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高齢者施設における結核対策の手引
監修:京都市結核対策推進プロジェクトチー ム 発行:京 都 市 保 健 福 祉 局 医 療 衛 生 推 進 室 健 康 安 全 課 京都市印刷物 第 283098 号(平成 28 年 10 月発行,平成 29 年 4 月改訂) ■内容についてのお問合せ■ 京都市保健福祉局健康安全課 電話:222-4421 FAX: 213-2527 結核は,かつては「国民病」と言われるほど流行していましたが,適切な治療法が開発 されてからは,患者数は減少してきています。 しかし,日本国内では,現在でも高齢者を中心に年間約2万人の新しい患者が発生し, 2,000人以上の人が命を落としている重大な感染症です。 『決して「過去の病気」ではありません。』 京都市においても,全結核患者のうち65歳以上の高齢者の占める割合が約70%と高 くなっています。 高齢者は,過去(結核が蔓延していた時代)にすでに感染している人の割合が高く,加 齢や病気などによる免疫低下によって発病する例が目立ちます。そのため,高齢者が利用 する施設では結核発生リスクが高く,平常時からの結核対策が必要です。 つきましては,各施設において,本手引を積極的に御活用いただき,利用者・職員の皆 様の健康管理や結核の感染拡大防止に御協力いただきますようお願いします。 この印刷物が不要 になれば「雑がみ」 として古紙回収等へ!- 2 -
高齢者施設における結核対策の手引(目次)
1 結核の基礎知識 (P1~P6) (1)結核とは P 1 (2)感染と発病の違い P 2 (3)結核の症状 P 3 (4)健康観察のポイント P 4 (5)結核の検査 P 5 2 結核が疑われる利用者が発生した場合の対応 (P7~P8) (1)通所者の場合 P 7 (2)入所者の場合 P 7 (3)確定診断がついた時 P 8 (4)入院治療が必要な結核の基準 P 8 3 結核発生時の医療衛生コーナーの対応 (P9~P11) (1)患者・家族からの情報収集 P 9 (2)関係機関からの情報収集 P 9 (3)医療衛生コーナーによる接触者健診の検討 P10 4 結核治療中の生活 (P12~P14) (1)内服について P12 (2)サービスの利用再開 P12 (3)治療終了後 P12 5 予防対策 (P15~P16) (1)日頃の予防対策 P15 (2)サービス利用開始時の健康診断 P15 ① 問診 ② 胸部X線検査 (3)利用者・職員に対する定期健康診断 P16 6 胸部X線検査について (P17~P18)- 1 - 1 結核の基礎知識 (1)結核とは ・結核菌という細菌が体の中に入り,増えることによって起こる病気です。 ・結核は,結核患者からの咳やくしゃみに含まれる結核菌が空気中にまき散らされ,空 中にふわふわ浮いているものを他の人が吸い込むことによって感染します(空気感 染)。 ・すべての結核が感染性という訳ではありません。感染性があるのは,痰の中に結核菌 が存在している場合のみです。 ○結核菌によって引き起こされる慢性感染症です。 ○排菌している場合,人から人へ「空気感染」します。 結核菌は,長さ1~4ミクロン(ミクロンは 1,000 分の1 mm)幅 0.3 ミクロンの小さな細菌です。ろうの膜で覆われ た抵抗力の強い菌で,1回の分裂に 10~15 時間もかかります。 出典:結核?!でも心配しないで (平成27年改訂版) (赤く染まっているのが結核菌で,白線は 5 ミクロンの長さ を表しています。) 感染させる可能性のある結核 肺結核,気管・気管支結核,咽頭・喉頭結核 感染させる可能性のない結核 上記以外の結核(リンパ節結核,結核性胸膜炎,骨結核など)
* メモ
