瀬戸内地方に適合した畑地かんがいの基礎的研究 III 土壌水分変化の一般的特性について-香川大学学術情報リポジトリ

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瀬戸内地方に適合した畑地かケがいの基礎的研究

Ⅲ 土壌水分変化の−・般的特性について

松田松二 Lh田富良

108 Ⅰま え が き 畑地かんがいを合理的に行なうためには,まず,かんがい対象地区の土壌水分状態ならびにその変化を適確に・把握 することが不可欠である。土壌水分の消長に眉目した畑地かんがいの研究はこれまでも数多く行なわれており,(1)そ れらによって得られた知見が多くあるのにもかかわらず,必ずしも現地紅広く普及しているとほいいがたい0 いわゆ る農学と農業との一価化が望まれる所以である。又,これらの研究を行なう上で,土壌水分測定法の如何紅よる制限 要素(適用水分税関,外的因子の影響等)が乳え.られるにもかかわらず,「補正」という美名の下濫事実が曲げられた り無視されたりしているのが現状である。 ここではまず土壌水分の測定法を検討し,次に・その結果得られた土壌水分変化過程をもとに・して,一般的な水分消 費特性を考えてみた。試験地ほⅠ報(2)Ⅱ報(31と同じ香川大学農学部付属傾斜地農場の′ミカン閻である0 ‡Ⅰ土壌水分測定法について 現在,闘場紅おける土壌水分の測定に供されている代表的なものに,電気抵抗法とテンレオメータ法とがある0 本 研究紅おいてもこの両者を供試したので,まずこれらの適ノ静性紅ついて検討をカロえてみた。 1.電気抵抗法に.よる土壌水分の測定 この方法は竃極の入った多孔質吸水体を土中に.埋設しておき,電極間の抵抗を測定するここによって,あらかじめ求 めておい軽電気抵抗値と土壌水分との関係から間接的に・土壌水分億を算出する方法であり,1940年にBouYOUCOSら によって級じめ恵提唱されたといわれている。(4).東研究においては吸水体として石膏ブロックならびにガラスフィル タ−ブロックを20個喋試したので,この両者について検討を加えてみる。主として水分特性紅着目した場合,両者にほ 表−‡に示したような相違点がみ′られる。 この表からわかるよう紅,ガラスフィルタ −ブロックは石膏ブロックより低水分張力 (高土壌水分)の状態においても測定可能で あり,実用上の価値が商い。特紅・その可測範 囲は,畑地かんがい紅おける基準水分範囲 (F.C.∼C.M..E.)を充分網羅しており,単 独でも畑地における土壌水分値の把捉が可能 である。これに対して石膏ブロックは低水分 張力の状態での測定が不可能であり,実用上 の価値はや」劣るが,測定値のバラツキが小 さいことがわかる。従って電気抵抗法を実用 に供する場合に障害となっていたキャリブレ ーション過程をある程度簡易化できるものと 表エ1石膏ブロックとガラスフィルターの比較 空軍竺竺竺 一ノ_,【r 飽和抵抗値面 標準偏差グ爪 J∬′/N 40ノ.1CmH20 8.8cmH20 0.22 受感水分張力扇 ♂朗「 まグ泥/M 243.4cmH90 52…6cmH去0 0.22 pF2抵抗値て1 (3.5 Kn) 99小5Kn 23小8Ⅹn O.24 (0.03Kn) (0.01)

