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琉球パイナップル畑土壌の研究 V 石垣市畑土壌の交換酸性と加水酸性-香川大学学術情報リポジトリ

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琉球パイ ナ ップル畑土壌の研究 Ⅴ 石垣市畑土壌の交換酸性と加水酸性

玉 置 鷹 彦,梅 田

裕 前報(3バにおいて琉球・八重LLい石垣市の観音崎,湧川,崎軋屋良部,17−ネー・,元名蔵,白水,窪田,大 供9地区のパイン畑現地調査の結果について報告したが,本報においてはこれらの現地調査の際採取した土壌に つき交換酸性と加水酸性を測定した結果について報告する.なお土壌分析にあたり西村英機君の協力を得たこと を感謝する… Ⅰ試料の採取と調製 試料は現地調査を施行した地点において−,1963年2−3月現地調査施行の際採取した特記するもの以外は動 力耕起された土壌を第1屑とし,その下屑に位置する未耕起土壌を第2層として試料を採取した.これらの土壌 は風乾後2mmのふるいでふるいわけ,その風乾細土を供試したぃ Ⅱ 実験方法と実験結果 実験方法に関し交換酸性は1規定KCl液を使用する大工原民法により測定し,3ylの値を求めた.また加水酸 性は1規定CaAc液を用い大工原氏法同様に処理し,3.5ylの値を求めた. 得られた結果に閲し,第1屑土壌の交換酸度と加水酸度を第1真に,第2層土壌のそれらについて第2表にし めす. Ⅲ 考 察 パインは好酸性作物に属し土壌の酸性反応にたいしては著しい抵抗性をもっている.Guinea(8)においては pH約4の強酸性土壌ではじめて石灰の施用がパインの生産に好影響を与えることが認められている.また渡 辺(9)は水耕栽培においてパイン根の生育とpHの関係を試験した結果pH45−5・2が段通であり,p王【ま4では 根毛の発育が不良で,pH6では根毛が短かく密生することを認めているさらに氏はパイン畑土填ではpH 4.0−65でパインの生育は良好であるが,排水が著しく点好な場合にはpH67程度までは寿が認められないと のべているこのようにパイン畑土墳の酸性反応とパインとの関係はこれまでpHに関して調査されたものが多 いしかしpHのほか潜酸性殊に交換酸性の多少は土壌脱塩基作用に関連してパインにたいする凝分の供給,特 にその葉ざや根や葉ざやの益分吸収機能が完備する以前の,すなわち植付後間もないパインの初期の生育にたい する嚢分供給の面で密接な関係をもつもののように思推されるまたパインは燐酸要求度の弱い作物であること より,琉球におけるパイン肥料はこれまで窒素,燐酸,カリに関して燐酸是最少の極端な谷塑配合肥料が使用され ている.しかし亜熱帯に位滞し土壌はラテライト的風化作用をうけることの著しい琉球においては潜酸性の起因 となる土壌中のFe,Alにより施肥された燐酸が著しく固定されるであろうことば前報(8 ̄7)におけるpH(H20) 倍とpH(Kql)値の差の著しいすなわち10以上のpH差をもつ土壌が多いことから想像に難くない.このこと ばパイン肥料の燐酸は現地の生産関係者たちの間で窒素,カリほど関心がもたれていないことにたいして大きな 疑問を投げているもののように思考されるしたがって本報においては潜酸性のうち交換酸性を主とし,あわせ て加水酸性について考察を進めたい“また調査したパイン畑土壌は大部分第1屑土壌のみがパイン根の発展の場 となっていることより,おもに第1屑土壌について以下に記述する. 第1表より観音崎地区に閲し試料9点の交換酸度は最少06(試料No3),放多22・3(試料No9)の催をし めしている試料No.3を得た畑はこれまで台風や冬季の強風によりしお風とともに風化サンゴ礁細片よりなる

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第16巻 第2号(1965) 131 第1表 第1層土壌の交換酸度と加水酸度

