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乳牛の乳房炎治療における乳汁細菌学的検査の 有無と予後との関連

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Academic year: 2021

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麻布大学雑誌 第25巻 2013年 74

1.はじめに

乳房炎治療での乳汁の細菌培養同定試験や薬剤感受 性試験は,薬剤の選択など治療方針の決定への重要な 情報源であり,近年,酵素基質培地をもちいた簡易迅 速培養法による,臨床現場での細菌学的検査の重要性 が複数報告されている。

しかし,細菌学的検査のコストに見合った治療効果 が得られているかという国内の報告は無く,詳細は不 明である。

そこで今回,乳房炎治療における細菌学的検査がど の程度予後に影響を及ぼしているか調査検討したので 報告する。

2.材料および方法

平成

23

10

月から平成

24

12

月の間に臨床型乳 房炎と診断された乳用牛

285

頭を症状から

3

レベル

(1:異常乳,2:局所症状,3:全身症状)に分類し,

それぞれ乳汁の細菌学的検査に基づき治療する群(以 下検査治療群)と,従来の見込み治療を行う群(以下

empiric

治療群)にランダムに分けた。

いずれも家畜共済の病傷事故給付基準に沿った治療 を行い,最終治療後

14

日目以降に

PL

テストによっ て治癒判定した。各治療群と

3

レベルの治癒率をそれ

ぞれ

Fisher

の直接検定によって比較検討した。

3.成 績

285

頭のうち検査治療群は

144

頭(同定試験のみは

90

頭),empiric 治療群 は

141

頭であった。検査治療 群の治癒率は

empiric

治療群より有意に低く,乳房炎 症状が重篤なほど顕著であった。各治療群において乳 房炎レベル,発症日齢,発症分娩後日数と予後との関 連は認められなかった。

4.考 察

乳房炎治療における細菌学的検査は治癒率に影響を 及ぼさなかった。これは過去海外の複数の報告と一致 した。

その重要な要因として,菌種に応じた治療方法が現 在の病傷事故給付基準では設定しておらず,治療方針 の自由度が治癒率向上の妨げになっていることと,治 療終了の見極めが農家主導により行われているため,

完治する前に治療が終了し結果的に再発,慢性化する ことだと考える。

いずれにしても,現在行われている治療では十分に 検査結果が活かされているとは言えず,今後は検査結 果を薬剤の選択のみではなく,原因菌別治療期間の設 定根拠とするなど活用していきたい。

乳房炎発症初期での検査の励行と検査に基づいた治 療方針の策定と実施の徹底が,今後の乳房炎防除に重 要であると考える。

第 88 回麻布獣医学会 一般演題 4

乳牛の乳房炎治療における乳汁細菌学的検査の 有無と予後との関連

金子 宗平,中谷 啓二,市場 聖治,竹内 泰造,篠塚 康典 他

広島県農業共済組合連合会 乳房炎グループ研究会

参照

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