2018 年 2 月 1 日 子宮頸がんワクチン副反応被害者の救済状況 大崎市 さとう内科循環器科医院 院長 佐藤荘太郎 子宮頸がん(予防)ワクチン−名称としては HPV ワクチンが正しいが−初めての女性のがんを防ぐワクチンとして大々的 に喧伝され、世界各国で導入された。このワクチンの接種後、激しい体の痛み、著しい全身倦怠、低血圧、不随意運動、 意識消失発作、記憶障害に苦しむ少女が世界中で多数現れた。米国の FDA と CDC が運営するワクチン副反応登録シ ステム VAERS (Vaccine Adverse Event Reporting System、世界中から登録が可能である)には、2018 年 1 月 13 日時 点 で、HPVワクチンの副反応は55,240件の報告があり、死亡は397例、Disabled(普通の生活ができない)2,397 例、Did Not Recover(治っていない)10,819例が登録されている。
国内では2010年後半から接種が始まり、2013 年 4 月から定期接種化された。現在まで約338万人の女性が平均2. 7回接種されている。厚労省には現在3,080例の副反応報告が上がっており、そのうち重篤とされるのは707例であ る。 2013年3月初め、大手新聞に HPV ワクチン接種のあと、意識消失発作、ケイレン、激しい痛みに苦しむ少女のことが 初めて報じられた。同月末、「全国子宮頸がんワクチン副反応被害者連絡会」が結成された。 2013年6月、厚労省は HPV ワクチンの副反応の調査の結論を出すまでの間、「積極的勧奨の中止」という、実質的に は一時中止の状態を決定した。 この状況に対して、WHO、日本産科婦人科学会、日本小児科学会は「日本の副反応の状況は異常だ」、「海外に遅れ る」、「日本では子宮頸がんで死亡する女性が増える」等の言説で、接種再開に向けて圧力をかけ続けている。元米国 大統領のブッシュ氏が来日して、「日本での HPV ワクチンの接種再開を望む」と発言する椿事までおこった。 HPV ワクチンの副反応報告として厚労省に報告されたものは、一覧表にして公開されている。しかし、それは「届け」でし かなく、厚労省が HPV ワクチンの副反応と認めているわけではない。厚労省が認めているワクチンの副反応はワクチン お添付文書に書かれているものに基づき狭く設定されており、実際の副反応被害者の症状と相当乖離している。厚労省 は、「HPV ワクチンは安全である。痛み等の症状は思春期の少女特有の『「機能的身体症状』」とする立場を変えておら ず、HPV ワクチンの接種再開という姿勢を崩していない。 それでも副反応に苦しむ人たちの救済は始まっている。平成29年4月までの救済決定処理は480件であり、何らかの 補償の支給決定は225件、不支給決定は259件である。支給決定といっても、障害年金の支給が決定されたのは、わ ずか27件(5.6%)である。 一方では、2016年7月、現在も深刻な健康被害に苦しみながらも、副反応届けの上では「治癒」とされたような副反応 被害者119名が、東京、名古屋、大阪、九州の4つの地域で原告団を結成し、ワクチンメーカーに治療法の確立、法的 責任および損害賠償を求める訴訟を所管の地方裁判所に提訴した。 日本におけるHPVワクチン導入: 海外でのひどい副反応症状の高い発生率を”無視”して進められた。 子宮頸がんワクチン(HPV ワクチン)には、メルク(MSD)社の開発したガーダシル Gardasil と、グラクソ スミス クライン (GSK)社の開発したサーバリックス Cervarix がある。ガーダシルのライセンスはアメリカで2006年、サーバリックスのラ イセンスはオーストラリアで 2007 年にとられている。ガーダシルのアメリカでのFDAによるライセンス認可にあたっては、 6ヶ月の急いだ治験のち(after a six-month fast-track clinical test)、優先的に急いで認可された。
日本におけるサーバリックスの認可は2009年10月だが、日本における認可もまた、治験の結果を待たずに急いでおこ なわれた。ガーダシルの認可は2011年8月である。
この2つのワクチン接種後の死亡を含む重篤な副反応は並み外れて多い。ガーダシルについてはすでに2008年のアメ リカのニュース番組の中で、HPVワクチン接種後、 全身性紅斑性狼瘡(Systemic Lupus Erythematosus)、ギラン バレ症 候群(Guillain-Barre Syndrome)、ひどい痛みなどの副反応に苦しんでいる少女たちの姿が放映されていた。