地区名凧。㌣l交換酸度l加水酸度

地区名室㌔。㌣壬交換酸度i加水酸度

〔註コ 試料Noの記戦順は前報(a,4)にしたがった(以下同じ) 海砂がこれらの畑面にしばしば吹きつけられ,この海水の微細な飛沫や海砂が植付後間もない若いパイン株の葉 ざや部にたまることによりパイン株の腐敗,枯死が著しいことが認められている.しかし試料No1を待た畑は これに近接して−いるが′ヾインの生育は試料No3畑よりはるかに良好であることから,しお風や海砂以外にパイ ンの生育を支配する要因が存在するもののように思考される小 これらの畑は琉球石灰岩を基盤とする石英粗面岩 系(現地では石英岩と称している)の土壌よりできているが土層ほ浅い琉球石灰岩はサンゴ石灰岩ともいわれ 既報(3)のように地上部の形状に起伏が多いと同様に地下の構造もその形状が複雑で,各所に大小無数の自然洞窟 があって地水の流亡を助け,あるいは湧水が現われることが知られている(り.したがってこの試料No・3の畑は 地下にある琉球石灰岩の隆起部上に位置する畑として基盤の影響を著しくうけていることが思推される.すなわ ちこのパイン畑は動力開墾によって造成されたものであり,開墾に際し基盤が削りとられて第1層に混入し,その 主成分であるCaCO$により土壌酸性が中和されたもののように思考されるこのことば第1屑の交換酸度が0巾6 であることに比較して第2表にしめす第2屑(試料No・4)の交換酸度は0・3であることよりも推察に灘くない. パインは土壌中のCaが多虞の場合は生育を妨げられることば衆知のところである故,この試料No3畑のパイ

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第2表 第2層土壌の交換酸度と加水酸度 〔註〕()内は第3屑土壌の数倍をしめす ンの生育障害はこの畑にふきつける強いしお風とともに地下にある基盤の琉球石灰岩に含まれているCaCOるの 影響が著しく作用しているものと判定される試料No“201畑もこれに類似するパイン作不良畑であるが,この 畑においては風化サンゴ礁細片の海砂や海草(おもにアオサ)を過去において客入しているい したがってこれら 客入物料殊に海砂のCaCO3の影響によるものであろうことば第1層の交換酸度より第2真にしめす第2層(試 料Nol202)のそれがより多いことから思推されるところである.試料No5畑に関する過去の来歴は不明であ るが,パイン作はやや不良なこと,第1層の交換酸度がより少ないこと,第2層(試料No‖6)のそれが第1層 のそれより,より多いことなどより試料Noけ201畑同様過去において海砂,海草を客入したことがあるのではな かろうかと思考される.試料No9(第2屑試料No・10)畑は更新前のパイン作は良好で,更新後に若干生産低 下がみとめられるというが,その交換酸度は第1,2層とも20以上の値をしめして著しい.既報(3)のpH差は 0・8でこの地区の試料中萩高値をしめしている試料No・11(第2層試料No12)とNo13(第2層試料No.14) の両畑はともに石英粗面岩系土壌であり,第1層の土層も2うcm内外で比較的深く,琉球石灰岩や海砂,海草の 影響もうけていないところの酸性極少の土壌である

