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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 本 間 重 紀      学位論文題名

  Identification of squamous cell carcinoma antigen ―derived     peptides havlngtheCapaCityof

induCingCanCer ― reaCtiVeCTLSinHLA ― A24 十 CanCerpatientS (HLA −A24 陽性癌患者におけるCTL 反応を有する

    SCCA 由来ベプチドの同定)

学位論文内容の要旨

【背景、目的】扁平上皮癌抗原(squamous cell carcinoma antigen: SCCA)は、子宮頚癌のTA‑4 複合体より精製された抗原であり、扁平上皮癌患者の血清中に高頻度で存在し、扁平上皮 癌の発生や再発を予測することが出来る有用な腫瘍マーカーのひとつである。近年、癌関 連抗原の研究が進み、癌反応性細胞傷害性Tリンバ球(cytotoxicTlymphocytesニCTLs)が認 識する癌抗原由来ベプチドの解析が急速に進歩してきた。しかし、SCCAを癌特異的免疫療 法における標的分子として研究した報告はない。一方、様々な癌種に対する癌ベプチドワ クチ ン 療 法が 臨 床 試験 と し て行 わ れ 、 一部 の 症例で はHLAク ラスI拘束性CTLの 誘導や 腫瘍縮小 が認め られてい る。我々も、癌ベプチドワクチン療法の臨床試験により、CTL誘 導可能なべプチドがぺプチド特異的液性免疫反応を惹起し、ベプチドワクチン療法後の液 性免疫の 増強が 予後と相 関することを報告した。本研究では、HLA‑A24陽性癌患者におい て、 液 性 免疫 に 認 識され 、HLAク ラスI拘束性 癌特異的CTLsを誘導 できる臨 床応用 可能 なSCCA由来ベプチドの同定を試みた。

【方法】 食道癌 細胞株5種類、 肺癌細 胞株13種類 (扁平上皮癌5、腺癌5、小細胞癌3)、

子宮頚癌 細胞株5種類 、膵癌細 胞株4種類、 胃癌細 胞株6種類、大腸癌株6種類に関して、

real‑time PCR法 に よりSCCAのmRNAの発現 を検討し た。ま た、食道 癌5例 、肺扁 平上皮 癌5例 、 子宮 頚 癌5例 、 肺 腺癌5例 、 肺小 細 胞 癌3例、胃癌6例 の癌組織 を用いて 免疫組 織染色を 行い、 蛋白レベ ルでのSCCAの発現を 検討し た。また、SCCAのアミノ酸配列に基 づぃてHLA‐A24分子に 結合性を有すると考えられる9個、または、10個のアミノ酸からな る抗原ベプチドをコンピューターアルゴリズムにより予測し、9種類の合成ベプチドを準備 した 。 次 に、 子 宮 頸癌患 者17人、乳 癌患者10人、膵癌 患者10人 、胃癌患 者10人、 大腸 癌患 者6人と 健 常 人10人 の血 清 中 の べプ チ ド 特異的IgG抗体 を、uJM玳EX法に より測 定 した。抗ベプチド抗体の特異性は、ベプチド吸収試験により確認した。抗ベプチド抗体の 結果に基 づき4種類の べプチド を選択 し、C11L誘 導の実験に用いた。食道癌患者4例、子 宮頚 癌 患 者4例 、 肺癌 患 者4例 、 胃 癌 患者4例 、大腸 癌患者4例と 健常人8例の末 梢血単     ―476−

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核球(peripheralb100dmononuclearcens:PBMCs)を、選択した個々のべプチドで繰り返し刺 激 し、 その反応 性を玳F‐ア産生と51Cr遊離 試験で検討した。癌患者のPBMCsを個々のぺ プチド(20嵋/尚)で3日毎にIL12(100Uん山の存在下に繰り返し刺激し、14日後に、刺激 したべプチドをパルスし たC1R一A24細胞に対して産生するIFN‐アの量をEuSA法で測定し た。IFN‐アが50p加m以上産生された場合を陽性と判定した。その後、IL‐2(100Uん山で培 養PBMCsを10日間培養し、51Cr遊離試験を実施した。51Cr遊離試験では、YES‐1食道癌株

(HLA.A24.、SCC幻、YES‐2食道癌株(HLAIA24゛、SCCパ)とHLA・A24゛PHA‐blastoidT細 胞 を標 的細 胞と して 用い た。 さら に、誘導 されたCrLsのHLA拘束性とべ プチド特異性を 確 認 す る た め 、 抗 体 に よ る 阻 害 試 験とc01dtargetに よる 競合 抑制 試験 を実 施し た 。

