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第一章自然免疫活性化物質による T 細胞機能の修飾に関する検討自然免疫は 感染の初期段階において重要な防御機構である 自然免疫を担当する細胞は パターン認識受容体 (Pattern Recognition Receptors:PRRs) を介して PAMPs の特異的な構造を検知する 機能性食品は

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Academic year: 2021

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論文 内 容の 要旨

緒 論 人 々は不 老 長 寿 を目 指 し、医 療 技 術 や生 活 様 式 など様 々なものを発 展 させてきた。一 方 、 高 齢 になるにつれて免 疫 力 は低 下 し、様 々な疾 患 を起 こす頻 度 が上 昇 することから、免 疫 機 能 の低 下 を改 善 することで、疾 患 のリスクを軽 減 できる可 能 性 がある。厚 生 労 働 省 は、こ れからの高 齢 社 会 を健 康 で活 力 あるものにするため、生 活 習 慣 病 などを予 防 し、壮 年 期 死 亡 の減 少 、健 康 寿 命 の延 伸 等 を目 標 とする 21 世 紀 における国 民 健 康 づくり運 動 「健 康 日 本 21」を提 唱 している。 老 化 により機 能 が低 下 する代 表 的 な免 疫 細 胞 として、T 細 胞 と NK 細 胞 が知 られている。 胸 腺 は T 細 胞 を成 熟 させるが、老 化 と共 に著 しく萎 縮 するため、T 細 胞 機 能 、特 に制 御 機

能 は徐 々に劣 化 する。また、老 化 によりT 細 胞 の Programmed cell death 1 (PD-1)の発

現 が上 昇 し、これが癌 が増 加 する一 因 ではないかと考 えられている。一 方 、NK 細 胞 は、 独 自 に自 他 を判 断 する様 々な機 構 を有 しており、自 己 のマーカーである MHC クラスⅠ分 子 の発 現 が消 失 、または低 下 したものを非 自 己 として認 識 し排 除 する。また、NK 細 胞 は、 活 性 、抑 制 に 関 わる受 容 体 のバランスによりアポトーシスが誘 導 され 機 能 が 制 御 され てい る。 老 化 に伴 う免 疫 機 能 の低 下 に対 しては、様 々な対 応 策 が考 えられるが、本 研 究 では食 品 , 特 に機 能 性 食 品 の可 能 性 を探 ることとした。近 年 になり、食 品 成 分 は様 々な自 然 免 疫 活 性

化 物 質( 病 原 体 関 連 分 子 パ タ ー ン 、 Pathogen Associated Molecular Patterns :

PAMPs)を含 有 していることが報 告 されており、これらを介 して免 疫 機 能 が強 化 さ れている 可 能 性 がある。本 研 究 では PAMPs として、菌 類 、酵 母 、藻 類 、植 物 由 来 の β グルカン、α マンナン、多 糖 類 などを用 い、第 一 章 ではT 細 胞 、第 二 章 では NK 細 胞 への影 響 を検 討 し た。 さ と う わ た る 氏 名 ( 本 籍 ) 佐 藤 亘 ( 静 岡 県 ) 学 位 の 種 類 博 士 ( 薬 学 ) 学 位 記 番 号 博 第 270 号 学位授与の日付 平 成 28 年 3 月 18 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1 項 該 当 学 位 論 文 題 目 自 然 免 疫 活 性 化 物 質 に よ る T 細 胞 な ら び に NK 細 胞 機 能 の 調 節 作 用 に 関 す る 研 究 論 文 審 査 委 員 ( 主 査 ) 教 授 大 野 尚 仁 教授 新槇 幸彦 教授 平野 俊彦

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第 一 章 自 然 免 疫 活 性 化 物 質 による T 細 胞 機 能 の修 飾 に関 する検 討

自 然 免 疫 は、感 染 の初 期 段 階 におい て重 要 な防 御 機 構 である。自 然 免 疫 を 担 当 する細

胞 は、パターン認 識 受 容 体(Pattern Recognition Receptors:PRRs)を介 して、PAMPs

の特 異 的 な構 造 を検 知 する。機 能 性 食 品 は、菌 類 、酵 母 、藻 類 、植 物 を含 む様 々な素 材

を原 料 として作 り出 されている。岩 倉 ら(Tang C., et al., Cell host microbe, 18. 2015)

