博 士 ( 工 学 )
SheelaChandren学 位 論 文 題 名
Preparation
,
Characterization and Photocatalytic Properties of Titania Particles Encapsulated in Honow Silica Shells(中空シ リカシェ ルに内包 された酸化チタン粒子の調製構造評価と光触媒特性)
学位論文内容の要旨
酸 化チタ ン(W)( チタニ ア) は環境浄化や太陽光による水分解のための光触媒として注目され,前 者 につい てはす でに実 用化 が進ん でいる ,光触 媒反応 は光 触媒が 光を吸 収する こと によっ て生じる 励 起電子 と正孔 が,光 触媒 表面に 吸着さ れた反 応基質 をそれぞれ還元,酸化することによって開始す る 反応で ある. 環境浄 化な どの実 用化条 件では 常に酸 素が存在するため,励起電子が効率よく酸素に よ って捕 捉され ,正孔 が有 機化合 物など の汚染 物質を 分解する,チタニア光触媒を用いると有機化合 物 が二酸 化炭素 にまで 完全 に酸化 される ので, チタニ ア光 触媒は その酸 化能カ が強 いこと が原因で 無 選択的 に有機 化合物 を分 解する と考え られて いる, しかし,実際には,励起電子が酸素に捕捉され る ことが 主たる 理由で あり ,無酸 素の条 件では 必ずし も完全酸化が起こらず。場合によっては有機化 合 物を合 成する ことも 可能 である ことが わかっ ている .本研究では,L‑リシンを原料とする光触媒反 応 に よ りL‐ ピ ペ コ リン酸 を選 択的に 合成す るため のチタ ニア 光触媒 粒子を 開発す るこ とを目 的と し た.光 触媒反 応に対 して 選択性 を賦与 するに は,光 触媒の表面を有機の官能基で修飾することが多 い が,表 面修飾 により 光触 媒表面 の反応 点が覆 われて 速度が低下することや,修飾剤そのものが光触 媒 反応に より分 解する とい う問題 点があ る.光 触媒表 面では教く,反応系に光触媒以外の添加物を加 え ること は,反 応後の 処理 が必要 と改る ため好 ましく ない .
本 研究で は,中 空で多 孔質 のシリ カシェ ルに内 包され たチタニア粒子を調製し,これを光触媒として 用 いた, シリカ シェル とチ タニア 粒子が 密着し ない中 空コアーシェル構造の粒子では,シリカの光吸 収 が 約300 nm以下 の 紫 外 線 に限 ら れ る た め。 内 部 の チ タニ ア は300〜400 nmの 紫外光 を吸 収でき る と期待 される .また 。シ リカが アモル フんス で多孔 質であれぱ,反応基質分子は内部の酸化チタン に 到 達 で き, ま た , シ リカ が チ タ ニ アを 覆 っ て い な いた め , 反 応 の阻 害 が 次 い と考 え られ る.
シ リカシ ェルに 内包 された チタニ ア粒子 の調 製は既報の方法を改良して行った.まず.表面をアミ ノ シ リ ル 化し た チ タ ニア粒 子を懸 濁させ たグル コー ス水溶 液をテ フロン 容器 に入れ 、180℃にお い て 水熱処 理を行 って, 表面 に炭素 皮膜を 形成さ せた. 減圧 下,600℃で 加熱して炭素膜を緻密化させ た 試料に ついて ,テト ラエ トキシ シラン をっか ってシ リカ薄膜を付着させた.減圧下で熱処理を行っ た の ち , 空気 中600℃ で焼 成する ことに よって 内側 の炭素 膜を燃 焼除去 して, 中空 コア― シェル 構 造 とした .これ を塩化 白金 酸を含 む水溶 液に懸 濁させ て光を照射すると,チタニアの光触媒作用によ り ,白金 微粒子が内部のチタニア表面に析出した.また,メタノールを加えてさらに光を照射すると,
未 修飾の チタニ アとほ ば等 しい速 度で水 素生成 反応が 進行した.炭素膜を形成させ教いで,直接シリ カ で被覆 したチ タニア では ほとん ど反応 が起こ ら誼か った ことか ら,シ リカシ ェル が多孔 質で基質 一283―
の流 通が容 易であ るこ と,シ リカは チタニ ア表 面を直 接覆っていをいことがわかった.調製した粒子 は乾 燥状態 では機 械的 強度が 低いが ,水懸 濁状 態では 安定であった,これは,水中ではシリカ膜が膨 潤し て柔軟 顔構造 とを ってい るため と思わ れる .