https://www.youtube.com/watch?v=z5FKern6i9g
アメリカの NIH の公式見解にあたる2009年の発売後副反応調査の論文にも、VAERS に32名の死亡の登録があるこ とを記載されている。この論文は、ワクチン接種後の死亡やSLE、GBSの発生が、ワクチンを接種しない集団の発生頻
度(バックグラウンド)と差がないとしている。非死亡の副反応例には横断性脊髄炎と思われるものがあり、また妊婦へ の接種では、流産など異常な妊娠経過が増えることも記載されている。 https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/184421 (2009 年) HPV ワクチンは安全だとする論文 https://www.cdc.gov/vaccinesafety/pdf/data-summary-hpv-gardasil-vaccine-is-safe.pdf (2016 年) 2010年、インドでのビル ゲイツ アンド メリンダ財団がおこなったガーダシルの治験で7人の少女の死亡がおこり、治験 が中止された。 このようなことは、厚労省のサーバリックスの認可の会議では”全く”触れられず、当然議論もされなかった。 2010年 11 月、ワクチン接種緊急促進事業として予算がつけられたため、各自治体で先を争うように HPV ワクチン接 種が開始された。定期接種化の法案が議決されたのは2013年3月末である。 接種される少女が多くなれば副反応に苦しむ少女が出現することは当然に予想されることであった。はじめ、HPVワクチ ンの副反応の症状がおこっても、部活のやりすぎの筋肉痛だ、頑張りが足りないといわれ、本人および親は困惑するば かりであった。また医師はワクチンの副反応の症状を診た経験が殆ど無いため、ヒステリーだ、ミュンヒハウゼン症候群 だといわれ、精神科に紹介されることも少なくなかった。学校に行っても階段が上れない、授業中に意識消失発作おこる ため保健室で自習するという中学生、高校生がおられた。 2013 年 4 月より HPV ワクチンの 10 代の少女への定期接種化となっていたが、同年6月、厚労省は「積極的勧奨の中 止」を決定した。建前上、現在でも HPV ワクチン接種希望者には接種できる体制が維持されおり、年間2,000例ほどが 接種されている。 ワクチン被害救済制度について。 ワクチン接種は、国が対象者を定めて接種する「定期接種」と、対象集団以外の人が希望して接種する「任意接種」に分 けられる。HPV ワクチンは 2013 年 4 月から定期接種化され、12 歳(中1)から 16 歳(高2)の少女が対象とされた。201 3年4月以前に接種した人はすべて任意接種扱い、それ以降は対象年齢から外れた方が任意接種扱いになる。この2 つは副反応救済の法的根拠が異なるだけで、審査や救済の内容については差がない。 (「定期接種」については、国民は接種するよう努力する義務がある。接種しない時の罰則はない。) 定期接種対象者と任意接種者では副反応被害の申請の仕方が少し異なる。定期接種の場合、ワクチン接種事業の実 施主体は地方自治体である。ワクチン接種により被害が生じた場合は、被害者は自治体のワクチン接種の窓口に報告 する。そこから、副反応の報告の書類が渡される。その書類は自治体から厚労省にあげられる。 任意接種の被害者は自ら PMD から書類取り寄せて作成し、PMDAに申請する。全体のイメージは図 2.に示されてい る。 医薬品医療機器総合機構(PMDA)法では、「入院」以上の治療を受けた場合でないと PMDA 法に基づく医療費・医療手 当は不支給となると定められている。平成 27 年 12 月、通院治療の場合は、(公財)予防接種リサーチセンターから医療 費・医療手当てを支給する旨の通達があった。 医師が副反応の届けの書類を書くべきなのだが、書いてくれないという被害者の声を数多く聞いた。その場合は被害者 自らが書類を書いて出すことができる。そんなに難しくはないと思うが、しかし、医学用語をつかって症状を説明する文章 を作成することは一般の方には難しいであろう。また、書き方によって審査の評価が大きく変わるであろう。 ワクチン被害者救済の現状。 私は毎年「ワクチントーク全国集会」という集会に参加している。ワクチンの問題を考え、被害者救済への働きかけ、そし てゆるやかに乳幼児へのワクチン接種に反対している集会である。 2017年の集会の配布資料の中に「HPV ワクチン被害認定(定期接種分)」、「HPVワクチン救済決定一覧まとめ(H23 年度〜H29年4月まで)」、「HPV ワクチン救済決定一覧(H29 年4月決定分まで)」(10ページ、480件)(図3)が収載さ れていた。 これらの資料はウエッブ上では公表されていない。図3に示すようなものであるが、スペースの問題で10ページすべてを 載せることはできない。補償の給付内容の説明は図5をみていただきたい。
