薬 学 図 書 館41(2), 119-130, 1996 119
《 特 集I:電 子 図 書 館 とマ ル チ メ デ ィア ・ネ ッ トワ ー ク-5》
電子 図書 館 と ドキ ュメ ン ト ・デ リバ リー
Digital Library and Document Delivery
橋
爪
宏
達*
[Author Abstract] This paper describes document delivery services on digital library systems, focusing on the electronic delivery service of scientific research papers and articles. Some operational delivery services are described. The term "electronic document delivery" actually covers broader applications relating to electronic publishing which became a reality after the advent of the Internet and the World Wide Web. The arrange-ments of the social/economic system for electronic publishing, however, are still undeter-mined and the copyright issues and the use charges for electronic document delivery services are an open question. This paper addresses these issues, too. Commonly used World Wide Web browsers are not ideal tools for document delivery and their short-comings are discussed to develop future document delivery systems.
[Keywords by Author] digital library system, document delivery, computer network, Internet, World Wide Web, SGML, Java
1. は じ め に 学 術 応 用 にお け るdocument deliveryす な わ ち 文 書 配 布 と は, 通 常 は雑 誌(論 文)記 事 の コ ピ ー配 布 サ ー ビス を意 味 して い る。 そ ん な こ とか ら電 子 図 書 館 に お け る ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー は学 術 論 文 の電 子 配 布 シ ス テ ム を指 す こ とが 多 く, 本 稿 で は そ の 解 釈 に立 っ て 代 表 的 な 文 書 配 布 シ ス テ ム を紹 介 す る。 document deliveryは 広 義 に は, 出版 活 動 全 般 を包 含 す る言 葉 で も あ る。 ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー ・シス テ ム を追 求 して い け ば, した が っ て 電 子 出版 シス テ ム そ の も の を ど うす る か, とい う問 題 に い きつ く。1990年 代 初 頭 まで は電 子 出 版 は第 一 義 的 に 工 学 技 術 上 の 開 発 課 題 で あ っ た。 また そ の利 用 の た め の制 度 等 は, 技 術 開 発 の 進 む過 程 で ゆ っ く り整 備 して い け ば い い, と楽 観 さ れ て い た。 と こ ろが そ の後 の 数 年 でパ ー ソ ナ ル コ ン ピ ュー タ(PC)の 発 展, イ ン ター ネ ッ ト特 にWWWの 浸 透 な どの地 滑 り的 な 状 況 変 化 が 出 現 し, 電 子 出版 に もWWW技 術 を 応 用 し よ う とい う こ とで, 技 術 的 問 題 に は一 応 の 決 着 が つ い た格 好 で あ る。 そ して 実 施 に 向 け て の 未 解 決 問 題 は む し ろ制 度 の整 備 だ と考 え られ る に い た っ て い る 。 従 来 の 著 者, 出 版 社, 書 店, 購読 者 の 考 え 方 を ど う整 理 す るか, 知 的 所 有 権 を ど う整 備 す るか, 利 用 料 金 を ど うす るか な どが 利 用 制 度 の 中 心 的 課 題 で あ る。 そ の う ち 著 作 権 問 題 は本 号 特 集 の 専 門 記 事 に譲 り, 本 稿 で は学 術 電 子 出 版 にお い て, 研 究 者, 学 会, 学 術 出 版 社 の 関 係 を ど う整 理 す る か とい う問題 に絞 っ て 論 ず る 。 これ で も な お筆 者 の手 に あ ま る問 題 で あ り, 説 得 力 を もつ 議 論 を展 開 す るの は無 理 な の で あ る が, 浅 学 をか え りみ ず 本 稿 で も一 つ の解 釈/ 考 え方 を提 出 して み る。 ドキ ュメ ン ト ・デ リバ リー は 前 述 の とお り, 現 在 はWWWを 使 っ て 設 計 さ れ る こ とが 多 い。 し か しWWWで ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー の 技 術 課 題 が す べ て 円満 に解 決 され た わ けで は な い 。 最 後 に本 稿 でWWWの 問題 点 を指 摘 し, そ こか ら 電 子 図書 館 の今 後 の 発 展 も展 望 して み る。 *Hiromichi HASHIZUME 学 術 情 報 セ ン タ ー 研 究 開 発 部 〒112東 京 都 文 京 区 大 塚3-29-1 has@rd.nacsis.ac.jp
2. ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー ・シ ス テ ム の 例 2.1. UnCover:大 学 図 書 館ILLの 発 展 UnCoverは 短 い なが ら歴 史 的 発 展 を も ち, か つ て はCARLと い う米 国 コ ロ ラ ド州 デ ン バ ー に本 社 を もつ 会 社 の 行 っ て い る ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー ・サ ー ビス で あ っ た 。 さ ら に源 流 を た ど る と, CARLは 大 学 図 書 館 の 選 書 ・発 注 業 務 ・目録 業 務 を外 注 す るた め に, コ ロ ラ ド周 辺 の大 学 図 書 館 が 共 同 で設 置 した 図書 館 業 務 代 行 会 社 で あ った 。 メ ンバ ー 図 書 館 はCARLに 頼 ん で お け ば, 雑 誌/図 書 がOCLCや ロー カ ルOPACへ の登 録 を 済 ませ て, 定 期 的 に 目録 カ ー ドつ きで 納 本 さ れ る。 UnCoverはCARLのILL(図 書 館 間 相 互 貸 借) 業 務 代 行 サ ー ビ ス と して ス タ ー トし た。CARLの メ ンバ ー 大 学 図 書 館 がILL依 頼 を受 け る と, それ をCARL本 部 に 転 送 す る。