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温州ミカン果実の夏季の日肥大に及ぼす土壌水分の影響-香川大学学術情報リポジトリ

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号 87”94,19飢

温州ミカン果実の夏季の日肥大に及ぼす土壌水分の影響

葦澤 正義,近藤 権−・,中條 利明

EFFECT OF SOIL MOISTURE ON THE DAILY CHANGE OF FRUIT SIZE

IN SUMMER SEASON OF SATSUMA MANDARIN

MasayoshiAsHIZjWA,Gon−ichiKoNDO andToshiakiCHUJO

Thein負ucnceofsoilmoistureonthediurnalfluctuationoff王uitsizewasinvestlgatedwithSatsumamandarintrees

growninpotatthebeginnlngOfAugust,1979Underdryandhightempcraturecondition,aCOnSiderableincrease

infiuitdiamcteroccurredatnightandcontractionusua11yappearedinthedaytlmeWhcnsoilmoisturcwasmain−

tainedtobesuitablcbythesupplywithproperamountofwatercveryday,Changcof丘uitdiameterbyenlargement

inthenightwasgreater than that bycontractioninthedaytlmeThisdiurnalfluctuationofたuitdiameterwas

Closelyrelatedtothechangeofvapor pressuredcficitbutrathcr ncgativelyIelatedtothatofsola=adiationandair

temperature”Espccial1y,highlypositivecorrelationwasobtainedbctweenthecontrcationofたuitdiametcrandthe decreaslngratCOfvapoIpreSSuredeficit.Theenlargemcntoffiuitdiameterbefbremid−nightwassuperior to that

aftermid−night

Inthedroughtplot,thecontractionoffhlitdiametcrinthedaytlmeWaSremarkablebYthestopofwaterlngOnthe

dayt▲me,aSCOmParedwiththatinnon−droughtplot,andtheincrementoffiuitdiameteratnightintheformerwas considerablylower thanthatinthelatter.Leafwaterpotentialbefbrcsunrise(¢max)was−10bars and belowfbr

thedroughtplot,Whilethatwasmorethan−5barsfbr non−droughtplot

RewaterlnginthedaytlmCtOthedroughtplotafterseverewaterstressacceleratedthefiuitgrowthtIanSitorilyto

highIateandthegrowthwascontinueduntilthemid−night;afterthat,however,thegrowthdecreasedtothesame rateasthatinnonqdroughtplotInthedroughtplot,Sprinklingfbr30minutesinthedaytlmehardlya鮎ctedfiuit growth,butsuddenlyloweredthetempF:ratureOfleafandfiuit 温州ミカンについて,1979年の8月上旬に,果径の日肥大周期におよほす土壌水分の影響を調査した. 高温乾燥期には,果径は昼間に収縮,夜間に肥大し,適湿区樹の果実では,肥大急が収縮盈より大であった.この 果径の日振幅量,日肥大盈は気温・日射量・飽差と密接な関係があり,とくに昼間の収縮速度と飽差との間には高い 相関があった.肥大鼠は夜間の後半よりも前■単においてすぐれていた. 乾燥区樹の果実では昼間の収縮塵がいちぢるしく大で,夜間の肥大急が劣ったこの時の日出前の棄の水ポテン シャル(¢max)は−10barsをこえてVlた、なお,適漁区樹の4・maxは−5bars以下であった.乾燥区へ昼間にかん 水したところ,果径はそれから夜間にかけて急速に肥大したが,その後は適湿区と同程度になった 乾燥区樹へ昼間に30分間散水したところ,葉温と果実温は散水の直後に急速に低下したが,果径の収縮には殆んど 影響が認められなかった 緒 口 果樹は,夏季の高温乾燥期には土壌水分が適度の範囲にあっても,昼間は主に菜からの蒸散畳が根における吸水盈 を上廻るため,樹体が水不足に陥り,夜間は逆に吸水盈の方が上廻るため,樹体の水不足が解消して,生長が行われ るい 昼間における樹体の水不足度は,主に天候と土壌水分の高低によっていちぢるしく異なり,−・般に晴天で大気の

