• 検索結果がありません。

指導と評価の一体化を目指した授業づくり

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "指導と評価の一体化を目指した授業づくり"

Copied!
4
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

指導と評価の一体化を目指した授業づくり

高度学校教育実践専攻 実習責任教員 阪 根 健 二 教員養成特別コース 実習指導教員 木 下 光 二 前 嶋 拓 磨

1.はじめに

本研究では,形成的評価の観点から,授業設 計を行うものである。そこで,総合インターン シップにおいて,算数科の授業を活用して,

実践に臨んだ。以下に,研究授業の内容と,今 後に向けた展望を記す。

2.総合インターンシップⅡでの授業実践

(1)授業実践の概要

2017年11月13日に,鳴門市第一小学校第5 学年 1 組において,算数科「平均とその利用」

の授業実践を行った。本時の目標は,工夫した 平均の求め方を理解することである。第一小学 校では,基礎コースと自力解決コースの2種類 を児童自身が選択できるようになっている。

今回の授業では,仮平均という子どもにとっ て概念が難しい点を扱うが,算数の学習を通し て,課題解決方法を複数発見することや,発展 的な内容へ更に主体的に取り組むことができる ような工夫をしていくことを重視し,そのため,

多くのつまずきが想定されるため,形成的評価 を活用していくこととした。

本授業のめあて(目標)をはっきりさせるた めに,ここでも逆追跡法を活用した(図参照)。

そして,平均の性質(合計したものを均等にな らす)を理解することにつまずく児童がいるこ とを想定し,授業実践を行った。

図:逆追跡法概要図

注)「逆追跡法」とは,まず学習指導要領に記述 された文節を全て抽出し,設計する授業の単元 の最終目標を「上位目標」と設定する。その上 で,その「上位目標」を達成するにはどのよう な力を身につける必要があるのかという点で,

それより下位の目標を逆に追跡する手法である。

そこで,「上位目標」,「中位目標」,「下位目標」

を階層化して分析する。この分析を行うことで,

どの段階で学習につまずくかを事前に予想し,

そのつまずきを解決するための教材準備を行う ことで,授業理解度を高めることが狙いである。

(2)評価項目の考察

今回は,形成的評価を,「①工夫した平均の計 算を考えることができる」,「②仮平均の良さを 既習内容の求め方と比較することができる」,そ して,到達評価として,「平均を求めることがで

(2)

きている」の 3 点を評価するように設定した。

そこで,つまずいた児童に対して,ヒントの提 示を適切に行うよう授業設計を行った。以下で 各評価項目を振り返る。

ⅰ)工夫した平均の計算を考えることができる 上記の評価については,結果的にうまく機能 しなかった。準備段階として,座席表シートを 用いて,「◎工夫した計算の発表もできる」,「〇 工夫した計算を考えようとしている」,「△工夫 した計算を考えることができていない」の3種 類を基準に設定していたが,机間指導時にわか らない児童への支援に当たることで精一杯だっ たため,3 人の児童しか記入することができな かった。ここは今後の課題である。

ⅱ)仮平均の良さを既習内容の求め方と比較す ることができる

上記の評価については,既習内容の求め方と 仮平均での求め方を振り返る場面を取ったこと により,ある程度機能したものと考える。また,

予測したつまずきへの対応を行ったことが大き かった。全員の考え方を授業後に見ると,19人 中 17 人は仮平均の良さを感じていた。その中 でも,17人のうち7人は「計算する数が小さく,

筆算しなくて済む」,「小さな数で計算すると,

計算間違いが減る」といった具体的に仮平均の 良さを実感していたことがわかった。一方で,

残りの 10 人は「簡単だから」,「わかりやすか ったから」といった具体性に欠ける感想であっ た。更に,2 人は仮平均の良さより既習内容の 求め方が良いと感じている部分からも,仮平均 の良さをより実感できる活動が必要だったと振 り返る。

ⅱ)平均を求めることができている

上記の評価については,まとめの後に,考え る算数のテキストでの練習問題から学習理解度 を確認した。その結果,19人中3人は計算間違 いもなく,完全に習得できていた。残り 16 人 も計算間違いの児童がいたものの,仮平均の考 え方は理解できていると判断できた。しかし,

