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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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氏 名 菊地 崇浩

授与した学位 博 士

専攻分野の名称 理 学

学位授与番号 博甲第 5966 号

学位授与の日付 平成31年 3月25日

学位授与の要件 自然科学研究科 地球生命物質科学 専攻

(学位規則第4条第1項該当)

学位論文の題目 センブラノライドジテルペンの統一的合成研究

論文審査委員 准教授 髙村 浩由 教授 門田 功 教授 西原 康師

学位論文内容の要旨

本学位論文は,センブラノライドジテルペンの統一的合成研究についてこれまでの結果をまとめたもので ある。センブラノライドジテルペンを含むマクロライド化合物は,その多種多様な生物活性から有用な医薬 シーズとして期待されている。しかし,これら多くの化合物は天然から得られる量が微量であるため,立体 化学や生物活性発現部位などが未解明のものが多く存在する。これらの解明は医薬品などへの応用のために は必要不可欠であるといえる。筆者は,センブラノライドジテルペンの立体化学ならびに活性発現部位の解 明を目的とし合成研究を行った。本論文は,4章から構成されている。第1章では,センブラノライドジテ ルペンについて述べる。本化合物群は共通構造としてブテノライド部位と14員環炭素骨格を有しており,

サルコフィトノライド類,スカブロライド類やビピナチン類といった多くの類縁体が存在する。本章では,

これら化合物の合成例ならびに共通構造に着目した合成戦略について述べる。第 2 章ではサルコフィトノ ライドHの合成研究について述べる。すなわち,SmI2を用いたα選択的なアルデヒドとアリルブロマイド のカップリング反応および不斉アリルホウ素化を鍵反応として鍵中間体であるセコ酸へと誘導することに 成功した。続いて,合成戦略に従いマクロラクトン化と続く渡環型閉環メタセシスの条件に付すことで骨格 構築を構築しサルコフィトノライド H の全合成を達成することができた。次に,サルコフィトノライド H およびその合成中間体を用いてタテジマフジツボの幼生に対する付着阻害活性を評価することで活性発現 部位を特定した。さらに,構造単純化類縁体を設計し合成することで新規生物活性分子の創製にも成功し た。第3章ではサルコフィトノライドHの同族体であるイソサルコフィトノライドDの全合成について述 べる。すなわち,同様の合成戦略によりイソサルコフィトノライド D の提唱構造式の全合成を達成した。

しかし,NMRデータが一致しなかったことから真の構造を予測し合成することで本化合物の構造改訂を行 うことに成功した。第4章ではビピナチン類の発散的合成研究について述べる。すなわち,不斉アリル化を 鍵反応とし,カンファー由来の不斉補助基を有するアリルボロネートとフリルアルデヒドを連結することで 鍵中間体であるセコ酸へと誘導することに成功した。続いて,合成戦略に従いマクロラクトン化と渡環型閉 環メタセシスを行うことで,多数のビピナチン類への合成に展開可能な共通中間体の合成を達成した。これ らセンブラノライドジテルペンの合成研究の結果から,マクロラクトン化と渡環型閉環メタセシスを用いた 骨格構築法は非常に有用であることを明らかにした。またサルコフィトノライド H を構造基盤とした新規 生物活性分子が創製できたことからも本化合物群が有用な付着阻害活性化合物として利用できる可能性を 見出すことができた。

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論文審査結果の要旨

センブラノライドジテルペンを含むマクロライド化合物は,その多種多様な生物活性から有用な医薬シーズ として期待されている。しかし,これら多くの化合物は天然から得られる量が微量であるため,立体化学や生 物活性発現部位などが未解明のものが多く存在する。申請者は,センブラノライドジテルペンの立体化学なら びに活性発現部位の解明を目的とし合成研究を行った。

まず,サルコフィトノライドHの全合成について検討した。SmI2を用いたアルファ選択的なアルデヒドとア リルブロマイドのカップリング反応および不斉アリルホウ素化を鍵反応として,鍵中間体であるセコ酸へと誘 導することに成功した。続いて,合成戦略に従いマクロラクトン化と続く渡環型閉環メタセシスの条件に付す ことで基本骨格を構築し,サルコフィトノライドHの全合成を達成することができた。次に,サルコフィトノ ライドHおよびその合成中間体を用いてタテジマフジツボの幼生に対する付着阻害活性を評価することで,本 化合物の活性発現部位を特定した。さらに,構造単純化類縁体を設計し合成することで新規生物活性分子の創 製にも成功した。次に,同様の合成戦略によりサルコフィトノライドHの同族体であるイソサルコフィトノラ イドDの提唱構造式の全合成に成功した。合成完了後,合成品のNMRデータが天然物データと一致しなかった ことから天然物の真の構造を予測し合成することで,本天然物の構造改訂を行うことに成功した。

次に,ビピナチン類の発散的合成研究について検討した。不斉アリル化を鍵反応とし,カンファー由来の不 斉補助基を有するアリルボロネートとフリルアルデヒドを連結することで,鍵中間体であるセコ酸へと誘導す ることに成功した。続いて,合成戦略に従いマクロラクトン化と渡環型閉環メタセシスを行うことで,多数の ビピナチン類への合成に展開可能な共通中間体の合成を達成した。

以上,申請者はマクロラクトン化と渡環型閉環メタセシスを用いた骨格構築法を駆使することで,サルコ フィトノライドHおよびイソサルコフィトノライドDの全合成を完遂した。本全合成により,これら天然物の 絶対立体構造を解明することができた。また,ビピナチン類への合成に展開可能な共通中間体の合成にも成功 した。これらの研究成果により,センブラノライドジテルペンを構造基盤とした新規生物活性分子の創製が今 後期待される。

したがって,本論文は博士(理学)の学位に相当するものと認める。

参照

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