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論 文 審 査 の 要 旨

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Academic year: 2021

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(1)

l l l J 紙 1 論 文 審 査 の 要 旨

報告番号 1~ 第刈号|氏名 l

主査 口腔病理学

論文審査担当者同 l 査 口 腔 生 理 学 副 査 歯 科 薬 理 学

(論文審査の要旨)

美 島 健 二 井 上 富 雄 高 見 正 道

鈴 木 航

学 位 申 請 論 文 ICdc42  i s   essential  for  cartilage  development  during  endochondral  ossificationJ について,上記の主査 l 名 , g j r j 査 2 名が個別に審査を行った.

[目的] Rho ファミリー低分子量 G タンパク質 Cdc42 は,通常,細胞内で GDP と結合した不活性型 を示すが, Guaninenucleotide Exchange factor  ( G E F )の作用によって GTP と結合すると活性型 として働くことが知られている.活性化した Cdc42 は,アクチン細胞骨格系の制御を介した細胞の 増殖,分化,細胞死など,細胞機能にとって重要な役割を果たしている.しかし,全身性の Cdc42 欠 損マウスは胎生致死であることから,その生体内における詳細な機能はあまり明らかになってい ないのが現状である.そこで,本研究では骨格形成において重要な役割を担う軟骨における Cdc42 の機能について明らかにすることを目的とした.

[方法]軟骨細胞特異的に Cdc42 遺伝子を欠損させたマウスは, Cdc42flox マウスと 2 型コラー ゲンプロモーターにより Cre を発現するトランスジェニックマウスとの交配 ( C d c 4 2 n ; n; C o l 2 ‑ C r e ,   Cdc42 cKO )により作製した.生後 O日齢のコントロールマウス( Cdc42 四)および Cdc42cKO の骨 格標本を作製し,骨形態計測を行った.また,大腿骨を採取し,組織解析や成長板における遺伝子 発現解析,海面骨の石灰化の検討,破骨細胞数の解析を行った.さらに,肋軟骨から軟骨細胞を採 取し mRNA の発現を解析し,培養後 48 時間後の細胞の形態や培養 1 週間の時点までの細胞増殖数の 比較と,石灰化度の検討をした.

[結果]作製された Cdc42cKO はコントロールマウスと比較し,体長で 1 7 .6% ( P

0 .05 ),大腿骨 長で 2 1 . 日 目 ( P

0 .0 1 )の減少が認められた.また,大腿骨成長板での増殖軟骨層の短縮,柱状配列 の喪失,肥大軟骨層の肥厚などの表現型が認められ,海綿骨における類骨量の増加も認められ た大腿骨成長板での遺伝子発現様式を検討した結果,増殖軟骨細胞マーカー遺伝子である 2 型コ ラーゲン,肥大軟骨細胞分化マーカー遺伝子である 1 0 型コラーゲンおよびマトリックスメタロプ ロテアーゼ 1 3 の発現低下が認められた.さらに,軟骨細胞を用いた解析では,アクチンフィラメ ントの形成不全や細胞増殖数の低下, ALP 染色と活性の低下が認められ, リアルタイム PCR 法によ る解析でも軟骨分化マーカー遺伝子の発現低下が認められた.

[結論]コントロールマウスと比較して軟骨特異的 Cdc42 コンデイショナルノックアウトマウス

では,増殖軟骨細胞層の短縮

3

柱状配列の喪失,肥大軟骨細胞層の肥厚,軟骨分化マーカー遺伝

子の発現の低下が認められたまた,海綿骨における低石灰化が認められた.これらの異常によっ

て,低身長と四肢が短縮していることが明らかとなった.以上のことから, Cdc42 は成長板におけ

る軟骨形成とそれに続く軟骨内骨化を制御している可能性が示唆された.

(2)

本論文の審査にあたり副査から多くの質問があり,その一部と回答を以下に示す.