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号(1981) 88 蒸発力の大きな場合や土壌乾燥の場合には,樹体の水不足皮がいちちるしく大となることが知られている(1・6,10) 果実の肥大嵐と繊体の水不足皮の間には密接な関係があり,水不足度の大きな昼間には果実中の水が葉へ移行する ので,果実は収縮し,水不足の解消する夜間には果実が肥大する・ニヒ壌水分が適度の機関の場合には昼間における果 実の収縮よりも,夜間における果実の肥大の方が大きいので,果実は次第に大きくなるが,土壌の乾燥が強くなると 夜間の肥大量が昼間の収縮動こ及ばないので,果実は小さくなる. なお,この果実中の水の葉への移行は,未熟果では容易に行われるが,熟度の進むにつれて次第に困難となり,成 熟莱では殆んど行われない(1) 上述のように果樹の水分4迅封こついては,多くの研究者によって概括的にかなり明らかにされてきたが,1【‡Ⅰの轟 時的を変化など細部については,未だ研究が少ない有様である. 本研究では,当地方の一i三要莱柑である温州ミカンについて,夏季の佗炊期における水分管理の基礎資料とするため, 主に土壌水分の適度と乾燥の両場合における,果実肥大の日変化を詳らかに観察したので,その結果を報告する. 材料および方法 鉢植えの普通温州の着果樹を用い,1979年の]三に8月上旬に,ガラス室内で調査を行った. 1.土壌乾燥と昼・夜の果実肥大 大形のコンクリート ポット(直径60cm・探さ50cm)に植栽の着果瀾を用い,7月291ヨより8月2日の間,か ん水を中止して土壌乾燥させた乾燥区と適温区の2区を設けた.8月2日に乾燥区の果実は収縮とけん斐がいちぢる しくなったので,16時にかん水した.適温区と乾燥区の乾燥処理期以外の時期には1∼2日ごとにかん水して,土壌 水分を適度の範囲に保った. 果実の赤道部にマジックでマークをつけ,この部の構径を5幡と15時にダイヤルゲージで測定して,昼間の収縮盈 と夜間の肥大量を求めた.葉の水ポテンシャル(L.W.P,)の¢m描 と¢Ⅰ油1を,プレッシャーチャンバーで5時と 15時に測建した. 2.二果実肥大の日変化と気象の関係 素焼鉢(直径30cm)に植栽の着果樹を用い,8月7日より11日の間,土壌水分が適度の場合の果実肥大の日変化 に及ぼす温度・日射量。飽差の影準を調査した. 果実の肥大は第1図のとおり,横径について左右に非接触型変 位計を設置し,果実の赤道部に木工用ポドンを用いてアルミ片を はり,舶電流を利用して変位計センサーの先端からアルミ片の表 面までの距離を計測し,左右の平均値を糾上iした.ミカン樹の近 傍の気温はデジタル現況皮計および0.1mmCC熟電対で,飽差 はデジタル況湿度計の塩化リチウム露点センサーを用いて露点を 測定し,飽和水蒸気圧と水蒸気庄を求めて算出し,日射最は可視 線[!射計で測定した.以上の各データーはデジタルデータ集録 器(YODAC・■8)を用いて,30分間隔で測定・記録した. 3.土壌乾燥と果実肥大のⅠ】変化 繭実験と同様の鉢植樹を用い,乾燥区は8月8日よりかん水を Fig・1・MeasuI・ementbymeansoral−Olユー