支給の決定は図2の右端に示されている、薬事・食品衛生審議会が行うのだが、議事録は公開されない。詳細は全く不 明である。厚労省の予防接種副反応検討部会の資料から想像する限りでは、匿名の3人の委員(医師)により書類審査 で決められようだ。被害者本人を診察したり、家族から家庭内の状態を聞いたりすることはない。 これらの副反応認定判断の根拠となっていると思われるものは、基本的にはワクチンの添付文書に書かれている副反 応の項目である。それらをより実質的に示されているものは、下の図4の「資料4-3」と書かれた「HPVワクチンについ て報告すべき副反応」である。
急性散在性脳脊髄炎(Acute Disseminated Encephalomyelitis)のみがワクチン接種後の中枢神経症状を包含する病名で ある。しかし、接種28日以内に発症したものしか副反応として認めないということであろうか。 厚労省の別の資料では、HPV ワクチンの長期の効果(32年間!高い抗体値を維持)を謳っている。この長期の効果は アジュバントが免疫を長期間刺激し続けることで達成される。このことは、28日を越える遥か長期にわたって副反応が 起こりうると言っていることになる。米国の事例であるが、妹(15)と兄(17)ともガーダシル接種したが、それぞれ85日 目と83日目にケイレン発作をおこし大ケガをしたという事例の母親の書いた手記を翻訳している。 http://satouclk.jp/2012/05/post-43.html 図4で最も注目すべきは、欄外の、(改定後)「ヒトパピローマウイルス感染症の定期接種にあっては、接種後に広汎な 疼痛又は運動障害を中心とする多様な症状が発生する場合も報告対象に含む旨、通知に明記したところ。」という箇所 であろう。(「」内の文章、日本語としてかなり変です。) もうひとつ重要なことがこのスライドには書かれてなければならない。「接種後5年を超えてからの症状発生については 被害申請ができない」という規定である。 資料「HPV ワクチン救済決定一覧(H29 年4月決定分まで)」の表の分析 下は「HPVワクチン救済決定一覧まとめ(H23年度〜H29年4月まで)」という資料(表)からの書き写したものである。 【支給決定225例の内訳(重複支給あり)】 医療費・医療手当 176例、 医療手当 22例、 傷害年金1級 6例、 障害年金2級 14例、 障害児養育年金1級 2例、 障害児養育年金1級 5例。 【不支給259例の内訳】 「入院を必要とする程度ではない」 107例、 「判定不能」 120例、 「投与された医薬品により発現したとは認められ ない」 23例、 「傷害でない」 2例、 「政令で認める程度の傷害でない」 6例、 「副作用に対する入院を必要とする 程度の医療とは認められない」 1例。 果たして、診察も事情聴取もしないで、「入院を必要とする程度ではない」と決められるものだろうか。「HPV ワクチン救済 決定一覧(H29 年4月決定分まで)」の「不支給理由」欄には「入院を必要とする程度ではない」という記述はなく、すべて 「入院を必要とする程度の医療とは認められない」となっている。 (「副作用に対する入院を必要とする程度の医療とは認められない」という文章は意味が取れない。医者が勝手に過剰な 治療をしたというのだろうか?) 年金の支給が決定されたのは合わせて27件、全体の5.6%である。どのような障害あるいは疾病が年金支給の対象 となったかを知るため、「副作用名称」の欄を下に書き写した。 NO.21: 10代女性、障害:急性小脳失調症による眼振のための日常生活障害 障害児養育年金2級 NO.34: 20代女性、障害、全身脱力による肢体機能障害 障害年金1級 NO.40. 10代女性、障害:頭痛による日常生活障害 障害年金2級 NO.49: 10代女性、障害:高次脳機能障害 障害児養育年金2級 NO.53: 20 代女性、疾病:倦怠感、疼痛、しびれ、脱力、月経不整、めまい、認知機能低下、感覚過敏、睡眠障害、発熱、 吐き気 障害;脱力による肢体機能障害 医療手当+障害年金1級 NO.62: 10代女性、障害:疼痛、筋力低下、しびれ、不随意運動による四肢及び体幹機能障害 障害児養育年金2級 NO.78: 10代女性、障害:不随意運動による肢体及び体幹機能障害 障害児養育年金1級
