs

 Sand dunesl sand rDCk

Xerosolsi Vermosois:very weakly developed soils ll SattI Solondェt Solonchaki sa‖ne soWs

■ КastanOzems:Rend=haI Phaooェems humus‐rich 30‖S

Andoso皓:s9Ws devЫoped rrOm YOLa Cs m飢8 S

F山 s』so‖s dev』 oped from aHumateWtts

Lu sds:NWsdsIPhnosoに:swnh day hcreadng st dewh Ferralsols:Acrisols:Low n rient holding capachy soWs Arenosolsl sandv 30iIS(alSO Pod=ols)

図 Ⅱ

‑4コ

ー トジボワールの上壌分布図 出所 :FAO Soil Map

Africa so‖ r¬ap leBend

32‑

この よ うに

,コ

ー トジボ ワール 中部地域 の内陸小低地 は

,土

壌肥沃度 においては恵 まれ てい る とはい えない ものの

,こ

こで扱 った他 の 自然条件 に関す る限 り

,灌

漑稲作 に不利 と な る要因は見つ か らない とい える。総合 的に判断 して

,む

しろ灌漑稲作 を行 う上で好適 な 自然条件 を持 ち合 わせ てい る とい え よ う。

2)栽

培 技 術

(1)品

コー トジボ ワール で作付 け されてい る水稲 品種の約

90%は ,1978年

にイ ン ドネ シアの B189b‑52‑8‑3‑1か ら選抜 され たBouakё

189で

ある

d食

味 に優れ

,収

量 も高 く安定 してい る た め

,急

速 に普及 し

,現

在 に至 ってい る。 しか し

,「

曲IV l)に 感受性 が ある等

,病

害 虫 に弱い こ とと

,鉄

過乗J害がでやすい といった特徴が あるため

,新

た な主力 品種 の導入 が待 たれ てい る。現在

,WARDAで

,い

もち病抵抗性・鉄過乗J耐性・

RYMV抵

抗性 。多収性 等 を備 え持 つ新 たな水稲 品種 を交配 。選別 し

,順

次 リリー ス してい る段 階で あ る。

(2)耕

耗 作 業

機械化 の進 展 は

,一

部 の輸 出向け換金作物用 プランテー シ ョン回場 にお ける大型 トラク ター の導入 がみ られ るが

,稲

作分野 では非 常 に遅れ てい る。 このた め現在 で も稲 作 の各作 業 は人力 が大半 を 占めてい る。 一部

,耕

絃機 の導入 が見 られ るが

,そ

れ らは援助 に よ り農 村 に供 与 され た ものや農 民組織 に よる共 同購入

,あ

るい は小規模 な機械賃耕業者 の所有す るもので あ り

,個

別農 家 が機械 を所有す る段 階には至 っていない。 また

,機

械 賃耕や雇 用

労働 が生業 として成 り立 ってい ない こ とか ら

,そ

れ らの市場 が発 達 してい る とはい えない が

,農

民組織 が存在す る場合 を除 き

,労

働力 を互い に提供 し合 うとい った共 同作業 の習慣 もない こ とか ら

,特

に重 労働 とな る耕絃作業 においては

,機

械耕B人力耕 を含 め

,一

部雇 用労働 を利 用 してい る農 家 が多い。

耕絃前 の必要 な作業 として

,除

車 があげ られ る。 三期 作 を行 う場合

,収

穫後 か ら次期作 開始 までは数週 間で あるが

,気

温 が高い ことに加 え,田 面 は落水後 も水分 を保有 してお り,

また

,前

作肥料 の残効 も影響 しやす いた め

,雑

草 は短期 間で著 しく繁茂す るこ ととな る。

除草作業 は

,マ

シ ェ ッ ト働αじ力ι滅)と 呼 ばれ る長 ナ タが用 い られ

,重

労働 の一 つ で あ る。

人力 に よる耕 絃 作業 は

,ダ

lDabα)2)と 呼 ばれ る鍬 の一種 が用 い られ る。農具 の発展 を ほ とん どみ るこ とがなかった西 アフ リカにおいては

,稲

作 に限 らず農 作業 の大半 は このダ バ とマ シェ ッ トによ り行 われてお り,作業精度・ 能率 は極 めて低 い と言 わ ざるを得 ない(写 真 Ⅱ

‑1, 2参

)。

伝 統的 に畜耕 は行 われ てい ない。 北部 の一部 地域 におい て牛耕 がみ られ るが

,中

部地域 では皆無 である。 ツエ ツエバエ に よる家畜の催 眠病 ψα%οsοttα)の汚染 地域 だ った こ と に加 え

,牧

畜 と農耕 では

,元

来 それ を生業 とす る部族 が違 うこ とが

,畜

耕 の普及 を阻んで きた もの と考 え られ る。 中部地域 に も放牧 を営む部族 は少数 なが ら存在す るが

,主

に北部

(マ

)か

らの移住者 であ り

,彼

らが 同時に農業 を営む ことはな く

,家

畜 が農 業 に利 用 さ

写真 Ⅱ

‑1ダ

写真 エー

2ダ

バ による耕猛作業 (Aboukro)

