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ご注意
本書について
Publication number M5000-91009 第 1 版
Copyright
2003 Koninklijke Philips Electronics N.V. All rights are reserved.
教育目的に限り、本書をコピーし、 配布することを許可します。 保証 当社では、本書に関して特定の目的 に対する適合性、市場性などを含む 一切の保証をいたしかねます。 また当社は内容が正確であるよう最 善を尽くしておりますが、万一その 内容について誤りがあった場合およ び内容に基づいて被った損害につい ては、一切の責任を負いかねます。 注意 薬事法により、本製品は医師の注文 がないと販売できないことになって います。 当社指定以外のアクセサリ を使用すると製品の性能が低下する おそれがあります 本製品は家庭での使用を目的とした ものではありません。
Medical Device Directive
本アルゴリズムは、フィリップスメ ディカルシステムズの複数の医用機 器に使用されているソフトウェア製 品です。 Medical Device Directive 等の医療規格への準拠については、 各製品付属のドキュメントをご覧く ださい。
Authorized EU-representative:
Philips Medizinsysteme Böblingen GmbH Hewlett Packard Str. 2
71034 Böblingen Germany
原典
このマニュアルは『The Philips 12-Lead Algorithm Physician’s Guide』 (M5000-91000)を翻訳したものです。
本書について
本書では、フィリップス 12 誘導アルゴリズムによる ECG 信号の解析について説明していま す。 注記 自動解析は完全な信頼性を有するものではありません。 コンピュータによる ECG 解析は、必 ず専門の医師のレビューを受けてください。本書の対象読者
本書は、フィリップス 12 誘導アルゴリズムによって解析された ECG を承認する医師を対象 としています。 また、医師以外の医療従事者が ECG 解析に関する知識を必要とする場合にも 役立ちます。 注記 本書には、お使いのフィリップスメディカルシステムズの機器には搭載されていない機能に ついての説明が記載されている場合があります。 使用可能な機能の詳細については、各製品 付属のドキュメントをご覧ください。本書について. . . ii
本書の対象読者. . . ii
目次
フィリップス 12 誘導アルゴリズム
はじめに . . . 1-1
フィリップス 12 誘導アルゴリズムのプロセス . . . 1-2
品質のモニタリング . . . 1-3
アーチファクトの低減. . . 1-3
コモン・モード . . . 1-3
差動モード . . . 1-3
フィルタの使用. . . 1-4
アーチファクト・フィルタ . . . 1-4
AC フィルタ . . . 1-5
周波数応答フィルタ . . . 1-5
基線の変動除去フィルタ . . . 1-5
波形認識と計測値 . . . 1-6
波形認識. . . 1-6
総合計測値. . . 1-7
グループ計測値 . . . 1-7
誘導計測値 . . . 1-7
心房調律の解析 . . . 1-7
全体の計測値. . . 1-7
軸計測値 . . . 1-7
解析結果 . . . 1-8
全体的な重症度. . . 1-8
成人および小児の調律解析
心調律のカテゴリ . . . 2-1
ペーシング. . . 2-1
自己基本調律. . . 2-2
早期興奮症候群. . . 2-3
期外収縮. . . 2-3
ポーズ. . . 2-4
その他の不整脈. . . 2-4
目次
目次
成人の形態解析
成人の形態のカテゴリ . . . 3-1
右胸心. . . 3-1
右房異常. . . 3-2
左房異常. . . 3-2
両房異常. . . 3-2
QRS 軸偏位 . . . 3-2
心室内伝導遅延. . . 3-2
右室肥大. . . 3-3
左室肥大. . . 3-3
低電位および慢性閉塞性肺疾患パターン. . . 3-5
下壁梗塞. . . 3-5
側壁梗塞. . . 3-5
前壁中隔および前壁梗塞. . . 3-5
前側壁および広範囲前壁梗塞. . . 3-6
後壁梗塞. . . 3-6
ST 低下と心筋虚血 . . . 3-6
T 波異常と心筋虚血 . . . 3-7
再分極異常と心筋虚血. . . 3-7
ST 上昇、心筋障害、心膜炎、早期再分極 . . . 3-8
増高 T 波. . . 3-8
QT 異常、電解質異常、薬剤の影響 . . . 3-8
小児の形態解析
小児の形態のカテゴリ . . . 4-1
右胸心. . . 4-2
右房異常. . . 4-2
左房異常. . . 4-2
両房異常. . . 4-2
QRS 軸偏位 . . . 4-2
心室内伝導遅延. . . 4-6
右室肥大. . . 4-7
中隔肥厚. . . 4-7
左室肥大. . . 4-7
両室肥大. . . 4-8
低電位. . . 4-8
Q 波異常と心筋梗塞 . . . 4-8
ST 低下 . . . 4-8
T 波異常 . . . 4-9
再分極異常. . . 4-9
ST 上昇、心膜炎、早期再分極 . . . 4-9
増高 T 波. . . 4-9
QT 異常および電解質異常 . . . 4-9
先天性心疾患. . . 4-10
目次
出力された ECG レポートの見方
所見、理由、重症度 . . . 5-2
重症度 . . . 5-3
基本計測値 . . . 5-3
コード型患者臨床情報 . . . 5-4
コード型患者臨床情報のコード. . . 5-5
患者 ID 情報 . . . 5-7
施設情報 . . . 5-9
設定可能な臨床情報 . . . 5-10
ECG オーダー情報 . . . 5-11
医師情報 . . . 5-12
レポートに関する情報 . . . 5-12
校正に関する情報 . . . 5-13
タイム・セパレータ . . . 5-15
ペーシング波形検出設定 . . . 5-15
アルゴリズムのバージョン番号 . . . 5-17
速度と感度の設定値 . . . 5-18
機器 ID 番号 . . . 5-18
12 誘導 ECG のレポート例 . . . 5-19
拡張計測レポート . . . 5-26
形態解析. . . 5-27
形態に関する誘導計測値. . . 5-28
横断面 QRS ベクトル. . . 5-31
前額面 / 水平面軸パラメータ. . . 5-31
全体の計測値. . . 5-32
解析所見コード. . . 5-32
調律解析. . . 5-33
グループ計測値. . . 5-34
グループ・フラグ. . . 5-35
調律パラメータ(全体 ) . . . 5-36
調律による心拍の分類. . . 5-37
異所性調律. . . 5-37
ペースメーカ. . . 5-38
調律レポート . . . 5-39
圧縮波形レポート . . . 5-42
付録 A.
測定値の正常範囲
付録 B.
解析所見(カテゴリ別)
付録 C.