NO.84: 20 代女性 疾病:麻痺、肩痛、しびれ、筋力低下、脱力、振戦、倦怠感、めまい、失神、けいれん、 障害:麻痺、 肩痛、しびれ、筋力低下、脱力、振戦、倦怠感、めまい、失神、けいれんによる肢体機能障害 医療費、医療手当 障 害年金2級 NO.87: 10代女性、障害:筋肉痛、関節痛、腰痛、疼痛、脱力、倦怠感、けいれんによる体幹および肢体機能障害 障 害児養育年金1級 NO.88: 10代女性、障害:全身疼痛、脱力、しびれ、不随意運動による肢体・体幹機能障害 障害年金1級 NO.93: 10代女性、障害:しびれ、疼痛、倦怠感、脱力、感覚異常による肢体機能障害 障害年金2級 NO.97: 10 代女性、障害:四肢体幹の疼痛、四肢硬直、疼痛、不随意運動、筋力低下による四肢及び体幹機能障害 障害児養育年金 2 級 NO110: 20代女性、障害:脱力、疼痛、倦怠感、筋力低下、けいれんによる肢体機能障害 障害年金1級 NO.122: 10代女性、障害:疼痛、筋力低下、しびれ、不随意運動による四肢及び体幹機能障害 障害年金2級 NO.132: 10代女性、障害:筋肉痛、関節痛、腰痛、疼痛、脱力、倦怠感、けいれんによる体幹及び肢体機能障害 障 害者年金1級 NO184: 40代女性、疾病:疲労感、睡眠障害、過呼吸、下痢、動悸、感覚異常、脱力、頭痛、四肢の疼痛、しびれ、けい れん、眼振、左上下肢麻痺、体幹失調、耳鳴、めまい、感覚異常、 障害:平衡機能障害及び肢体機能障害 医療費・ 医療手当+障害者年金2級 NO189: 10代女性、障害:肢体機能障害、高次脳機能障害、視力及び視野障害 障害児養育年金2級 NO194: 20代女性、障害:右下肢機能障害 障害年金2級 NO.235: 10 代女性、 障害:肢体機能障害、高次脳機能障害、視力及び視野障害 障害者年金2級 NO.262: 10 代女性、障害:肢体機能障害 障害年金2級 (ガーダシル接種) NO.306: 10代女性、障害:四肢体幹の疼痛、四肢硬直、疼痛、不随意運動、筋力低下による肢体及び体幹機能障害 障害年金2級 NO.312: 10 代女性、障害:肢体機能障害、視力及び視野障害、高次脳機能障害(障害) 障害年金 2 級 NO.358: 20代女性、障害:高次脳機能障害 障害年金2級 NO.367: 10 代女性、障害:高次脳機能障害 障害年金 2 級 NO.418: 20 代女性、障害:肢体機能障害 障害年金 1 級 NO.421: 10 代女性、障害:急性小脳失調症による眼振のための日常障害 障害年金 2 級 NO.480: 10 代女性、障害:頭痛、めまいによる日常生活障害 障害年金2級 まとめ:10代女性 19件、 20代女性 7件、 40代女性 1件 障害年金給付決定された事例では、NO.40 を除けば、すべて中枢神経障害の症状である。高次脳機能障害は 6(7)例含 まれている(NO.49,(53), 189, 253, 312, 358, 367)。(NO.53 には「認知機能低下」と書かれている。) このようなことがわかったため、資料:「HPV ワクチン救済決定一覧(H29 年4月決定分まで)」の480件の「副作用名称 等」欄の障害、症状の記述項目を見直した。その結果は、 「認知機能低下」あるいは「高次脳機能障害」の記述がある事例: 144件 (30%)。 その中で不支給の決定: 29 件。 中枢神経障害と考えられる事例: 321件 (67%)。 その中で不支給の決定: 139件。 このような副反応(後遺症)の状況は、図4:「HPVワクチンについて報告すべき副反応」、あるいは HPV ワクチンの添付 文書の副反応の記載とは全くかけ離れている。血小板減少症は 2 例しかなく(NO.13, 252)、ギラン バレ症候群は 1 例し かない(NO.16)。 ワクチンの副反応被害の 7 割近く(2/3)が、大脳を中心とした中枢神経障害であることは、改めて驚くべきことである。 図 5.