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昆虫幼虫の脳損傷と旋回運動について

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Academic year: 2021

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42 長崎大軍車重撃部理科研究報告第l既( 1951)

昆虫幼虫の脳損傷と旋回運動について

二宮 榮一

著者は墓に双題目9)及び直麹目1〇)成虫の中部前大隅(Median protocerebrum)の一方側の損傷 或は披壇が非損傷側‑の永久的なサーカス道動(Permanent circus movement)乃至時計運動 (Uhrzeigerbewegung, Clock‑hand movement)を行わしめ両もその旋回道動は軌弓削こ基く建光性 定位機制によるに非声して損傷夫自身に基因する強制連動(forced movement)なることを確め 得たが.本報告は昆虫幼虫に於ける此種政調運動の有無を桧すべく行った箕験の結果である。

實.諭材料及方法凡て野外Z)甘藍に自然発育せるモ1/シロテフ(Pieris rapac L.)の第五 令幼虫を用い.偶(cerebrum)の損傷手術には針先を用い.頭部中縫線と前頭三角板の頂鮎との 交鮎に近い右側或は左側D鮎より垂直に針先を刑入れて針先を軽く前後に動かすことによって 吊をiUした。柿r.'仙・。viVtV症¥o帥ト.なるU36;: r‑fWiUr.ト叫、川上e::>る・‑'‑ 'Ji‑iiりMi没滝ト に於て特X頭内部の滑化管や胸部を傷めぬように行ったが.手術・D反復は多量の出血を招き生 理「'鞠こも支障を来すと共に瞳の位是の移動Kよって不成功に終ることが多い故に損傷手術は 只・一回にして成功せる個体のみをデ‑タに採用したO供試個体数は295軌蜜験温度は,17‑

25C細轟I度は74‑9ヰ%サ%仙卜・:・bった。

貿厨結果偶D左Ef執れか.一方側を損傷した個体:i直ちに必ず体を非竃傷側‑轡曲 せLYj.・ji;:1こtKすか. ・諭;rこT̲rなして晶ll・.し. ‑'>¥L>鉦湖'̲)酎[l.<0て自制・J.こ明ri>I'MVサする。

川・ft l去.リ′II ( ¥:‑¥O{川.こ:吊tffcWえた刷≠主V.R U‑‑カ‑'>.邑抽**'.刊こ:il振tfl'Jえた州イこ は右旋サ‑カス運動を行い所謂永久的なす‑カス運動を行うのを見た。而して此のサ‑カス運 動か体形には2)Bあって候に之を(I)凶輪M (Ring‑type) (第1固A). (2)凶弧塑(Arc‑

type) (第1固B)と呼稿するならば,囲輪型は頭部が常に自己の腹端を追うが如く体全体が凪輪ヨ

第l J壬・IOTtlmtl掛川向、 第l囲A園的型B園弥型

をなして旋回し(第1固A,第2¥M¥)園弧型は仝体長が凶周の・一部の如く轡曲してサ‑カス馬の 如く旋回する形式(第1腐乱第2薗B, C)であって.共サーカス連動の牛劉ま前者の方が後者 の場合より小である。サ‑カス運動D進渚を追跡すると剖ま厳格なる意味で文字通寸分達わぬ 同・一半得を以て反復亀過することは出来ない。特.こ風弧埋・D運動D場合は一風間を描く毎に幾 I,ド/)声,iH h・トー̲lL'divJj‑1甲信;?i'l>しつつil!一二叫') 'こTろY>'mくに進行しつつ北、朗柁W!」すも の(第2周D)もある。透明な硝子板D裏から此運動を仰いで見るときは,虫体シま尾脚より順次 i‑Kj !/o甘\と昭去.).こ購i.‑MM 5:起し各日^iUよそiv二rpつC旋!>i)>!ij‑河曲しつつijij一進し作 蝣/」¥fcD増‑1u度成T=てく・*JとI']‑ザHviij b ̄は一時吋州変とMしてSflllj.こ仙i).その¥mから>Xo

(2)

昆虫幼虫の騰損傷と旋回蓮動について 、43、

全脚の運びが行われるからサーカス運動の圓周は少しづつ前方へすれが生じてくる。

A

,O

B

δ↑

D

φ

第2圃 サ・一カス蓮勤に於け う圓周のずれの攣化か順次に 示Lている。

A : 圓輪型のサPカス蓮動 B :圓弧型の代表的サPカ ス蓮動o C,D=圓孤型サP カス蓮動に於ける圓周のずれ 明瞭なるもの。E:圓周のず れ著しきサーカス蓮動o(以 上凡て實物大)矢印は前進旋 回方向。

