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多発性硬化症において、血中のエクソソームが、let-7iを介して制御性T細胞の分化を抑制する

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Academic year: 2021

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Title Circulating exosomes suppress the induction of regulatory Tcells via let-7i in multiple sclerosis( Abstract_要旨 )

Author(s) Kimura, Kimitoshi

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2018-03-26

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k21020

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士 ( 医 学 ) 氏 名 木村 公俊

論文題目

Circulating exosomes suppress the induction of regulatory T cells via let-7i in multiple sclerosis (多発性硬化症において、血中のエクソソームが、let-7i を介して制御性 T 細 胞の分化を抑制する) (論文内容の要旨) 多発性硬化症(MS)は、中枢神経系のオリゴデンドロサイトを標的とした自 己免疫疾患であり、CD4+T 細胞のうち Th1 細胞と Th17 細胞が主体となって炎 症を惹起する。MS では、これらの炎症性 T 細胞を抑制する制御性 T(Treg) 細胞が減少しており、病態に関与すると考えられるが、背景にある機序は明ら かではない。エクソソームは径が 150nm 程度までの微小胞で、様々な細胞か ら放出されることが知られている。エクソソーム内の micro RNA(miRNA) は、エクソソームが取り込まれた細胞において遺伝子発現を調整する。miRNA はもともと T 細胞の分化や機能に関わることが知られているため、MS におけ る血中エクソソームの病態への関与を検討した。 まず、健常人(HC)と MS 患者の血漿中エクソソーム(HC-exo、MS-exo) に含まれる miRNA について、マイクロアレイ法で解析し、プロファイルが異 なることを見出した。PCR(polymerase chain reaction)法により、4 種の miRNA が MS-exo で増加していることを確認した。次に、ヒト T 細胞を用い た 刺 激 培 養 系 に お い て 、HC-exo に 比 し て MS-exo 存 在 下 で の Treg (IFN--IL-17A-Foxp3+CD4+T ) 細 胞 の 頻 度 低 下 を 認 め た 。 一 方 、 Th1

(IFN-+CD4+T)細胞や Th17(IL-17A+CD4+T)細胞の頻度には差を認めなか

った。MS-exo で増加している miRNA のうち、let-7i をトランスフェクション すると、同様にTreg 細胞の頻度低下を認めた。また、T 細胞をあらかじめ let-7i inhibitor で処理することによって、MS-exo 存在下での Treg 細胞の頻度低下 が消失した。さらに、ナイーブCD4+T 細胞、メモリーCD4+T 細胞、Treg 細胞

それぞれの単離培養系の結果から、MS-exo やlet-7i は Treg 細胞の分化を阻害 していることを見出した。次に let-7i のターゲット遺伝子として transforming growth factor beta receptor 1(TGFBR1)と insulin like growth factor 1 receptor(IGF1R)を同定した。また、これらの遺伝子のノックダウンにより Treg 細胞の分化が阻害されること、ならびに、これらのレセプターのリガンド であるTGFと IGF1 が Treg 細胞の分化誘導を促進することを確認した。 最後に、生体内でのエクソソームの役割を確認するために末梢血の解析を行 ったところ、MS 患者のナイーブ CD4+T 細胞では TGFBR1 と IGF1R の発現が 低下していた。また、これらのレセプターの発現量と末梢血中の Treg 細胞の 頻度は正に相関した。さらに、血漿中エクソソーム内のlet-7i 量が多い群では、 低い群に比して、Treg 細胞の頻度が低値であることを見出した。 以上の結果より、MS 患者では、血中のエクソソームが、内在 let-7i を介し てナイーブ CD4+T 細胞の TGFBR1 と IGF1R の発現を低下させ、Treg 細胞の 分化を阻害していることが示唆された。 (論文審査の結果の要旨) 多発性硬化症(MS)では、制御性T細胞(Treg細胞)の減少による炎症性T 細胞とのバランスの破綻が一因と考えられているが、その機序は不明であり、 詳細な病態の解明が求められている。 本研究では、MS患者の血漿中のエクソソームが、健常人(HC)のものと比 較して、Treg細胞の分化を抑制することを見出した。エクソソームの影響は、 Th1細胞やTh17細胞には認められず、少なくとも今回検討した培養系において は、エクソソームはTreg細胞特異的に作用すると考えられた。詳細な検討によ り、MS患者のエクソソーム中で増加しているlet-7iが、ナイーブCD4+T細胞上 のtransforming growth factor beta receptor 1 (TGFBR1)とinsulin like g rowth factor 1 receptor (IGF1R)の発現を抑制することで、Treg細胞の分化 を抑制することが示唆された。実際にMS患者では、末梢血中ナイーブCD4+T 細胞上のTGFBR1とIGF1Rの発現が低下していた。さらに、エクソソーム内のl et-7i量とTreg細胞頻度をあわせた解析から、in vitroで認められた通り、生体 内でもエクソソームが作用していることが示唆された。 以上の研究は、MSにおけるエクソソーム研究分野の開拓に貢献し、エクソソ ームとTreg細胞を介した詳細なMS病態の解明に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士(医学)の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、平成30年2月15日実施の論文内容とそれに関連し た試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日: 年 月 日 以降

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