◆ (参考)光学顕微鏡でみた結核菌 ◆- 2 - (2)感染と発病の違い ・「感染」とは,吸い込んだ結核菌が体の中で生き続けている状態のことです。感染し ているだけでは,他の人にうつすことはありません。 ・「発病」とは,感染した後,結核菌が体内で活動し,病気を引き起こした状態です。 ・感染したからといって,すべての人が発病するとは限りません。発病するのは,全 体の約1割程度です。 ・症状が進むと,咳や痰とともに菌が空気中に吐き出される(排菌)ようになります。 ただし,発病しても排菌していない場合は,他の人に感染させる心配はありません。 ・感染してから2年以内に発病する「初期感染発病型」と何十年も経ってから発病す る「既感染発病型」に分けることができます。 ・「既感染発病型」は,加齢や病気な どによって免疫力が低下した際に 発病します。 ・抵抗力のない人(高齢者,過労,栄 養不良,他の病気による体力低下等) は注意が必要です。 ○「感染」しても必ず「発病」するとは限りません。 ○「発病」するのは10人に1人~2人で,残りは体内に持っている免疫力に よって発病しない状況を維持します。 ○抵抗力(免疫力)が下がると発病します。 ○「感染」して6箇月から2年後までが発病リスクが高くなります。 ○高齢者では,過去に結核に感染している人が多いため,「発病」のリスクも 高くなっています。 ○万が一,「発病」しても約6~9箇月間確実に治療(服薬)すれば完治する ケースがほとんどです。
- 3 - (3)結核の症状 ・一般的には,2週間以上続く咳や痰などの呼吸器症状がみられる場合は,結核も疑 う必要があります。 ・しかし,高齢の結核患者では,呼吸器症状がなく,発熱や倦怠感,食欲不振,体重 減少などの全身症状が主な症状である場合も少なくありません。そのため,高齢者 施設では,呼吸器症状以外にも,全身状態の注意深い観察が必要となります。 参考資料 : 平成26年の京都市の高齢結核患者(65歳以上)220人の調査結果 ○高齢者結核の症状として多かったのは, ① 発熱(50%) ② 痰(39%) ③ 咳(37%)でした。 ○その他,全身倦怠感,食欲低下, 体重減少も散見されました。 ○年代別では,高齢になるほど 呼吸器症状※を有する割合(右表の 赤枠内)が少なくなっていました。 ※呼吸器症状とは…咳,痰,血痰, 胸痛など
発見時症状
37% 39% 4% 6% 50% 23% 15% 12% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%発見時症状(年代別)
5% 18% 16% 24% 16% 41% 33% 46% 40% 39% 33% 30% 25% 12% 27% 21% 19% 13% 24% 18% 0% 20% 40% 60% 80% 100% 90歳以上 80~89歳 70~79歳 65~69歳 全体 呼吸器症状のみ 呼吸器症状+その他の症状 その他の症状のみ 症状なし- 4 - (4)健康観察のポイント ○結核発病の危険因子を有する高齢者には,より注意深い健康観察が必要です。 【発病の危険因子】 ・コントロール不良の糖尿病患者 ・副腎皮質ステロイド剤や免疫抑制剤,抗がん剤を服用中の人 ・胃潰瘍や胃切除術後の人 ・腎不全などの腎疾患患者 ・じん肺患者 ・強い精神的ストレスを受けた人 ・HIV感染者 など ○日々の健康観察も,担当者が変わると全体の経過が把握しにくくなる場合がありま す。健康観察結果は,チェック表などを用いて記録しておくことが大切です。 【呼吸器症状】 咳・痰・血痰・胸痛・頻回呼吸・呼吸困難 など 【全 身 症 状】 発熱・体重減少・食欲不振・全身倦怠感・活気のなさ など ○高齢の結核患者では,呼吸器症状がない場合も多く,発熱や倦怠感などの全身 症状の注意深い観察が必要です。それらの症状が続く場合には,早めに医療機 関を受診し,精密検査(胸部X線写真,必要に応じて喀痰検査)を受けていた だくことが重要です。
* メモ
