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内装を有する地下鉄駅の躯体コンクリートの劣化指標調査

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Academic year: 2022

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(1)

内装を有する地下鉄駅の躯体コンクリートの劣化指標調査

東京地下鉄株式会社 正会員 ○山本 努 東京地下鉄株式会社 小松 久男 東京地下鉄株式会社 亀山 洋子 メトロレールファシリティーズ株式会社 西尾 豊 三協株式会社 小松 正典

1. 背景

一般に地下駅部の内装があるところでは,駅間トンネルのように

2

年に

1

回の構築コンクリート表面の全 般検査が困難である.そこで,平成

18,19

年度の駅部改良・改装工事の際,内装を撤去した後の露出した コンクリートについて,局部的ではあるが駅部における現在の劣化状況及び傾向並びに将来の劣化可能性を 把握することを目的とし,調査を行った.

2. 調査内容

本調査は,工事で内装を撤去した状態の構築コンクリート表面において,

電磁波レーダにより鉄筋の位置を確認し,はつりによりかぶりコンクリー トを除去した.その後,露出した鉄筋のかぶり厚さを計測し,目視により 鉄筋腐食度を判定した.腐食度判定はコンクリート工学協会「コンクリー トのひび割れ調査,補修・補強指針

2003(解説写真‐2.1)」を参考とし

た.鉄筋腐食度を判定した後,フェノールフタレイン溶液を用いてはつり 箇所での中性化深さを測定した.

図‐1 露出した鉄筋の例

次に,はつり箇所直近から,コンクリートコアを採取(φ75×150㎜程

度)し,圧縮強度試験,中性化深さ測定及び一部のコアで塩分量の測定を 行った.塩分量の測定は,沿岸部や河川下の駅から採取したコアのみを対

象とし,構築コンクリート中の全塩分量を電位差滴定法により測定した.

表‐1 内装の種別毎のサンプル数

49 47

4 4

ベタ貼り

6 4

39 39

離れブロック

コア採取本数

(本)

はつり箇所 内装の種類 (箇所)

49 47

4 4

ベタ貼り

6 4

39 39

離れブロック

コア採取本数

(本)

はつり箇所 内装の種類 (箇所)

3. 内装の種類

本調査の対象箇所は,建築内装があるところがほとんどであり,本調査 で見られた内装は,構築コンクリート表面から

100

㎜程度離れてブロック を積む二重壁のような内装(以下「離れブロック」とする),構築コンクリ ート表面にペンキや漆喰等の塗り物をしている内装(以下「塗物」とする)

及び構築コンクリート表面にモルタルで直接タイル等を貼り付けている 内装(以下「ベタ貼り」とする)の

3

種類に分類できる.

内装の種別毎のサンプル数と内装別模式図は表‐1,

図‐2

に示すとおり である.

4. 結論

2

年間に渡り,22駅から

49

サンプルを採取し各種試験を行った結果,

わかったことを以下にまとめる.なお,本調査の対象駅は

22

駅であるが,

そのほとんどは約

40~50

年前に建設された駅に集中している.

図‐2 内装別模式図

構築コート

塗物 塗物

構築コート

塗物

構築コート

塗物 塗物

構築コート

モルタル タイル

ベタ貼り

構築コート

モルタル タイル

構築コート

モルタル 100㎜程度 タイル

ベタ貼り

構築コート

建築ブロック 100㎜程度

離れブロック

構築コート

建築ブロック 100㎜程度

構築コート

建築ブロック 離れブロック

6-062 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

-123-

(2)

1)中性化について

サンプル全体では,図‐3のとおり経過年数の平方根と中性化深さとの相関は見られなかった.また,内装 種別毎に見ても相関は見られない.

