( 東 女 医 大 誌 第54巻 第 9
号
)
頁 883-891 昭和59年9月)
63
〔 学 会 〕
東京女子医科大学学会
第
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8
回例会
日 時 昭 和59年 5月22日(火〉午後1時30分より
場 所 東 京 女 子 医 科 大 学 本 部 講 堂
1.ラット廃盤胞内細胞塊の分離と培養について
(第二解剖)舘 澄 江
げっ歯類のlEE盤胞は一層の栄養芽細胞と内細胞塊か
らなり,内細胞塊は将来,胎仔と胎仔外組織の一部を
形成する.ラット妊盤胞が子宮内膜に着床すると,内
細胞塊は原始内陸葉と外lEE葉に分化する.他方,栄養
芽細胞は胎仔性胎般に分化する.マウスlEE盤胞から分
離された内細胞塊のinvitroにおける分化能について
は, Suraniら(1978)による報告があるが,ラット脹
の培養は一般に困難であり, ラット匪盤胞についての
同様の報告は従来なされていない.
今回演者は,ラット匪盤胞より内細胞塊を分離・培
養することに成功し, in vitroにおける分化能につい
て予備的な結果を得たので報告する.
ラット内細胞塊の分離法は, Suraniら(1978)のマ
ウスにおける内細胞塊分離法を改変して用いた.妊娠
5日目の着床前期駐盤胞を子宮腔より採集し,Caイ オ
ノ ホ アA-23187(2
x
1O~5M) を含む Dulbecco 改変
MEM(DMEM)液またはCMRLl066液で約30分間処
理後, 0.5%pronase液で透明帯を除去し,洗糠過程で
pipettingをくり返すことにより,内細胞塊を選択的に
分 離 し 得 た . 得 ら れ た 内 細 胞 塊 をDMEMま た は
CMHL 1066液に30%牛胎仔血清を加えた培養液で、数
時間培養すると,内腔を生じ,単層の肩平な細胞から
なる小胞が形成された..培養15時間後,これら小胞は
シャーレ面に接着する,lEE細胞質中には,ラット匹細
胞特有のplaque構造が残存し,原始内佐葉の分化は
誘起きれない.35時間後,内腔は完全に消失しており,
扇平な細胞としてシャーレ面にspreadし,栄養芽細
胞に分化したと思われる像が得られた.
一方,ラット匪盤胞そのものを同じ培養液中で培養
すると,
4
8
時間後栄養芽細胞は内細胞塊を中心にして
広く spreadした.lEE盤胞腔はすでに消失し,栄養芽細
胞におおわれた内細胞塊は,一層の原始内匪葉と外匪
葉細胞塊に分化し,両lEE葉聞に基底摸の形成が見られ
た
以上の結果から,現在の培養条件は分離された内細
胞塊の栄養芽細胞への分化を促進し,目壬葉形成は誘起
しないことが知られた.しかしながら,内細胞塊が栄
養芽細胞に包囲されている場合は,栄養芽細胞への分
化は抑制され,lEE葉形成の誘起されることが示唆され
た
質問 〔薬理〉野本照子(座長〉
トロホプラストがシャーレ表面にspreadingするこ
ととそれ以前のトロホブラストの性質はちがうのです
か?
応 答 (第二解剖〉舘 澄 江
晴乳類初期圧の割球分化は,桑実lEE割球間に内腔(lEE
盤胞腔〉を生じた時点から始まり,この時期の,IfEは,IfE
盤胞と呼ばれます.lEE盤胞には最外層に一層の細胞か
らなるトロホプラストと内側の内細胞塊が区別されま
す.この時期の匪盤胞はinvivoでは子宮腔内で乳遊
状態にあり, トロホプラスト細胞も少なくとも形態学
的には顕著な変化を示しません.lEE盤胞が子宮内膜に
着床すると, トロホプラスト細胞は増殖し,内膜侵襲
を開始します.一般にinvitroにおけるトロホプラス
ト細胞のspreadingはinvivoにおける内膜侵襲の開
始に相当するものと考えられています.従ってシャー
レ表面へのspreadingの開始はトロホプラスト細胞が
内膜侵襲という能動的機能に対応する性質をもち始め
たという意味で,それ以前のト戸ホプラスト細胞とは
違っております.マウスでは内細胞塊を分離・培養し
た場合, spreadingせず匹葉の分化(内座葉,外庇葉〉
がおこることが報告されておりますが,今回のラヅト
の実験では内細胞塊がspreadingをおこしたのでトロ
ホプラスト様の分化が行なわれたと考えられます.
ラットの場合現在私の用いている培養条件下では内細
胞塊細胞の匹葉の分化はトロホプラストに包囲されて
-883-64
いる状態でのみ起こり得るものと推測されます.
2.モ ル モ ッ ト 摘 出 十 二 指 腸 に お け る pGlu-His
-Pro-amphetamine (TRH-Amphetamine)の作用
(薬理学)
0
古 川 恭 子 ・ 野 本 照 子
pGlu-His-Pro-amphetamine (TRH-A)はI.N.S.E.
R.M.の化学薬理部門において合成され,その中枢効果
は報告されているが,末梢作用については未知である.
今回,協同研究により本化合物のモルモッ卜摘出十二
指腸に対する効果を検討したので報告する.
c
方法〕雄
性モルモット〔体重250-350g)の摘出十二指腸切片を
用い, 19重の張力を負荷し32'CのLocke液 中 に お け
る張力の変化を等尺性に記録した.