解析所見(アルファベット順)
目次
1
フィリップス 12 誘導アルゴリズム
はじめに
コンピュータ支援による ECG 解析は 1960 年代に始まりました。 コンピュータによる ECG 解 析は当初、研究機関で使用されていましたが、開発の結果、医師が使用するツールとしても 受け入れられるようになりました。 1971 年、エンジニアと世界中の心臓外科医の協力によ り、成人用 ECG 診断クライテリア・プログラムの開発が開始されました。 ECG 解析の中核と なるのは、ECG Criteria Language(ECL)です。 ECL は、コンピュータ・プログラミング言 語の 1 つで、ECG クライテリアの定義用として開発され、1978 年に初めて導入されました。 ECL の主な目的は、ECG クライテリアを心臓専門医とコンピュータのどちらにも理解可能な 形式で示す手段を提供することです。 ECL では、広範な心臓専門医から収集して選りすぐっ た一貫性のある用語と心電図関連のテキストを使用して ECG クライテリアを記述していま す。 フィリップス 12 誘導アルゴリズムは、ECG 波形と関連する調律の振幅、時間幅、形態を解析 します。 ECG 波形解析では、標準クライテリアに基づいて、上記パラメータの解析 / 電気軸 の計算 / 誘導間の関係の解析が行われます。 フィリップス 12 誘導アルゴリズムは、特に年齢と性別に応じた解析に優れています。 プロ グラム全体を通じて、患者の年齢と性別に基づき、心拍数、軸偏位、時間間隔、電位値に関 する正常値の範囲を定義することにより、徐脈、頻脈、PR および QT 間隔の延長と短縮、心 肥大、早期再分極、心筋梗塞をより正確に解析できます。 患者の年齢が 16 才以上、または年齢が指定されていない場合は、成人用診断クライテリア が適用されます。 患者の年齢が 16 才未満の場合は、小児用診断クライテリアが適用されま す。 コンピュータ解析した ECG レポートは、医師の診断の代用として使用することはできませ ん。 解析した ECG はあくまで、医師が患者に関するデータ、診察結果、その他の所見を総合 して臨床的な診断を行うための支援ツールです。 12 誘導アルゴリズムは、医師が問題領域を 識別するのに役立つと同時に、医師やデータ入力担当技師は所見の追加 / 削除 / 変更を行う だけなので、時間も節約されます。フィリップス 12 誘導アルゴリズム フィリップス 12 誘導アルゴリズムのプロセス
フィリップス 12 誘導アルゴリズムのプロセス
フィリップス 12 誘導アルゴリズムでは、正確で一貫性のある ECG 測定値を得た後、この測 定値を使って解析に関する所見が作成されます。 このプロセスでは、まず従来の 12 本の誘 導から ECG データを同時に取り込み、さらに下記の 4 つのステップを実行して ECG 解析レ ポートを作成します。 1 品質のモニタリング - 各 ECG 誘導の技術的な品質を調べます。 2 波形認識 - さまざまな波形要素を見つけて、その特性を識別します。 3 計測 - 波形の各要素を計測して、基本的な調律解析を行い、総合計測値セットを出力し ます。 4 解析 - 拡張計測と患者 ID 情報(年齢、性別)を使用して、プログラムから解析所見を選 択します。 図 1-1 フィリップス 12 誘導アルゴリズムによる解析プロセス ECG 患者データ 品質のモニタリング オペレータへのフィードバック 解析レポート 承認者 フィリップス 12 誘導アルゴリズム 拡張計測 クライテリア品質のモニタリング フィリップス 12 誘導アルゴリズム
品質のモニタリング
コンピュータによる ECG 解析は、まず、12 本の ECG 誘導から同時にデータを取り込んで解析 し、正確な ECG 波形を取得することから始まります。 体表面から得られた ECG アナログ信号 は、患者モジュールによってデジタル信号に変換されます。 ECG 波形データは 4 MHz のサン プリング・レートで取り込まれた後、5µ
V の分解能で 1 秒あたりのサンプル数が 500 にな るまでカットされます。 このサンプリング・レートにより、ペースメーカ・パルスが正確に 検出されます。 フィリップスメディカルシステムズの機器では、誘導の装着から ECG データの取得までの解 析プロセス全体を通して ECG トレースの品質がモニタリングされます。 これにより、可能な 限り高品質な ECG トレースが得られます。 また、ECG トレースをプリントする前に、問題点 を修正することもできます。 解析中にトレースの品質が解析されるので、良好な ECG 測定値が確実に得られます。 また、 筋電アーチファクト、交流電流のノイズ、基線の変動、誘導外れがないかについても解析さ れます。 オペレータによって修正されていないノイズの問題があれば、ECG レポートの解析 所見に記述されます。 ノイズがひどい場合、レポートがプリントされないことがあります。 ノイズによる影響が著 しく、ECG 解析に支障をきたす場合、レポートはプリントされますが、解析所見は記述され ない場合があります。 この場合は、ノイズの問題を解決して、再度 ECG データを取り込んで ください。 誘導の位置を変更し、患者の処置をさらに入念に行うことにより、ノイズによる品質の問題 の大部分を取り除くことができます。アーチファクトの低減
電気的干渉、患者の呼吸や体動、筋肉の震えは、ECG 信号のノイズやアーチファクトの原因 となります。 また ECG 電極の品質が不良であったり、患者の処置が不適切な場合は、ECG 信 号の品質が低下するおそれがあります。 ECG 信号に影響を与える交流電流による妨害には、コモン・モードと差動モードの 2 種類が あります。コモン・モード
ECG 信号に干渉するノイズの原因の中には、患者に装着された電極すべてに影響を与えるも のがあります。 このような共通ノイズの原因は、信号を取り込んでデジタル化する際に入力 回路により ECG から除去されます。 コモン・モードの信号が低減された量をコモン・モード 除去比と呼びます。 フィリップスメディカルシステムズの入力回路のコモン・モード除去比 は、AAMI および IEC 基準に適合しています。差動モード
電気によって発生する磁場はリード線に影響を与えます。 磁場によって誘導された電気信号 が ECG に高周波ノイズとして出現します。 ノイズによる歪みの割合は誘導によって異なり、 リード線が形成するループのサイズや向きによっても異なります。 歪みを防止する最良の対 策は、すべてのリード線を患者の頭部から足までの軸に沿ってきっちり並べて配置すること です。フィリップス 12 誘導アルゴリズム 品質のモニタリング
フィルタの使用
さまざまなノイズ・ソースにより、再生される ECG 信号の品質が低下するおそれがあります が、 使用時に(またはシステム構成時に)優れたデジタル・フィルタ・セットを選択するこ とにより、ECG 波形を最適な状態で表示 / プリントできます。 選択性の非常に高い AC フィルタを除いて、フィルタ適用時の ECG トレースの忠実度と明確 度との間にはトレードオフがあります。 フィルタを適用すればするほど、ECG 信号の詳細部 分が除去される可能性が高くなります。 ECG レポートの右下隅のボックスには、ECG で使用されたフィルタ・オプションに関する情 報が表示されます。 注記 フィルタはすべて、表示 / プリントされる ECG に影響を与えますが、フィリップス 12 誘導ア ルゴリズムは常に、フィルタが適用されていないデータを受信して解析を行います。 図 1-2 ECG レポートのフィルタ・ボックスの例アーチファクト・フィルタ
アーチファクト・フィルタは、骨格筋のアーチファクトを除去します。 このノイズ・ソース は ECG 信号と同じ周波数のため、除去するのが最も困難です。 アーチファクト・フィルタに より骨格筋のアーチファクトが除去されますが、ECG の高周波数成分もすべて除去されます。 フィルタは 5 ~ 150 Hz の周波数範囲で最大 50µ
V の信号を除去できます。 これは、P 波と QRS-T 波形全体に影響を与える可能性があります。 このため、アーチファクト・フィルタは 著しい筋電アーチファクトが原因で ECG が解読不可能な場合のみ使用してください。 フィルタ・ボックス品質のモニタリング フィリップス 12 誘導アルゴリズム
