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○ 学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日2017年10月25日(水)

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学 位 論 文 審 査 要 旨 公開審査日 2017 年 10 月 25 日(水)

報告番号:○甲 ・乙 第 1733 号 氏名: 松江 健太

論文審査

担当者 主査 教授 小西 真人 印

副査 教授 松岡 正明 印

副査 教授 伊藤 正裕 印

審査論文の題目: Dentate granule progenitor cell properties are rapidly altered soon after birth.

(海馬歯状回の顆粒細胞前駆細胞の性質は出生直後に変化する)

著 者: Kenta Matsue, Shiori Minakawa, Taichi Kashiwagi, Keiko Toda, Toru Sato, Seiji Shioda, Tatsunori Seki 掲載誌:Brain Structure and Function, in press(2017)

論文要旨:

海馬では、成体期になってもニューロンの新生が続いている。胎生期海馬の顆粒細胞前駆細胞は、グ リア線維性酸性タンパク質(GFAP)を発現しているが、脳型脂肪酸結合タンパク質(BLBP)は発現し ていない。一方、成体期の顆粒細胞前駆細胞はGFAPBLBPを両方発現しており、海馬では顆粒細胞 前駆細胞の性質が胎生期~成体期の間で変わることが示されている。本研究では、海馬におけるニュー ロン新生のメカニズムを解明するための最初のステップとして、胎生型の神経前駆細胞(GFAP+細胞)

がいつ成体型神経前駆細胞(GFAP+/BLBP+細胞)になるかを検討した。

マウスGfapプロモーター制御下で緑色蛍光タンパク質を発現するトランスジェニックマウス(mGfap -GFPマウス)を用い、胎生17日(E17)、生後0日、1日、6日、14日、2か月にmGfapGFPBLBPSox2NestinS100β の発現を免疫組織化学によって可視化し、共焦点レーザー走査顕微鏡で解析した。

胎生17 日~生後0日の海馬では、GFAP+細胞は多数分布していたが、mGfapGFPBLBPを両方発 現しているGFAP+/BLBP+細胞はほとんど認められなかった。GFAP+/BLBP+細胞は、生後1日から生後 14日に急激に増加し、生後2か月ではGFAP+細胞の2/3BLBP+を発現していた。GFAP+/BLBP+細胞 は、幹細胞マーカーであるSox2Nestinを発現していたが、アストロサイトマーカーのS100β は発現 していなかった。これらの結果は、海馬顆粒細胞前駆細胞の性質が出生直後に胎生型から成体型に急速 に変化することを示した。

審査過程:

1. GFAPの発現をmGfapGFPの抗体を使って検出した理由を説明することができた。

2. 蛍光強度からタンパク質の発現/非発現をどのように判定したか説明することができた。

3. BLBPNestinSox2などのいろいろな神経幹細胞マーカーの違いを述べることができた。

4. 胎生型幹細胞と成体型幹細胞の機能的差異について、またその生理的意義について、考えられる可 能性を述べることができた。

5. 胎生期にGFAPを発現していた幹細胞が、出生後にBLBPを発現するようになる生理的意義を考察 することができた。

6. ヒトで同様の現象が起こる可能性について、考察することができた。

価値判定:

本研究は、海馬における神経前駆細胞のマーカー発現を詳細に検討し、神経前駆細胞の性質が出生直 後に胎児型から成体型に急速に変わることを明らかにした。出生前後の神経細胞の変化およびその調節 の分子メカニズムを研究する上で重要な基礎となるもの、学位論文としての価値を認めた。

参照

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