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土壌水分恒数とその測定法に関する研究 II 圃場容水量について-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告

土壌水分恒数とその測定法に閲す−る研究

Ⅱ 圃場容水量について

松 田 松 二・山 田 窒 息

Ⅰま え が き 畑地かんがいを行なうに際して最も重要な事項は,かんがいの時期ならびにかんがい水量の決定であろう.しかし をがらこれらを決定する上での基準とをっている土壌水分恒数の定義とその測定法にはあいまいを点が多く,そ■のた めに適正なかんがいが行なわれていないという例も少なくない.特に近年は水の経済性がますます高■まってきでおり, そういった見地からの検討もなされねばなら凌いものと考えられる. 現在,畑地における土壌水分適正値の上限界としては,一・般に圃場容水虫(F・C)が用いられている・本来の定義 では,FりC,は「排水が良好な均一・を構造をもった土壌で,多鬼の降雨があった2∼3日後,水の下降移動の割合が 非常に小さくなったときの土壌水分畠」(1)であるが,この定義には「多義の」とか「非常に」とかいったあいまいか っ主観的な表現がをされており,その後これを定史的にとらえ.ようとする試みがなされているル 例えばRichaIds ら(2)はF..C.を不飽和透水係数の借がほぼゼロとなるときの水分盛と再定義している.又わが国においても岩田(8) が植物の蒸発散との開運の下にこれを説明し,竹中(4)は下層土との水分平衡によって定義するなど,実際に植生の ある圃場における見解が示されるに至っている. このようにF一C、に対する考え方には非常を進展がみられ,それ自体は高く評価されをければならないが,実際の 畑地かんがいにおいては最小容水虫を代用したり,24時間水分塵ヤpFlり8水分患を土壌水分の上限としている場合 が多くみられ,必ずしもこれらの諸研究が生かされているとは考えられない.又,定義されているFいC・の状態を得 るには,根群域全体を飽和させるほどの多義の給水が必要となるが,実際の畑地かんがいでこのような状態を得るこ とは適当ではなく,又現実性にも乏しいといわねばならをれ すなわち実際の畑地ではかんがいを行なってもFトC の状態まで戻らない現象がしばしばみられる.更にFいC…を作物生育上からみた場合,現在では一応作物の正常生育 に必要な土壌水分の上限とされているが,これが妥当であるか否かについても明らかでは覆い・ そこで,ここでは従来の定義ヤ見解の再整理を行ない,併せて実際の畑地かんがいに適したF小Cいはいかに決定す べきかについて考究する.なお,実証デ、−タは径4cm,高さ5cmxlO個(50cm)のアクリル樹脂円筒中に試料(標 準砂,フライアッシ.。.,砂壌土)を仮比重1.3∼1..5に均一・に詰めたものを供した室内実験と,香川大学農学部付属 傾斜地農場(砂壌土)における野外実験によって得られたものとを示す. ⅠⅠ実験の結果と考察 Ⅱ−1給水蓋による影響 F.Cの定義上まず第一・に問題となるの軋多鼠の降雨(給水)によっで劇旦土壌が飽和に近い状態にされること である.しかしながら実際の畑地かんがい等ではこのようを状態は得られにくく,又好ましい状態ともいえない・そ こで,どれほどの水蕊を給水すればFCuの状態が得られるのかについてまず検討を行をった・室内実験では,アク リル円筒中に風乾試料を詰め,そ・れに土壌金屑を飽和する水貴(A),円筒下端に自由水面を想定したときのpト水 分曲線に相当する水分遺(B),土壌金屑を最小容水芸ほする水量(C)を,湛水しをい租度の給水速度で試料上端より 加えた三種の状態をつくり,蒸発を防止した上で6∼48時間放置した彼の土壌水分分布を待た.それらのうら,24時 時後の測定結果を示すと図−1のとおりである. この図からわかるように,最小容水虫をFCにおきかえて用いると過小水分蓋とをる場合が多く,実用上適当で はをい.このことは最小容水温に相当するpF偲が標準砂で3い5,フライアッシ、ユで3い2,砂壌土では2‖1であり,−・ 般にいわれているF.CのpF催1−5∼2.0よりかなり大きを値を示したことからも理解できる・次に飽和の場合(A)

