多重がんルールの注意点
2021
年 がん登録初級/院内がん登録中級実務認定者研修 国立がん研究センター がん対策研究所がん登録センター 院内がん登録室
~ SEER2018 準拠~
内容
多重がんルール( SEER2018 年準拠)において、質問 が寄せられる部分、間違えやすいと思われる部分を ピックアップし、解説します
1. Clinically disease free の考え方
【補足】 Clinically disease-free と 再発腫瘍 2. 肺ルールの『 M9 』
3. 尿路系ルールの『 M11 』 4. 尿路系ルールの『 M13 』
5. 頭頸部多重がんルールの『別表』
1
はじめに
本講義では、多重がんルール( SEER2018 年準拠)
において、質問が寄せられる部分、間違えやすいと 思われる部分をピックアップし、解説します
1. Clinically disease-free の考え方
【補足】 Clinically disease-free と 再発腫瘍 2. 肺ルールの『 M9 』
3. 尿路系ルールの『 M11 』 4. 尿路系ルールの『 M13 』
5. 頭頸部多重がんルールの『別表』
2
1 . Clinically disease-free
3
Clinically disease-free :臨床的無病状態
頭頸部『 M6 』、肺『 M 4』、大腸『 M10 』、乳房『 M8 』、
腎『 M11 』、尿路系『 M12 』、その他の部位『 M10 』
よく登場する表現
「 1 つ目の腫瘍あるいは最後の再発腫瘍の診断後、満●年
の間臨床的に再発を認めず( clinially disease-free )、そ
の後新たな腫瘍が発生した」
Clinically disease-free
4
【定義のおさらい】
ある腫瘍の治療後、画像や腫瘍マーカーを含む各種検査上、完全に残 存腫瘍がなく再発を疑う徴候もない状態
治療によって腫瘍が完全に取り除かれたと医師が判断した状態(治癒、あるいは完治の状態)
このときの”治療”とは、多くは根治的切除術が該当する【注意】
治療後に何らかの腫瘤性陰影が残存し、それが単に増悪・増大していな いだけの状態は、「Progression-free
;無増悪状態」とはいえるが、そ の残存陰影が腫瘍細胞の残存なのか、単なる瘢痕なのかを決定するこ とは難しい(例:放射線治療やその他の非外科的治療後に残存した瘢痕 に対して経過観察をしているときなど)。
そのため、この場合は、院内がん登録においては”腫瘍が完全に取り除 かれた状態(治癒、あるいは完治の状態)”とは考えず「Disease-free;
無病状態」とはみなさない。
(その他の部位ルール『M10』 備考欄 参照)
考え方
1 つ目の腫瘍 あるいは
最後の再発腫瘍の診断後、
満●年の間臨床的に再発を認めず
( clinially disease-free )、その後新たな 腫瘍が発生した
5
1つ目の
腫瘍今回の 腫瘍
満●年
・肺
M4
・大腸
M10
・乳房
M8
など 固形腫瘍のルール考え方
6
1つ目の
腫瘍今回の 再発腫瘍 腫瘍
1つ目の
腫瘍今回の 最後の 腫瘍
再発腫瘍
最後の 再発腫瘍
満●年
満●年
固形腫瘍のルール
Clinically disease-free と 再発腫瘍
院内がん登録における“再発腫瘍”
2017年症例以前
➡医師が“再発腫瘍”と判断した腫瘍は、病理組織学的な診 断によらず、院内がん登録においても前の腫瘍の“再発腫 瘍”(同じ原発=単発)とみなす
2018年症例以降
➡ 院内がん登録上の“再発腫瘍”(同じ原発=単発)か、“新 たな腫瘍”(異なる原発=多重)かは、病理組織学的な診断に よる
(「固形腫瘍における多重がんルール適用対象判定資料」参照)7
再発腫瘍は登録対象外腫瘍だが、無病期間の検討時に登場
練習
③の腫瘍は登録対象か?①
2016
年 左肺癌 手術(断端+)、術後放射線治療SCC
➡ 登録②
2017
年 左肺癌 局所再発 手術(治癒切除)SCC
➡ 非登録③
2021
年 左肺癌 局所再発疑い 手術 (治癒切除)SCC
➡ ?(病理医:再発か否か不明)
【考え方】
・③が、①とは異なる原発(多重)か同じ原発(単発)か、を判断し、異なる原発
(多重)であれば、新たに登録する。
➡ ③と①の関係を、多重がんルールを用いて判定する。