【 結 果 】検 討し た癌 細胞 株に おけ るSCCAのmRNAの発 現 は、 食道 癌細 胞株 では100% 、 子宮頚癌細胞株では80%、肺扁平上皮癌細胞株では80%、肺腺癌ではO%、肺小細胞癌では O%、 胃癌 では17%、大腸癌では0%であった。免疫組織染色を実施した 癌組織のSCCA蛋 白の発現は、食道癌では100%、肺扁平上皮癌では100%、子宮頚癌では80%、肺腺癌では 0%、肺小細胞癌では00/0、胃癌では16%であった。HLA−A24分子への結合性に基づぃて準 備 し た9種 類のSCCA由来 ベ プチ ドを 用い て、 癌患 者53例と 健常 人10例の 血清 中の べ プ チ ド 特 異 的IgG抗 体 の レ ベ ル をLUMINEX法 で 検 討 し た 。 そ の 結 果 、SCCA107‐116、 SCCA112‐120、SCCA215‐224、SC凹也86−295の4種類のべプチドに対するIgG抗体が、20‐50% の癌患者の血清中に存在 することが確認された。抗ベプチド抗体の有無は、患者のHLA夕 イ プと は無 関係 であ った 。ま た、 抗ベプチ ドIgG抗体は、対応するSCCAベプチドをコー トしたwell中で検体を培 養することによルベプチド特異的に吸収されたことから、抗ベプ チ ドIgG抗 体の反応特異性が確認された。次 に、抗ベプチドIgG抗体によ るスクルーニン グ に よ り 選 択 さ れ た4種 類 のSCCAベ プ チ ド に よ っ て 癌 患 者 のPBMCsか らSCCAベ プ チ ド特異的、または、癌細 胞反応性CTLを誘導できるかを検討した。IFN−ア産生による評価 で は、SCCA112‐120とSCCA215・224ベプチ ドを用いることによる60%の癌患者PBMCsか らSCCAペプ チド 特異 的CTLを誘 導す るこ とが でき た。51Cr遊離 試験 では 、SCCAペ プ チ ド 特異 的CTLsは 、HLA‐A24陽 性SCCA陽 性癌 細胞 株 に対 して 細胞傷害活 性を示したが、

HLA゜A24陰性癌 細胞株やSCCA陰性細胞に対しては細胞傷害活性を示さな かった。また、

SCCAペ プ チ ド 特 異 的CTLの 細 胞 傷 害 活 性 は 、 抗mAclassI抗 体 や 抗CD8抗 体 の 添 加 に よ り抑 制さ れた 。さ らに 、HL鮎A24陽性SCCA陽性癌細胞株に対する細胞 傷害活性は、刺 激に用いたSCCAベプチド をパルスした51CrでラベルしないC1R一A24細胞(coldtarget)の 添 加に より抑制 されたことから、SCCAベプチド特異的C11jが、癌細胞に 対する細胞傷害 活性を担っていることが示された。

【考察】HLA−A24分子へ の結合性を有する9種類のSCCA由来ベプチドの中でSCCA112‐120 とSCQ蛇15‐224が、約半 数の癌患者の液性免疫に認識され、また、ベプチド特異的、癌細 胞反応性C1、Lsを誘導す ることができた。これらのべプチドによる健常人のPBMCsからの べプチド特異的CTLsの誘導は、稀であった。

本 研究 によ り、SCCAが癌 抗原 とし てHLA‐A24拘 束 性癌 反応 性CTLsに認 識されることを 示 した 。ま た、SCCA由来 の2種 類の べプ チド によ り、HI丿hセ4陽性癌患者のPBMCsから

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癌傷害性CI、Lを誘導可能であることが判明した。これらの結果は、これら2種類のSCCA 由来ベプチドが、HLA‑A24陽性癌患者に対するべプチドワクチン療法に有用である可能性 を示唆している。

(4)

学位論文審査の要旨

     学 位 論 文 題 名

  Identification of squamous cell carcinoma antigen ー derived     peptides having the capacity of

inducing cancer ― reactive CTLs in HLA ― A24 十 cancer patients (HLA − A24 陽 性 癌患 者 にお け る CTL 反応 を 有す る

    SCCA 由 来 ペプ チ ドの 同 定)