は、食 物 として摂 取 した β グルカンが自 然 免 疫 受 容 体 の活 性 化 を介 して腸 内 細 菌 叢 に質 的 な変 化 を与 え、腸 管 の免 疫 応 答 性 を調 節 している事 を明 らかにした。食 品 の機 能 性 、特 に免 疫 系 の調 節 作 用 について、さらに詳 細 に解 明 するために、PAMPs の T 細 胞 への影 響 について、脾 臓 細 胞 における IFN-γ 産 生 作 用 ならびに T 細 胞 のサブセットへの影 響 につ いて解 析 した。PAMPs としては、β グルカン(菌 類 、酵 母 、藻 類 )、α マンナン(酵 母 )、ならび に植 物 多 糖(BWMP)を用 いた。

第 一 節 では、オスの DBA/2、C57BL/6 マウスの脾 臓 細 胞 を様 々な PAMPs でin vitro刺

激 しサイトカイン産 生 パターンを比 較 検 討 した。いずれも PAMPs もサイトカイン産 生 を上 昇 させたが、BWMP のみが IFN-γ 産 生 を抑 制 した。また、この作 用 は PAMPs 刺 激 条 件 下 のみならず、未 刺 激 時 に産 生 されるIFN-γ 産 生 のいずれも抑 制 することを明 らかにした。一 方 、骨 髄 由 来 の樹 状 細 胞(BMDC)を様 々な PAMPs で刺 激 したところ、BWMP も TNF-α ならびに IL-6 産 生 を増 強 し、免 疫 促 進 的 に作 用 した。 第 二 節 では、BWMP による IFN-γ 産 生 抑 制 機 構 について、IFN-γ を主 に産 生 する T 細 胞 に注 目 し検 討 した。BWMP は、オスの DBA/2 マウスの脾 臓 細 胞 由 来 の T 細 胞 を CD3ε 抗 体 で刺 激 した際 に IFN-γ 産 生 のみならず、IL-4 産 生 も抑 制 した。さらに、BWMP は、T 細 胞 の増 殖 を 抑 制 する だけで なく、IL-2 産 生 も抑 制 した(Figure 1)。これらのことから、 BWMP は T 細 胞 増 殖 を抑 制 するとともに、サイトカイン産 生 を減 少 したものと考 えられる。 以 上 のことから、食 品 中 に含 有 されている様 々な PAMPs は、T 細 胞 の増 殖 ならびにサイト カイン産 生 に対 し、プラスとマイナスの両 面 から機 能 を 制 御 している可 能 性 のあることが示 唆 された。これらのことから食 品 中 の PAMPs は、免 疫 系 の機 能 維 持 と増 強 において有 用 性 を発 揮 することが期 待 できる。

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Figure 1. Effect of BWMP on the cell proliferation (A), the IFN -γ production

(B), and the IL-2 production (C) on splenic CD3+ T-cells.

Effects of BWMP on the cell proliferation (A) and the IFN -γ production (B) by

splenic CD3+ T-cells from DBA/2 mice. T-cells were stimulated for 48 h with

mouse CD3ε antibody in the presence or absence of BWMP. Effects of BWMP

on the time course of IL-2 production (C) by splenic CD3+ T-cells from DBA/2

mice. T-cells were stimulated for 1, 2, 4, 8, 20, or 48 h with mouse CD3ε antibody in the presence or absence of BWMP. Significant differences, *p < 0.05, ***p < 0.001. 第 二 章 食 品 由 来 の自 然 免 疫 活 性 化 物 質 による血 管 炎 の修 飾 と NK 細 胞 の関 連 性 に関 する検 討 生 体 防 御 機 構 は、様 々な生 物 に存 在 する。β グルカンを認 識 する dectin-1、α マンナンを 認 識 する dectin-2 の機 能 は、真 菌 感 染 に対 する生 体 防 御 機 構 として重 要 である。 β グル カン、α マンナンは、自 然 界 に広 く存 在 しており、動 物 実 験 で使 用 している標 準 的 な飼 料 に も、植 物 ならびに酵 母 由 来 の β グルカンが豊 富 に含 まれている。腸 管 粘 膜 には β グルカン 認 識 受 容 体 が発 現 しており、飼 料 中 の β グルカンが刺 激 となり、全 身 の免 疫 機 構 に影 響 を 与 えることが報 告 されている。 近 年 、石 橋 ら(Ishibashi K., et al., 日 本 医 真 菌 学 会 誌 , 51, 2010)は様 々な動 物 の血 清 中 に、抗 β グルカン抗 体 が存 在 することを見 出 した。一 方 、 川 崎 病 は幼 少 時 に発 症 する難 治 性 疾 患 であり疾 患 の発 症 と病 状 に免 疫 系 の制 御 機 能 が 関 連 しているものと考 えられている。川 崎 病 の病 因 究 明 と治 療 法 の開 発 のために様 々な動