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第16巻 第2号(1965) 133 湧川地区に閲し試料7点の交換酸度は最少11.5(試料No21),最多 74.9(試料No,.17)の借をしめし, 30・0内外の値をもつ試料が全試料数の半ば以上である.また本地区のパイン畑は全部更新畑であり,既報(a)の pH差は試料No・15畑を除き12−1.4と1、0以上の値をもっている試料No“17(第2層試料No18)畑は砂 岩を基盤とする壌土であり,その交換酸度は額著であるり 八重山諸島における砂岩は第3紀層に由来するものが 分布している,また第3紀屑砂岩土壌は著しい酸性をしめすことが知られている(9)のでこの畑の土壌もこの種の ものに属するものであろうことが思推されるまたこの畑の土壌は乾燥により固結することが知られており, パイン作ほ不良であるしたがってその原因が土壌の交換酸度の額著なことあるいほ理学性の不良なことに密接 な関連性をもっているであろうことば思推されるが,その詳細については今後の調査にまたねばならぬ‖ 試料 NoL19(第2屑試料No20)畑のパイン作は優良であるが,交換酸度ほ著しい。説作立毛観察よりこの程皮の交 換酸性はパイン作に密接な影響を直接的にもたぬもののように思推される試料Nol21(第2屈試料No・22)畑 は琉球石灰岩上の近世滞積物土壌で,交換酸度は少ない.第1層の交換酸度の値が11‥5であるのにたいし,第2 衰にしめす第2層のそれが18と極めて少ないことば,第2屑が基盤の琉球石灰岩の影響を著しくうけているこ とが認められる.また第l層の土屑ほ25cmで比較的厚いが基盤のCaCO8による影響は徐々に現われつつあり, 現作パインの生育ほ試料No19畑に比較してかなり不良である“試料No・23(第2屑試料No・24)畑の交換酸 度も少ないが,この畑の土壌はけい岩土壌でパイン栽培の第l条件である通気,通水に関する理学性良好な状態 を具備する優良畑である‖ 試料No.203(第2屑試料No204)畑の交換酸度は著しいが硯作パインの生育は良 好である試料No20・5(第2屑試料No206)畑は1962年パインのシングサレ病が多発したところであるが, 第1層の交換酸度の値は試料Noい203畑に近似している, 崎枝地区に閲し試料7点の交換酸度は最少06(試料No25),最多332(試料Noい29)の偲をしめし,交換 酸度10以_との値をもつ試料No27,29,31の3畑は更新畑である試料No25(第2屑試料No.26)畑は道路 に使用した風化サンゴ微細膚よりなる海砂が豪雨により流入し,パイン作は不毛化した畑である1∴第l,2屑土 壌の交換酸度,加水酸度は極めて少なく,土壌は海砂のもつCaCO3により強く影響をうけていることが知られ る 試料Noり33(第2層試料No・34)畑と試料No.35(第2層試料No36)畑とは第1層の交換酸度は3‖0台 をしめしともに近似した値をもっているが,第2層のそれほ前者2リ4にたいし後者は0…7で著しく低い.すなわ ち試料No33畑は古生紀石灰岩上の安山岩・崩概土でパインの生育良好な畑であるが,試料No・35畑は琉球石灰 岩上の安山岩崩積土で,土壌中にほ風化サツゴ礁細片が混在していることが認められ,基盤の琉球石灰岩の影響 をうけてパイン作は不良である試料No37(第2層試料No・38)畑も琉球石灰岩を基盤とする安LLl岩崩概土 よりなりその交換酸度は極めて少ないが,この畑の土壌は風化サンゴ礁細肝を混在するもののこれが強く風化を うけており,原形が著しく変質しているものが大部分である,このことばこれまでのべた風化サンゴ礁細片■(海 砂)を混入した畑と異なるところで,したがって現作パインにはこれによる善作用が認められない 屋良部地区に閲し試料No39(第2層試料No・40)畑,試料Nol41(第2屑試料No・42)畑ともに交換酸度 ほ極めて少ないこれらの畑はともに花崗岩土を混入する結晶片岩土で土屑ば深く,通気,通水などの理学性息 好なパイン作優良な畑である フーネーー・地区に閲し試料8点の交換酸度は最少06(試料No53),最多453(試料No43)の値をしめして いる.試料No49(第2屑試料No50)畑ば安山告を基盤とし,土壌殊に第1屑土壌は石英粗面岩を混入して いる第1屑の交換酸度が第2層のそれに比較して著しく少ないことばこの石英粗面岩土に由来する租粒が第1 層により多く含まれていることによるものであろうこの畑の′ヾイン作は良好である“試料No・51(第2層試料 No52)畑は安山岩崩積土であり,交換酸度,加水酸度とも試料No49畑より著しいけ この畑は1962年花障病 が多発している.試料Noい43(第2層試料No44)畑,試料No45(第2層試料No・46)畑,試料No・4J7(第 2層試料No48)畑の3畑はともに花崗岩,安山岩の崩積土畑であるまた試料No45畑のパイン作は良好で あるが,試料No43,47の両畑は株が爵化して生育が不良である.第1屑の交換酸度は試料No.45畑が33.8で 汲も少なく,試料No・43,4、7の両畑のそれほともに40台をしめし,より多い借である‥ この3畑はともに更新 畑であるが,一・般にパイン畑は更新後その生産が低下することが認められており,その原因のひとつとして土壌 交換酸性の変化が密接な関係をもつもののようにこれら3畑の交換酸度の値より思推されるそしてこのことば 交換酸性それ自体の直接的影響のほか土壌の脱塩基作用の進行による間接的影響をみのがすことができぬであろ う.試料No53(第2層試料No154),試料No55(第2層試料No56)および試料No”57(第2層試料Nol58)