AC フィルタ
AC フィルタは、電気によって発生する磁場がリード線に影響を与えることにより生じるノイ ズを除去します。 交流電流による妨害は、60 Hz または 50 Hz の安定した周波数のため、AC フィルタを適用すると AC ノイズだけが除去され、ECG 信号は影響を受けません。 電源周波数 (60 Hz または 50 Hz)は、システム構成時に選択されています。 フィルタボックスに AC フィルタのシンボルが表示されていない場合は、AC フィルタが ECG で使用されていないことを示します。周波数応答フィルタ
このフィルタは、ECG 信号スペクトラムの最高 / 最低帯域の周波数を除去します。 高周波数 応答フィルタで設定可能な周波数は、40、100、150 Hz です。 I1989 年、American Heart Association(AHA)により、成人用 ECG では最大 125 Hz、小児用 ECG では最大 150 Hz まで の周波数の記録が推奨されました。1 フィルタを 40 または 100 Hz に変更すると、ECG 波形は滑らかになりますが、信号の微細な 成分が除去されます。 周波数応答フィルタのいずれかを適用すると、微細な振れ、ノッチ、 スラーが歪められたり、消失する場合があります。 低周波数応答フィルタで設定可能な周波数は、0.05、0.15、0.5 Hz です。 注 記 基線の変動除去フィルタをオンにすると、低周波数応答フィルタは自動的に 0.5 に設定され ます。 上記以外のすべての ECG には、低周波数応答フィルタを設定値 0.05 で使用すること をお勧めします。 詳細については、「基線の変動除去フィルタ」を参照してください。 プリントされた ECG の周波数応答は、ECG レポートのフィルタ・ボックスに表示されます。 12 誘導アルゴリズムでは、最大の忠実度を確保できるよう 0.05 ~ 150 Hz の帯域幅を使用し ています。基線の変動除去フィルタ
基線の変動とは、ECG の記録中に基線が(通常は 0.1 ~ 0.2 Hz の範囲で)上下に緩やかに変 動することを指します。 基線の変動は、患者の呼吸やその他の要因により生じます。 基線の 変動が激しい場合、ECG で本来の波形の形状を見極めにくくなるおそれがあります。 基線の変動を除去する手法が効果的であれば、ST が歪むことはありません。 周波数応答の下 限値(0.05 Hz)(通常はこの設定値を推奨)を使用すると、ほとんどの ECG で基線の変動を 除去できますが、これ以外の周波数も除去する必要がある場合があります。 基線の変動除去 フィルタをオンに設定すると、0.5 未満のすべての周波数成分が除去されます。フィリップス 12 誘導アルゴリズム 波形認識と計測値 注記 ST を歪ませるおそれがある 0.5 Hz の基線の変動除去フィルタは、調律モードで ECG 連続記 録を行う際に使用します。 この設定では、調律 ECG の波形の輪郭を解析しないでください。 調律モードで輪郭解析を行う必要がある場合は、周波数応答を 0.05 Hz のハイパス設定にし て、ST の歪みを最小限に抑えてください。 ECG 調律の特性は、調律モードでは、ローパス周 波数設定にかかわりなく正確に記録されます。
波形認識と計測値
フィリップス 12 誘導アルゴリズムでは、ECG レポートのすべての波形について計測項目が算 出されます。 各誘導のすべての心拍が個別に計測されるので、心拍間の本来の変化が反映さ れた代表計測値が得られます。 このアルゴリズムでは、各心拍の計測値をまとめた総合計測 値セットから、全計測値(グループ、誘導、全体)が算出されます。 この 3 種類の計測値 (グループ、誘導、全体)を組み合わせることにより、解析機能の柔軟性とパワーが強化さ れます。 図 1-3 ECG 形態計測値波形認識
計測プログラムの第一段階では、波形の認識と心拍の検出が行われます。 ペースメーカの設 定がオンまたは不明の場合、全誘導に対してペーシング・スパイク検出機能が実行されま す。 ペーシング・スパイクが除去され、スパイク除去後の波形が解析されます。解析は 10 秒間行われ、全誘導から算出した区分点波形を使用して行われます。 QRS 波形とペーシン グ・スパイクのおおよその位置が確認された後、P 波と T 波の検出に適した別の区分点波形 が算出されます。 これにより、ECG の各心拍の P 波、QRS 波形、T 波のおおよその領域が決定 されます。波形認識と計測値 フィリップス 12 誘導アルゴリズム
総合計測値
おおよその波形位置が確認された後、さらに微細な調整を行って各波形の正確な始点と終点 が決定されます。 始点と終点の決定後、各誘導のすべての P 波、QRS 波形、ST、T 波の振幅、 時間幅、面積、形状が計算されます。 またすべての心拍について、波形の異常(ノッチ、ス ラー、デルタ波、ペーシング・スパイクなど)の特定も行われます。グループ計測値
ECG の各心拍は、心拍数と形態の各パラメータに基づいて、5 種類の調律のいずれかに分類 されます。 同じグループの心拍は、R-R 間隔、時間幅、形状が互いに類似しています。 心室 ペーシング心拍は、他のパラメータとは無関係にすべて同一グループに分類されます。 グループ 1 は、最も優位な心拍の種類を示します。 グループ 2 ~ 5 は他の心拍の種類を示し、各グループの計測値は平均されます。 各心拍が分類されるグループは拡張計測レポートの調律解析セクションの調律による心拍の 分類という見出しの下に示されます。 詳細については、「拡張計測レポート」(5-26 ページ) を参照してください。誘導計測値
12 誘導の各計測値はグループ 1 の心拍から算出されます。 ECG の心拍がすべて心室ペーシン グ心拍である場合に限り、ペーシング心拍が計測されます。 ECG にペーシング心拍と非ペー シング心拍がどちらも含まれている場合は、非ペーシング心拍だけが計測されます。 誘導計測値とは、各誘導ごとに優位な波形を平均化した代表値を意味し、拡張計測レポート の調律解析セクションの形態解析セクションに記録されます。心房調律の解析
12 誘導アルゴリズムによって QRS 波形あたりの P 波の数が決定されるまでの間に、心房調律 の判定が行われます。これは、V1、aVF、II、III の各誘導を連続して調べることにより判定 されます。 判定に失敗した場合は、心房調律パラメータの計算は実行されません。全体の計測値
ECG の 全体計測値(前額面および水平面の軸計測値を含む)は、拡張計測レポートの形態解 析セクションの誘導計測値の右側に記録されます。 詳細については、「拡張計測レポート」 (5-26 ページ)を参照してください。 間隔、時間幅、セグメントの各計測値は、グループ 1 の各誘導の代表的な心拍から得られた 値です。レートは、ECG 全体の心室レートの平均値です。ただしこれは、いずれかのグルー プの平均心室レートが基本調律を示しているとアルゴリズムが判断した場合を除きます。軸計測値
軸計測値を手動で算出する場合は、波形の振幅を使用すると便利ですが、波形の面積を使用 するとさらに正確な計測結果が得られます。 フィリップスメディカルシステムズの機器で は、P、QRS、T の各軸の計算に、誘導計測値から得られた波形の面積が使用されます。 ST 軸 の計算には、ST の始点、中間点、終了点の振幅の合計が使用されます。フィリップス 12 誘導アルゴリズム 解析結果 得られた計測値をそれぞれ調べて、計測結果が 1 つになるかが確認されます。 この計測結果 の平均値が軸計測値の代表値となります。
解析結果
診断カテゴリでは終始、解析所見のクライテリアは、より一層限定されたものになります。 診断カテゴリで任意の解析所見の合致基準となったクライテリアによって、既に選択されて いる(診断カテゴリ内の)所見が自動的に出力されなくなります。 最終レポートには、各カテゴリは 1 つの解析所見しか記述されない場合もあります。 この解 析所見は、計測値、初期段階の診断、患者 ID 情報(年齢、性別)に基づいてクライテリア が合致した最新の所見です。全体的な重症度
