Title
膀胱腫瘍における血清および尿中basic fetoprotein (BFP) の
臨床的検討( 内容の要旨(Summary) )
Author(s)
長谷, 行洋
Report No.(Doctoral
Degree)
博士(医学)乙 第1157号
Issue Date
1998-03-04
Type
博士論文
Version
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12099/15116
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氏名 (本籍) 学位の種類 学位授与番号 学位授与日付 学位授与の要件 学位論文題目 審 査 委 員 長 谷 行
洋(和歌山県)
博
士(医学) 乙第1157 号 平成10 年 3月
4 日学位規則第4条第2項該当
膀胱腫瘍における血清および尿中basic fetoprotein(BFP)の臨床的検討 (主査)教授 河 田 華 道 (副査)教授 玉 舎 輝彦
教授清
島 満 論文内容の要旨 Basicfetoprotein(以下BFP)は,1974年に石井によりヒト胎児の血清,腸,脳組織抽出液中から発見され た胎児性蛋白で,正常な脳,肝胤 腎尿細管.赤血球にも微量に存在するが,各種癌組織の細胞質に多く存在し, 血液中に移行するので癌胎児性蛋白と考えられている。1983年,BFPに3種類の異なる抗原決定基の存在が発見 され,さらに等電点の異なる4種類のBFPが存在し,かつ等電点の低いBFPがより癌特異性が高いことが明らか となった。この等電点の低いBFPに対する2種類のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIAが開発され,B FPの測定が簡便化された。各種悪性腫瘍における血清BFPの臨床的意義については多くの報告がなされている が,尿路性器腫瘍,とくに勝胱腫瘍における検討は十分になされていない。そこで申請者は膀胱腫瘍における血 清および尿中BFP値を測定し,腫瘍マーカーとしての有用性について検討を行なった。 研究方法 対象症例として血清BFP値測定においては,膀朕腫瘍31軌 前立腺癌50例,腎癌20一札 精巣腫癌30例と良性疾 患として前立腺肥大症35例について検討し,勝胱腫瘍症例については治療前後でBFP値を測定し得た9例につい ても検討を行なった。尿中BFP値測定には,膀胱腫瘍45例,良性泌尿器科疾患44例を対象とし,膀胱腫瘍症例に っいては.同時に尿細胞診を施行した24例および経時的にBFP値を測定し得た28例ににおいても検討を行なった。 血清および尿中BFPの値は.2種類のモノクローナル抗体を用いたサンドイッチEIA法により波長420nmにお ける吸光度を測定し,標準曲線を用いて求めた。 結果 1)各疾患別の血清BFP値の平均±標準偏差および石井らの詳細な検討よりcut off値を75ng/mlに設定した ときの陽性率は,膀胱腫瘍;85±75ng/ml・42%,前立腺癌;100±95ng/ml・38%,腎癌;120±120ng/ml・ 55%,精巣腫瘍;100±78ng/ml・60%,前立腺肥大症;76±61ng/ml・29%で,各群間に推計学的有意差を 認めなかった。膀胱腫瘍症例において血清BFP値はt病理学的悪性度別には有意差を認めず,腫瘍の深遠度別に は表在性腫瘍より浸潤腫瘍の症例で高値をとり,陽性率も高い傾向を示した。 2)膀胱腫瘍において,血清BFP値が治療前に高値をとったものは有効な治療により低下傾向がみられ,治療 経過と一致するものが多かった。 3)膀胱腫噺副札 泌尿器科的良性疾患非血尿群,血尿群の尿中BFP値の平均±標準偏差は各々22±15ng/ml, 4.6±6.8ng/ml,20±21ng/mlで,膀胱腫瘍群と良性疾患非血尿群との間に推計学的有意差を認めた(p<0・01)0 良性疾患非血尿群の尿中BFP値の平均±標準偏差値(15ng/ml)をcutoff値と設定すると,膀胱腫瘍症例,良 性疾患非血尿群の陽性率は各々62%.7%であった。病理学的悪性度別では異型度が強いはど尿中BFP値,陽性 率とも高い傾向を示し,腫瘍の深遠度別では表在性腫瘍より浸潤性腫瘍のほうが尿中BFP凰 陽性率とも有意に-179-高かった(p<0.05)。 4)根治的治療のなされた20例全例で,尿中BFP値は治療前平均±標準偏差値が21±14ng/mlであったものが 治療により6.9±4.1ng/mlと有意に低下し(p<0.001),観察期間中再上昇する例はみられず,臨床経過とよく 一致した。 5)以上の検討より.膀胱腫瘍において血清BFP値の測定は診断的有用性は低いが,治療経過のモニターとし ての有用性が期待された。同じく尿中BFP値の測定は,勝胱腫瘍の診断,治療経過の観察に非特異的腫瘍マーカー として有用であると思われた。