仮平均の求め方を理解できていなかった児童も 存在しており,考えられる原因として,仮平均 の注目する数を見つけられていなかったことだ と考えられる。どのように注目する数を見つけ 出すのか板書に示すことや,例題で注目する数 を見つける練習を繰り返すことで,より定着す る児童が増えていたものと振り返る。

評価計画・活動を総括すると,上記の他に指 導案上で1時間ごとの学習計画・評価観点をま とめていたことで,本授業で観察したい観点を 焦点化することができたとともに,本時までに 定着しておきたい学習内容や手立てを考えるこ とがこれまでの授業実践と比べても改善できた と思われる。

(3)授業実践の考察

本研究における「指導と評価の一体化を目指 した授業づくり」では,児童自身が自分に合っ た学習を選択できるような授業づくりを目指し てきた。本授業では,自力解決が難しいと児童 自ら判断した(あるいはつまずいた)児童を前 に集め,ヒントを提示したり,それ以外は自力 で考えたり,隣や近くの席の児童同士で課題を 解決したりする3つの集団に分かれ,コース設 定を行った。前に集まった児童の中には,ヒン トを提示する前は「わからない」と声に出す児 童もいたが,提示している最中に「わかった」

(3)

と声に出す児童やうなずいている児童が多数い たことに手応えがあった。また,その中から発 表する児童もいて,学習理解度が高まる学習形 態になっていたと振り返る。

また,授業の導入で工夫し,効果があったと 感じる取り組みが2つあった。1つ目は,導入 で課題シートを配付してノートに貼ることによ り,課題をノートに書く時間を短縮することが できたことである。その取り組みによって,自 力解決の時間を十分確保することにつながった。

そして,ノートを写す速さが児童によって差が 生じていても,貼り物を活用することで,個人 差を無くすこともできた。そして,2 つ目は,

課題から求めたいもの,工夫して求める方法を 見通しの段階でおさえる時間を確保したことで ある。本時では,問題文中に赤線を引くことに より,求めたいものが平均であるということと,

工夫して求める方法を考える必要があることに 見通しの段階で児童が気付けるようにした。そ の取り組みを継続的に行うことで,文章から読 み取る力を高める効果を期待することができる と思われる。

その一方,課題としては,より主体的な学習 にしていくための授業構成に改善する部分があ るように感じた。授業を振り返っても,教師の 発言が多く,説明的な授業になっていた。この 点については,グループ活動での話し合う活動 を取り入れることが改善方法の1つと考えられ る。話し合いを通し,わからない児童はわかる・

できる児童が増えるとともに,わかる児童は説 明できる・理解を深めることができると思われ る。

また,仮平均の良さがわかる活動を取り入れ ることができると,本時の学習意欲も更に高め ることができていたように感じた。

3.今後に向けて(考察と展望)

(1)習熟度別学習・コース別学習について 習熟度別学習・コース別学習の良さは,児童 が自分のレベルに合った学習を受けることがで きる点にある。基礎コースでは,これまで学習 してきたことを復習や確認を丁寧にすることや,

自力解決で周りの児童の発言や教師からのヒン トを基に課題を解決する学習を取り組んでいた。

自力解決コースでは,自力解決の時間を長く取 り,計算の求め方を複数考えたり,文章や図な どを使ったりして,言語活動の充実を図った発 展的な学習に取り組んでいた。このように,コ ースごとにそれぞれの学習の良さがあり,2 ク ラスの学級を 3 分割にして授業を行うことで,

手厚く児童の支援をすることができていた。ま た,学力が似ている児童同士が学ぶことで,学 習意欲を高め合うこともできていた。

習熟度別学習を取り入れるために,考えた手 立てとして,プリントを数種類用意することで ある。基礎インターンシップでの授業実践を振 り返った際,2種類のワークシートを作成した。

