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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)今井知子     f  

     学位論文題名

    Synthesis of Hyperbranched Carbohydrate Polymer by Ring‑Opening Multibranching Polymerization of Anhydro Sugar    (無水糖の開環重合によるハイパーブランチ糖鎖の合成に関する研究)

学位論文内容の要旨

  近年、 糖鎖を精 密合成 し、生体 適合性材 料や分 析用材料 などの 高機能性 材料として 応用、 実用化す る研究が 盛んで ある。こ れらの 研究は主 に直鎖 状の糖鎖 に関するもの であり 、多分岐 状のハイ パーブ ランチ糖 鎖に関 する報告 は少な い。一般 に、分岐状ポ リマー は直鎖状 ポリマー とは異 なる物性 や生理 活性を有 する事 が知られ ているので、

多分岐 状のハイ パーブラ ンチ糖 鎖は、こ れまで にない新 しい機 能をもつ 材料となるこ とが期 待される 。そこで 本論文 ではハイ パーブ ランチ糖 鎖の汎 用的な合 成法の確立を 目的と し、四炭 糖および 六炭糖 由来の種 みの無 水糖を重 合した 。さらに 、生成糖鎖の 構造解 析および 物性評価 により、これまでにない新しいポリマーとしてのノヽイパーブ ランチ 糖鎖の特 性を明ら かにし た。

本論文は6章から構成されている。

第1章は序論であり、本研究の背景および目的について述べた。

  2章では、最も簡単を構造を持つ四炭糖より、1,4−アンヒドロテトリトール(1,4 アンヒドロエリスリトールおよび1,4―アンヒドロ―L−スレイトール)を誘導し、超強酸 を 用い て 重 合し た 。 重合 は1斗ア ンヒドロ テトリ トールの テトラヒ ドロフ ランの開 環 反応と 水酸基 からのプ ロトン移 動反応 によって 進行し た。構造 解析の 結果より 、生成 糖鎖が 主にテ トリトー ルユニッ トから なること および 、高度に 分岐し た構造を 有する ハイパ ーブランチ糖鎖であることを明らかにした。また糖鎖中に環ユニット(1,牛アン ヒドロ テトリ トールユ ニット) を生成 している 事を確 認し、こ の環ユ ニットの 生成と モノマ ーの環 歪みとの 関係を考 察した 。さらに 、種々 のテトラ ヒドロ フラン型 モノマ ー(3ーヒドロキシテトラヒドロフラン、1,4:3,6―ジアンヒドロ‐D−ソルビトール、テトラ ヒドロ フルフリルアルコール、テ卜ラヒドロ一3―フランメタノール)についても超強酸 を用い て重合 したとこ ろ、モノ マーの 置換基が 重合に 影響を与 えるこ とが明ら かにな った。

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  第3章 では 、 テトリ トール ユニット のみか らなるハ イパー ブランチ 糖鎖を合 成し、

ハイパ ーブラ ンチ糖鎖 の粘度な どの物 性や溶液 中で形 態につい て検討 した。重合は第 1章で 検 討 した テト ラヒド ロフラン 型のモ ノマーよ りも環歪 みが大 きく、開 環しや す いエポキシ型モノマーとして2,3‐アンヒドロテトリトール(2,3−アンヒドロエリスリ卜 ールおよび2.3‐アンヒドロ‑DL‑スレイトール)を、開始剤として三フッ化ホウ素エーテ ラート 用いて 行った。 構造解析 の結果 、テトリ トール ユニット のみか らなるハイパー ブラン チ糖鎖 の生成が 確かめら れた。 生成糖鎖 の溶液 粘性につ いて検 討したところ、

固 有粘 度 の 値は 一般的 な直鎖 状ポリマ ーの10分 の1程 度であ った。さ らに、ハ イパー ブラン チ糖鎖 の形態を 調べたと ころ、 慣性半径 が小さ く、球状 である 事が示された。

  第4章 では 、 メ チル 化分析 法による 構造解 析が可能 なハイパ ーブラ ンチ多糖 を合成 し、結 合様式 や繰り返 しユニッ トの構 造につい ての詳 細に検討 した。 ハイパーブラン チ多糖は1,6‐アンヒドロー3‑D‑マンノピラノースの熱カチオン重合によって合成された。

生成し たハイ パーブラ ンチ多糖 の構造 解析をメ チル化 分析法に よって 詳細に行った。

その結 果、結 合様式の 異なる19種類のマ ンノピラ ノシル ユニット および マンノフラノ シルユ ニット とそれぞ れの割合 が求め られ、ハ イパー ブランチ ポリマ ーの結合様式や 繰り返しユニットついて詳細に解析された。

  第5章 で は、 第2章か ら 第4章 に お い て行 っ た 無水 糖 の 開環 重 合 をニ 無 水糖の 環化 重合 に応用し 、天然 にはない 特殊な 構造のハ イパー ブランチ 糖鎖を合 成した。ニ無水 糖である1,2:3,4ジアンヒドロ‑D‑マンニトールの重合は開始剤としてf.ブトキシカリウ ムあ るいは三 フッ化 ホウ素エ ーテラ ートを用 いて行った。開始剤としてf・ブトキシカ リウ ムを用い たアニ オン重合 では、 生成糖鎖 は有機 溶媒船よ び水に不 溶のゲルであっ た。 一方、三 フツ化 ホウ素エ ーテラ ートを用 いたカ チオン重 合では水 溶性の糖鎖が生 成し た。カチ オン重 合によっ て生成 した糖鎖 の構造 を、対応 する直鎖 状の糖鎖である

