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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 康    英 姿

     学位論文題名

Analysis of epitopes of mouse monoclonal antibodies      ●

    agalnSthumanalpha ―fetoprotein

(ヒト AFP に対するマウスモノクローナル抗体のエピトープの解析)

学位論文内容の要旨

  a−フェトプロ テインくAlpha―fetoprotein: AFP)は胎児期に肝臓、卵黄嚢で産生され るが 、出 生後 はそ の産 生は 停止 す る。 肝癌、卵黄嚢癌で再ぴ産生 されるため、信頼性 の高 い腫 瘍マ ーカ ーと して 臨床 診 断に 用いられると共に基礎的な 研究に広く応用され てい る。 ヒトAFPに対する抗体、特にモノクローナル抗体は免疫測 定などさまざまな研 究方 法に 繁用 され てい る。 ヒトAFPに 対す るモ ノク ロー ナル 抗 体は 多数の研究室で産 生さ れて いる が、 しか し、 それ ら が認 識するエピトープの構造や 性状は不明な点が多 い。 本研 究で は、 酵母 に産 生さ せ たAFPお よび その 各ド メイ ン を用 いて36種のモノク ローナル抗体のドメイン局在を検討した。ま た合成ペプチドを用いてエピトープの同定 を検討した。

    材料と方法

1. マ ウス 抗ヒ トAFPモ ノク ロー ナ ル抗 体:AFY1−AFY6の6種 は 当研 究室作成した。残 り の30種 はISOBM (International Society for Oncodevelopmental Biology and Medicine)のTD―2AFP Workshopに寄託された ものである。

2.発現プラスミドの作製:PCR法によりAFPとニ各ドメイン或いは連続ドメインをコードす るcDNAを作成し、酵母発現ベクターpNW033に 挿入した。

3. リ コン ビナ ントAFPタンパクの発現 :作製したプラスミドを酵母細胞20812KR16にア ルカリ金属法で導入した。この系ではりコン ビナントタンパクは細胞外ヘ分泌される。

形 質 転 換 コ ロ ニ ー をSD選 択 培 地 で 増 殖さ せ た後 、YPDで 二日 問培 養し 、 培養 上清 を 回収 した 。リ コンビナントAFPの産生は放射免疫測定方法で確認し た。得られたりコン ビナ ントAFPタ ンパ クの 抗原 特性 はWestern blottingと ゲル 内 二重 免疫拡散法で検討 した。

4. ELISA:96 well plateに各抗体を固定し、リコンビナントAFPタンパクを含む培養液 を反 応さ せた 。こ れに ウサ ギ抗 ヒ トAFP血 清を 反応 させ たの ち 、ペ ルオキシダーゼ標 識抗ウサギ抗体を用いて結合した抗体を検出 した。

5. ペ プチ ド合 成及 びピ ンELISA: マル チピンベプチド合成法によ り、連続した重複ベ プチ ドを 合成 した 後、 ピンELISAでベ プチ ドエ ピト ープ に対 す る抗 体の結合活性を調

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(2)

べた。

    結  果

1. AFP全分子(ドメイン1―2―3),AFPの各ドメイン1,2,3及び連続した2個のドメイン 1−2,2一3に 対 応 す る6の 発 現 プ ラ ス ミ ドpNWHAFP,pNWHl,pNWH2,pNWH3, pNWH12,pNWH23を 作 製 し たb酵 母 に 導 入す ると 、リ コン ビナ ント タン パクYH,Hl, H12,H23,H3は発 現 した が、H2は 発現 しな かっ た。Western blottingでは 、H3は 予 想分子量より小さかったが、他のりコンビナントタンパクは予想される移動度を示した。