考えられる。すなわち,石瞥ブロックの場合に・は2∼3個の代表的ブロックのみをキャリプレ一トレておけば,その結

果を基準として全部を使用しても誤差ほさはど大きくはならないが,ガラスフィルターブロックでは個々にキャリプ

レ−卜しておく必要があろう。

以上の結果,畑地かんがい上単にかんがい時期(C・M・・E・)の判定にのみ供するのであれば石膏プロツクが適してい

るが,詳細かつ長期に亘る土壌水分状態の追跡はガラスフィルタ−ブロックによって行なわなければならないことが

わかる。

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第22巻第2号(L971) 109 このように同じ電気腰抗法で毯って−もその特性に差異を生ずるのは;主と心てブロックの物理他のよるところが大 であろう。そこで両者の物理性を列挙すると第2表のとおりである。 この表からわかるように,間隙率や透水係 数は重要な因子となっており,今後ブロック の特性を向上させてゆく為に.ほこの方面から の検討が必要であろう。又,土壌の水分特性 と顛似させる志味からは,両者のうらで物理 性が土塊のそれ紅近いものを選んで供試する のが合理的であろう。しかしながら電気抵抗 表−2 ブロックの物理性 ⊇ 石昏ブロック 】ガラスフィルタ− 真 也 垂 仮 比 重 間 隙 率 透 水 係 数 2.31 2㊥07 10ル4% 1.7×10 ̄5cm/SeC 2.77 1.25 54..9% 2.0×10 ̄6cm/SeC 法においては,温度,塩類,ヒステリシス等 外的因子の影響も大きく,これらを完全に除くことは事実上不可能であるのモ,そういった見地からは,むしろ適用 範囲を適確にし,それ紅忠実な使用を行なうことが重要であるものと考えらわる。 2.テンレオメー・タ法による測定 この方法は土壌の吸水カを圧力に.換辞して土壌水分張力を求め,吸引法や遠心法などで求めたpF一水分曲線より土 壌水分値を得る方法であり,1921年ⅩoRNEFFに・よって.考案せらかたといわれている。(4)可測土塊水分範囲はpFo∼2・7 程度であり,畑地かんがい上の基準水分範囲(F.C.∼C.M.E・・)の大部分を把握すること・ができる。本研究においてほ 圧力換算部分の形式がプルドン式圧力計のもの(寺田式)とマノメ一夕式圧力計のもの(池田式)とを供試したの で,この両者に.ついて検討を加えてみた。そ・の鵜果は表−3紅示すとおりである。 この表か らわかるように,マノメータ式は 最小目盛が小さく,より栢密な測定を行ない うるが,構造がや1復姓であり,維持管理上 煩雑な点が多い。今回の測定にお沌、てもかな りの低pF億時での気泡混入,指示値の温度 変化なとがみられ フルドン式と比べて.多く の補正を要した。 表−3 テンレオメ一夕−の比較 プルドン式 F マノメータ式  ̄【▼ ̄】■帽 ̄ ̄1【

1㌻「忘盲

U字管 2mmHg l.45CC/SeC 10mmHg O.57cc/SeC 最 小 目 盛 透水性(50mmHg) 又,一般的な特性として.,測定限界がpF2・7∼2“8であることから,表層付近に・おいてほ土壌水分の経日変化が測定 不可能となる場合が少なくない。従って後述するように畑地においては20cm以殊における測定紅供すべきものではな かろうか。 以上のように,精密測定にはマノメ・一夕式のものを,又かんがい時期決定の簡便化にはプルドン式のものを,そか ぞれ供試するのが合理的であるものと考えられる0 ⅠⅠⅠ土壌水分消費型について ここではⅡで得られた結果をも加味した上で,傾斜地の土壌水分消費についての考察を行なう。土壌水分測定の位 置ほテラス山側,谷側の2ケ備に設け,夫々鱒さ10,20,30,40,50cmについて儲記テ1/レオメ一夕と電気抵抗法に ょり土壌水分値を算出した。測定の正確を期する為にテンレオメ一夕の適用範囲ほpF2・7以下,電気抵抗法(主とし てガラスフィルダーブロック)はpF2,0以上とし,pF2・0∼2り7の範囲紅ついては両者の平均値をとった。又,温度勾 配の影響を除去するために,あらかじめサ− ミスタ温度計に.よって地温の測定を行ない, その結果勾配の最も′トさかった年前9時前後 に水分測定を行なうように.した。参考までに 6月1日∼8月20日の9時現在の地温より得 られたデータを表−4に示したら 以上のよう紅して6月1日云8月20電]の各 深き辱め土壌水分変化が把握できた。ここ.で はそのうち特に果樹の生育上重要な時期でも あり,かつカンパツが起りやすい時期でもあ 表−4 地 温 の 変 化

最 岡 l 最 低 】 平

均 25.40C 25.60C 25巾5◇C 24.90C 24小00C l。70C 19.lOC 20.0◇C 20.40C 20.00C 19.20C On60C 30.20C 30.30C 30.30C 29こ90C 28.80C 2..80C 10c m 20c m 3 0c m 40c m 50ぐm 較 差

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10 1 る7月15日∼8月7日の間の土壌水分変化を図−1(テラス谷側),図−2(テラス山側)に示した。 25 27 29 318/1 3 5 7 7/15 17 19 Z1 23 図−1 テラス谷側の土塊水分変化 19 Z1 23 Z5 :ま7 29 318/1 図−2 テラス山側の土塊水分変化 3 5 7 7/15 17 これらの両図からわかるように,テラス谷側と山側とではその土壌水分特性に・著しい相追点がみられる。これはⅡ 報で論述した傾斜地土壌の不均一・性とも関連をもつ問題であるので,Ⅳ報で詳細に検討を加えることに・する。つぎ 紅,生育期の変化に伴い,土壌水分消費形態把著しい差異を生じていることがわかる。これを砲括的にみる為に,Ⅰ 期(7月17日∼20日)Ⅱ期(7月27日∼30日)Ⅲ期(7月31日∼8月3日)Ⅳ期(8月4日∼7日)の4段階に分け て夫々の消背型をみると図−3に示したとおりである。

