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ヴェトナム戦争研究 「アメリカの戦争」の実相と戦争の克服

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Academic year: 2021

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ヴェトナム戦争研究

「アメリカの戦争」の実相と戦争の克服

藤本ふじもと 博ひろし 本書の目的は、冷戦史研究の動向をふまえ、第一に、アメリカと「第三世界」との「相 互」関係史の視点から、ヴェトナム民衆に多大な犠牲を与えた「アメリカの戦争」の実 相について考察し、第二に、米外交の展開が米社会の変容にいかなる影響を与えたのか に関する事例研究として、米国内外における「アメリカの戦争犯罪」告発の取り組みな らびに帰還米兵によるヴェトナム民衆との「和解・共生」をめざす活動の検討を通して、 戦争中・戦争終結後における「戦争の克服」の諸相とその遺産を解明することにある。 本書は3部で構成され、第1部(第1章、第2章)では、「アメリカの戦争」の特徴を なす「索敵撃滅」作戦の展開とその帰結である「ソンミ虐殺」の実相を検討し、第2部 (第3章、第4章、第5章)において、戦争時の「戦争の克服」の試みである「ラッセ ル法廷」や米国内での帰還米兵による「アメリカの戦争犯罪」告発の運動は民間人犠牲 に着眼することで「正義の戦争」観に挑戦したことに意義があり、しかも国際的連携・ 連関の文脈でこれらの運動が展開されたことを明らかにした。次いで第3部では、第6 章にて戦争終結後における米国内での「加害」の視点の忘却・継承の諸相を検討し、第 7章・第8章で、戦争終結後における「戦争の克服」の一例として、帰還米兵によるヴ ェトナム民衆との「和解・共生」活動としての「マディソン・クエーカーズ」プロジェ クトを考察した。終章として、「アメリカの戦争犯罪」告発の今日的遺産ならびに「ソ ンミ虐殺」の記憶継承とヴェトナム民衆との「和解・共生」創造活動の可能性について 言及した。 本書の意義とその独創性は以下の三点にある。第一に、十分に注目されてきていると は言い難いヴェトナム民衆の多大な犠牲に着眼して「アメリカの戦争」の実相を考察す る重要性を指摘していること、第二に、「ラッセル法廷」や米国内での帰還米兵による 「アメリカの戦争犯罪」告発の取り組みが国際的連関・連携の中で展開された点を検討 し、この国際的連関・連携の側面に着眼して米国の反戦運動への影響とそれら取り組み の遺産を解明していること、第三に、米国内での「加害」をめぐる視点の希薄化の状況 下における、自国中心の内向きの「戦争の記憶」を越えてのトランスナショナルなレベ ルでの「他者」(ヴェトナム民衆)を視野に入れた「和解・共生」創造の意味を考察し ている点にある。

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