に補償額の一覧があるが、医療費だけの補償の場合は、医療費の自己負担分の補償の支給であり、その場合は 交通費は支給されない。月34,300円から36,300円の医療手当は遠隔地の病院に通うならば交通費にも満たない。 実際、東京都から静岡県や長野県の病院に通われた被害者が多数おられた。是非、図6の被害者のメッセージを読ん でいただきたい。 重症な HPV ワクチン被害の娘を持つ家庭では、ケイレンや意識消失発作を起こすため常に娘に親がついていなければ ならず、働きに出られず、収入を失う。また、シングルマザーの娘さんで HPV 副反応の方も多数おられる。 HPV ワクチンの副反応被害者の多くが中学生である。痛み、ケイレン、意識消失発作、歩行困難、易疲労性、学習能力 の低下のため、普通高校への進学を諦めた方が多数おられた。「眼振」という症状の方がおられるが、眼球が小刻みに 動くため注視ができず、黒板や教科書の字が読めない。通信制高校に進学された方がかなりおられた。また、高校大学
に入学できても、朝起きられない、易疲労性のため、移動が困難なため、途中で休学した事例もある。歩けない、うまく字 がかけないため、母親が大学の授業についていってノートをとってあげているという事例もある。 酷ではあるが、ある程度以上重症のワクチン副反応からの回復はかなり難しいと予測する。進学して就職し収入を得る ことが難しい方がたくさん出られると予測する。まだ HPV ワクチン接種の副反応がまだ後遺症として確定していない状 態である。将来、障害および給付の見直しを求めたり、裁判に訴えたりすることがおこることは必須と予想される。 HPVワクチン被害者を診察した経験から。 2000年頃から国の施索で高齢者にインフルエンザワクチンを接種するようになったが、私は有効性に疑問を持ち、ワク チンについての批判的立場からの知見を集めてきた。HPVワクチンの場合は、不活化ワクチンの分類に入り、効かない だろうとの見通しを持っていた。
2012年にHPVワクチンの副反応被害を集中的に扱っていた米国の団体のサイト SaneVax, Inc. ( http://sanevax.org ) に出会った。そこにはHPVワクチンについての情報や HPV ワクチン副反応被害者の情報が集められ、HPV ワクチン接 種に警報を鳴らす活動を行っていた。そこに寄せられていたHPV被害者本人、父母の手記を読み、その副反応に苦し む姿に驚いた。10件ほど翻訳したが、その経験から症状の現れ方、医師の反応について理解を得た。 2011年よりHPVワクチンについて年にホームページを立ち上げ、海外でのHPVワクチンの被害を紹介し、HPVワクチ ンを射たないように訴えてきた。患者さんに、孫や子供にHPVワクチンを射たせないようにとチラシを配って訴えたのだ が、全く効果がなかった。 私の属する自治体でもHPVワクチンの接種が始まった。予想したよりは副反応被害は少ない印象であった。それでも2 013年ころから徐々に副反応被害者が現れ始め、他県の方も含め、30人ほどの被害者のお嬢さんたちを診察した。当 院の受診が少ないのは、15歳までは小児科という一般的なすみ分け(当院は小児科を標榜していない)のためと、被害 者の大病院志向のためと考えている。 私が診察、面談したお嬢さん方は、外見的には全く異常が見られない。したがって、HPVワクチンの副反応の事例を知 っていないと、診察しても全くわからないということがおこるであろう。 来院した方は、痛み、意識障害、易疲労性のため学校に行けない、学習能力の低下がおこっているのである。歩行障 害、車いす生活の方は見ていない。せっかく来院していただいても、有効な治療法、処方を提示できないのである。漢方 薬、整腸剤、ビタミンDを処方してみたが、全く効果がなかった。
臨床検査として、客観的に捉えられるのはPOTS(postural orthostatic tachycardia syndrome、体位性起立性頻拍発作 症候群)くらいかもしれない。これとて、HPV ワクチン副反応として特異的かといえばそうではない。 血清学的には、自己免疫疾患としてギラン バレ症候群の抗ガングリオシド抗体、寝ていても飛び上がるほどの激しい体 動発作をともなう抗 NMD 受容体抗体脳炎の証拠となる抗 NMD 受容体抗体が検出される事例がある。これらとて、HPV ワクチン副反応として特異的かといえばそうではない。 このように臨床検査、血清学的検査でHPVワクチン副反応の診断を確定させることはできない。