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鋼繊維補強高流動コンクリートセグメントの鉄道トンネルへの適用

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Academic year: 2022

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鋼繊維補強高流動コンクリートセグメントの鉄道トンネルへの適用

(株)大林組 正会員 〇吉田 公宏

京王電鉄(株) 正会員 寺田 雄一郎 京王電鉄(株) 岩村 忠之 京王電鉄(株) 石坂 真二 大林・京王・前田・鴻池建設共同企業体 正会員 辻 忠彦

1.はじめに

調布駅付近連続立体交差工事(土木)第 2 工区は,京王電鉄京王線(柴崎駅~西調布駅間)および同相模原 線(調布駅~京王多摩川駅間)連続立体交差事業のうち,布田駅開削工事(延長 236m)を含む国領駅から調 布駅までの上下線 2 本(掘進延長 861m×2=1722m)を泥土圧シールド工法により鉄道トンネルを築造する工 事である.シールドトンネルは,切開きにより駅舎を築造する布田駅部はダクタイルセグメント,国領駅-布 田駅間および布田駅-調布駅間は RC セグメントを用い,二次覆工省略で計画されている.本稿は,このうち 布田駅-調布駅間の上り線に SFRC セグメントを採用した経緯ならびに施工状況について報告するものである.

2.当工区の特徴と SFRC セグメント採用の経緯 第 2 工区は,国領駅から調布駅間の上下線 2 本のシールドトンネルを営業線直下(最小土被 り 4.7m)の縦断方向に泥土圧シールド工法に より施工する.掘削対象地盤は最大礫径 300mm が想定される立川礫層が主体である.図-1 は 第 2 工区の概要を示したものである.このうち,

SFRC セグメント採用の対象区間は,上下線 2 本のトンネルが左右の併設から上下の併設へ と暫時変化し,土被りが 13.7m まで深くなる布 田駅-調布駅間の上り線 259m(185 リング)で ある.当該区間においては,以下のような不確 定な要因が懸念された.

① 線増線トンネルの計画(線形,構造,施工方法)が 確定されていない.

② 線増線トンネル施工時,営業線である本線トンネル への影響が懸念される.

③ そのほか,後行トンネル(本線下り)の施工時,先 行トンネル(本線上り)の上載荷重が徐荷され,リ バウンドによる影響が懸念される.

本線トンネルの RC セグメントは,図-2 に示す将来計 画である線増線トンネルの施工時,完成時を前提に計画 されていたが,前述のような不確定な要因を勘案し,安 全性の向上を目的に付加価値の高い SFRC セグメントを 採用することとした.

キーワード 鉄道トンネル,鋼繊維,コンクリート系セグメント,はく落防止,高流動コンクリート 連絡先 〒108-8502 東京都港区港南 2-15-2 (株)大林組 生産技術本部シールド技術部 TEL03-5769-1318

図-1 第 2 工区の概要

図-2 線増線断面図

(後行トンネル)

(先行トンネル)

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

‑61‑

Ⅵ‑031

(2)

3.SFRC セグメントの構造

セグメントは,外径 6.7m,厚さ 0.30m,幅 1.40m(リングの 分割は不等 6 分割)で,セグメント継手に先付け水平コッター,

リング継手にほぞを併用した軸方向ピン継手を配置したワン パス形式である.コンクリートの設計基準強度は 48N/mm2 であ り,鋼繊維の混入率(体積百分率)は 0.8%とした.図-3 にセ グメントの構造概要を示す.

SFRC セグメントは,鋼繊維の補強効果によりひび割れが小 さく分散するとともに,当工区での標準である耐アルカリガラ ス繊維シートが埋設されたEXPセグメントと同様にはく 離・はく落を防止できる.また,ひび割れ発生後も引張応力を 維持できることから施工時荷重に対して有利であり,セグメン ト本体の曲げ耐力も増加する.今回の適用は,このような補強 効果を付加価値とし,セグメントの主鉄筋量(4D25+6D22)は 低減しないこととした.図-4 は単体曲げ試験の結果を示した ものであり,RC セグメントに比べ SFRC セグメントでは曲げ耐 力が増加し,鋼繊維の補強効果が確認できる.

4.実施工の状況

セグメントの製作は,鋼繊維を端部まで均等に配置できるよ うスランプフロー値 60±5cm とした粉体系高流動コンクリー トにより行った.

セグメントの組立は,エレクターにて把持したあと,先付け 水平コッターを配置したセグメント継手面を密着させて位置 決めし,トンネル軸方向にスライドさせる.1リングの組立て が完了すると,セグメントリングはシールドジャッキの推力に 抵抗する反力材として掘進を支持する.この一連の施工過程に 加え曲線施工も行ったが,セグメント本体部にはひび割れの発 生もなく良好に施工できた.写真-1 に組立後のトンネル内面 の状況を示す.セグメントの表面に露出している鋼繊維はわず かであり,錆もほとんど発生しておらず美観を損なわない状況 を維持している.なお,セグメントと同じ配合の供試体を作成 し,モニタリングによる錆の発生状況を並行して監視を続けて いる.

5.おわりに

今回,国内の鉄道トンネルでは初めて SFRC セグメントを採用した.鋼繊維の補強効果により曲げ耐力が増 加し,不確定な要因に対する付加価値として安全性の向上が図れたと考えている.また,鉄道トンネルでは,

コンクリート片のはく落は重大な事故に直結するため,その防止効果が期待できる SFRC セグメントが有効で ある.その他のシールドトンネルを含めて,SFRC セグメントの適用が当現場で2例目ということもあり,今 後も引続き経年変化について監視を続けてゆく所存である.

参考文献

・外径φ11.8m 鋼繊維補強高流動コンクリートセグメント単体曲げ試験,第 60 回年次学術講演会講演概要集,6-118

・SFRC セグメントの実施工への適用,第 61 回年次学術講演会講演概要集,6-088

鋼繊維補強高流動コンクリート

組立筋(配力筋・フープ筋省略)

端部補強筋なし・隅角部剥離なし

„平面図

„断面図

図-3 SFRC セグメント構造概要図

図-4 セグメント単体曲げ試験結果

写真-1 トンネル内面状況(SFRC セグメント箇所)

単体曲げ試験 ( I 型)  荷重-鉛直変位関係図

0 100 200 300 400 500 600 700 800 900

0 10 20 30 40 50 60 70 80

鉛直変位(mm)

荷重(kN)

SFRC実測値 RC実測値

設計荷重(許容) 339kN

ひび割れ荷重(計算値) 190kN

土木学会第64回年次学術講演会(平成21年9月)

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参照

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