この よう に調製 した中 空コア ーシェ ル粒 子を. 無酸素 条件下 の水 溶液中 におけ るL‑リ シンの 脱ア ミノ‑N‑環 化反応 によ るL− ピペ コリン 酸合成 に適用 したと ころ .未修 飾のチ タニア とほ ば等し い収 率と 選択性 でピペ コリ ン酸が 生じる ととも に, 未修飾 のチタ ニアの 場合の 約55パ ーセン トと比 べて 光学 純度が 向上した(約70パーセント),この反応は,L―リシンのaおよび£‐アミノ基のいずれかの 光触 媒の正 孔によ る酸 化によ り生成 するイ ミン が加水 分解さ れてそ れぞれ ケト 酸ある いはア ルデヒ ドが 生じ, これら と残 りのア ミノ基 との縮 合に より生 じる環 状シッ フ塩基 が励 起電子 により 還元さ れて ピベコ リン酸 が生 成する .この 機構で は, £‐ア ミノ基が酸化される経路では原料の立体配置を 保っ たL‑ピ ベコリ ン酸が 生成す るが,a‑アミ ノ基が 酸化される場合にはラセミ体が生じるので,£−
アミ ノ基を 選択的 に酸 化する ことが 必要で ある .誘導 体化を行わ顔いでこれを達成するためには、溶 液を 弱酸性 にして 塩基 性が弱 いa‑アミ ノ基 をプロ トン化 して酸 化さ れにく くする のがよ いが。 光触 媒反 応によ り副生 する アンモ ニアに より中 和さ れてし まうと いう問 題があ る, 中空コ ア―シ ェル粒 子で は,膨 潤した シリ カ層を 通して 反応基質であるL‐リシンがチタニア表面に到達して反応するが・
酸性 の性質 をもつ シリ カ層に より, チタニ アの 反応部 位近傍の雰囲気がやや酸性と放る結果,リシン のa‑ア ミノ 基のプ ロトン 化が促 進され た結 果,速 度を低 下させ るこ となし に光学 純度が 向上し たと 考え られる .
さら に光 触媒反 応部位 近傍の 雰囲気 を制 御する ために ,中空 コア ―シェ ル粒子 を硫酸 あるい はメ ルカ プトシ リル化 剤で 処理し た後, 空気中 で焼 成する ことによルスルホン酸修飾を行ったところ,一 定照 射時間 におけ る収 率がわ ずかに 低下し たも のの, より高 い光学 純度でL‑ピベ コリン 酸を得 るこ とが できた .
以上 をま とめる と,本 研究で 調製し た中 空コア ―シェ ル構造光触媒は、シリカがチタニアの表面を 直接 覆うこ とが橡 く, かつ, シリカ 層が多 孔質 で膨潤 した構造をもつため,シリカシェルがをい場合 とほ とんど 同様の 容易 さで基 質がチ タニア 表面 に到達 できる.さらに.シリカそのものあるいはスル ホン 酸基で 修飾す るこ とによ り生じ る酸性 のた め,チ タニアの反応部位近傍の雰囲気が制御されて,
従来 の光触 媒反応 系で 得られ をかっ た高い 光学 純度のL‑ピベコ リン 酸を合 成する ことに 成功し た.
本研 究の成 果は, 中空 コア― シェル 構造光 触媒 あるい はその シリカ シェル を修 飾した 光触媒 により 選択 的′よ 有機化 学反 応を進 行させ うるこ とを 示して おり,他の化合物への合成系への展開が期待さ れる .
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学位論文審査の要旨
主査 教授 吉川信一 副査 教授 安住和久・
副査 教授 大谷文章(触媒化学研究センター)
学 位 論 文 題 名
Preparation , Characterization and Photocatalytic Properties of Titania Particles Encapsulated in Honow Silica Shells
(中空シリカシェルに内包された酸化チタン粒子の調製搆造評価と光触媒特性)
酸化チタン(IV)(チタニア)は環境浄化や太陽光による水分解のための光触媒として注 目され,前者についてはすでに実用化が進んでいる.またチタニア光触媒を用いると有機化 合物が二酸化炭素にまで完全に酸化されるので,チタニア光触媒はその酸化能カが強いた め無選択的に有機化合物を分解すると考えられてきた.本研究ではっL‑リシンを原料とする 光触媒反応によりLrピベコリン酸を選択的に合成するためのチタニア光触媒粒子を開発 することを目的とした,
シリカシェルに内包されたチタニア粒子の調製は既報の方法を改良して行った,まず,
表面をアミノシリル化したチタニア粒子を懸濁させたグルコース水溶液をテフロン容器に 入れ,180℃において水熱処理を行って,表面に炭素皮膜を形成させた.減圧下,600℃で加 熱して炭素膜を緻密化させた試料について,テトラエトキシシランをっかってシリカ薄膜 を付着させた.滅圧下で熱処理を行ったのち,空気中600℃で焼成することによって内側 の炭素膜を燃焼除去して,中空コア―シェル構造とした.これを塩化白金酸を含む水溶液 に懸濁させて光を照射すると,チタニアの光触媒作用により,白金微粒子が内部のチタニア 表面に析出した.また,メタノールを加えてさらに光を照射すると,未修飾のチタニアとほ ば等しい速度で水素生成反応が進行した.調製した粒子は乾燥状態では機械的強度が低い が,水懸濁状態では安定であった.これは,水中ではシリカ膜が膨潤して柔軟な構造とをっ ているためと思われる.