井上委員の質問とそれに対する回答・

l全身性の Cdc42 欠損マウスが胎生致死であるのはなぜか

Rho ファミリータンパク質 Cdc42 は,全身の組織にユピキタスに発現しており, Guanine n u c l e o t i d e  exchange f a c t o r s  (GEF )の働きによって GTP と結合することで,細胞骨格形成をはじめ,

小胞輸送, DNA 合成,細胞死,タンパク質合成の制御,転写活性など,細胞内の様々な機能を調節し ていることが明らかとなっている( Melendez Jet a l .   J .  B i o l .  Chem. 2 0 l l ;  2 8 6 : 2 3 7 5 ‑ 2 3 8 1 )   .このよ うに Cdc42 は,細胞が形成され,生存し,機能していく上で,非常に重要な役割を果たしていること から,全身において Cdc42 が欠損することで,正常な細胞形成が行われず,胎生早期( 7 . 5 日)で死 亡するものと考える( Chene t  a l .  C u r r .  B i o l .  2 0 0 0 ;  1 0 :・ 7 5 8 ‑ 7 6 5 )

2 . 骨の種類によって,軟骨形成の抑制程度に差は見られなかったか 頭蓋骨で差がなかったのはなぜか

関節軟骨と同様に硝子軟骨によって形成されている肋軟骨においても,骨長の短縮が認められ た.一方で,頭重量骨を構成する多くの骨は膜性骨化によって形成されるため,本研究では頭蓋骨長 に違いが認められなかったと考える.しかし,頭蓋骨の一部,頭蓋底では軟骨内骨化によって骨形 成が行われることが知られているため,今後,頭蓋底における詳細な解析を行うことで,コント ロ}/レマウスと Cdc42 コンディショナノレノックアウトマウスの両者での差は認められる可能性が 考えられる( MieX  e t  a l .  Acta Odontal S c a n d .  2 0 0 5 ;  63 :・ 127 ・ 135 )今後,解析を行っていくべき 課題である.

高見委員の質問とそれに対する回答:

1 . なぜ Cdc42 の軟骨形成における機能に着目したのか理由を述べよ

Cdc42 は Rho ファミリータンパク質の中でも,全身にユピキタスに発現していることから,細胞 機能にとって非常に重要な役割を担っていると考えられているこれまでの研究で, C r e ‑ l o x P システ ムを用いて肢芽開業系細胞特異的( Prxl・Cre )に Cdc42 を欠損させたマウスを作製したところ,口 蓋裂や骨格形成不全を呈することが明らかとなっている( AizawaR  e t  a l .   Mech Dev.  2 0 1 2 ;   1 2 9 : 3 s ‑ 5 o . )   このことから, Cdc42 が骨格形成において重要な役割を果たしていることが示唆され た.そこで本研究では, Cdc42 の骨形成におけるより詳細な解析を行うために,骨格形成において重 要な役割を担う,軟骨組織における Cdc42 の機能解析を行うこととした.

2 . 成長板軟骨以外に,硝子軟骨,弾性軟骨,耳介の解析は実施したか

成長板を含む関節軟骨は,硝子軟骨によって形成されており,同様に硝子軟骨で形成される肋 軟骨でも,骨長の短縮が認められているその他に硝子軟骨として形成される気管軟骨や喉頭軟骨 で、の解析は行っていないが,本研究で作製したコンディショナルノックアウトマウスは,生後間 もなくしてチアノーゼ様の症状を呈して死亡することから,これら呼吸器に関わる軟骨において も影響が生じているものと考えている.一方で,耳介は弾性軟骨によって形成されているが,本研 究では残念ながら耳介の解析はおこなっていない今後,耳介を含めた弾性軟骨について解析する 予定であるー

これらの試問に対する回答は,適切かっ明解であった.また,美島委員は主査の立場から,

両副査の質問に対する回答の妥当性を確認、した

以上の審査結果から,本論文を博士(歯学)の学位授与に値するものと判定した.

参照

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