物 モデルが開 発 されてきた。CAWS は病 原 性 真 菌Candida albicans培 養 上 清 中 に放 出

される α マンナンであり、マウスに川 崎 病 に類 似 した血 管 炎 を惹 起 する。CAWS 血 管 炎 の

重 症 度 は系 統 により異 なり、DBA/2 では重 篤 な致 死 性 の血 管 炎 を惹 起 する。

NK 細 胞 は 様 々 な 経 路 に よ り 細 胞 傷 害 性 を 発 揮 す る 。 抗 体 依 存 性 細 胞 傷 害 (antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC)は Fc 受 容 体 を介 した体 液

性 免 疫 と細 胞 性 免 疫 が相 乗 的 に働 く傷 害 作 用 であり、NK 細 胞 の特 徴 的 な傷 害 機 構 であ る。また、NK 細 胞 は、抗 原 提 示 細 胞 との細 胞 間 相 互 作 用 に基 づくサイトカインネットワーク により傷 害 活 性 が上 昇 する。 第 一 節 で種 々の材 料 から得 られた PAMPs による NK 細 胞 の ADCC 機 能 に与 える影 響 について検 討 するために、健 常 人 の β グルカンならびに α マンナンに対 する特 異 抗 体 の力 価 と交 差 反 応 を検 討 した。その結 果 、IgG、IgM のいずれのクラスからも β グルカン、α マン ナンに対 する特 異 抗 体 が見 出 された。さらに、材 料 により力 価 は異 なっており、微 細 構 造 も 認 識 していることが明 らかとなった。これらのことから、β グルカン、α マンナンは特 異 抗 体 と結 合 し、Fc 受 容 体 を介 して NK 細 胞 の ADCC 活 性 を増 強 する可 能 性 のあることが示 唆 され た。 第 二 節 では、飼 料 ならびに含 有 されるPAMPs の影 響 について検 討 するために、β グルカン

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含 量 の異 なる2 種 の飼 料 を用 いて、CAWS 血 管 炎 ならびに NK 細 胞 機 能 への影 響 につい

て 検 討 し た 。 天 然 飼 料 と し て CE-2 を 、 β グ ルカ ンを ほ と ん ど 含 ま な い 合 成 飼 料 と し て

AIN93G を用 いた。両 飼 料 で飼 育 したマウスに CAWS を投 与 し、血 管 炎 を惹 起 したところ、 AIN93G では CAWS 投 与 による血 管 炎 が増 悪 化 し、生 存 日 数 も短 縮 した(Figure 2)。ま た、NK 細 胞 の傷 害 活 性 は、CAWS 投 与 により低 下 し、さらに AIN93G 摂 取 群 では低 下 傾 向 が顕 著 であった。 以 上 のことから、β グルカン、α マンナンは特 異 抗 体 を介 して NK 活 性 を増 強 することが示 唆 された。また、β グルカン含 量 の少 ない飼 料 により血 管 炎 が増 悪 化 したことから、飼 料 中 の PAMPs は消 化 管 機 能 の調 整 において重 要 な役 割 を演 じている可 能 性 のあることが強 く 示 唆 された。 総 括 人 々は不 老 長 寿 を目 指 し、医 療 技 術 や生 活 様 式 など様 々なものを発 展 させてきた。高 齢 になるにつれ、免 疫 力 が低 下 し疾 患 が増 加 するが、本 研 究 では、機 能 性 食 品 の成 分 を用 いることで、免 疫 機 能 を調 節 し、高 齢 化 による疾 患 のリスクを減 少 することができるのか検 討 した。本 研 究 結 果 から、β グルカン、α マンナンが免 疫 力 を上 昇 させるだけでなく、植 物 多 糖 の BWMP のように、T 細 胞 にも働 き IFN-γ 産 生 を抑 制 するなど、免 疫 機 構 を様 々な角 度 から調 整 する PAMPs が存 在 することが明 らかとなった。さらに、飼 料 中 の β グルカンが、心 疾 患 モデルにおいて免 疫 力 を調 整 し、疾 患 の進 行 を抑 制 している可 能 性 のあることが示 唆 された。また、β グルカン、α マンナンは、抗 体 を介 した ADCC ならびに自 然 免 疫 系 の活 性 化 を介 して NK 細 胞 機 能 を高 進 している可 能 性 のあることが示 唆 された。 これらのことから、食 品 中 には様 々な PAMPs が含 まれ、日 々の食 事 の質 が免 疫 機 能 に影 響 を強 く与 えている可 能 性 のあることが示 唆 された。

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Figure 2. Effect of the feeding on the survival and the NK cell activity on CAWS vasculitis.