ECG レポート用に選択する各解析所見には、重症度が設定されています。 重症度の高いもの が低いものより優先されます。 選択されたすべての解析所見の重症度を総合して、ECG の全 体的な重症度が決定されます。 決定された重症度は ECG レポートの各ページにプリントされ ます。 表 1-1 ECG の全体的な重症度 重症度 コード 重症度なし NS 正常範囲内の心電図 NO 正常境界域の心電図 ON 異常境界域の心電図 BO 異常の心電図 AB 記録不良の心電図 DE2
成人および小児の調律解析
フィリップス 12 誘導アルゴリズムによって出力される解析所見は、全範囲の ECG 波形要素 の計測結果に基づいており、各波形要素の 時間幅、振幅、面積などのパラメータを伴って 示されます。 すべての解析所見は診断カテゴリに分類されます。 各診断カテゴリでは、臨床的により重要 な解析結果によって他の重症度の低い解析結果が無効になります。 例えば、「心室内伝導遅 延」のカテゴリで「左脚ブロック(LBBB)」が見つかると、「ボーダーライン心室内伝導遅 延」や「不完全左脚ブロック」は出力されません。 また LBBB が見つかった場合は、前段階 のカテゴリで出力された「左軸偏位」などの所見も無効になり、心室肥大、大部分の心筋梗 塞、ST 偏位、T 波異常のテストはバイパスされます。 このような無効となる条件やバイパス される条件は通常、以下の各診断カテゴリの説明には含まれていません。 診断カテゴリは、心調律と波形の形態の 2 つのセクションに分けられ、 各診断カテゴリには 重症度と可能性に応じた解析所見一式が含まれています。 この章では、心調律のクライテリ アについて詳しく説明します。 波形の形態のクライテリアの詳細については、第 3 章「成人 の形態解析」および第 4 章「小児の形態解析」を参照してください。 ECG 解析は調律解析から開始され、最初に ECG の自己基本調律またはペーシングについての 解析所見が示されます。 さらに次の解析所見で、期外収縮、ポーズ、洞・房室伝導異常、その他の不整脈などの調律 異常を示す所見が追加される場合があります。心調律のカテゴリ
ペーシング . . . (2-1 ページ ) 自己基本調律 . . . (2-2 ページ ) 早期興奮症候群 . . . (2-3 ページ ) 期外収縮 . . . (2-3 ページ ) ポーズ . . . (2-4 ページ ) その他の不整脈 . . . (2-4 ページ ) 洞・房室伝導異常 . . . (2-4 ページ )ペーシング
ペーシングの解析診断では、潜在的なペースメーカ・モードではなく、顕在的な調律に焦点 が置かれます(観察される調律からはペースメーカ・モードを識別できない場合がありま成人および小児の調律解析 心調律のカテゴリ ペーシングという用語は、全心拍が特定のペーシング・パターンにあてはまる場合に使用さ れます。 ペーシングが間歇的でペーシング以外の波形も検出される場合は、「ペーシング波形」とい う言葉で示されます。 ペーシング以外の波形には、異所性の心房性 / 心室性期外収縮や洞調 律のエピソードなどが含まれる場合がありますが、 間歇的なペーシングがみられる波形で は、ペーシングが行われない期間の調律パターンについての解析はそれ以上行われません。 心房 / 心室の抑制を伴うデマンド型ペーシングが検出される場合もあります。 技術的な記録不良によるノイズ・スパイクが、ペーシング・スパイクによく似ている場合が あります。 この状況が疑われる場合は、ペースメーカのスパイクに似たアーチファクトの所 見が出力されます。 マグネットをあてて ECG を記録した場合は、ペースメーカ・スパイクが固定レートになり、 自己調律に同期しないことがあります。 この現象は、センシングおよび / またはキャプチャ に失敗として示され、マグネットの使用の有無について聞かれます。 心室ペーシング中の心房細動の診断は試行されます。 ただし、それ以外の心房調律の診断は 行われません。 QRS 波形が心室ペーシング以外(非ペーシング波形または心房ペーシング波形)で異所性の 心室性心拍に分類されない場合は、波形の計測が行われ、形態解析に使用されます。 連続的 な心室ペーシングまたは房室デュアル・ペーシングの ECG については、それ以上の解析診断 は行われません。
自己基本調律
ペーシング・スパイクがみられない場合は、自己基本調律の解析所見が示されます。心房心 拍数、心室心拍数、P 軸、QRS 幅などのパラメータの相互関係に基づいて以下のいずれかに 関連する所見が示されます。 洞調律、心房調律、上室性調律、接合部調律、心室調律 頻脈、徐脈、心拍の変動状態 完全房室ブロック 房室解離 心房細動 心房粗動 P 軸計測値が正常な場合(前額面で -30°
~ 120°
)は、P 波が洞性であることを示し、 P 軸 が異常な場合は、P 波が心房性または接合部性であることを示します。 成人では通常、心拍数が 100 bpm を超える場合に頻脈と定義され、50 bpm 未満の場合に徐脈 と定義されます。 ただしこれは、多数の ECG に関する文献で使用されている徐脈の限界値 (60 bpm)とは異なる値なので、1 初期設定のクライテリアを 50 bpm から 60 bpm にリセット することもできます(リセット可能な製品の場合)。 詳細については、当社の各製品に関す るドキュメントをご覧ください。 小児の場合は、心拍数が付録 A に示す正常範囲より低いときは徐脈、高いときは頻脈とみな されます。 完全房室ブロックの所見は、心室心拍数が低く(< 45 bpm)、心房調律が心室調律に同期して いない場合に出力されます。 完全房室ブロックのカテゴリーには、幅の広い QRS 波形や心房 細動も含まれます。心調律のカテゴリ 成人および小児の調律解析 房室解離は、心室心拍数は正常で、PR 間隔に大きな変動がみられる場合に検出されます。 ECG のリズム・ストリップの解析時には、アルゴリズムではそれ以上の調律(例えば完全房 室ブロックや接合部調律など)は定義されません。これらの診断は房室解離に優先するよう 試みます。 心房細動のクライテリアは、やや複雑です。 多数の誘導で P 波の欠如があり、心室心拍数に 顕著な変動がみられる場合は、小さく、数が多い細動波と診断されます。 速く明瞭な心房心 拍数を伴う複数の形状の P 波があり、心室心拍数の変動がみられる場合は、大きく、粗い細 動波と診断されます。 心房心拍数が 220 ~ 340 に低下した場合は、心房粗動の所見が出力され、粗動に伴うブロッ クの程度の診断が試行されます。
早期興奮症候群
複数の誘導でデルタ波が出現し、平均 QRS 幅が 100ms を超える場合は、早期興奮症候群が認 知されます。 PR 短縮(PR SEG<55 ms または PR INT<120 ms)がみられる場合は、この所見の検出条件とし て必要な誘導の数(デルタ波がみられる誘導の数)が少なくなります。 QRS 初期軸の左方向または右方向への偏位のクライテリアの追加によって、左副伝導路また は右副伝導路のどちらが存在するかが特定されます。 早期興奮症候群のクライテリアと一致 すると、以降のアルゴリズムはバイパスされます。期外収縮
先行する R-R 間隔がバックグラウンドの心室心拍数(基本的に一定)の平均 R-R 間隔よりも 短い場合に、期外収縮が認知されます。 基本調律の R-R 間隔が 15% 以上減少すると、有意で あるとみなされます。 正常な QRS 幅(QRSd)の期外収縮は、P 波が存在する場合は心房性、P 波が欠如している場 合は接合部性であるとみなされます。 QRSd が正常範囲より長い場合は、心室性または変行伝 導を伴う上室性とみなされます。 心房性期外収縮(APC および多発性 APC)は通常、早期に出現し、QRS 幅は正常で、P 波の形 態が非定型の場合に認知されます。 複数の APC がみられる場合は、多発性 APC と診断されま す。 心室性期外収縮(VPC および多発性 VPC)は通常、早期に出現し、QRS 幅が正常範囲より広 く、代償性休止期を伴い、正常な心拍とは極性が異なる場合に認知されます。 間入性 VPC は、代償性休止期がないことを除いては同じ波形の特性を持っています。 複数の VPC がみら れる場合は、多発性 VPC と診断されます。 接合部性期外収縮(JPC)は、P 波が検出されないことを除いては APC と同じ特性がみられる 場合です。 JPC に伴う逆行性 P 波の検出は試行されません。 心室性(V)または上室性(A)の期外収縮と正常な心拍(N)が交互に出現する場合は、心 室性二段脈または上室性二段脈と診断されます。ただし、該当するパターン(NV または NA) が 2 回以上連続して出現しなければ、二段脈の解析所見は出力されません。 NNV のパターンが 2 回連続して出現した場合は、心室性三段脈と診断されます。 二連発の VPC は、心室性期外収縮ペアとして診断されます。 通常は代償性休止期がみられな いので、本来は形態的な特性です。成人および小児の調律解析 心調律のカテゴリ