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第24巻第1号(1972) 59 10 偽 サ (cm) 体積水分率10(%) 20 30 40 50 図−124時間後の水分分布 とpIT水分\曲線相当の場合(B)との水分分布の差異は比較的小さく,土壌金屑を飽和させた場合には無効水盈が多く なることが示唆されている.すなわち,土壌水分の保留状態を示すと真一1のようにをり,(B)の保留率がほぼ90%で −・足となっているのに対して(A)では70%以下となる場合もみられる.従って定義における「多患の降雨」とは(B) に相当する程度かそれ以上の給水をさすものと解釈するのが安当であろう. 表−1(A)と(B)と の比較 Ⅱ−2 土壌水分分布の時間的変動 F。Cの定義上第二に問題となるのは,時間的な因子が入っていることである.これについて従来は,水の下降運 動が24時間程度で著しく小さくをるという経験的事実に基ずき,FいC.は24時間水分蒐でおきかえられていた.し かしながら実際の圃場における24時間水分是は作物の生育上からみた場合には水分過多となっている場合が少をく はない.又−・般にまだ排水の一㌧段階で土墟水分が平衡状態ではなく,ヒステリシス効果,タイムラグ等土壌水分測定 上の問題が生じるおそれもある。従って24時間水分蕊の適用の可■否を検討する必要性が生じてくる. ここでは−・般的傾向をみるために,室内実験において土壌全屑を飽和する水虫を給水した後の円筒内の試料の水分 変化を測定した.そのうち給水後6∼48時間の分布を示すと図−2のとおりである. この図から明らかなように,24時間水分孟はあくまで排水の−・段階として認識され,これがF・C・の定式と一徹す るためには,土壌の透水性その他の因子がある程度限定されることになろう.従ってR・Cいを得るに要する時間の決 定が必要となってくるが,実際には不飽和の浸潤,浸透とそれに続く排水を扱うことになり,難解であるので現状で

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標準砂

∵ヤ二二

フライアッシュ

▲警二、I

0 1 \′. 体積水分率 % く)−50cm 一㊤−30cm ㊦−20cm −a・10cm lト1cm ○一一0−℃一つ

612 24 48 612 24 48 612 24 48

時間 図−2 水分・分布の時間的変動 はある程度便宜的に取扱わざるをえをいであろう.例え.ば透水係数に着目した場合 r=呵/ゐ ここでTはF。Cになるのに要する時間(sec),Hは対象土屈の厚さ(Cm),kは透水係数(Cm/sec)であり,水頭勾 配を1とした場合に水が土層を通過するのに要する時間と一散する.あるいはインテークレートに着日した場合 r=100(1一花) ここで花は撥算浸人見か=C‘弗の指数である.従ってT(houT)はベーシッ クインチークレートを得るのに要する時 間の10倍に相当する. 表−2 インチークレートによる算出 地 区 名 井戸A(香 川) 井戸 B(香 川) 平塚A(神奈川) 平塚B(神奈川) 酒 田(山 形) 小見川(千 葉) 砂壌土 〝 〝 〝 砂 土 壌 土 3 5 8 3 0 0 9 只︶ 00 8 9 7 ∩Ⅵ ∩Ⅵ ▲n O O O 7 5 2 7 0 0 1 1 1 1 3