【判定】
③‐①
M4
(満3
年以上Clinically disease-free
か?)に該当し、多重➡ ③は、①と異なる原発であり、③を新たに登録する。
8
①
2016
年 左肺癌 手術(断端+)、術後放射線治療SCC
➡ 登録②
2017
年 左肺癌 局所再発 手術(治癒切除)SCC
➡ 非登録③
2021
年 左肺癌 局所再発疑い 手術 (治癒切除)SCC
➡ ?(病理医:再発か否か不明)
【なぜ、②と③の関係を判定しないのか?】
多重がんルールにおける考え方の肝(キモ)は、これまでの腫瘍と同じ原 発(先祖が同じ)か、それともこれまでの腫瘍とは異なる原発(先祖が違う)か、を判定すること。
②は、医師によって、①の再発腫瘍、つまり①と“同じ原発(先祖が同じ)”と判断されている(旧多重がんルール)。
そのため、③が①と、同じ原発(先祖が同じ)か、異なる原発(先祖が違う)かの判定をすれば、自動的に③と②の関係も決まるので、③と②の関係 を判定しない。
9
②
③
① 同じ原発
?
先祖が同じ
練習
①
2016
年 左肺癌 手術(断端+)、術後放射線治療SCC
➡ 登録②
2017
年 左肺癌 局所再発 手術(治癒切除)SCC
➡ 非登録③
2021
年 左肺癌 局所再発疑い 手術 (治癒切除)SCC
➡ ?(病理医:再発か否か不明)
【②の情報は使わないのか?】
使う。②の情報は、腫瘍の無病期間を検討する際に必要となる。
本例では、②から③まで満3年以上経過しており、M
4が該当する。10
1つ目の
腫瘍今回の 最後の 腫瘍
再発腫瘍
満3年以上
②
2017年
Clinically disease-free
③2021年
①
2016年
練習
③は、①②の腫瘍とは異なる原発(多重)であり、新たに登録する
はじめに
本講義では、多重がんルール( SEER2018 年準拠)
において、質問が寄せられる部分、間違えやすいと 思われる部分をピックアップし、解説します
1. Clinically disease free の考え方
【補足】 Clinically disease-free と 再発腫瘍 2. 肺ルールの『 M9 』
3. 尿路系ルールの『 M11 』 4. 尿路系ルールの『 M13 』
5. 頭頸部多重がんルールの『別表』
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2.肺ルールの『M9』
12
同時性に複数の腫瘍が存在し、
以下のいずれかに該当する
・両側肺に存在(左右の肺そ れぞれに複数の腫瘍がある)
・同側肺に存在
・一方の肺に一つの腫瘍があ り、対側肺に複数の腫瘍が存 在
≪注記≫
また、上記に加え、腫瘍の組 織型が備考欄に記載された注
1, 2に該当する
注1:本ルールに該当する腫瘍の組合せとして、以下が ある
・上皮内癌と浸潤癌
・いずれかのNOSとその亜型/変異型(「同義語と定義 の表」を参照)
注2:NOSとその亜型/変異型の組合せとして、以下が ある
・Adenocarcinoma 8140 とその亜型/変異型
・Mucinous adenocarcinoma とその亜型/変異型
・Non-small cell carcinoma 8046 とその亜型/変異型
・Sarcoma 8800 とその亜型/変異型
・Small cell neuroendocrine tumors/NET 8041 と その亜型/変異型
・Squamous cell carcinoma 8070 とその亜型/変異型 注3: 以下のような状況にて腫瘤の組織型が異なると 証明されたときのみ、多重癌と判断する。
・複数の腫瘍の組織型が、生検または切除にて異なる ことが証明された
・主治医または腫瘍医、呼吸器科医が、複数の腫瘤が 互いに異なる組織型と明白に判断した(”おそらく”、な どの不明確な用語を用いている場合は、適用しない。)
はい 単 発
2.肺ルールの『M9』
13
同時性に複数の腫瘍が存在し、
以下のいずれかに該当する
・両側肺に存在(左右の肺そ れぞれに複数の腫瘍がある)
・同側肺に存在
・一方の肺に一つの腫瘍があ り、対側肺に複数の腫瘍が存 在
≪注記≫
また、上記に加え、腫瘍の組 織型が備考欄に記載された注
1, 2に該当する
【右肺】 【左肺】
これに加えて 備考1,2に 該当するか?