ポーズ
R-R 延長は、バックグラウンドの心室心拍数(基本的に一定)の平均 R-R 間隔と比較して 140% を超える場合に有意であり、 洞停止または間歇性房室ブロックのいずれかを示すものと みなされます。 P 波の有無、および QRS 幅によって、補充調律が何に起因するかが示されます。 心房補充調 律および上室性補充調律の場合は、P 波があり、QRS 幅(QRSd)が正常です。 接合部補充調 律の場合は、P 波はありませんが、QRSd は正常です。 QRSd に延長がみられる場合は、心室補 充調律の所見が示されます(変行伝導は除外できません)。 P 波が QRS 波より多い場合は、さまざまな程度の 2 度房室ブロックが示されます。 先行する R-R 延長の後 PR 間隔が徐々に延長する場合は、モービッツ I 型(ウェンケバッハ 型)房室ブロックを示す所見が示されます。その他の不整脈
このカテゴリには、前段階までのカテゴリに分類されない不整脈が含まれます。 間入性心室性期外収縮関連の所見は、バックグラウンドの心室心拍数(基本的に一定)の平 均 R-R 間隔と比較して約 1/2 の R-R 間隔が、認知される場合に出力されます。 変行伝導は、R-R 間隔の短縮がわずかで、心室性の場合のように QRSd の延長がみられるとき に認知されます。洞・房室伝導異常
このカテゴリの所見は、PR 延長の計測に基づいて出力されます。 PR 間隔は、下表に示すとおり、年齢と心拍数によって若干異なります。 表 2-2 PR 延長のボーダーラインと異常(ms) 年齢(歳) 心拍数(bpm) 左側の値 = PR 間隔上限値(ボーダーライン) 右側の値 = PR 間隔上限値(1 度房室ブロック) 50 以下 51 ~ 90 91 ~ 120 120 以上 16 ~ 60 210 ~ 220 200 ~ 210 195 ~ 205 190 ~ 200 60 以上 200 ~ 230 210 ~ 220 205 ~ 215 200 ~ 2103
成人の形態解析
形態解析は、右胸心のテストから始まります。 波形の形態の異常は、解剖学的な順序(右か ら左へ、心房から心室へ)で解析されます。 この章では、解析のクライテリアについて(診 断カテゴリごとに)説明します。成人の形態のカテゴリ
右胸心 . . . (3-1 ページ ) 右房異常 . . . (3-2 ページ ) 左房異常 . . . (3-2 ページ ) 両房異常 . . . (3-2 ページ ) QRS 軸偏位 . . . (3-2 ページ ) 心室内伝導遅延 . . . (3-2 ページ ) 右室肥大 . . . (3-3 ページ ) 左室肥大 . . . (3-3 ページ ) 低電位および慢性閉塞性肺疾患パターン . . . (3-5 ページ ) 下壁梗塞 . . . (3-5 ページ ) 側壁梗塞 . . . (3-5 ページ ) 前壁中隔および前壁梗塞 . . . (3-5 ページ ) 前側壁および広範囲前壁梗塞 . . . (3-6 ページ ) 後壁梗塞 . . . (3-6 ページ ) ST 低下と心筋虚血 . . . (3-6 ページ ) T 波異常と心筋虚血 . . . (3-7 ページ ) 再分極異常と心筋虚血 . . . (3-7 ページ ) ST 上昇、心筋障害、心膜炎、早期再分極 . . . (3-8 ページ ) 増高 T 波 . . . (3-8 ページ ) QT 異常、電解質異常、薬剤の影響 . . . (3-8 ページ )右胸心
成人の形態解析 成人の形態のカテゴリ
右房異常
大きい P 波は右房異常(RAA)を示唆するものとみなされます。 有意であるとみなされる最 小時間幅は 60ms、最小電位は 0.24 mV(代表値)です。 四肢誘導において P 波の時間幅および振幅が正常範囲を超えた場合は、「右房異常を考慮」 の所見が出力されます。 V1 誘導で二相性の P 波がみられるなどの条件が加わると、「RAA の 疑い」が出力されます。 P 波が大きいほど、RAA の可能性を確定的に示す解析所見が出力さ れます。左房異常
左房異常(LAA)は、四肢誘導の大きい P 波と V1 誘導の二相性 P 波、および二相性 P 波の初 期と終期の各部分の時間幅と振幅によって検出されます。 LAA は、四肢誘導において時間幅が 110 ms を超え、かつ振幅が 0.10 mV を超える場合に有意 であるとみなされますが、複数の誘導で出現しない限り、必ずしも異常とは限りません。 二 峰性の P 波がみられる場合は、さらに LAA の可能性が高くなります。 V1 誘導で、P 波の時間 幅、振幅、陰性部分の面積が検討されます。 陰性部分の時間幅が 30 ms を超え、かつ振幅が 0.09 mV を超える場合は、有意であるとみなされますが、この陰性部分の面積が 0.60 アシュ マン単位を超えない限り LAA とはみなされません。 アッシュマン単位は、標準速度(25mm/ 秒)と標準感度(10mm/mV)あたりの面積を 1 平方ミリメートルと定めた単位です (40 ms × 0.1 mV に相当)。両房異常
両房異常(BAA)は右房異常と左房異常が合併したものです。 両房異常に関連付けられる LAA は、V1 誘導で P 波の振幅が 0.1 mV より大きく、RAA が同時にみられる場合に診断されます。 両房異常に関連付けられる RAA は、LAA の所見に加えて、V6 誘導で有意な P 波(時間幅が 10 ms を超え、かつ振幅が 0.07 mV を超えるもの)と 1.0 mV を超える R 波がみられる場合に考 慮されます。 また BAA は、前段階までのカテゴリで重症度の高い RAA および LAA の所見が出 力されている場合に考慮されます。QRS 軸偏位
前額面 QRS 軸の計測に基づいて、左軸偏位や右軸偏位と、上向、水平、垂直方向の偏位に関 する解析所見が出力されます。 平均 QRS 軸(起電力の平均ベクトル)が前額面および水平面で計算されます。 前額面軸の正 常範囲は、年齢や性別によって異なります。 例えば、若年男性患者の前額面 QRS 軸は右方向 に偏る傾向があり、 高齢男性患者の前額面 QRS 軸は左方向に偏る傾向があります。 前額面 QRS 軸が -30°
~ 90°
の範囲内にある場合は正常とみなされますが、年齢や性別に よってこの範囲が変更される場合があります。 前額面 QRS 軸の計測値が -30°
を超えて左方 向に偏る場合は、左軸偏位とみなされ、90°
を超えて右方向に偏る場合は、右軸偏位とみな されます。心室内伝導遅延
このカテゴリの解析所見では、共通して QRS 幅(QRSd)が 100 ms を超えています。ただし、 左脚前枝ブロック(LAFB)や左脚後枝ブロック(LPFB)は例外で、QRS の延長を伴いません。 LAFB の解析診断は、前額面平均 QRS 軸の左軸偏位(左方向へ -40°
~ 240°
)に関連して行 われます。 LPFB の解析診断は、前額面平均 QRS 軸の右軸偏位(右方向へ 120°
~ 210°