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61 第24巻第1号(1972) これらの式は理論的根拠がヤヤ薄弱ではあるが,図−2の結果や実際の畑地での状態をある程度説明でき,又FlC‖ を時間的に定数する場合には見ゃ花は重要な指標となるものと考え.られるので,一応考え方の目安として示したもの である.これを実際の畑地に適用した場合の例を表−2に示した. 次に図−2からもわかるように,F。Cの値は深さに対して均一・であるとは限らをいので,実際の畑地では根群域又 は表土層内の土壌水を連続体として扱い,土壌水の水理学的連続が成立している条件の下で解析をすすめるべきであ る.そ・の場合,境界条件の設定が最も重要かつ困難を問題となろう. Ⅱ「3 土壌水分のヒステリシス 土壌水分張力とそれに対応する土壌水分との間の関係において,湿潤過程と乾燥過程とでヒステリシスが生じるこ とは古くから知られていた.ヒステリシスに効果を及ぼす因子としては,インクビン効果,ぬれの履歴,封入空気等 が考えられている.近年ではYoungsら(5)がヒステリシスに及ぼす間隙中の空気の影響について解析をすすめてお り,特に浸透から排水へ移行する実際の過程への適用としてはPeck(6)によって封入空気の影響が顕著であることが 示されている.畑地かんがい時においても,浸潤(湿潤過程)から排水(乾燥過程)の段階を経てF・Cけが決定され るので,従来ただ単に損失水盈として総括的に取扱われていた給水丑と保留水量との関係も,ヒステリシス効果を考 慮することによってより質的に細分化することが可儲になるものと考える.−・例として今回婁内実験に用いた試料の ヒステリシス曲線を図一3に示した.

体積水分率10(%) 20

30 40 図−3 ヒステリシス曲線 この図からわかるように,フライアッシュでは水分張力50cm・H20以下で,又標準砂では20cm・H20以下では ヒステリシスをほとんど生じておらず,この間の水分変化の絶対値も小さいことから,−・般に限界負庄以下において はヒステリシスが無視できるものと考え.る.しかしをがら限界負庄以上ではヒステリシスが顕著であり,標準砂,砂 壌土共に体積水分率にして10%にも及ぶ差異を生じている.特に図−1と対比してみると,(A)と(B)との間の水 分分布の差が大きい試料は,いずれもヒステリシス効果の大きい試料であり,実際のかんがいにおける水経済上の見 地からも問題が大きい.いま,これを図−4のように模式的に表わして考究する. 1)土壌全体を飽和できる程度の充分な給水が行なわれた場合,湿潤曲線ACBから乾燥曲線BAに移り,完全な ヒステリシス曲線が措かれる. 2)不充分を給水の場合,湿潤曲線ACEからED又はEFを経て乾燥曲線FAに移る.

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水 分 張 力 体桃水分率 匪卜4 ヒステリシス模式図 実際の畑地では2)の場合が多く,1)の条件で決定されたFCの値Dを得ようとしてEまで給水しても,実際には Fの催しか得られなく怒るものと考えられる」・図−1において本来一徹すべきであった(A)と(B)とが−・致しなかっ た原因ヤ,完全な平衡状態が得られれば損失水温がゼロであるべき(B)にも10%程度の損失水史があった理由に,こ のヒステリシス効果が考えられる.そこで図−1と図−3とを対比させてみると表−3のようになる. 表−3 ヒ ス テ リ シ ス 効 果 100(R−トL)/(B)の給水盈 ヒステリシスを生じる要因のうち,(A),(B)共に上方から給水されているので,インクビン効果は考えられない. 従って主として残留空気と土粒子のぬれによる影響が現われていることになる.そしてこれは全ヒステリシスの10% 余りと在っており,実際のかんがいでもこの程度の債を見込めばよいのではなかろうか.−・般的に表わせば給水盈に 10∼20%の余裕をもたせておくことが適当であるものと考えられる.

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63 弟24巻第1号(1972) Ⅱ−4 植生の填でのF・C.

F.C−の定義がそのままあてはまる畑地は,裸地でしかも蒸発が防止されていなければならないが,この設定は非

現実的である.その意味では岩田(8)や竹中(4〉の研究には実際の畑地へのアブロー・チがみられるが,これらは主とし て水収支的な立場に立っており,土壌水分消費機構を加味したとらえ方は充分であるとはいえない・そこで実際の閻 場におけるF、C,の状態について,前記野外実験の甘橘園での測定結果に検討を加えてみた・なお土壌水分の測定は テンシオメータ法,電気抵抗感による間接的方法と,恐按採土法とを併用した・そのうち表層かん水が行なわれた代 表例(1970年7月30日)を図−5に,又深層かん水が行なわれた例(1971年8月5日)を図−6にそれぞれ示した・ 1..0 pF 3.0 200 図−5 表層かん水彼の水分分布