- 5 - (5)結核の検査 胸部X線検査 結核の発病の有無を調べます。発病が疑われる影がある場合は,胸部CTによる精 密検査を実施します。 結核菌検査 ①塗抹(とまつ)検査・・・菌の有無,量を調べる検査 方法・特徴 喀痰などの検体に特殊な染色をして,顕微鏡で抗酸菌※の有無を確 認します。 分かること 抗酸菌※の「有無」や「量」が分かる。 分からないこと ・菌の生死は分からない。 ・結核菌か非結核性抗酸菌かは分からない。 ※抗酸菌とは ・結核菌,結核菌以外の非結核性抗酸菌に分けられます。 ・非結核性抗酸菌は土壌や水中などの環境中に存在し ます。結核菌とは異なり,人から人へは感染しません。 ②培養検査・・・菌の生死を調べる検査 方法・特徴 ・喀痰などの検体内の菌を増殖させます。 ・塗抹検査よりも感度が高く,少量の菌でも検出できます。 ・結果判明までに通常3~8週間かかります。 分かること 菌の「生死」が分かる。 分からないこと ・結核菌か非結核性抗酸菌かは分からない。 ③同定検査・・・菌の種別を調べる検査 方法・特徴 ・遺伝子を増殖させて結核菌を検出する方法などがあります。 ・短時間で判明し,結核菌か非結核性抗酸菌かを鑑別できます。 分かること 「結核菌」か「非結核性抗酸菌」かが分かる。 分からないこと ・菌の生死は分からない。 ・菌の量は分からない。
- 6 - ④薬剤感受性検査・・・発病者の結核菌に,薬が効くか否かを調べる検査 方法・特徴 薬を入れた培地に培養した結核菌を入れて菌が増殖するかを調べます。 分かること 菌が増殖した場合,その培地の薬は効果がない(感受性なし,耐性あり)と 判定され,治療薬も変更されます。 ○検査にはそれぞれの役割分担があります。 (一つの検査で必要な情報がすべて分かる訳ではなく,複数の検査を実施し,総合 的に判断します。) (参考)結核の感染性 人に感染させる可能性が高いのは,結核と診断される前,抗結核薬の内服を始める前です。 高感染性(入院治療必要) 喀痰塗抹陽性(排菌あり), 胸部X線写真で空洞ありなど 低感染性 喀痰塗抹陰性+培養陽性 感染性なし 喀痰塗抹陰性+培養陰性 肺外結核
* メモ
出典:結核?!でも心配しないで(平成27年改訂版)- 7 - 2 結核が疑われる利用者が発生した場合の対応 (1)通所者の場合 ・結核が疑われる場合,サービスの利用については,主治医や本人及び家族,ケアマ ネジャー等と相談しましょう。 ・自宅でも,可能な限り個室で過ごすようにしましょう。 ・咳がある場合は,「サージカルマスク」を着用してもらいましょう。 (2)入所者の場合 ・医療機関受診の結果,結核を疑われる入所者が出た場合は,感染性がないと判断さ れるまで,当該入所者と接触する際に施設職員は「N95マスク」を着用しましょ う。また,確定診断までの間に,施設内で過ごすにあたっての注意点を担当医師に 確認しましょう。 ・咳がある場合は,「サージカルマスク」を着用してもらいましょう。 ・個室対応をとり,他の入所者との接触を制限しましょう。また,部屋の換気を十分 に行いましょう。 ・痰が出る場合は,ティッシュに取った後,ビニール袋等に入れて捨てるようにしま しょう。 ・車に同乗する場合は,同乗者は「N95マスク」をつけて車の窓を開けましょう。 N95マスク サージカルマスク (特徴) 空気中の結核菌やウイルスの 吸入を防止するために着用 (特徴) 咳やくしゃみをした際のしぶき の飛びちりを防止するために着用
- 8 - 【よくある御質問】 Q:排菌していた結核患者が使用した部屋や寝具,食器の取扱いは? A:患者が使用していた部屋,寝具や洗濯物,食器については特別な消毒の必要はあり ません。 結核菌は加熱や直射日光(紫外線)に弱いため,患者が使用した部屋は十分に換気 し,寝具類は外に干して十分日光に当てるなど通常の対応をしてください。 食器類も普段通りの洗浄で十分です。 (3)確定診断がついた時 ・診断をした医師は,肺結核,肺外結核に関わらず医療機関は所在地の保健所(京都 市は市内共通となる「京都市医療衛生センター」)に直ちに結核発生届を提出します。 ※「通所者」,「入所者」のいずれの場合も,職員や他の利用者の中で有症状の人がい る場合には,早めに受診しましょう。 (4)入院治療が必要な結核の基準 入院治療が必要な結核 喀痰塗抹検査の結果が陽性の結核患者,または感染性が高いと判断された結核患者 です。ただし,入院治療を受け,喀痰検査等により感染性がない状態と確認されたら 退院して外来治療に切り替わります。入院期間は多くの場合,1~3箇月です。 外来治療が可能な結核 感染させるおそれがない結核と判断された場合は,入院の必要はなく外来通院によ る内服治療が可能です。