CARLは メ ンバ ー 図 書 館 の 目録 を所 有 して い る の で, ILLで 請 求 され た 資 料 を もつ 図 書 館 を判 別 す る こ とが で き る。 そ し て そ こ に 駐 在 して い るCARLス タ ッ フ に 電 子 メー ル で 複 写 を指 示 し, さ ら にそ れ を現場 で ス キ ャ ナ ー で 読 ませ て イ メ ー ジ情 報 化 し, イ ンタ ー ネ ッ トを使 っ てCARL本 部 に フ ァイ ル 転 送 す る。そ し て 最 終 的 にILL要 求 を 出 し た 利 用 者 にFAXを 使 用 して伝 送 さ れ る。 2年 ほ ど前UnCoverはCARLか ら離 れ, 独 立 した 会 社 と な っ た。 本 社 はCARLと 同 じ場 所 に お か れ, 事 業 と して は依 然 と一 体 で あ った が, 独 立 した採 算 を と る よ うに な った もの で あ る。 さ ら に 昨 年, UnCoverはCARLと 一 緒 にKnight Ridder社 に 買 収 さ れ, 現 在 は そ の子 会 社 と して 業 務 を行 っ て い る 。 UnCoverは イ ン タ ー ネ ッ トWWWを 使 用 し て, 利 用 者 か ら直 接 サ ー ビ ス要 求 を受 けて い る 。 カバ ー し て い る雑 誌 は メ ンバ ー 図 書 館 の 収 集 して い る雑 誌 を 中 心 に約17,000タ イ トル で あ る。サ ー ビス は有 料 で数 通 りの料 金 シ ス テ ム が あ る が, た とえ ば1記 事 あ た りの基 本 料 金8.5ド ル で, そ こ に そ の雑 誌 記 事 の 主 張 して い る著 作 権 料 を加 え た 額 とな っ て い る 。 な お記 事 の 検 索 の み の 利 用 は無 料 で あ る。 図1 NCSTRLの 検 索 例
電 子 図 書 館 と ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー(橋 爪) 121 2.2. NCSTRL:テ ク ニ カ ル レ ポ ー トの 配 布 米 国 の 理 工 系 の 主 要 大 学(や 研 究 所)で は 各 学 科 ご と に テ ク ニ カ ル レ ポ ー トの 形 式 で 研 究 成 果 を 出 版 ・配 布 し て お り, そ の 管 理 ・発 送 に 専 任 ス タ ッ フ を も っ て い る の が 普 通 で あ る 。 WWWの 存 在 し な い 時 代 に は, テ ク ニ カ ル レ ポ ー ト は 検 索 手 段 の な い グ レ イ リ テ ラ チ ャ ー と み な さ れ て お り, ま た コ ピ ー 請 求 も郵 便 に よ る や り と りの た め 入 手 に 時 間 の か か る こ と が 多 か っ た 。 そ こ で コ ン ピ ュ ー タ ・サ イ エ ン ス の 文 献 を 中 心 に, テ ク ニ カ ル レ ポ ー トの 目 録 管 理 と電 子 配 布 を 目 的 に 成 立 し た の がNCSTRL(Networked Com-puter Science Technical Report Library, 『ア ン セ ス トラ ル 』 と発 音 す る)で あ る(図1)。 現 在 約50の 機 関 が 参 加 して お り, そ の サ ーバ ー は参 加 機 関 に分 散 配 置 さ れ て い る。 タ イ トル, 著 者 名 お よ び ア ブ ス トラ ク トの 全 文 検 索 で 目的 の 文 献 を探 す こ とが で き る。 資 料 ペ ー ジ は 主 に ス キ ャ ン され た イ メ ー ジ フ ァ イ ル の 形 で 維 持 され て い る が, 一 部ASCIIフ ァ イ ル やPostScriptの もの も あ る。使 用 は無 料 で あ る。WWWブ ラ ウザ か らア クセ ス で き, そ の 中 央 窓 口 のURLは コ ー ネ ル 大 学 に置 か れ て い る。 2.3. TUHP:学 術 出 版 社 の 試 み オ ラ ン ダ に本 拠 を もつ 学術 出版 の 大 手, エ ル ゼ ビ ア(Elsevier)社 は早 くか ら電 子 的 な ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー の 開 発 に熱 心 で あ っ た 。10年 以 上 前 か ら ヨー ロ ッパ 共 同体 の 人 工 衛 星 回 線 を使 用 し 図2 NACSIS-ELS
た文 書 配 布 プ ロ ジ ェ ク トADONISに 出版 社 代 表 と して 参 加 し, そ の実 用 化 に大 き く貢 献 した(も っ と も プ ロ ジ ェ ク トの 最 終 形 態 で は フ ラ ン ス 案 で あ っ た人 工 衛 星 で の オ ン ラ イ ン配 布 を あ き らめ, CD-ROMに よ る配 布 とな った が)。 エ ル ゼ ビア は UnCoverに も出 資 して い て, 同 社 の 雑 誌 イ メ ー ジ を コ ン ピ ュ ー タ に 収 容 す る こ とを許 す な ど, 将 来 の商 業 的 な ドキ ュメ ン ト ・デ リバ リー ・シ ス テ ム に 向 けて 積 極 的 に 実 用 実 験 を行 っ て い る。
TULIP(The University Licensing Program) は エ ル ゼ ビ ア社 が 米 国 の9大 学 と行 った, 電 子 雑 誌 の 実 用 化 実 験 で あ る。実 験 は 一応 終 了 して お り, 現 在 そ の レ ポ ー トを入 手 で き る。 エ ル ゼ ビ ア社 はTULIPの た め に 材 料 科 学 関 係 の 雑 誌60タ イ トル を 提 供 した 。 内 容 は 書 誌 デ ー タ, ペ ー ジ イ メ ー ジ, お よ び記 事 内容 をOCR装 置 に よ り文 字 情 報 化 した もの で あ る。 各 参 加 大 学 は そ の デ ー タ を も と に, オ ン ラ イ ン文 書 配 布 シ ス テ ム を研 究 した り, ま た料 金 政 策 を提 案 した り した 。 な か で も ミシ ガ ン大 学 は熱 心 で, TULIPの 終 了 後 もプ ロ ジ ェ ク トで 開 発 した 文 書 配 布 シ ス テ ム を 使 用 して, 社 会 科 学 の 雑 誌 記 事 提 供 シ ス テ ム を独 自 に 開 発 し て い る。 2.4. NACSIS-ELS:学 会 との 共 同 プ ロ ジ ェ ク ト 学 術 情 報 セ ンタ ー で は学 会 誌 の オ ン ラ イ ン提 供 の た めNACSIS-ELS(National Center for Sci-ence Information Systems-Electronic Library System)を 製 作 し, 昨 年 よ りサ ー ビス を 試 行 して い る。 これ は学 会 誌/論 文 誌 ペ ー ジ を 「め くる」よ うな感 覚 で 読 む こ との で き る専 用 ブ ラ ウ ザ に検 索 シ ス テ ム を組 み合 わ せ た 文 書 配 布 シ ス テ ム で, 日 本 の 学 協 会 と共 同 で 行 っ て い る 試 行 で あ る(図 2)。 現 在 電 気/情 報 関 係 の3学 会 の 主 要 雑 誌 の デ ー タ が ペ ー ジ イ メ ー ジの 形 式 で 入 力 され て い て, 試 行 期 間(一 年 程 度)は モ ニ タ ー 会 員 に無 料 で サ ー ビ ス して い る。 