   扁平上皮癌抗原は、扁平上皮癌患者の血清中に高頻度で存在し、扁平上皮癌 の発生や再発を予測することが出来る有用な腫瘍マーカーのひとつである。ま た腫瘍抗原の解析が近年急速に進歩しつっあり、癌免疫療法の臨床試験が進ん でいる。しかし癌特異的免疫療法の分野ではSCCA を標的分子とした報告は少 ない。本研究は、HLA ― A24 癌患者において HLA‑classI 拘束性腫瘍特異的細胞 性および液性免疫を誘導しうる臨床応用可能な SCCA 由来ベプチドを同定する ことを目的 とした。SCCA 蛋白アミノ酸配列より、HLA‑A24 分子に高親和性を 示すことが予想される 9 ―10 アミノ酸からなるべプチドを文献的に予測し、9 種 類のぺプチドを合成した。これらのべプチドに対し、癌患者血清中の各ベプチ ド特異的IgG 抗体を LUMrNEX 法にて測 定し、高率 に患者血清中に抗体が存在 する 4 種類のべプチドに対し癌患者末梢血へのべプチド刺激によるCTL 誘導試 験を in vitro で施行した。SCCA 112‑120 ベプチドとSCCA 215‑224 ベブチドで、

60 %の癌患者末梢血単核球においてべプチド特異的CTL を誘導した。このSCCA ベプチド特異的CTL はク口ム遊離試験におしゝて、HLA‑A24 陽性癌細胞株を強く 傷害した。一方、HLA‑A24 陰性細胞に対しては細胞傷害性を示さなかった。さ ら に 、 HLA 拘 束 性 、 CD8 依 存 性 お よ び べプ チ ド特 異 性を 検 討す る ため 抗 HLA‑classI 分子抗体・抗CD8 抗体による抑制試験および cold target による競合 抑制試験を 施行した。 誘導されたCTL の細胞傷害活性は抗 HLA‑classI 分子抗 体・抗CD8 抗体添加により抑制されたこと、さらにSCCA ベプチドを′ヾJL スし たcold target により抑制されたことから、HLA‑classI 拘束性、 CDSF 野性T 細胞 依存性かつSCCA ベプチド特異的であることが証明された。こオ1 らの結果よn

俊 司

弘 孝

田 村

秋 西

授 授

教 教

査 査

主 副

(5)

SCCA蛋 白 由 来 の2種 の べ プ チ ド は 、HLA‑A24陽 性 癌 患 者 の 末 梢 血 に お い て べ プ チ ド 特 異 的 液 性 か つ 細 胞 性 免疫 の 両 者 を 誘 導 可 能 で あ る こ と を 示 し た 。   公開発表後、副査の西村教授より1)抗ペプチド抗体の誘導機序、2)IgGサブタ イ プ の 検 討に つい ての 質問 があ った 。そ れに 対して 、11ワク チン 投与 したCTL 誘 導 ベ プ チド がCD4のエ ピト ープ にも なりCD4陽性T細胞 を誘 導す る。(Harada.

J Immunothe(28)2005)2) 誘 導 さ れ るIgGはIgGlとG2が 主 で あ り 、ADCCを 認 めていなしゝ。(Shomura. British Journal of cancer(90)2004)等の回答があった。藤 堂教授からは、1)癌免疫療法の今後の展望についての質問があった。それに対し て、1)より免疫原性の高い新規癌抗原の同定すること、腫瘍による免疫抑制の解 除 等に よる 免疫 監視 機構 から の逸 脱の 制御 、CD4T細 胞や抗原提示細胞への操作 等 でよ り強 カな 抗腫 瘍作 用の 誘導 する こと 、抗 癌剤 、放射線療法、抗体療法等 と の併 用療 法に より 相乗 効果 を期 待す る、 等の 回答 がなされた。また主査の秋 田 教授 より 、1)同 定し たSCCAベプ チド ワク チン の臨 床応用への展望、2)免疫 療法と他の治療法との併用療法について質問があった。1)臨床試験を行う際、食 道 癌 や 肺 癌 を 適 応 癌 種 に 広 げSCCAを 発現 する 扁平 上皮 癌に 対応 する こと が可 能 に な る 。2)液 性免疫 、細 胞性 免疫 をモ ニタ リン グし 、免 疫抑 制の かか らな い 適正 量を 把握 し、 抗癌 剤と の併 用を 行う こと 、ま た免疫抑制の影響のない抗 体 療法 との 併用 の可 能性 があ る等 の回 答が なさ れた 。本論文は、SCCA由来ペプ チ ド が 癌 特 異 的 抗 原 と し て 同 定 さ れ た世 界で 初め ての 報告 であ りSCCAを 過剰 に 発 現 し て い る 腫 瘍 の 癌 特 異 的 免 疫 療 法 へ の 臨 床 応 用 が 期 待 さ れ る 。   審査 員一 同は 、こ れら の成 果を 高く 評価 し、 大学 院課程における研鑽や取得 単 位な ども 併せ 申請 者が 博士 (医 学) の学 位を 受け るのに充分な資格を有する ものと判定した。

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