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はパイン畑造成予定の未開整地(原野)であり,第1層の交換酸度ば少あるいは極めて少である.しかしこれら はパイン畑造成後ほ第2屈の影響をうけるものと思推され,このことは第2層土壌の交換酸度が第1層土壌のそ れより著しい試料No515,57土壌においてより強く影響されることであろう. 元名蔵地区に閲し試料6点の交換酸度は最少18(試料No64),最多2317(試料No74)の値をしめしてい るこの地区では試料No74(第2屑試料No・75)を除く他の試料はパイン畑としての使用を予定し開墾中の 土地より採取したものである.したがってこれらの土壌についてほパイン畑として造成完7彼ばその交換酸性, 加水酸性に関しても変化のあることが思推される.試料No59(第2層試料No60,第3屑試料No61)はこ れまで琉球農業試験場原種圃水田として使用してきた階段水田で,1963年動力開墾してパインを新根する予定で ある.交換酸度の値は第ユ,2,3層で大差がないが,加水酸度は第1層に多く,第2,3層と深部になるほど減 少している.第1,2層がパイン畑造成後にはその第1層となり,現在の第3層は第2屑を造成するものであろ うことが現地調査の際の土層の厚さから思推されるので,これらの酸性の変化はパイン畑造成直後においては現 在の倦を反映するものと思考する試料No62(第2層試料Nol63),試料No64(第2層試料No.65)はと もに古生層責岩・系土壌を主体とし,これに安山宕土,花崗岩土がこれらの岩石の噴出によって混入している土壌 で,第1層の交換酸度は極めて少ないしかしこの交換酸性は既述の琉球石灰岩の影響をうけている土壌のそれ とは同じ傾向のものでないことば,これらの土壌の第2層の交換酸度,加水酸度が第1屑のそれらに比較して著 しいことからも理解されるところである.試料No66はこの地区の試料No59の土地同様傾斜地に位置する旧 水田であるが,その表土は他へもち出されて利用され,現在の第l層は水稲を栽培していた当時の下層土に相当 する 土壌は貢岩系であるトまた交換酸度,加水酸度の数値は第2表にしめす第2層試料No60のそれらに近似 している試料No67(第2層試料No68,第3層試料No69)を採取した土地ほ試料No.62,64を得た土地 同様LLl林を伐採後山焼した傾斜地であり第1層の交換酸度,加水酸度の値は試料No62,64同様極めて少ない、 しかし第2層以下の土壌のそれらの値は試料No・62,64の第2屑のそれらに比較してより多い値をもつことはこ の土壌は母岩である粘板岩,貢二岩に由来し土性がより埴質であることによるものであろう,試料No71(第2層 試料No7・5)は本地区唯一・のパイン作付畑で更新3作目であるが,パイン作は異常を認めぬ優良生産を維持して いる畑である土壌は古生妃石灰岩を基盤とする安山岩崩衛士で,砂棟質の通気性,通水性の良好な土壌である 交換酸度は第1層23」7,第2層371,また加水酸度ほ第1層639,第2層554の数倍をもち,かなり著しい酸 性をしめしているまたそのpHは既報(4)のようにpH(H20)第1屑56,第2層54,pfi(KCi)第1層」5・2, 第2層4−0の数値でpH差は第1,2層とも10以上であるこのようにこの畑の土壌の酸性は比較的著しいが その理学性殊に通矧軋 通水性の良好なことが優良なパイン畑を造成している最大要因のように思考される. 白水地区に関し試料8点の交換酸度は最少12(試料No82,84),最多274(試如No180)の数値をしめして いる本地区もまた前記元名蔵地区同様パイン未作付地が多く試料No86(第2屑試料No・87)を採取した畑 以外はこれに属している.試料NoL70(第2層試料No71)は元名蔵地区試料No62,64同様貢岩系土壌の傾 斜地より採取したもので,その交換酸度,加水酸度は試料No62,64と同様に第1層に少なく,第2層に著しく 多い傾向をしめしている.試料No76(第2層試料No・77)ほ安山岩土に花崗岩土を混入しており,上記貢岩 系土壌の試料より酸性は著しい 試料No78(第2層試料No79)ば古生層硬砂岩土を主とし黄岩土が混入して おり,その交換酸度は元名蔵地区試料No62,64あるいは本地区試料No∴70と同様の傾向をもち第1層ほ極め て少ない試料No・80(第2屑試料No81)ほ試料No76に類似する安LU岩土であるが試料No・76と興り花 崗岩土を混入していない√′ 第1屈の交換酸度は第2屑のそれより著しいことば表層と ̄F個の土壌の風化作用をう けることの相違が密接な関係をもつもののように思推される 試料No82(第2層試料No83)と試料No・8ヰ (第2層試料No85)ばともにけい岩系土壌を混入する安山岩土で第1屑の交換酸度ほともに鰯めて少ない.第 2表にしめした第2層土壌の交換酸度が試料No83に比較して試料No85において著しく少ないことはこの土 壌がより多くのけい岩系土壌を混入していることによるものであろう、試料No86(第2層試料No・8ノ7)は本 地区唯一・のパイン作付畑土壊で,泥岩質貢岩土の更新畑である.そして畑更新後もパイン作は良好で生産の低下 が認められぬ優良畑である.交換酸度は第1,2屑とも10以下の数倍をしめし極めて少ない.このことばその土 壌が泥岩質であり,試料No」‘78同様水成作用をうけた質の密な岩石の風化生成物であることと土性が砂質で通 気性,通水性に関する理学性が良好なことによるものではなかろうかと思考する 冨田地区に閲し試料6点の交換酸度は放少43(試料No98),最多24。9(試料No88)の倍をしめしている.