近 い う ち に 収 録 学 会 数 を10∼20学 会 に まで 増 や す 予 定 で あ る。 最 終 的 な 料 金 設 定 は 未 定 で あ る が, 参 加 学 会 と調 整 して 利 用 登 録 制 度 ・利 用 課 金 制 度 を設 定 す る予 定 で あ る。 NACSIS-ELSで は 汎 用 のWWWブ ラ ウ ザ で はな く専 用 ブ ラ ウ ザ を使 用 して い る の が 特 徴 で あ る。Mosaic/Netscapeよ り表 示 速 度 が 優 れ て い る の と, 将 来 使 用 す る予 定 の ユ ー ザ ー認 証 機 能 を備 えて い る た め で あ る。 な お この 専 用 ブ ラ ウ ザ ・ソ フ トウ ェ ア は イ ンタ ー ネ ッ トの フ ァイ ル 転 送 で 取 り寄 せ る こ とが で き る。 3. ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー ・シ ス テ ム 設 計 の 要 点 3.1. イ メ ー ジvs.文 字 情 報 実 用 的 な ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー ・シ ス テ ム を設 計 す る う え で まず 考 慮 しな け れ ば な らな い の は, 雑 誌 記 事 を コ ン ピ ュ ー タ に入 力 す る場 合 に, 文 字 情 報 で 表 現 し蓄 積 す る か, 画 像 情 報 で蓄 積 す るか の選 択 で あ る 。 文 字 情 報 の 利 点 は蓄 積 容 量 が コ ンパ ク トに な る こ と で あ る。 た と え ば 本 誌 記 事 の1ペ ー ジ は 約 1,800字 で あ る か ら, コ ン ピ ュ ー タ 記 憶 の 容 量 と して は3.6kBで 収 容 で き る。4GBの デ ィ ス ク ユ ニ ッ ト(PCな どで も使 用 さ れ は じ め た 小 型 大 容 量 の磁 気 デ ィ ス ク装 置)で 約100万 ペ ー ジ を収 容 で き る計 算 に な り, 文 字 情 報 が い か にス ペ ー ス効 率 に優 れ て い る か 実 感 で き る。 ま た文 字 情 報 で 表 現 され た デ ー タ部 分 に は, 全 文 検 索 を含 む コ ン ピ ュー タ検 索 を か け る こ とが で き, この よ うな 強 力 な 検 索 機 能 に よ り電 子 図 書 館 サ ー ビス に よ る 広 範 な 文 書 収 集 ・提 供 が 可 能 に な る。 一 方 で ペ ー ジ を ス キ ャ ンす る な ど して 画 像 情 報 で 表 現 す れ ば, 本 誌1ペ ー ジ は50∼200kB程 度 の 容 量 に増 加 し, 同 じ デ ィス ク装 置 で は数 万 ペ ー ジ分 しか収 容 で きな くな る。 ま た画 像 認 識 な ど特 殊 な 機 能 を使 わ な い か ぎ り内容 に基 づ く検 索 は で きず, 単 に 表 示 ・印 刷 で き るだ け の情 報 に な っ て し ま う。 文 字 情 報 は 必 要 が あ れ ば画 像 情 報 に変 換 す る こ とは容 易 だ が, 画 像 情 報 を文 字 に変 換 す る た め に は 画 像 認 識 の 操 作 を要 し, 困 難 な 処 理 で あ る。 以 上 の よ う に, 容 量 や 使 い勝 手 か ら, 取 り扱 う電 子 ドキ ュ メ ン トは な る べ く文 字 情 報 で 表 現 し て お き た い事 情 が あ る。 理 工 学 系 の 文 献 に つ い て は, ペ ー ジ 内 に多 くの 数 式, 化 学 式, グ ラ フ, 表 な ど を含 む の が 通 例 で あ り, この部 分 は一 般 に は画 像 と して しか 表 現 で
電 子 図 書 館 と ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リ ー(橋 爪) 123 きな い。 した が っ てペ ー ジ を文 字 情 報 と して 表 現 す る とい っ て も, 実 際 に は文 字 部 分(文 字 情 報)と 画像 部 分(画 像 情 報)の 両 方 を含 む こ とに な り, そ の よ う な複 合 情 報 の 表 現 方 法 に工 夫 が 必 要 に な る。 文 科 系 の文 書 表 現 で は, 日本 語 漢 字 や ロー マ 字 の 他 に多 国 語 表 記 の た め の文 字 が 含 まれ る こ と が あ り, そ の場 合 は や は り画 像 表 現 とな る。 ペ ー ジ全 体 を画 像 で 表 して お け ば, この よ うな複 合 表 現 の 困 難 は な くな り簡 単 に な る。 これ は 画 像 情 報 の利 点 で あ る。 文 献 配 布 シス テ ム で は, 今 の と こ ろペ ー ジ情 報 を蓄 積 す る際 に, 完 全 な 画 像 情 報 と して 扱 っ て い る もの が 多 い 。 雑 誌 を遡 及 的 に電 子 図 書 館 に収 録 す る場 合 に は, 刷 り上 が りのペ ー ジ を ス キ ャ ナ ー で 画 像 入 力 す る の が現 実 に と り得 る唯 一 の 手 法 だ とい う事 情 も あ る。 漢 字 活 字 を忠 実 に再 現 す る た め に は ア ル フ ァベ ッ ト文 書 よ り解 像 度 の 高 い ス キ ャ ンが 必 要 で, 400dpi(イ ン チ あた り400ド ッ ト, つ ま り ミ リ あた り16ド ッ ト)が 多 く使 用 され て い る。 しか し こ の精 度 で 読 ん だ 画 像 は そ の ま ま で は 冗 長 性 が 高 く, 蓄 積 容 量 は1ペ ー ジ あ た り2MB (2,000kB)に も達 す る。 そ の ま ま で は蓄 積 容 量 を 費 や し, また 伝 送 に も時 間 が か か る こ と に な るの で 画 像 圧 縮 を か け, 数10分 の1の 容 量 に す る。静 止 画 像 の 圧 縮 に は い くつ か の標 準 形 式 が 存 在 す る が, TIFF-MMR(FAXに 準 拠 し た 方 法), GIF, JPEGな ど を使 用 す る こ とが 多 い。 前 述 の よ う に, 画 像 の ま まで は文 書 内 容 を検 索 で きな い の で, 電 子 図 書 館 収 録 時 に は検 索 の た め に最 低 限 タ イ トル, 著 者 名, ア ブ ス トラ ク ト部 分 を文 字 情 報 と して 入 力 す る。 製 本 冊 子 と して の 情 報 も検 索 に必 要 な とき は, 目次 も文 字 情 報 で 入 力 す る。 入 力 方 法 は 人 手 に よ る キ ー ボ ー ド入 力 と OCR(光 学 的 文 字 読 み と り機)に よ る 自動 認 識 方 法 が あ る。 後 者 は高 速 で あ るが, 数%の 認 識 誤 り を伴 うた め, 事 後 に人 手 で 校 正 しな けれ ば な ら な い。 そ の 手 間 を 含 め る と最 初 か らキ ー ボ ー ド入 力 す るの に比 べ て あ ま り時 間 ・コ ス トの 節 約 に な ら な い場 合 が 多 い 。 た だ最 近 は あ い ま い な一 致 を許 す 全 文 検 索 方 式 が 提 案 され て お り, そ れ と組 み合 わ せ れ ばOCRの 認 識 誤 りを 放 置 し て お い て も致 命 的 で は な くな る可 能 性 も あ る た め, 再 びOCR 入 力 が 注 目 され て い る。 