蔭,

第3圖 圓弧型サーカス蓮動 の進路(實物大)太い線は幼 虫体か示す。

 今以上の運動の中、圓輪型の場合、サーカス運動の牛径を7、圓周即轡曲した虫体の長さをJ

      zとすれぱ仁一2万・又圓弧型の場合・運動の牛径をろ轡曲した虫体の長さを」,この体のなす

      」圓弧をα(弧度)で表わすならぱア=一の關係が成立する。今圓弧型サーカス運動をなす10        α

個体につきその足跡の描V・た圓及び運動中の任意の位置に於ける實休長(Z)及び二approximately       α  劣     α×180に求めた牛律(■)から弧度(α)を求め(第3岡)一『=.琢)即κ=  π  を用いて・こ の弧度の理論的中心角換算硫(誕)を算出し、之と圖形に於ける實測中心角(』)を求めて比較 した結果は第・2表の如く各個体ば略々圓を描きて旋回することが分り就中實験個体6,9,10 の如をはその好例である。尚以上の運動以上に共の損傷度の輕微な個体及第2圖Eの如くそ の轡曲度は低下し共運動も孚径のすれが著しくなつて幾つものノし一プを描いて一方側への旋回

(3)

44 蓮動を行うのを見た。

第2表  サーカス蓮動に於ける中心角(長さの軍位 胤)

個体番號 牛脛(ヅ) 虫体長(Z) 弧度(以) 中心角(劣)

理論値)

中心角(4)(實測値)

.瓢^ゴ/望

1 9 31 3.4 194 180 14.0

2 8 30 3.7 217.3 215 2.3

3 11 31 2.8 160.3 154 6.3

4 10 41 4.1 234.8 231 3.8

5 9.5 30 3.2 183.2 180 3.2

6 8 37 4.6 263.4 265 1.6

7 10 45 4.51 257.7 261 3.3

8 13 34 2.6 148.9 138 10.9

9 18 30 1.6 91.6 90 1.6

10 11 37 3.3 189.0 190 1.0

 以上の實験結果より左右敦れか一方側の脳を損傷した個体は必す非損傷側へ轡曲し而もその 方向へのみ一方的なサーカス蓮動を行うのは次の如き機制によるものと考えられる。尤も無手 術正常なる佃体は必す光の方へ直進し叉方直轄換をも行うことは、J.Lo由の走光性定位機制 に於ける筋張力説(Muscle tenslon theory)によつて幼虫の形態的相稻面は同時に生理的並に 動的相欝面であり、 同一時悶内に生成される光化學反慮物質は爾眼に於て相等しく從つて興奮

した脳中椹よりのインプルスは傳達せられて實行器たる筋肉の相稻…面の張力が均等になるから 虫は直進し又その張力の差は張力の大なる方への方向轄換を行うというPπincipleに從下えるが 本實験に於ける脳組織の損傷はその機能的均等が破られ、 手術側の脳の機能低下は支配下の筋 張力が蓑える結果非手術側の筋は自然一:力的に緊張し同側の名環節筋の緊張は全俸としてのそ の側への轡曲を招來する。即非損傷側へ轡曲した弧制姿勢を執り而も斯る弧制姿勢が持績せ られるのである。而してモンシ・テフ幼虫の歩行形式は1他O典型的鱗翅目幼虫と同様に先づ 尾脚を前方へ途り次で順次前斯の脚を順者りに前進移動させると同時に名体環節も前方へ逸ら れる。この時個,々に轡曲した各環節が、轡曲した全体として前方へ逸られる結果一方側へのサ ーヵス運動箏弧制されることになる。而して手術側の筋肉弛緩の度が高い程、体の轡曲度が高 度となるからそのmaXlmUmに於ては圓輪型の体形を以てminimUmのコースを通過する如く 歩み、 それより低度の弛綾の場合は轡曲度も低度となるが故に漸次牛径大なるサーカス蓮動即 圓弧型蓮動を行うようになるようであつて此種脳損傷に基因するサーカス蓮動の場合箪眼の存 在とは無關係に旋回運動を行うことは著者のバツタ、ハナアブの實験によつて明かである。

 街被實験個体の進路追跡の現實が其牛径に少しづつすれのあるのは嚴格なる意味に於て脳機 能の全面的逸晩ではない爲めに手術側の紳経中椹機能は多少は存在し得るから且又生物体なる

.が故に歩行運動中、体の轡曲度にはある限度内に於ける増減が可能であつて嚴格なる意味での 同一牛径保持が不可能なのであると考えられるQ

(4)

昆虫幼虫の隠損傷と旋回蓮動について 45

1八 2柘 5林 4中 5田 6加 7本 8二

9同

10同

麿

誠政(昭和5年)

秀臣(昭和11年)

  縣(昭和11年)

政周(昭和17年)

一二(昭和19年)

元 一(昭和19年)

市次郎(昭和23年)

榮 一(昭和26年)

 上 (同 上 )  上 (同 上 )

   参 考 丈 献

コバネイナゴに於けるReflexと其中福にりいて昆虫Vo1・4・聾o・1・

實駿赫脛學 思想と生理

彊賄筋トーヌス及疲螢の研究 祠i経繊維の生理學

生理學上 動物の趨性

ハナァブの反射と其ヰ福について、長崎大厚,犀藝厚.蟹理科研究報告第1蔑 PP.22_25

ハナアブの行動と前大畿との關係について同上PP・26−32 バツタの中部前大脳と旋回蓮動について同上PP・33−41

参照

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