これらりコンビナントタンパクを用いて、ELISAにより抗体エピトープの存在ドメインを検 討 し た 。13種 の 抗 体 は ヒ トAFP(YH)の 他、Hl,H12と 強く 反応 した が、H23とH3と 反 応しなかった。これら抗体認識するエピトープ はドメイン1に存在すると考えられた。17 種 の 抗 体 はYH,H3と 強 く 反 応 し た が 、そ のう ち16種 はH23に も反 応す る事 か ら、 こ れら抗体認識するエピトープはドメイン3に存在すると考えられた。残りの6種の抗体エ ピトープは特定できなかった。しかし、これら のうち、ISOBM―112にっいてはAbelevら の 報 告 と 合 わ せ て 考 え る と ド メ イ ン3に 存 在 す る と 思 わ れ る 。 ま た、ISOBM−93と ISOBM―98につ いて は、Taketaら は糖 鎖に 関連 する と報 告し てお り 、エピトープは糖 鎖が存在するドメイン2にあると思われる。

2. 抗AFP血 清 を 用 い た ゲ ル 内 二 重 拡 散 免 疫 法 で は 、HlとH12の 問 で は 沈 降 線 が 完全 に融 合し て、 抗原 性の 違い は認 め られ ない ので 、ド メイ ン2の 抗原活性は低いと 考 え ら れ る 。H3とH23の 問 抗 原 性 の 差 異を 認め たが 、H3の分 子量 が計 算値 よ り小 さ し、また不均一であり、その分解が考えられた ので、本質的なものでないと思われた。

なお 、36種の 抗体 のう ちエ ピト ープ が 確実に同定出来た30種のエピ トープの存在ドメ インはすべてドメイン1かあるいはドメイン3で あった。AFPの抗原活性は主 にドメイン1 とドメイン3が担っ てしヽると考えられる。

3. 合成 オ クタ ベプ チド に対 する モノ クロ ーナ ル抗 体の 反応 性を 検 討した。AFY6以外 の 抗 体 は い ず れ も が 有 意 な 反 応 を し な か っ た 。AFY6は オ ク タ ペ プ チ ド C175KAENAVE182と 強 く 反 応 し た 。 こ の 反 応 はAFPに よ っ て 阻 害 さ れ た 。 ClrsKAENAVE182中 心 にさ まざ まな ペプ チド を合 成し 、AFY6抗 体と の反 応性 を 調べ た 結果 、エ ピト ープはアミノ酸配列A177 ENAVE182が基本活性に必要で あっり、上記のオ クタベプチドで十分な活性を示した。

    結  論

1.リコ ンビナントAFPプロテインを 用いた実験より、36種のマウス抗ヒトAFPモノクロー ナル抗体のエピトープうち、13種の エピトープはドメイン1に、17種のエピトープはドメ イン3に 存在する事を明らかした。ヒトAFPのエピトープの多くがドメイン1とドメイン3に 存在し、ドメイン2の抗原活性は低いものと思われます。

2. AFY6が認識するエピトープは合成ベプチドを用い た実験より、ドメイン1に存 在す る 、C175KAENAVE182, の オ ク タ ベ プ チ ド に 存 在 す る こ と が 明 ら か に な っ た 。

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学 位 論 文 審 査 の 要旨

     学位論文題名

Analysis of epitopes of mouse monoclonal antibodies      ●

    agalnSthumanalpha ‐f ・etoprotein

(ヒトAFP に対するマウスモノクローナル抗体のエピトープの解析)

ア ルフ ァ― フ ェト プロ テイ ン(AFP)は胎 児 期に 肝臓 、卵 黄嚢 で 産生 され るが 、 出生 後は その 産 生 が停 止す る。 し かし、肝癌、卵 黄嚢癌で産生されるため、 信頼性の高い腫瘍マーカーと し て 臨床 診断 に 用い られ ると 共に 基 礎的 な癌 研究 に 広く 応用 され てい る 。し かし 、AFPの 詳細 な 構 造 や 生 物 学 的 活 性 に は な お 不 明 な 点 が 多 い 。AFPに対 す るモ ノク ロー ナ ル抗 体は それ ら の研究のまた抗原構造の解 析の重要な手段である。

申 請 者は 、本 研究 で36モ ノク ロー ナル 抗 体の エピトープの局在 をりコンビナントAFPドメイ ン を 作 製し 検討 した 。 また 合成 ペプ チド を 用い てー抗体のエピト ープを同定した。AFP分子全 体