エ ル ゼ ビ ア のTULIPプ ロ ジ ェ ク トで は 記 事 本 文 をOCR入 力 し た も の を, 特 に訂 正 す る こ とな く全 文 検 索 で 使 用 した 。 3.2. 文 字 情 報 に よ る本 文 表 記 最 近 で は情 報 処 理 学 会, 電 子 情 報 通 信 学 会 な ど 電 子 投 稿 を認 定 す る学 会 も現 れ, 入 稿 か ら一 貫 し て 文 字 情 報 で記 事 を扱 え る可 能 性 が 出 て き た 。 執 筆 に ワ ー ドプ ロ セ ッサ 等 を使 っ て い る著 者 は も と も と多 い だ ろ うが, そ の よ うな 原 稿 は そ の ま ま で は最 終 的 な 組 版 体 裁 に対 応 して お らず, また ワ ー ドプ ロ セ ッサ の機 種 ご と に フ ォー マ ッ トも異 な るた め, 正 式 な 電 子 投 稿 原 稿 と し て は使 え な い 。 電 子 投 稿 の規 定 で は よ り一 般 的 な 方 式 を採 用 す る の が 普 通 で あ る。 現 在 も っ と も 注 目 さ れ て い る の はSGML (Standard Generalized Markup Language)に よ る もの で, 筆 者 に記 事 と と も に文 書 の 構 造 も指 定 さ せ よ う とす る手 法 で あ る 。 雑 誌 記 事 は そ の 雑 誌 ご との 定 ま った 形 式 が あ るの が 普 通 で あ る。 まず 大 き な活 字 で タ イ トル が あ り, そ の 下 に著 者 名 が 印刷 さ れ る。 両 者 は中 央 揃 え とす る。 次 に ア ブ ス トラ ク トが あ り, 本 文 が2段 組 で始 ま る, な どだ 。 SGMLは そ の 記 述 が タ イ トル か, 著 者 名 か, ア ブ ス トラ ク トか, な どの 大 雑 把 な文 書 構 造 に着 目 す る。 雑 誌 ご と に 決 ま っ た 記 事 の 文 書 構 造 を 記 述 し た も の をSGMLで はDTD(Document Type Definition, 文 書 型 定 義)と よ び, 重 要 視 して い る 。 個 々 の 記 事 にDTDで 規 定 さ れ る構 造 に した が っ て タ イ トル, ア ブ ス トラ ク ト, 本 文 な どを表 す タ グ を 挿 入 す る作 業 を マ ー ク ア ッ プ と呼 ぶ 。 一 方, 雑 誌 ペ ー ジ の 刷 り上 が りを 得 る た め に は, タ イ トル を大 きな 活 字 で 組 む とか, セ ン タ ー に揃 え る とか の 組 版 上 の 指 定 も重 要 で あ る。 これ は SGMLで は セ マ ン テ ィ ク ス(semantics)と 呼 ば れ るが, これ まで の と こ ろ あ ま り重 要 で な い事 項 と さ れ て お り, SGMLで セ マ ンテ ィク ス を記 述 す る た め の 規 定DSSSLは 長 く空 文 で残 さ れ て きた 。 現 在SGMLは 主 に情 報 検 索 の 目 的 で 使 用 さ れ る の で, 組 版 規 則 の指 定 の よ う な 印 刷 物 へ の 応 用 は 軽 視 され て い る た め だ 。 筆 者 は文 書 は最 終 的 に人 間 が 読 む もの で あ り, そ の 表 現 に お い て組 版 指 定 な どの セ マ ン テ ィ ク ス も文 書 構 造 自体 と同様 に重
要 だ と考 え て い る。 早 急 にSGMLに 十 分 な 機 能 のDSSSLが 導 入 され る こ と を期 待 す る。 い ず れ にせ よ論 文 等 は電 子 配 布 の 場 合 も, 図 表 を含 ん だ 最 終 的 な 刷 り上 が り体 裁 を意 識 す る必 要 が あ り, セ マ ンテ ィ ク ス指 定 は避 けて 通 れ な い 。 SGMLに 信 頼 の お け るDSSSLが な い た め, 文 書 整 形 シ ス テ ム(document formatting system)の 古 典 で あ るTeXな い し そ の簡 易 版 のLaTeXを SGMLのDSSSLと し て 採 用 す る ケ ー ス が 多 い (日本 化 学 会 誌 の 論 文 記 事SGML化 な ど)。 情 報 処 理 学 会 な ど で はLaTeXを 使 用 す る こ と で SGMLのDTDと 同 じ文 書 構 造 指 示 も果 た せ る もの と考 え, SGMLを 使 用 せ ず, LaTeXに 準 拠 し た 電 子 投 稿 規 定 を制 定 して い る。 4. 社 会 シ ス テ ム と して の 電 子 図書 館 4.1. 料 金 政 策 ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー を主 要 な 機 能 とす る 電 子 図 書 館 に お い て, そ の利 用 料 金 を い か に 設 定 す るか は電 子 図 書 館 の死 活 を制 す る, 重 要 な 問 題 で あ る。 機 械 仕 掛 け, ネ ッ トワ ー ク 仕 掛 け を どれ ほ ど立 派 に して も, 現 在 の と こ ろ最 終 的 に利 用 者 の 受 け取 る の は論 文 ペ ー ジで あ る。 これ は従 来 か ら学 会 員 な ら郵 便 で 購 読 して い た もの で あ り, ま た 大 学 図 書 館 やILLサ ー ビ ス で も入 手 で き た も の で あ るか ら, 利 用 者 は ど う し て もそ れ らの利 用 価 格 との 比 較 に お い て電 子 図 書 館 サ ー ビ ス を 考 え る 。 も し電 子 図書 館 が 利 用 者 の 感 覚 に比 べ て 高 い 利 用料 金 設 定 を して いれ ば, 結 局 利 用 され な い サ ー ビス に な る。 エ ル ゼ ビ ア がADONISやTULIPを 通 し て 知 りた か った の は, 電 子 図 書 館 は どん な 料 金 な ら使 っ て も ら え る か, とい う点 につ き る よ うだ 。 学 術 出 版 社 は営 利 団 体 で あ る か ら 当 然 の こ と で あ ろ う。 学 協 会 は学 会 員 の 共 通 の 利 益 の た め に活 動 し て お り, 非 営 利 を 旨 とす るの で, 電 子 図 書 館 に対 して も う少 し柔 軟 に対 応 で き る可 能 性 は あ る。 し か し団体 維 持 の た め に最 低 限 の 収 入 を得 な け れ ば な らな い こ とで は, や は り電 子 図 書 館 の 商 業 的側 面 に興 味 が あ る こ とだ ろ う。 電 子 図 書 館 で文 書 配 布 サ ー ビ ス を行 う場 合, 料 金 設 定 の 指 標 に な る の は, 米 国 の 文 献 に つ い て
