平成24年7月28日 新潟県立中央病院 第5回肝臓病教室 於・市民プラザ
C型肝炎について
内科医師 津端 俊介質問:
C型肝炎の治療の目的は
何ですか?
答え:
がんや肝硬変になることを
予防することです。
①
ウイルスの排除
②
肝硬変や肝がんの発症を予防
C型肝炎治療の目的
①
ウイルスの排除
C型肝炎治療の実際
ウイルス排除に用いるお薬
インターフェロン
ウイルスの増殖を抑制する。 ウイルスを排除することができる唯一の薬。 週3回以上の注射が必要。ペグインターフェロン
インターフェロンに混ぜ物をしたもの。 1週間に1回の注射でよい。リバビリン
インターフェロンと併用することで、ウイルス排除効果を高める。 単独ではウイルス排除効果はない。 ウイルスのタイプによっては、使わないことも。①
ウイルスの型 (1型 vs 2型)
「犬」の中にも柴犬やチワワが いるようなものです。②
ウイルスの量 (多い vs 少ない)
ウイルスの型とウイルスの量により
インターフェロンの効きやすさが決まります。
これらは、血液検査で簡単に調べることができます。
インターフェロンの効きやすさを
規定する因子
③
患者さんの遺伝子
この検査も、血液検査で簡単に調べることができます。
新潟県の病院では、条件付きで無料で受けることが
できます。(協力・新潟大学医歯学総合研究科)
インターフェロンの効きやすさを
規定する因子
最近では、患者さんの遺伝子の ごく一部を調べることによっても インターフェロンの効きやすさを 予測できるようになりました。 24,48 週 ペグインターフェロン(週1回) リバビリン 600-‐1000mg (3-‐5錠)/日 (連日) 0週 原則として、ペグインターフェロンとリバビリンを 併用した治療を行います。 ウイルスの型によってはリバビリンを使わないことがあります。 ウイルスの型・量によって24週、48週を選択します。ウイルスを除去するための
標準的な治療
テラプレビル
適応: ① 1 型でウイルス量が多い方 ② 以前にインターフェロン治療を行ったが、 再燃または無効であった方新規薬剤の登場
ペグインターフェロン(週1回) リバビリン 600-‐1000mg (3-‐5錠)/日 (連日) 24週 0週 テラプレビル1500-‐2250mg (6-‐9錠)/日 (連日)テラプレビルを用いた治療
12週 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 一度ウイルスが未検出になったが 治療後再び増えてしまった患者さん (再発) 治療経過中ウイルスが一度も 未検出にならなかった患者さん (無効)テラプレビルによるウイルス排除率
以前インターフェロン治療を受けたが、 再燃または無効であった患者さん ウイルス排除率 (%)88.1%
34.4%
どういう方が
ウイルス排除を目指すべきか
C型肝炎ウイルス感染があり、
肝臓の数値(ALT, GPT)に異常のある方
(30以上は要注意と言われています)。
ただし肝臓の数値(ALT, GPT)が正常の場合でも、 治療の対象になることがあります。 詳しくは医療者にご相談ください。妊娠希望の方やそのパートナーの方は リバビリンが使えません。
インターフェロン治療の注意点
別疾患(糖尿病・腎不全など)があると インターフェロン治療ができない、または 治療に慎重を要することがあります。 また、重度な肝硬変があっても治療ができません。 ご高齢の方、別疾患を有する方では、 からだ全体のことを考慮して冷静に 治療方針を検討するべきです。インターフェロン治療の注意点
テラプレビルによる治療を開始する際には, 2週間の入院をお願いします。インターフェロン治療の注意点
「インターフェロンは、もともと週3回注射しなければ ならなかったのが、今は週1回でよくなりました」 週1回とはいえ、半年-‐1年半の通院は大変です 「副作用が軽くなりました」 軽くはなっても楽ではないこともあります 「治療成績は格段に良くなりました」 治療成績は100%ではありませんインターフェロン治療の問題点
インターフェロン治療の副作用
辛かった副作用はどのようなものでしたか?(複数回答可) 人 当院でインターフェロン治療を行った患者さん10名へのアンケート結果より 0 1 2 3 4 5 6 7 特になし むくみ 動悸 脱毛 舌が痛い 頭痛 不眠 関節炎 皮膚トラブル 口内炎 発熱 疲れやすさ だるさ 体重減少 いらいら 味覚が変わる かゆみ ひとりあたり 平均 6.5個の 副作用 (0-‐13個/16個) 0 10 20 30 40 50 Aさん Bさん Cさん Dさん Eさん Fさん Gさん (日)インターフェロン治療の副作用
テラプレビルの副作用のひとつに、皮膚症状があります
皆さん、14日以内に発生しています。 迅速に皮膚科受診していただくことで、 比較的軽症の状態でコントロールできています。 当院患者さんの皮膚症状発現時期「家族の理解のもと、家事仕事に時間がかかっても いいことにしてもらった。マイペースで仕事をした」 「家事はやるようにしていたが、つらいときは家族に甘えて 横になるようにした。感謝のことばは伝えるようにした」 「家事や集落の仕事は妻に任せて、自分は治療に専念した」