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第16巻 第2号(1965) 135 本地区の試料を採取した畑はいずれも更新畑である小 試料Noハ88(第2層試料No。89),試料No。94(第2層試 料Noい9・5)はともに安山岩土を混入する花崗岩土で交換酸度の催は試料No,88土壌の方が試料Noい94土壌より より多い試料No88を採取した畑は ̄F■層の排水が不良のため停滞水を生ずる部分のパインは黄化して生育不 良である.試料No・94を採取した畑も同様の傾向をもっているが,その程度ほ試料No・88畑のほど著しくな い試料No90(第2層試料No91)の交換酸度は第1,2眉間に大差がない.この畑は隣接する道路に使用し た風化サンゴ礁細片(海砂)が豪雨により流入してその部分のパインを不毛にしているが,供試土壌はこの部分 をさけて採取したものであるしかしなお若干その影響をもつらしく交換酸度は第1,2層とも少ない.試料 Noけ92(第2屑試料No93)ほ粘板岩,貢岩などの風化生成物を主とする古生層系統の土壌で花崗岩,安山岩の 風化物もみいだされるのでこれらの土壌も混入している.交換酸度は第1,2層とも著しい∴試料No96(第2 層試料No.97)は花崗岩土であるが交換酸度,加水酸度の値は第1層ほ試料No・88に近似して著しく,第2表 にしめす第2屑のそれらもほぼ同様の傾向をもっている.試料No・98(第2層試料Nol99)は安山岩土でその 交換酸度は極めて少ない値をもち,第2表にしめす第2層のそれも同様の傾向であるい このことはこの畑の第2 層が排水良好であることともに現作パインは作付4年目でその作柄はなお良好であることに密接な関係をもつも ののように思考される. 大俣地区に関し試料7点の交換酸度は磁少0・6(試料No108),最多3110(試料No100)の値をしめしてい る小 これらの試料中パイン未作付畑である試料No・195を除く他の畑はいずれも更新畑である試料Nol100 (第2屑試料No」ユ0りを待た畑は国頭礫屑土を主体とし下層は安山岩土も混えているい 第1層の交換酸度は第2 表にしめす第2層のそれに比較して著しい試料No102(第2層試料No103)も国頭礫屑土に.安山岩土と粘 板岩土を混入している、国頭礫層土の土壌に占めている割合が試料No100より少ない・第1層の交換敢度は少な く,第2表にしめす第2層のそれとの差は試料No・100のくらい著しくないこの試料No・100および試料No・ 102を得た畑は1962年より1963年にわたり冬季にパインのシングサレ病が激発したところであるり 試料No‖104 (第2層試料No・105)は泥岩土,砂岩土が混入している花崗岩土で,その交換酸度は試料No・100と同程度に 著しい.試料No‖106(第2層試料No・107)ほ花崗岩土と安山岩土がまじりあっている畑でパインの生育は良 好である“交換酸度は少ない値をしめしているり 試料No.108(第2層試料No.109)は試料Noい106土壌と同 様の土壌であるが交換酸度,加水酸度とも著しく少ない そしてこれらの酸度を第2表にしめす第2屑のそれら と比較する場合第2屑の酸性がより多いことと,第1屑土壌中には風化サンゴ礁細片の混入しているのが認めら れることより,これらの酸性ば過去においてこの畑に客人された海砂により影響をうけていることが理解される〟 試料No‖1915(第2層試料No・196)と試料No197(第2屈試料No..198)を得た畑の土壌はともに若干の近世 滞積物をまじえる安山岩土で同稗の土壌であるしかしパイン現作畑である試料No195の交換酸度と原野新開 畑である試料No197のそれは殊に第1屈において著しい差異がある. 以上より第1層土壌の交換酸度に関し,その数値が10以下のものを極少,10以上20以下のものを少,20以上 40以下のものを著,40以上のものを顧著に区分し,風化サンゴ礁細片(海砂)の混入,あるいは客入など土壌酸 性に影坪をおよぼす原因の明らかな物料の影響をうけている試料を除いてこれを集計するとき試料計52点中交換 酸度極少18点,同少15点,同著14点,同原著5点となり,調査会試料の約65%の交換酸度は極少あるいは少の部 類に属している.そして交換酸度極少に属する18点中12点は新棟畑あるいはパイン畑造成予定地であり,交換 酸度少に属する16点については5点,交換酸度著に属する14点では只1点のみがこれに該当しており,新植畑あ るいは′ヾイン畑造成予定地の第1層土壌の交換酸度ば20以下の数倍をしめすものが多いまた更新畑に関してば 交換酸度桟少のもの4点,同少のものう点,同著のもの8点,同額著のもの3点で,更新畑の交換酸度は著しい ものが多いことが知られる.またこの交換酸度とパイン作との関係を良作畑の点数でみるとき交換酸度極少18点 申2.点,同少16.点中5点,同著14点中4.鼠,阿東著5点中1点を占めており,良作畑討12点中一7点の土壌の交換 酸度は少ない部類に属しているこのようにパイン畑土壌の交換酸性は更新することにより若干増大する傾向が 認められるが,これは亜熱帯気候 ̄F−のこの地域の土壌ほパイン畑が更新されることによりその第1層ほより著し いラテライト的風化作用をうけることの可能性を暗示しているもののように思推される

