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相対論多重項計算による酸化物ガラス中の希土類イオンの電子状態

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Academic year: 2021

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(1)相対論多重項計算による酸化物ガラス中の希土類イオンの電子状態 教科・領域教育学専攻  自然系コース(理科).       M10193D.      吉岡義訓 1.はじめに. ムガラスの希土類イオンと類似した規範囲構造を持.  希土類イオンを添加したガラスは、蛍光材料とし. つと考えられるメタリン酸希土類結晶の構造をもと. て、光ファイバー増幅器や白色LEDなどで広く用い. に、クラスターを作成し電子状態を算出した。ここで、. られている。これまで、これらの光学的特性の解析は、. メタリン酸希土類結晶の結晶構造が報告されている. 実験や実験で得られたパラメータを用いた計算で行. Gd(P03)3,Dy(P03)3,Lu(P03)3については、希土類イオ. われてきた口. ンに配位しているP0。四面体まで考慮し、クラスター.  しかし、近年、実験値を必要としない第一原理計算. 全体の電荷を中性化するたや・水素15個で終端し処. である、相対論DV−Xα法により求められた波動関数. 理を行いH15LnP.0。。クラスターを構築した。その概略. をもとに、配置問相互作用計算を行う、相対論DVME. を図1に示す。このモデル中には、合計18の非架橋酸. 法が開発され、単結晶に添加した希土類イオンの電. 素が存在するが、そのうち15箇所を終端処理するた. 子状態の解析に有効であることが報告されている。. め、いくつかの組み合わせでモデルを作成し、実測の. また、この方法をリン酸塩ガラス中のPr3+イオンお. 吸収スペクトルなどとの比較から、最も妥当である. よびNd3+イオンの電子状態に適用し、ガラスと類似. と考えられるモデルを解析に用いた。また、結晶構造. した規範囲構造を持つと考えられる結晶構造から作. が報告されていないEu3+、Tb3+、H03+については、類似. 成したクラスターを用いることで、特徴的な吸収・蛍. する構造を持つと考えられるH1.LuP.0。。クラスター. 光スペクトルの解析が可能となることも示されてい. のLu3+イオンを置換し、イオン半径に応じ結合距離. る。しかし、ガラス中のその他の希土類イオンの電子. を調整し、クラスターを作成した。. 状態については、検討されていない。そこで、本研究.  これらのクラスターについて、まず相対論DV−Xα. では、相対論DVME法を用いて、リン酸塩ガラス中の. 法により分子軌道を算出した口得られた結果から4f. Eu3+、Gd3+、Tb3+、Dy3+、H03+など、中・重希土類イオンの電. 軌道を主成分とする14の分子軌道を抽出し、DWE法. 子状態の解析を試みた。. により、多重項状態を得た。また、多重項状態間の遷. 2.計算方法. 移確率から、吸収・蛍光スペクトルを算出し、希土類.  一般に、ガラスの構造は、原子配列が不規則であり、. イオンを添加したメタリン酸カルシウムガラスの吸. その詳細をX線回折法で解析することが困難である。. 収・蛍光スペクトルの実測値と比較した。. そこで、今回比較の対称としたメタリン酸カルシウ. 3.結果と考察.  図2に計算結果の一例として、相対論DVME法によ り得られたH15TbP.0。。クラスターの多重項エネルギ. ー準位図を示す口また、図にはDieke Diagramを合わ せて示している。Dieke Diagra皿は、希土類イオンの 塩化物について、実測の吸収・蛍光スペクトルをもと. に作成された多重項準位図で、この図と縮退の度合 いを比較することで、計算に用いたクラスターの妥 当性を判断した。また、縮退していると考えられる準 図1.H15LuP.0。。モデルクラスター. 位について、項記号の帰属を行った。. 一346一.