contact displaccment meter or

ll・tlit tl,anSVerSe diametel∴

中l上した.素焼鉢植樹のために土壌の乾燥が急速で,10仁lの12時 には果実の収縮とけん薬がいちぢるしくをり,一部の落葉をみたので,かん水してニヒ壌水分を適度にかえした・この 乾燥区と対比するために適温区を設けた.果実の肥大は前実験と同法で,果実温ほ陽光部の果皮に約0・5mmの探さ にCC熱電対を挿入して測定した.各データーは前実験と同様に,30分間隔で測定・記録した. 4.土壌乾燥・葉面散水の影響 前実験におけると同様に乾燥処理した乾燥区の主に葉面へ,かん水を中止した翌日(8月9日)の14暗から30分間, 翌々日(8月10日)の8時から30分間の2臥小形散水器で散水して,主に葉面からの吸水による影響を調査した・ 鉢全体を乾燥処理を始めた8月81ヨの8時にビニールフィルムで覆って,鉢土への水の浸透を防止した・果実肥大と 果実温は前実験と同法で,薬温は表面の葉肉部に0.1mmCC熱電対を接触させて,30分間隔で測定・記録した・

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発揮正義,近藤権−、,中條利明:温州ミカン果実の日肥大と土壌水分 89 実 験 結 果 (1)土壌乾燥と昼・夜の果実肥大 梅雨明け後の夏季の晴天日における果実肥大の日変化は,第2図の通りである ハhU 3 ︵∈∈︶ レβむ∈点p 4 3 りS︼むAS口内h↑ 32 8 5− g u A

e

.m T

5 − 3 515︶2 5 15 5 15 5 15 5 15 、−−、_一一 ヽ−−ヽ■・・ノ ヽ−−.一 } .丁山y29 30 31 Aug1

Fig2 RelationshipbctweenfiuitenlargementandleafwatcrpotentialofSatsumamandarintreesas

influencedbydrought 適湿区の果実は昼間に収縮,夜間に肥大した.この夜間の肥大盈は昼間の収縮盈をつねに上廻り,果実は次第に大 きくをった

7月29日よりかん水を中止した乾燥区の夜間の果実の肥大盈は,31日には昼間の収縮盈をかなり下廻り,8月1日

にはいちぢるしぐ下廻って,収縮がはをはだしくなった。そこで2日の16時にかん水したところ,その夜間に急速に 肥大して,ほほ乾燥前の大きさにもどり,その後は適温区の果実と同程度に肥大した・果実の夜間の肥大盈が昼間の 収縮盈を上廻った場合の¢m札Xは,−27∼−4いObarであったが,果実のかをり収縮した場合の¢m。.Xは−12・Oba‡・に 達し,早朝においても樹体がかなり強度の水不足状態にあった・ (2)果実肥大の日変化と気象の関係 夏季の晴天日における土壌水分が適度の場合の,果実の肥大と飽差・気温・日射盈の日変化は,第3図の通りであ る. 果実は日出(6時)以降次第に収縮して15∼16時には最低を示したが,その後の夜間には急速に肥大して,その肥 大盈は昼間の収縮盈の約15倍に達した小 果実の肥大は夜間の前半には急速でほほ収縮前の大きさにもどり,後半に は比較的緩慢であった,この果実の肥大の日変化と気温・日射盈との間にはマイナスの相関が,飽差との間にはプラ スの高い相関が認められた (3)土壌乾燥と果実肥大の日変化

8月8日よりかん水を中止した乾燥区と土壌水分を適度に保った適温区の,果実肥大の日変化は,第4図の通りで

ある. 乾燥区の果実はかん水を中止した日の昼間から急速に収縮し,夜間の肥大盈は昼間の収縮盈をか覆り下廻って,果

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香川大学戯学部学術報告 第32巻 第2号(1981) 90 20 24 4 8 12 1 6 24 4 6 8 12 16 1 3 4 2 0 0 0 0 ︵∈旦レむ︸む∈再葛じ芯賢ぷU ︵q旦︶州じ叫葛p巴n携巴dレOddA 〇 0 0 1 2 し 5C 〇 一 一 − 3 0 O 5 O O ︻ 一 5 ︵NEp\叫3︶u〇一台奄巴トヱOS 0 3 ︵U.︶巴コ嵩し鼠∈む↑

