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博士(工学)吉川正樹 学位論文題名

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Academic year: 2021

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     博士(工学)吉川正樹 学位論文題名

鋼製パイプラインの変形限界評価方法に関する研究 学位論文内容の要旨

  石油 ・ガ ス・ 水道な どの パイ プラ イン は高 度に発達した現代社会の生活を支える 重要な輸送システムであるIlバイプラインは地球環境保全やェネルギー輸送の効率化 の観点からも今後まずます重要な輸送手段となりうる.ライフラインと言われるガス,

上下水道などの公益的バイプラインは,需要者が一般市民であることから構造的に安 全 で あ る こ と は 勿 論 , 安 定 供 給 を 前提 に し た シ ス テ ム 構 築 が 要 求 さ れ て き た .   本研究で主として取り上げる高圧ガスパイプラインは,都市ガスの輸送導管あるい は発電所聞のエネルギー輸送管路であり,長距離,高圧,埋設を主とする幹線ライン という特徴を有している.したがって,高圧ガスパイプラインは常時負荷されている 荷重だけでなく,大規模地震,地盤変状等の自然災害に対しても十分な安全性を維持 する構造強度を必要としており,それを具現化する耐震設計は構造設計における重要 な地位を占めている.

    I

  石油バイプライン技術基準を初めとする埋設管路の各種耐震設計基準・指針は,い ずれも応答変位法に基づいて管に発生する応カまたはひずみを評価し,その耐震安全 性 を照 査し てい る.し かし なが ら,1978年に 発生した宮城県沖地震を初め,ここ数 十年間に国内で発生した地震による埋設管路の被害は,応答変位法が前提としている 地盤震動による超過管ひずみが管路破壊の原因と理解するよりも,地盤の永久変位や 液 状化 地盤 での 側方流 動に よる 大規 模な 地盤 変状によって管路が塑性変形している ものと考える方が理解しやすい事例が見受けられる,

  大規模地震による地盤の液状化が発生する場合に備えて,鋼材の弾性域だけでなく,

塑性域までも設計範囲に取り込む動きが構造設計分野で高まっている.こうした鋼材 の延性を積極的に評価した構造設計においては,鋼管の変形限界,すなわち破壊発生 を限界基準とし,変形量を許容値とした設計を行なうことが考えられる.破壊評価と い う 観 点 か ら は 応 力 拡 大 係 数K値 ,J値 , き 裂 開 口 変 位CTODな ど の 破 壊 力 学 バ ラ ヌータが考案されているが,これらはある有限な欠陥が存在していることを前提に,

そこからのき裂進展の有無の判定に用いられてきた,したがって,これらのバラヌー タは,その欠陥が破壊に至るか,もしくは欠陥の進展履歴を調査する上では有用であ るが,欠陥が認識されない構造物の変形限界(破壊発生)を捉えるものではない.ま た,従来は最大荷重や最大抵抗モーメント点をはるかに超えた構造の変形限界(破壊 発生)を把握するには,実管もしくはその縮小モデルでの破壊実験,形状を単純化し

(2)

た試験片による確認など経験的評価が主流であった.

  本研究では鋼製パイプラインの中でも変形が相対的に集中する曲り管について従 来の研究対象にはなかった屈服後の変形限界強度の評価・予測方法について主に論 じた.材料,形状・寸法の異なる複数の鋼製曲管の面内曲げ破壊実験を実施し,実管 の変形限界を確認するとともに実験を模擬する弾塑性大変形有限要素解析を実施し た.鋼材の破壊評価は応カもしくはひずみの単独パラメータで表現することは困難で あり,ここでは主応力,平均応力,相当塑性ひずみの3パラメ一夕を用いて材料の変 形限界評価面を材料試験から設定し,前述の弾塑性大変形解析の結果を利用する変形 限界評価・予測方法を考案した.実験で確認された変形量とき裂発生位置との対応や 既往研究の鋼材の破壊評価方法との比較を通して,新たに考案した評価方法の優位性 を示した.

本論文は以下のように全6章により構成されている.

