博 士 (水 産 学 ) 茗荷 尚 史
学位 論文題 名
海洋細菌
AZと
erorn〇
nas sp.の産生 する 抗 ウ イ ス ル 物 質 に関 す る 研 究
学 位 論 文 内 容 の要 旨
魚 類 の 増 養 殖 事 業 現 場 に お い て 、 健 康 種 苗 の 確 保 お よ び 管 理 、 感 染 症 の 防 除 は 不 可 欠 な 課 題 で あ る に も 関 わ ら ず 、 毎 年 種 々 の 疾 病 が 発 生 し 、深 刻 な 打 撃を 受 け て いる 。 特 に ウ イ ル ス 感 染 症 は 、 そ の 伝 播 が 細 菌 そ の 他 に よ る 感 染 症 に 比 べ て 極 め て 迎 く 、 し か も 有 効 な 治 療 薬 も な い こ と か ら 、 一 度 ウ イ ル ス 病 が 発 生 す る と 、 多 大 な 被 害 を 被 る 場 合 が 多 い 。 従 っ て 、 ウ イ ル ス 病 の 効 果 的 な 防 疫 法 が 強 く 望 ま れ て い る 。 そ こ で 本 研 究 は 、 水 圏 由 来 細 菌 が 産 生 す る 抗 ウ イ ル ス 物 質 を 魚 類 ウ イ ル ス 性 疾 病 の 予 防 ・ 治 療 対 策 に 有 効 利 用 す る こ と を 考 え 、 そ の た め の 基 礎 的 知 見 を得 る こ と を目 的 と し た。
ま ず 第
1章 で は 、
Kameiら
(1987c,
1988b)が 分 離 し 、サ ケ
・ マ ス 類 の 代 表 的 な 病 原 ウ イ ル ス で あ る 伝 染 性 造 血 器 壊
死 症ウ イ ル ス (
IIINV)に 対 し 、抗 ウ イ ルス 活性を 示す水 圏
由 来 細 菌
125菌 株 の う ち 、強 い 抗
IH NV活 性を 有 す る
63菌 株
を 供試 し て 、 それ ぞ れ の 産生 す る 抗
1|
I NV物質の 作用特 性
に 基 づ く 型 別 を 行 っ た 。 得 ら れ た 結 果 は 、 水 圏 由 来 細 菌
の 産 生 す る 抗 ウ イ ル ス 物 質 に 関 す る こ れ ま で の 報 告 の 多
く が ウ イ ル ス レ セ プ タ ーの プロ ック やウ イル ス粒 子の 酵 素 的 分 解 な ど ウ イ ル ス に対 する 直接 作用 であ ると して い る こ と を 支 持 す る と と もに 、ウ イル スの 増殖 段階 を阻 害 す る 物 質 や 作 用 の 異 な る複 数の 物質 を産 生す る細 菌も 存 在 す る こ と が 新 た な 知 見と して 得ら れた 。ま たこ のよ う な物質を産 生する細菌 1 ま分類上Pseudo ;vonas 属やレ ibrio 属 の 細 菌 と す る 報 告 が ある が、 海水 環境 由来 菌株 では 両 属細菌の他 Hora.Yel la 属も多数存在すること、さらに上記 63 菌株 より 代表 4 菌 株を 選び 、そ れ ぞれが産生する抗 IHNV 物 質 の 諸 性 状 の 検 討 結 果、 水圏 由来 の細 菌が 産生 する 抗 ウ イ ル ス 物 質 は 多 様 で あ る こ と が 明 ら か と な っ た 。 第 2 章 で は 第 1 章 の 結 果 か ら 高 分 子 で 易 熱 性 の 抗 IHNV 物 質 を 産 生 す る こ と が 示唆 され た海 洋細 菌 Al teromonas sp. 48HS − 27 株を供試 し、まず抗ウイルス物質産生条件の 検討を行っ た。その結果、 25 ℃で 72 〜 96 時間振盪培 養する の が 最 適 で あ っ た 。 次 にこ の条 件下 で培 養し た上 清か ら 抗 IHNV 物質の精製を試み、限外濾過、 硫安塩析、アセトン 沈 澱 、 ゲ ル 濾 過 お よ び 分取 電気 泳動 など によ り、 精製 度 270 倍、最終収率 6 . 20 %で精製抗IHNV 物質48HS ー27A を得た。