Aug7 Aug8 Aug9 Time

Fig3Rclationshipbetweenthediurnalfluctuationsintransverscdiameterof’Satsuma

mandarin and climaticfactors

実が小さくなった”翌朝の適視区の¢m札Xはp4βbarsであったが,乾燥区の¢m,LXは−10・1barsで,乾燥区の樹 体は早朝においても,かなり強い水不足状態であった なお,前逓の(1)の実験とは異なり,乾燥区の果実はかん水を中止した翌朝に早くもかなりの収縮を示したが, これは来焼鉢植樹で土盈の少をかったためである この乾燥区と適湿区の果実温の日変化は,第5図の通りである 果実温は13時頓に最高を示し,この時の乾燥区の果実温は37い5∼39い40Cに達し,適温区よりも4∼50C高かった が,夜間の果実温は両区とも同程度であった・ 次に,この乾燥区へ8月10日の13時にかん水した場合の果実の肥大状態は,第6図の通りである 乾燥区の果実はかん水の直後から22時頃まで急速に肥大,その後は翌朝まで比較的緩慢に肥大して,翌朝にはほぼ 乾燥処理前の大きさにもどった.翌朝には¢m乱Xもー5.4bar・Sを示して,樹体の水不足が解消していた (4)土壌乾燥・薬面散水の影響 前爽故におけると同鱒に乾燥処理した乾輝区の主に魔面へ,昼間に30分間、・j臥 散水・した場合の果実肥大の日変 化は,第7図のとおりである. 散水によって果面にアルミ片の接着に用いた木工用ボンドがふくれて,測定ができを.くをったので,散水の直後に

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葦澤正義,近藤権一・,中條利明;温州ミカン果実の日肥大と土壌水分 91 LW.P 4 2 (−1 01) u ′ 口 l へ。ugbt ′ / u 6 u

/ n u

J J 8 n u n n u 口

n 円

n J 0 0 0 0 一 一 号旦レβU∈書pu完ぎ再ぷU 0 0 20 24 4 8 12 16 20 24 4 8 12 16 20 24

Aug7 Aug8 Aug9 Time

Fig41Diurnalfluctuationsin transvcrscdiametcrofSatsumamandarinfhlits’asin一

札1CnCCdbydrought

0

3

︵U.︶巴コ︶巴鼠∈む↑

Aug7 Aug8 Aug9 Tlme

Fig…5DiurnildlangeSOffxulttemPCraturelnSatsumamandarintrceaslnflucdced

bydrought

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号(1981) 92 L…W‖P u Non・・drought −44 −46

●‘、● √1「ヽ ■ ●

l ¢max ロ :/(−5小4)ヽ ヽ 口 H (−17小7)J n ′ ノ ′ ′ / ノ

ll ll

I I 4 ll

DrOp

6 口 り 呈 .... 2 4 0 0 0 ︵∈∈︶hβむ∈何州p已tむ如∈再‘U 0 0

4 81216 20 24 4 81216サime

Aug。10 Aug11 Figl6”DiurnalfluctuationintransversediamcterofSatsumamandarinf王uitsasin魚uenccdbyirrlgation L。WP. 4 / ● 0 l 口 、ノ\ 4

l、/DI−Ought ■

(−135) 巨 6- ‡。鱒。。 8 2024 4 8■1216202ヰ.48121620ろ4.4・・81216・2024 4 81216 」・丁・−」・ 0 − ■ ︵∈∈︶一望む∈d竃亡芯ぎ眉U Aug7 8 9 10 11 Fig∴7”DiurnalfluctuationsintransversediameterofSatsumamandarinfiuitsasinfluencedbysprln一 足i喝わー血Oughttree5

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聾繹正義,近藤権一・,中條利明:温州ミカン果実の日肥大と土壌水分 93

︵Uしだコ嵩レ乱∈む↑

4 8 12 16 20 24 4 8 12 16 20 24

Aug9 Aug10 Time

Fig81DiurnalchangeoifiuitandleaftemperatureinSatsumamandarinasin・・ 飢IenCedbysprinklir唱