)に 関連して行われます。成人の形態のカテゴリ 成人の形態解析 枝ブロック以外の場合、確定的なブロックの解析診断には、QRSd が 120 ms を超えることが 必要です。QRSd が 110 ~ 120 ms の場合は非特異的心室内伝導遅延、100 ~ 110 ms の場合は ボーダーライン心室内伝導遅延とみなされます。 右脚ブロック(RBBB)の解析診断は、常に終期 QRS 軸の右方向への偏位に関連して行われま す(I 誘導、aVL 誘導、V6 誘導における陰性起電力(Q 波、S 波)と V1 誘導における陽性起 電力の優位性が認められる場合)。 QRSd が 110 ~ 120 ms の場合は、不完全右脚ブロックとみ なされます。 左脚ブロック(LBBB)の解析診断は、常に終期 QRS 軸の左方向への偏位に関連して行われま す(I 誘導、aVL 誘導、V6 誘導における陽性起電力(R 波、R' 波)と V1 誘導における陰性起 電力(Q 波、S 波)の優位性が認められる場合)。 QRSd が 110 ~ 120 ms の場合は、不完全左 脚ブロックとみなされます。
右室肥大
右室肥大(RVH)は、以下の解析結果に基づいて検出されます。 V1 誘導における高い R 波または R' 波 I 誘導または V6 誘導における深い Q 波、S 波、S' 波 右房異常 前額面における右軸偏位 RVH 特有の再分極異常 V1 誘導における R 波が Q 波または S 波の 75% を超える場合に有意であり、高いとみなされま す。 また、V1 誘導において R' 波が 20 ms より広くかつ 0.30 mV より大きい場合に有意であ るとみなされます。 さらに V1 において QRS 波形の陽性部分が陰性部分より大きい場合は、 高い有意性がみとめられます。 RVH 特有の再分極異常は、II、aVF、V1、V2、V3 の各誘導における右室ストレイン型特有の ST 低下および T 波逆転により特定されます。 RVH に関する所見は、上記の解析結果の組み合わせにより特定されます。 電位クライテリア に 1 つの該当すると、「RVH を考慮」が出力されます。 2 つの電位クライテリアに該当する か、または 1 つの電位クライテリアに該当し、かつ再分極異常がみられる場合に、「RVH の疑 い」が出力されます。 それ以上の条件に該当する場合は、確定的な RVH が出力されます。 また、I 誘導または V6 誘導のいずれかにおいて Q 波、S 波、S' 波が 40 ms より広くかつ 0.20 mV より大きい場合に有意であり、深いとみなされます。 この場合は、QRS 波形の陰性 部分が陽性部分より大きい場合に、高い有意性がみとめられます。左室肥大
左室肥大(LVH)は、以下の解析結果に基づいて検出されます。 V5 誘導または V6 誘導における R 波または R' 波の増高 I 誘導における R 波の値 + III 誘導における S 波の値 Sokolow-Lyon 電位(V5/V6 誘導における R 波の値 + V1 誘導における S 波の値) Cornell 電位(aVL 誘導における R 波の値 + V3 誘導における S 波の値) Cornell 電位積(aVL 誘導における R 波の値 + V3 誘導における S 波の値 × QRSd)成人の形態解析 成人の形態のカテゴリ LVH 特有の再分極異常 異常に高いとみなされる QRS 波の電位の値は、患者の年齢と性別によって異なります。 若年 患者の場合は比較的高電位でも正常なので、LVH の評価の際には年齢が考慮されます。 患者 の年齢が低いほど、LVH の所見に必要な条件が厳しくなります。 女性の場合は男性に比べて 電位が低い傾向があります。電位の限界値は、対象となる誘導や、振れが陽性であるか陰性 であるかによっても異なります。 四肢誘導において高いとみなされる最小値は、1.20 mV(aVL 誘導における陽性の振れ)で す。 V1 および V2 の胸部誘導では陰性の振れ(Q 波または S 波)が測定され、V5 誘導および V6 誘導では陽性の振れ(R 波または R' 波)が測定されます。 これらの値は別々に検討され、 2.50 mV より大きい値が有意とみなされます。 V1 誘導および V2 誘導の陰性の値と V5 誘導および V6 誘導の陽性の値は加算されます。 V1 誘 導における Q 波または S 波と、V5 誘導または V6 誘導における R 波または R' 波の合計が 3.50 mV を超える場合に、有意とみなされます。 また、V2 誘導における Q 波または S 波と、 V5 誘導または V6 誘導における R 波または R' 波の合計が 4.0 mV を超える場合に、有意とみ なされます。 電位が高いほど、LVH とみとめられる所見が出力される可能性が高くなります。 LVH 検出に は、Cornell 電位クライテリアが使用されます。 これは aVL 誘導の R 波振幅と V3 誘導の S 波 振幅の合計値で、男性で 2.8 mV 以上、女性で 2.0 mV 以上が限界値です。 LVH の電位クライ テリアは、前段階のカテゴリで特定された特性(左軸偏位、LAA、95 ms を超える QRS 延長、 55 ms を超える心室興奮時間(VAT)など)を併用します。 二次性再分極異常を伴う LVH は別に特定され、LVH の可能性についてより確定的な所見とし て出力されます。 二次性再分極異常は、I、aVL、V4、V5、V6 の各誘導における左室ストレイ ン型特有の ST 低下および T 波逆転によって特定されます。
成人の形態のカテゴリ 成人の形態解析
低電位および慢性閉塞性肺疾患パターン
すべての誘導について、QRS のピーク間電位が測定されます。 四肢誘導の場合:値が 0.60 mV を超える誘導がない場合は、ECG はボーダーライン低電位と みなされます。 0.50 mV を超える値が全くない場合は、ECG は確定的な低電位として、異常 とみなされます。 胸部誘導:値が 1.00 mV を超える誘導がない場合は、ECG は確定的な低電位として、異常と みなされます。 低電位の所見、前額面の P 軸および QRS 軸の右方向への偏位、右房負荷の組み合わせによっ て、慢性肺疾患の可能性を示唆する所見が出力されます。下壁梗塞
II、III、aVF の各誘導で、Q 波の有無とサイズ、Q/R 比、T 波の変化の有無(平坦化または 逆転)、ST 上昇または ST 低下の有無が検討されます。 Q 波がより大きく、より多くの誘導で出現し、また、R 波の増高が少ないほど、解析所見の 有意性が高くなります。 下壁 Q 波が有意であるとみなされるためには、時間幅が 25 ms を超 え、かつ対応する R 波の 1/6 を超える振幅の Q 波が少なくとも 1 つみられる必要がありま す。心筋梗塞の所見とみとめられるには、時間幅が 35 ms を超え、かつ対応する R 波の 1/5 を超える振幅の Q 波が少なくとも 1 つみられる必要があります。 QRS の初期軸が左方向に偏っている場合は、さらに可能性の高い下壁梗塞の所見になります。 T 波と ST の変化を使用して、心筋梗塞の時期が推定されます。 T 波の逆転が大きいほど、ま た ST の偏位が大きいほど、より最近の心筋梗塞を示す所見が出力されます。 性別や年齢も 下壁梗塞の検出に影響を与えます。 男性および若年患者ほど、下壁の誘導の Q 波の存在が正 常所見である傾向があります。側壁梗塞
I、aVL、V5、V6 の各誘導で、Q 波の有無とサイズ、Q/R 比、T 波の変化の有無(平坦化また は逆転)、ST 上昇または ST 低下の有無が検討されます。 側壁 Q 波が有意であるとみなされるためには、Q 波の時間幅が 35 ms を超え、かつ振幅が 0.10 mV を超える Q 波が少なくとも 1 つみられ、 その振幅が R 波の振幅の 20% 以上である必 要があります。 Q 波がより大きく、より多くの誘導で出現し、また R 波の増高が少ないほど、 解析所見の有意性が高くなります。 また、T 波と ST の変化を使用して、心筋梗塞の時期が推定されます。 T 波の逆転が大きいほ ど、また ST の偏位が大きいほど、より最近の心筋梗塞を示す所見として出力されます。 性別や年齢も側壁梗塞の検出に影響を与えます。 男性および若年患者ほど、側壁の誘導の Q 波の存在が正常所見である傾向があります。前壁中隔および前壁梗塞