第1章の緒言では本論文の総括的な序論として,研究の背景について概説するとと も に , 鋼 製 パ イ プ ラ イ ン の 損 傷 要 因 と 過 去 の 損 傷 事 例 を 紹 介 し た ,   第2章の鋼製バイプラインの設計と安全性評価では,第1章で取り上げたノヾイプラ インの損傷形態に対する従来の設計や安全性評価に関する手法について記した,従来 の強度評価方法では不十分な研究課題を示し,その課題を解決するための手順を説明 するとともに本研究の意義を明確にした.

  第3章の鋼製パイプラインの大変形挙動および破壊特性では,鋼製曲り管を対象に 最大抵抗モーヌント点をはるかに超えた領域における破壊の形態を実管実験によっ て明らかにし,実験を模擬した数値解析を合わせて実施して破壊に至るまでの発生ひ ずみの傾向や変形限界を解析的に示した.

  第4章の鋼製パイプライン材料の破壊挙動では,実管実験と同グレードの材料を用 いて形状・寸法の異なる切欠付き丸棒引張試験を複数実施し,変形限界評価に必要な 基本データの蓄積を行なった,同一材料でも応力・ひずみ履歴の異なる場合には破壊 発 生 点に お ける 延 性 強度 が 変化 す る傾 向 とそ の 定量 化 につ ・ いて 示 した ,   第5章の鋼製パイプラインの変形限界強度では,第4章の材料の破壊挙動で得られ た結果を用いて鋼管の大変形状態における破壊挙動を予測・評価する条件式を導出 し,実管実験で生じた破壊の位置や破壊に至るまでの変形量について定量的な評価を 行なった.

  第6章の結論では,本研究で得られた結果を総括するとともに,鋼製/ヾイプライン の 変 形 限 界 強 度 の 今 後 の 展 望 や 課 題 に つ い て ま と め て い る .

(3)

学 位論文審 査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 教授 助教授

佐々木 野口 小林 加藤

学 位 論 文 題 名

一彰    徹 幸徳 博之

鋼製 パイプラ インの変 形限界 評価方法に関する研究

  高 度 に 発 達 し た 現 代 社 会 の 生 活 を 支 え る 重 要 な ラ イ フ ラ イ ン で あ る 石 油 ・ ガ ス ・ 上 下 水 道 な ど の バ イ プ ラ イ ン に は , 構 造 的 な 安 全 性 は 勿 論 の こ と , 安 定供 給を 前提 に し た シ ス テ ム 構 築 が 要 求 さ れ て い る , 本 研 究 で 主 と し て 取 り 上 げ て い る高 圧ガ スバ イ プ ラ イ ン は , 都 市 ガ ス の 輸 送 導 管 あ る い は 発 電 所 間 の エ ネ ル ギ ー 輸 送 管路 であ り, 長 距 離 ・ 高 圧 ・ 埋 設 を 主 と す る 幹 線 ラ イ ン と い う 特 徴 を 有 し て い る . し たが って ,常 時 負 荷 さ れ て い る 内 圧 荷 重 だ け で な く , 大 規 模 地 震 や 地 盤 変 状 等 の 自 然 災害 に対 して も 十 分 な 安 全 性 を 維 持 す る 構 造 強 度 を 必 要 と し て お り , そ れ を 具 現 化 す る耐 震設 計は 構 造 設 計 に お け る 重 要 な 位 置 を 占 め て い る .

  破 壊 評 価 と い う 観 点 か ら は 応 力 拡 大 係 数K値 ,J積 分 値 , き 裂 開 口 変 位CTOD値 な ど の 破 壊 力 学 パ ラ ヌ ー タ が 考 案 さ れ て い る が , こ れ ら は 有 限 な 寸 法 の 欠陥 が存 在し て い る こ と を 前 提 に , そ こ か ら の き 裂 進 展 の 判 定 に 用 い ら れ て い る . し たが って .こ れ ら の バ ラ メ ー タ は , そ の 欠 陥 が 破 壊 に 至 る か , も し く は 欠 陥 の 進 展 履 歴を 調査 する 上 で は 有 用 で あ る が , 欠 陥 が 認 識 さ れ な い 構 造 物 の 変 形 限 界 や 破 壊 条 件 を捉 える もの で は な い . ま た , 最 大 荷 重 や 最 大 抵 抗 モ ー ヌ ン ト 点 を 大 き く 超 え る 荷 重 を受 ける 構造 の 変 形 限 界 を 把 握 する には ,実 管も し くは そ の縮 小モ デル での 破壊 実験 ,形 状を 単純 化 し た 試 験 片 に よ る 確 認 な ど 経 験 的 評 価 が 現 在 の と こ ろ 主 流 と な っ て い る. しか し, 大 規 模 地 震 に 起 因 す る 地 盤 の 液 状 化 や 地 盤 変 状 に よ る バ イ プ ラ イ ン の 大 き な 変 形 を も 考 慮 に 入 れ る 必 要 性 が 生 じ , 鋼 材 の 弾 性 域 だ け で な く , 塑 性 域 ま で も 設計 範囲 に取 り 込 む 動 き が 構 造 設 計 分 野 で 高 ま っ て い る . そ の 一 方 法 と し て , 鋼 管 の 破壊 に至 る限 界 変 形 量 を 基 準 値 と し た 設 計 を 行 な う こ と が 考 え ら れ て い る ,