Copyright Clearance Center(CCC)に 登 録 さ れ た 著 作 権 料 で あ る。 例 え ば手 元 の あ る学 会 誌 で は記 事 あ た り4ド ル とな っ て い る。 日本 で も複 写 権 セ ン タ ー な い し学 協 会 著 作 権 協 議 会 が 同 様 の ル ー ル を確 立 す べ く準 備 中 で あ る。 し か し注 意 しな けれ ば な ら な い の は, 現 在 の と こ ろCCC等 に登 録 さ れ た 著 作 権 料 は あ く ま で も ス ポ ッ ト的 に そ の 記 事 を コ ピー す る場 合 の料 金 だ と い う こ とだ 。 そ れ に対 して, 多 くの 電 子 図 書 館 サ ー ビス で は冊 子 全 体 に あ た る情 報 を利 用 者 に届 け, ペ ー ジ を め くる よ うな 調 子 で使 って も らお う と して い る。 そ う思 っ て も う一 度 前 記CCCの 著 作 権 料 を み る と, 少 々 高 過 ぎ る よ う に思 え る。 記 事 を2本 ほ どコ ピー す る と冊 子 全 体 を買 え る金 額 に な る。 こ れ に は学 協 会 側 の 反 論 も あ る。 従 来 の冊 子 に は, そ の な か で 読 者 に読 まれ る記 事, 読 まれ な い 記 事 が あ った 。 冊 子 で は読 まれ な い 記 事 も一 括 し て, た とえ ば8ド ル とい う値 づ けで 販 売 して い る。 しか し電 子 図 書 館 の 時 代 で は, お そ ら く著 作 権 収 入 は読 まれ た 記 事 か ら しか 得 られ な い 。 も し冊 子 内 の 全 記 事 の 著 作 権 料 合 計 を冊 子 価 格 と同 じに す れ ば, 学 会 と して は収 入 不 足 とな る可 能 性 が あ る。 む し ろ2∼3の 記 事 の著 作 権 料 と冊 子 全 体 を 同額 とす る ほ うが 合 理 的 で あ る, とい う よ う な議 論 で あ る。 図 書 館 で 受 け入 れ て い る学 術 雑 誌 の う ち, 一 回 で も使 用 さ れ る冊 子 の 割 合 は 全 体 の2∼3割 に す ぎ な い とい う統 計 もあ る の で, 上 の学 会 の 反 論 は あ る程 度 説 得 力 が あ る。 しか し図 書 館 の 統 計 を基 礎 に値 を決 め る な ら, 学 術 雑 誌 に よ っ て は記 事 あ た りの著 作 権 料 を冊 子 の 数 倍 に し な い と, 学 会 側 の収 入 を保 持 で き な い 可 能 性 も あ る。 だ が 電 子 図 書 館 の 料 金 を こ の よ う な額 に した ら, そ もそ も使 用 され ず, 会 員 の論 文 出 版 を 支 援 す る とい う学 会 の 出 版 活 動 目的 そ の もの に支 障 を き た す 危 険 もあ る。 記 事 ご とに 著 作 権 使 用 料 を設 定 し, 利 用 ご とに そ の 額 を著 作 権 者(学 会)に 支 払 う とい う シ ス テ ム は ま った く合 理 的 に思 え る。 しか し 出版 の 大 勢 が 電 子 出 版 に 向 か っ た場 合 に は, 経 済 的 に破 綻 を き た す 可 能 性 もあ る。
電 子 図 書 館 と ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー(橋 爪) 125 4.2. 私 的 な情 報 発 信 従 来 の 学 術 出版 で は, 著 者 は著 作 物 の 刊 行 を 出 版 社 や 学 会 に依 頼 す る と き, 著 作 権 の うち 複 写 権, 翻 訳 権, 二 次 使 用 権 な どの 管 理 を 出 版 社 等 に委 任 した り, あ るい は委 譲 して い る場 合 が 多 か っ た 。 す る と電 子 図 書 館 な どの 料 金 収 入 は まず 出版 社 や 学 協 会 に い くわ けで, 著 作 権 保 護(結 果 と して の 著 作 権 収 入 の 確 保)を こ れ ら の 団 体 が 気 に す る の は ご く自然 で あ る。 これ ま で は 出 版 は, 既 存 の 出版 流 通 シ ス テ ム を 使 用 す る以 外 に方 法 は な く, 一 次 的 な複 写 権 収 入 は 自動 的 に 出 版 社 に入 る仕 組 み に な っ て い た 。 だ か ら出 版 社 は い わ ゆ る 「違 法 コ ピー 」 の み を注 意 す れ ば よ か っ た 。 と こ ろが コ ン ピ ュー タ ・ネ ッ ト ワー ク を使 っ た 文 書 配 送 で は, 著 作 権 料 が 出 版 社 に還 流 す る仕 掛 けが まだ 成 立 して い な い。 そ こ で 先 手 を う つ た め, 昨 年7月 に 米 国 議 会 に"The National Information Infrastructure Copyright Protection Act"が 提 出 され た 。 これ は イ ン タ ー ネ ッ ト上 の著 作 物 に該 当 す る可 能 性 の あ る情 報 流 通 の す べ て を対 象 と して, 実 質 的 に そ の 流 通 を禁 じ る もの で あ る。 イ ン ター ネ ッ トが 使 い もの に な ら な くな る, と多 くの 人 が 反 対 した 。 出版 社 と し て は, しか し同 法 で 私 的 な情 報 コ ピ ー流 通 を禁 止 し て お い て, あ とは 電 子 図 書 館 の よ うな集 中 的 情 報 発 信 セ ン ター に複 製 料 金 を委 任 す れ ば ひ とま ず 安 心, と考 え て い た よ うだ 。 一 方 で, ネ ッ トワ ー ク の技 術 動 向 は よ り私 的 な 情 報 発 信, 消 費 の 方 向 に向 か っ て い る。 現 在 で も 個 人 がWWWで 情 報 発 信 をす る こ とは 可 能 で, ま たYahooに 代 表 さ れ るWWW情 報 検 索 サ ー ビ ス も充 実 し て きて お り, WWW自 体 を電 子 図書 館 とみ な せ ば, す で に電 子 文 書 流 通 は個 人 参 加 型 に な っ て い る とい う こ とが で き る。 さ ら に現 在 イ ン タ ー ネ ッ トで は現 金 決 裁 を行 う ネ ッ トワー ク マ ネ ー の導 入 が 検 討 され て お り, それ が 成 立 す る と 電 子 図 書 館 は個 人 発 信 ・個 人 消 費 の青 空 市 場 的 な 商 品 取 り引 きの 場 に な る可 能 性 も あ る。 著 作 権 料 は 出版 社 を飛 び越 して 直 接 に著 作 者 に い く。 著 作 権 法 の 立場 か らは, こ ち らが む し ろ正 常 な シ ス テ ム で あ る。 こ の よ うな 状 況 で 出 版 社, 学 会 な どに 期 待 され る機 能 は情 報 の 識 別, 選 択, 分 類, 収 集, 加 工 な どが あ げ られ る が, 現 在 提 出 され て い る よ う な厳 格 な ネ ッ トワ ー ク著 作 権 法 は, か え っ て そ の 活 動 の 障 壁 とな る可 能 性 もあ る。 4.3. 研 究 支 援 の た め の 電 子 図 書 館 電 子 図 書 館 の 経 済 問題 に は, 商 業 出版 と学 術 出 版 の 区別 の な い 論 点 もあ る し, 学 術 出版 に しか 関 係 しな い 論 点 もあ る。 この 違 い は ど こか ら くる の で あ ろ うか 。 商 業 出 版 と学 術 出 版(論 文 誌 等)を 比 べ て, 学 術 出 版 に は一 つ の 特 徴 が あ る こ とが わ か る。 そ れ は 執 筆 者 の グ ル ー プ と購 読 者 の グ ル ー プ が 同 じ もの だ, とい う こ とだ 。 通 常 の 商 業 出 版 で は著 作 者 グ ル ー プ は少 数 で あ り, 出 版 は そ れ と多 数 の 購 読 者 を結 び 付 け る一 方 的 な パ ス と して 機 能 し て い る。 と こ ろが 学 術 出 版 で は, 読 者 の 多 く も また 同 じ分 野 の研 究 者 で あ り, 彼 ら は別 の 局 面 で は著 作 者 と し て執 筆 す る。 図3は そ の よ う なサ イ クル 的 流 通 を行 う もの と して, 学 術 出 版 の フ ロ ー を表 現 した もの で あ る。 学 術 出 版 の た め の 電 子 図 書 館 を 設 計 す る 場 合 は, 商 業 出版 の そ れ と違 っ た 指 針 に基 づ くべ きで あ る。 商 業 出版 で は い か に効 率 的 に大 量 の読 者 に 情 報 の 複 製 を届 け る か とい う観 点 が 重 要 な の に 対 し, 学 術 出版 で は執 筆 → 購 読 → 執 筆 → … の論 文 生 産 サ イ ク ル をい か に活 発 に す るか が 重 要 な の で あ る。 図3 学 術 情 報 の フ ロ ー
