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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2022

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氏 名 栗本 悠司

授与した学位 博 士

専攻分野の名称 工 学

学位授与番号 博甲第 6407 号

学位授与の日付 2021年 3月 25日

学位授与の要件 自然科学研究科 応用化学専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 Synthesis of Heterocyclic Aromatic Compounds by Intramolecular Cyclization

(分子内環化反応による複素芳香族化合物の合成)

論文審査委員 教授 菅 誠治 教授 依馬 正 准教授 光藤 耕一

学位論文内容の要旨

本学位論文は全 6 章からなり,分子内環化反応による複素芳香族化合物の合成とその物性評価について 纏めたものである。π 共役系分子にヘテロ環が縮環した複素芳香族化合物は,製薬,機能性材料分野など,

多岐にわたる分野において様々な用途に用いるため,盛んに研究されている。そのため,これまでに様々な 複素芳香族化合物の合成法開発が世界中で盛んに行われてきた。中でも,分子内環化反応による合成法は,

分子間反応による手法に比べて副反応が生じづらく有用な方法論の一つとして知られている。そこで,著者 はこの分子内環化反応に焦点を当てることで,新規複素芳香族化合物又は,従来の手法より効率的な合成法 の開発が達成できると考えた。第2章ではPd触媒を用いたC–H官能基化によるフルオレノール誘導体の効 率的な合成法の開発を行った。本手法で用いた基質は,これまでPd触媒を用いたC–H官能基化の諸条件に 供するとフルオレノール誘導体ではなくクロメン誘導体のみを与えることが知られているので,本手法の開 発により一つの基質からフルオレノール誘導体およびクロメン誘導体の合成が可能となった。また本手法の 特徴として,これまで遷移金属触媒を使用した手法では合成報告例に乏しかった複素環を含んだフルオレ ノール誘導体の合成にも適用できることが挙げられる。第3章では,著者らはベンゾジチエノフラン(BDTF) の効率的合成法の開発を行った。本手法はベンゾチオフェンジオキシド誘導体を用いた付加脱離反応を鍵反 応とし,続く還元反応およびPd触媒を用いた脱水素型縮環反応からなる。鍵反応である付加脱離反応は,

比較的温和な条件で反応が進行するため自己分解反応を起こすような不安定な反応剤を使用した場合でも,

効率よく反応を進行させることができる。また第 4章に記した様に,本手法は BDTF のフラン骨格をチオ フェン骨格に置き換えたベンゾジチエノチオフェン(BDTT)の合成にも応用することが可能である。さらに,

得られた BDTFと BDTTはブロモ化に続くクロスカップリング反応により様々なπ拡張した誘導体へと変 換することができた。また第5章において,得られた誘導体について物性評価を行い,BDTF誘導体が半導 体特性を有することを初めて明らかにすると共に,BDTT誘導体に比べて優れた発光特性を有することも見 出した。最後に第6章では,電気化学的手法によるジアリールホスホールオキシド(DPO)の効率的な合成法 の開発を行った。本手法の利点は,既知法の様に遷移金属触媒や過剰量の酸を必要としないだけでなく,室 温条件下で反応が進行することである。また,安価で入手容易なDABCOをメディエーターに用いているこ とも利点の一つである。さらに本手法は中心骨格が5員環であるDPOだけでなく,フェノホスファジン誘 導体を初めとした中心骨格が6員環の誘導体の合成にも適用可能であった。

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論文審査結果の要旨

π共役系分子にヘテロ環が縮環した複素芳香族化合物は,製薬,機能性材料分野で注目されている極めて重 要な化合物である。学位論文提出者である,栗本悠司氏は分子内環化反応を巧みに利用して,多様な複素芳香 族化合物の合成を達成しその物性評価においても非常に興味深い知見を多数得た。学位論文は全6章からなる。

第1章において,この分子内環化反応に焦点を当てることの合理性について述べ,第2章ではPd触媒を用いたC–

H官能基化によるフルオレノール誘導体の効率的な合成法の開発について記載している。この手法はPd触媒を 用いたC–H官能基化を基軸としているが,用いる塩基を適切に選択することにより,フルオレノール誘導体お よびクロメン誘導体の効率的合成が可能となった。本手法を用いることにより,これまで遷移金属触媒を使用 した手法では合成報告例が乏しかった複素環を含んだフルオレノール誘導体の合成も可能となった。第3章で は,ベンゾジチエノフラン(BDTF)の効率的合成法の開発を行った。この手法はベンゾチオフェンジオキシド誘 導体を用いた付加脱離反応を鍵反応とし,続く還元反応およびPd触媒を用いた脱水素型縮環反応からなる。鍵 反応である付加脱離反応は,比較的温和な条件で反応が進行するため,自己分解反応をおこすような不安定な 反応剤を使用した場合でも,効率よく反応を進行させることができる。第4章では,BDTFのフラン骨格をチオ フェン骨格に置き換えたベンゾジチエノチオフェン(BDTT)の合成にも,この反応を応用することが可能こと を示し,さらに,クロスカップリング反応により様々なπ拡張した誘導体を合成した。第5章では,得られた 誘導体について物性評価を行った。BDTF誘導体が半導体特性を有することを初めて明らかにするとともに,

BDTT誘導体に比べて優れた発光特性を有することも見出した。第6章では,電気化学的手法によるジアリール ホスホールオキシド(DPO)の効率的な合成法の開発を行った。この手法の利点は,既知法の様に遷移金属触媒 や過剰量の酸を必要としないだけでなく,室温条件下で反応が進行することである。

以上のように,当該分野の研究で顕著な成果を挙げたので,学位の授与に相応しいと考える。

参照

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