次 に精 製 48HS − 27A を 用い て魚 類 株化細胞に対する細胞毒
性 を 謂 ぺ る と と も に 、 各種 魚類 病原 ウイ ルス に対 する 抗
ウイルス活 性を検討した。その結果、 48HS − 27A の魚類株化
細 胞 に 対 す る 最 小 毒 性 濃 度 は 144 皿 g/ml で あ っ た の に 対
し、魚類病原ウイルス 0MV 、 HRV 、 IHNV 、svcv 、 PFR および EVA
に対する50 %感染阻止濃度(ICs 。)は0 .09 〜2 .5111 g/ml と
低 く、 48HS − 27A は低 細胞 毒性 で かっこれらのウイルスに
強 い 抗 ウ イ ル ス 活 性 を 有 す る こ と が 証 明 さ れ た 。 本 物 質
は 既知の抗ウイルス剤と比較しても極めて強い活性を有 していた。さらに本物質は、カゼインおよびウシ血清アル プミンに対し分解活性を有するプロテアーゼであること、
ヒ ト腫癌細胞である KB 細胞およびマウス自血病自血球細 胞である L1210 細胞に対し、弱い抗腫癌活性が認められる ことなどを明らかにした。次に48HS −27A の酵素学的性状 を 検討した。まず pH および熱安定性について調べたとこ ろ、48HS −27A は1 ℃、3 時間の条件下でpH3. 0 〜11.0 の範囲 でほぼ安定であったが、熱に対しては不安定であった。分 子量約 52 .000 の48HS −27A (pI5 . 1 )は20 ℃以上で15 分間加 熱することにより、 48HS − 27A の二量体と考えられる分子 量約98 ,000 の熱変性酵素(48HS ‐27B ;pI5 .1) を生じ、さら に 温度を上げて 50 ℃で 15 分間加熱することにより単畳体 で分子畳約45 ,000 の熱変性酵素(48HS ― 27C : pI5.2 )へと 不可逆的に変化した。 48HS ‐ 27A のプロテアーゼ活性に対 し 賦活化作用を示す塩類は塩化ナトリウム、塩化マグネ シ ウムおよ び塩化カ ルシウム で至適濃 度はそれぞれ500 mM 、80mH および8mH であった。これら塩類の賦活化作用は、
マ グネシウムおよびカルシウムが分子内金属としてプロ テ アーゼ活性に関与し、ナトリウムが酵素の安定化に関 与 していることが推定された。次に基質特異性を検討し たところ、抗ウイルス活性を有する 48HS −27A は、合成基 質中のチロシン( Tyr )のC 末端側およびフェニルアラニン
( Phe )のC 末端側を切断したが、抗ウイルス活性を失った
48HS − 27B および48HS −27C は、Tyr のC 末端側のみを切断し、
Phe
の
C末 端 側 を 切 断 で き な か っ た 。 こ の こ と か ら
Pheの
C末 端 側 を 切 断 し 得 る か 否 か が 、 抗 ウ イ ル ス 活 性 の 有 無 を 決 定 し て い る 可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。 反 応 至 適 条 件は
48HS−
27Aが
15℃ でpHII .
0、48HS −27B が
45℃で
pH9.O 、48HS −27C が
60℃ で
pH8.5で あ っ た 。 至 適 条 件 下 に お い て 、
48HS−
27AのSuc −Ala ―Ala −Pro −Phe‑MCA に対するィ皿は0 .049mH 、ko は
99sec− |で、同酵素のSuc −Leu ―Leu −Val‑Tyr‑IICA に対する
Kmは0 .47mll 、ko は88sec‑l であった。 また、Suc −Leu −Leu −
Val−
Tyr‑HCAに 対 す る
48HS‑27Bの ィ ロ は
0.