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Ⅳ 摘 要 石垣市観音崎,湧川,崎枝,屋良部,■7・−ネ−,元名蔵,白水,葛田,大俣の9地区におけるパイン畑土壊を 供試して交換酸度(3yl),加水酸度(3・5yl)を測定し,つぎの結果を得た. (1)パインはその畑の第1層土壌の酸性が著しい場合(交換酸度30内外)でも良好な作柄をしめしている. (2)更新畑の土壌交換酸度は10以上の侶をもつ試料が多い. (3)新開畑の土壌交換酸度は一・般に少ない. (4)琉球石灰岩あるいはその風化物により第1屑土壌が影響をうけている畑の土壌酸性は弱く,パイン作は 不良である 引 用 文 献 (1)中央農業研究所:土壌調査成積怨,5,6,那覇市 (6)+:同上,川,7(1964)い (1961) (7)+:同上,柑,iO(1964) (2)佐伯秀草:農林地異学156,束京,朝倉書店 (8)CPyM・ATisseau,BOuryandFAhamada: (1950). Fertilit‘,3,14(1957) (8)玉置鷹彦:香川大農学軌15,16(1963). (9)渡辺正一・:′ヾインアップルの栽培と加工,105, (4)…:同上,柑,ほ5(工964). 那覇市,琉球輸出パインアップル缶詰組合(1961) (5)−−−:同上,15,141(1964).

StudiesonRyukyuplnCapPle丘eldsoil

V SoilacidityofIshigaki丘elds

TakahikoTAMAKrand YutakaUMEDA

Summary Pursuing theformerstudies,in thispaper,SOilpotentialacidity(cxchangeandhydrolytical acidity)of pineapple缶eldinIshigakiisland,Yaeyama,Ryukyu,Weredetermined and thefollowingresults wereobtained・Soilaciditiesofmostpart of renewedfieldsarestrongandthose of goodproductivefields rangefromveryweaktostrong‖Innewcultivated丘elds and pineapple plantingexpectedlands,mOStPart

Of soilsamples have weak or veryweak aciditieslSoilacidities ofsea sand(Smallparticlesofweathered

coralreef)−addedficldsoilorsoilswhicharea翫ctedbybedrock(Ryukyulimestone)areweal(OrveryWeak Pineapples which were plantedin these丘eld have yellowish whiteleaves(iron chlorosis)and show poor growthor poor fruits

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[4]Hetzel, Robert L., “Arthur Burns and Inflation,” Federal Reserve Bank of Richmond, Economic Quarterly, Winter 1998, pp.21−44. [5]Keller,

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