例えば、抗 DNA 抗体 が検出された場合、「あなたは SLE だから、HPV ワクチンの副反応とは考えらえない」、となる。 逆に、血清学的に異常のないこともまた、ワクチンの副反応ではないと否定される根拠とされる可能性も秘めている。 ワクチン副反応の発症メカニズム:マクロファージ、ミクログリアの非特異的活性化 - ひとつの仮説として 「ワクチン接種は免疫システムへの負荷である」という言説(statement)は真である。したがって、「ワクチンの副反応は過 剰な負荷による」と論理的に予想される。過剰なワクチン負荷により全身性紅斑性狼瘡がおこることは古くから知られて いた。また、動物実験では繰り返し抗原を接種する、あるいは大量の抗原を負荷すると免疫麻痺の状態(アネルギー)が 起こることが知られている。 「免疫を極限まで刺激したらどうなるか」という問いのもと、動物実験をおこなった日本人による論文がある。結果及び結 論は、動物はSLEの状態になり、自己組織傷害性リンパ球が形成された、それは免疫システムが崩壊した状態だという ものである。 http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0008382
不活化ワクチンにはアジュバント(免疫賦活剤)が加えられる。アジュバントの役目は、抗原を局所に長期に停留させ、抗 原を長期に提示させることである。さらに、不活化ワクチンの場合、多くの場合、抗原単独では抗体を作らない。アジュバ ントの添加により抗体を産生するようになる。アジュバントは免疫システムを過敏にし、過剰に抗体を産生させるように作 用する。 ワクチン抗原とアジュバントはマクロファージ(大型の、貪食能力を持った白血球。アメーバ的細胞)に取り込まれる。マク ロファージは免疫反応スタートのセンターと考えられる。貪食した抗原に過敏に、過剰に反応するようになるということ は、ある抗原に反応する、しないの生物の持っている本来のシステムが破壊され、暴走状態になっていると考えられる。 すべての抗原に反応して大量に抗体を作ればいいのか? ワクチン接種において、抗原負荷は量的には決して「過剰」とは考えられない。しかし、注射針の先端では極めて「高濃 度」であることを考えなければならない。アジュバントは抗原を局所に長期に残留させると同時に、免疫細胞を強く刺激 する。アジュバントや抗原により筋肉細胞が壊死に陥ればマクロファージが集まってくる。HPVワクチン接種の後、腕全 体がひどく腫れる。これは、局所的に免疫崩壊が起こった証拠と考えられる。 HPV ワクチンの深刻な副反応の中心は中枢神経障害である。上腕のワクチン接種部位での局所的免疫崩壊から中枢 神経障害をどのように結びつけるのかは不明である。 脳のミクログリアは発生学にマクロファージ同じで、外から脳の組織に入り込んだと考えられている。ミクログリアは軽度 に傷んだシナップスは修復し、高度に傷んだしナップスは破壊する機能を持つことが知られている。マクロファージ〜ミク ログリアのネットワークで、脳のミクログリアが活性化され、制御されない持続的な脳炎を起こすと推測される。 訴訟に至った経緯 図 4.に示す「資料4−3」に基づいてHPVワクチン副反応被害が認定されるならば、多くの被害者が副反応の報告の網 の目からこぼれてしまう。上に述べたように、副反応被害は医師の目にはわかりにくい。 さらに、原告団長となった七海さんの場合、車いすを使わねばならないほど重症な障害であるのに、副反応届けの上で は「治癒」とされている。このような不条理を裁判に訴えた。裁判の趣旨は以下のように書かれている。 「この裁判の目的は、被告らの法的責任を明らかにすることによって、一日も早く被害者の健康を回復させ、将来にわた って安心して暮らせるようにすることであり、その真相を明らかにして、二度とこのような薬害が起こらないようにすること です。」 https://www.hpv-yaku-gai.net/2016/07/27/%E6%8F%90%E8%A8%B4%E3%81%AB%E3%81%82%E3%81%9F%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%AE%E5%A3 %B0%E6%98%8E/ ワクチン製造メーカーに、法的責任と、健康の回復、一人あたり 1500 万円の賠償を要求している。1500 万円という賠償 金額の根拠はわからないが、生涯賃金の補償としては低すぎる。 