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学位論文題名EffeCtSOfVOlatileaneSthetiCSOnreSpiratoryaCtiVity andChemOSenSitiVityintheiSOlated brainStem―SplnalCOrdoftheneWbornrat.

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 大 塚 浩 司

     学位論文題名

EffeCtSOfVOlatileaneSthetiCSOnreSpiratoryaCtiVity     andChemOSenSitiVityintheiSOlated     brainStem ― SplnalCOrdoftheneWbornrat .

(新生ラット遊離脳幹脊髄標本の呼吸性活動と 二酸化炭素反応性に及ぼす吸入麻酔薬の影響)

学位論文内容の要旨

    背景:吸入麻酔薬による呼吸変化には複数の機序が考えれており、主なものとしては、

中枢性および末梢性化学受容器からの信号への影響、肋間筋などの呼吸筋の抑制作用などがあ げられる。吸入麻酔薬であるハ口夕ンはCNSへ広範な影響を与えることから、脳幹に存在す る呼吸性二ユー口ンに対しても何らかの作用を及ぼすことが示唆される。脳幹に存在する呼吸 性二ユーロンはネッ卜ワークを形成し、後シナプス性興奮および抑制によルリズムを発生する と考えられている6これらのりズム発生には、グルタミン酸、GABA依存性神経伝達が重要で あること、さらに吸気性二ユー口ンがGABAにより抑制されることなどから、GABAシステム が呼吸調節に重要であることが予想される。これらの呼吸性二ユー口ンに対する吸入麻酔薬の 作用は、動物実験(in vivo)において検討されているが、上位中枢や末梢からの求心性信号から の影響を完全に除外することは出来ず、さらに循環系への影響を受けるために、呼吸中枢への 麻酔薬の純粋な作用を評価することは困難であった。そこで著者は、呼吸中枢部位単独で自発 性呼吸性活動の認められる新生ラット脳幹脊髄摘出標本を用い、人工脳脊髄液の変更により 種々の環境下での呼吸バターンの評価から、呼吸抑制の根本的原因と考えられる呼吸中枢その ものへの作用を始めの実験にて明かにし、さらに二酸化炭素反応性の評価を行い、吸入麻酔薬 による呼吸抑制の機序を考察する。

    方法 :生後Oから4日目のSpraque−Dawley種ラッ卜の 頭部、上胸 部をェーテ ル麻酔 下で切断し、酸素化し冷却した人工脳脊髄液中(ACSF) (NaCl,124; KC1,5.0;KH2P04,1.2; CaCl2,2.4; MgS04,1.3; NaHC○3,26;glucose,30;(inmM).)で速やかに脳幹脊髄を摘出 し た 。 ACSFは 5% 二 酸 化 炭 素 加 95% 酸 素 に て 飽 和 し 、pHは7.4に 調 節 し た 。 呼吸性活動を第4あるいは第5頚髄前根より吸引電極を用いて測定した。呼吸性二ユー口ンか らの細胞外単一神経活動の記録には電極抵抗4‑12 MQの微小電極を用いた。微小操作器を用 いた手法により延髄表面より吸気性、呼気性、およびPre一I二ユー口ンを確認した。記録され た信号は、増幅、フィルターした。頚髄前根からの信号は時定数O.l秒にて整流積分し、」C4と して評価した。ハ口夕ン気化器を用いて毎分1Lの混合ガスにより灌流液を飽和させた。気化 したハ□夕ンの濃度は、赤外線ガスモ二夕ーにより、実際の灌流液中の濃度はガスク口マトグ

(2)

ラフィにより確認した。

呼吸性 活動 値: 吸気 活動 の頻度を、呼吸回数(fR; bursts‑s・l)とした。C4活動の持続時間か ら 吸 気 時 間(Ti; ms)、IC4の 波 高 よ りvoltage unitを 求 め 、fRと の 積 を 分 時呼 吸 活 動 量 (RlvIA)とした。吸気性二ユー口ン、呼気性二ユー口ン、Pre−Iこュー口ンの活動波形から、そ れぞれ 、fi(spikes‑s・  ̄),fe(spikes.s・ ̄),Tp(ms),fp(spikes‑s. ̄)を計算した。