14mM、
koは
71 sec−1 で、同基質に対する48HS −27C のィ皿はO .13mH 、ko は57
sec‑ ̄ で あ っ た 。 ま た キ モ ス タ チ ン お よ び
STIは 本 酵 素 活 性 を 阻 害 す るこ と、
Ph゛
eお よび
Tyrの
C末 端側 を切 断す るこ と な ど か ら キ モ ト リ プ シ ン 類 似 の セ リ ン プ ロ テ ア ー ゼ で あ る 可 能 性 が 考 え ら れ た が 、 本 酵 素 は 分 子 量 、 等電 点 およ び 至 適
pHな ど で 既 報 の キ モ ト リ プ シ ン
A、 ゛
Bお よ び
Cと は 明 ら か に 性 状 が 異 な る こ と か ら 、 新 種 の 酵 素 で あ る 可 能 性 が 高 い 。 さ ら に 抗 ウ イ ル ス 性 プ ロ テ ア ー ゼ
48HS−
27Aの 抗 ウ イ ル ス 作 用 機 序 を 検 討 し た 結 果 、
48HS−
27Aは 魚 類 病 原 ラ プ ド ウ イ ル ス で あ る
IHNV、
HRV、
EVAお よ び
EVEXの 構造 タ ン パ ク を 分 解 し 、 こ れ ら の ウ イ ル ス を 直 接 不 活 化 し て い る こ と が 確 認 さ れ た 。 こ れ ま で に 、 水 圏 に お ける ウ イル ス の 不 活 化 に 関 与 す る 細 菌 由 来 の 物 質 と し て 報 告 さ れ て い る も の は 各 種 の 分 解 酵 素 な ど 高 分 子 で 易 熱 性 の 物 質 が ほ と ん ど で あ る が 、 実 際 に そ の よ う な 物 質 を 精 製 し た 例 は な く 、 ま し て 酵 素 学 的 性 状 を 明 ら か に し た の は 初 め て である。
― 934ー
最後 に第3 章 では、
Pseud〇
ruonas sp.51BBir→
29株および
A1ter01Uonas sp. 48HSー
27株の 産 生 す る抗
IHNV物質を 多量 に 得 る こ と を 目 的 に 、 両 菌 株 を 固 定 化 し た ア ル ギ ン 酸 カ ル シ ウ ム ビ ー ズ を 用 い た バ イ オ リ ア ク タ ー ・ シ ス テ ム を 考 案 し 、 こ れ を 用 い て 抗 ウ イ ル ス 物 質 の 生 産 を 実 験 室 レ ペ ル で 試 み た 。 菌 体 固 定 化 ビ ー ズ を 電 子 顕 微 鏡 観 察 し た と こ ろ 、 細 菌 は ビ ー ズ 表 面で よ く 増 殖し 、 供 試 ビー ズ 中 で のPseud 〇田〇nas sp. 51BB 賈一29 株およびAl terom 〇nas sp. 48
HS−
27株 の 生 菌 数 は
100〜
10iOCFU/Beadに 達 し た。 さ ら に 両 菌 株 の 抗 ウ イ ル ス 物 質 生 産 量 の 最 高 値 は 、
69.3JIHDs0(
14〜
17日 目 ) およ び
46.
7JIHDso(ll〜
14日 目)で、 従来
の 振 盪 培 養 法 に 比 べ
2.
5およ び
2.
7倍上 昇 し た 。本 バ イ オ
リ ア ク 夕 一 ・ シ ス テ ム は 、 ビ ー ズ の 活 性 化 に
5日 間 を 要 し
た が 、 そ の 後 は 振 盪 培 養 法 に お け る 最 高 値 以 上 の 生 産 量
が 連 続
15日 間
(5〜
20日 目 ) に わ た り 継 続 し た 。
以 上 の ご と く 本 研 究 で は 、 水 圏 由 来 の 細 菌 が 産 生 す る
抗 ウ イ ル ス 物 質 の う ち 、 多 く の 研 究 者 が 指 摘 し て い る タ
ン パ ク 分 解 酵 素 の ー っ を 精 製 し 、 そ の 性 状 を 明 ら か に し
得 た と 考 え る 。
さ ら に 本物 質 は 抗 ウイ ル ス 剤 とし て 優 れ
た 性 質 を 持 つ の み な ら ず 酵 素 と し て も 特 異 な 性 状 を 持 つ