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第22巻第2号(1971) 111 図「3年・よって,夫々の時期における蒸発散の影響 を顕著に.為ることができる。すなわち梅雨あけ後間も ないⅠ期には表層(20仇以浅)の土.壌水分のみが消費 され,30c鵜以深の土壌水分ほはとんど消費さかていな いか,もしくほ下方,横方,上方からの補給に.より見 かけ上土壌水分の減少が起っていない状態に.あった。 ところが表層の土壌水分がpF3.0前後となったⅡ期 に.は,主として下層の土壌水分が消費され しかも消 費水量の絶対値は.Ⅰ期に比べてそれはど減少して.はい ないことがわかる。こういった傾向ほ文献(1)でも紹介 されており,かなり−・般性をもつものと考えられる。 又,同様な傾向はⅠ期とⅦ期,Ⅱ期とⅣ期とを対応さ せた場合のⅢ期とⅣ期とめ闇にもみられるが,ここで ほ更にⅣ期に.おける土壌水分の均一イヒに卜者目してみた い。すなわちⅣ期には深さに.よる土壌水分の絶対値な らびに.消費水盛の差が非常紅小さくなっており,土壌 水分ポテンシャルほ勾配」・定でほとんど平衡状態に・近 くなっ七いるのが見出されるふ こういった現象は水稲 Ⅰ期 】Ⅰ期

モ且

Ill期 Ⅵ 期 の畑地栽培に.おいても見出さかており,(∂〉表層かんが 図−3 土壌水分消費型 い(少水量多回数かんがい)が行なわれた陵の特徴的 現象ではなかろうか。この現象の要因と考えられる事柄を列挙しでみ.ると,以下妃示すとおりである。 1.表層かんがいに.よって土壌水分の均一イヒがなされたこと。 2.下層土壌水分の減少によって見かけ上の水分平衡(Ⅰ期の状態)がなくなったこ.と。 3.細根の伸展と土壌表面マルチの増加(蒸発の減少)の為,深さ毎の水分消費塵が均一イヒされたこと。 これらの事柄から,畑地かんがいに.おいてかんがい水螢,強皮等を決定するに.は,ただ撃に作物の消費水盛を得る

だけでは不充分であることが考えられる。すなわち梅雨あけ後で下層土壌水分が比較的潤沢である時期に・は表層かん

がいが適当であることが明らかであり,又,かん水後の土壌水分均一イヒを考え.ると,2回目以後のかんがいはより深 層を対象としたものであることが必要であろう。 ⅠⅤ む す び 既に論述したように,畑地かんがいを合理的把・行なう為に・はかんがい時期,水盈の適正化が第一・把考えられなけれ ほならない。そのうちまずかんがい時期紅ついて考えてみると,従来は土壌水分をできるだけ正確紅測定し,作物の 生育との関連からかんがい時期を決定してきた。そういった意味からはⅡで明らかなよう紅ガラスフィルタ−ブロッ クを用いた電気抵抗法,マノメータ式テンレオメ一夕は非常に有用な指標となるであろう。しかしながらこれらにほ 本質的に.適用限界があり,温度,塩類等の土壌水分以外の因子によって:も多大な影響を受け,これが測定誤差の原因 ともなっている。更紀聞題となるのは,土壌水分そのものが作物生育上の−・因子紅すぎないというととである。すな わち,作物の水分生理こそ畑地かんがい上の最大の基準となるぺきであろう。例えば膨圧であるとか,導管を通過す る水盈とかいったものこそ,畑地かんがいを行なう上で其の基準となるぺきものではなかろうか。又,Ⅲで得られた 結果は,生育時期の如何による吸水特性や自己マルチ現象とも関連して,作物生理の側面からの考究が必要なことを 示唆しているとも考えられるので,今後この方面からの検討も併せて行なって−ゆきたいと考えている。 参 考 文 献 (1)たとえば 富士岡義一・,海田能宏,中川泰男:ミカン園散水カンガイの研究Ⅰ∼Ⅴ,戯土論集271−32(1969) (2)上原勝樹,松田松ニ,山田宣良:瀬戸内地方に・適合した畑地かんがいの基礎的研究,Ⅰ香大農学報20(2)180− 183(1969) r3)上原勝樹,松田松ニ,山田宣良:瀬戸内他方に適合した焔地かんがいの基礎的研究,Ⅱ番犬農学報2侶2)184−187 (4)農業技術協会:続作物試験法 (5J山田宣良:蝿地かんがい基準の合理化に関する研究,卒業論文(1966)

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FUNDAMENTAL STUbIES ON THE RATIONALIRRIGATION FOR

THE DISTRIcT ALONG THEINLAND SEA OFJAPAN

III.Generalcharacteristics of consumptive soilmoisture

MatsujiMATSUI)A and NoriyoshiYAMADA

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SummaIy

Though there are many reports about the soilmoistuIe Characteristics of theirrigated field,it seems

insufficient to apply these results to practicalwork. Therefore,this paper refers to the general Characteristicsof the m)isture m号ter(tensiom3ter methods and electricalmethods)and consumptive

SOilmoistuIe.The results provedin these researches aIe;

1.As the object$forinvestigative use,tenSiometeImethod with manometer and electricalresistance method with glassfilter block are usefulmethods.

2.Before the f王rstirrigation supplied,SOilmoisturein the surfacelayer(≦20cm)rapidly decreased to C.M.E.in severaldays.But the consumptive moisture waslittlein sublayeIS.

3.After severaltimes ofir工igation supplied,Vertical pIOfile 扉 soilmoistureis to be uniform. Therefore,deeplrrigation seems more usefulin this stage.

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参照

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