今後,現場で活用したいと考えている。同じ学 習課題であったとしても,自分自身のレベルに 合った学習ができると,学習意欲を高める効果 もあると思われる。他の単元においても,基礎 から復習できるもの,発展的な学習ができるも のと分けて用意することが,学力向上につなが ると考える。

(2)ICT機器の活用について

学校現場に電子黒板の設置が増えつつあり,

徳島は全国屈指のブロードバンド環境に恵まれ ている県である。現代の教育において,ICT機 器の活用が授業において欠かせない存在となっ てきている。筆者は,総合インターンシップⅠ

(4)

の期間で,社会科の授業実践を行った際,電子 黒板を活用して授業を行った。学習内容は,沖 縄県の農産業や伝統を知る学習であった。その 授業内で,電子黒板を用いてエイサーの視聴や,

さとうきびの収穫量が載っているグラフを拡大 して注目させた。活用することによって,エイ サーの踊り方,楽器,服装などが映像を見るこ とが印象に残ったり,全体の注目を集めること によりグラフで押さえたいことを確認し合うこ とができたりするなど,言葉で説明する以上の 効果があった。これも今後活用したいアイテム であり,教師として必須の道具であろう。

(3)教育評価に対する変容と身についた力 教育評価に力を入れて授業を実践した2年間 を振り返り,入学前の筆者と今を比較すると,

授業ごとに評価する観点を絞って授業実践を行 うようになってきた。単元全体の授業構想を立 てて,本時の学習課題から特に児童の成長部分 や理解度で観察したい観点を厳選するようにな った。そのようにすることで,教師側の発問が 学習目標と結び付くようにする意識が高まるよ うになった。また,机間指導等も意図して行動 するようになり,児童の学習理解度を授業内に 把握していくことができるようになってきた。

他にも,児童の評価から自分自身の授業を振り 返り,改善につなげていく意識が高まっている ことに気が付いた。これまでの授業実践は自分 の指導方法を振り返ることに焦点が当たってい たが,総合インターンシップⅡでは学習の感想 や学習理解度から,筆者の課題や改善方法を考 えるようにしてきた。筆者にとって,評価をす る意義は,「学習理解度を把握するため」,「自分 自身の授業を向上するため」の2つが大切なこ とであると学び,実感することができた。

さて,形成的評価にこだわって実践してきた が,要は授業の在り方を改善するための,授業 内の評価の工夫と考える。それは,テストでも いいし,観察でもいいと考えるが,重要なこと は,中心的なめあてである。これをはっきりさ せなくてはならないのである。そのために,授 業設計において,学習指導要領やその解説など を分析するというやや回り道のような実践から 始めた。本成果報告では,その詳細は割愛し,

実践の流れを記述しているが,ここが大切であ ろう。また,児童自身に自己評価の場を設定し,

そこから学習の方向性を自ら考えるという時間 を重視した。

4.おわりに

教職大学院での3年間を振り返って,授業は 教えるものではなく,子どもが主体的に学ぶも のであるという教育観の変容から,授業のつく り方などが変わった。特に,「評価」を活用する 授業づくりについて考えることで,子どもに合 った授業づくりの教材開発や,授業の振り返り を行い,授業力向上に努めることができた。今 後も学び続ける教師でありたい。

5.参考文献

1)梶田叡一,「名著復刻 形成的な評価のため に」,明治図書,2016

2)文部科学省教育課程審議会,「児童生徒の学 習と教育課程の実施状況の評価の在り方につい て(答申)」,2000

参照

関連したドキュメント

ために十分な時間を確保しなければならないし,その上

「ゴール型」フラッグフットボールについての指導案

(画像 2)体で表現しながら新語彙を導入する様子 (2)児童について(男子 11 名 女子 12 名 計 23 名)

3.11 直後、児童の半数以上が自宅外での生活を余儀なくされて いた。しかし、当時断水状況であったにもかかわらず、半数の児 童がその事実を「知らなかった。 」

「こんなミスをするから注意してね!」と指導するより、子ども自身に誤答

では,以上のような相互応答するケア的関係づくりを基

本研究は,個別の指導計画を授業づくり,及び授業改善につなぐため,個別の

B-2