(2) ■ 一. 200 幽 縄 素 掴. 、  ■、. 1OO. 励起光. 瓢一トmユ州 7F. の反射. 150. 5D 起光の反射. 柵フFフF7F   45. 二次光5げD. 后. O 5E−6. 幽 縄 峠 籟 蝉. ≡≡当紅. 理論. 4E・6. フ. ヨE・6. 2E・6. 6 ミ  D. 5げゴげ. DlD↓ヨ. ↓4↓4仁ブフ ブフFFF. 1E−6. o. ・=    ,,!!コ:=      ;≡≡≡≡i;;]6. 5D. ↓4↓フFフF. 50. 2コ.        11帖TbPOO,{クラヌター・の     Dio』EDi^肛舳        多重項ユキ{キー準位図.       1i.522,533.54           エネルギー/eV. 図2、多重項エネルギー準位図. 図4.リン酸塩ガラス中のTb3+の蛍光スペクトル.  Tb3+イオンについては、多重項エネルギー準位の. いる。実測蛍光スペクトルでは、可視領域である. スペクトル項の帰属ができたため、次に、吸収スペク. 2.29eVの強いピークが、また2.55eVのそれより弱い. トルを求めた。その結果を図3に示す。また、図には. ピークが見られる。一方で、理論蛍光スペクトルでは、. 比較のため、Tb.O。を1mo1%添加したメタリン酸カル. 可視領域には2.12eVと2.51eVの強いピークが存在. シウムガラスCaO・P2051Tbの実測スペクトルを合わ. した。ここで、実測スペクトルに見られる3,29eYの. せて示している。実測吸収スペクトルでは、可視領域. ピークは励起光の反射によるものであるである。理. には2.51eVの、また紫外領域には3.27eVのピークが. 論スペクトルに見られる2.12eV,2.51eVのピークは、. 観測される。一方、理論吸収スペクトルでは、紫外領. 実測スペクトルの2.29eV,2.55eVのピークに対応し. 域には3.44eV、可視領域には2161eVに強いピークが. ていると思わるロピークの強度比は若干異なるもの. 現れることがわかった。理論吸収スペクトルの. の、理論スペクトルはほぼ実測のスペクトルに対応. 2.61eV,3.44.Vのピークは、それぞれ実測の吸収ス. することがわかった。図中、実測スペクトルのピーク. ペクトルの2.51eV,3.27eVのピークに対応している. には文献からの帰属を示しているが、理論スペクト. と思われる。これらの結果から、理論スペクトルのピ. ルに示した計算結果にもとづく帰属がほぼ一致して. ークの位置と強度比は、実測とほぼ一致しており、今. おり、相対論DVME法により、リン酸塩ガラス中の希. 回用いたクラスターは、メタリン酸塩ガラス中の. 土類イオンの蛍光スペクトルの解析が可能であるこ. Tb3+の周辺の構造をほぼ再現できていると考えられ. とが明らかとなった。. る。. 4.結論.  このように、実測スペクトルに対応する吸収スペ.  リン酸塩ガラス中の希土類イオンの電子状態を、. クトルが得られたので、次に蛍光スペクトルを算出. 結晶構造をもとに作成したH1.LnP60別クラスター. した。図4にその結果を示す。図には3.29eVで励起し. (Ln=Eu,Gd,Tb,Dy,Ho)を用いて計算した目Tb3+、H03+、. たCa0・P205:Tbの蛍光スペクトルを合わせて示して. Dy3+については、計算により得られた吸収・蛍光スペ クトルが、ほぼ実測スペクトルと対応し、スペクトル. に見られるピークの解析が可能であることがわかっ. 図 崇 魯. た口またEu3+、Gd3+についてもピーク位置が実測スペ. クトルと対応する理論スペクトルが得られた。以上. の結果から相対論DVME法はリン酸塩ガラス中の希. 幽. 澤6E石. 土類イオンの電子状態の解析にきわめて有効である. 璽. ことがわかった。       1   ユ.ヨ   2   2.5   3   ヨ.5   4.           エネルギー/eV.         主任指導教員  尾關 徹. 図3.リン酸塩ガラス中のTb3+の吸収スペクトル.         指導教員    小和田 善之. 一347一.

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