れ てい る例 はない。畜耕 は長 い年月 を得 て育まれた部族 内の伝統文化 の一つ と位置づ ける こ とがで き

,そ

れ を一つ の技術 として捉 えて導入 を図 ることは容易ではないだ ろ う。 した が つて

,将

来 的 に もこの地域 に畜耕 が普及す ることは考 え難い3)。

(3)播

種・ 田植 え作 業

調査 対象 と した

8地

区で は

,約 50%の

農 民が直播 (散播

)を

行 つてい る。移植 では,

正条植 え

,乱

雑植 えがそれ ぞれ約

25%で

あった。移植 を行 つてい る農 民の約

90%が

,「生 産性 の 向上 (増収効 果)」 ,「移植 後 の栽 培 管理 の容易 さ (主に除草 作業)」 をそ の理 由 と して あげてお り

,概

ね正 しい理解 が され てい る一方

,直

播 を行 う農 民 の約

80%が

,「技術

‐34‐

。道具・資金面 の問題 」,「労働 力 不 足」 と回答 してい る。移植技術 が十分 に普及 してい ない と共 に

,農

村部 にお け る労働力 不足 が

,栽

培技術 にまで影響 を及 ば してい るこ とが伺 える。共 同作業 が行 われ ることはほ とん どな く

,移

植 の場合 は多 くを雇 用 労働 に依存す る こ とにな る。 また

,直

播 。移植 栽培 共 に

,塩

水選・催 芽等 の種子 の予措 はほ とん ど行 われ てい ない。

(4)加

二月巴

アジア諸 国に対 し

,ア

フ リカにお ける食料生産の停滞 が施肥量 に起因 してい ることは,

度 々論 じられ る ところで あ る。 しか し

,コ

ー トヲボ ワール においては

,1960年

の建 国以 降

1970年

代後 半まで

,政

府 の農 業保護 政策 に よ り

,農

民 に対す る農 業用 資機材 に多額 の 補助 が与 え られ た こ とか ら

,化

学肥料 の有用性 は広 く認識 され てい る。現在 で は一切 の補 助 が打 ち切 られ てお り

,作

付 け前 に十分 な肥料 を購入す るだけの資本 を持 ち合 わせ ない農 民 も多 い なか

,調

査 対象 の

94%が

何 らかの形 で化 学肥料 の投入 を行 つてお り

,地

域 差及

び個人差 は大 きい ものの

,投

入 量 は施肥基 準4)の

80%に

達 してい る。

一方 で

,堆

肥及 びその他 有機 物の投入 は一切行 われていない。前述 した よ うに畜耕文化 が普及 しなかった ことに加 え

,稲

作 にお ける有畜複合経営 も全 くみ られ ないた め

,現

在 ま

で堆肥 を投入す る機会・ 動機共 に見つ け出す ことがなかった と考 え られ る。地力保持 の観 点か ら堆 肥利用 は今後検討 され るべ き課題 となるが,現 在 の ところ,農 業普及機 関を含 め,

それ を推進 す る活動 はみ られ ない。 しか し

,一

部 の畑 作 において鶏糞 を利 用す る農 民が見 受 け られ るこ とか ら

,水

田へ の普及 の可能性 が否定 され るものではないであろ う。

(5)雑

草 日病 害 虫 防 除

熱 帯 の灌漑稲 作 にお け る雑 草 防除の重要性 は

,改

めて論 じる必要はないだろ う。著 しい 速度 で成長す る雑草 に対 しては

,作

付 け前 の耕絃 作業 の徹底 と

,適

正 な水管理及 び除草作 業 に よる耕種 的防除が有効 で あ るが

,こ

れ だけでは十分 な雑草 防除は不可能 で あ り

,生

育 ステージ初期段 階にお ける除草剤 の使用 は不可欠 となる。 図 Ⅱ

‑5が

示す よ うに

,大

半 の

農 民 は除草剤 を使 用 してい るものの

,除

草剤 の種類・ 使用 時期・使用量等 におい て基準 が 統一 され ていない こ とか ら

,十

分 な効果 が得 られ てい る とは考 え難 い状況 で あ る。殺 虫剤 につ いて も同様 の傾 向にあ り

,普

及員・農民共 々

,薬

剤 に対す る知識 が乏 しい こ とに加 え,

田曲

IV以

外 に深 刻 な病 害 虫の被 害 は報告 され てい ない こ とか ら

,そ

の使 用 にはむ しろ慎 重 にな るこ とが求 め られ る。

人力 に よる除草作業 も

,ほ

ぼすべての回場で行 われ てい る。一部農 民組織 が存在す る地 区で は共 同作業 に よ り実施 され るこ ともあるが,その他地 区では雇用労働 が圧倒 的に多い。

しか し

,雑

草 の生育初期 の段 階で除草 が行 われ るこ とは少 な く

,十

分 に繁茂 した後 に刈 り 取 られ る場合 が多い こ とか ら

,非

効 率 な除草作業 となってい るこ とが指摘 で きる。

鳥 に よる食 害 は

,作

付 け時期 に よっては深刻 な問題 とな るが

,通

常で も稲 の登熟期 か ら 収穫期 までの期 間は

,子

供 達 が 「鳥 追い」 をす る光景 が 日常的に見 られ る。長 い棒 を振 り

ドキュメント内 西 ア フ リカ 内陸小低 地 の開発 可能性 (ページ 34-42)

関連したドキュメント