診断から
60
日以内※※院内がん登録支援⇒お知らせ⇒
2019/10/21周知事項
14 注1:本ルールに該当する腫瘍の組合せとして、以下が
ある
・上皮内癌と浸潤癌
・いずれかのNOSとその亜型/変異型(「同義語と定義 の表」を参照)
注2:NOSとその亜型/変異型の組合せとして、以下が ある
・Adenocarcinoma 8140 とその亜型/変異型
・Mucinous adenocarcinoma とその亜型/変異型
・Non-small cell carcinoma 8046 とその亜型/変異型
・Sarcoma 8800 とその亜型/変異型
・Small cell neuroendocrine tumors/NET 8041 と その亜型/変異型
・Squamous cell carcinoma 8070 とその亜型/変異型 注3: 以下のような状況にて腫瘤の組織型が異なると 証明されたときのみ、多重癌と判断する。
・複数の腫瘍の組織型が、生検または切除にて異なる ことが証明された
・主治医または腫瘍医、呼吸器科医が、複数の腫瘤が 互いに異なる組織型と明白に判断した(”おそらく”、な どの不明確な用語を用いている場合は、適用しない。)
2.肺ルールの『 M9 』
■浸潤癌と浸潤癌でも良い
■
NOS
とNOS
の組み合わせ でも良い注)
転移と判断されている腫瘍で はないこと
転移と判断されている腫瘍は 多重がん判定の対象外 単
発
注3に該当する場合は、多重が んルールM9注1注2が該当した としても、多重がんと判定する
練習
以下の腫瘍が同時性に診断されたとき、どう登録するか?
① 右肺 上葉
Adenocarcinoma
(8140/3
) 浸潤径1
㎝② 右肺 中葉
Adenocarcinoma in situ
(8140/2
) 浸潤径0
㎝③ 左肺 上葉
Mucinous adenocarcinoma
(8480/3
) 浸潤径3
㎝【考え方】
① - ② M9 単発 (性状が異なるためM7非該当(注2))
② - ③ M9 単発 (性状が異なるためM7非該当(注2))
① - ③ M9 単発 (左右の肺であるためM7非該当(注1))
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①~③はすべて同じ原発
➡T因子がより進行している③を登録
はじめに
本講義では、多重がんルール( SEER2018 年準拠)
において、質問が寄せられる部分、間違えやすいと 思われる部分をピックアップし、解説します
1. Clinically disease free の考え方
【補足】 Clinically disease-free と 再発腫瘍 2. 肺ルールの『 M9 』
3. 尿路系ルールの『 M11 』 4. 尿路系ルールの『 M13 』
5. 頭頸部多重がんルールの『別表』
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3.尿路系ルールの『M11』
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以下のように、浸潤癌の診断 後に上皮内癌が診断された
・尿路系臓器内の同じ部位に 発生
・尿路系臓器内の複数部位で、
多発性腫瘍として発生
≪訳注≫両腫瘍の発生部位の
うち少なくとも1か所は同じ尿 路系臓器内の部位であること≪例≫最初の癌が複数部位に及ぶ多発性の浸 潤癌であり、後に生じた上皮内癌の発生部位のう ち少なくとも1部位が最初の浸潤癌と同じ場合、単 発として登録する
注1: このルールはM10までのルールが適用され る場合は、適用しない
注2: これらの腫瘍はNOSとその亜型/変異型の 組み合わせでも適用可