問題点・副作用に立ち向かうために
インターフェロン治療には、患者さんを支えるご家族のご理解が大切です。 治療に先立って、可能であればご家族の方にも一緒に 治療内容の説明を受けていただくことをお勧めします。 わからないことは何でも質問していただき、 十分に理解した上で、一緒に治療に臨みましょう。 当院でインターフェロン治療を行った患者さんへのアンケート結果より IFNの治療効果と発がん率 IFN後のALT値の変化と発癌率ウイルス排除ができなくとも・・・
万一ウイルスが消えなかったとしても、発がん予防や 肝機能の安定が得られる可能性があります。 ウイルスが消えなくても、治療に臨んだ時間は無駄になりません。 治療前、みなさんいろいろな不安を抱いておられます。 実際には、副作用に対する症状の強さはさまざまです。 辛いときは辛いです。 でも、全然平気という方や、これくらいなら我慢 できますとおっしゃる方もいらっしゃいます。 治療中に体が慣れてきたとおっしゃる方もいらっしゃい ます。 つらければいつでもやめられるのだという前提で、 まずは治療を始めてみる、というのではいかがでしょうか。 途中で治療が終わってしまっても、ウイルスが消えると いう可能性もあります。 スタッフ一同でサポートさせていただきます。 一緒に治療を進めていきましょう!②
肝硬変や肝がんの発症を予防
対象: インターフェロン治療が続けられない方 合併症などでインターフェロン治療ができない方 インターフェロン治療でウイルス排除されなかった方 別疾患(糖尿病・腎不全など)があると、 インターフェロン治療ができない、または 治療に慎重を要することがあります。 また、重度な肝硬変があっても治療ができません。 ご高齢の方、別疾患を有する方では、 からだ全体のことを考慮して冷静に 治療方針を検討するべきです。このような方々にお勧めしたい治療方法です。
肝硬変や肝がんの発症予防
肝硬変や肝がん発症予防の実際
「肝庇護療法」
ウイルスを排除する作用はないが、 肝臓をウイルスの攻撃から護る作用がある (庇い、護る)。 ウルソデオキシコール酸、グリチルリチン酸、 瀉血療法、鉄制限食 など。 インターフェロンの量を減らして持続的に使う方法 (インターフェロンの少量持続療法)もあります。インターフェロンが治療のすべてではありません!
患者さんにおひとりおひとりに合った治療方針を
検討していきます。
定期検査のすすめ
どのような治療方法を選択するにしても、 「定期的な検査」が重要です! 肝臓は「沈黙の臓器」です。 自覚症状のないままに病状が進行する恐れがあります。 血液検査 定期的な画像検査(CT、MRI、エコー、胃カメラ) はぜひ受診しましょう! ※ インターフェロン治療でウイルスが排除された 場合でも、5年間は検査の継続が必要とされています。 当院の患者さんより 「娘から、孫をだっこしないように言われている」 「職場には自分の病気のことを言いにくい」 「宴会の場では、皿や の共有をしないように気を遣う」 「市民公開講座で、普通に人と接しても大丈夫といわれて すごく安心した」C型肝炎ウイルスの感染予防
一般的な日常生活において
,
C型肝炎ウイルスが感染することは
まずありません!
家族と食器を共有したり、一緒に入浴するなどの 日常生活で感染することはありません。 使ったものを逐一消毒する必要もありません。 ただし・・・ カミソリや歯ブラシの共有は避けましょう。 口に傷がある場合には、食べ物の口移しは避けましょう。 傷の手当てや生理の処理などはご自身で行いましょう。C型肝炎ウイルスの感染予防
食事
原則として、なんでもバランスよく
食べるようにしましょう。
とくに外食が多い方は、注意をお願い
します。
アルコールは医師の指示に従って控える
ようにしましょう。
特にインターフェロン治療中は、禁酒を
お願いします。
「肝臓病には安静」とは過去の話!
肝臓は、糖や蛋白質の代謝を行っている 筋肉も、糖や蛋白質を代謝することで機能している 肝機能低下状態では、筋肉が肝臓の機能を補ってくれる 運動で筋肉を鍛えることは、 肝臓の手助けになるのです!最後に、運動のすすめ
「C型肝炎は治せるようになった」ということばを 耳にすることがあります。 しかし、「治せなかった」という結果に終わることも あります。 そもそも、「治す」治療を導入できない/導入しない こともあります。 私たちは、「治らない」ときのサポートこそが重要だと 考えています。 ときにかかりつけの先生と連携しつつ、定期的な検査や 診察を通して、引き続き対話を重視した診療でサポート させていただきます。 医療者一同、患者さんおひとりおひとりが健やかな毎日を 過ごされることを願っています。当院ウエブサイトで、 これまでの肝臓病教室の資料を ご案内しています。 新潟 肝臓病教室 検索