従 来 の 論 文 生 産 ・流 通 の 過 程 を分 析 す る と, 執 筆, 投 稿, 査 読, 編 集 とい う上 流 過 程 と, 印 刷, 配 布, 購 読, 分 類, 蓄 積 な どの下 流 過 程 に大 別 で き る。 紙 媒 体 の論 文 出版 で は, 上 流 過 程 は主 に学 会 が 管 理 し, 下 流 過 程 は 図 書 館 が 管 理 して い た。 「電 子 図 書 館 」の 用 語 に は 図 書 館 が 含 ま れ るの で そ の守 備 範 囲 は まず 下 流 過 程 で あ る とい う印 象 が 強 い が, 学 術 出版 の 電 子 図 書 館 は論 文 生 産 の サ イ ク ル全 体 に責 任 を もた な け れ ば な らな い。 そ の 立 場 か ら は, 電 子 図 書 館 は上 流 過 程, す な わ ち 従 来 の 学 会 活 動 に も踏 み 込 み, それ を総 合 す る シ ス テ ム と して 構 想 さ れ るべ きで あ る。 4.4. 電 子 図 書 館 に よ る 学 術 情 報 流 通 現 在, 米 国 を 中心 に 数10誌 の 学 術 オ ン ラ イ ンジ ャー ナ ル が 刊 行 され て い る。 これ ら ジ ャー ナ ル セ ンタ ー を電 子 図 書 館 とみ なせ ば, す で に 電 子 図書 館 を基 盤 と して 活 動 す る学 協 会 が 存 在 して い る と い え る。 これ か ら は ます ます 図 書 館 活 動 と学 会 活 動 の 区 別 は希 薄 に な る で あ ろ う。 学術 情 報 流 通 を 目的 とす る電 子 図 書 館 の 設 計 の 図5 情 報 フ ロ ー モ デ ルB た め, 従 来 学 協 会 が文 書 流 通 に 果 た して い た役 割 を分 析 して み る。そ れ は, 情 報 の 選 別(filteration) と配 布(distribution)の2項 目 に集 約 で き る(図 4)。 こ の学 術 情 報 流 通 の プ ロ セ ス(従 来 プ ロ セ ス) をPlanAと す る。オ ン ラ イ ン ジ ャ ー ナ ル も, それ が 従 来 の 冊 子 刊 行 物 の 電 子 的 置 換 で あ るか ら, 基 本 的 に は この 手 法 に よ る電 子 流 通 とい う こ と に な る。 従 来 どお りの学 会 ・図 書 館 とい う役 割 分 担 を 保 存 しつ つ電 子 図 書 館 を実 現 で き, 社 会 的 容 認 性 か ら は穏 当 な 方 式 で あ る。 一 方, filterationとdistributionを 逆 に配 置 す るPlan Bも あ りう る(図5)。 来 た情 報 は まず 受 け 付 け, 公 開 して し まい, そ れ を選 別 す る こ と は後 回 し にす る よ う な手 法 で あ る 。 特 許 の 出 願 ・審 査 は 基 本 的 に これ に沿 って い る。 学 術 情 報 流 通 にお い て は, 図書 館 と学 会 の 位 置 付 け を 流 通 過 程 の な か で 逆 転 す る こ とに な り, 導 入 に抵 抗 は大 きい と 予 想 され る 。 しか し本 質 的 に速 報 性 に優 れ, また 学 際 的 な流 通 を促 進 し う る な どの 利 点 も多 い。 ま た この 形 態 で は, 前 項 で 指 摘 した よ うな 個 人 で の 学 術 情 報 発 信 も可 能 に な り, 情 報 源 が ます ます 分 散 す る方 向 に あ る現 在 の トレ ン ド と も合 致 す る手 法 で あ る。 文 書 流 通 を 目的 と した 電 子 図 書 館 は, 図 書 館 に 加 えて 学 協 会 の 協 力 な し に は 成 立 しな い。 そ の よ うな 見 地 か ら, 昨 年8月, 電 子 図 書 館 学 会(会 長 ・ 田 畑 孝 一 図 書 館 情 報 大 学 教 授)が 成 立 した 。 文 献 の 電 子 流 通 の 実 験 の 場 とな る も の と期 待 され て い る。 5. WWWを 越 え て 5.1. HTMLの 問 題 点 現 在 の電 子 図 書 館 プ ロ ジ ェ ク トで は, 多 くは そ の利 用 者 イ ン タ ー フ ェー ス と し て イ ン タ ー ネ ッ ト WWWの ブ ラ ウ ザ で あ るMosaic/Netscapeを 使 用 し て 設 計 さ れ て い る。 た と え ば 京 都 大 学 Ariadne, 奈 良 先 端 科 学 技 術 大 学 院 大 学Mandala な ど は そ の典 型 とい う こ とが で き る。 カ リ フ ォル ニ ア 大 学 サ ン タバ ー バ ラ校 の 電 子 図 書 館 プ ロ ジ ェ ク トAlexandria Digital Libraryの よ う に, 初 期 シ ス テ ム で は専 用 イ ン タ ー フ ェー ス を採 用 し て い た も の が, 中途 か らWWWを 使 用 す る よ う に設
電 子 図 書 館 と ドキ ュ メ ン ト ・デ リバ リー(橋 爪) 127 計 が 改 め られ た もの もあ る。 WWWア プ ロ ー チ で 優 れ て い る の は, 利 用 者 に 特 定 の 電 子 図書 館 を利 用 して い る と意 識 さ せ る こ とな く, 他 の ネ ッ トワ ー ク資 料 探 索 の 延 長 と し て 電 子 図 書 館 へ誘 導 す る こ とが で き る点 で あ る。 あ るい はWWWのCyber Space自 体 が 巨大 な 電 子 図書 館 で あ っ て, そ の な か に個 々 の 電 子 図書 館 シ ス テ ム が 浮 い て い る と形 容 し て も よ い。 ネ ッ トワ ー ク上 で の オ ー プ ン サ ー ビ ス と して 電 子 図 書 館 を 企 画 す る と き, 問 題 に な るの が い か に利 用 者 に イ ン ター フ ェ ー ス ・ソ フ トウ ェ ア を配 布 して 普 及 を 図 る か で あ る。Mosaic/Netscapeを 使 用 す れ ば 導 入 ・普 及 の 問 題 は解 消 す る。 これ らの ブ ラ ウザ で は, 文 書 の 記 述 フ ォー マ ッ トと し てHTML(Hyper Text Markup Lan-guage)が 採 用 され て い る。