注3: 一度浸潤癌を登録しているので、上皮内癌 は再発として扱う
はい 単 発
3 .尿路系ルールの『 M11 』
18
以下のように、浸潤癌の診断 後に上皮内癌が診断された
・尿路系臓器内の同じ部位に 発生
・尿路系臓器内の複数部位で、
多発性腫瘍として発生
≪訳注≫両腫瘍の発生部位の
うち少なくとも1か所は同じ尿 路系臓器内の部位であること診断の間隔 は問わない
『尿路系臓器内の同じ部位』の例:
・①尿道 浸潤癌 ②尿道 上皮内癌
・①左腎盂 浸潤癌 ②左腎盂 上皮内癌
『尿路系臓器』の部位:腎盂、尿管、膀胱、尿道
『尿路系臓器内の複数の・・・』の例:
・①膀胱 浸潤癌 ②膀胱と左腎盂 上皮内癌
・①左腎盂 浸潤癌 ②左腎盂と膀胱 上皮内癌
・①右尿管 浸潤癌 ②左尿管 と左腎盂 上皮内癌
※(ここで言う“同じ部位”は側性を問わない)
M1~10に該当しないことが前提です
はじめに
本講義では、多重がんルール( SEER2018 年準拠)
において、質問が寄せられる部分、間違えやすいと 思われる部分をピックアップし、解説します
1. Clinically disease free の考え方
【補足】 Clinically disease-free と 再発腫瘍 2. 肺ルールの『 M9 』
3. 尿路系ルールの『 M11 』 4. 尿路系ルールの『 M13 』
5. 頭頸部多重がんルールの『別表』
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4.尿路系ルールの『M13』
20
以下のように、上皮内癌の診 断から60日以内に浸潤癌が 診断された
・尿路系臓器内の同じ部位に 発生
・尿路系臓器内の複数部位で、
多発性腫瘍として発生
≪訳注≫両腫瘍の発生部位の
うち少なくとも1か所は同じ尿 路系臓器内の部位であること≪例≫最初の癌が複数部位に及ぶ多発性の上皮内 癌であり、その診断から60日以内に生じた浸潤癌の 発生部位のうち、少なくとも1部位が最初の上皮内癌 と同じ場合、単発として登録する
注1: このルールはM12までのルールが適用される 場合は、適用しない。
注2: このルールでは、上皮内癌と浸潤癌が同時に診 断された場合を含む。
注3: これらの腫瘍はNOSとその亜型/変異型の組み 合わせでも適用可
注4: これらは、同じ腫瘍の多発病変と考え、以下の ように登録する
・診断日は、最も早い診断日である上皮内癌の診断 日を登録する
・局在、組織型、病期、進展度は、より進展している浸 潤癌の情報を優先して登録する(病期分類は上皮内 癌の診断日時点で採用していた分類を用いる)
・初回治療情報は、各病変に対して行われた治療を すべて登録する
注5 :このルールに該当する場合でも、医師は最初の 腫瘍と後に診断された腫瘍にそれぞれ病期をつける 場合があるが、がん登録は単発として登録する。
はい 単 発
4.尿路系ルールの『M13』
21
以下のように、上皮内癌の診 断から60日以内に浸潤癌が 診断された
・尿路系臓器内の同じ部位に 発生
・尿路系臓器内の複数部位で、
多発性腫瘍として発生
≪訳注≫両腫瘍の発生部位の
うち少なくとも1か所は同じ尿 路系臓器内の部位であること同時に診断され た場合も含む
『尿路系臓器内の同じ部位』の例:
・①尿道 上皮内癌 ②尿道 浸潤癌
・①左腎盂 上皮内癌 ②左腎盂 浸潤癌
『尿路系臓器』の部位:腎盂、尿管、膀胱、尿道
『尿路系臓器内の複数の・・・』の例:
・①膀胱 上皮内癌 ②膀胱と左腎盂 浸潤癌
・①左腎盂 上皮内癌 ②左腎盂と膀胱 浸潤癌
・①右尿管 上皮内癌 ②左尿管 と左腎盂 浸潤癌
※(ここで言う“同じ部位”は側性を問わない)
※ M1
~12
に該当しないことが前提です練習
以下の腫瘍が同時性に診断されたとき、どう登録するか?