(1‑*6)−2.5‐アンヒドロ‑D‑グルシトール、およびモデル化合物との比較によって検討し た。その結果、環化率100010で、2,5‐アンヒドロ―D−グルシトールユニットからなるハ イパ ーブラン チ糖鎖 が生成し たこと が明らか であっ た。従っ て、二無 水糖を用いるこ と に よ り 、 環 化 重 合 に よ る ハ イ パ ー ブ ラ ン チ ポ リ マ ー の 合 成 が 達 成 さ れ た 。

  第6章 は 以 上の無水 糖の開 環重合に よる新 規ハイパ ーブラン チ糖鎖 の合成の 結果を ま と め た。

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学位論文審査の要旨

    学 位 論 文 題 名

  、 Synthesis of Hyperbranched Carbohydrate Polymer by Ring‑Opening Multibranching PolymerizadonofAnhydroSugar   ( 無 水 糖 の 開 環 重 合 に よ る ハ イ パ ー ブラ ン チ 糖鎖 の 合 成に 関 する 研 究 )

  近年、糖 鎖の精密合 成に関す る研究が 盛んに行 われてい る。しかし、その多 くは直鎖 状糖鎖の合 成とその 生体適合 性材料や 分析用材 料への応 用を目的とし ており、 多分岐状糖 鎖である ハイパー プランチ 糖鎖の合 成やその 物性評価に関 する報告 は非常に少 なく、未 開拓の分 野である 。一般に 、分岐状 ポリマーは直 鎖状ポリ マーとは異 なる物性 や生理活 性を有す る事が知 られてい るので、多分 岐状のハ イパーブラ ンチ糖鎖 は、これ までにな い新しい 機能をも つ材料となる ことが期 待される。 そのため 、ハイパ ーブラン チ糖鎖は 今後の発 展が待たれて いる状況 にある。

  本論文は、このような現状にあるノヽイパーブランチ糖鎖を無水糖の重合によ って汎用 的に合成す る方法の 確立して いる。さ らに、生 成糖鎖の 構造解析およ び物性評 価により、 これまで にない新 しいポリ マーとし てのハイ パーブランチ 糖鎖の特 性を明らか にしてい る。

  本 論 文 の 概 要 お よ び 評 価 で き る成 果 な どに っ いて は 以 下に 要 約さ れ る 。

1)四炭糖より1。4―アンヒドロエリスリトールおよび1,4−アンヒドロ‑L―スレイ トールを 誘導し、超 強酸を用 いて重合 している 。構造解 析の結果 より、生成糖 鎖が主に テトリトー ルユニッ トからな ることお よび、高 度に分岐 した構造を有 するハイ パーブラン チ糖鎖で あること を明らか にしてい る。また 糖鎖中に環ユ ニットを 生成してい る事を確 認し、こ の環ユニ ットの生 成とモノ マーの環歪み との関係 を考察して いる。開 環反応と 水酸基か らのプロ トン移動 反応を組み合 わせ た 重合 に よ る、 ハ イパ ー ブ ラン チ 糖 鎖の 簡 便な合 成法を確 立してい る。

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次 夫

巌 樹

   

覚 宮

山 市

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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2)環歪み が大きく 、開環し やすいエ ポキシ型 モノマーである2,3−アンヒドロ エリスリトールおよび2.3−アンヒドローDL−スレイトールの重合を、開始剤とし て三フッ 化ホウ素 エーテラ ート用い て行って いる。構 造解析の結 果、生成 した 糖鎖はテ トリトー ルユニッ トのみか らなるハ イパーブ ランチ糖鎖 であるこ とが 確かめら れている 。生成糖 鎖の溶液 粘性につ いて検討 したところ 、固有粘 度の 値は 一 般 的な 直 鎖 状ポ リ マー の10分 の1程 度で あ っ た。 さらにMarkーHouwink の式より 、ハイパ ーブラン チ糖鎖は 慣性半径 が小さい 球状のポリ マーであ るこ とを明らかにしている。

3)1,6ーアンヒドロ―p−D−マンノピラノースの熱カチオン重合によってハイパー ブラ ンチ多糖 を合成し 、その結 合様式や 繰り返し ユニットの 構造につ いてメチ ル 化 分析 法 を もち い て詳 細 に 検討 し てい る 。 その 結 果 、結合様 式の異な る19 種類 のマンノ ピラノシ ルユニッ トおよび マンノフ ラノシルユ ニットと それぞれ の割 合が求め られ、ハ イパーブ ランチポ リマーの 結合様式や 繰り返し ユニット ついて明らかにしている。

4) 無水 糖 の 開環 重 合を 二 無水 糖の環化 重合に応 用し、天然 にはない 特殊な構 造のハイ パーブラ ンチ糖鎖 を合成し ている。 生成糖鎖の 構造を、 対応する 直鎖 状の糖鎖である(1 ‑*6)―2,5ーアンヒドロ−D―グルシトール、およぴモデル化合物と の比較によって検討、環化率100010で、2,5―アンヒドローD−グルシトールユニツ トからな るハイパ ーブラン チ糖鎖が 生成した ことが明ら かにして いる。環 化重 合 に よ る ハ イ パ ー ブ ラ ン チ ポ リ マ ー の 合 成 を 初 め て 達 成 し て ヤ ヽ る 。 ・

  これを 要するに 、筆者は 無水糖の 重合によ るハイパー ブランチ 糖鎖の汎 用的 な合成 法を確立 、新たな 球状糖鎖 としての ハイパーブ ランチ糖 鎖の特性 を明ら かにし ている。 これによ り、高分 子合成の 分野におい て、新た な高分子 のカテ ゴリー としての ハイパー ブランチ 糖鎖を提 案しており 、高分子 化学の進 歩に寄 与する ところ大 なるもの がある。

  よって 筆者は、 北海道大 学博士( 工学)の 学位を授与 される資 格あるも のと 認める 。

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参照

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