こ と か ら 、 今 後 は 魚 類 ウ イ ル ス 病 の 制 御 に 対 す る 利 用 が
期 待 さ れ る と と も に 、 酵 素 と し て の 利 用 法 も 検 討 す る 必
要がある。
学位論文審査の要旨
学 位 論 文 題 名
海洋細菌 Al と erornonas sp .の産生する 抗 ウイスル物質に関する研究
魚 類 の 増 養 殖 事 業 に 多 大 な 被 害 を 与 え て い る ウ イ ル ス 性 疾病 に は 、現 時 点で は 有 効 な 治 療 法 が な ぃこ と か ら、 早 急な 予 防 ・治 療 対 策の 確 立が 望 ま れて い る。
本 論 文 は 水 圏 由 来 細 菌 の 産 生 す る 抗 ウ イ ル ス 物 質 に 着 目 し 、 そ れ を 有効 利 用す る た め の 基 礎 的 知 見 を 得 る こ と を 目 的 と し て 、 海 洋 細 菌の 産 生 する 抗 ウイ ル ス 物 質 の 単 離 ・ 精 製 、 生 化 学 的 性 質 の 解 明 お よ び 抗 ウ イ ル ス 作 用 機 序を 検 討し た も の であ る 。特 に 評 価さ れ る 成果 は 以下 の と おり で ある 。
1. 淡 水 、 汽 水 、 海 水 試 料 か ら 分 離 さ れ た 細 菌 の う ち 強 い 抗 ウ イ ル ス 活 性 を 示 す63菌 株 を 供 試 し て 、 こ れ ら の 産 生 す る 抗 ウ イ ル ス 物 質 の 作用 様 式 に基 づ く型 別 を 行 っ た 。 そ の結 果 、52菌 株は ウ イ ルス 粒 子に 直 接 作用 す る物 質 を 産生 し 、
10菌 株 が ウ イ ル ス 増 殖 段 階 を 阻 害 す る 物 質 を 産 生 し 、1菌 株 は 両 方 の 作 用 を 有 す る 物 質 を 産 生 す る こ と を 明 ら か に し た 。 さ ら に 代 表 菌 株 を選 び 、 それ ぞ れの 産 生 す る 物 質 の 耐 熱 性 と 分 子 量 の 推 定 を 試 み 、 こ れ ら の 菌 の 産生 す る物 質 が 多 種 にわた ることを 確認した 。
2. 上 記 の 代 表 菌 株 中 か ら 、 易 熱 性 で 高 分 子 の 物 質 を 産 生 す るAlteromonas
―936ー
男
雄
一
守
良 晴
研
面 濃
島 水
絵 信
田 吉
授 授
授 師
教
教 教
助 講
査 査
査 査
主 副
副 副
sp.48HS−27株 を 選 び 、 本 菌 株 の 産 生 す る 抗 ウ イ ル ス 物 質 の 単 離 ・ 精 製 を 試 み 、 培 養 上 清 か ら 限 外 濾 過 、 硫 安 お よ び ア セ ト ン 沈 澱 、 ゲ ル 濾 過 、 分 取 電 気 泳 動 に よ り 最 終 収 率6.2%で 精 製 抗 ウ イ ル ス 物 質48HSー27Aを 得 た 。
3.48HS−27Aは 、 エ ン ベ ロ ー プ を 有 す る 魚 類 病 原 ウ イ ル ス のOMV,HRV,IHNV, svcv,PFRお よ ぴEVAに 対 す る50%感 染 阻 止 濃 度 が0.09〜2.51u g/mlと 強 い 抗 ウ
イ ル ス 活 性 を 示 し 、 ー 方 、 魚 類 培 養 細 胞 に 対 す る 最 小 毒 性 濃 度 は 、144皿g/ml と 低 毒 性 で あ る こ と を 明 ら か に し た 。
4.48HS− 27Aは 、 分 子 量52kDaの プ ロ テ ア ー ゼ で あ り 、 広 範 なpH域 で 安 定 で あ る が 熱 に は 不 安 定 な 物 質 で 、 そ の 酵 素 活 性 はNa゛ ,Mg+ + ,Ca++に よ り 著 し く 賦 活 化 さ れ る こ と を 示 し た 。
5.48HS−27Aは 、25℃ の 加 熱 で も 変 性 し 、 変 性 中 間 物 質 (48HS―27B) と な り 、 さ ら に50℃ の 加 熱 で 分 子 量47kDaの 変 性 物 質 (48HS−27C) へ と 変 化 し た 。 こ れ らA, B, Cは 、 い ず れ も プ ロ テ ア ー ゼ 活 性 を 有 す る が 、Aの み が 抗 ウ イ ル ス 活 性 を 保 持 し て い る こ と を 明 ら か に し た 。