① 膀胱 上皮内乳頭状尿路上皮癌 8130/2 pTa
② 膀胱 乳頭状尿路上皮癌 8130/3 pT2
③ 左腎盂 尿路上皮癌 8120/3 pT1
【考え方】
①-② M13 単発
(
③があるためM6
非該当、性状が異なるためM10
非該当、少なくとも②③ のいずれかが①と同部位)②-③ M10 単発
(
同じ太枠内にあり、性状も同じのため、M10
が該当)①-③ M13 単発
(
性状が異なるためM10
非該当、少なくとも②③のいずれかが①と同部位)22
①~③はすべて同じ原発
➡T因子がより進行している②を登録
はじめに
本講義では、多重がんルール( SEER2018 年準拠)
において、質問が寄せられる部分、間違えやすいと 思われる部分をピックアップし、解説します
1. Clinically disease free の考え方
【補足】 Clinically disease-free と 再発腫瘍 2. 肺ルールの『 M9 』
3. 尿路系ルールの『 M11 』 4. 尿路系ルールの『 M13 』
5. 頭頸部多重がんルールの『別表』
23
5.頭頸部多重がんルールの『別表』
24
他の部位と異なり、腫瘍の局在(診断された 部位)に応じて、複数の別表がある
頭頸部で診断された腫瘍の組織型は、多く はその部位の別表に記載されているが、ま れに、記載されていないことがある
その場合、【別表を使用する際の注意】に 従った対応をする
頭頸部の別表
25
別表:局在別に、表1~表9まであり
【別表を使用する際の注意】
26
■ 頭頸部多重がんルール別表の最初に掲載されています☟
【別表を使用する際の注意】
27
M7, M8, M12
のときに、この 注意事項に従う腫瘍数 ルール 項目内容 決定 複数
M5
非連続な複数の腫瘍が、側性を持つ部位の左右それぞれにある
⇒
はい 多重
↓いいえ
複数
M6
1つ目の腫瘍あるいは最後の再発腫瘍の診断後、満 5年の間臨床的に再発を認めず(clinially disease- free)、その後新たな腫瘍が発生した
⇒
はい 多重
↓いいえ
複数
M7
同時性・異時性発生を問わず、互いに非連続な複数 腫瘍の組織型が、「同義語と定義の表1〜9」のうちの 該当表の右列において、異なる亜型/変異型である
⇒
はい 多重
↓いいえ
複数
M8
同時性・異時性発生を問わず、互いに非連続な複数 腫瘍の組織型が、「同義語と定義の表1〜9」のうちの 該当表において、異なる太枠に所属している
⇒
はい 多重
↓いいえ
多重がんルール
《頭頸部(頭蓋骨・顎顔面骨、中耳、外耳を含む) 》
28 別表 該当表で「右列」を確認
側性で確認
診断の間隔で確認
別表 該当表で「異なる太枠」か確認
多重がんルール
《頭頸部(頭蓋骨・顎顔面骨、中耳、外耳を含む) 》
腫瘍数 ルール 項目内容 決定
複数
M9
浸潤癌の診断後、上皮内癌を診断した(この場合、浸潤癌として登録する) はい⇒ 単発
↓いいえ
複数
M10
上皮内癌の診断から60日以内に浸潤癌が診断された(この場合、浸潤癌として登録する) はい⇒ 単発
↓いいえ
複数
M11
上皮内癌診断後、60日を越えた間隔で浸潤癌が診断された はい⇒ 多重
↓いいえ
複数
M12
同時性・異時性発生を問わず、互いに非連続である 複数の腫瘍の組織型が、「同義語と定義の表1〜9」
のうちの該当表において、同じ太枠に属している
⇒
はい 単発
↓いいえ
複数
M13
上記のいずれも当てはまらない はい⇒ 単発29 浸潤癌後に上皮内癌?