V1、V2、V3、V4 の各誘導で、Q 波の有無と面積、R 波と S 波の相対、絶対サイズ、QRS エリ アが陰性または陽性のどちらであるか、T 波の変化の有無(平坦化または逆転)、ST 上昇ま たは ST 低下の有無が検討されます。 V1 および V2 で陽性所見が認められる場合は、前壁中隔 梗塞として報告され、V2、V3、V4 で異常が発見された場合は、前壁梗塞として報告されま す。成人の形態解析 成人の形態のカテゴリ QRS の陰性から陽性への発達がより側方(V6 側)にシフトするほど、前壁領域における心筋 梗塞の解析所見が確定的になります。 T 波と ST の変化を使用して、心筋梗塞の時期が推定されます。 T 波の逆転が大きいほど、ま た ST 上昇が大きいほど、より最近の心筋梗塞を示す所見として出力されます。
前側壁および広範囲前壁梗塞
V2、V3、V4、V5、V6 の各誘導で、Q 波の有無とサイズ、R 波と S 波の相対、絶対サイズ、V3 の QRS エリアが陰性または陽性のどちらであるか、T 波の変化の有無(平坦化または逆転)、 ST 上昇または ST 低下の有無が検討されます。 前側壁 Q 波が有意であるとみなされるためには、時間幅が 30 ms(代表値)を超え、振幅が 0.07 mV を超える必要があります。 Q 波がより大きく、より多くの誘導で出現するほど、心筋 梗塞の解析所見が確定的になります。 6 つの胸部誘導すべてにおいて陽性所見が認められる場合は、広範囲前壁梗塞として出力さ れます。 性別や年齢も前側壁梗塞の検出に影響を与えます。 男性および若年患者ほど、前側壁の誘導 の Q 波の存在が正常所見である傾向があります。 Q 波、ST 変化、T 波を使用して、心筋梗塞の時期が推定されます。 T 波の逆転が大きいほど、 また ST 上昇が大きいほど、より最近の心筋梗塞を示す所見が出力されます。後壁梗塞
V1、V2、V3 の各誘導で、R 波と S 波の相対、絶対サイズ、Q 波の欠如または有意性の低下、 ST 低下、陽性 T 波について検討されます。 有意でない Q 波の存在下での R 波の増高、上向き T 波がみられる場合は、後壁梗塞(PMI) の可能性を示唆する所見が出力されます。 V1 ~ V3 誘導における ST 低下、および上向きの T 波または T' 波がみられる場合は、急性の後壁梗塞として検出されます。 下壁梗塞と後壁梗 塞が合併すると下後壁梗塞と呼ばれ、急性の下壁梗塞と急性の後壁梗塞が合併すると急性下 後壁梗塞と呼ばれます。 LVH または RVH が示されると、PMI である可能性が低下します。 性別や年齢も後壁梗塞の検 出に影響を与えます。 男性および若年患者ほど、V1 誘導および V2 誘導において R 波が増高 する傾向があります。ST 低下と心筋虚血
すべての誘導について、ST の陰性の値が検討されます。 検討される値は、ST の以下のポイ ントです。 ST の始点(J ポイント) ST の始点と終点の中間点 J ポイントから 80 ms 超過したポイント ST の終点(T 波の始点) ST の陰性の値の他に、以下の特性も検討されます。 ST の勾配(°) ST の形状(直線状、T 波終末陽性、T 波終末陰性) 有意であるとみなされる ST の陰性の振れは、最小 0.03 mV です。成人の形態のカテゴリ 成人の形態解析 ST の陰性の値が増加するほど、重症度の高い所見として出力されます。 ST 低下がわずかな 場合は、重症度のコードが正常境界域 (ON) または正常範囲内 (NO) の所見が出力されます。 大幅な低下がみられる場合は、段階的に異常境界域から異常の所見が出力されます。 また特定可能な場合は、ST 異常の部位が解析所見に示されます。 異常部位は通常、下表に 従って示されます。 ST 低下は心拍数の増大に関連しています。 平均心拍数が(190 - 年齢)bpm より大きい場合 は、「ST 低下、心拍数と関連すると思われる」の所見が出力されます。 同時に出力される RVH、LVH、LBBB、RBBB、および最近の心筋梗塞の所見や、薬物療法や電解 質異常に関連する所見がある場合は、それらの影響によって ST 低下の所見が出力されない ことがあります。 特に ST 低下の重症度が低い所見の場合は、重症度が高い場合に比べて、 この傾向が強くなります。
T 波異常と心筋虚血
すべての誘導について、T 波の振幅、T 波と QRS 波形の相対振幅、T 波が陰性であるか陽性で あるかが検討されます。 前額面の T 軸、および前額面の T 軸と前額面の QRS 軸の関係も計測 されます。 T 波の振幅(絶対振幅と QRS に対する相対振幅の両方)が小さい場合や、陰性 T 波は異常と みなされます。 数個の誘導でわずかな変化が認められるだけの場合は、重症度の低い所見が 出力されます。 振幅の変化が顕著になるほど、また変化の認められる誘導の数が増えるほ ど、所見の重症度が高くなります。 前額面の T 軸が -10°
~ 100°
の範囲外にあるか、または QRS-T の角度が 90°
より大きい 場合は、非特異的 T 波異常として出力されます。 また特定可能な場合は、T 波異常の発生し ている誘導グループが解析所見に示されます。 同時に出力される RVH、LVH、LBBB、RBBB、および心筋梗塞の所見や、薬物療法や電解質異常 に関連する所見がある場合は、それらの影響によって T 波異常の所見が出力されないことが あります。 特に T 波異常の重症度が低い所見の場合は、重症度が高い場合に比べて、この傾 向が強くなります。再分極異常と心筋虚血
このカテゴリに含まれる所見は、ST と T 波の両方に異常があることを示す所見であり、 新た な計測に基づく所見ではありません。 表 3-1 ST-T 異常における虚血部位と誘導グループ 誘導グルー プ(部位) I II III aVR aVL aVF V1 V2 V3 V4 V5 V6
前壁 ○ ○ ○ ○
前側壁 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○
側壁 ○ ○ ○ ○
成人の形態解析 成人の形態のカテゴリ
ST 上昇、心筋障害、心膜炎、早期再分極
ST 上昇は、すべての誘導グループにおける ST の始点(J ポイント)の陽性の値、始点から 80 ms のポイントにおける振れ、ST の勾配(°)をテストした結果に基づいて示されます。 有意であるとみなされる陽性 ST の偏位は、最小 0.05 mV(0.5 mm)です。 ST 上昇が小さい場 合(0.05 mV ~約 0.10 m、1 mm 未満)は、正常境界域 (ON) または異常境界域 (BO) の重症 度とみなされます。 1 mm より大きい ST 上昇は、通常異常 (AB) に分類されます。 ボーダーライン ST 上昇または異常 ST 上昇の所見には、常に誘導グループが示されます。 特 定の誘導グループで異常 ST 上昇がみられる場合は、「心筋障害を考慮」、「心筋障害の疑い」 または確定的な「心筋障害」が示されます。 ST 上昇が、前壁、側壁、下壁のすべての誘導グ ループに広がっている場合は、心膜炎または早期再分極の疑いが示唆されます。増高 T 波
すべての誘導について、振幅が 1.20 mV を超える陽性 T 波、または 0.50 mV を超えてしかも QRS のピーク間電位の 1/2 を超える陽性 T 波の有無が検討されます。 上記の T 波がみられる場合は、代謝異常、電解質異常、虚血性異常の疑いを警告する所見が 出力されます。QT 異常、電解質異常、薬剤の影響
QT 間隔の計測値(心拍数に応じて補正)および ST 低下と T 波の変化に関連する計測値が、 ジギタリスやカルシウム、カリウムの異常レベルの影響を示す値との関係について検討され ます。 心拍数によって補正された QT 間隔(QTc)が 340 ms より短い場合は、正常境界域 (ON) の重 症度コードの QT 短縮とみなされます。 QTc が 465 ms より大きい場合は、ボーダーライン QT 延長とみなされます。 上記の値に 20 ms を加えた値を超えると、QT 延長とみとめられます。 RVH、LVH、VCD が示された場合は、QTc 延長の所見は出力されません。 QTc が 310 ms より小さい場合は、「QT 短縮、高カルシウム血症を考慮」の所見が出力されま す。 QTc 延長(>520 ms)が有意な場合は、低カルシウム血症によるものとみなされます。 有意な QTc 延長(>520 ms)に加えて、複数の誘導で ST 低下および陽性 T 波がみられる場合 は、低カリウム血症によるものとみなされます。 ジギタリスの使用を示す Rx コードは、この薬剤の影響と矛盾しない解析所見を補助します。 また QTc 短縮に再分極異常が伴う場合は、ジギタリス効果によるものとみなされます。4
