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博士論文要旨

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Academic year: 2021

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博士論文要旨

論文題名:ジオキソ置換クロロフィル類の合成と反応性と 物性

立命館大学大学院生命科学研究科 生命科学専攻博士課程後期課程

ふりがな きのした ゆうすけ 氏 名 木下 雄介

光合成初期過程は、光捕集とそのエネルギーの移動、光エネルギーを電気エネルギーへ 変換する過程である。クロロフィル(Chl)色素分子はこの過程で重要な役割を担っている。

クロリン環周辺に様々な置換基を有しており、特に環に直結した置換基は、大環状 π 共役 系に影響を与える。Chl分子は、長波長と短波長領域にそれぞれQ帯とSoret帯と呼ばれる 特徴的な吸収帯を有している。最長波長吸収帯のQy帯は、3位の置換基によって大きくシ フトする。3位の置換基の反応性は非常に高く、有機化学的手法を用いて、天然から抽出・

単離されたChl分子の3位に様々な置換基が導入され、その合成や物性が報告されている。

1,3-ジオキソプロパン類縁体は、β-ジケトン化合物とも呼ばれ、非常に反応性が高く、ケト -エノール互変異性を持つ。アミン類と反応しイミンとヘミアミナールを形成する。また錯 体分野では、遷移金属の配位子として用いられている。3 位に β-ジケトナート基を有する Chl誘導体類の合成と反応性と物性について研究を行った。

クライゼン縮合反応を用いて3位にトリフルオロβ-ジケトナート基を有するChl誘導体 類を合成した。導入されたトリフルオロβ-ジケトナート基は、1H-NMRスペクトルとX線 結晶構造解析からそれぞれ溶液状態と単固体状態でともにエノール体であることが判った。

ジクロロメタン中の紫外可視吸収スペクトルにおけるQy吸収帯は、クロリン環に直結した

β-ジケトナート基の電子求引性によって700 nm付近に位置した。

ジクロロメタン中で 3位にトリフルオロβ-ジケトナート基を有するクロロフィル誘導体 にブチルアミンを添加すると、トリフルオロ β-ジケトナート基の末端のトリフルオロアセ チル基がブチルアミンと位置選択的に反応し、もう一方のケトン基は添加ブチルアミン濃 度の増大とともにエノール体へと変換された。

ジケトナート基をルテニウムビスビピリジン錯体に金属配位させ、クロリン環外に遷移 金属を有する化合物類を合成した。さらにクロリン環内に亜鉛を有する二核錯体も合成し た。ルテニウム錯体部によってジケトナート基はクロリン環平面に対しわずかにねじれた。

電気化学測定の結果、ルテニウム-クロロフィル連結体の酸化還元電位は、ルテニウム部と クロロフィル部のそれぞれの近接した置換基によって影響を受けるが、遠位のものには影 響されなかった。

参照

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