研究手 順  (1)吸 気性 ニュ ー口ン およ び第4頚 髄前 根活 動に対 する ハ口 夕ン の作 用:自発的 呼吸 性 活 動 が 安 定 し た後 、コ ン卜 口ー ル、 ハ口 夕ン0.5% 、1%、2%の 各濃 度で 順次 灌流 す る 。15分 間 の 灌 流 の 後10回 の 呼 吸 性 活 動 を 記 録 し 、 各 デ ー タ の 平 均 値 を 計 算 し た 。

(2)GAF:3A拮 抗薬 も作 用: ピクク1」 ン15 UMを 加え た灌流液にて、上記手順と同様にハ□夕 ンの作用を確認した。

(3)3種 類 の 麻 酔 薬 の 比 較 : ハ 口 夕 ン 、 イ ソ フ ルラ ン、 エン フル ラン の3種 類の 麻酔 薬のC 4活動に及ぼす影響を比較した。

(4) 二酸 化炭 素反 応性 :` 摘出さ れた 標本 を、 容量0.8mlのチャンバ一内で、毎分8mlで灌流 する。 前述 のACSFを100%酸 素と50%二 酸化 炭素 でそ れぞ れ独 立に 通気 して 、7:0(アシドー シス)、7.4(正常)、7.8(アルカ口ーシス)の3種類のpHのACSFを作成した。膜型pHメーター に て 連 続 的 にpHを モ 二 夕 リ ン グ し 、 各 溶 液 で 摘 出 標 本 を 灌 流 し た 。 呼 吸 性 活 動 と し て

」C4,fR,Ti,RMAを測定した。アシドーシス、アルカ口一シスによる呼吸性活動の変化はハ口夕 ン0.25 mMを含 む灌 流液 にて 同様に 評価 した 。fR,Ti,IC4のア シド ーシ ス、 アル カ口ーシス による変化は、それぞれA7.0−7.4,A7.8−7.4で表した。

    結 果 : ハ 口 夕 ン の呼 吸性 活動 に対 する 作用 :周 期が5.6ー11回 /分 の呼 吸性 活動 を観 察 した。31標 本よ り吸 気性 二ユー口ン22、呼気性二ユー口ン4、Pre−Iニュー口ン5からのデータ が得ら れた 。標 本の 安定 性が4−5時間に限られていること、ハ口夕ン暴露からの回復に時間を 要 す る こ と な ど か ら 、 各 標 本 に 対 す る 麻 酔 薬 の 灌 流 は 1回 限 り と し た 。 ビ ク ク リ ン はfR, fiIRMAを 増 加 さ せ た が 、 他 の 呼 吸 性 活 動 に は 影 響 し な か っ た 。 ハ口夕 ンに よりC14活動 、吸 気性二 ユー 口ン は濃 度依 存性に抑制された。ピククリンの併用に よりそ の作 用は 弱め られ た。C4活 動と 吸気 性二 ユー ロン は全て の実 験条 件に おい て常に同期 していた。

ハ口夕 ンは 濃度 依存 性に 呼吸回数を減少させた。ピククリンの併用によりその減少効果は弱め られたが、2%の高濃度では呼吸回数は著しく減少した。

ハ口夕 ンに より 吸気 時間 は短縮したが、ピククリンはその作用に影響しなかった。高濃度のハ 口 夕 ン に よ り(C4,RMA、fiは 抑 制 さ れ た 。 ビ ク ク1jン は そ の 抑 制 作 用 を 弱 め た 。 吸気性 二ユ ー口 ンとPre―I=ユー口ンに対するハ口夕ンの影響:吸気性二ユーロンは、0.5%の ハ口夕 ンに より 著し く抑 制された。Pre―I=ユーロンの発射頻度は0.5%のハ口夕ンにより著し く抑制 され た。 さら にC4と同 期し なく なり 、PreーIが先 行しな くて もC4活動 が認 められた。