HTMLはSGMLか ら DTD記 述 能 力 を取 り去 っ て 簡 略 化 した よ うな 性 格 の 文 書 フ ォー マ ッ トで あ る が, ハ イパ ー テ キ ス トの 名 が 示 す よ う に, 他 の文 献 を リン ク して 引 用 す る こ と, さ ら に は 画 像 ・音 声 な ど の マ ル チ メ デ ィ ア 情 報 を も リ ン ク で き る こ と を特 徴 と し て い る。 HTMLに よれ ば, 本 文 と図 表 か ら な る現 在 の 学 術 文 献 の 体 裁 を あ る程 度 再 現 で き る 。 しか し現 実 にHTMLで 学 術 文 献 を記 述 す る こ とは あ ま り 行 わ れ て い な い。 そ れ はSGMLの と き に述 べ た よ うに, 文 書 の体 裁(セ マ ン テ ィ クス)記 述 が 困難 とい う性 質 をHTMLも 引 き継 い で い る た め で あ る。 特 に 数 式 の記 述 機 能 が な い こ とが 科 学 技 術 文 書 へ の 応 用 の 障 害 と な っ て い る。 電 子 図 書 館 に HTMLを 使 う の は, そ の 検 索 ・応 答 画 面 を表 現 す る の に と ど ま る場 合 が 多 い 。 最 終 的 な 文 書 イ メ ー ジ は 画 像 フ ァイ ル な どで転 送 さ れ, Mosaic/Net-scapeの 外 部 ブ ラ ウ ザ 機 能 に よ り表 示 さ れ る 。 HTMLもSGMLと 同 じ く, も と も と文 書 構 造 記 述 を 目的 に設 計 され た 様 式 で あ る 。 それ を現 場 で は検 索 画 面 の よ う な, む し ろ セ マ ンテ ィ ク ス に よ る体 裁 記 述 が 重 要 に な る場 面 で 使 わ な けれ ば な ら な い の は困 っ た こ とで あ る。 HTMLを 拡 張 して, 多 くの 学 術 文 献 記 述 に さ しつ か え な い程 度 に セ マ ン テ ィク ス を豊 富 に し て い くの は一 つ の 発 展 方 向 で あ る。 最 近 導 入 され た HTML3.0で は, 従 来 は で き な か っ た 上 付 き文 字, 下 付 き文 字 を含 む 数 学 記 号 表 現 が 可 能 に な っ て い る。 し か し多 分 野 の 学 術 文 献 に適 用 し う る セ マ ン テ ィ ク ス の獲 得 に は, 今 後 も多 くの 機 能 拡 張 が 必 要 に な ろ う。 ま た そ の よ うな 巨 大 ソ フ トウ ェ ア は, 次 第 に個 人 の コ ン ピ ュ ー タ環 境 で 使 用 す る の は 困 難 に な っ て くる で あ ろ う。 5.2. セ キ ュ リテ ィの 問 題 電 子 図 書 館 は 応 用 に よ っ て は 課 金 を と もな う こ とが あ り, 利 用 の 過 程 で ユ ー ザ の 認 証 を し た り, 料 金 決 裁 の トラ ンザ ク シ ョ ン を送 っ た りし な けれ ば な ら な い 場 合 が あ る 。 し か し 現 在 のMosaic/ Netscapeの 仕 組 み で は, そ の よ うな 場 合 に 十 分 な信 頼 性 を もつ 通 信 を行 え な い 。 料 金 決 裁 を 含 む 商 業 応 用 も可 能 な専 用WWW サ ー バ, 専 用 ブ ラ ウ ザ を作 る試 み もあ るが, 固 定 した 通 信 方 式 だ とい ず れ 誰 か に解 読 され, 不 正 使 用 を引 き起 こす 可 能 性 が あ る。 これ ら は イ ンタ ー ネ ッ トへ の ネ ッ トワ ー ク マ ネ ー 導 入 につ い て も考 慮 され な け れ ば な らな い点 で あ る。 5.3. 多 言 語 へ の 対 応 現 在 のMosaic/Netscapeブ ラ ウ ザ で は 画 面 の 文 字 表 示 を ユ ー ザ の ロー カ ル なPCの 表 示 機 能 に よ っ て い るた め, そ の コ ン ピ ュ ー タ の 備 え て い な い 文 字 フ ォ ン トは表 示 で き な い 。HTMLで 記 述 され た 日本 語 文 書 だ と, た と え ば 米 国 の 普 通 の PCで 表 示 し よ う と し て も字 が 化 け て し ま っ て 判 読 で き な い 。 これ は 日本 で 中 国 語 等 の 文 書 を表 示 す る場 合 も 同様 で あ る。WWWす な わ ちWorld Wide Webの ブ ラ ウ ザ で あ る か ら, そ の文 字 表 示 も イ ン タ ー ナ シ ョナ ル で あ るべ きで, ロ ー カル な PCの 表 示 機 能 に制 約 さ れ る べ きで は な い。 し か し そ の設 計 段 階 で 国 際 フ ォ ン トへ の 対 応 を配 慮 し て こ な か った の で, 現 在 の よ うな 状 況 に な っ て い る。 HTMLは そ の セ マ ン テ ィ ク ス記 述 能 力 の 低 さ か ら, 文 書 中 に フ ォ ン ト切 替 え を指 示 で きず, た とえ手 元 のPCが 日本 語 と中 国語 の 両 方 の 表 示 機 能 を も って い て も, 一 つ の 文 書 の 中 で両 方 の文 字 表 示 を指 示 す るの は不 可 能 だ とい う よ う な問 題 も あ る。Mosaic/Netscape等 を 電 子 図 書 館 の 表 示 機 能 と し て活 用 す る た め に は, これ らの 難 点 の 早
急 な 解 決 が望 まれ る。 5.4. デ ィ ス プ レイ の 問 題 PCや ワ ー ドプ ロ セ ッサ が オ フ ィス に 導 入 さ れ は じめ た ころ, そ の 目標 と し て 「紙 な しオ フ ィ ス」 が 唱 え られ た。 しか し これ らの 機 械 の 活 用 が 進 ん で み る と, 現 実 に は オ フ ィ スの 紙 需 要 は増 え る こ とが判 明 した。 コ ン ピ ュ ー タ が オ フ ィス か ら紙 を 追 放 で きな か っ た の は, コ ン ピ ュー タ の ブ ラ ウ ン管 に比 べ て依 然 と して 紙 の ほ うが 優 れ た 表 示 媒 体 だ か らで あ る。電 気 を 消 費 せ ず, ど こで も使 用 で き る。軽 い。 書 き込 み が で き る。 な に よ り解 像 度 が 高 い。 コ ン ピ ュ ー タの 高 解 像 度 デ ィス プ レ イ とい わ れ て い る もの で も, 一 辺 で1,000点 内 外 の表 示 解 像 度 しか もた な い 。 そ れ に く らべ て紙 は3,000点 以 上 にな る。面 で 考 え た場 合, 紙 は ブ ラ ウ ン管 の10 倍 近 くの画 素 を表 示 して い る こ と に な る。 コ ン ピ ュ ー タ表 示 は紙 に比 べ て マ ンマ シ ン ・イ ン タ ー フ ェ ー ス の 道 具 と し て ま だ 劣 っ た 面 が あ り, 電 子 的 な 文 書 配 布 シ ス テ ム も最 後 は紙 に 印 刷 で き る よ うに 設 計 しな い と内 容 を読 め な い とい っ た 問題 が あ る。 ブ ラ ウ ン管 表 示 装 置 は機 械 加 工 精 図6 Javaア プ レ ッ トの 例(左)とJava言 語 プ ロ グ ラ ム(右)マ ウ ス の 指 示 で 分 子 模 型 を 自 由 に 回 転 で き る