* メモ
- 9 - 3 結核発生時の医療衛生コーナーの対応 (1)患者・家族からの情報収集 結核発生届をもとに主治医等から情報を得た後,結核患者と連絡を取り,可能な 限り早期に訪問・面接を行って,発病までの経過や症状,生活状況・接触者等の情 報収集を行います。 (2)関係機関からの情報収集 結核患者が介護保険サービスを利用していた場合,ケアマネジャーにも連絡をと り,利用していたサービス事業所や接触者等について,情報収集をすることがあり ます。また,施設に入所あるいは通所サービスを利用しているなど集団生活を送っ ていた場合などは,その施設に対しても調査を実施することがあります。 【関係機関から収集したい情報】 ○患者について(呼吸器症状等の経過,利用時間,施設での過ごし方など) ○接触者について ・職員(介護の状況,健診状況,勤務状況等,有症状者の有無) ・他の利用者(同室者,交流の多かった利用者,送迎時の同乗者,有症状者の 有無,健診状況) ○施設の環境(利用者数・職員数・職場健診の状況・部屋の広さ・換気の状況・ 施設内見取り図など) ○他の利用者の健診状況
* メモ
- 10 - (3)医療衛生コーナーによる接触者健診の検討 収集した情報をもとに,接触者健診の必要性,実施方法,対象者,実施時期など を決定します。 ①接触者健診で行う検査 胸部X線検査 結核の発病の有無を調べます。 血液検査(QFT,T-SPOT) 結核菌に感染しているかどうかを調べます。感染成立から検査結果が陽性化する までに2~3箇月かかります。また,陽性であっても最近の感染か過去の感染かは わかりません。高齢者の血液検査については,状況をみて実施するかどうかを判断 します。(高齢者は,過去(結核が蔓延していた時代)にすでに感染している人の割 合が高いためです。) ②接触者健診の対象者 他の人に感染させる可能性がある期間内に接触があった者を対象としますが,接 触者全員に健診を行うとは限りません。最優先接触者から健診を行い,その結果に 応じて健診対象を広げたり,最優先接触者だけで健診を終了したりすることがあり ます。 第一同心円(最優先接触者) 第二同心円(低優先接触者) ③接触者健診の時期 患者との最終接触から2~3箇月後に初回の接触者健診を行います。ただし,結 核を感染させる可能性がある期間に長時間接触があった場合は,すぐに接触者健診 を行う場合もあります。検査の内容や結果により,最長2年後まで健診を実施する ことがあります。なお,検査の結果,感染や発病が疑われた場合は医療機関を紹介 します。 患者
- 11 - ○感染した場合でも,感染を調べる検査(血液検査)結果が陽性化するまでに約 2~3箇月かかるため,健診を直ちに行わない場合もあります。 (健診の実施時期については,その時の状況に応じて御案内します。) ○接触者全員に健診を行うとは限りません。最優先接触者から健診を行い,その結 果に応じて健診対象を広げたり,最優先接触者だけで健診を終了したりすること があります。 【よくある御質問】 Q:接触者健診にて結核に感染していると言われたが,家族や同僚にうつすことはない ですか? A:感染しているだけ(発病していない)の状態では,他の人にうつす心配はありませ ん。
* メモ