6.48HS−27A,B,Cは 、 い ず れ も プ ロ テ ア ー ゼ 用 合 成 基 質 の う ち‑Tyr−C末 端 側 を 切 断 し 、 同 基 質 で の 反 応 至 適 条 件 は 、Aが pHll. 0で 15℃ 、 Bが pH9.0で45
℃ 、 Cが pH8.5で 60℃ と 異 な り 、 い ず れ も キ モ ス タ チ ン と STIに よ り 阻 害 さ れ る こ と な ど か ら 、 ア ル カ リ 性 セ リ ン プ ロ テ ア ー ゼ 系 の 新 種 の 酵 素 で あ る こ と
を示唆した。
7.48HS―27Aの み が‑Pro―Pheー を 認 識 し 、 そ の ーPheーC末 端 側 を 切 断 す る こ と を 見 い だ し 、 こ の 基 質 特 異 性 が48HS―27Aの 抗 ウ イ ル ス 作 用 に 直 接 関 与 し て い る こ
とを示唆した。
8. 抗 ウ イ ル ス 性 プ ロ テ ア ー ゼ48HS―27Aの 抗 ウ イ ル ス 作 用 機 序 を 検 討 し 、IHNV を は じ め と す る4種 類 の 魚 類 病 原 ラ ブ ド ウ イ ル ス の 構 造 夕 ン パ ク を 分 解 す る こ
― 937―
と か ら 、48HS―27Aが ウ イ ル ス 粒 子 に 直 接 作 用 し て 不 活 化 す る こ と を明ら かに し た 。
9.Alteromonas sp.48HSー27株 とPseudomonas sp. 51BBW−29株 の 生 菌 を ア ル ギ ン 酸 ビ ー ズ に 固 定 化 し た バ イ オ リ ア ク タ ーシ ス テ ム を 用 い 、 そ れ ら の 抗 ウ イ ル ス 物 質 の 産 生 条 件 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 固 定 化 ビ ー ズ の 活 性 化 に5日 間 を 要 す る が 、 そ の 後 は 、 約15日 間 に わ た り 液 体 培 地 で 振 盪培 養 す る 方 法 に 比 ベ 約2.5〜2.7倍 の 生 産 量 が 得 ら れた 。 こ れ に よ り 抗 ウ イ ル ス 物 質 を 安 価 で 簡 便 に
量産 でき ることを示した。
以 上 、 本 論 文 で は 、 こ れ まで 多 く の 研 究 者 が 指 摘 し な が ら そ の 本 体 の 解 明 が な さ れ な か っ た 水 圏 で の ウ イ ル ス 不 活 化 因 子 で 、 細 菌 由 来の タ ン パ ク 分 解 酵 素 の ー っ と し て 、 海 洋 細 菌Alteromonas sp.の 産 生 す る 抗 ウイ ル ス 性 プ ロ テ ア ー ゼ を 単 離 し 、 酵 素 化 学 的 性 質 を 明 ら か に し 、 そ の 抗 ウ イ ルス 作 用 機 序 を 解 明 し た 。
ま た 、 本 物 質 は 抗 ウ イ ル ス 剤 と し て 優 れ た 性 質 を 持 つ の みな ら ず 、 酵 素 と し て 特 異 な 性 質 を 持 つ こ と が 示 さ れ た 。 さ ら に、 本 物 質 が 安 価 で 簡 便 に 量 産 す る 方 法 も 考 案 さ れ た こ と か ら 、 今後 、 魚 類 ウ イ ル ス 病 の 防 除 に 対 す る 有 効 利 用 が 期 待 さ れ る 。
以 上 の 成 果 は 水 圏 に お け る 魚 類 病 原 ウ イ ルス の 微 生 物 制 御 の 可 能 性 を 示 唆 し 魚 類 病 原 微 生 物 学に 新 し い 知 見 を 加 え る の み な ら ず 、 水 産 学 に 貢 献 す る とこ ろ 大 で あ り 、 審 査 員 ー 同 は 、 本 論 文 が 博 士 (水 産 学 ) の 学 位 論 文 と し て 充 分 な 業 績 と 判 定 し た 。
‑ 938―