工ン フ ル ラ ン は 、 ハ 口夕 ン、 イソ フル ラン に較 ぺてfR、RMAの 抑制 作用 が強 く、 それ はビ ク ク1jンに相殺される傾向を示した。

二酸 化 炭 素 反 応 性 : アシ ドー シス によ り、fR、RMAは 増加 し、Tiは 減少 した 。ハ 口夕 ンに よ り呼吸 性活 動は すぺ て減 少したが、アシドーシスによる変化は同様に認められた。アルカ口ー シスに より 、fRは減 少し 、JC4とTiは増 加し た。 ハ口 夕ンによりfRは著しく減少した。アシド ー シ ス 、 ア ル カ ロ ー シ ス 共 に 、ATi,AJC4、AfRの 間 に 有 意 な 相 関 関 係 は 認 めな か っ た 。     結 論 : 脳 幹 脊 髄 標 本 に お け る 呼 吸 性 活 動 は 吸入 麻酔 薬に より 濃度 依存 性に 抑制 され る

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が、その抑制作用の一部はビククリンで遮断された。吸入麻酔薬における呼吸抑制作用のう ち、呼吸回数や1回換気量に相当する呼吸性活動はGABAAを介したものであることが示唆さ れた。腹側延髄で確認された呼吸性二ユーロンのなかで、吸気性二ユーロンのみがハ口夕ン麻 酔中も呼吸性周期に重要な役割を果たすことが示された。

脳幹脊髄標本にて確認された二酸化炭素反応性は、ハ口夕ン混入下でも同様の変化を示した。

低濃度麻酔薬においては、二酸化炭素反応性の低下が呼吸抑制の主たる要因とは考えられな い。in vivoでの結果との比較より、呼吸筋への作用や末梢受容器からの入力制限などの末梢 機序が低濃度麻酔薬使用時の呼吸抑制の機序として重要であると思われる。高濃度麻酔薬の吸 入ではさらに腹側延髄の呼吸性二ユー口ンの自発活動が抑制されることによる中枢作用も加わ ると考えられる。さらに、脳幹脊髄標本を用いた麻酔薬の呼吸中枢への作用を検索すること で 、臨 床麻酔 にお ける 呼吸 抑制の 発症 やそ の予 防に示 唆を 与え ること が期 待される。

(4)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

EffeCtSOfVOlatileaneSthetiCSOnreSpiratoryaCtiVity     andChemOSenSitiVityintheiSOlated     brainStem ・ SplnalCOrdoftheneWbornrat ・

(新生ラット遊離脳幹脊髄標本の呼吸性活動と 二酸化炭素反応性に及ぼす吸入麻酔薬の影響)

    吸入麻酔薬による呼吸変化には複数の機序が考えれており、主なものとしては、中 枢性および末梢性化学受容器からの信号への影響、肋間筋などの呼吸筋の抑制作用などが あげられる。吸入麻酔薬であるハ口夕ンはCNSへ広範な影響を与えることから、脳幹に 存在する呼吸性二ユー口ンに対しても何らかの作用を及ぼすことが示唆される。呼吸性 二ユー口ンに対する吸入麻酔薬の作用は、動物実験(in vivo)において検討されているが、

上位中枢や末梢からの求心性信号からの影響を完全に除外することは出来ず、さらに循環 系への影響を受けるために、呼吸中枢への麻酔薬の純粋な作用を評価することは困難で あった。呼吸中枢部位単独で自発性呼吸性活動の認められる新生ラット脳幹脊髄摘出標本 を用い、人工脳脊髄液の変更により種々の環境下での呼吸バ夕一ンの評価から、呼吸抑制 の根本的原因と考えられる呼吸中枢そのものへの作用を始めの実験にて明かにし、さらに 二酸化炭素反応性の評価を行い、吸入麻酔薬による呼吸抑制の機序を考察した。生後0か ら4日目のSpraque―Dawley種ラットの脳幹脊髄を人工脳脊髄液中にて速やかに摘出し た。ビククリンはfR,fi,RMAを増加させたが、他の呼吸性活動には影響しなかった。ハ