このように調製した中空コアーシェル粒子を,無酸素条件下の水溶液中におけるL・リシ ンの脱アミノ‑N‑環化反応によるL‑ピベコリン酸合成に適用したところ,未修飾のチタニ アとほば等しい収率と選択性でピベコリン酸が生じるとともに.未修飾のチタニアの場合 の約55パーセントと比べて光学純度が向上した(約70パーセント).この反応は,L‑リシン のaおよび£‐アミノ基のいずれかの光触媒の正孔による酸化により生成するイミンが加 水分解されてそれぞれケト酸あるいはアルデヒドが生じ,これらと残りのアミノ基との縮 合により生じる環状シッフ塩基が励起電子により還元されてピペコリン酸が生成する.こ の機構では,£−アミノ基が酸化される経路では原料の立体配置を保ったL‑ピペコリン酸 が生成するが,a‑アミノ基が酸化される場合にはラセミ体が生じるので,£―アミノ基を選 択的に酸化することが必要である.中空コアーシェル粒子では,膨潤したシリカ層を通し て反応基質であるLlリシンがチタニア表面に到達して反応するが,酸性の性質をもつシリ
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カ 層 に よ り , チ タ ニ ア の 反 応 部 位 近 傍 の 雰 囲 気 が や や 酸 性 と を る 結 果 , リ シ ン のa‑ア ミ丿 基 の プ ロ ト ン 化 が 促 進 さ れ た 結 果 , 速 度 を 低 下 さ せ る こ と 顔 し に 光 学 純 度 が 向 上 し た と 考 え ら れ る .
さ ら に 光 触 媒 反 応 部 位 近 傍 の 雰 囲 気 を 制 御 す る た め に 、 中 空 コ ア ― シ ェ ル 粒 子 を 硫 酸あ る い は メ ル カ プ ト シ リ ル 化 剤 で 処 理 し た 後 , 空 気 中 で 焼 成 す る こ と に よ ル ス ル ホ ン 酸 修 飾 を 行 っ た と こ ろ , 一 定 照 射 時 間 に おけ る 収 率 が わず か に 低 下 し たも の の , よ り高 い 光 学 純 度 でL一 ピ ベ コ リ ン 酸 を 得 る こ と が で き た .
以 上 を ま と め る と , 調 製 し た 中 空 コ ア ― シ ェル 構 造 光 触 媒は , シ リ カ がチ タ ニ ア の 表 面を 直 接 覆 う こ と が を く , か つ , シ リ カ層 が 多 孔 質 で膨 潤 し た 構 造 をも っ た め , シリ カ シ ェ ル が を い 場 合 と ほ と ん ど 同 様 の 容 易 さ で 基 質 が チ タ ニ ア 表 面 に 到 達 で き る . さ ら に , シ リ カ そ の も の あ る い は ス ル ホ ン 酸 基 で 修 飾 す る こ と に よ り 生 じ る 酸 性 の た め , チ タ ニ ア の 反 応 部 位 近 傍 の 雰 囲 気 が 制 御 さ れ て . 従 来 の 光 触 媒 反 応 系 で 得 ら れ 教 か っ た 高 い 光 学 純 度 のLIピ ベ コ リ ン 酸 を 合 成 す る こ と に 成 功 し た ,
こ れ を 要 す る に , 著 者 は , 中 空 コ ア ― シ ェ ル構 造 光 触 媒 ある い は そ の シリ カ シ ェ ル を 修飾 し た 酸 化 チ タ ン 光 触 媒 に よ り 選 択 的 を 有 機 化 学 反 応 を 進 行 さ せ う る こ と を 明 ら か に し . 他 の 有 機 化 合 物 の 合 成 系 へ の 展 開 が 期待 さ れ る . よっ て 著 者 は , 北海 道 大 学 博 士( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 が あ る も の と 認 め る 。
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