(A) Survival rate following i.p. PBS or CAWS-induced vasculitis from DBA/2 mice feeding of CE-2 or AIN93G. NK cytotoxicity in splenocytes from DBA/2 mice on 28day splenocytes by feeding of CE-2 or AIN93G. NK cell activity was measured by incubating 24 h with target cells. (B) i.p. PBS or (C) i.p. CAWS. Significant differences, *p < 0.05, **p < 0.01, ***p < 0.001.

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論 文 審 査 の結 果 の要 旨

免 疫 機 能 は 年 齢 と 共 に 低 下 し 、 感 染 症 、 自 己 免 疫 疾 患 、 悪 性 腫 瘍 な ど 様 々 な 疾 病 を 引 き 起 こ す こ と か ら 、 超 高 齢 社 会 に お い て は 、 免 疫 機 能 の 維 持 ・ 増 強 を 目 指 し た 物 質 の 開 発 が 求 め ら れ て い る 。 老 化 に よ り 機 能 低 下 す る 代 表 的 な 免 疫 細 胞 と し て 、 T 細 胞 と NK 細 胞 が 知 ら れ て い る 。 食 品 に は 様 々 な 自 然 免 疫 活 性 化 物 質 (Pathogen Associated Molecular Patterns: PAMPs)が 含 ま れ る こ と か ら 、 本 研 究 で は PAMPs に よ る T 細 胞 (第 一 章 )な ら び に NK 細 胞 (第 二 章 )の 調 節 作 用 に つ い て 検 討 し た 。 第 一 章 「 自 然 免 疫 活 性 化 物 質 に よ る T 細 胞 機 能 の 修 飾 に 関 す る 検 討 」 で は 、 菌 類 、 酵 母 、 藻 類 、 植 物 な ど の 食 品 素 材 か ら 分 画 ・ 分 離 し た 様 々 な PAMPs を 用 い 、 DBA/2 な ら び に C57BL/6 系 統 の マ ウ ス の 脾 臓 細 胞 を in vitro 刺 激 し サ イ ト カ イ ン 産 生 パ タ ー ン を 比 較 検 討 し た 。 PAMPs と し て は 、 高 分 子 多 糖 で あ る 、 β グ ル カ ン 、 α マ ン ナ ン 、 並 び に 笹 由 来 の 複 合 植 物 多 糖 (BWMP)な ど を 用 い た 。そ の 結 果 、い ず れ の PAMPs も サ イ ト カ イ ン 産 生 を 上 昇 さ せ た が 、BWMP の み が IFN-γ 産 生 を 抑 制 し た 。一 方 、骨 髄 由 来 の 樹 状 細 胞 (BMDC)を 様 々 な PAMPs で 刺 激 し た と こ ろ 、 用 い た す べ て の PAMPs が TNF-α な ら び に IL-6 産 生 を 増 強 し 、免 疫 促 進 的 に 作 用 し た 。そ こ で 、次 に 、特 徴 的 な 活 性 パ タ ー ン を 示 し た BWMP に よ る IFN-γ 産 生 抑 制 機 構 に つ い て 、T 細 胞 に 注 目 し 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 BWMP は DBA/2 マ ウ ス 脾 臓 T 細 胞 の CD3ε 抗 体 刺 激 に よ る IFN-γ 産 生 な ら び に IL-4 産 生 を 抑 制 し た 。さ ら に 、BWMP は 、T 細 胞 増 殖 を 抑 制 す る と と も に IL-2 産 生 を 抑 制 し た 。 以 上 、 本 章 で は 、 食 品 中 に 含 有 さ れ て い る 様 々 な PAMPs が T 細 胞 の 増 殖 な ら び に サ イ ト カ イ ン 産 生 に 対 し 、プ ラ ス と マ イ ナ ス の 両 面 か ら 機 能 を 制 御 し て い る こ と を 見 出 し た 。こ れ ら の こ と か ら 食 品 中 の PAMPs は 、老 化 に 伴 う 免 疫 系 の 機 能 維 持 と 増 強 に 寄 与 す る こ と が 期 待 さ れ る 。 第 二 章 「 食 品 由 来 の 自 然 免 疫 活 性 化 物 質 に よ る 血 管 炎 の 修 飾 と NK 細 胞 の 関 連 性 に 関 す る 検 討 」 で は 、 CAWS 血 管 炎 モ デ ル 動 物 を 用 い て 飼 料 と 血 管 炎 感 受 性 の 関 連 性 を 検 討 す る と と も に 、 NK 細 胞 の 抗 体 依 存 性 細 胞 傷 害 (antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity:ADCC)作 用 に つ い て 検 討 す る た め に 、健 常 人 の PAMPs 特 異 抗 体 に つ い て 比 較 検 討 し た 。ま ず 、健 常 人 血 清 を 用 い 食 品 由 来 の PAMPs と し て β グ ル カ ン 、α マ ン ナ ン 、 な ら び に BWMP を 用 い て 特 異 抗 体 の 力 価 と 交 差 反 応 を 検 討 し た と こ ろ 、 IgG、 IgM の い ず れ の ク ラ ス か ら も 特 異 抗 体 が 検 出 さ れ 、 相 互 の 交 差 性 は 低 く 、 特 異 性 が 高 か っ た 。こ れ ら の こ と か ら 、PAMPs は 特 異 抗 体 、Fc 受 容 体 を 介 し て NK 細 胞 の ADCC 活 性 を 増 強 す る 可 能 性 の あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 次 に 、 in vivo 動 物 モ デ ル を 用 い て NK 細 胞 機 能 を 評 価 す る た め 、 天 然 (CE-2)な ら び に 合 成 (AIN93G)飼 料 を 用 い て マ ウ ス を 飼 育 し 、 CAWS 血 管 炎 な ら び に NK 細 胞 機 能 へ の 影 響 に つ い て 検 討 し た 。 AIN93G は β グ ル カ ン 制 限 食 と し て 汎 用 さ れ て い る も の で あ る 。 そ の 結 果 、 AIN93G 群 で は CAWS 血 管 炎 が 増 悪 化 し 、生 存 日 数 も 短 縮 し た 。ま た 、NK 細 胞 の 傷 害 活 性 は 、CAWS 投 与 に よ り 両 飼 料 群 と も に 低 下 し 、 AIN93G 摂 取 群 で は 低 下 傾 向 が 顕 著 で あ っ た 。 こ