図‐3 経過年数と中性化深さの関係

経過年数の平方根(√年)

中性化深さ(㎜)

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0

離れブロック(その他の変状)

塗物 ベタ貼り 離れ(漏水部)

塗物、ベタ貼りの集まり

経過年数の平方根(√年)

中性化深さ(㎜)

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0 35.0 40.0 45.0 50.0

0.0 2.0 4.0 6.0 8.0 10.0

離れブロック(その他の変状)

塗物 ベタ貼り 離れ(漏水部)

塗物、ベタ貼りの集まり

内装種別毎に中性化速度係数とばらつきを見た結果,「離れブ ロック」内装は,他の内装に比べ中性化速度係数が大きく,ばら つきも大きいのに対して,「塗物」,「ベタ貼り」内装は比較的中 性化速度係数及びばらつきが小さい傾向にあった.「離れブロッ ク」内装の構築コンクリート表面は直接大気に曝されるため,打 ちっぱなしのコンクリート表面と同様に劣化因子が浸入してく るのに対し,最も中性化の進行が遅かった「ベタ貼り」内装は,

内装自身が表面被覆と同様に劣化因子の浸入を抑制する効果が あることを実共用構造物において実証できたものと言える.

2)鉄筋腐食度について

「離れブロック」内装のなかでも,はつり箇所直上の漏水に よって湿潤状態にあり,かぶりが薄い(3 ㎜~26 ㎜)3 箇所で は,

図‐4

に示すとおり腐食度

C(軽微な断面欠損)と他の箇所

に比べ鉄筋腐食が進行していた.一方,同じ「離れブロック」

内装で,湿潤状態にあり,かぶりが設計値以上確保されている 箇所では,同等の経過年数であっても腐食度

A(点さび)また

は腐食度

B(表面さび)と鉄筋腐食は軽微であった.

図‐4 かぶり厚さと鉄筋腐食度の関係

0 1 2 3 4 5

0.0 50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 離れブロック(その他の変状)

塗物 ベタ貼り 離れ(漏水部)

かぶり厚さ(㎜)

鉄筋腐食度

離れブロック、漏水有り

なし0 1 2 3 4 5

0.0 50.0 100.0 150.0 200.0 250.0 離れブロック(その他の変状)

塗物 ベタ貼り 離れ(漏水部)

かぶり厚さ(㎜)

鉄筋腐食度

離れブロック、漏水有り 離れブロック、漏水有り

なし

この結果から,かぶりが鉄筋腐食に大きく影響していると考 えられるが,漏水の頻度,量等の未確認要素もあるため,かぶ りと漏水が鉄筋腐食に与える影響についてより深く調査したい.

3)塩分量について

本調査では,沿岸部及び河川下の

10

駅から採取したコア

11

本,それぞれの表面から約

10mmまでを試料

とし,全塩分量を測定した.その結果,コンクリート中の塩分総量の規制値

0.3kg/m

3を越える試料は

1

試料 のみであった.対象駅のすべてが,コンクリート中の塩分総量を規制する前に建設されているため,建設時か ら塩分が混入されていた可能性もあるが,この

1

試料のみが

3.7

㎏/m3と突出しており,他の試料はすべて

0.2kg/m

3以下であるため建設時に大量混入されたとは考えにくい.この突出したコアを採取した駅は,過去に

海を埋め立てた土壌中にあるため,塩分が漏水を介してコンクリート中に浸入してきたものと考えられる.

この結果から,過去に海を埋め立てた土壌中に建設された駅では,将来的な塩害可能性の注意が必要である.

4)今後の注意点

本調査では内装種別に関わらず,ほとんどの駅で鉄筋腐食は軽微であり,腐食ひび割れやはく離も見られな かった事から,現在潜伏期にあり,緊急を要するような劣化対策の必要性はないと判断した.

今後は,改良・改装工事の際,特に「離れブロック」内装であり,かぶりが十分に確保されていない箇所に おいて,水分供給がある場合は鉄筋腐食の可能性を疑うこと.また過去に海を埋め立てた土壌中に建設された 駅では,将来的な塩害の可能性も疑い,調査を行うなどにより長期的な視点で構造物健全性維持を目指したい.

キーワード 内装,中性化,鉄筋腐食,塩分量

連絡先 〒110-8614 東京都台東区東上野三丁目 19-6 鉄道本部工務部土木課 TEL03-3837-7096

6-062 土木学会第63回年次学術講演会(平成20年9月)

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参照

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