上皮内癌+浸潤癌? 診断の間隔で確認
上皮内癌+浸潤癌? 診断の間隔で確認
別表 該当表で「同じ太枠」か確認
【別表を使用する際の注意】
30
■ 頭頸部多重がんルール別表の最初に掲載されています☟
頭頸部 別表の見方①
31
腫瘍①
腫瘍②
局在に該当する表内 に組織型がある
局在に該当する表を 用いて判定 1.診断された複数腫瘍の組織型がすべて同一表中にあり、腫瘍の存在する部位と
一致している
例)鼻腔に非連続な2つの腫瘍があり、一方がC300, Squamous cell carcinoma
NOSで、他方がC300, Keratinizing squamous cell carcinomaだった。この場合、
表1を用いる。
【別表を使用する際の注意】
32
■ 頭頸部多重がんルール別表の最初に掲載されています☟
頭頸部 別表の見方②
33
腫瘍① 局在に該当する表内に 組織型がある 2.複数腫瘍の組織型のうち、
一方の腫瘍の組織型はそれが診断された局在に対応する表内にあり、
その他の腫瘍の組織型は診断された局在とは別の表内にある、または表1~9内にない
M3から
再確認腫瘍② 局在に該当する表内に 組織型がない
局在変更あり
局在変更なし 医師に局在 を再確認
医師の指示が得られない場合は、
国立がん研究センターに確認
医師の指示にそって、
局在に該当する表を 用いて判定 局在に該当する表内でどこに当てはまるかを医師に確認
※【別表を使用する際の注意点】内に、例を提示しています。ご確認ください。
多重がんルール
《頭頸部(頭蓋骨・顎顔面骨、中耳、外耳を含む) 》
腫瘍数 ルール 項目内容 決定
不明
M1
単一腫瘍か複数腫瘍かが不明 はい⇒ 単発↓いいえ
単一
M2
単一腫瘍である はい⇒ 単発↓いいえ
複数
M3
非連続な複数の腫瘍が、以下のいずれかの組合せ の部位にある;
・上唇(C00.0, C00.3)と下唇(C00.1, C00.4)
・上顎歯肉(C03.0)と下顎歯肉(C03.1)
・鼻腔(C30.0)と中耳(C30.1)
⇒
はい 多重
↓いいえ
複数
M4
非連続な複数の腫瘍のICD-O局在コードが、2, 3桁目(CXXx)のうち1つ以上異なる はい⇒ 多重
↓いいえ
34 局在で確認
局在で確認
【別表を使用する際の注意】
35
■ 頭頸部多重がんルール別表の最初に掲載されています☟
頭頸部 別表の見方③
36
腫瘍②
局在に該当する表内に 組織型がない
局在変更あり
局在変更なし 医師に局在 を再確認
医師の指示が得られない場合は、
国立がん研究センターに確認
医師の指示にそって、
局在に該当する表を 用いて判定 局在に該当する表内でどこに当てはまるかを医師に確認
腫瘍①
M3から
再確認 3.複数腫瘍の組織型すべてが腫瘍の存在する局在とは異なる表内に記載されている、またはいずれの組織型も表1~9内にない
※【別表を使用する際の注意点】内に、例を提示しています。ご確認ください。
まとめ
以上、 SEER2018 多重がんルールについて、質問が寄せ られる部分、間違えやすいと思われる部分をピックアップし、
解説しました。
院内がん登録支援サイト内に掲載の補足説明資料や、院 内がん登録SNS WEBサイトを参考に、さらに理解を進め ていただけましたら幸いです。
院内がん登録支援サイト:
https://ctr-info.ncc.go.jp/hcr_info/
院内がん登録 SNS WEB サイト :
https://ctr-info.ncc.go.jp/sns/login
37
(※要ユーザー登録)