( ドメイン1―2−3: YH),AFPの各ドメイン(1:Hl,2:H2,3:H3)及び連続した2個のドメイン

(1−2: H12,2−3:H23) に 対 応 す る6個 の 酵 母 発 現 分 泌 プ ラ ス ミ ドpNWHAFP,pNWHl, pNWH2,pNWH3,pNWH12,pNWH23を 作 製 し た 。 プ ラ ス ミ ド を 酵 母 細 胞20812KR16に ア ル カ リ 金 属 法 で 導 入 し た 。 形 質 転 換 コ ロ ニ ー をSD選 択 培 地 で増 殖さ せ た後 、YPDで 二日 間培 養 し た。 リコ ンビ ナ ントAFPの 産 生は 培養 上清 の放射免疫測定 方法で確認した。リコンビナ ン ト タ ンパ クYH,Hl,H12,H23,H3は 発現したが、H2は発現しな かった。得られたりコンビナ ン トAFPタン パ クを 部分 精製 しそ の 性状 を検 討し た。Western blottingでは、H3は予想分子量 よ り 小さかったが、他のりコン ビナントタンパクは予想される移動度を示した。抗AFPポリクローナ ル 血 清を 用い たゲ ル 内二 重拡 散免 疫法 で はド メイ ン1とド メイ ン3はそ れぞれ特異な抗原性 を 有 する事またドメイン2の抗原 性は低いとの結果が得られ た。

    96孔プラスチックマイク ロタイトレータープレートを 用いる酵素免疫測定法(ELISA)によル モ ロクローナル抗体のドメイ ン局在を検討した。固相に吸 着させ各リコンビナントAFPにモノク ロ ーナ ル抗 体 を反 応さ せ次 いで ペ ルオ キン ダー ゼ 結合 抗マ ウスIgG抗体 を反 応 させ た。 結合 し た 抗 体 量 は 酵 素 活 性 よ り 求 めた 。13抗 体はYHの 他、Hl,H12と強 く 反応 した が、H23とH3 と 反応しなかった。これら抗 体認識するエピトープはドメ イン1に存在すると考えられ た。17抗

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彦 三

邦 信

林  

  橋

小 西

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

体はYH,H23,H3と反応しその認識するエピトープはドメイン3に存在すると考えられた。しか し6抗体エピトープは特定できなかった。エピトープが確実に同定出来た30抗体のエピトープ はドメイン1かドメイン3であり、AFPの抗原活性へのドメイン2の寄与は低いと考えられる。

  また、マルチピンペプチド合成法により、ドメイン1に属する8個のアミノ酸から成る87ペプ チドを合成した。固相に結合させたペプチドへの各抗体の反応性をELISAで検討した。ある1 種 (AFY6)以外 の 抗 体は い ずれ もが有意 な反応 をしなか った。AFY6はオクタ ペプチ ド C175KAENAVE182と強く反応した。この反応はAFPで阻害された。C17sKAENAVE182中心にさま ざま な19ペプ チドを合 成し、AFY6抗体との反応性を調べた。エピトープはアミノ酸配列 A177ENAVE182が基本活性に必要であり、かっ、上記のオクタペプチドで最大の活性を示した。

  今回、当教室の6抗体および世界の12研究室から提供された30抗体をりコンビナントタン パクで検討し29抗体のエピトープドメインを同定した。また、合成ペプチドを用いAFY6抗体 のエピトープがアミノ酸175―182にあることを明らかにし、競合反応などによるエピトープのさ らなる局在化を可能にした。

今回の研究はりコンビナントAFP断片化ドメインの作製の初めての報告であり、AFPの機能の 局在などに応用可能であろう。

  口頭発表に当たって、副査石橋輝雄教授よルリコンビナントタンパクの化学的性状、抗原活 性及びエピトープドメインの同定の方法論について質問があった。また主査小林邦彦教授よル ドメイン2の抗原性が低い理由、合成ペプチドを用いる方法の利点と限界及び幾っかの抗体 のエピトープを同定しえなかった理由について質問があった。申請者は概ね妥当な回答をし たが、その場で答えられない部分に対しては後日文書で回答し、その内容もまた概ね妥当で あった。

審査員一同は、これらの成果を評価し、大学院課程における研鑚や取得単位なども併せ申請 者が博士(医学)の学位を受けるに資格を有するものと判定した。

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参照

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