厚労省は国民の健康を守ることが職責である。法的責任は、ワクチン導入を決定した厚労省に問うのが筋ではないだろ うか。現時のような HPV ワクチン副反応被害は十分に予測可能であったからだ。さらに、国内の治験結果が出る前の早 期承認した責任は必ず問われるだろう。 日本では最高裁判所長官は内閣より指名される。完全な三権分立にはなっておらず、裁判においては常に国、行政側 に有利な判決が出される。 日本でも男子への接種が目論まれている。 「全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会」、「子宮頸がんワクチン弁護団」、HPV ワクチンの問題を考える人たちは、 HPV ワクチン接種に慎重ないしは反対の立場となる。一方、WHO、厚労省、日本産科婦人科学会、一部メディアは、 HPV ワクチンは有効安全で接種すべきだという見解を展開している。沈黙を続けているが、日本医師会も接種再開を望 んでいる。接種再開するということは、HPV ワクチンの被害はないということにされる。
HPV ワクチン接種の推進側の人たちは、HPV は性交により女性にうつるという。(それでは、男子にはどのようにして HPV が持続感染するのか?)そのため、HPV 感染の上流である男子に HPV ワクチンを接種するほうが論理的である。 米国、オーストラリア、カナダでは10代の男子に HPV ワクチン接種が行われている。 2017年12月の副反応検討部会の資料を見るならば、今日までの HPV ワクチンクチン被害を人権侵害、並びに健康 破壊と捉えることなく、HPV ワクチン接種の再開を図りたいことは明白である。その場合、男子も接種の対象となるであ ろう。 海外では実際、男子が HPV ワクチン接種のあと死亡している。VAERS には20名の男子接種者の死亡が登録されてい る。以下は接種後5年目に死亡した男子である。 https://twitter.com/SuzieQT11/status/949768669818642433 HPV は角質上皮を増殖させイボをつくる。しかし、外から刺激されて増殖することと、遺伝子の変化により持続的に増殖 性と不死性を獲得したがん細胞は異なるはずである。 発がん性 HPV の持続感染子宮頸がん発がん説はヒトでも動物実験でも示されていない。状況証拠のみである。 その状況証拠には論理の一貫性がない。 ●HPV という一つの括りの中に、どうして高病原性(発がん性)のものとそうでないものがあるのか。 ●高病原性 HPV の定義は、がん組織と健常組織に検出される比率(オッズ比)は5以上というもの。 3ではダメなのか、10ではダメなのかという議論になろう。また、子宮頸がんから検出される HPV 型の検出頻度は、 国、地域によって異なる。 ●発がん性の HPV16型、18型は、10〜15%の新生児の咽頭や外性器から検出される。 ●日本女性の集団検診の調査では、HPV16型、18型の感染率は10代で高く、50代に向かって低下していく。 ●HPV 持続感染が子宮頸部初期がんの原因とするならば、CIN3 で高病原性 HPV 感染率は100%でなければならな い。実際には25~50%であり、若年ほど検出率は高い。 ●子宮頸がん検診で、20〜30代の女性に子宮頸がんが激増しているというのは極めて不自然である。細胞診、組織 診の判定の問題、過剰診断(誤診!)が疑われる。 HPV の持続感染子宮頸がん誘導説は、HPV ワクチンの販売のため、ツア ハウゼンのノーベル賞受賞を含め、周到に 仕組まれたものであることが疑われる。 日本の10代の人口は1学年あたり約100万人である。男子にまで打たせるとする仮定する。HPV ワクチンの医療機関 の購入価格は一回接種分で12,000円である。注射手技料を含め医療機関には 1 回接種すると16,000円が振り込ま れる。一人3回打つので、ワクチンメーカーには年間360億円の売り上げが期待される。医師への接種手数料は年間総 額120億円となる。 ワクチンの導入は製薬メーカーと医療機関に莫大な売上を毎年もたらすのである。医療機関にとってはコストのかからな い、また責任を問われない売上なのである。
図1.ワクチンによる健康被害救済制度
図3.「HPV ワクチン救済決定一覧(H29 年4月決定分まで)」の第1ページの約 2/3 を示す。 NO.35,35 の若年性関節リウマチ、クロ-ン病はイギリスのサーバリックスの副反応例にもある。
図4.