S−Sprinkling

再び変位計センサーを装着しなおした.散水後に果径の収縮がさらに進んでいる状態よりして,30分間の散水では短 時間に過ぎて,果実肥大への効果が殆んど認められない なお,乾燥区の果実の収縮が前実験の乾燥区よりかなり小さいのは,本実験では鉢土へ水が浸透しないように鉢全 体をビニ1−ルフイルムで覆ったので,鉢面からの蒸発が防止され,土壌水分の減少が緩慢であったことによる・ 散水による果実温と葉温の日変化は,第8図のとおりで,散水によって果実温・菜温とも急速に低下をみた・午前

8時の散水はその後の急激な昇温からして,樹体生理に悪影響の及ぼすことがうかがわれ,散水は午後の降温時の方

がその後の昇温が少なくて望ましい 考 案 果実の発育を時間を追ってみると,1E=こおけるその発育は時刻で異なり,急速別巴大の後には緩慢∼停ヰの時が あり,その後収縮して再び肥大を始めるという律動を繰り返している・FISHERは,リンゴの果実の肥大は,夏季に は主に夜間に行われる,BARIHOLOMEW柑)は,レモンの果実は夜間に肥大,昼間に収縮の変化を繰り返しをがら発 育す・る,HARIEY(9)は,リンゴの果実の発育は24時間を単位として,周期的波動を繰り返し,その波動の現われ方 は季節によって相違し,また気象の変化が強く影響することを報告している・果実の日肥大にみられる収縮現象に ついて,杯(10)は,昼間の蒸散作用によって葉の浸透圧が上昇すると,果実の水分が恭へ移行するためおきる,並 河(16)は,ナシの蒸散盈と飽差との間には高い相関があり,単位飽差当りの蒸散盈は午前ヰに多い,ScHふoEDER(17) は,葉面散水によって果実の収縮は停止する,RoHACH(5),KIEPPER(11),CHANEY(4)は,果実の日肥大周期は主に菓 と果実の間に生ずる水分の自由エネルギ・一傾斜に基づく現象で,昼間には果実から菜への水分移行,夜間には気孔閉 鎖と湿度の上昇によって生ずる果実への水の流人のために,日変化がおきることを示している.をお,TuREY(18)は, 果径の日変化には日照や明暗の影響のあることを認め,とくに12時間以上の暗処理後に高照度を与えると,果径のい ちぢるしく収縮することを報告している 果実の日肥大にみられる肥大・膨潤現象について,遠藤(8・7・8)はナシについて,土壌水分の適度の場合には,果実 の日振幅急から収縮盈を引いた催は常に正の数俺を示し,この日肥大盈は夜間の前半に生ずる急激別巴大との間に高 い正の相関がある。夜半から明け方の夜間後半の肥大は高湿度の時に生じ,この肥大は翌日の収縮盈と密接な関係が ある,小林(12)はブドウについて,同化物質の発から果実への転流は午後2∼5時に扱大で,夜間にはごく徽盈になる