電 子 図 書 館 と ド キ ュ メ ン ト ・デ リバ リー(橋 爪) 129 度 の 関 係 か ら, 現 状 が ほ ぼ 限 界 に近 い 解 像 度 に な っ て い る。 紙 に 匹敵 す る情 報 密 度 を もつ デ ィス プ レ イ の 開 発 に は, 液 晶 表 示 器, プ ラ ズ マ 表 示 器 な ど別 の技 術 の 発 展 を待 つ必 要 が あ る。 5.5. Javaの 出 現 こ こで は 主 にMosaic/Netscapeの 電 子 文 書 ブ ラ ウ ザ と し て の 問題 点 を述 べ た 。 しか し それ らの 多 くは昨 年 夏 にJavaと い う新 しい コ ン ピ ュ ー タ 言 語 が 提 案 さ れ た こ とで, 解 決 さ れ る見 通 しが 出 て きた(図6)。 Javaで は, WWWでHTMLの 文 書 を 送 る か わ りにJavaと い う言 語 で 書 い た プ ロ グ ラ ム を 利 用 者 に 送 り, そ れ を実 行 させ る こ とが で き る 。 こ の プ ログ ラ ム を ア プ レ ッ ト(applet)と よぶ 。 Javaに よれ ば, た とえ ば ユ ー ザ の 認 証 や 課 金 の た め に 特 別 な高 信 頼 通 信 を行 う ア プ レ ッ トを 用 意 して, それ を利 用 者 に使 用 し て も ら う こ とが で き る。 通 信 の 途 中 で の セ キ ュ リテ ィ確 保 の た め に通 信 文 の 暗 号 化 が 必 要 に な れ ば, そ の 暗 号 化 ア ル ゴ リズ ム 実 行 を利 用 者 サ イ ドで 行 う こ と もで き る。 また 文 書 に よっ て は数 式, 化 学 式 な どの 特 殊 な 表 示 の 必 要 な場 合 もあ る が, 文 書 と一 緒 に そ れ 専 用 の表 示 をす る ア プ レ ッ トを送 る こ とで そ の表 示 も 解 決 で き る。 多 国 語 表 示 も同 様 の 考 え方 で 可 能 に な ろ う。 さ らにJavaで は ユ ー ザ 側 で プ ロ グ ラ ム を実 行 で き る こ とか ら, 文 書 ペ ー ジ を め くる処 理 な ど応 答 速 度 を短 縮 した い 操 作 を高 速 に実 行 で き る可 能 性 が あ る。 会 話 性 にす ぐれ た イ ンタ ー フ ェ ー ス を作 れ る こ とに な る。 Javaの 普 及 は今 後 の課 題 で あ る。ま た ア プ レ ッ トを取 り寄 せ て 自分 の コ ン ピ ュ ー タで 実 行 す る場 合, 万 一 コ ン ピ ュ ー タ ウ ィル ス の よ うな悪 意 に基 づ い て 製 作 され た ア プ レ ッ トを 入 れ て し ま う と危 険 だ, とい う こ とでJava概 念 自体 の セ キ ュ リテ ィ を問 題 にす る声 もあ る。 しか しJavaア プ レ ッ ト はNetscape2.0で も 部 分 的 に 動 作 す る よ う に な っ て お り, 今 後 急 速 に普 及 す る もの と思 わ れ る。 電 子 図 書 館 へ の 応 用 も多 く試 み られ る こ と に な ろ う。 6. お わ り に 電 子 的 な 文 書 流 通 シス テ ム を 設 計 す る場 合 に最 大 の 問 題 で あ っ た 高 速 コ ン ピ ュ ー タ ネ ッ トワー ク が, イ ンタ ー ネ ッ トを利 用 す る こ とで 解 決 の 見 通 しが つ い た た め, 電 子 図 書 館 の 開 発 プ ロ ジ ェ ク ト は数 年 前 か ら多 数 企 画 さ れ る よ う に な っ た 。 そ の な か に は 商 業 出版 の み を意 図 して い た り, 情 報 装 置 産 業 振 興 の た め に企 画 され て い る と疑 え る もの も あ る。 しか し長 く地 道 な 文 書 収 集 の 末 に 成 立 し た もの, また 学 術 的 な成 果 の み を 目的 とす る もの も多 い こ と は もち ろ ん で あ る。 将 来 の 学 術 研 究 支 援 の た め, それ らが 順 調 に 発 展 す る こ と を祈 る も の で あ る。 電 子 的 な 文 書 流 通 は ま だ 新 し い 試 み で あ る か ら, 今 後 は本 稿 で 触 れ た 点 以 外 に も多 くの 制 度 的, 技 術 的 困 難 に直 面 す る で あ ろ う。 しか し学 術 環 境 で は多 くの 場 合, 消 費 者 は また 執 筆 者 な の だ か ら, そ の 時 時 で 利 用 者 個 人 に 最 適 な選 択 を して い け ば よ い, とい う単 純 な 面 もあ る。 本 稿 は 従 来 か らの 文 字 に よ る文 献 配 布 を中 心 に 記 述 した の で, 動 画 ・音 声 な ど を駆 使 した 新 しい 文 書 タ イ プ や そ れ を使 用 した 電 子 図 書 館 に触 れ る こ とが で き な か った 。 これ ら の新 し い学 術 資 料 は ま だ実 験 段 階 だ が, 今 後 は高 い価 値 を認 め られ る こ とに な ろ う。 特 に最 近 で は学 術 世 界 とそ の 外 と の 交 流(public relations)も 重 要 だ と認 識 さ れ だ し た。 これ らの マ ル チ メ デ ィ ア 資 料 は非 専 門 家 に 対 して も高 い理 解 性 を得 られ る た め, 従 来 の 学 術 文 献 に は な か っ た 流 通 性 を もつ 可 能 性 が あ る。 教 育 や 学 際 協 力 研 究 の 手 段 と して貴 重 な もの とな ろ う。 マ ル チ メ デ ィア 文 書 は もち ろ ん 普 通 の 電 子 文 書 の 成 立 の た め に は, そ れ を制 作 した り検 索 した り す る の に設 備 に加 え て第 三 者 の助 言 ・助 力 が 必 要 とな る。 今 後 の 図 書 館 サ ー ビス に はぜ ひ と もそ の よ うな 機 能 を検 討 して い た だ きた い と思 う。 参 考 文 献 1) 杉 本 雅 則 他:世 界 の 電 子 図書 館 の研 究 動 向 に つ いて, 学術 情 報 セ ンタ ー紀 要No.8, 1996(掲 載 予 定). 2) 杉 本 重雄:Digital Librariesへ の ア プ ロー チ ー 米 国 を中 心 とす る取 組 み事 例 に基 づ く考 察, デ ィジタル 図書館, No.5, pp.5, Nov., 1995. 3) Adachi, J. et al.:NACSIS Electronic Library
of ISDL'95, pp.36, Aug., 1995. 4) 橋 爪 宏 達:ネ ッ ト ワ ー ク に よ る 学 術 情 報 流 通, デ ィ ジ タ ル 図 書 館, No.1, pp.39, Oct., 1994. 5) (URL)CARL, Uncover http://carl.org/carl.html 6) (URL)NCSTRL http://cs-tr.cs.cornell.edu/ 7) (URL)TULIP http://www.lib.umich.edu/libhome/jstorsumm. html 8) (URL)NACSIS-ELS http://www.nacsis.ac.jp/dl-j.html 9) (URL)Java http:sun.ava.com 10) (URL)デ ィ ジ タ ル 図 書 館(ISSN 1340-7284) http://www.dl.ulis.ac.jp/DLjournal/ 11) (URL)国 際 シ ン ポ ジ ウ ム'95 http://www.dl.ulis.ac.jp/ISDL95/ (原 稿 受 付 け:'96. 4. 22)