  本 研 究 で は , 鋼 製 バ イ プ ラ イ ン の 中 で も 変 形 が 相 対 的 に 集 中 す る 曲 り管 を対 象に , 従 来 の 研 究 対 象 に は な か っ た 降 伏 後 の 変 形 限 界 強 度 の 評 価 ・ 予 測 方 法 を 主 に 論 じ て い る . 材 料 , 形 状 ・ 寸 法 の 異 な る 複 数 の 鋼 製 曲 管 の 面 内 曲 げ 破 壊 実 験 を実 施し ,実 管 の 変 形 限 界 を 確 認 す る と と も に 実 験 を 模 擬 す る 弾 塑 性 大 変 形 有 限 要 素 解 析 を 実 施 し

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た .鋼 材の 破壊 評価法として,まず,主応力・平均応力・相当塑性ひずみの3バラヌ ータを用いて材料の変形限界評価面を材料試験から設定し,この実験結果と弾塑性大 変形有限要素解析の結果とを併用する変形限界評価・予測方法を提案した.本研究で の評価結果を従来の破壊評価方法に基づく結果と比較し,提案した評価方法の優位性 を示している,

本論文は以下のように全6章により構成されている.

  第1章で は本 論文 の総 括的 な序論 として,研究の背景について概説するとともに,

鋼製バイプラインの損傷要因と過去の損傷事例を紹介した.

  第2章で は, 第1章 で取 り上 げた バイ プラ イン の損 傷形 態に対 する従来の設計や安 全性評 価に関する手法について記した.従来の強度評価方法では不十分な研究課題を 示し,その課題を解決するための手順を説明するとともに本研究の意義を明確にした.

  第3章で|ま,鋼製曲り管を対象に最大抵抗モーメント点を超える荷重領域における 破壊の 形態を実管実験によって明らかにし,実験を模擬した数値解析を合わせて実施 し て 破 壊 に 至 る ま で の 発 生 ひ ず み の 傾 向 や 変 形 限 界 を 解 析 的 に 示 し た .   第4章で は, 実管 実験 と同 グレー ドの材料を用いて形状・寸法の異なる切欠付き丸 棒引張 試験を複数実施し,変形限界評価に必要な基本データの蓄積を行なった.同一 材料で も,応力・ひずみ履歴が異なる場合には,破壊発生点における延性強度が変化 することを明らかにし,その傾向と定量化について示した.

  第5章で は, 第4章 の材 料の 破壊 挙動 で得 られ た結 果を 用いて 鋼管の大変形状態に おける 破壊挙動を予測・評価する条件式を導出し,実管実験で生じた破壊の位置や破 壊に至るまでの変形量について定量的な評価を行なった.

  第6章で は, 本研 究で 得ら れた結 果を総括するとともに,鋼製パイプラインの変形 限界強度の今後の展望や課題についてまとめている,

  これを要するに,著者は,鋼製パイプラインの変形限界に対する新たな評価法を提 案し,既往研究による評価との比較を通して提案した評価法の優位性を示すなど,機 械工学,特に鋼製パイプラインの安全性評価技術の発展に貢献するところ大なるもの が ある, よっ て著 者は 北海 道大 学博 士( 工学)の学位を授与される資格あるものと 認める,

参照

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