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香川大学農学部学術報告 第32巻 第2号(1981) 94 ことを認めている.夜間前半の果実の肥大が主に炭水化物の転流によってをされるものとみれば,大体−・致している. つまり,夜間後半の肥大は主に水分吸収による膨潤と考えられる 土壌乾燥と果実の日肥大について,MAGNESS(14)はリンゴについて,根の塾延している部分の土壌水分が萎凋点よ りも高い場合には,果実の肥大にいちぢるしく影響しないい 林(10)はナシについて,土壌水分が減少して開場容水盈 以下になると,果実発育の日振幅ほ一層大となるり 土壌水分が萎凋点に達すると夜間の肥大が衰ろえ,昼間の収縮が 大きくなり,この時にかん水すると,果実は急激に肥大する1絹代(18)はリン豆について,土壌水分の高いiまど昼間 の収縮と夜間の肥大が促進され,結果的に土壌水分の高い条件におりて大きを果実になることを述べている. 果実の日肥大周期における収縮・肥大の現象,および土壌乾燥の影響に関する研究の中よりいくつかの報告を挙げ た..落葉果樹の果実の日肥大周期に関する研究は比較的多いが,常緑果樹とくに温州ミカンについてははなはだ少を い… 本実験の温州ミカンにおける結果と従来の報告とを比較検討すると,果実の昼間における収縮,夜間における肥 大 土壌乾燥の強い場合には夜間の肥大が昼間の収縮よりいちぢるしく少なく,これにかん水すると急速に肥大する という現象はほぼ同様である小 しかし,果実の昼間の収縮から夜間の肥大に転ずる時刻や,収縮・肥大の程度など細 かな点は相違しているが,これは日によっての気象条件の違いや,土壌の乾燥程度の相違によるものと思われる 土壌乾燥によって温州ミカンの果実の肥大が停止する時の発の¢備について,葦繹(2)は¢m凡Ⅹで−8bar・S付近, ¢miIlで−12Oba†S付近のことを認め,この¢。1はは間苧谷(15)らの結果とも−・致している。なお,本実験において も土壌乾燥によって果実の収縮した時の¢m乱Ⅹは−10baTSをこえている 遠藤(8)はナ・シへ,終日,散水して果実肥大への効果を認めてこいるが,本実験では果実の肥大への効果が認められ なかったり これは散水が30分間で,短時間に過ぎたためと思われる‖ 昼間の高温時の散水によって果実温は150C前 後,薬温は100C前後も急速に降下し,午前の散水の場合にはその後再び急速に上昇したが,このような急激な葉温 の降昇は生理作用を乱すので好ましくない。実際のかん水は早朝の低温時,または午後遅くをってから行なうが適当 と思われる. 本研究は昭和54年鹿又部省科学研究費補助金(試験研究課題番号386036 代表者香川大学農学部 岡本秀俊)の分 担研究によって行った.ここに記して謝意を表する 引 用 文 献 (1)聾繹正益:香川大脳紀要17,1∼69(1964) (2)寒澤正教,後藤俊彦,真部 桂:香川大農学報. 30(2),133∼142(1979) (3)BARTHOLOMEW,E“T∴ A7乃erJo紺.βofL,13, 102−・117(1927)

(4)CHANEY,WR… and KozLOWSKI,T、T”:

勒γわJl,6乳873−882(1969)

(5)CHANEY,W.R.and KozLOWSKI,T‖T∴ hur

ガor・f.βとよ.,46,7ト81(1971) (6)遠藤融郎:園学雑.42,91∼104(1974) (7)遠藤融恥 小笠原静彦:園学級43,359∼367 (1975) (8)遠藤融郎:国学賂44,248∼259(1975) て9)HARllEY,C。PいandMASURE,M..P∴Jo〟r・,Ag′ Rβ,.,57(2),109−124(1938) (10)林 真二:鳥取大農園芸学研究室1∼137(1961) (11)KLEPPE欄,R,:.門α花王勒γゞわJ,43,1931−1934 (1968) (12)小林 華:関学雑.9(1),43∼61(1938). (13)熊代克己,建石繁明:園学雑,36(1),9∼20 (1967) (14)MAGNESS,J.R.,DEGMAN,E.Sand FuRR,,.R: Uぷか¢f‖4gγ.7セcゐりβ〟Jリ491,ト35(1935). (15)間苧谷 徹,町田 裕,山津忠治:果樹試報E 1,51∼57(1976) (16)並.河好一,植村則大:関学会昭39年番所究発表要 旨.10(1964) (17)ScHROEDER,C.A.and W(ELAND,P,A:Prvc A椚β7・助c.月br・f,滋よ,68,253−258(1956) (18)TuKEY,LいD∴ Proc..A∽〝助c月0γL5最り84, 653−660(1964) (1980年10月31日 受理)

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