- 12 - 4 結核治療中の生活 結核を発病しても,もともと感染性がない場合や,治療により感染性がなくなった場 合は,周囲に感染させるおそれはありません。内服治療をしながら地域で生活をおくる ことが可能なため,むやみに入所や通所を拒否しないようにしてください。 (1)内服について 結核の内服は一般的に,短くて6箇月,高齢者や糖尿病などの合併症がある場合は 9箇月以上になることもあります。また,大原則は規則的な内服です。 結核薬の内服忘れがあると,薬が効かない結核(薬剤耐性菌※)になったり,再発 につながります。そのため医療衛生コーナーでは,DOTS(服薬支援※)を実施し ています。 ※薬剤耐性菌とは…薬を正しく内服しなかったり,治療中断などを行うことによって, 生き残った菌が徐々に薬に対する耐性を獲得し,治療が困難にな っていきます。 ※DOTSとは…直接服薬確認方法のことです。患者本人以外の人が患者の服薬を 継続的に確認し支援することです。医療衛生コーナーだけでなく, 家族や関係機関の皆さんの力を借りて内服のサポートをしていく 必要がありますので,御協力をお願いします。 (2)サービスの利用再開 入院治療が必要な結核でも,感染性がなくなれば退院して外来治療が可能です。 感染性がないと判断されたらサービスの利用も可能ですので,再開については主治医 に相談しましょう。 (3)治療終了後 治療終了後2年間は,結核を再発しやすいと言われています。医療衛生コーナーは その間,半年ごとに患者さんの体調面や胸部検診の状況等を把握し,経過観察を行っ ています。
- 13 - ●なぜたくさんの種類の薬を内服するの? 治療に使われる結核薬はここに 示した他にもあります。 ●初めて治療する時の標準治療 ※ は病状(薬剤感受性検査結果等)により主治医の判断で治療が継続さ れます。 ※ 過去に結核治療歴のある人は,結核菌が薬剤耐性になっている可能性があるこ とから,薬剤感受性試験を受けたうえで慎重に薬剤が選ばれ治療が決定されるた め,初回標準治療法とは異なることがあります。
- 14 - ●なぜたくさんの種類の薬を内服するの? 結核菌には,生まれながらにして薬の効かない菌がわずかにあります。一剤だけを 使用していると,日がたつにつれ,その薬が有効な菌は死んでいきますが,生き残っ ている薬の効かない菌が徐々に増えます。そのため,いろいろな作用機序の異なる薬 を併用します。 ●薬を途中でやめてしまうと… 結核菌はしぶとい菌です。症状がなくなっても菌は残っています。途中で薬をやめ ると,前に内服していた薬が効かなくなる菌が出てきます。 ※参考:治療後の経過観察の流れ(標準的な治療の場合) 治療期間(6~9箇月間) 6箇月後 1年後 1年6箇月後 2年後 治 療 終 了 終 了 経過観察(2年間) 半年ごとに胸部X線撮影
- 15 - 5 予防対策 (1)日頃の予防対策 ・こまめな換気 ⇒ 空気中の結核菌を外に出す。 (結核菌は紫外線に弱く,日光に 当たると数時間で死滅します。) ・咳エチケット(マスクの着用) ⇒ 結核菌をまき散らさない。 ・個人の免疫力の維持(栄養・運動・ 睡眠・禁煙) ⇒ 結核菌を吸い込んでも感染・発病しないために利用者の健康観察が必要。 ○高齢者は典型的な呼吸器症状が出にくいため,日ごろから健康状態をチェックし, 結核の早期発見につなげることが大切です。 (2)サービス利用開始時の健康診断 入所開始時には,提出される健康診断書に加え,胸部X線写真による結核発病の チェック及び問診の実施が重要です。(通所開始時にもこれらを実施することが望ま れます。) ①問診 ・結核を疑う症状の有無(咳・痰・発熱・胸痛など) ・過去の結核既往歴(結核性胸膜炎・肋膜炎・カリエスなども含む) ・結核患者との接触歴(家族・親族・親しい友人など) ・免疫力が低下する基礎疾患の有無(糖尿病・悪性腫瘍・慢性腎不全・じん肺・ 胃切除歴など) ・生物学的製剤,副腎皮質ステロイド剤,免疫抑制剤による治療中 など ②胸部X線検査 ・症状出現時のX線画像と比較できるよう,検査実施状況の記録や,以前撮った X線写真があれば保管しておきましょう。