小児の形態解析
フィリップスの小児用 12 誘導アルゴリズムは、新生児から 16 歳までの患者の ECG への使用 を目的としています。 心拍数、軸偏位、波形の振幅の正常範囲は年齢によって大きく異なる ので、小児用アルゴリズムでは年齢が重要な要素となります。 ECG 解析診断全般にわたる質 の向上のために、年齢を指定して解析されることを強くお勧めします。 年齢が入力されてい ないかまたは無効な場合は、初期設定の年齢(成人)に基づく解析診断が行われ、成人であ ると想定して行われた解析であることがレポートにプリントされます。 小児用アルゴリズムでは、ECG の各特性に関して年齢に応じた限界値が採用されます。1 詳細 については、付録 A「測定値の正常範囲」を参照してください。 この章では、解析所見について(診断カテゴリごとに)説明します。小児の形態のカテゴリ
右胸心 . . . (4-2 ページ ) 右房異常 . . . (4-2 ページ ) 左房異常 . . . (4-2 ページ ) 両房異常 . . . (4-2 ページ ) QRS 軸偏位 . . . (4-2 ページ ) 心室内伝導遅延 . . . (4-6 ページ ) 右室肥大 . . . (4-7 ページ ) 左中隔肥大 . . . (4-7 ページ ) 左室肥大 . . . (4-7 ページ ) 両室肥大 . . . (4-8 ページ ) 低電位 . . . (4-8 ページ ) Q 波異常と心筋梗塞 . . . (4-8 ページ ) ST 低下 . . . (4-8 ページ ) T 波異常 . . . (4-9 ページ ) 再分極異常 . . . (4-9 ページ ) ST 上昇、心膜炎、早期再分極 . . . (4-9 ページ ) 増高 T 波 . . . (4-9 ページ ) QT 異常および電解質異常 . . . (4-9 ページ )小児の形態解析 右胸心
右胸心
以下の場合に右胸心が示唆されます。 前額面 P 軸が 90°
~ 180°
の範囲内の場合 I 誘導または V6 誘導で陰性 P 波がみられる場合 I 誘導および V6 誘導で大きい S 波(> 0.6 mV)がみられる場合 III 誘導の P 波の振幅が II 誘導の P 波より大きい場合 右胸心のクライテリアと一致すると、以降のアルゴリズムはバイパスされます。右房異常
大きい P 波は右房異常(RAA)を示唆するものとみなされます。 有意であるとみなされる最 小時間幅は 60ms、最小電位は 0.20 mV(代表値)です。 四肢誘導において P 波の時間幅および振幅が正常範囲を超えた場合は、「右房異常を考慮」 として出力されます。 V1 誘導で二相性の P 波がみられるなどの条件が加わると、「RAA の疑 い」が出力されます。 P 波が大きいほど、RAA の可能性を確定的に示す解析所見が出力され ます。左房異常
左房異常(LAA)は、四肢誘導の大きい P 波と V1 誘導の二相性 P 波、および二相性 P 波の初 期部分と終期部分の時間幅と振幅によって検出されます。 LAA は、四肢誘導において時間幅が 110 ms を超え、かつ振幅が 0.10 mV を超える場合に有意 であるとみなされますが、複数の誘導で出現しない限り、必ずしも異常とは限りません。 二 峰性の P 波がみられる場合は、さらに LAA の可能性が高くなります。 V1 誘導で、P 波の時間 幅、振幅、陰性部分の面積が検討されます。 陰性部分の時間幅が 30 ms を超え、かつ振幅が 0.09 mV を超える場合は、有意であるとみなされますが、この陰性部分の面積が 0.60 アシュ マン単位を超えない限り LAA とはみなされません。 アッシュマン単位は、標準速度(25mm/ 秒)と標準感度(10mm/mV)あたりの面積を 1 平方ミリメートルと定めた単位です (40 ms × 0.1 mV に相当)。両房異常
両房異常(BAA)は右房異常と左房異常が合併したものです。 両房異常に関連付けられる LAA は、V1 誘導で P 波の振幅が 0.1 mV より大きく、RAA が同時にみられる場合に考慮されます。 両房異常に関連づけられる RAA は、LAA の所見に加えて有意の Q 波がみられる場合に考慮さ れます。 また両房異常は、前段階までの RAA および LAA のカテゴリで重症度の高い RAA およ び LAA の所見が出力されている場合に出力されます。QRS 軸偏位
前額面 QRS 軸について、左軸偏位と右軸偏位が検討されます。 QRS 軸の正常範囲は年齢に応 じて調整されます。
QRS 軸偏位 小児の形態解析 図 4-1 QRS 軸偏位の限界値 上図は QRS 軸の偏位の所見が出力される条件を示しています。 左軸偏位: 前額面 QRS 軸と正常範囲の下限値との差が 15o 以内の場合は、ボーダーライン左 軸偏位の所見が出力されます。 QRS 軸が正常範囲の下限値より小さい場合は、左軸偏位の所 見が出力されます。 右軸偏位: 前額面 QRS 軸と正常範囲の上限値との差が 15o 以内の場合は、ボーダーライン右 軸偏位の所見が出力されます。 QRS 軸が正常範囲の上限値より大きい場合は、右軸偏位の所 見が出力されます。 下表に、各年齢の限界値を示します。
A
右軸偏位D
ボーダーライン左軸偏位B
ボーダーライン右軸偏位E
左軸偏位C
正常 表 4-1 左軸偏位 年齢 上限値(o) 下限値(o) 生後 0 ~ 23 時間 -90 54 生後 1 ~ 3 日 -90 54 生後 4 ~ 6 日 -90 54 生後 7 ~ 29 日 -90 54 生後 1 ~ 2 カ月 -90 20 右 左 0o 15o E 15o 上限値 90o D C B A 下限値小児の形態解析 QRS 軸偏位 生後 6 ~ 11 カ月 -90 -6 1 ~ 2 歳 -90 -6 3 ~ 4 歳 -90 -10 5 ~ 7 歳 -90 -10 8 ~ 11 歳 -90 -10 12 ~ 15 歳 -90 -15 表 4-2 ボーダーライン左軸偏位 年齢 上限値(o) 下限値(o) 生後 0 ~ 23 時間 55 65 生後 1 ~ 3 日 55 65 生後 4 ~ 6 日 55 65 生後 7 ~ 29 日 55 65 生後 1 ~ 2 カ月 21 30 生後 3 ~ 5 カ月 -5 1 生後 6 ~ 11 カ月 -5 1 1 ~ 2 歳 -5 1 3 ~ 4 歳 -9 1 5 ~ 7 歳 -9 1 8 ~ 11 歳 -9 1 12 ~ 15 歳 -14 1 表 4-3 右軸偏位 年齢 上限値(o) 下限値(o) 生後 0 ~ 23 時間 216 269 生後 1 ~ 3 日 216 269 生後 4 ~ 6 日 216 269 生後 7 ~ 29 日 216 269 生後 1 ~ 2 カ月 131 269 生後 3 ~ 5 カ月 131 269 生後 6 ~ 11 カ月 131 269 表 4-1 左軸偏位 ( 続き ) 年齢 上限値(o) 下限値(o)
QRS 軸偏位 小児の形態解析 1 ~ 2 歳 131 269 3 ~ 4 歳 146 269 5 ~ 7 歳 201 269 8 ~ 11 歳 151 269 12 ~ 15 歳 161 269 表 4-4 ボーダーライン右軸偏位 年齢 上限値(o) 下限値(o) 生後 0 ~ 23 時間 205 215 生後 1 ~ 3 日 205 215 生後 4 ~ 6 日 205 215 生後 7 ~ 29 日 200 215 生後 1 ~ 2 カ月 115 130 生後 3 ~ 5 カ月 115 130 生後 6 ~ 11 カ月 115 130 1 ~ 2 歳 115 130 3 ~ 4 歳 126 145 5 ~ 7 歳 160 200 8 ~ 11 歳 135 150 12 ~ 15 歳 145 160 表 4-3 右軸偏位 ( 続き ) 年齢 上限値(o) 下限値(o)
小児の形態解析 心室内伝導遅延