□夕ンによりC4活動、吸気性二ユ一口ンは濃度依存性に抑制された。ビククリンの併用 によりその作用は弱められた。C4活動と吸気性二ユ一口ンは全ての実験条件において常 に同期していた。ハ□夕ンは濃度依存性に呼吸回数を減少させた。ビククリンの併用によ りその減少効果は弱められたが、2%の高濃度では呼吸回数は著しく減少した。ハ口夕ン により吸気時間は短縮したが、ビククリンはその作用に影響しなかった。高濃度のハ口夕 ンによルfC4,RMA、fiは抑制された。ビククリンはその抑制作用を弱めた。吸気性ニュ ー口ンは、0.5%のハ口夕ンにより著しく抑制された。PreーIニュー口ンの発射頻度は0.5

%のハ□夕ンにより著しく抑制された。さらに、C4と同期しなくなり、Pre―Iが先行しな くてもC4活動が認められた。工ンフルランは、ハ口夕ン、イソフルランに比較してfR、

修 夫和       盛義 物野 上 劔菅 川 授授 授 教教 教 査査 査 主副 副

(5)

RMAの抑制作用が強く、それはビククリンに相殺される傾向を示した。アシドーシスに より、fR、RMAは増加し、Tilrま減少した。ハ口夕ンにより呼吸性活動はすべて減少した が、アシドーシスによる変化は同様に認められた。アルカ口一シスにより、fRは減少し、

fC4とTiは増加した。ハ□夕ンによりfRは著しく減少した。脳幹脊髄標本における呼吸性 活動は吸入麻酔薬により濃度依存性に抑制されるが、その抑制作用の一部はビククリンで 遮断された。吸入麻酔薬における呼吸抑制作用のうち、呼吸回数や1回換気量に相当する 呼吸性活動はGABんヽを介したものであることが示唆された。腹側延髄で確認された呼吸 性ニュ一□ンのなかで、吸気性二ユー口ンのみがハ口夕ン麻酔中も呼吸性周期に重要な役 割を果たすことが示された。脳幹脊髄標本にて確認された二酸化炭素反応性は、ハ□夕ン 投与下でも同様の変化を示した。低濃度麻酔薬においては、二酸化炭素反応性の低下が呼 吸抑制の主たる要因とは考えられない。in vivoでの結果との比較より、呼吸筋への作用 や末梢受容器からの入力制限などの末梢機序が低濃度麻酔薬使用時の呼吸抑制の機序とし て重要であると思われる。高濃度麻酔薬の吸入ではさらに腹側延髄の呼吸性ニュー□ンの 自発活動が抑制されることによる中枢作用も加わると考えられる。脳幹脊髄標本を用いた 麻酔薬の呼吸中枢への作用を検索することで、臨床麻酔における呼吸抑制の発症やその予 防に示唆を与えることが期待される。

学位論文の公開発表に際し、副査の菅野教授から呼吸性ニュー□ンの感受性の違い、ビク クリン単独の影響、セボフルランで予測される結果などについて、副査の川上教授より新 生ラット標本の問題や呼吸性活動の計時的変化について、主査の劔物教授より潅流液の温 度、エンフルランで得られた結果と臨床的な現象との関連などについて、フ□アーより各 呼吸性ニュー口ンの役割などについての質問があった。いずれの質問に対しても、申請者 は文献的及び臨床的経験より明確に回答した。

この論文は、呼吸中枢への直接的作用をin vitroにて評価しうる遊離脳幹脊髄標本を用い て吸入麻酔薬による呼吸抑制作用を評価した点で画期的である。今後、種々の麻酔薬や呼 吸抑制作用を有する薬物の呼吸中枢への作用を解明する足がかりとしても期待される研究 である。審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受け るのに充分な資格を有するものと判定した。

参照

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