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香川大学農学部学術報告 1.0 pF 3nO 2・0 図−6 深層かん水後の水分分布 これらの図を対比すればわかるように,かん水の対象探さによって水分分布が異なる.すなわら,表層かん水の場 合にはかん水後ほぼ−・日で定義されたFClの状態となり,その後金屑消費型の土壌水分の消長をみるが,深層かん がいではかん水後3∼4日は表層のみの土壌水分が主として消費され,20cm以探の土層が定義上のF−C.の状態と なるのはかん水後4日である.一方,かん水後1∼4日の消費水虫を比較すると表−4のようになる. 表−4 かん水後の消費水泉

(給水鼠)】1日 後l2 日 後】3 日 後l4 日後

表層かん水 探屑かん水 14.8mm 24.8mm 6巾7mm 71.8mm 3.8mm 3.2mm 4.8mm 4.8mm 3.4mm 6.、4mm この表で明らかなように,かん水の対象探さが変ってもかん水彼の消費水虫にはそれほど大きな差はみられない. 従って植生の場においては蒸発散の大きさ,とりわけこれまで損失水蓑と考えられていた浸透時間中の蒸発散につい ても配慮しをければならないことがわかる. ⅠⅠⅠま と め 以上に論述した実験的結果から,畑地におけるF.C−を次のように考える. 1)従来の定義上あいまいであった供給水虫と平衡時間とを消去した上で,Veihmeyerら(1)の初期の考え方を生

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65 第24巻第1号(1972) かす−と,F.C.は Grad¢+Grad¢=0 の状態にあるものと考える.ここで¢は毛管ポテンシャル,¢は位高ポテンシャルである.このとき水理学的に連続 している土壌水の範囲を根群域あるいは表土屑と考えれば,根群域(表土屑)の下端をpFO もしくは限界負圧の面 とし,それに平衡するpF一水分曲線によってF・・Cを表わすことができる.その一例は図−4,5の破線で示した. 2)実際の畑地においては,F…Cを対象としてかん水を行なった場合でも土壌のヒステリシスと浸透中の蒸発散 によって再分布後の土壌水分はFけC・より少なくなる.このうちヒステリシスによる損失は一・般にかん水盈の10∼20 %と考えられる.又浸透中の蒸発散は有効水虫であるので,この分をかん水屋に加えてもよいものと考え.る. 参 考 文 献 (1)VEIHMEYER,F.J.etal…;伽‘・、J∼JJ花∼肌仇花gr…ぶ〃まJ Sciい(Washington),3,498−513(1927)い (2)RIC‡壬ARDS,LA.;7サα肌dいG巾払 33,53ト540 (1952).. (3)岩田進午;農土研,30−7,385−394(1963)・ (4)竹中 螢;S‖39,盛土諸費旨,106−108(1964). (5)YouNGS,E.G。,PECK,AJ.;SoilSci.,98,290−294 (1964). (5)PE(】K,A.J.;5品‖最.,1qO,舶−50(1965).

RATIONALDETERMINATIONOFSOMESOILMOISTURE CONSTANTS

II.OntheFieldCapaclty

MatsujiMATSUDAandNoriyoshiYAMADA

S11mmary

The丘eldcapacityhasplayedanimportantroleinirrlgationpractice”Butthe constanthas

notbeenyetdefinedsostrictlythattherehavebeenmanycaseslackingPrOPr1etylnirrlgation

practice

Inthispaper・)thedefinitionofthefieldcapacltyl…eいminimumwaterholding capacltylSPre−

Sentedastheresultsofbothlaboratoryandfieldexperiments

Theresultsobtainedaresummarizedasfbllows;

(1).Fromtheviewpointofchemicalpotential,theaeldcapacityisdescribedas Grad¢十

Grad¢=0,Where¢=CaPillaryPOtentialand¢=graVitationalpotential巾 Therefore,the

F,C“canbedeterminedfiOmCaPillarymoisturecurveprovidedthat the hydraulic conN

tinultyOfsoilmoistureexistswithintherootzoneandthatthe pF=O atthebottomof

thelayer.

(2).In the丘eld,theloss ofwateris caused by soilmoisture hysteresis and evaporation小

Therefbre,itisnecessaryfbrirrlgationplannlngtOeStimate the surpluswateratabout

20浄

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