- 16 - (3)利用者・職員に対する定期健康診断 感染症法上,以下の表のとおり,定期結核健康診断対象施設と実施義務者,健康診 断の対象者及び実施時期が定められています。さらに,事業者又は施設長は,健康診 断の実施報告書(P18参照)を保健所(本市の場合は,事業所所在地の医療衛生コ ーナー)へ提出することが義務付けられています。(郵送又はFAXで可) 施設の種類 実施義務者 対象者 実施時期等 病院,診療所,助産所,介護老人保健施設 事業者 業務に従事する者 毎年度 社 会 福 祉 施 設 ( ※ ) 事業者 業務に従事する者 毎年度 施設長 入所者 65 歳到達以降毎年度 ※ 社会福祉法第2条第2項第1号及び第3号から第6号までに規定する施設 ○生活保護法に規定する救護施設,更生施設その他生計困難者を無料又は低額な料 金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設 ○老人福祉法に規定する養護老人ホーム,特別養護老人ホーム,軽費老人ホーム ○障害者総合支援法に規定する障害者支援施設 ○売春防止法に規定する婦人保護施設 老人保健施設・デイサービスセンター等の通所施設については,事業者が職員に対 し,年 1 回の結核に係る定期の健康診断を実施することは義務付けられていますが, 通所の利用者については,法令上,施設長に実施義務規定は定められていません。 しかしながら,感染症法上,65歳以上の方は年に1回は結核健診を受けることが 義務付けられていることや,各種事業を行う上で,常に利用者の健康の状況に注意す ることが求められていることから,利用者に対し,胸部X線検査の受診勧奨(かかり つけ医での受診や医療衛生コーナーの胸部検診など)を行っていただきますよう御協 力をお願いします。 ○定期健康診断時には必ず咳・痰・発熱等の有無を確認してください。 ○健康診断の結果,要精密検査と診断された場合は必ず呼吸器専門医にて精密検査 を実施し,判定結果を把握することが重要です。
- 17 - 6 胸部X線検査について 各区支所においても胸部(結核・肺がん)検診を月2回実施していますので, 検診日程等詳しくは各医療衛生コーナーへお問合せください。 (※診断書の発行は,平成29年3月31日で終了しました。) 【医療衛生コーナー 一覧】(平成29年5月8日時点) 所 在 地 電話番号 FAX番号 北 区 〒603-8511 北区紫野東御所田町 33-1 366-6085 432-3050 上京区 〒602-8511 上京区今出川通室町西入堀出シ町 285 366-3748 441-3020 左京区 〒606-8511 左京区松ケ崎堂ノ上町 7-2 354-5132 702-1355 中京区 〒604-8588 中京区西堀川通御池下る西三坊堀川町 521 366-8609 812-0188 東山区 〒605-8511 東山区清水 5 丁目 130-6 354-5086 541-3288 山科区 〒607-8511 山科区椥辻池尻町 14-2 634-8631 502-1677 下京区 〒600-8588 下京区西洞院通塩小路上る東塩小路町 608-8 354-5209 371-6766 南 区 〒601-8441 南区西九条南田町 1-3 606-1325 681-5557 右京区 〒616-8511 右京区太秦下刑部町 12 366-0115 861-7899 西京区 〒615-8083 西京区桂艮町 1-2 748-9058 381-6266 洛西支所 〒610-1198 西京区大原野東境谷町 2 丁目 1-2 874-2275 332-8255 伏見区 〒612-8511 伏見区鷹匠町 39-2 574-7170 611-0707 深草支所 〒612-0861 伏見区深草向畑町 93-1 644-9105 642-3345 醍醐支所 〒601-1366 伏見区醍醐大構町 28 644-6324 571-2115 「シールぼうや」とは・・・ 結核予防会のキャンペーンキャラクターで,複十字マークを剣のよ うに持ち,「結核とたたかうシールぼうや」として世界結核デー,結核 予防週間などのイベントやポスター,パンフレット上に登場していま す。
* メモ
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