(7)

れ ら の こ と か ら 、飼 料 中 の PAMPs は 消 化 管 機 能 の 調 整 に お い て 重 要 な 役 割 を 演 じ て い る 可 能 性 の あ る こ と が 強 く 示 唆 さ れ た 。 本 研 究 結 果 か ら 、食 品 中 に 含 有 さ れ る 様 々 な 構 造 の PAMPs は 、免 疫 機 構 を 様 々 な 角 度 か ら 調 整 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 さ ら に 、 心 疾 患 動 物 モ デ ル に お い て 飼 料 中 の β グ ル カ ン が 免 疫 能 を 調 整 し 、 疾 患 の 進 行 を 抑 制 し て い る 可 能 性 の あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 ま た 、 PAMPs に 対 す る 特 異 抗 体 は 、 ADCC 経 路 の 活 性 化 を 介 し て NK 細 胞 機 能 を 高 進 し て い る 可 能 性 の あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 食 品 中 に は 様 々 な PAMPs が 含 ま れ 、日 々 の 食 事 の 質 が 免 疫 機 能 の 維 持 と 向 上 に 強 く 影 響 を 与 え て い る 可 能 性 の あ る こ と が 示 唆 さ れ た 。 本 研 究 内 容 は 、 食 品 中 に 含 有 さ れ る 自 然 免 疫 活 性 化 物 質 が T 細 胞 な ら び に N K 細 胞 の 活 性 化 を 介 し て 免 疫 系 を 制 御 で き る 可 能 性 を 強 く 示 唆 し て お り 、 博 士 (薬 学 )の 学 位 論 文 と し て 相 応 し い 価 値 あ る も の と 判 断 す る 。

Figure  2.  Effect  of  the  feeding  on  the  survival  and  the  NK  cell  activity  on  CAWS vasculitis

参照

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