〔結果および考察
J
1)モルモット摘出十二指腸は
TRH-A 1O-6
M以上の濃度により収縮反応を示した.
この反応はC63.6X 10-5Mの前処置により影響をう
けず, hyoscine 2.5
x
1O-7
Mの前処置により弛緩に転
じたがtetrodotoxin10-6
Mの前処置により完全に阻
止された.即ち, TRH-Aは定性的にはTRHと同様に
腸 管 神 経 叢 の コ リ ン 作 動 性 神 経 の 神 経 末 端 か ら の
ACh遊離を介する収縮を誘起することが示された.し
か し 用 量 一 作 用 曲 線 か ら え たTRH-AのpD2値 は
4.70でTRH(pD2値 ,7.70)の1/1000の親和性であっ
た.2) TRH-A 10-4
Mに対する反応は, TRH 10-7
M
の前処置により完全に岨止されるが, amphetamine
10-4
Mの前処置では約50%回害された.3) TRH 10-6
Mに対する反応はamphetamine10-6
,10-5
, 10-4
Mの
前処置により用量依存性に阻害された.一方向じ濃度
のamphetamineの 前 処 置 はKCl40mMに よ る 収 縮
のphasic,tonic両相に対し有意な影響を与えなかっ
た.4) amphetamine 10-6
, 10-5
Mはモルモット十二
指腸の張力に変化を与えず, 10-4
M により小さな収縮
を示す標本が観察されたが,この反応はtetrodotoxin
に よ り 阻 害 さ れ な か っ た . こ れ ら の 結 果 か ら
am-phetamineは モ ル モ ッ ト 十 二 指 腸 の 腸 管 神 経 叢 に 対
しintrinsicactivityを示さず,またCaイオン動態に
影響しないで, TRH受容体に対してantagonistとし
て作用することが示された.モルモット摘出十二指腸
に対するTRH-Aの作用が,中枢効果とは異り, TRH
より低力価であったが,その理由として, TRH-Aの
amphetamine部分が,母化合物TRH-AのTRH受容
体に対する効果を妨げている可能性が考えられる.
追加 ( 薬 理 〉 古 川 恭 子
研究の今後の展望としてTRH受容体に対する
am-phetamineの阻害効果における構造一活性関連につい
て検討をすすめる予定である.
3.コナヒョウヒダニDermatophagoidesjarinae
の生活史におよぼす湿度の影響
(寄生虫学)
0
松 本 克 彦 ・ 岡 本 雅 子
コナヒョウヒダニの個別飼育を温度25'C,湿度を各
85%R.H. (KC]), 76%
R
.
H. (NaC]), 61%R.H. (NH4
N03), 60%R.H. (NaHS04), 37% (K2C03)でおこ
なった.内径1cm高さ2.5cmの ガ ラ ス 管 の 一 方 を 漉
紙,他方を丸カバーグラス〔φ18mm)で、閉じ(マニキュ
アで封〉飼育容器とした.煮干し,エピオス1: 1の混
合 物 ほ ぼ2.4mgと24時 間 以 内 に 産 卵 さ れ た 卵1個 づ
つを容器内に入れた.鮮化日数は各湿度で差がなく,
平均8.0-8.4日であり,
g
際化率は80-93%であった.
37%
R
.
H.では,勝化率80%であったが,幼虫で総て死
亡した.幼虫期聞は85%,76%で各8.4,8.1臼であっ
たが, 61%では10.2日, 60%で9.9日と延長した.前若
虫期間は各湿度とも, 10日以内で終了する群(通常前
若虫〉とほぼ2週以上かかる群(延長前若虫〉とがあっ
た.76%通常前若虫の割合が一番高く, 52.6%であっ
たが,他の湿度では低くなった.後若虫期間は76%R.
H. (NaCJ)では全例が7日以内(平均5.6日〉に成虫
となったが,他湿度では成虫化が遅延するもの〔延長
後若虫〉が出現した.卵から成虫までの成虫化日数は
76%
R
.
H.が最短で39.6士5.4日〔最短29日,最長60日〉
で あ っ た が , 以 後86%
R
.
H.44.7士5.8日, 60%R.H.
57.l:t13.1日, 61%
R
.
H. 70.7士10.9日の順であり,と
くに61%R.H.での最長は122日かかった.また, この
成虫化日数には雌雄差は認められなかった.成虫の寿
命は湿度によって異なり,最長は76%R.H.の135.7士
47.9日 で あ っ た が 最 短 は86%
R
.
H.の79.7士27.1日で
あった.雌寿命は雄寿命より長く,最長個体は76%R.
H.の雌で378日であった.
質問 (薬理〉野本照子(座長〉
最後の部分のメス,オスのところでメスの寿命が378
日だったが,ダニで生存にオス,メス差があることの
意 味 に つ い て ?
応答 ( 寄 生 虫 学 〕 松 本 克 彦
雌雄の寿命に関して差がありますが,今までのとこ
ろその意味はわかっておりません.
4.オリンパスAU500による尿中成分(尿酸,Ca*,
Mg叶 の 自 動 化 に つ い て
(臨床中央検査部〉
O四 反 田 都 ・ 平 木 一 嘉 ・ 田 中 富 子 ・
星 川 喜 江 ・ 上 田 英 敏 ・ 荻 三男・
~884 一一